問1承諾の期間の定めのある申込みの撤回と失効(民法523条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における承諾の期間の定めのある申込みに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.承諾の期間を定めてした申込みは、申込者が撤回をする権利を留保したときを除き、撤回することができない。
- イ.申込者が、承諾の期間内に承諾の通知を受けなかったときでも、その申込みは効力を失わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 承諾の期間を定めてした申込みは撤回できない→ただし申込者が撤回をする権利を留保したときは別(第523条第1項)
民法第523条第1項「承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない」一次資料を確認
民法第523条第1項ただし書「ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 承諾の期間内に承諾の通知を受けなかったときは申込みが効力を失う(第523条第2項)→効力を失わないとする記述は誤り
民法第523条第2項「申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う」一次資料を確認
ひっかけ申込みはいつでも撤回でき、承諾がなければ有効なまま残ると考えてしまう。
解説承諾の期間を定めてした申込みは、申込者が撤回をする権利を留保したときを除き、撤回することができない(民法第523条第1項)。申込者が、その期間内に承諾の通知を受けなかったときは、申込みは効力を失う(同条第2項)。期間内は撤回できないが、期間が過ぎれば申込みは失効する、という二段の構造である。
補足申込者は、遅延した承諾を新たな申込みとみなすことができる(第524条)。
問2対話者に対する申込みの撤回と変更を加えた承諾(民法525条・528条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における申込みと承諾に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.承諾の期間を定めないで対話者に対してした申込みは、承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、対話が継続している間であっても撤回することができない。
- イ.承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 承諾の期間を定めない申込みは相当な期間の経過まで撤回できない(第525条第1項)→ただし対話者に対する申込みは対話が継続している間はいつでも撤回できる(同条第2項)
民法第525条第1項「承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない」一次資料を確認
民法第525条第2項「対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 申込みに条件を付し、その他変更を加えて承諾したとき→申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす(第528条)
民法第528条「承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす」一次資料を確認
ひっかけ承諾の期間を定めない申込みは、相手が対話中であっても相当な期間は撤回できないと思い込んでしまう。
解説承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回できないが(民法第525条第1項)、対話者に対してした申込みは、対話が継続している間はいつでも撤回することができる(同条第2項)。また、承諾者が申込みに条件を付し、その他変更を加えて承諾したときは、申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなされる(第528条)。ライセンス条件の交渉では、条件を変えた返答が承諾ではなく新たな申込みになる点が実務でも問題になる。
補足対話者に対してした申込みについて、対話が継続している間に承諾の通知を受けなかったときは、申込みは効力を失う。ただし、申込者が対話の終了後も効力を失わない旨を表示したときは、この限りでない(第525条第3項)。
問3同時履行の抗弁と解除権の行使(民法533条・540条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における同時履行の抗弁及び解除権の行使に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができるが、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
- イ.契約の解除は、相手方に対する意思表示によってするものであり、その意思表示は撤回することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 双務契約の当事者の一方は相手方が履行を提供するまで自己の債務の履行を拒める→相手方の債務が弁済期にないときは別(第533条)
民法第533条「自己の債務の履行を拒むことができる」一次資料を確認
民法第533条ただし書「ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 解除は相手方に対する意思表示によってする(第540条第1項)→その意思表示は撤回することができない(同条第2項)
民法第540条第1項「その解除は、相手方に対する意思表示によってする」一次資料を確認
民法第540条第2項「前項の意思表示は、撤回することができない」一次資料を確認
ひっかけ相手が履行しないなら、こちらも常に履行を拒めるし、解除の意思表示は考え直して取り消せると考えてしまう。
解説双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない(民法第533条)。また、契約又は法律の規定による解除は、相手方に対する意思表示によってし、その意思表示は撤回することができない(第540条)。履行を拒める場面には弁済期の限定があること、解除の意思表示は一度すると撤回できないことを押さえたい。
補足当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる(第544条第1項)。
問4催告によらない解除ができる場合(民法542条1項)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における催告によらない解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときであっても、債権者は、催告をした後でなければ、契約の解除をすることができない。
- イ.債務の一部の履行が不能である場合には、残存する部分のみで契約をした目的を達することができるときであっても、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の全部の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき→債権者は催告をすることなく直ちに解除できる(第542条第1項第2号)
民法第542条第1項「債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる」一次資料を確認
民法第542条第1項第2号「債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」一次資料を確認
- イ.誤り
- 催告なしに解除できるのは、一部の履行不能等で残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき(第542条第1項第3号)→目的を達成できる場合の全部解除は認められない
民法第542条第1項第3号「債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき」一次資料を確認
ひっかけ債務者が履行を拒んでいても、解除には必ず催告が必要だと考えたり、一部でも履行不能なら全部を解除できると考えたりしてしまう。
解説債権者は、債務の全部の履行が不能であるとき、債務者が債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときなど、民法第542条第1項各号に掲げる場合には、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。債務の一部の履行が不能である場合等は、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときに限って、催告なしの解除ができる(同項第3号)。催告が要らない場合は、履行の見込みがない、又は契約の目的を達することができない場合に整理される。
補足契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したときも、催告なしに解除できる(第542条第1項第4号)。
問5手付による解除と損害賠償(民法557条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における手付による解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができるが、相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
- イ.手付による解除をした場合であっても、解除権の行使は損害賠償の請求を妨げないため、相手方は解除をした者に対して損害賠償を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 買主は手付を放棄し、売主は倍額を現実に提供して解除できる→ただし相手方が契約の履行に着手した後はできない(第557条第1項)
民法第557条第1項「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる」一次資料を確認
民法第557条第1項ただし書「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 解除権の行使は損害賠償の請求を妨げない(第545条第4項)→手付による解除の場合にはこの規定は適用されない(第557条第2項)
民法第557条第2項「第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない」一次資料を確認
民法第545条第4項「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」一次資料を確認
ひっかけ解除をすれば、相手方は常に損害賠償を請求できると考えてしまう。
解説買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、相手方が契約の履行に着手した後はできない(民法第557条第1項)。通常の解除では解除権の行使は損害賠償の請求を妨げないが(第545条第4項)、この規定は手付による解除の場合には適用されない(第557条第2項)。手付を放棄し、又は倍額を提供することで、損害賠償の責任を負わずに解除できる仕組みになっている。
補足手付による解除は、相手方が契約の履行に着手する前でなければできない点で、時期的な限定がある(第557条第1項ただし書)。
問6危険負担(民法536条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における危険負担に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。
- イ.債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなった場合において、債務者が自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、債務者は、これを債権者に償還しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 当事者双方の責めに帰することができない事由による履行不能→債権者は反対給付の履行を拒むことができる(第536条第1項)
民法第536条第1項「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 債権者の責めに帰すべき事由による履行不能→債務者は自己の債務を免れて得た利益を債権者に償還しなければならない(第536条第2項)
民法第536条第2項「債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない」一次資料を確認
ひっかけどちらの責任でもなく履行できなくなったのだから、債権者は代金などの反対給付を払い続けるしかないと考えてしまう。
解説当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる(民法第536条第1項)。一方、債権者の責めに帰すべき事由による履行不能の場合は、債権者は反対給付の履行を拒むことができず、債務者が自己の債務を免れて得た利益は債権者に償還しなければならない(同条第2項)。帰責事由が誰にあるかで、反対給付を拒めるかどうかが分かれる。
補足債務の履行が、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない(第412条の2第1項)。
問7第三者のためにする契約における第三者の権利(民法537条・538条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における第三者のためにする契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第三者のためにする契約において、第三者の権利は、契約が成立した時に当然に発生する。
- イ.第三者の権利が発生した後であっても、契約の当事者は、合意によってその権利を変更し、又は消滅させることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 第三者の権利は、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する(第537条第3項)→契約成立時に当然に発生するわけではない
民法第537条第3項「第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 第三者の権利が発生した後は、当事者はこれを変更し、又は消滅させることができない(第538条第1項)
民法第538条第1項「当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない」一次資料を確認
ひっかけ第三者のためにする契約では、契約の成立と同時に第三者が権利を取得し、その後も当事者同士で自由に内容を変えられると考えてしまう。
解説契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する(民法第537条第1項)。この第三者の権利は、第三者が債務者に対して契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する(同条第3項)。権利が発生した後は、当事者は、これを変更し、又は消滅させることができない(第538条第1項)。
補足第三者のためにする契約は、その成立の時に第三者が現に存しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない(第537条第2項)。
問8売買の一方の予約(民法556条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における売買の一方の予約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
- イ.売買を完結する意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から売買の効力を生ずる(第556条第1項)
民法第556条第1項「売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 意思表示の期間を定めなかったときは予約者が相当の期間を定めて確答を催告できる→相手方が期間内に確答しないと予約は効力を失う(第556条第2項)
民法第556条第2項「予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる」一次資料を確認
民法第556条第2項後段「相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う」一次資料を確認
ひっかけ予約をした時点で売買が成立するか、催告に返事がなくても予約は生き続けると考えてしまう。
解説売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる(民法第556条第1項)。完結の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相当の期間を定めて確答を催告することができ、相手方が期間内に確答しないときは、予約はその効力を失う(同条第2項)。予約の時点ではまだ売買の効力は生じない点がポイントである。
補足売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる(第555条)。
問9請負人の担保責任の制限と通知期間(民法636条・637条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における請負人の担保責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.請負人が引き渡した仕事の目的物が契約の内容に適合しない場合において、その不適合が注文者の与えた指図によって生じたものであっても、請負人がその指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、注文者は、履行の追完の請求をすることができる。
- イ.請負人が引き渡した仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合において、注文者が仕事の目的物の引渡しを受けた時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 注文者の供した材料・与えた指図による不適合は原則として担保責任を追及できない→ただし請負人がその不適当を知りながら告げなかったときは別(第636条)
民法第636条本文「注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」一次資料を確認
民法第636条ただし書「ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 注文者が不適合を知った時から一年以内にその旨を通知しないと請求できなくなる(第637条第1項)→起算点は引渡しを受けた時ではない
民法第637条第1項「注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」一次資料を確認
ひっかけ注文者の指図が原因なら請負人は常に責任を負わないと考えたり、通知期間の一年は引渡しの時から数えると考えてしまう。
解説注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合については、注文者は追完請求等をすることができないが、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは別である(民法第636条)。また、種類又は品質に関する不適合について、注文者がその不適合を知った時から一年以内に請負人に通知しないときは、追完請求等ができなくなる(第637条第1項)。起算点は引渡しの時ではなく、不適合を知った時である。
補足通知期間の制限は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(引渡しを要しない場合は仕事が終了した時)に、請負人が不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用されない(第637条第2項)。
問10書面でする消費貸借の借主の解除と注文者による請負契約の解除(民法587条の2・641条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができ、この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
- イ.請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 書面でする消費貸借の借主は金銭等を受け取るまで解除できる→貸主は解除で損害を受けたとき借主に賠償を請求できる(第587条の2第2項)
民法第587条の2第2項「書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる」一次資料を確認
民法第587条の2第2項後段「貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる(第641条)
民法第641条「請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる」一次資料を確認
ひっかけいったん契約をした以上、債務不履行がなければ解除できず、解除できる場合でも損害賠償の負担はないと考えてしまう。
解説書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで契約の解除をすることができ、貸主が損害を受けたときは借主に賠償を請求できる(民法第587条の2第2項)。請負では、請負人が仕事を完成しない間は、注文者はいつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる(第641条)。どちらも、相手方の債務不履行を理由としない任意の解除であり、損害賠償とセットになっている点が共通する。
補足書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う(第587条の2第3項)。
問11契約上の地位の移転と賃貸人たる地位の移転(民法539条の2・605条の3)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における契約上の地位の移転に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合には、その契約の相手方の承諾がなくても、契約上の地位は当然にその第三者に移転する。
- イ.不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 契約上の地位の譲渡は、契約の相手方がその譲渡を承諾したときに第三者に移転する(第539条の2)→承諾なしに当然には移転しない
民法第539条の2「その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、賃貸人たる地位は賃借人の承諾を要せず、譲渡人と譲受人の合意で譲受人に移転させることができる(第605条の3)
民法第605条の3前段「不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる」一次資料を確認
ひっかけ契約上の地位の譲渡は当事者と第三者の合意だけで済むと考えたり、賃貸人の交代には賃借人の承諾が必ず要ると考えてしまう。
解説契約上の地位を譲渡するには、譲渡する当事者と第三者の合意に加えて、契約の相手方がその譲渡を承諾することが必要である(民法第539条の2)。これに対し、不動産の賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる(第605条の3前段)。一般の契約上の地位と賃貸人たる地位とで、相手方の承諾の要否が異なる。
補足賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない(第605条の2第3項、第605条の3後段)。
問12賃借権の譲渡及び転貸の制限(民法612条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における賃貸借に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
- イ.賃借人が賃貸人の承諾を得ないで賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸して、第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない(第612条第1項)
民法第612条第1項「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 賃借人が承諾なく第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は契約の解除をすることができる(第612条第2項)
民法第612条第2項「賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる」一次資料を確認
ひっかけ賃借権は財産権なので、賃貸人の承諾がなくても自由に譲渡・転貸でき、無断でしても解除はされないと考えてしまう。
解説賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない(民法第612条第1項)。これに違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は契約の解除をすることができる(同条第2項)。知的財産のライセンスでも、再実施許諾や地位の譲渡に相手方の承諾を要する条項を置くことが多く、この発想と重なる。
補足賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる(第601条)。
問13賠償額の予定と違約金(民法420条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における賠償額の予定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
- イ.違約金は、賠償額の予定とみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる(第420条第1項)
民法第420条第1項「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 違約金は、賠償額の予定と推定する(第420条第3項)→「みなす」ではなく「推定」
民法第420条第3項「違約金は、賠償額の予定と推定する」一次資料を確認
ひっかけ契約に違約金を書けば、それが必ず賠償額の予定として扱われると考えてしまう。
解説当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる(民法第420条第1項)。違約金は、賠償額の予定と「推定」される(同条第3項)。法律用語では、「推定する」は反証があれば覆るのに対し、「みなす」は反証を許さない点で異なる。ライセンス契約の違約金条項を読むときにも、この区別が効いてくる。
補足賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない(第420条第2項)。
問14受任者の報酬請求(民法648条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における委任の報酬に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受任者は、報酬の特約がない場合であっても、委任者に対して報酬を請求することができる。
- イ.委任が履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じた報酬を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない(第648条第1項)
民法第648条第1項「受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 委任が履行の中途で終了したときは、受任者は既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる(第648条第3項第2号)
民法第648条第3項「受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる」一次資料を確認
民法第648条第3項第2号「委任が履行の中途で終了したとき」一次資料を確認
ひっかけ他人の事務を処理すれば当然に報酬をもらえると考えたり、途中で終わった委任では報酬が一切出ないと考えてしまう。
解説受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない(民法第648条第1項)。ただし、委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行ができなくなったときや、委任が履行の中途で終了したときは、既にした履行の割合に応じて報酬を請求できる(同条第3項)。弁理士など専門家への依頼でも、報酬の約定の有無と中途終了の扱いを分けて理解しておきたい。
補足受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない(第648条第2項本文)。
問15委任の解除と損害賠償(民法651条)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法における委任の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.委任は、やむを得ない事由がある場合に限り、各当事者がその解除をすることができる。
- イ.委任の解除をした者は、相手方に不利な時期に委任を解除したときは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる(第651条第1項)→やむを得ない事由は要件ではない
民法第651条第1項「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 委任を相手方に不利な時期に解除した者は相手方の損害を賠償しなければならない→やむを得ない事由があったときは別(第651条第2項)
民法第651条第2項「前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない」一次資料を確認
民法第651条第2項第1号「相手方に不利な時期に委任を解除したとき」一次資料を確認
民法第651条第2項ただし書「やむを得ない事由があったときは、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ委任は信頼関係に基づくので、解除するには正当な理由が必要だと考えてしまう。
解説委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる(民法第651条第1項)。ただし、解除した者は、相手方に不利な時期に委任を解除したときなどは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならない(同条第2項)。解除の自由と、不利な時期の解除に対する損害賠償の二段で整理する。
補足委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したときも、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければならない(第651条第2項第2号)。