問1契約の成立と方式(申込みと承諾・書面の要否)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の契約の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示である申込みに対して、相手方が承諾をしたときに成立する。
- イ.法令に特別の定めがない場合であっても、契約が成立するためには、契約書などの書面を作成することが必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 契約内容を示した締結の申入れ(申込み)→相手方の承諾→その時点で契約が成立
民法第522条第1項「契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という」一次資料を確認
民法第522条第1項「に対して相手方が承諾をしたときに成立する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 契約方式の自由→書面の作成は原則として成立要件でない→法令に特別の定めがあるときだけ例外
民法第522条第2項「契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない」一次資料を確認
ひっかけ「契約書を交わさなければ契約は成立しない」と考えがちだが、民法は書面を原則として成立の要件にしていない。
解説契約は、申込みに対する承諾で成立する(第522条第1項)。契約の成立に書面の作成その他の方式は、法令に特別の定めがある場合を除いて不要とされている(同条第2項)。したがって、ライセンスや共同開発の合意のような知的財産に関わる取引でも、契約書がまだ無いという事情だけで契約の不成立になるわけではない。ただし、書面が不要であることと、後日の争いに備えて内容を書面で残すことは別の話である。
補足民法は、契約の内容を当事者が法令の制限内で自由に決められるとも定めている(第521条第2項)。方式の自由は、この契約自由の考え方とつながる。
問2詐欺による意思表示の取消し(相手方による詐欺と第三者による詐欺)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の詐欺による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺による意思表示は、はじめから無効であり、取り消すまでもなく効力を生じない。
- イ.相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 詐欺による意思表示→当然に無効となるのではなく→取消しの意思表示をして初めて覆せる
民法第96条第1項「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 第三者が詐欺→相手方が事実を知り又は知ることができた場合に限る→限定されるのは相手方の保護のため
民法第96条第2項「相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ「だまされて結んだ契約は無効」と覚えていると、効果の言葉を取り違える。
解説詐欺又は強迫による意思表示は、無効ではなく「取り消すことができる」(第96条第1項)。取り消すかどうかは意思表示をした側が選べる。さらに、契約の相手方ではなく第三者が詐欺を行った場合には、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限って取り消せる(同条第2項)。たとえば知的財産の譲渡やライセンスの交渉で、当事者ではない者に欺かれて合意した場合でも、相手方がその事情を知らず、知ることもできなかったときには、取消しは認められない。
補足詐欺による取消しは、善意でかつ過失がない第三者には対抗できない(第96条第3項)。取消しができる場合でも、第三者との関係では効力に限りがある。
問3債務不履行による損害賠償と催告による解除e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の債務不履行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は損害賠償を請求することができるが、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
- イ.当事者の一方が債務を履行しない場合に、相手方が相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その期間を経過した時における債務の不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときを除き、契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 債務の本旨に従った履行がない→債権者は損害賠償を請求できる→ただし債務者の責めに帰することができない事由なら別
民法第415条第1項「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる」一次資料を確認
民法第415条第1項ただし書「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 相当の期間を定めた催告→期間内に履行がない→契約を解除できる→ただし期間経過時点の不履行が軽微なら解除できない
民法第541条「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」一次資料を確認
民法第541条ただし書「その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ債務不履行なら、いつでも損害賠償と解除ができるように見えるが、どちらにも例外の条件が付いている。
解説債務者が債務の本旨に従った履行をしないとき、債権者は損害賠償を請求できる。ただし、不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであれば請求できない(第415条第1項)。解除については、相当の期間を定めた催告をしても履行がないときに解除できるが、その時点の不履行が軽微であるときは解除できない(第541条)。実施料の不払いや納品の遅れなど、知的財産関連契約のトラブルを整理するときも、まずこの二つの条文が出発点になる。
補足売買では、追完請求権や代金減額請求権があっても、債務不履行による損害賠償の請求や解除権の行使は妨げられない旨が定められている(第564条)。
問4請負・委任・準委任の区別e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の請負及び委任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.請負は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
- イ.法律行為でない事務の委託については、委任に関する規定は準用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 請負の中身は仕事の完成と報酬→法律行為の委託を約するのは委任→本肢は委任の定義を請負に当てはめている
民法第632条「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」一次資料を確認
民法第643条「委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 法律行為でない事務の委託→委任の節の規定を準用(準委任)→準用されないとする記述は誤り
民法第656条「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する」一次資料を確認
ひっかけ請負と委任は「頼んで任せる契約」として一括りにしがちだが、約束の中身が違う。
解説請負は、ある仕事を完成することと、その結果に対する報酬の支払を約する契約(第632条)。委任は、法律行為をすることを相手方に委託する契約(第643条)。法律行為でない事務の委託は準委任と呼ばれ、委任の規定が準用される(第656条)。知的財産の分野でも、開発や制作を依頼する契約では、仕事の完成を目的とするのか、事務の処理そのものを目的とするのかで、適用される規定が変わる。
補足本問は請負と委任の定義を入れ替えた記述(ア)と、準用を否定した記述(イ)の二つがともに誤りである。定義は「何を約束するか」、準用は「条文が準用と書いているか」をそれぞれ条文どおりに確認する。
問5移転した権利が契約の内容に適合しない場合の売主の責任と追完請求e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の売主の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合についても、引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合の買主の追完請求権や代金減額請求権などの規定が準用される。
- イ.引き渡された目的物の種類、品質又は数量に関する契約の内容との不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであっても、買主は、売主に対し履行の追完を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 売主が移転した権利が契約の内容に適合しない→前三条(追完請求・代金減額・損害賠償と解除)を準用→物の場合と同じ救済
民法第565条「前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合」一次資料を確認
民法第562条第1項「買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる」一次資料を確認
民法第563条第1項「買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 不適合の原因が買主側にある→履行の追完を請求できない→買主に帰責事由があっても請求できるとする記述は誤り
民法第562条第2項「前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない」一次資料を確認
ひっかけ売主の責任は「物の欠陥」の話だと思いがちだが、移転した権利が契約の内容に適合しない場合にも同じ枠組みが使われる。
解説引き渡された目的物が契約の内容に適合しない場合、買主は履行の追完を請求できる(第562条第1項)。ただし、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは請求できない(同条第2項)。売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しない場合にも、追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求及び解除権の規定が準用される(第565条)。権利を譲り受ける契約を検討するときは、対象が物であっても権利であっても、契約の内容にどう書かれているかが基準になる。
補足売買以外の有償契約にも、その性質が許す限り売買の規定が準用される(第559条)。たとえば請負のように、売買以外の有償契約にも売買の規定が準用される場面がある。
問6錯誤による意思表示の取消し(重大な過失・動機の錯誤)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の錯誤による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.錯誤による意思表示は、その錯誤が表意者の重大な過失によるものであっても、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであれば、常に取り消すことができる。
- イ.表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤に基づく意思表示は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていなくても、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 重要な錯誤なら取り消せる→ただし表意者に重大な過失があれば原則できない→例外は相手方が悪意重過失・同一の錯誤の場合
民法第95条第1項「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる」一次資料を確認
民法第95条第3項「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 法律行為の基礎とした事情の認識が真実に反する→取消しには基礎とされていることの表示が必要→表示がなければ取り消せない
民法第95条第1項第2号「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」一次資料を確認
民法第95条第2項「前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる」一次資料を確認
ひっかけ「勘違いをしたなら取り消せる」と単純に覚えると、取消しの条件を落とす。
解説錯誤による意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときに取り消すことができる(第95条第1項)。ただし、表意者に重大な過失があった場合は、相手方が表意者の錯誤を知り若しくは重大な過失によって知らなかったとき、又は相手方が同一の錯誤に陥っていたときを除いて、取り消せない(同条第3項)。また、法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限って取り消せる(同条第2項)。ライセンスや譲渡の条件を取り違えたまま合意した場合に、取消しを主張できるかを考えるときも、この三つの条件を順に確認する。
補足錯誤による取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない(第95条第4項)。
問7代理行為の効果と無権代理e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、代理人自身に対して効力を生じ、本人に対して直接に効力を生ずることはない。
- イ.代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 代理人が権限内で本人のためにすることを示して意思表示→効果は本人に直接帰属→代理人自身に生ずるとする記述は誤り
民法第99条第1項「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 代理権のない者が代理人としてした契約→本人の追認がなければ本人に効力を生じない→追認して初めて本人に効力が及ぶ
民法第113条第1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけ代理人が契約を結んだのだから、効果も代理人に生じると考えてしまう。
解説代理人が権限内で本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に直接その効力を生ずる(第99条第1項)。代理権のない者が代理人として結んだ契約(無権代理)は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない(第113条第1項)。たとえば、担当者が社内の承認を得ないまま会社の代理人としてライセンス契約を結んだような場面では、会社が追認するかどうかが契約の帰趨を左右する。
補足追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない(第113条第2項)。
問8贈与契約の成立と書面によらない贈与の解除e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の贈与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
- イ.書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができるが、履行の終わった部分については、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 一方が財産を無償で与える意思を表示→相手方が受諾→贈与の効力が生ずる
民法第549条「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 書面によらない贈与→各当事者が解除できる→ただし履行が終わった部分は解除できない
民法第550条「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる」一次資料を確認
民法第550条ただし書「ただし、履行の終わった部分については、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ贈与は「約束しただけ」でも守らなければならないと考えがちだが、書面がなければ履行前は解除できる。
解説贈与は、無償で財産を与える意思の表示と相手方の受諾で成立する(第549条)。書面によらない贈与は、各当事者が解除できる。ただし履行の終わった部分は解除できない(第550条)。つまり、口約束の贈与は、まだ履行していない部分に限り、贈与する側もされる側も取りやめることができる。第522条第2項のとおり契約自体は書面がなくても成立するが、贈与では書面の有無が解除の可否を左右する点が特徴的である。
補足契約の成立に書面が不要(第522条第2項)であることと、書面によらない贈与を解除できること(第550条)は、別の規定である。混同しないようにする。
問9債務不履行に対する損害賠償の範囲(通常損害と特別損害)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の債務の不履行に対する損害賠償の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
- イ.特別の事情によって生じた損害については、当事者がその事情を予見すべきであったときであっても、債権者は、その賠償を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 債務不履行に対する損害賠償→目的は通常生ずべき損害の賠償→これが原則の範囲
民法第416条第1項「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 特別の事情によって生じた損害→当事者がその事情を予見すべきであった場合は請求できる→予見すべきでも請求できないとする記述は誤り
民法第416条第2項「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」一次資料を確認
ひっかけ損害賠償は「通常の損害だけ」と覚えると、特別の事情による損害の扱いを落とす。
解説債務不履行に対する損害賠償は、原則として通常生ずべき損害を対象とする(第416条第1項)。特別の事情によって生じた損害でも、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は賠償を請求できる(同条第2項)。
補足損害賠償を請求できる場面の条件は第415条第1項に定められている。第416条は、その賠償の範囲を定める規定である。
問10契約の解除の効果(原状回復と損害賠償請求)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の契約の解除の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者の一方が解除権を行使したときは、各当事者は、第三者の権利を害することになる場合であっても、その相手方を原状に復させる義務を負う。
- イ.解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 解除権の行使→各当事者に原状回復義務→ただし第三者の権利を害することはできない→害する場合も義務を負うとする記述は誤り
民法第545条第1項「各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う」一次資料を確認
民法第545条第1項ただし書「ただし、第三者の権利を害することはできない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 解除権を行使→それでも損害賠償の請求は妨げられない→解除と損害賠償は両立する
民法第545条第4項「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」一次資料を確認
ひっかけ契約を解除すると、損害賠償まで含めてすべて元に戻ると考えてしまう。
解説契約を解除すると、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない(第545条第1項)。解除しても、解除権の行使とは別に損害賠償を請求することは妨げられない(同条第4項)。解除の条件そのものは、催告による解除(第541条)などで別に定められているため、解除できるかどうかと、解除した後の効果を分けて整理するとよい。
補足金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない(第545条第2項)。金銭以外の物を返還するときは、受領の時以後に生じた果実も返還する(同条第3項)。
問11定型約款の合意と不当条項のみなし合意除外e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の定型約款に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.定型取引を行うことの合意をした者は、定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたときは、定型約款の個別の条項についても合意をしたものとみなされる。
- イ.定型約款の条項のうち、相手方の権利を制限し又は相手方の義務を加重する条項であって、取引の態様及び実情並びに取引上の社会通念に照らして民法第1条第2項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 定型取引合意→定型約款を契約の内容とする旨の合意(等)→個別の条項についても合意したものとみなされる
民法第548条の2第1項「の個別の条項についても合意をしたものとみなす」一次資料を確認
民法第548条の2第1項第1号「定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき」一次資料を確認
- イ.正しい
- 相手方の権利制限・義務加重の条項→基本原則に反して相手方の利益を一方的に害する→合意しなかったものとみなされる
民法第548条の2第2項「相手方の権利を制限し、又は相手方の義務を加重する条項であって、その定型取引の態様及びその実情並びに取引上の社会通念に照らして第一条第二項に規定する基本原則に反して相手方の利益を一方的に害すると認められるものについては、合意をしなかったものとみなす」一次資料を確認
ひっかけ利用規約は「読んでいなくても全部有効」とも「個別に合意していないから無効」とも言い切れない。
解説定型約款とは、定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう(第548条の2第1項)。定型取引合意をした者は、定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき等には、個別の条項についても合意をしたものとみなされる。ただし、相手方の権利を制限し又は義務を加重する条項で、相手方の利益を一方的に害すると認められるものは、合意をしなかったものとみなされる(同条第2項)。ソフトウェアやコンテンツの利用規約のように、不特定多数の相手方に画一的に用いる条項を考えるときの土台になる。
補足同条第2項の「第一条第二項に規定する基本原則」は、権利の行使及び義務の履行は信義に従い誠実に行わなければならないという原則を指す(第1条第2項)。
問12他人の権利の売買と権利移転の対抗要件に係る売主の義務e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の売買における売主の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
- イ.売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 他人の権利を売買の目的にした→売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う
民法第561条「を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う」一次資料を確認
- イ.正しい
- 売買の目的が権利→移転を第三者に主張するための登記・登録等の対抗要件→売主が備えさせる義務を負う
民法第560条「売主は、買主に対し、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う」一次資料を確認
ひっかけ権利を売る契約は、権利を渡すだけで終わりと考えがちだが、売主の義務は権利の取得と対抗要件の具備にも及ぶ。
解説他人の権利を売買の目的としたときでも、売主はその権利を取得して買主に移転する義務を負う(第561条)。また、売主は、登記、登録その他の売買の目的である権利の移転についての対抗要件を備えさせる義務を負う(第560条)。権利を譲り受ける契約では、契約書で移転の対象を特定するだけでなく、移転をどの手続で第三者に主張できるようにするかまで確認する必要がある。
補足売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がその代金を支払うことを約することで効力を生ずる(第555条)。売買の対象は物に限られず、財産権も含まれる。
問13種類又は品質に関する担保責任の期間制限(1年以内の通知)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の目的物の種類又は品質に関する売主の担保責任の期間の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
- イ.売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときであっても、買主が不適合を知った時から1年以内に通知しなければ、買主は不適合を理由とする権利を行使することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 種類又は品質の契約不適合→買主が知った時から1年以内に売主へ通知しない→追完請求・代金減額・損害賠償・解除のいずれもできない
民法第566条「買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 売主が引渡し時に不適合を知り又は重大な過失で知らなかった→期間制限の規定は適用されない→1年以内の通知がなくても権利行使できる
民法第566条ただし書「売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ契約不適合の責任は、買主がいつでも追及できると考えがちだが、種類又は品質の不適合には通知の期限がある。
解説種類又は品質に関する契約不適合では、買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除のいずれもできなくなる(第566条本文)。ただし、売主が引渡しの時に不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この期間制限は適用されない(同条ただし書)。通知の期限は、不適合を知った時から数える点にも注意する。
補足第566条の期間制限は「種類又は品質」の不適合が対象で、数量の不適合は条文上含まれていない。
問14債権の譲渡性と譲渡制限の意思表示e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の債権の譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときは、その債権の譲渡は効力を生じない。
- イ.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 当事者が債権の譲渡を禁止・制限する意思表示→それでも債権の譲渡はその効力を妨げられない→譲渡が効力を生じないとする記述は誤り
民法第466条第2項「をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 債権は原則として譲り渡すことができる→ただしその性質がこれを許さないときは別
民法第466条第1項「債権は、譲り渡すことができる」一次資料を確認
民法第466条第1項ただし書「その性質がこれを許さないときは、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ契約書に「譲渡禁止」と書いてあれば、譲渡は無効になると思いがちだが、民法の規定はそうなっていない。
解説債権は原則として譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは別である(第466条第1項)。当事者が債権の譲渡を禁止し又は制限する旨の意思表示をしたときでも、債権の譲渡は効力を妨げられない(同条第2項)。たとえばライセンス契約に基づく実施料の請求権のような金銭の支払を求める債権についても、契約に譲渡制限の定めがあるかどうかと、譲渡の効力があるかどうかは、分けて考える。
補足譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができる(第466条第3項)。
問15債権等の消滅時効(債権の主観的・客観的起算点と債権以外の財産権)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法上の債権等の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 債権者が権利行使できると知った時から5年間不行使→時効消滅→10年は権利を行使できる時からの期間であり知った時からではない
民法第166条第1項第1号「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」一次資料を確認
民法第166条第1項第2号「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」一次資料を確認
- イ.誤り
- 債権・所有権以外の財産権は行使できる時から20年→時効によって消滅→10年は債権に関する客観的起算点の期間で別
民法第166条第2項「債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する」一次資料を確認
ひっかけ「時効は10年」と一括りに覚えると、起算点と期間の組み合わせを取り違える。
解説債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する(第166条第1項)。債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときに時効によって消滅する(同条第2項)。期間だけでなく、「知った時」と「行使することができる時」のどちらから数えるかをセットで確認する。
補足第166条第1項の二つの場合は「次に掲げる場合には」と並べられており、知った時から5年、又は行使することができる時から10年のいずれかに当たれば、債権は時効によって消滅する。