問1独占禁止法の目的と私的独占の禁止(第1条・第3条前段)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第1条は、公正かつ自由な競争を促進することなどにより、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする旨を定めている。
- イ.独占禁止法第3条は、公正取引委員会の設置及びその職務権限について定めた規定であり、私的独占の禁止についてはこの条文には規定がない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 公正かつ自由な競争の促進→事業者の創意発揮・事業活動の活発化→雇用・所得水準の向上→一般消費者の利益確保と国民経済の民主的で健全な発達の促進
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第1条「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 第3条は行為規制規定→『事業者は、私的独占…をしてはならない』と明記→私的独占の禁止根拠はまさにこの条文であり、公正取引委員会の設置根拠ではない
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条前段「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない」一次資料を確認
ひっかけ独占禁止法の“目的”を語る条文と、実際に“してはならない”と命じる条文は別物。
解説独占禁止法は、第1条で『何のためにこの法律があるのか』という目的を定め、第3条で『事業者は具体的に何をしてはならないか』という行為規制を定めている。第1条の目的規定は、公正かつ自由な競争の促進等を通じて一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを掲げる理念規定であるのに対し、第3条前段は『事業者は、私的独占…をしてはならない』と定める直接の禁止規定である。公正取引委員会の設置根拠は独占禁止法の別の章(第8章)にあり、私的独占を禁止する第3条とは役割が異なる。目的規定と禁止規定を混同すると、条文の役割を取り違えてしまう。
補足第3条は『私的独占又は不当な取引制限をしてはならない』という一文で、私的独占と不当な取引制限の両方を同時に禁止している。
問2私的独占と不当な取引制限の定義(第2条第5項・第6項)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法上「私的独占」とは、事業者が単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもってするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
- イ.独占禁止法上「不当な取引制限」とは、事業者が単独で、他の事業者の事業活動を排除し又は支配することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 事業者が単独又は他者と結合・通謀→他の事業者の事業活動を排除・支配→公共の利益に反し一定の取引分野の競争を実質的に制限→私的独占に該当
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第2条第5項「事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」一次資料を確認
- イ.誤り
- イは『単独で排除・支配』という私的独占の要件を不当な取引制限の説明に用いている→不当な取引制限は『他の事業者と共同して…相互に拘束し、又は遂行する』ことが要件→定義を取り違えている
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第2条第6項「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」一次資料を確認
ひっかけ「単独で排除・支配」なのか「共同して拘束・遂行」なのか、主語の数と行為の型が定義の分かれ目。
解説独占禁止法第2条は、同じ条文の中で『私的独占』(第5項)と『不当な取引制限』(第6項)という、似て非なる二つの概念を定義している。私的独占は、事業者が単独で、又は他の事業者と結合・通謀して、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより競争を実質的に制限する行為をいう。行為主体は単独でもよく、行為態様は『排除』又は『支配』である。これに対し不当な取引制限は、複数の事業者が契約や協定などにより共同して、対価の決定や数量制限等について相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより競争を実質的に制限する行為をいう(いわゆるカルテルや入札談合はこちらに当たる)。行為主体は必ず複数(共同)であり、行為態様は『拘束』又は『遂行』である。両者とも末尾の『公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限する』という要件は共通するため、その手前の行為要件(単独での排除・支配か、共同での拘束・遂行か)で区別する。
補足実務上、カルテルや入札談合は『不当な取引制限』として、単独企業による市場支配的行為は『私的独占』として問題となることが多い。
問3独占禁止法の目的と不当な取引制限の禁止(第1条・第3条後段)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第1条は、事業者間の協定や結合等を禁止すること自体を直接の目的として定めている。
- イ.独占禁止法第3条は、私的独占の禁止に加えて、不当な取引制限についても事業者がこれを行ってはならない旨を定めている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 第1条は『(私的独占等を)禁止し…排除することにより』と手段を示した上で『公正且つ自由な競争を促進し…一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする』と規定→禁止行為の列挙は目的達成の手段であって目的そのものではない→アは誤り
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第1条「公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする」一次資料を確認
- イ.正しい
- 第3条は『私的独占又は不当な取引制限をしてはならない』と規定→『又は』で並列的に規定→不当な取引制限も同条により禁止される
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条後段「不当な取引制限をしてはならない」一次資料を確認
ひっかけ禁止する“行為の列挙”と、その先にある“最終目的”を取り違えない。
解説独占禁止法第1条は、私的独占・不当な取引制限・不公正な取引方法の禁止や事業支配力の過度の集中防止といった『手段』を列挙したうえで、それらの手段によって公正かつ自由な競争を促進し、一般消費者の利益を確保するとともに国民経済の民主的で健全な発達を促進することを『目的』として掲げている。したがって、禁止行為そのものが独占禁止法の目的なのではなく、禁止を通じて実現しようとする経済秩序(一般消費者の利益・国民経済の健全な発達)こそが目的である。一方、第3条は第1条の理念を受けて、事業者に対し『私的独占又は不当な取引制限をしてはならない』と直接の行為規範を定める禁止規定であり、後段の『又は不当な取引制限』もこの禁止の対象に含まれる。目的規定(理念)と禁止規定(行為規範)の役割の違いを押さえることが重要である。
補足第1条にはこのほか『不公正な取引方法』の禁止や『事業支配力の過度の集中』の防止も手段として掲げられているが、これらは第3条ではなく独占禁止法の別の条文で規定されている。
問4私的独占の定義と私的独占の禁止(第2条第5項・第3条前段)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法上「私的独占」に該当するためには、複数の事業者が共同して行為を行うことが要件とされており、事業者が単独で行う行為は私的独占には当たらない。
- イ.独占禁止法第3条は、公正取引委員会の認可を受けた場合に限り、事業者が私的独占を行うことができる旨を定めている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 第2条第5項は『事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し…』と規定→単独行為も要件に含む→『複数事業者の共同が必須』というアの主張は誤り
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第2条第5項「事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配すること」一次資料を確認
- イ.誤り
- 第3条の文言は『事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない』のみで構成される→認可等の条件は付されていない→『認可を受ければ行える』とするイの主張は条文に存在しない要件を付け加えており誤り
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条前段「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない」一次資料を確認
ひっかけ「共同でないとダメ」も「認可があれば例外」も、どちらも条文にない要件の作り話。
解説独占禁止法第2条第5項は、私的独占を『事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配すること』と定義しており、単独の事業者による行為であっても要件を満たせば私的独占に当たる。複数事業者の共同行為が要件になるのは、別の概念である『不当な取引制限』(第2条第6項)である。また、第3条は『事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない』と定めるのみで、公正取引委員会の認可を受ければ例外的に私的独占を行ってよいといった適用除外規定は置かれていない。条文に書かれていない『共同が必要』『認可があれば可能』という限定を勝手に読み込むと、いずれも誤りになる。
補足私的独占の禁止に違反した場合、公正取引委員会による排除措置命令や課徴金納付命令の対象となり得る(独占禁止法の別の条文が根拠)。
問5不当な取引制限の定義と不当な取引制限の禁止(第2条第6項・第3条後段)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法上「不当な取引制限」とは、事業者が契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。
- イ.独占禁止法第3条は、後段において『(私的独占)又は不当な取引制限をしてはならない』と規定しており、不当な取引制限もこの条文により直接禁止されている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 事業者が他の事業者と共同して対価決定・数量制限等を行い相互にその事業活動を拘束・遂行→公共の利益に反し一定の取引分野の競争を実質的に制限→不当な取引制限に該当
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第2条第6項「事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」一次資料を確認
- イ.正しい
- 第3条は『事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない』と規定→後段の『又は不当な取引制限をしてはならない』により不当な取引制限を直接禁止→禁止規定の所在は第3条
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第3条後段「不当な取引制限をしてはならない」一次資料を確認
ひっかけ定義は第2条、禁止は第3条。似た条文番号でも役割は別々に押さえる。
解説独占禁止法では、用語の意義を定める『定義規定』と、実際に行為を禁止する『禁止規定』が別の条文に分かれて配置されている。第2条第6項は『不当な取引制限とは…競争を実質的に制限することをいう』という文言で終わっており、これは用語の意味を確定させるための定義規定である。これに対し、事業者に対して現実に『してはならない』という行為義務を課しているのは第3条であり、後段で『(私的独占)又は不当な取引制限をしてはならない』と定めることで、不当な取引制限が禁止される。定義規定(第2条第6項)と禁止規定(第3条後段)はセットで押さえておかないと、根拠条文を問われたときに答えられなくなる。
補足第2条には、私的独占・不当な取引制限のほか、事業者・事業者団体・役員・競争・独占的状態・不公正な取引方法など、独占禁止法全体で使う用語の定義がまとめて置かれている。
問6事業者団体(第8条)と事業者本人(第19条)の名宛人の違いe-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の禁止規定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第8条は、事業者団体が一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為をしてはならないと定めている。
- イ.独占禁止法第19条は、事業者が不公正な取引方法を用いることを禁止しており、その名宛人は事業者団体ではなく事業者である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 8条柱書→事業者団体は各号のいずれかに該当する行為をしてはならない→1号→一定の取引分野における競争を実質的に制限すること→禁止対象
独占禁止法第8条「事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。」一次資料を確認
独占禁止法第8条第1号「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 19条→事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない→名宛人は「事業者」
独占禁止法第19条「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」一次資料を確認
ひっかけ「事業者団体」を規律する8条と、「事業者」を規律する19条を取り違えない。
解説独占禁止法は、規律の名宛人によって条文を使い分けている。第8条は「事業者団体」を名宛人とし、構成事業者による一定の取引分野における競争の実質的制限(1号)や、構成事業者に不公正な取引方法をさせること(5号)など、団体としての行為を禁止する。これに対し第19条は「事業者」自身が不公正な取引方法を用いることを直接禁止する規定であり、名宛人が事業者団体か事業者個々かで適用条文が異なる。試験では、事業者団体の行為なのに19条を挙げる、あるいは事業者本人の行為なのに8条を挙げるといった名宛人の取り違えが典型的な誤りとして出題されやすいため、まず行為の主体が団体か個社かを確認したうえで適用条文を選ぶ習慣をつけるとよい。
補足事業者団体の禁止行為は8条1号から5号までの類型に限定列挙されている点も押さえておく。
問7事業者団体による不公正な取引方法の助長(第8条第5号)と第19条の併存e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の禁止規定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.事業者団体が構成事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすることは、独占禁止法第8条第5号によって禁止されている。
- イ.独占禁止法第8条第5号が事業者団体の行為を禁止する一方、事業者自身が自ら不公正な取引方法を用いる行為を禁止する規定は独占禁止法には置かれていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 8条5号→事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること→事業者団体の禁止行為
独占禁止法第8条第5号「事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 19条→事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない→事業者本人の行為を直接禁止する規定は存在する→「規定なし」は誤り
独占禁止法第19条「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」一次資料を確認
ひっかけ「8条5号があるから19条はいらない」は誤り。両条は名宛人が違うので併存する。
解説第8条第5号は事業者団体が構成事業者に不公正な取引方法をさせる行為を禁止する規定であり、名宛人は事業者団体という「団体」である。一方、事業者本人が自ら不公正な取引方法を用いる行為は第19条が別に禁止しており、こちらは「事業者」個々を名宛人とする。両条は禁止する主体が異なるため、一方があれば他方が不要になるという関係にはなく、事業者団体とその構成事業者の双方が独占禁止法上の責任を問われうる。「事業者団体の規定があるから事業者本人の規定はない」という誤った推論をしないよう注意する。
補足8条は事業者団体自体を名宛人とする規定であり、構成事業者本人の行為に対する責任とは別に、団体としての責任を問う点に特徴がある。
問8知的財産権の行使とみなされる行為の適用除外(第21条)の対象範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第21条による適用除外は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法及び商標法に加え、不正競争防止法による権利の行使と認められる行為にも及ぶ。
- イ.独占禁止法第21条により、特許法、実用新案法、意匠法、商標法又は著作権法による権利の行使と認められる行為には、独占禁止法の規定は適用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 21条→列挙は著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法の5法→不正競争防止法は列挙にない→適用除外は及ばない
独占禁止法第21条「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 21条→著作権法・特許法・実用新案法・意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為→独占禁止法の規定を適用しない
独占禁止法第21条「この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。」一次資料を確認
ひっかけ「知的財産権ならなんでも適用除外」ではなく、21条が列挙する5法に限られる。不正競争防止法は入っていない。
解説第21条は、著作権法・特許法・実用新案法・意匠法・商標法という、権利の発生や登録を定める5つの知的財産関連法による「権利の行使と認められる行為」について、独占禁止法の規定を適用しないとする適用除外規定である。知的財産管理技能検定では、この5法に不正競争防止法を加えて誤らせる出題が典型的である。不正競争防止法は特定の権利を付与する法律ではなく、周知表示混同惹起行為などの不正競争行為を規制する法律であり、21条の列挙には含まれない。また「権利の行使と認められる行為」という文言のとおり、この規定は名目上の権利行使であればすべて適用除外になるという趣旨ではなく、あくまで権利の行使と認められる行為に対象を限定している点も、あわせて押さえておきたい。
補足21条は知的財産管理技能検定3級の関係法規分野で独占禁止法が問われる中心となる条文である。
問9差止請求権(第24条)の対象行為と請求権者の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の差止請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第24条の差止請求権は、第8条の禁止行為(第1号から第5号までのいずれについても)及び第19条の規定に違反する行為による利益侵害について認められる。
- イ.独占禁止法第24条に基づく差止請求権を行使できるのは公正取引委員会に限られ、私人が自ら差止めを請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 24条→第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為→対象は5号と19条のみ→1号から4号までの違反は含まれない
独占禁止法第24条「第八条第五号又は第十九条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は」一次資料を確認
- イ.誤り
- 24条→利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は→自ら侵害の停止又は予防を請求できる→私人による差止請求が可能
独占禁止法第24条「その利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する事業者若しくは事業者団体又は侵害するおそれがある事業者若しくは事業者団体に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ24条は「8条5号又は19条」に限定列挙。範囲を広げすぎない。そして請求権者は私人であって公取委ではない。
解説独占禁止法の多くの規定は公正取引委員会による排除措置命令等の行政的な執行にゆだねられているが、第24条は例外的に、侵害を受けた事業者などの私人自身が裁判所に差止め(侵害の停止又は予防)を請求できる民事上の権利を定めた規定である。ただし、この差止請求権が及ぶのは「第8条第5号(事業者団体が構成事業者に不公正な取引方法をさせる行為)又は第19条(不公正な取引方法の禁止)」の違反行為に限られ、私的独占(第3条)や第8条第1号の競争の実質的制限などその他の違反行為は第24条の対象に含まれていない。「不公正な取引方法」関連の被害者保護に的を絞った規定である点と、請求権者が公正取引委員会ではなく被害を受けた者自身である点の両方を、条文の文言から正確に押さえる必要がある。
補足24条の差止請求権の行使には、利益を侵害され又は侵害されるおそれがあることに加え、それにより著しい損害を生じ又は生ずるおそれがあることも要件とされている。
問10公正取引委員会の設置根拠と内閣総理大臣の所轄(第27条)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の公正取引委員会に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第27条により設置される公正取引委員会は、内閣総理大臣の指揮監督に服する行政機関である。
- イ.公正取引委員会は、内閣府設置法第49条第3項の規定に基づき、独占禁止法第1条の目的を達成することを任務として置かれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 27条→公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する→条文の文言は「所轄」であって「指揮監督」ではない
独占禁止法第27条「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 27条→内閣府設置法第49条第3項の規定に基づいて→第1条の目的を達成することを任務とする→公正取引委員会を置く
独占禁止法第27条「内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第三項の規定に基づいて、第一条の目的を達成することを任務とする公正取引委員会を置く。」一次資料を確認
ひっかけ「所轄」と「指揮監督」は別物。公正取引委員会は内閣総理大臣の指揮監督下にはない。
解説公正取引委員会は、内閣府設置法第49条第3項の規定に基づいて、独占禁止法第1条の目的を達成することを任務として置かれる(独占禁止法27条)。同条は、公正取引委員会が「内閣総理大臣の所轄に属する」と定めるにとどまり、「指揮監督に服する」とは定めていない。「所轄」は、個別の職権行使にまで指揮命令が及ぶ「指揮監督」よりも緩やかな関係を表す言葉として条文上使い分けられており、公正取引委員会が合議制の機関として独立して職権を行使することと結び付く重要な文言である。条文の言葉づかいの違いから、行政組織法上の位置づけの違いを読み取れるようにしておきたい。
補足27条は独占禁止法の目的規定である第1条の実現手段として公正取引委員会という執行機関を置く条文であり、目的(1条)と執行体制(27条)のつながりを意識しておくとよい。
問11不公正な取引方法の定義方式(第2条第9項)と禁止規定(第19条)の適用範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の不公正な取引方法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法上「不公正な取引方法」は、独占禁止法第2条第9項各号のいずれかに該当する行為をいい、同項第1号は、正当な理由がないのに競争者と共同して、ある事業者への供給を拒絶することなどをその一類型として定めている。
- イ.独占禁止法第19条が禁止する「不公正な取引方法」は、独占禁止法第2条第9項第1号から第5号までに列挙された行為類型に限られ、公正取引委員会が指定する行為(同項第6号)は第19条による禁止の対象に含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 2条9項柱書→「次の各号のいずれかに該当する行為をいう」→1号→「正当な理由がないのに、競争者と共同して」供給拒絶等の行為→不公正な取引方法の一類型として明記
独占禁止法第2条第9項柱書「この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。」一次資料を確認
独占禁止法第2条第9項第1号「正当な理由がないのに、競争者と共同して、次のいずれかに該当する行為をすること。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 19条→「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない」→対象を1号〜5号に限定する文言なし→6号(公取委指定)も2条9項が定める不公正な取引方法の一類型→19条の禁止対象に含まれる→イは条文にない限定を付け加えており誤り
独占禁止法第19条「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」一次資料を確認
独占禁止法第2条第9項第6号「前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの」一次資料を確認
ひっかけ「1号から5号だけが本体、6号は別枠」という誤読に注意。6号も同じ『不公正な取引方法』の一部である。
解説独占禁止法第2条第9項は、不公正な取引方法を6つの号に分けて定義している。第1号から第5号までは、共同の供給拒絶、差別対価、不当廉売、再販売価格の拘束、優越的地位の濫用など、法律自体が直接行為類型を書き下ろした『法定類型』である。これに対して第6号は、『前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの』と定めており、公正取引委員会が指定して初めて不公正な取引方法となる『指定類型』である。第1号から第6号までは、いずれも同じ第2条第9項という一つの条文の中で『不公正な取引方法』として横並びに定義されており、この定義規定を受けて第19条は『事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない』と包括的に禁止している。第19条の文言には『第1号から第5号までの行為に限る』といった限定は一切なく、第6号に基づき指定された行為も第19条による禁止の対象となる。法定類型と指定類型という定め方の違いと、禁止規定の適用範囲を混同しないことが重要である。
補足第1号から第5号までは法律が直接定める類型であるのに対し、第6号は公正取引委員会の指定があって初めて不公正な取引方法として扱われる類型である、という定め方の違いを押さえておくとよい。
問12排除措置命令(第7条第1項)と行為終了後の措置命令の除斥期間(第7条第2項)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の排除措置命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第7条第2項により、公正取引委員会は、第3条又は第6条の規定に違反する行為が既になくなっている場合には、当該行為がなくなった日から5年を経過するまでの間に限り、周知措置その他当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることができる。
- イ.独占禁止法第7条第1項により、公正取引委員会は、第3条又は前条(第6条)の規定に違反する行為があるときは、事業者に対し、当該行為の差止めその他その規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 7条2項ただし書→「当該行為がなくなつた日から七年を経過したときは、この限りでない」→除斥期間は七年→「五年」とするアは誤り
独占禁止法第7条第2項「公正取引委員会は、第三条又は前条の規定に違反する行為が既になくなつている場合においても、特に必要があると認めるときは」一次資料を確認
独占禁止法第7条第2項ただし書「ただし、当該行為がなくなつた日から七年を経過したときは、この限りでない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 7条1項→第3条又は前条(6条)の規定に違反する行為があるとき→公正取引委員会は事業者に対し当該行為の差止め等排除のため必要な措置を命ずることができる
独占禁止法第7条第1項「事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。」一次資料を確認
ひっかけ除斥期間の年数は、独占禁止法の他の年数規定(26条2項の3年時効など)と混同しやすい数字トラップ。
解説独占禁止法第7条は、違反行為に対する公正取引委員会の是正措置の根拠規定である。第1項は、第3条(私的独占・不当な取引制限の禁止)又は第6条(国際的協定・国際的契約に関する規定)に違反する行為が現に存在するときに、公正取引委員会が事業者に対し当該行為の差止めその他違反行為を排除するために必要な措置(排除措置命令)を命ずることができる旨を定める。これに対し第2項は、違反行為がすでに終了している場合でも、特に必要があると認めるときは、行為が既になくなっている旨の周知措置その他必要な措置を命ずることができるとしつつ、ただし書で「当該行為がなくなつた日から七年を経過したときは、この限りでない」という除斥期間を設けている。この「七年」という期間は、独占禁止法第26条第2項が定める損害賠償請求権の消滅時効「三年」とは異なる別個の数字であり、条文ごとに定められた期間を正確に区別して覚える必要がある。
補足第7条第2項の措置は、違反行為をした事業者本人だけでなく、合併後存続・設立された法人や事業を譲り受けた事業者など、一定の承継者も名宛人となり得る点も特徴である。
問13再販売価格維持契約の適用除外(第23条第1項)とただし書による限界e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の再販売価格維持契約の適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第23条第1項により、事業者が自己の生産又は販売する商品について再販売価格を決定し、これを維持する行為は、当該商品が公正取引委員会の指定する商品であるか否かにかかわらず、独占禁止法の適用が除外される。
- イ.独占禁止法第23条第1項ただし書により、再販売価格維持行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合であっても、当該商品が公正取引委員会の指定する商品である限り、独占禁止法の適用除外は及ぶ。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 23条1項→「公正取引委員会の指定する商品であつて、その品質が一様であることを容易に識別することができるものを生産し、又は販売する事業者が」…する行為に限定→指定商品でなければ適用除外を受けない→「指定商品であるか否かにかかわらず」とするアは誤り
独占禁止法第23条第1項「この法律の規定は、公正取引委員会の指定する商品であつて、その品質が一様であることを容易に識別することができるものを生産し、又は販売する事業者が」一次資料を確認
- イ.誤り
- 23条1項ただし書→「当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合…は、この限りでない」→指定商品に関する行為でも一般消費者の利益を不当に害する場合は適用除外が及ばない→「指定商品である限り適用除外が及ぶ」とするイは誤り
独占禁止法第23条第1項ただし書「ただし、当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合」一次資料を確認
ひっかけ「指定商品でありさえすれば何でも適用除外」という思い込みを、本文の限定要件とただし書の両方が否定する。
解説独占禁止法第23条第1項は、再販売価格維持行為を独占禁止法の適用除外とする例外規定であるが、その適用範囲は二重に限定されている。第一に、本文において適用除外の対象となる商品は「公正取引委員会の指定する商品であつて、その品質が一様であることを容易に識別することができるもの」に限られ、あらゆる商品について再販売価格を維持してよいわけではない。第二に、ただし書において「当該行為が一般消費者の利益を不当に害することとなる場合及びその商品を販売する事業者がする行為にあつてはその商品を生産する事業者の意に反してする場合は、この限りでない」と定められており、たとえ指定商品に関する行為であっても、一般消費者の利益を不当に害する場合や、生産事業者の意に反して販売事業者が行う場合には、適用除外の効果は及ばない。本文の要件(指定商品であること)とただし書の限定(一般消費者利益の不当な侵害でないこと等)の両方を満たして初めて適用除外が成立するという、原則と例外の入れ子構造を正確に理解する必要がある。
補足第23条第2項は、公正取引委員会が指定を行うことができるのは、当該商品が一般消費者により日常使用されるものであり、かつ当該商品について自由な競争が行われている場合に限られる旨を定めている。
問14著作物の再販売価格維持契約に関する適用除外(第23条第4項)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の著作物の再販売価格維持契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第23条第4項により、著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、同条第1項と同様に独占禁止法の適用が除外される。
- イ.独占禁止法第23条第4項による著作物の再販売価格維持契約の適用除外は、同条第1項のように当該著作物が公正取引委員会の指定する商品であることを要件として定めていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 23条4項→著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者がする再販売価格の決定・維持の正当な行為→「第一項と同様とする」→独占禁止法の規定は適用されない
独占禁止法第23条第4項「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、第一項と同様とする。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 23条1項→「公正取引委員会の指定する商品」が要件→23条4項→そのような指定を要求する文言はなく「第一項と同様とする」と定めるのみ→著作物については指定を要件としていない
独占禁止法第23条第4項「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、第一項と同様とする。」一次資料を確認
ひっかけ1項の「指定商品」要件を、4項の著作物にもそのまま当てはめてしまう誤りに注意。
解説独占禁止法第23条は、再販売価格維持契約について2つの異なる適用除外の枠組みを置いている。第1項は、公正取引委員会が指定した商品であって品質が一様であることを容易に識別できるものについて、これを生産又は販売する事業者がする再販売価格の決定・維持行為を適用除外とする。ここでは「公正取引委員会の指定する商品」であることが不可欠の要件である。これに対し第4項は、著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者がする再販売価格の決定・維持行為について、「第一項と同様とする」と定めて第1項と同じ法的効果(独占禁止法の適用除外)を与えているが、その要件として公正取引委員会による商品の指定を求める文言は置かれていない。すなわち、著作物についての再販売価格維持契約は、公正取引委員会による個別の指定を経ることなく、当然に適用除外の対象となり得る点で、第1項の指定商品制度とは仕組みが異なる。この違いを理解せずに「再販売価格維持契約はすべて公正取引委員会の指定が必要」と考えると誤りとなる。
補足著作物の再販売価格維持契約についても、第1項と同様に「正当な行為」であることが要件とされている点は共通している。
問15違反事業者等の無過失損害賠償責任(第25条)と請求権の行使時期・消滅時効(第26条)e-Gov等の一次資料で確認済み
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)上の損害賠償責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.独占禁止法第25条により、第3条、第6条又は第19条の規定に違反する行為をした事業者及び第8条の規定に違反する行為をした事業者団体は、被害者に対し損害賠償の責めに任じ、故意又は過失がなかったことを証明しても、この責任を免れることができない。
- イ.独占禁止法第26条第1項により、独占禁止法違反による損害賠償請求権は、排除措置命令や納付命令の確定を待たずに、被害を受けた時点で直ちに裁判上主張することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 25条1項→第3条・第6条・第19条違反の事業者及び第8条違反の事業者団体は被害者に対し損害賠償の責めに任ずる→25条2項→故意又は過失がなかつたことを証明しても前項の責任を免れることができない→無過失責任
独占禁止法第25条第1項「第三条、第六条又は第十九条の規定に違反する行為をした事業者」一次資料を確認
独占禁止法第25条第1項「及び第八条の規定に違反する行為をした事業者団体は、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずる。」一次資料を確認
独占禁止法第25条第2項「事業者及び事業者団体は、故意又は過失がなかつたことを証明して、前項に規定する責任を免れることができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 26条1項→前条(25条)の損害賠償請求権は→排除措置命令(納付命令)が確定した後でなければ→裁判上主張することができない→「確定を待たずに直ちに主張できる」とするイは誤り
独占禁止法第26条第1項「前条の規定による損害賠償の請求権は、第四十九条に規定する排除措置命令」一次資料を確認
独占禁止法第26条第1項「が確定した後でなければ、裁判上主張することができない。」一次資料を確認
ひっかけ無過失責任(25条)と、行使できる時期の制限(26条1項)は別の話。「無過失責任だからすぐ訴えられる」と誤解しないこと。
解説独占禁止法第25条は、私的独占・不当な取引制限(第3条・第6条)・不公正な取引方法(第19条)に違反する行為をした事業者、及び事業者団体による違反行為(第8条)をした事業者団体について、被害者に対する損害賠償責任を定める特則である。同条第2項は「事業者及び事業者団体は、故意又は過失がなかつたことを証明して、前項に規定する責任を免れることができない」と定めており、民法上の不法行為責任とは異なり、故意・過失の不存在を証明しても免責されない無過失責任である点に大きな特徴がある。もっとも、この損害賠償請求権を実際に裁判で行使できる時期には制限があり、第26条第1項は「前条の規定による損害賠償の請求権は、第四十九条に規定する排除措置命令…が確定した後でなければ、裁判上主張することができない」と定めている。すなわち、公正取引委員会による排除措置命令又は課徴金納付命令が確定するまでは、被害者は独占禁止法第25条に基づく損害賠償請求権を裁判上主張することができない。さらに同条第2項は、この請求権が「同項の排除措置命令又は納付命令が確定した日から三年を経過したときは、時効によつて消滅する」と定めており、消滅時効の起算点も被害発生時ではなく命令確定日である点に注意が必要である。「無過失責任だからすぐに訴えられる」というのは誤りで、行政上の命令確定という前置手続を経なければならない。
補足第26条第2項の消滅時効期間「三年」は、第7条第2項の措置命令に関する除斥期間「七年」とは異なる別個の年数であり、混同しないよう注意する。