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種苗法・第19

種苗法の問題(15問)

この章を解く(15問)→

この章で確認する論点

19章では、品種登録の要件・種苗法の目的と品種登録の要件・育成者権の存続期間と種苗法の目的・育成者権の専有範囲と試験研究目的の適用除外・育成方法特許権者の実施行為と譲渡後の消尽の例外を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

  • 種苗法は特許法などと同じ『新規性』の話だと思いがちだが、要件の切り口が異なる。
  • 『安定性』を『特性の一部が変わらなければよい』と読み替えると足をすくわれる。
  • 存続期間を特許権の20年や商標権の更新制と混同すると数字を取り違える。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

種苗法1条2条3条19条20条21条

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年9月〜2026年9月時点の法令に準拠
1種苗法の目的と品種登録の要件(区別性)e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の目的規定及び品種登録の要件(区別性)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 種苗法は、新品種の保護のための品種登録に関する制度や指定種苗の表示に関する規制等を定めることにより、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的としている。
  • 品種登録を受けるためには、品種登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた他の品種と、特性の全部又は一部によって明確に区別されることが要件の一つとされている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
品種登録制度と表示規制を整備→育成の振興と流通の適正化を実現→農林水産業の発展に寄与という目的規定どおり

種苗法第1条「品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、もって農林水産業の発展に寄与することを目的とする」一次資料を確認

正しい
出願前に公知の他品種と対比→特性の全部又は一部で明確な差異が認められれば要件充足

種苗法第3条第1項第1号「日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること」一次資料を確認

ひっかけ種苗法は特許法などと同じ『新規性』の話だと思いがちだが、要件の切り口が異なる。

解説種苗法第1条は、品種登録制度と指定種苗の表示規制の二本柱によって、品種の育成の振興と種苗の流通の適正化を図り、農林水産業の発展に寄与することを目的とする。品種登録の要件の一つである区別性(第3条第1項第1号)は、出願前に公然知られた他の品種と特性の全部又は一部で明確に区別されることを求めており、『全部』の相違までは要求していない点に注意する。目的規定と登録要件はセットで押さえておくと、他の要件(均一性・安定性)との違いも整理しやすい。

補足区別性は『特性の全部又は一部』で足りるため、多くの特性が共通していても、一部の際立った特性で明確に区別できれば要件を満たし得る。

2品種登録の要件(均一性・安定性)e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の品種登録の要件(均一性・安定性)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 品種登録の要件として、同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが、特性の全部において十分に類似していることが求められる。
  • 品種登録の要件である安定性は、繰り返し繁殖させた後において特性の一部が変化しないことで足りるとされている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
同一の繁殖段階に属する集団を比較→特性の全部で十分な類似性が確認されれば均一性を満たす

種苗法第3条第1項第2号「同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが特性の全部において十分に類似していること」一次資料を確認

誤り
条文は特性の全部が不変であることを要求→一部の不変で足りるとする本肢は要件を緩め過ぎで誤り

種苗法第3条第1項第3号「繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと」一次資料を確認

ひっかけ『安定性』を『特性の一部が変わらなければよい』と読み替えると足をすくわれる。

解説均一性(第3条第1項第2号)は、同一の繁殖段階に属する植物体の全てが特性の『全部』において十分に類似していることを求める要件であり、集団としてのばらつきの小ささを問う。一方、安定性(同項第3号)は、繰り返し繁殖させた後においても特性の『全部』が変化しないことを求める要件であり、世代を重ねた後の再現性を問う。いずれも『全部』が基準であり、『一部』で足りるという緩和は誤りになりやすい典型的な引っかけである。

補足均一性は自家受粉性・栄養繁殖性の植物など元々ばらつきが小さい植物では満たしやすいが、他家受粉性の植物では審査上ばらつきの許容範囲が個別に検討される。

3育成者権の存続期間と種苗法の目的e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の育成者権の存続期間及び目的規定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 育成者権の存続期間は、品種登録の日から一律に二十五年とされている。
  • 種苗法の目的規定においては、新品種の保護のための品種登録制度に加え、指定種苗の表示に関する規制等を定めることも、その目的達成の手段として位置付けられている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
条文は35年・特定品種は40年と規定→一律25年とする本肢は年数・一律性いずれも誤り

種苗法第19条第2項「育成者権の存続期間は、品種登録の日から三十五年(第四条第二項に規定する品種にあっては、四十年)とする」一次資料を確認

正しい
第1条は品種登録制度と指定種苗の表示規制の両方を手段として列挙→本肢の位置付けは条文どおり

種苗法第1条「新品種の保護のための品種登録に関する制度、指定種苗の表示に関する規制等について定めることにより」一次資料を確認

ひっかけ存続期間を特許権の20年や商標権の更新制と混同すると数字を取り違える。

解説育成者権の存続期間は、種苗法第19条第2項により品種登録の日から三十五年(同法第4条第2項に規定する品種にあっては四十年)とされており、権利ごとに一律の年数ではない点に注意が必要である。育成者権は同条第1項により品種登録の時点で発生し、出願時点ではまだ発生しない。あわせて第1条の目的規定も、品種登録制度と指定種苗の表示規制の両方を目的達成の手段として位置付けている点を押さえておく。

補足存続期間の起算点は『品種登録の日』であり、出願日でも公示日でもない点も混同しやすい。

4品種登録の要件(区別性・均一性)e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の品種登録の要件(区別性・均一性)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 品種登録の要件である区別性は、出願前に公然知られた他の品種と、特性の全部によって明確に区別される場合に限り認められる。
  • 品種登録の要件である均一性は、同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが、特性の全部において完全に同一であることを要求するものである。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
条文は全部又は一部による区別で足りるとする→全部による区別に限定する本肢は要件を厳格化し過ぎで誤り

種苗法第3条第1項第1号「日本国内又は外国において公然知られた他の品種と特性の全部又は一部によって明確に区別されること」一次資料を確認

誤り
条文は十分な類似性を求めるにとどまる→完全な同一性を要求する本肢は基準を厳格化し過ぎで誤り

種苗法第3条第1項第2号「同一の繁殖の段階に属する植物体の全てが特性の全部において十分に類似していること」一次資料を確認

ひっかけ区別性・均一性の基準を『全部』か『一部』かで丁寧に読み分けないと、要件を厳しくしすぎる誤答を選びやすい。

解説区別性(第3条第1項第1号)は特性の『全部又は一部』による明確な区別で足り、区別すべき特性の全部一致までは求めない。均一性(同項第2号)は同一繁殖段階の植物体の全てが特性の『全部』において『十分に類似』していれば足り、『完全に同一』であることまでは要求されない。いずれも条文の言葉遣い(全部又は一部/十分に類似)を正確に押さえることが、要件を厳格化し過ぎる誤答を避ける鍵になる。

補足均一性の判断は植物の繁殖形式(自家受粉・他家受粉・栄養繁殖等)によって許容されるばらつきの考え方が異なり得る。

5品種登録の要件(安定性)と育成者権の発生e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の品種登録の要件(安定性)及び育成者権の発生に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 品種登録の要件である安定性は、対象の品種を繰り返し繁殖させた後においても、その特性の全部が変化しないことを求めるものである。
  • 育成者権は、品種登録出願をした時点で発生し、その後の品種登録により存続期間が確定するものとされている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
反復繁殖させても特性の全部が変化しないことを確認→安定性要件を満たす

種苗法第3条第1項第3号「繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないこと」一次資料を確認

誤り
条文は品種登録によって発生すると規定→出願時に発生するとの本肢は発生時点を誤っている

種苗法第19条第1項「育成者権は、品種登録により発生する」一次資料を確認

ひっかけ『出願すれば権利発生』と考えると、育成者権の発生時点を取り違える。

解説安定性(第3条第1項第3号)は繰り返し繁殖させた後においても特性の全部が変化しないことを求める要件で、世代を重ねても形質が再現されることを担保する。これに対し育成者権は、種苗法第19条第1項により『品種登録』によって発生するのであって、品種登録出願をしただけでは発生しない。出願から登録までの間は権利がまだ生じていない点に注意する。

補足品種登録出願中であっても、出願公表後は一定の要件下で仮保護(補償金請求権等)の制度が別途用意されている。

6育成者権の専有範囲と試験研究目的の適用除外e-Gov等の一次資料で確認済み

育成者権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 育成者権者は、品種登録を受けている登録品種だけでなく、当該登録品種と特性により明確に区別されない品種についても、業として利用する権利を専有する。
  • 育成者権の効力は、新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用には及ばない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
登録品種を保護する趣旨→特性がわずかに違うだけの品種での回避を許すと保護が骨抜きになる→区別されない品種にも専有権を及ぼす

種苗法第20条第1項「登録品種と特性により明確に区別されない品種を業として利用する権利を専有する」一次資料を確認

正しい
品種改良の促進が政策目的→試験研究まで萎縮させるべきではない→効力の適用除外を明文化

種苗法第21条第1項第1号「新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用」一次資料を確認

ひっかけ育成者権の『専有範囲(20条)』と『適用除外(21条)』は条文の位置が違うため、及ぶ範囲と及ばない範囲を混同しやすい。

解説育成者権者の専有権は登録品種そのものだけでなく、特性により登録品種と明確に区別されない品種にも及ぶ。一方で、新品種育成のための試験研究は品種改良の促進という政策目的から、育成者権の効力の適用除外として明文で定められている。効力が『及ぶ範囲』と『及ばない範囲』を条文単位で対にして整理する。

補足育成者権について専用利用権を設定した場合は、その範囲では専用利用権者が利用する権利を専有し、育成者権者自身の専有権は後退する点もあわせて押さえる。

7育成方法特許権者の実施行為と譲渡後の消尽の例外e-Gov等の一次資料で確認済み

育成者権の効力が及ばない範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 登録品種の育成をする方法について特許権を有する者が、当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産する行為には、育成者権の効力は及ばない。
  • 育成者権者の行為により登録品種等の種苗が日本国内で譲渡された場合、その譲渡された種苗を用いて更に種苗を生産する行為にも、育成者権の効力は及ばない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
特許発明の実施も妨げてはならない→ただし対象は当該特許に係る方法による生産に限定→限定的な適用除外とする

種苗法第21条第1項第2号「当該特許に係る方法により登録品種の種苗を生産し」一次資料を確認

誤り
一度の譲渡で際限のない増殖を許すと権利が空洞化する→ただし書で種苗の再生産行為等を除外→効力を存続させる

種苗法第21条第2項「当該登録品種等の種苗を生産する行為」一次資料を確認

ひっかけ『譲渡されたら育成者権は消尽する』という原則を、譲渡された種苗からの再生産にまで無条件に広げると誤る。

解説育成者権者等が登録品種等の種苗・収穫物・加工品を国内で譲渡すると、その譲渡物の利用には原則として育成者権の効力が及ばなくなる(消尽)。しかし、譲渡された種苗を用いて更に種苗を生産する行為等はただし書で除外されており、消尽しない。原則と例外をセットで押さえる。

補足育成方法特許権者による実施行為の適用除外(21条1項2号)は、あくまで当該特許に係る方法による生産に限られ、他の方法による生産までは及ばない点も混同しない。

8従属品種に関する権利の帰属と専用利用権の設定e-Gov等の一次資料で確認済み

育成者権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成された品種が品種登録された場合、その品種についての権利は当該品種の育成者のみが専有し、元の登録品種の育成者権者は関与しない。
  • 育成者権者がその育成者権について専用利用権を設定したときは、専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、育成者権者はこの限りでない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
特性をわずかに変えただけの模倣的な品種を放置すると保護が骨抜きになる→原品種の育成者権者にも同一種類の権利を認める

種苗法第20条第2項「これらの品種の育成者が当該品種について有することとなる権利と同一の種類の権利を専有する」一次資料を確認

正しい
独占的な実施を許諾する専用利用権の性質上→設定範囲では育成者権者自身の専有権も後退する

種苗法第20条第1項「専用利用権者がこれらの品種を利用する権利を専有する範囲については、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ従属品種の権利は『新しく育成した人だけのもの』と思い込むと誤る。

解説登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部だけを変化させて育成した従属品種が品種登録されても、元の登録品種の育成者権者は同一の種類の権利を専有し続ける。一方、専用利用権を設定した範囲では、育成者権者自身の専有権が後退し専用利用権者が専有する。『権利がどの主体に及ぶか』を条文ごとに確認する。

補足従属品種の要件(変異体の選抜・戻し交雑・遺伝子組換え等の農林水産省令で定める方法によること、主たる特性の保持、特性による区別可能性)もあわせて押さえる。

9試験研究目的の範囲と育成方法特許の限定解釈e-Gov等の一次資料で確認済み

育成者権の効力が及ばない範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 育成者権の効力は、新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用にも及び、無断で行えば育成者権の侵害となる。
  • 登録品種の育成をする方法について特許権を有する者であれば、その特許に係る方法によらず、どのような方法で登録品種の種苗を生産しても育成者権の効力は及ばない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
品種改良研究の萎縮を防ぐ政策目的→適用除外を明文化→試験研究のための利用は侵害不成立

種苗法第21条第1項第1号「新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用」一次資料を確認

誤り
特許権者を優遇する範囲を無制限にすると育成者権が形骸化する→適用除外は当該特許方法による生産に限定

種苗法第21条第1項第2号「の育成をする方法についての特許権を有する者」一次資料を確認

ひっかけ『試験研究だから何をしても自由』『育成方法の特許権者だから何をしても自由』という二重の思い込みに注意する。

解説試験研究目的の品種利用に育成者権の効力が及ばないのは事実だが、これは限定列挙された適用除外の一つに過ぎない。また、育成方法特許の権利者に関する適用除外も『当該特許に係る方法による生産』に限定され、特許に係る方法によらない生産や他の利用行為には育成者権の効力が及ぶ。適用除外の『対象行為の限定』を毎回確認する姿勢が必要。

補足種苗法21条の適用除外規定は限定列挙であり、条文に書かれていない行為にまで拡張解釈しない。

10譲渡後の育成者権の消尽と従属品種の成立要件e-Gov等の一次資料で確認済み

育成者権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 育成者権者の行為により登録品種等の種苗が日本国内で譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗の利用には及ばない。
  • 変異体の選抜、戻し交雑、遺伝子組換えその他の農林水産省令で定める方法により、登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成された品種は、育成者権に関して従属品種として扱われ得る。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
取引の安全と流通の円滑化が必要→適法に譲渡された物にまで権利行使を認めると流通が阻害される→消尽により効力を及ぼさない

種苗法第21条第2項「日本国内で譲渡されたときは、当該登録品種の育成者権の効力は、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない」一次資料を確認

正しい
特性をわずかに変えるだけの模倣的な育種を放置すると保護が骨抜きになる→主たる特性の保持を要件に従属品種として同一種類の権利を及ぼす

種苗法第20条第2項第1号「登録品種の主たる特性を保持しつつ特性の一部を変化させて育成され」一次資料を確認

ひっかけ消尽(21条2項)と従属品種(20条2項)は、どちらも登録品種の『周辺』を扱う規定だが、対象が譲渡後の物か新たに育成された品種かで別物であり混同しやすい。

解説国内で適法に譲渡された登録品種等の種苗・収穫物・加工品の利用には育成者権の効力が及ばなくなる(消尽)。一方、変異体の選抜や戻し交雑等により登録品種の主たる特性を保持しつつ一部だけ変化させて育成された品種は従属品種として扱われ、元の育成者権者の権利が及ぶ。譲渡後の消尽と従属品種の権利帰属は別の条文・別の論点として整理する。

補足消尽には、種苗を生産する行為等を対象外とするただし書の例外があることもあわせて確認する。

11「品種」の定義と特性の意義(第2条第2項)e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の「品種」の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 種苗法上「品種」とは、重要な形質に係る特性の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう。
  • 種苗法上、品種の定義にいう「特性」とは、重要な形質に係る特性を指す略称として条文上定義されている。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
個体差だけでは品種と呼べない→区別できる特性の存在に加え、その特性を保持したまま増やせることが必要→両方そろって初めて『品種』と定義される

種苗法第2条第2項「の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別することができ、かつ、その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができる一の植物体の集合をいう」一次資料を確認

正しい
条文中で毎回『重要な形質に係る特性』と書くと冗長→括弧書きで『特性』と略称する旨をあらかじめ定義→以降の条文でその略称が使われる

種苗法第2条第2項「重要な形質に係る特性(以下単に「特性」という」一次資料を確認

ひっかけ『品種』の定義を、単なる『他と区別できる植物体の集合』とだけ覚えると、繁殖能力の保持という要件を見落とす。

解説種苗法上の『品種』は、①重要な形質に係る特性の全部又は一部によって他の植物体の集合と区別できること、②その特性の全部を保持しつつ繁殖させることができること、の両方を満たす一の植物体の集合をいう。区別できるだけでは足りず、その特性を保持したまま繁殖できることまで要求される点を条文の文言どおりに押さえる。また、条文はこの『重要な形質に係る特性』を以下単に『特性』と略称しており、以降の条文(品種登録の要件等)で『特性』という語が出てきたらこの定義に遡って確認する習慣をつける。

補足『品種』と『植物体』は別の定義であり、『植物体』は農林水産植物の個体そのものを指す(第2条第1項)点も混同しない。

12品種の「利用」の定義(種苗の生産等・第2条第5項)e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の品種の「利用」の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 種苗法上、品種について「利用」というときは、その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為が含まれる。
  • 種苗法上、品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為は、育成者権者又は専用利用権者が種苗の生産等について権利を行使する適当な機会があったかどうかにかかわらず、常に品種の「利用」に該当する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
育成者権の対象行為を明確にする必要→種苗そのものに対する一連の行為を『利用』として列挙→侵害の判断基準を明確化

種苗法第2条第5項第1号「その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為」一次資料を確認

誤り
種苗段階で権利行使できたなら収穫物段階まで及ぼす必要は薄い→機会がなかった場合に限定することで保護と流通のバランスを取る→無条件に『常に該当』とはしない

種苗法第2条第5項第2号「育成者権者又は専用利用権者が前号に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る」一次資料を確認

ひっかけ『利用』の定義は種苗に関する行為(1号)がすべてだと思い込み、収穫物(2号)・加工品(3号)にも要件付きで範囲が及ぶことを見落とす。

解説品種の『利用』は、種苗を対象とする行為(生産・調整・譲渡の申出・譲渡・輸出・輸入・保管目的の保管、第2条第5項第1号)が基本形である。これに加えて、種苗を用いて得られる収穫物を対象とする行為(第2号)や、収穫物に係る加工品を対象とする行為(第3号)も『利用』に含まれるが、これらはいずれも『育成者権者又は専用利用権者が前号(前二号)に掲げる行為について権利を行使する適当な機会がなかった場合に限る』という限定が付されている。『常に該当する』という言い切りが出てきたら、この限定の有無を必ず確認する。

補足この限定は、種苗の段階で権利行使の機会があったにもかかわらず行使しなかった場合にまで収穫物・加工品の段階で重ねて権利を及ぼす必要はない、という考え方に基づく。

13「指定種苗」と「種苗業者」の定義(第2条第6項)e-Gov等の一次資料で確認済み

種苗法上の「指定種苗」及び「種苗業者」の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 種苗法上の「指定種苗」には、林業の用に供される樹木の種苗も含まれる。
  • 種苗法上の「種苗業者」とは、指定種苗の販売を業とする者をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
林業用樹木の種苗は他の制度で別途扱われる→種苗法の指定種苗制度の対象からは除外→対象を混同しない

種苗法第2条第6項「林業の用に供される樹木の種苗を除く」一次資料を確認

正しい
指定種苗の表示規制は販売時の情報提供が目的→規制の名宛人は『販売を業とする者』に限定→生産者・輸入者自身は販売しない限り種苗業者に当たらない

種苗法第2条第6項「指定種苗の販売を業とする者をいう」一次資料を確認

ひっかけ『指定種苗』は種苗全般を対象にした制度だと思い込み、林業用樹木の種苗が除外されている点を見落とす。

解説『指定種苗』は、種苗(林業の用に供される樹木の種苗を除く。)のうち、種子・苗・苗木・穂木・台木・種菌その他政令で定めるもので、品質の識別を容易にするため販売に際して一定の事項を表示する必要があるものとして農林水産大臣が指定するものをいう。林業用樹木の種苗はこの時点で対象から除かれている。また、『種苗業者』は指定種苗の『販売』を業とする者と定義されており、生産や輸入を行うだけの者は、自ら販売しない限り種苗業者には当たらない。

補足指定種苗の表示義務の内容(品種名・生産地等)は農林水産省令で定められる別の論点であり、本問の定義自体とは区別して押さえる。

14育成者権の効力が及ばない範囲(収穫物・加工品/第21条第1項)e-Gov等の一次資料で確認済み

育成者権の効力が及ばない範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 育成方法特許に係る適用除外は、特許に係る方法により登録品種の種苗を生産する行為(種苗法21条1項2号・3号)に限られ、その種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為には、育成者権の効力が及ぶ。
  • 前号の収穫物に係る加工品を生産する行為には、育成者権の効力が常に及ぶ。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
種苗の生産だけ適用除外にしても収穫物段階で権利行使されれば実質的に保護が及んでしまう→収穫物を生産する行為等も適用除外にそろえる→適用除外の実効性を確保

種苗法第21条第1項第4号「前二号の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為」一次資料を確認

誤り
収穫物の段階だけ適用除外にしても加工品段階で権利行使されれば保護が実質的に及んでしまう→加工品を生産する行為等も適用除外に含める→種苗→収穫物→加工品と一貫して適用除外を及ぼす

種苗法第21条第1項第5号「前号の収穫物に係る加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為」一次資料を確認

ひっかけ育成方法特許に基づく適用除外(21条1項2号・3号)は『種苗の生産行為』だけに限られると思い込み、収穫物・加工品にまで及ぶ範囲の広さを見落とす。

解説種苗法21条1項は、育成方法特許に係る種苗の生産行為(2号・3号)に育成者権の効力が及ばないとするだけでなく、その種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為等(4号)、さらにその収穫物に係る加工品を生産する行為等(5号)にも、連続して育成者権の効力が及ばないと定めている。種苗の段階だけ適用除外にしても、収穫物や加工品の段階で権利行使できてしまえば適用除外の趣旨が骨抜きになるため、生産物の流れに沿って一貫して適用除外の範囲が及ぶ構造になっている。

補足この4号・5号の適用除外は、あくまで2号・3号の種苗(特許に係る方法により生産された種苗等)を前提とするものであり、それ以外の方法で生産された種苗の収穫物・加工品にまで無条件に及ぶわけではない。

15国内譲渡後も育成者権の効力が及ぶ例外(第21条第2項ただし書)e-Gov等の一次資料で確認済み

登録品種等の種苗等が国内で譲渡された後の育成者権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 育成者権者の行為により登録品種等の種苗が日本国内で譲渡された後であっても、その譲渡された種苗を用いて更に種苗を生産する行為には、育成者権の効力が及ぶ。
  • 登録品種等の種苗が日本国内で適法に譲渡された後、その譲渡された種苗を用いて得られた収穫物に係る加工品を輸出する行為についても、種苗法21条2項ただし書により育成者権の効力が及ぶ。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
一度の譲渡で際限なく増殖されると権利が空洞化する→種苗を生産する行為はただし書で消尽の対象から除く→効力を存続させる

種苗法第21条第2項ただし書「当該登録品種等の種苗を生産する行為」一次資料を確認

誤り
ただし書は限定列挙→加工品の輸出は列挙されていない→加工品には本文の消尽が及んだままで効力は及ばない

種苗法第21条第2項ただし書「当該登録品種等の種苗を生産する行為、当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ『譲渡後は例外的に効力が及ぶ場合がある』という結論だけを覚え、ただし書が種苗・収穫物・加工品のすべてに及ぶと拡大解釈してしまう。

解説種苗法21条2項本文により、育成者権者等の行為で国内で譲渡された登録品種等の種苗・収穫物・加工品の利用には育成者権の効力が及ばなくなる(消尽)。しかしただし書は、①当該登録品種等の種苗を生産する行為、②品種の育成に関する保護を認めていない国への種苗の輸出、③当該国への最終消費以外の目的での収穫物の輸出、の三類型に限って例外的に効力を存続させる。加工品を輸出する行為はこの三類型に含まれていないため、加工品については本文どおり消尽したままであり、ただし書の対象を条文の文言どおり三類型に限定して覚える必要がある。

補足①の『種苗を生産する行為』は輸出入を問わず国内での増殖にも及ぶ点、②③は『品種の育成に関する保護を認めていない国』向けに限られる点もあわせて確認する。

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