不動産・許認可系資格の受験順
土地家屋調査士と行政書士はどちらを先に受けるか(業務範囲・試験範囲の重なり・試験時期・合格率)
土地家屋調査士は土地や建物の「表示に関する登記」のための調査・測量と申請を、行政書士は官公署に提出する書類や権利義務・事実証明に関する書類の作成を業とします。どちらも受験資格はなく、試験時期は秋に続きます。条文と公式の結果をもとに、受験順を決める材料を整理します(確認日:2026年10月9日)。
業務範囲の違い(法律の条文)
土地家屋調査士(土地家屋調査士法第3条)
不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は測量、その登記の申請手続の代理、提出書類の作成が中心です。筆界特定の手続の書類作成や、これらの相談も業務に含まれます。調査士会に入会している調査士又は調査士法人でない者は、これらを業とすることが原則としてできません(同法第68条)。
行政書士(行政書士法第1条の3)
他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む)を作成することを業とします。ただし、他の法律で業務が制限されているものは行えません(同条第2項)。
どちらも書類を作る資格ですが、調査士は土地・建物の現地調査と測量を伴う表示登記を、行政書士は許認可や契約書など幅広い書類を扱います。不動産の表示登記は、行政書士の資格では代わりに行えません。
試験時期と受験資格の違い
土地家屋調査士
実施は法務省(各法務局・地方法務局)。令和7年度の筆記試験は令和7年10月19日、口述試験は令和8年1月22日でした。令和8年度の出願者数は6,076人です。受験資格の制限はありません。
行政書士
実施は行政書士試験研究センター。毎年1回、11月の第2日曜日(令和8年度は11月8日)の13時から16時まで。年齢、学歴、国籍等に関係なく誰でも受験でき、受験手数料は10,400円です。
調査士は筆記の後に口述試験があり、筆記から合格発表、口述まで試験が年をまたぎます。行政書士は11月の1日で完結します。
合格基準と合格率の違い
土地家屋調査士(令和7年度 10.1%)
受験者4,824人に対し合格者489人。午前の部を受けた人は、午前の部が満点100点中70.0点以上、かつ午後の部が満点100点中76.0点以上でした。一級建築士又は二級建築士となる資格を有する人などは、午前の部の免除を受けられる場合があります。
行政書士(令和7年度 14.54%)
受験者50,163人で、合格率14.54%でした。合格基準は、法令等科目が満点の50%以上、基礎知識科目が満点の40%以上、かつ試験全体で満点の60%以上です。
合格率は年度によって変わりますが、令和7年度は土地家屋調査士のほうが低く、受験者数は行政書士が調査士の約10倍です。
試験範囲の重なり
行政書士の法令等科目は、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学から出題されます(行政書士試験研究センターの試験概要)。本サイトが土地家屋調査士の問題として収録している法分野は、不動産登記法、土地家屋調査士法、民法です。重なるのは民法だけで、行政書士の行政法は調査士の試験範囲に入らず、調査士の不動産登記法と午前の部の測量は行政書士の試験科目にありません。学習の重なりは大きくありません。
どちらを先に受けるかの目安
土地家屋調査士を先に受ける人
土地や建物の測量・調査を含む表示登記を仕事にしたい人。一級建築士又は二級建築士となる資格を有する人は、午前の部の免除を使える場合があります。測量という独自の科目があるため、行政書士の準備と並べず、単独で取り組む計画が向きます。
行政書士を先に受ける人
許認可や契約書など、幅広い書類作成を仕事にしたい人。受験資格がなく試験が1日で完結するので、法律学習の入口として選びやすい資格です。そのあとに不動産の表示登記を加えたいときに調査士へ進みます。
登記系の資格の並べ方は土地家屋調査士と司法書士はどちらを先に受けるか、行政書士と司法書士の比較は行政書士と司法書士はどちらを先に受けるかにまとめています。
よくある質問
- 行政書士になれば、土地家屋調査士の仕事もできますか?
できません。土地家屋調査士法第68条は、調査士会に入会している土地家屋調査士又は土地家屋調査士法人でない者が、不動産の表示に関する登記の調査・測量や申請手続の代理などを業とすることを原則として禁じています(弁護士など一部の例外があります)。行政書士の資格だけでは、これらの業務は行えません。 - 土地家屋調査士試験と行政書士試験に、受験資格はありますか?
どちらもありません。法務省の司法書士試験・土地家屋調査士試験共通のよくあるお問合せは、受験資格の制限はなく誰でも受験できると回答しています。行政書士試験研究センターも、年齢、学歴、国籍等に関係なく誰でも受験できると案内しています。 - 土地家屋調査士と行政書士は、同じ年に両方受けられますか?
試験日は重なりません。令和7年度の土地家屋調査士の筆記は10月19日で、行政書士の令和8年度の試験は11月8日です。年度が違う日付の比較になりますが、例年は10月の調査士筆記と11月の行政書士が約3週間差で続くため、準備期間が重なります。令和8年度はどちらも受験申込が終了しています。
出典
- e-Gov法令検索「土地家屋調査士法」第3条・第68条・「行政書士法」第1条の3(確認日:2026年10月9日)
- 法務省「司法書士試験・土地家屋調査士試験共通 よくあるお問合せ」(確認日:2026年10月9日)
- 法務省「令和7年度土地家屋調査士試験の最終結果について」(確認日:2026年10月9日)
- 法務省「令和8年度土地家屋調査士試験受験案内書」・「令和8年度土地家屋調査士試験の出願状況について」(確認日:2026年10月9日)
- 行政書士試験研究センター「試験概要・受験案内」・「試験結果の推移」(確認日:2026年10月9日)