問1知財2級 著作権法② 公表権・同一性保持権
著作者人格権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作者は、まだ公表されていない著作物を公衆に提供し、又は提示する権利(公表権)を有する。
- イ.著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更・切除その他の改変を受けない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 公表権
著作権法第18条第1項「公衆に提供し、又は提示する権利を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 同一性保持権
著作権法第20条第1項「著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする」e-Gov原文
ひっかけ公表するかを決める権利と、勝手に改変されない権利は、どちらも著作者人格権です。
解説著作者人格権は、著作者の人格的利益を守る権利で、公表権・氏名表示権・同一性保持権から成る。公表権は、まだ公表されていない著作物(同意を得ずに公表されたものを含む)を公衆に提供・提示する権利であり(著作権法18条1項)、アはこの定義どおりで正しい。同一性保持権は、著作物及びその題号の同一性を保持し、その意に反する変更・切除その他の改変を受けない権利で(同20条1項)、イもこの条文どおりで正しい。よって『アー正、イー正』。著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡できない(同59条)。
補足同一性保持権には例外がある。プログラムのバグ修正や機種への適応に必要な改変(20条2項3号)、利用の目的・態様に照らしやむを得ない改変(同4号)には及ばない。
問2知財2級 著作権法② 複製権と権利の目的とならない著作物
著作権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
- イ.憲法その他の法令や裁判所の判決等は、著作権の目的とならず、許諾なく利用することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 複製権
著作権法第21条「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 対象外の著作物
著作権法第13条「次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない」e-Gov原文
ひっかけ複製権は著作権の中心。ただし法令・判決はその権利が及ぶ手前で枠外に置かれている。
解説著作者は、その著作物を複製する権利を専有する(複製権・著作権法21条)から、アは正しい。複製とは印刷・写真・録音・録画その他の方法による有形的再製を指し、支分権の中心に置かれる。一方、憲法その他の法令・告示・判決等は、著作物に当たっても著作権の目的とならず許諾なく使える(同13条)から、イも正しい。21条で権利が及ぶ著作物と、13条でそもそも権利が成立しない著作物という、対になる二つの条文を同時に問う形になっている。
補足複製には、講演を録音する・建築物を図面から建てるといった、形を変えた再製も含まれる(著作権法2条1項15号)。
問3知財2級 著作権法② 引用
著作物の引用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公表された著作物は、引用して利用することができる。
- イ.引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 引用
著作権法第32条第1項「公表された著作物は、引用して利用することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 引用の要件
著作権法第32条第1項「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」e-Gov原文
ひっかけ引用は許諾なしでできる。ただし「公正な慣行」と「正当な範囲」という枠が後段に付いている。
解説公表された著作物は、引用して利用することができる(著作権法32条1項前段)。アはこのとおりで正しい。ただしその引用は、公正な慣行に合致し、かつ、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない(同項後段)。イもこのとおりで正しい。判例上は、引用する側とされる側を分けて認識できる明瞭区別性と、引用する側が主・される側が従という主従関係が要件とされ、これを欠く引用は著作権侵害になる。
補足32条が許すのは公表された著作物だけで、未公表の著作物は引用できない。公表の事実は推定されず、引用する側が立証責任を負う。
問4知財2級 著作権法② 著作者の権利と無方式主義
著作者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作者は、著作者人格権及び著作権を享有する。
- イ.著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 著作者の権利
著作権法第17条第1項「著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利」e-Gov原文
- イ.正しい
- 無方式主義
著作権法第17条第2項「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない」e-Gov原文
ひっかけ著作権は作った瞬間に発生する。届け出も登録もマルC表示も、発生の条件ではない。
解説著作者は、著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)及び著作権(複製権・上演権・公衆送信権・翻案権等の財産権)を享有する(著作権法17条1項)。そしてこれらの権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない(同条2項。無方式主義)。アは著作者が人格権と著作権を享有するという17条1項どおりで正しく、イは享有に方式を要しないという17条2項どおりで正しいため、『アー正、イー正』。著作物を創作した時点で自動的に権利が発生し、登録・出願・表示等は一切要らない。設定登録によってはじめて発生する特許権・意匠権・商標権(産業財産権)とは正反対の建て付けになっている。
補足著作権登録制度自体は存在するが、移転を第三者に対抗するため等のもので(77条)、権利を発生させる手続ではない。
問5知財2級 著作権法② 氏名表示権
氏名表示権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供・提示に際し、実名・変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利(氏名表示権)を有する。
- イ.著作物を利用する者は、著作者の別段の意思表示がない限り、著作者が既に表示しているところに従って著作者名を表示することはできず、常に無名で利用しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 氏名表示権
著作権法第19条第1項「その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 既存表示の踏襲
著作権法第19条第2項「その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる」e-Gov原文
ひっかけ利用者は、著作者が既に出している名義をそのまま使えます。無名固定ではありません。
解説氏名表示権は、著作者が、その著作物の原作品に、又は公衆への提供・提示に際し、実名・変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利である(著作権法19条1項)。名前を出すか出さないか、出すならどの名義かを著作者が決められるという内容で、アは正しい。利用者の側は、著作者の別段の意思表示がない限り、既に著作者が表示しているところに従って著作者名を表示できる(同条2項)。したがって常に無名でなければならないとするイは誤りで、『アー正、イー誤』となる。
補足著作者が創作者と主張する利益を害するおそれがなく、公正な慣行に反しないときは、利用者は著作者名の表示を省略できる(19条3項)。BGMでの作曲者名の省略などが典型。
問6知財2級 著作権法② 著作者人格権の一身専属性
著作者人格権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
- イ.著作者人格権は財産的権利であり、著作権(財産権)と一体として第三者に譲渡することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 一身専属
著作権法第59条「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 譲渡不可
著作権法第59条「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」e-Gov原文
ひっかけ著作者人格権は売買・譲渡の対象にならず、著作権を譲っても著作者に残ります。
解説著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない(著作権法59条)。だから、財産的権利として著作権と一体で第三者に譲渡できるとするイは誤り。アは59条そのままで正しい。著作権(財産権)を第三者に譲渡しても、公表権・氏名表示権・同一性保持権という著作者人格権は著作者のもとに残る。実務では、これを行使しない旨の不行使特約が用いられることがある。
補足譲渡できないだけでなく相続もされず、著作者の死後は人格的利益として保護され、原則として遺族が差止め等を請求できます(著作権法60条・116条)。
問7知財2級 著作権法② 私的使用のための複製
私的使用のための複製に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、原則としてその使用する者が複製することができる。
- イ.私的使用のための複製であれば、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合であっても、自由に複製することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 私的複製
著作権法第30条第1項「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」e-Gov原文
著作権法第30条第1項「その使用する者が複製することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 除外事由
著作権法第30条第1項「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器」e-Gov原文
ひっかけ目的が私的使用でも、店頭の高速ダビング機を使えば例外に落ちる。
解説著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的使用)を目的とするときは、原則としてその使用する者が複製できる(著作権法30条1項)。アはこの条文どおりで正しい。イは、私的使用目的なら公衆用の自動複製機器を使っても自由に複製できるとするが、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いる複製は30条1項1号で私的複製から除かれる。よってイは誤り。私的使用の目的があっても、使う機器によっては例外に落ちる。
補足除外はほかにも、技術的保護手段の回避によって可能になった複製を回避と知りつつ行う場合(30条1項2号)や、違法配信と知りながらの録音録画ダウンロード(同項各号)に及ぶ。
問8知財2級 著作権法② 著作物の例示
著作物の例示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.プログラムは、著作権法上、著作物として例示されている。
- イ.事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道も、言語の著作物として保護される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 創作性の欠如
著作権法第10条第2項「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない」e-Gov原文
ひっかけプログラムは載るが、訃報や人事異動のような事実だけの記事は外れる。
解説著作権法は著作物を例示する。(1)言語、(2)音楽、(3)舞踊・無言劇、(4)美術、(5)建築、(6)図形、(7)映画、(8)写真、(9)プログラムの著作物であり(10条1項)、プログラムは9号に挙がっているためアは正しい。一方、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、創作性を欠くため言語の著作物に該当しないため(同条2項)、イは誤り。なおこの10条1項は例示であって限定列挙ではなく、また同条3項によりプログラム言語・規約・解法には著作権の保護が及ばない。
補足プログラムは著作物だが、その作成に用いるプログラム言語・規約(プロトコル等)・解法(アルゴリズム)は保護対象外と明文で除かれている(10条3項)。
問9知財2級 著作権法② 侵害とみなす行為
著作権法上の侵害とみなす行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国内において頒布する目的をもって、輸入の時に国内で作成したとすれば著作権侵害となるべき行為によって作成された物を輸入する行為は、著作権を侵害する行為とみなされない。
- イ.著作権を侵害する行為によって作成された物を、情を知って頒布し、又は頒布の目的をもって所持する行為は、著作権を侵害する行為とみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- みなし侵害(輸入)
著作権法第113条第1項「国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為」e-Gov原文
- イ.正しい
- みなし侵害(頒布)
著作権法第113条第1項「情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持し」e-Gov原文
ひっかけ自分で複製しなくても、海賊版の輸入や事情を知った販売は侵害扱いになります。
解説著作権法113条は、直接の支分権侵害にあたらない一定の行為を侵害とみなす。国内頒布目的で、輸入時に国内で作成したとすれば侵害となるべき行為で作成された物(海賊版)を輸入する行為は、その1号で侵害とみなされる。よって侵害とみなされないとするアは誤り。侵害品を、情を知って頒布・頒布目的で所持・頒布の申出・業としての輸出等をする行為も2号で侵害とみなされるため、イは正しく、『アー誤、イー正』となる。このほかリーチサイト・リーチアプリによる侵害著作物への誘導や、アクセスコントロールの回避なども侵害とみなされる。
補足プログラムでは、違法複製物を業務上コンピュータで使う行為も、その使用権原を取得した時に情を知っていれば侵害とみなされる(113条5項)。使用そのものが対象になる例外。
問10知財2級 著作権法② 著作物の利用の許諾
著作物の利用の許諾に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作物の利用許諾を得た者は、許諾に係る利用方法・条件の範囲を超えても、自由にその著作物を利用することができる。
- イ.著作権者は他人にその著作物の利用を許諾でき、許諾を得た者は許諾に係る利用方法・条件の範囲内でその著作物を利用することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 範囲内利用
著作権法第63条第2項「その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 利用許諾
著作権法第63条第1項「著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる」e-Gov原文
ひっかけライセンスを受けても使えるのは、許諾された利用方法・条件の範囲内に限られます。
解説著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる(著作権法63条1項。ライセンス)。許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、許諾に係る著作物を利用することができる(同条2項)。したがって、範囲を超えても自由に利用できるとするアは誤りで、許諾の仕組みを述べたイは正しい。許諾された利用方法・条件の範囲を超える利用は、許諾の外にあるため著作権侵害となる。
補足令和2年改正で新設された当然対抗制度により、被許諾者は著作権が第三者に譲渡されても利用権を主張でき、登録等の手続なしに利用を続けられます(著作権法63条の2)。
問11知財2級 著作権法② 著作者の死後における人格的利益の保護
著作者の死後における人格的利益の保護に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作者が死亡して存しなくなった後は、著作者人格権の侵害となるべき行為も自由に行うことができる。
- イ.著作物を公衆に提供・提示する者は、著作者の死後も、著作者が存しているとすれば著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 死後の保護
著作権法第60条「著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 人格的利益の保護
著作権法第60条「著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない」e-Gov原文
ひっかけ亡くなったら自由ではなく、生きていれば侵害となる扱いが死後も続く。
解説著作者人格権は一身専属で、著作者の死亡により消滅する。しかし、著作物を公衆に提供・提示する者は、著作者の死後も、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない(著作権法60条本文)。よって死後は自由に侵害行為ができるとするアは誤り。イはこの60条本文どおりで正しい。ただし行為の性質・程度や社会的事情の変動等により著作者の意を害しないと認められる場合は除かれ(同条ただし書)、違反行為には一定の遺族が差止め等を請求できる(116条)。
補足死後の請求ができるのは配偶者・子等の遺族で、本人は遺言により請求できる者を別に指定もできる(116条)。財産権としての著作権の存続期間(死後70年)が切れた後も、この60条の制約自体は残る。
問12知財2級 著作権法② 授業目的公衆送信補償金
教育機関における公衆送信に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.教育機関で授業目的の公衆送信を行う場合でも、著作権者に補償金を支払う必要はない。
- イ.教育機関が授業目的で公衆送信を行う場合には、その教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 補償金
著作権法第35条第2項「相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 補償金制度
著作権法第35条第2項「相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない」e-Gov原文
ひっかけ教室でのコピーは無償でも、遠隔授業などの公衆送信には設置者の補償金が要る。同じ35条でも1項と2項で扱いが分かれる。
解説教育機関での複製は補償金なしで認められる(著作権法35条1項)が、授業目的での公衆送信を行う場合は、その教育機関を設置する者が相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない(同条2項。授業目的公衆送信補償金制度)。支払不要とするアは誤り、設置者が支払うとするイは正しい。補償金は指定管理団体(SARTRAS)に一括して支払われ、そこから権利者に分配される。複製は補償金不要、公衆送信は補償金必要という線引きになっている。
補足補償金を払うのは個々の教員ではなく教育機関の設置者で、SARTRASへの一括支払という形をとる(35条2項)。2018年改正で導入された仕組み。
問13知財2級 著作権法② 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
二次的著作物の原著作物の著作者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二次的著作物の原著作物の著作者は、その二次的著作物の利用に関して、何らの権利も有しない。
- イ.二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作者の許諾を得れば足り、原著作物の著作者の許諾は不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 原著作者の権利
著作権法第28条「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 二重の許諾
著作権法第28条「二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する」e-Gov原文
ひっかけ翻案物の利用には、二次的著作物の著作者と原著作者の両方の許諾が要る。アもイも原著作者の権利を見落としており両方誤り。
解説二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する(著作権法28条)。アは原著作者が『何らの権利も有しない』とするが、28条がまさに権利を与えているので誤り。そして原著作者が二次的著作物の著作者と同じ権利を持つ以上、二次的著作物を利用するには二次的著作物の著作者の許諾だけでは足りず、原著作物の著作者の許諾も必要になる。よってイの『原著作物の著作者の許諾は不要』も誤り。小説を映画化した作品を利用する場面では、映画の著作者と原作小説の著作者の双方の許諾が要る。
補足原著作者が持つのは二次的著作物の著作者と『同一の種類』の権利で、各自が独立に行使できる。一方の許諾だけでは適法にならず、二重の許諾を要する点がこの条文の核心。
問14知財2級 著作権法② 利用権の譲渡・放送の許諾
著作物の利用許諾に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作物の利用許諾により取得した利用権は、著作権者の承諾を得なくても、自由に第三者に譲渡することができる。
- イ.著作物の放送についての利用許諾には、契約に別段の定めがなくても、当然に当該著作物の録音・録画の許諾が含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 利用権の譲渡制限
著作権法第63条第3項「著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 許諾範囲
著作権法第63条第4項「当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとする」e-Gov原文
ひっかけ利用権の転売には著作権者の承諾が要り、放送の許諾に録音・録画は当然には含まれません。
解説利用権(許諾に基づき著作物を利用できる権利)は、著作権者の承諾を得ない限り譲渡することができない(著作権法63条3項)。だから承諾なしに自由に第三者へ譲渡できるとするアは誤り。また、著作物の放送・有線放送についての許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音・録画の許諾を含まない(同条4項)。当然に録音・録画の許諾を含むとするイも誤り。許諾は範囲が限定的に解されるため、許諾されていない態様の利用には別途許諾が必要となる。
補足63条4項が録音・録画を切り分けるのは、放送による一回的な利用と、固定して反復利用できる録音・録画とで著作物への影響が異なるためで、別段の定めを置けば録音・録画も許諾範囲に含められます。
問15知財2級 著作権法② 著作権の保護期間と人格権
著作権・著作者人格権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作権の存続期間は、著作物が最初に公表された時に始まる。
- イ.著作者人格権は、契約により第三者に譲渡することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 創作時起算
著作権法第51条第1項「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 一身専属
著作権法第59条「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」e-Gov原文
ひっかけ著作権は「公表時」ではなく創作時に始まり、著作者人格権は「譲渡できる」が誤りです。
解説著作権は、著作物の創作の時に始まる(著作権法51条1項。登録等を要しない無方式主義)。最初の公表時に始まるとするアは、起算点を取り違えており誤り。また著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない(同59条)から、契約で第三者に譲渡できるとするイも誤り。著作権(財産権)は創作時に自動的に発生して譲渡でき、原則として著作者の死後70年まで存続する(51条2項)のに対し、著作者人格権は譲渡不可で著作者に残る。
補足死後70年を起算点とするのは実名の著作物で、無名・変名の著作物や法人著作は、原則として公表後70年まで存続します(著作権法52条・53条)。