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特許法・第12

特許法(職務発明・実施権・審判復習)の問題(15問)

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この章で確認する論点

12章では、知財2級 特許法② 先使用による通常実施権・知財2級 特許法② 特許発明の技術的範囲・知財2級 特許法② 特許出願の願書と添付書類・知財2級 特許法② 通常実施権の対抗力・知財2級 特許法② 職務発明を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

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この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

特許法32条35条36条68条70条73条79条92条97条98条99条100条123条126条

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2025年12月時点の法令に準拠
1知財2級 特許法② 先使用による通常実施権

先使用による通常実施権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、特許出願の際に現に日本国内でその発明の実施である事業をしている者等は、その特許権について通常実施権(先使用権)を有する。
  • 先使用権は、その者が実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
先使用権

特許法第79条その特許出願に係る特許権について通常実施権を有するe-Gov原文

正しい
範囲

特許法第79条その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内においてe-Gov原文

ひっかけ出願前から独自に実施・準備していた者は、無償で実施を続けられる。範囲はそのときの実施・準備の目的内に限られる。

解説他人の特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又はその発明をした者から知得して、特許出願の際に現に日本国内でその発明の実施である事業をしている者・その準備をしている者は、その特許権について通常実施権(先使用権)を有する(特許法79条)。アはこの要件どおりで正しい。先使用権が及ぶ範囲は、その者が実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内に限られる。これがイで、やはり正しい。出願前から独自に実施していた者を救う無償の法定通常実施権で、対価を払わずに実施を続けられる代わりに範囲が固定される。

補足先使用権は実施の事業とともにする場合に限り、特許権者の承諾なく移転できる(特許法94条1項)。先使用権だけを切り離して譲ることはできない。

2知財2級 特許法② 特許発明の技術的範囲

特許発明の技術的範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
  • 技術的範囲を定めるにあたり、特許請求の範囲の用語の意義は明細書・図面を考慮して解釈するが、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
クレーム基準

特許法第70条第1項特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないe-Gov原文

正しい
要約書の除外

特許法第70条第3項願書に添付した要約書の記載を考慮してはならないe-Gov原文

ひっかけ技術的範囲はクレームで決まり、用語の解釈に要約書は使いません。

解説特許発明の技術的範囲、すなわち特許権の効力が及ぶ範囲は、願書に添付した特許請求の範囲(クレーム)の記載に基づいて定める(特許法70条1項)。アはこの原則どおりで正しい。クレームの用語の意義は、明細書の記載及び図面を考慮して解釈するが(同条2項)、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない(同条3項)。要約書は技術情報の検索用に作られる書面で、権利範囲の解釈資料にはならない。したがって、用語解釈に明細書・図面は使うが要約書は使わないとするイも正しく、『アー正、イー正』となる。

補足ある製品が他人の特許の技術的範囲に入るかは、特許庁に判定を求めることもできる(特許法71条)。中立な専門機関の判断だが裁判所を拘束する効力はない。

3知財2級 特許法② 特許出願の願書と添付書類

特許出願に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受けようとする者は、所定の事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
  • 特許出願の願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
願書

特許法第36条第1項特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならないe-Gov原文

正しい
添付書類

特許法第36条第2項願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならないe-Gov原文

ひっかけ願書に添付するのは、明細書・特許請求の範囲・必要な図面・要約書の4点です。

解説特許を受けようとする者は、出願人の氏名等の所定事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない(特許法36条1項)。その願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付する(同条2項)。アは1項、イは2項のとおりで、いずれも正しい。なお明細書の発明の詳細な説明は当業者が実施できる程度に明確かつ十分でなければならず(同条4項。実施可能要件)、特許請求の範囲は発明の詳細な説明に記載したもので明確に記載しなければならない(同条6項。サポート要件・明確性要件)。これらは満たさなければ拒絶理由・無効理由となる。

補足4点のうち図面は「必要な」ときに添付すればよく、要約書は技術情報の検索用で権利範囲の解釈には用いられません(特許法70条は特許請求の範囲を基準とする)。

4知財2級 特許法② 通常実施権の対抗力

通常実施権の対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
  • したがって、特許権が第三者に譲渡されても、既存の通常実施権者は、登録がなくても新たな特許権者に実施権を対抗することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
当然対抗

特許法第99条通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有するe-Gov原文

正しい
登録不要

特許法第99条通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有するe-Gov原文

ひっかけライセンスを受けていれば、特許が売られても、登録なしでそのまま使い続けられる。

解説通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する(特許法99条・当然対抗)。だからアは正しく、特許権が第三者に譲渡されても登録なしで新権利者に実施権を主張でき、イも正しい。かつては対抗に登録が必要だったが、2011年改正でこの当然対抗制度に切り替わった。登録という形式を踏まなくても、いつ生じた通常実施権かを問わず後の権利取得者に当然に効く、という点が改正前との違いである。

補足専用実施権の対抗には今も登録が必要で(特許法98条1項2号)、登録なしの当然対抗が認められるのは通常実施権のほうだけである。

5知財2級 特許法② 職務発明

職務発明に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 使用者等は、従業者等がその職務発明について特許を受けたとき等は、その特許権について通常実施権を有する。
  • 従業者がした職務発明について、契約や勤務規則であらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させる定めをしても、その定めは無効である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
法定通常実施権

特許法第35条第1項その特許権について通常実施権を有するe-Gov原文

誤り
予約承継

特許法第35条第3項その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属するe-Gov原文

ひっかけ会社の通常実施権は当然に発生し、予約承継の定めも職務発明なら有効。無効になるのは職務発明以外。

解説従業者がした発明のうち、その性質上使用者の業務範囲に属し、かつ発明に至った行為が従業者の現在・過去の職務に属するものが職務発明である(特許法35条1項)。使用者は、従業者が職務発明について特許を受けたとき等は、その特許権について法定の通常実施権を当然に有する。これがアで、35条1項のとおり正しい。さらに職務発明については、契約・勤務規則等であらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させる定め(予約承継)が認められ、定めがあれば権利は発生時から使用者に原始帰属する(同条3項)。よってイの『定めは無効』は誤り。無効になるのは職務発明以外の発明についての予約承継の定めである(同条2項)。

補足予約承継の定めがあると権利は移転ではなく発生時から使用者に帰属する(原始帰属)。定めがなければ権利はいったん従業者に発生し、承継には個別の合意が要る。

6知財2級 特許法② 差止請求権

特許権の侵害に対する差止請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
  • 差止請求をするに際し、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
差止請求

特許法第100条第1項特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができるe-Gov原文

誤り
廃棄・除却請求

特許法第100条第2項侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ差止めには侵害品の廃棄・侵害設備の除却まで含められる。イはこれを否定しているので誤り。

解説特許権者・専用実施権者は、自己の特許権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求できる(差止請求権。特許法100条1項)。アはこのとおりで正しい。そして差止請求をするに際しては、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為もあわせて請求できる(同条2項)。よってイの『除却その他の予防に必要な行為を請求できない』は誤り。差止めは侵害者の過失を問わずに認められ、過失を要件とする損害賠償とはこの点で性質が異なる。

補足差止請求権は意匠・商標・著作権・不正競争防止法にもあるが、不正競争防止法では類型ごとに期間制限(消滅時効・除斥期間)が置かれている点で特許とは異なる。

7知財2級 特許法② 訂正審判

訂正審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、願書に添付した明細書・特許請求の範囲・図面の訂正について訂正審判を請求できるが、その訂正は特許請求の範囲の減縮等を目的とするものに限られる。
  • 訂正審判は、特許無効審判が特許庁に係属している間であっても、いつでも請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
目的の限定

特許法第126条第1項特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができるe-Gov原文

特許法第126条第1項特許請求の範囲の減縮e-Gov原文

誤り
係属中の制限

特許法第126条第2項訂正審判は、特許異議の申立て又は特許無効審判が特許庁に係属した時からその決定又は審決e-Gov原文

ひっかけ訂正審判で権利は広げられず、無効審判が係属していればその手続の中で訂正します。

解説訂正審判で訂正できるのは、願書に添付した明細書・特許請求の範囲・図面であり(特許法126条1項)、その訂正の目的は、(1) 特許請求の範囲の減縮、(2) 誤記・誤訳の訂正、(3) 不明瞭な記載の釈明、(4) 引用関係の解消、のいずれかに限られる。実質上特許請求の範囲を拡張・変更する訂正はできないので、アはこの範囲に収まり正しい。一方、特許異議の申立てや特許無効審判が特許庁に係属している間は訂正審判を請求できず(同条2項)、その場合は当該手続の中で訂正請求を行う。よってイの『いつでも請求できる』は誤りで、組み合わせは『アー正、イー誤』となる。

補足訂正審判は特許権が消滅した後でも請求できる(126条8項)。過去の侵害に基づく損害賠償の場面で訂正の利益が残るためで、ただし取消決定や無効審決が確定した後はできない。

8知財2級 特許法② 特許権の効力

特許権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
  • 特許権について専用実施権を設定した場合でも、その専用実施権者が実施をする権利を専有する範囲について、特許権者が実施をする権利を専有し続ける。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
実施の専有

特許法第68条特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有するe-Gov原文

誤り
専用実施権の効果

特許法第68条専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ専用実施権を与えた範囲では、設定した特許権者自身も実施できなくなります。

解説特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法68条本文)。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない(同条ただし書)。専用実施権を設定した範囲では、特許権者自身も実施できなくなる。だからイの『特許権者が実施をする権利を専有し続ける』は誤り。アは68条本文そのままで正しい。専用実施権は物権的な独占的実施権であり、設定範囲では権利者の実施まで排除される点が、非独占的な通常実施権との分かれ目になる。

補足専用実施権は当事者の契約だけでは生じず、特許原簿への登録が効力発生の要件です(特許法98条1項2号)。登録なしでは契約上の通常実施権にとどまります。

9知財2級 特許法② 職務発明と相当の利益

職務発明における従業者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 従業者は、職務発明について使用者に特許を受ける権利を取得させた場合であっても、相当の利益を受ける権利を有しない。
  • 従業者は、契約・勤務規則等により職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させたとき等は、相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)を受ける権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
相当の利益

特許法第35条第4項相当の金銭その他の経済上の利益e-Gov原文

正しい
相当の利益請求権

特許法第35条第4項相当の金銭その他の経済上の利益e-Gov原文

ひっかけ権利を会社に渡した従業者は相当の利益を受ける権利を持つ。アはこれを否定しているので誤り。

解説職務発明について使用者に特許を受ける権利を取得させ、特許権を承継させ、又は専用実施権を設定したとき等は、従業者は相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)を受ける権利を有する(特許法35条4項)。したがってアの『相当の利益を受ける権利を有しない』は誤り、同じ内容を肯定するイが正しい。2015年改正で、対価が金銭に限られず留学機会の付与なども含まれることが明確化され、あわせて相当の利益の内容を定める基準の策定手続や、その不合理性の判断基準も法定された(同条5項~7項)。

補足相当の利益は金銭に限らない(35条4項)。社内基準で額を定めても、その基準が不合理と判断されれば裁判所が相当額を決める(同条7項)。

10知財2級 特許法② 特許無効審判

特許無効審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許無効審判は、二以上の請求項に係る特許については、特許全体を一体としてのみ請求でき、請求項ごとに請求することはできない。
  • 特許が新規性・進歩性等の規定に違反してされたとき等は、特許無効審判を請求して、その特許を無効にすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
請求項ごと

特許法第123条第1項二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができるe-Gov原文

正しい
無効理由

特許法第123条第1項その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ複数請求項の特許は請求項ごとに無効審判を争える。全体一括でしか請求できないとするアが誤り。

解説特許が、新規性・進歩性・拡大先願・先願等の規定違反、補正要件違反、記載要件違反、冒認出願などの無効理由(特許法123条1項各号)に該当するときは、特許無効審判によりその特許を無効にできる。これを述べるイは正しい。アは『特許全体を一体としてのみ請求でき請求項ごとには請求できない』とするが、二以上の請求項に係る特許は請求項ごとに請求できる(同項後段)ので誤り。無効審判を請求できるのは原則として利害関係人で、冒認・共同出願違反を理由とするときは特許を受ける権利を有する者に限られる。

補足無効審判の請求人は原則として利害関係人に限られる。これに対し、付与後6月以内の特許異議申立ては『何人も』できる点で請求人適格が異なる。

11知財2級 特許法② 共有に係る特許権(実施権の許諾)

共有に係る特許権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明を実施することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
ライセンスの制限

特許法第73条第3項各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができないe-Gov原文

正しい
自己実施は自由

特許法第73条第2項各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができるe-Gov原文

ひっかけ他人に使わせる側(ライセンス)には同意がいる。自分が使う側は同意がいらない。

解説共有特許権について、各共有者が専用実施権を設定し又は他人に通常実施権を許諾するには、他の共有者の同意が必要である(特許法73条3項)。他人が実施に入れば他の共有者の取り分に響くからである。よってアは誤り。一方、各共有者が自分で実施するのは、契約で別段の定めをした場合を除き同意なくできる(同条2項)から、イは正しい。同じ共有でも、著作権の共有は自己利用ですら共有者全員の合意を要する(著作権法65条2項)ので、特許の自己実施自由とは結論が逆になる。

補足共有持分の放棄や処分は単独で/同意を要して動くが、無効審判の請求のように共有者全員が共同でしないとできない手続もある(特許法132条3項)。

12知財2級 特許法② 利用関係と裁定通常実施権

他人の権利を利用する関係にある特許発明の実施に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自己の特許発明が他人の先願の特許発明等を利用する関係にある場合でも、特許権者は当該他人に対し実施のための通常実施権の許諾について協議を求めることはできない。
  • 利用関係にある場合の協議が成立しないときは、特許権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
協議

特許法第92条第1項特許権者又は専用実施権者は、その特許発明が第七十二条に規定する場合に該当するときはe-Gov原文

正しい
裁定

特許法第92条第3項第一項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ協議が決裂したとき頼るのは、経済産業大臣ではなく特許庁長官。

解説後願の特許発明が先願の他人の特許発明等を利用する関係(利用発明。特許法72条)にあると、後願の特許権者は自分の特許発明を実施しても他人の権利を侵害してしまい、勝手には実施できない。この調整のため、特許権者は先願権利者に対し実施のための通常実施権の許諾について協議を求めることができる(92条1項)。アは『協議を求めることはできない』とするが、求められるので誤り。協議が成立せず、または協議できないときは、特許庁長官の裁定を請求できる(同条3項。裁定通常実施権)。イはこの裁定請求を述べており正しい。求める相手は経済産業大臣ではなく特許庁長官である。

補足92条の裁定は『利用・抵触関係』の調整用で、3年不実施を理由とする83条の不実施裁定とは請求の根拠が別。

13知財2級 特許法② 専用実施権・通常実施権の放棄

実施権の放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 専用実施権者は、質権者や一定の通常実施権者があるときであっても、その承諾を得ることなく専用実施権を放棄することができる。
  • 通常実施権者は、質権者があるときであっても、その承諾を得ることなく通常実施権を放棄することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
専用実施権の放棄

特許法第97条第2項専用実施権者は、質権者又は第七十七条第四項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができるe-Gov原文

誤り
通常実施権の放棄

特許法第97条第3項通常実施権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常実施権を放棄することができるe-Gov原文

ひっかけ放棄の承諾が要るのは特許権だけだ、と思うと両肢とも落とす。実施権の放棄も同じ97条で縛られる。

解説専用実施権の放棄には、質権者又は専用実施権についての通常実施権者があるとき、その承諾を要する(特許法97条2項)。承諾不要とするアは誤り。通常実施権の放棄も、質権者があるときはその承諾を要する(同条3項)。こちらも承諾不要とするイは誤り。よって両方とも誤り。放棄の制限は特許権だけの話ではなく、実施権そのものにも質権など他者の権利が成立しうるため、同じ97条が実施権の放棄まで縛る。

補足専用実施権の放棄で承諾を要する通常実施権者は、77条4項の通常実施権者、つまり専用実施権者が許諾した通常実施権者を指す(97条2項)。特許権者が直接設定した通常実施権者ではない。

14知財2級 特許法② 登録の効果(総合)

特許に関する登録の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権の移転は、相続による場合を含め、すべて登録しなければその効力を生じない。
  • 特許権を目的とする質権の設定は、登録の有無にかかわらず効力を生じる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
一般承継の例外

特許法第98条第1項次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じないe-Gov原文

誤り
質権の設定

特許法第98条第1項次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じないe-Gov原文

ひっかけ相続による移転だけが登録不要。質権の設定はあくまで登録して初めて効く。

解説特許権の移転・専用実施権の設定・質権の設定等は登録が効力発生要件だが(特許法98条1項)、相続その他の一般承継による移転・消滅だけは例外で、登録を要しない(遅滞なく届け出る。同条2項)。アは特許権の移転を「相続による場合を含めすべて登録が必要」とするが、相続は一般承継の典型で登録不要のため誤り。イは質権の設定を「登録の有無にかかわらず効力を生じる」とするが、質権の設定は一般承継以外の処分であり、98条1項3号により登録しなければ効力を生じないため誤り。よって両方とも誤りで、組み合わせは『アー誤、イー誤』。一般承継は登録不要、特定承継・各種設定は登録必要という線引きで両肢が処理できる。

補足98条2項の届出は権利発生のためではなく、すでに発生した一般承継の事実を特許庁に知らせる手続。

15知財2級 特許法② 不特許事由(総合)

特許を受けることができない発明に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公衆の衛生を害するおそれがある発明であっても、産業上利用することができるものであれば特許を受けることができる。
  • 発明が公序良俗を害するおそれがあるか否かは、特許を受けることができるかどうかの判断とは無関係である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
不特許事由

特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができないe-Gov原文

誤り
判断要素

特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができないe-Gov原文

ひっかけ「産業上利用できる」「公序良俗は別問題」という逃げ道は、32条の前では通らない。

解説産業上の利用可能性・新規性・進歩性(特許法29条)をすべて満たす発明でも、公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生を害するおそれがあれば特許を受けられない(同32条)。アは「公衆衛生を害するおそれがあっても産業上利用できれば特許可能」とするが、32条が「第29条の規定にかかわらず」拒絶する以上、産業上利用可能性で救われることはなく誤り。イは「公序良俗を害するおそれは特許可否と無関係」とするが、これはまさに32条の独立した不特許事由であり、判断に直結するため誤り。よって両方とも誤りで『アー誤、イー誤』。29条の各要件をクリアしていることと、32条をクリアしていることは別個に審査される。

補足29条の要件と32条の不特許事由は別の関門。29条を全部満たしても、32条に当たれば拒絶理由(49条)になる。

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