士業の受験順
税理士と社労士はどちらを先に受けるか(仕事での使い分け・受験資格・試験科目・試験日)
税理士は税務の代理・書類作成・相談を、社会保険労務士(社労士)は労働・社会保険の手続と労務の相談を担う国家資格で、中小企業の顧問先が重なります。試験科目の重なりはほとんどなく、受験資格の扱いも非対称です。公式情報で並べ、どちらを先に受けるかの判断材料を整理します(確認日:2026年10月13日)。
仕事での使い分け
税理士
税理士法第2条が定める業務は、税務代理、税務書類の作成、税務相談です。申告や税務調査への対応など、税務官公署に対する手続が中心になります。
社会保険労務士
社会保険労務士法第2条が定める業務は、労働・社会保険の法令に基づく申請書等の作成と提出の代行、帳簿書類の作成、労務管理や社会保険についての相談・指導です。入退社の手続や給与まわりの社会保険が日常の中心になります。
同じ企業の顧問でも、税理士は決算・申告、社労士は人の入れ替わりや労務の相談と、受け持つ書類が分かれます。業務は各法律で別々に定められています。
受験資格と試験の形の違い
税理士試験
会計学の簿記論・財務諸表論は受験資格の制限がありません。税法の科目は、学識・資格・職歴のいずれか一つが必要です。会計学2科目と税法3科目の合計5科目に合格すると合格者になる科目合格制で、合格基準は各科目とも満点の60パーセントです。令和7年度(第75回)は受験者36,320人、5科目に到達した人は527人でした。
社会保険労務士試験
学歴、実務経験、厚生労働大臣の認めた国家試験合格のいずれか1つが必要です。選択式8問(40点)と択一式70問(70点)で行う試験で、受験手数料は15,000円です。第58回(令和8年度)は受験者42,510人、合格者3,961人で、合格率は9.3パーセント(前年は5.5パーセント)でした。
試験科目の重なり
税理士の科目は簿記論、財務諸表論と、所得税法・法人税法・相続税法などの税法です。社労士の科目は、労働基準法及び労働安全衛生法、労災保険法、雇用保険法、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法です。科目名のうえで直接重なるものはなく、片方の学習がもう片方の科目を減らすわけではありません。共通するのは、条文と制度の細かい定義を正確に覚える学習の型です。
どちらを先に受けるかの目安
税理士を先に受ける人
会計学の2科目から、受験資格なしですぐに始められます。税理士試験は社労士の受験資格として認められた国家試験の一覧に含まれるので、将来両方を目指す人が順番を選ぶなら、税理士試験の合格で社労士の受験資格を満たす道があります(科目合格だけで足りるかは、申込前に一覧の条件で確認してください)。
社労士を先に受ける人
大学・短大・高専の卒業などで、すでに社労士の受験資格がある人。科目合格制ではなく、一度の試験で合否が決まる形式なので、短期間で一つ目の資格を取りたい人に向きます。税理士の税法科目を受けるには別に受験資格が要る点は変わりません。
社労士と他の士業の組み合わせは社労士と司法書士はどちらを先に受けるか、社労士と行政書士のダブルライセンスでも整理しています。
よくある質問
- 税理士試験に合格すると、社労士の受験資格を満たせますか?
社会保険労務士試験オフィシャルサイトの「厚生労働大臣が認めた国家試験」の一覧に、税理士試験が含まれています。社労士の受験資格は学歴・実務経験・厚生労働大臣の認めた国家試験合格のいずれか1つなので、該当する場合は受験資格の一つになります。申込前に最新の一覧で、自分の合格区分が当てはまるかを確認してください。 - 社労士に合格していると、税理士試験の受験資格を満たせますか?
今回確認した国税庁の「税理士試験受験資格の概要」にある主な受験資格(学識・資格・職歴)に、社労士試験の合格は載っていませんでした。会計学の簿記論と財務諸表論は受験資格の制限がなく、税法の科目は学識・資格・職歴のいずれか一つが必要です。 - 税理士と社労士の試験は、同じ年に両方受けられますか?
日程は重なりません。令和8年度は税理士(第76回)が8月4日から6日、社労士(第58回)が8月23日に実施されました。ただし、どちらも8月で、準備の山が同じ時期に来ます。申込期間は、税理士が令和8年4月から5月上旬、社労士が4月中旬の官報公示から5月31日までです。
次に知りたいこと
出典
- e-Gov法令検索「税理士法」第2条(確認日:2026年10月13日)
- e-Gov法令検索「社会保険労務士法」第2条(確認日:2026年10月13日)
- 国税庁「税理士試験の概要」(確認日:2026年10月13日)
- 国税庁「税理士試験受験資格の概要」(確認日:2026年10月13日)
- 国税庁「令和8年度(第76回)税理士試験公告」(確認日:2026年10月13日)
- 国税庁「令和7年度(第75回)税理士試験結果表」(確認日:2026年10月13日)
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「受験資格について」(確認日:2026年10月13日)
- 社会保険労務士試験オフィシャルサイト「試験の概要」(確認日:2026年10月13日)
- 厚生労働省「第58回社会保険労務士試験の合格者発表」(社会保険労務士試験オフィシャルサイト掲載・確認日:2026年10月13日)