問1知財3級 著作③ 著作隣接権
著作隣接権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.実演家、レコード製作者、放送事業者等が有する著作隣接権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
- イ.放送事業者は、著作隣接権として一定の権利を享有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 無方式主義
著作権法第89条第5項「前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 隣接権の主体
著作権法第89条第3項「放送事業者は、第九十八条から第百条までに規定する権利を享有する」e-Gov原文
ひっかけ著作物を『伝える側』にも、登録不要で権利が生まれます。
解説アもイも正しい。実演家・レコード製作者・放送事業者等が有する著作隣接権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない(著作権法89条5項)。著作権と同じ無方式主義で、登録や表示なしに発生する。これがア。イは放送事業者についてで、放送事業者は98条から100条までに規定する権利(複製権・再放送権等)を著作隣接権として享有する(同89条3項)。著作物を創作する著作者とは別に、それを公衆へ伝達する者にも権利が認められる、という構造である。よってアー正、イー正。実演家にはさらに、譲渡も相続もできない実演家人格権(氏名表示権・同一性保持権)が認められる点で、レコード製作者・放送事業者と立場が異なる。
補足実演家の録音・録画権は、最初に許諾して録画された実演には及ばないワンチャンス主義の制約を受ける。
問2知財3級 著作③ 公開演説の利用と時事の事件の報道
著作権の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.写真、映画、放送その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程で見聞される著作物を、報道の目的上正当な範囲内において利用することができる。
- イ.公開して行われた政治上の演説は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、原則として利用することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 報道目的の利用
著作権法第41条「時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 公開演説の利用
著作権法第40条第1項「同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」e-Gov原文
ひっかけアは時事報道での利用(41条)、イは公開演説の利用(40条1項)を、それぞれ条文に沿って述べた肢。報道・言論にかかわる制限規定で、どちらも正しい。
解説時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ・聞かれる著作物を、報道の目的上正当な範囲内において複製し、報道に伴って利用できる(著作権法41条)。盗難された美術品を事件報道でそのまま映すような場面が典型で、アはこの規定どおり正しい。また、公開して行われた政治上の演説は、同一著作者のものを編集して利用する場合を除き原則として利用でき(同40条1項)、イも正しい。どちらも報道・言論の公共性に配慮して財産権を制限する規定である。よって『アー正、イー正』。
補足41条で利用できるのは「報道の目的上正当な範囲内」までで、事件と無関係な部分まで使うことはできない。後追いの解説番組で作品をたっぷり見せるような利用はこの枠を超える。
問3知財3級 著作③ 視覚障害者等のための複製
視覚障害者等のための著作物の利用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公表された著作物は、点字により複製することができる。
- イ.視覚障害者等の福祉に関する事業を行う一定の者は、視覚著作物について、視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製又は公衆送信を行うことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 点字複製
著作権法第37条第1項「公表された著作物は、点字により複製することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- アクセシブル化
著作権法第37条第3項「当該視覚障害者等が利用するために必要な方式により、複製し、又は公衆送信を行うことができる」e-Gov原文
ひっかけ点字も録音図書も、許諾なしで作れる場面が条文で用意されている。
解説公表された著作物は、点字により複製することができる(著作権法37条1項)。アはこの条文どおりで正しい。イについては、視覚障害その他の障害により視覚的な表現の認識が困難な者の福祉に関する事業を行う政令で定める者は、視覚著作物を、視覚障害者等が利用するために必要な方式(音声化など)により複製し、又は公衆送信できる(同条3項)から正しい。点字化(1項)と、録音図書等の作成・送信(3項)が別々の項で認められている。
補足ただし37条3項は、権利者やその許諾を受けた者が既にその方式で著作物を公衆に提供・提示している場合には適用されない(同項ただし書)。
問4知財3級 著作③ 保護を受ける著作物
保護を受ける著作物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作物は、日本国民の著作物、最初に国内において発行された著作物、条約により日本が保護の義務を負う著作物のいずれかに該当するものに限り、著作権法による保護を受ける。
- イ.最初に国内において発行された著作物は、著作権法による保護を受ける著作物に当たる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 保護対象
著作権法第6条「著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける」e-Gov原文
ひっかけ外国の著作物も、条約を通じて(3)の枠で広く保護に入る。
解説保護を受ける著作物は、(1)日本国民(国内法令で設立された法人・国内に主たる事務所を有する法人を含む)の著作物、(2)最初に国内において発行された著作物、(3)条約により日本が保護の義務を負う著作物、のいずれかに限られる(著作権法6条)。アはこの3類型を列挙したもので正しく、イは(2)に当たるので正しい。ベルヌ条約等への加盟により、多くの外国著作物も(3)を通じて保護される。
補足6条2号には「最初に国外において発行されたが、その発行の日から30日以内に国内において発行されたものを含む」というかっこ書きがある。国外初発行でも30日以内に国内発行すれば、2号の国内発行著作物として扱われる。
問5知財3級 著作③ 出版権の設定
出版権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.複製権等を有する者は、その著作物について、出版すること等を引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
- イ.複製権等保有者は、その複製権を目的とする質権が設定されている場合であっても、質権者の承諾を得ることなく自由に出版権を設定することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 質権者の保護
著作権法第79条第2項「当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができる」e-Gov原文
ひっかけ出版権の設定は、複製権に質権が付いていれば質権者の承諾しだいです。
解説アは正しく、複製権等を有する者(複製権等保有者)は、その著作物の出版や電子的な公衆送信を引き受ける者に対して出版権を設定できる(著作権法79条1項)。出版権者は設定行為で定めた範囲で独占的に出版等を行える。イは誤り。複製権・公衆送信権を目的とする質権が設定されているときは、複製権等保有者は『自由に』設定できるのではなく、その質権者の承諾を得た場合に限り出版権を設定できる(同79条2項)。質権者の担保利益を害さないための制約である。よってアー正、イー誤。出版権は、設定行為に存続期間の定めがなければ、最初の出版行為等があった日から3年で消滅する(同83条2項)。
補足出版権者は、原則として複製権等保有者の承諾を得なければ、他人にその出版権を譲渡できない(同87条)。
問6知財3級 著作③ 公開の演説等の利用
公開して行われた演説等の利用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開して行われた政治上の演説や、裁判手続における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、原則としていずれの方法によっても利用することができる。
- イ.公開して行われた政治上の演説であっても、これを利用するには常に著作者の許諾が必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 公開演説の利用
著作権法第40条第1項「同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 著作権の制限
著作権法第40条第1項「同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」e-Gov原文
ひっかけイは公開の政治演説でも「常に許諾が必要」とする肢。40条1項は原則として許諾なく利用できる建て付けで、常時許諾を要するわけではない。
解説公開して行われた政治上の演説又は陳述、及び裁判手続等における公開の陳述は、同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず利用できる(著作権法40条1項)。政治演説等は広く国民に伝えられるべきものだからである。アはこの規定どおりで正しい。これに対し、公開の政治演説でも利用には常に著作者の許諾が必要とするイは、原則自由という40条1項の建て付けに反して誤り。ただし、ある政治家の演説だけを集めて編集するような『同一著作者のものの編集利用』は、例外として許諾が必要になる。よって『アー正、イー誤』。
補足40条1項とは別に、国や地方公共団体の機関などで行われた公開の演説・陳述は、報道の目的上正当と認められる場合に新聞・雑誌掲載や放送ができる(同条2項)。利用の入口が複数ある。
問7知財3級 著作③ 美術の著作物等の展示に伴う複製
美術の著作物等の展示に伴う複製に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.美術・写真の著作物の原作品を適法に公に展示する者は、観覧者のための解説・紹介を目的とする小冊子に展示著作物を掲載するなど、必要な限度で複製することができる。
- イ.この展示に伴う複製は、当該展示著作物の種類・用途や複製の部数・態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合であっても、常に認められる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 展示に伴う複製
著作権法第47条第1項「当該展示著作物を複製することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 限界
著作権法第47条第1項「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけイは「権利者の利益を不当に害する場合でも常に認められる」とした肢。47条1項ただし書がまさにその場合を除いており、無制限ではない。
解説美術・写真の著作物の原作品を、展示権(25条)を害することなく適法に公に展示する者は、観覧者のための解説・紹介を目的とする小冊子へ展示著作物を掲載するなど、必要と認められる限度で複製できる(著作権法47条1項)。アはこの規定どおり正しい。もっとも同項にはただし書があり、著作物の種類・用途や複製の部数・態様に照らして著作権者の利益を不当に害することとなる場合は認められない。だから、そうした場合でも常に複製が認められるとするイは誤り。展覧会の解説冊子は作れても、鑑賞用の画集に等しい体裁にまで膨らませることはできない。よって『アー正、イー誤』。
補足「解説・紹介を目的とする」小冊子であることが要件で、観覧者への案内という名目を超えて販売用の作品集になると枠を外れる。部数や画質まで含めて『不当に害しないか』が問われる。
問8知財3級 著作③ 点字による複製
著作権の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公表された著作物は、点字により複製することができる。
- イ.点字による複製であっても、公表された著作物を複製するには、常に著作権者の許諾が必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 点字複製
著作権法第37条第1項「公表された著作物は、点字により複製することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 許諾不要
著作権法第37条第1項「公表された著作物は、点字により複製することができる」e-Gov原文
ひっかけ点字化に許諾は要らない。「常に許諾が必要」が誤りの軸。
解説公表された著作物は、点字により複製することができる(著作権法37条1項)。アはこの条文どおりで正しい。これは権利制限規定であり、点字化に著作権者の許諾は要らない。したがって「点字による複製であっても常に著作権者の許諾が必要」とするイは誤り。視覚障害者等の情報アクセスを保障するため、点字という方式に限っては許諾を経ずに複製できるようにしてある。
補足37条は点字複製(1項)だけでなく、点字データの作成・公衆送信(2項)や福祉事業者による録音図書等の作成・公衆送信(3項)も許諾なしで認めている。
問9知財3級 著作③ 無名・変名の著作物の保護期間
無名又は変名の著作物の保護期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の創作後70年を経過するまでの間、存続する。
- イ.無名又は変名の著作物の著作権は、原則として、その著作物の公表後70年を経過するまでの間、存続する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 起算点
著作権法第52条第1項「無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年を経過するまでの間、存続する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 公表時起算
著作権法第52条第1項「無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年を経過するまでの間、存続する」e-Gov原文
ひっかけ作者の分からない著作物は、公表のときから70年を数えます。
解説アの起算点が誤りで、無名・変名の著作物の著作権は『創作後』ではなく、その著作物の公表後70年を経過するまで存続する(著作権法52条1項)。著作者が誰か分からない以上、死亡時を基準にできないため、公表時から数える。イは同じく公表後70年とするもので正しい。よってアー誤、イー正。ただし、変名が著作者のものとして周知である場合、公表後70年の期間内に実名の登録があった場合、または著作者がその実名・周知の変名を表示して著作物を公表した場合は、原則どおり著作者の死後70年で計算される(同52条2項)。誰の著作物か判明する事情が整えば、起算点は通常の死亡時起算に戻る。
補足団体名義の著作物も同様に公表後70年が原則(同53条)で、起算点を公表時に置く点が無名・変名と共通する。
問10知財3級 著作③ 図書館等における複製
図書館等における著作物の複製に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.図書館等では、営利を目的とするか否かにかかわらず、利用者の求めに応じて著作物を自由に複製することができる。
- イ.図書館等は、利用者の調査研究の用に供するため、公表された著作物の一部分の複製物を一人につき一部提供する等の複製をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 非営利
著作権法第31条第1項「その営利を目的としない事業として」e-Gov原文
- イ.正しい
- 図書館の複製
著作権法第31条第1項「図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために」e-Gov原文
ひっかけ「自由に複製できる」が落とし穴。非営利・一部分・一人一部の枠がある。
解説アの「営利を目的とするか否かにかかわらず自由に複製できる」が誤りで、政令で定める図書館等の複製は営利を目的としない事業として行われる(著作権法31条1項柱書の「その営利を目的としない事業として」)。営利でないことが前提であり、利用者の求めがあれば何でも自由に複製してよいわけではない。イは、利用者の調査研究の用に供するため、公表された著作物の一部分の複製物を一人につき一部提供するという内容で、31条1項1号そのままだから正しい。非営利・一部分・一人一部という枠の中で認められる。
補足2021年改正で、一定の要件を満たす特定図書館等は登録利用者にメール等で著作物の一部分を公衆送信できるようになり、その際は著作権者に補償金を支払う(31条2項・5項)。
問11知財3級 著作③ 映画の著作権消滅と原著作物
映画の著作物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.映画の著作物の著作権が存続期間の満了により消滅しても、その映画の利用に関する原著作物(原作小説等)の著作権は消滅しない。
- イ.映画の著作物の著作権が存続期間の満了により消滅したときは、その映画の利用に関する原著作物の著作権も、映画の著作権とともに消滅したものとされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 原著作物の特則
著作権法第54条第2項「当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする」e-Gov原文
- イ.正しい
- ともに消滅
著作権法第54条第2項「当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする」e-Gov原文
ひっかけ映画の期間が切れると、原作の権利も映画利用との関係では一緒に切れる。
解説映画の著作物の保護期間は公表後70年が原則だが(著作権法54条1項)、原作小説や脚本といった原著作物との関係に特則がある。映画の著作物の著作権が存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、映画の著作権とともに消滅したものとされる(同条2項)。よってアの「原著作物の著作権は消滅しない」は誤り、イの「映画とともに消滅したものとされる」が正しい。原作の権利が一般に消えるのではなく、あくまで映画の利用に関する範囲で映画と運命を共にする。
補足原著作物の著作権が全面的に消えるわけではなく、消滅するのは「当該映画の著作物の利用に関する」限りなので、原作小説そのものの利用には別途原作の著作権が及ぶ。
問12知財3級 著作③ 共有著作権の行使
共有に係る著作権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.共有に係る著作権について、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、自由にその持分を譲渡することができる。
- イ.共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 持分処分の制限
著作権法第65条第1項「各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 全員の合意
著作権法第65条第2項「共有著作権は、その共有者全員の合意によらなければ、行使することができない」e-Gov原文
ひっかけ共有著作権は、持分の譲渡も権利の行使も単独ではできない。
解説共有に係る著作権について、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又は質権の目的とすることができない(著作権法65条1項)。また共有著作権は、共有者全員の合意によらなければ行使できない(同条2項)。アは「同意なく自由に持分を譲渡できる」とする点が65条1項に反するため誤り。イは65条2項どおりで正しい。持分の処分にも権利の行使にも、他の共有者の関与が必要になる。
補足もっとも、各共有者は正当な理由がない限り、持分譲渡の同意や行使の合意を拒めない(65条3項)。同意・合意の要件は、不当な拒絶までは認めていない。
問13知財3級 著作③ 二次的著作物と著作隣接権(総合)
著作権法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二次的著作物に対する著作権法による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼし、原著作物の保護を消滅させる。
- イ.著作隣接権を享有するためには、文化庁への登録という方式の履行が必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 原著作物の保護
著作権法第11条「二次的著作物に対するこの法律による保護は、その原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 無方式主義
著作権法第89条第5項「前各項の権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない」e-Gov原文
ひっかけ翻案しても原作の権利は残り、隣接権の発生にも手続きはいりません。
解説アもイも誤り。アは、二次的著作物に対する保護が原著作物の著作者の権利に『影響を及ぼし、消滅させる』としているが、二次的著作物への保護は原著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない(著作権法11条)。翻訳・編曲・映画化などで二次的著作物が生まれても、原著作物の著作権・著作者人格権はそのまま存続する。イは、著作隣接権の享有に文化庁への登録という方式が必要だとするが、その享有にはいかなる方式の履行をも要しない(無方式主義。同89条5項)。著作権と同じく、登録なしに発生する。よってアー誤、イー誤。二次的著作物の利用には、二次的著作物の著作者だけでなく原著作物の著作者の許諾も必要になる(同28条)ため、原権利が残るこの帰結は実務上も効いてくる。
補足登録は権利発生の要件ではないが、著作権の移転は登録しなければ第三者に対抗できない(同77条)。
問14知財3級 著作③ 公開演説・展示複製(総合)
著作権の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開して行われた政治上の演説を利用するには、いかなる場合も著作者の許諾が必要である。
- イ.美術の著作物の展示者は、著作権者の利益を不当に害することとなる場合であっても、解説・紹介用の小冊子への掲載のための複製を自由に行うことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 公開演説の利用
著作権法第40条第1項「同一の著作者のものを編集して利用する場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 限界
著作権法第47条第1項「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけアは演説の利用に「常に許諾が必要」、イは展示複製を「無制限に自由」とする肢。40条1項は原則自由、47条1項はただし書で限界があり、両肢とも逆を述べていて誤り。
解説公開して行われた政治上の演説は、同一著作者のものを編集して利用する場合を除き、原則として許諾なく利用できる(著作権法40条1項)。だから、いかなる場合も著作者の許諾が必要とするアは誤り。また、美術等の著作物の適法な展示者は、解説・紹介用の小冊子への掲載等のため必要な限度で複製できるが、著作権者の利益を不当に害することとなる場合は認められない(同47条1項ただし書)。よって、そうした場合でも自由に複製できるとするイも誤り。制限規定にはそれぞれ『同一著作者の編集を除く』『不当に害しない限度』といった歯止めが付いている。よって『アー誤、イー誤』。
補足二つの制限は限界の置き方が違う。40条1項の歯止めは『同一著作者のものを編集して利用する場合』という利用の型で、47条1項の歯止めは『権利者の利益を不当に害するか』という程度の問題に置かれている。
問15知財3級 著作③ 著作隣接権の保護期間(放送)
著作隣接権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.放送に係る著作隣接権の存続期間は、その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過した時に満了する。
- イ.実演に係る著作隣接権の存続期間は、その実演が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時に満了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 放送50年
著作権法第101条第2項「放送に関しては、その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して五十年を経過した時」e-Gov原文
- イ.誤り
- 実演70年
著作権法第101条第2項「実演に関しては、その実演が行われた日の属する年の翌年から起算して七十年を経過した時」e-Gov原文
ひっかけ放送と実演の年数を入れ替えると、両方とも崩れる。
解説放送に係る著作隣接権の存続期間は、その放送が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時に満了する(著作権法101条2項3号)。実演に係るものは、翌年から起算して70年で満了する(同項1号)。アは放送を70年とするが正しくは50年なので誤り。イは実演を50年とするが正しくは70年なので誤り。両方とも年数を取り違えており、誤・誤の組み合わせになる。
補足有線放送も放送と同じく翌年から50年で、放送系は50年でそろう(101条2項4号)。50年の組(放送・有線放送)と70年の組(実演・レコード)で線が引かれている。