問1知財3級 不競法③ 周知表示混同惹起行為・著名表示冒用行為
不正競争防止法上の不正競争に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の周知な商品等表示と同一又は類似の表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為は、不正競争に当たる。
- イ.他人の著名な商品等表示と同一又は類似のものを自己の商品等表示として使用する行為は、混同が生じていなくても不正競争に当たりうる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 周知表示混同惹起
不正競争防止法第2条第1項第1号「として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し」e-Gov原文
不正競争防止法第2条第1項第1号「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」e-Gov原文
- イ.正しい
- 著名表示冒用
不正競争防止法第2条第1項第2号「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し」e-Gov原文
ひっかけ1号(周知)は混同が要る。2号(著名)は混同が要らない。ここが両肢の分かれ目。
解説アの「他人の周知な商品等表示と同一・類似の表示を使用し、他人の商品・営業と混同を生じさせる行為」は、周知表示混同惹起行為として不正競争防止法2条1項1号に当たり、正しい。イの「他人の著名な商品等表示と同一・類似のものを自己の表示として使用する行為は、混同が生じていなくても不正競争に当たりうる」も正しい。著名表示冒用行為(同項2号)は、ブランドへのただ乗りや希釈化を防ぐため、1号と違って『混同』を要件としない。よってアー正、イー正。
補足2号の『著名』は1号の『周知』より広い知名度を要し、需要者を超えて全国的に知られている水準が求められる。
問2知財3級 不競法③ 外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止
不正競争防止法上の外国公務員贈賄の禁止に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その職務に関する行為をさせること等を目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
- イ.ここでいう「外国公務員等」には、外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者が含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 外国公務員贈賄
不正競争防止法第18条第1項「金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 対象者
不正競争防止法第18条第2項「外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者」e-Gov原文
ひっかけ賄賂の相手が外国の公務員でも、国際商取引がらみなら不正競争防止法18条が直接届く。
解説アは18条1項の条文どおりで正しい。何人も、外国公務員等に対し、国際的な商取引に関して営業上の不正の利益を得るために、その職務に関する行為をさせること等を目的として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み・約束をしてはならない。イも正しく、外国公務員等には外国の政府又は地方公共団体の公務に従事する者が含まれる(同条2項1号)。組み合わせは正・正。OECD外国公務員贈賄防止条約を国内で実施する規定である。
補足外国公務員等の範囲はさらに広く、政府関係機関の事務従事者や国際機関の公務従事者も含まれる(18条2項各号)。
問3知財3級 不競法③ 営業秘密の三要件
不正競争防止法上の営業秘密に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争防止法上の「営業秘密」とは、秘密として管理されている、事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
- イ.営業秘密として保護されるためには、秘密管理性・有用性・非公知性の3つの要件を満たす必要がある。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 三要件
不正競争防止法第2条第6項「「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」e-Gov原文
- イ.正しい
- 要件充足
不正競争防止法第2条第6項「「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう」e-Gov原文
ひっかけ「秘密として管理」「有用」「公然と知られていない」の三つが一つの定義に畳み込まれている。
解説不正競争防止法上の営業秘密とは、秘密として管理されている生産方法・販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう(不正競争防止法2条6項)。アはこの定義文そのもので正しい。この定義は、秘密管理性(秘密として管理)・有用性(事業活動に有用)・非公知性(公然と知られていない)の3要素から成り、これをすべて満たして初めて営業秘密になる。イの三要件という整理も正しい。
補足実務で争点になりやすいのは秘密管理性で、経産省の営業秘密管理指針はアクセス制限と、接した者が秘密と認識できること(マル秘表示等)の両方を求める。
問4知財3級 不競法③ 先使用による商標の使用をする権利
先使用権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の商標登録出願前から不正競争の目的でなくその商標を使用し、出願の際に需要者の間に広く認識されていた者は、継続使用などの要件を満たせば、その商標を使用する権利を有する。
- イ.商標権者又は専用使用権者は、先使用権を有する者に対し、混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 先使用権
商標法第32条第1項「現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは」e-Gov原文
商標法第32条第1項「その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 混同防止
商標法第32条第2項「混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ先に使い、出願時に周知だった者は使い続けられる。ただし混同防止表示を求められる余地がある。
解説他人の商標登録出願前から、日本国内で不正競争の目的でなくその商標を使用し、出願の際に自己の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識(周知)されていた者は、継続使用などの要件を満たせば、その商品・役務についてその商標を使用する権利を有する(先使用権。商標法32条1項)。アはこの要件をなぞっているので正しい。そして商標権者または専用使用権者は、先使用権者に対し混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求できる(同32条2項)から、イも正しく、『アー正、イー正』。先使用権が成立しても出所混同のリスクは残るため、32条2項で表示請求という調整がかかる。
補足先使用権の成立には出願時に「周知」であることまで必要で、単に出願前から使っていたというだけでは32条1項の要件を満たさない。
問5知財3級 不競法③ 商品形態模倣行為
不正競争防止法上の商品形態の模倣に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の商品の形態(その商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡する行為は、不正競争に当たる。
- イ.商品形態の模倣行為が不正競争に当たるのは、その形態が意匠登録や特許で保護されている場合に限られる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 形態模倣(デッドコピー)
不正競争防止法第2条第1項第3号「他人の商品の形態」e-Gov原文
不正競争防止法第2条第1項第3号「を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し」e-Gov原文
- イ.誤り
- 登録なしでも保護
不正競争防止法第2条第1項第3号「を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し」e-Gov原文
ひっかけ3号の形態模倣に、意匠登録も特許もいらない。『登録がないと守られない』が誤りの肢。
解説アの「他人の商品の形態(機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡する行為」は、不正競争防止法2条1項3号の商品形態模倣行為(デッドコピー規制)に当たり、正しい。イは「形態模倣が不正競争となるのは意匠登録や特許で保護されている場合に限る」とするが、3号は登録の有無を要件としない。登録していない商品形態でも保護されるため、イは誤り。先行開発した商品形態へのただ乗りを、登録制度とは別に規制する仕組みである。よってアー正、イー誤。
補足2条5項は『模倣』を、他人の商品形態に依拠して実質的に同一の形態の商品を作り出すことと定義しており、独自に同種の形態へ到達した場合は含まない。
問6知財3級 不競法③ 不正競争訴訟における書類提出命令
不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所は、不正競争による営業上の利益の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、当事者に対し、侵害行為の立証や損害の計算に必要な書類の提出を命ずることができる。
- イ.書類の所持者が提出を拒むことについて正当な理由があるときであっても、裁判所は書類の提出を命じなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文が提出を命ずることができると定める
不正競争防止法第7条「当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため」e-Gov原文
- イ.誤り
- ただし書が正当な理由による拒絶を認める
不正競争防止法第7条「その提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ本文だけ読むと「命ずることができる」が「常に命じる」に見え、ただし書の逃げ道を見落とす。
解説第7条本文は、裁判所が当事者の申立てにより、侵害の立証又は損害の計算に必要な書類等の提出を命ずることができると定める。アはこの本文どおりで正しい。イは、所持者に提出を拒む正当な理由があっても裁判所は提出を命じなければならないとするが、7条にはただし書があり、提出を拒むことについて正当な理由があるときはこの限りでないとされる。命令は義務ではなく、正当な理由があれば外れる。だからイは誤り。義務的か裁量的かを、ただし書まで読んで決める問題である。
補足正当な理由の有無を判断するため、裁判所は書類を提示させて非公開で見ることができ、誰もその開示を求められない(インカメラ手続)。
問7知財3級 不競法③ 技術的制限手段回避装置等の提供
不正競争防止法上の技術的制限手段に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより、影像の視聴等を可能とする機能を有する装置等を一定の態様で譲渡等する行為は、不正競争に当たり得る。
- イ.技術的制限手段を回避する機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為は、常に不正競争防止法の対象外である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 技術的制限手段
不正競争防止法第2条第1項第17号「当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置」e-Gov原文
- イ.誤り
- 電気通信回線による提供
不正競争防止法第2条第1項第17号「当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為」e-Gov原文
ひっかけ規制されるのは物理的な装置の販売だけ、と考えるとイを正しいと誤る。ネット経由のプログラム提供も対象になる。
解説営業上用いられている技術的制限手段(コピーガードなど)の効果を妨げて、影像の視聴や記録などを可能にする機能を持つ装置やプログラムを、一定の態様で提供する行為は、不正競争に当たり得る(不正競争防止法2条1項17号)。アはこのとおりで正しい。そうしたプログラムを電気通信回線(インターネット等)を通じて提供する行為も条文上明示されているので、「常に対象外」とするイは誤り。
補足技術的制限手段の規制は、コピーコントロールやアクセスコントロールを回避する装置・プログラムの流通を止め、コンテンツ提供のビジネスを保護する趣旨である。
問8知財3級 不競法③ ドメイン名の不正取得等
不正競争防止法上のドメイン名に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正の利益を得る目的又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示と同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有・使用する行為は、不正競争に当たり得る。
- イ.ドメイン名の不正取得等が不正競争となるには、常に実際の商品の混同が発生していることが必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- ドメイン名不正取得等
不正競争防止法第2条第1項第19号「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示」e-Gov原文
- イ.誤り
- 混同要件との混同
不正競争防止法第2条第1項第19号「同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為」e-Gov原文
ひっかけドメイン名が問題になるには実際の商品混同が要る、と考えるとイを正しいと誤る。図利加害目的が中心要件で、混同の発生までは要しない。
解説不正の利益を得る目的または他人に損害を加える目的(図利加害目的)で、他人の特定商品等表示と同一・類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有し、またはそのドメイン名を使用する行為は、不正競争に当たり得る(不正競争防止法2条1項19号)。アはこのとおりで正しい。中心要件は図利加害目的であって、周知表示混同惹起(1号)のように現実の商品・営業の混同発生を常に要求する類型ではないので、イは誤り。
補足これは、有名企業のブランド名などを先取りしてドメイン名を取得する、いわゆるサイバースクワッティングに対処する規定である。
問9知財3級 不競法③ 差止請求権
不正競争に対する差止請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争に対して差止請求をするには、現実に営業上の損害が発生していることが必要である。
- イ.不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- おそれで足りる
不正競争防止法第3条第1項「不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 差止請求権
不正競争防止法第3条第1項「不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ差止めは損害が出てからでなくてよい。3条1項は『おそれ』があれば請求を認める。
解説アは「差止請求には現実に営業上の損害が発生していることが必要」とするが、不正競争防止法3条1項は『侵害されるおそれがある者』も停止・予防を請求できると定める。現実の損害発生は要件でないため、アは誤り。イの「営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その侵害の停止又は予防を請求できる」は、同項の文言どおりで正しい。差止めは侵害を未然に防ぐ救済なので、おそれの段階で行使できる。よってアー誤、イー正。
補足損害賠償(4条)は故意・過失と現実の損害が要るのに対し、差止め(3条)は故意・過失も損害発生も不要で、行使の前提が異なる。
問10知財3級 不競法③ 損害の額の推定
不正競争による損害賠償における損害額の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争による損害賠償請求では、侵害者がその侵害行為によって利益を受けていても、その利益額を被害者の損害額と推定する規定はない。
- イ.侵害者がその侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額が、被害者の受けた損害の額と推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 損害額の推定
不正競争防止法第5条第2項「その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 立証負担の軽減
不正競争防止法第5条第2項「その利益の額は、その営業上の利益を侵害された者が受けた損害の額と推定する」e-Gov原文
ひっかけ侵害者が得た利益額は、被害者の損害額と推定されます。
解説侵害者がその侵害行為によって利益を受けているときは、その利益の額が、営業上の利益を侵害された者の受けた損害の額と推定される(不正競争防止法5条2項)。この推定規定があるため、「利益額を損害額と推定する規定はない」とするアは誤り。同じ5条2項を述べたイは正しい。不正競争による損害は額の立証が難しいことが多く、被害者の立証負担を軽くするために、譲渡数量による算定(同1項)や使用料相当額の請求(同3項)と並んでこの推定が置かれている。
補足5条2項はあくまで「推定」なので、侵害者が反証すれば損害額は利益額より小さく認定されうる。
問11知財3級 不競法③ 具体的態様の明示義務
不正競争の侵害訴訟に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争の侵害訴訟においては、侵害を主張される側(相手方)は、自己の行為の具体的態様を明らかにする義務を負うことはない。
- イ.侵害の行為を組成したものとして主張された物又は方法の具体的態様を相手方が否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 立証の負担調整
不正競争防止法第6条「相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 明示義務
不正競争防止法第6条「侵害の行為を組成したものとして主張する物又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない」e-Gov原文
ひっかけアは相手方に明示義務が「ない」と言い切る肢。6条は否認するなら自己の行為態様を明らかにせよと定めており、義務がないとする点が誤り。
解説侵害の行為を組成したものとして主張される物又は方法の具体的態様を相手方が否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない(不正競争防止法6条)。だから相手方が具体的態様を明らかにする義務を負うことはないとするアは誤り。否認する以上は自己の行為の具体的態様を示せとするイは、この規定どおりで正しい。営業秘密の不正使用などでは侵害の中身を権利者がつかみにくいため、単なる否認を許さず、立証の負担を当事者間で調整している。よって『アー誤、イー正』。
補足この明示義務にも例外があり、相手方において明らかにできない相当の理由があるときは義務を負わない(6条ただし書)。否認すれば必ず手の内を全部見せろ、というわけではない。
問12知財3級 不競法③ 外国の国旗等の商業上の使用禁止
不正競争防止法上の外国国旗等の使用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.外国の国旗等と同一又は類似の記章を商標として使用する行為は、不正競争防止法上、何ら規制されていない。
- イ.何人も、外国の国旗等と同一又は類似の記章を商標として使用すること等は、原則として禁止される(権限ある外国官庁の許可がある場合を除く)。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 使用禁止
不正競争防止法第16条第1項「外国国旗等類似記章を商標として使用した商品を譲渡し、引き渡し」e-Gov原文
- イ.正しい
- 国際信義
不正競争防止法第16条第1項「外国国旗等類似記章を商標として使用して役務を提供してはならない」e-Gov原文
ひっかけ外国の国旗・紋章を勝手に商標へ使うことは、原則として禁じられている。
解説何人も、外国の国旗・国の紋章その他の記章であって経済産業省令で定めるもの(外国国旗等類似記章)と同一・類似のものを商標として使用し、又はこれを使用した商品を譲渡・輸出入等してはならない(不正競争防止法16条1項)。アは「何ら規制されていない」とする点が16条1項に反するため誤り。イは原則禁止とし、権限ある外国官庁の許可がある場合を除くとしており正しい。これは競争行為そのものの規制ではなく、国際信義を保つための規定である。
補足16条1項の対象は外国の「国旗・国の紋章その他の記章」。外国の紋章(16条2項)や外国政府等の監督用・証明用の印章・記号(16条3項)にも別途規制があり、いずれも権限ある外国官庁の許可があれば適用されない。
問13知財3級 不競法③ 周知表示・形態模倣の要件(総合)
不正競争防止法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.周知表示混同惹起行為に当たるためには、その他人の商品等表示が全国的に著名な程度にまで知られていることが必要である。
- イ.他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為は、その形態が意匠登録されている場合に限り、不正競争となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 周知<著名
不正競争防止法第2条第1項第1号「として需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し」e-Gov原文
- イ.誤り
- 登録なしでも保護
不正競争防止法第2条第1項第3号「他人の商品の形態」e-Gov原文
不正競争防止法第2条第1項第3号「を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し」e-Gov原文
ひっかけ1号は周知で足り、著名までは不要。3号の形態模倣に登録は不要。両方とも要件を盛りすぎた誤りの肢。
解説アは「周知表示混同惹起行為には全国的に著名な程度まで知られていることが必要」とするが、不正競争防止法2条1項1号は『需要者の間に広く認識されている』(周知)で足り、2号の『著名』ほどの知名度は要しない。要件を著名まで引き上げているため、アは誤り。イは「形態模倣が不正競争となるのは意匠登録されている場合に限る」とするが、3号は登録の有無を要件としない。登録がなくても保護されるため、イも誤り。よってアー誤、イー誤。
補足登録不要の形態模倣保護にも期限があり、19条1項6号イにより、日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品は規制対象から外れる。
問14知財3級 不競法③ 不正競争に対する損害賠償
不正競争に対する損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争に対する損害賠償を請求するには、相手方の故意又は過失は必要なく、不正競争の事実だけで足りる。
- イ.不正競争防止法には、不正競争による損害の賠償に関する規定は存在しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 故意過失が要件
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 損害賠償責任
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」e-Gov原文
ひっかけアは故意・過失を不要と言い、イは損害賠償規定の存在自体を否定する。4条は故意・過失を要件として損害賠償責任を定めており、どちらも誤り。
解説故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる(不正競争防止法4条)。損害賠償の成立には故意又は過失が必要であり、「不正競争の事実だけで足りる」とするアは誤り。同条という規定が現に存在する以上、「損害の賠償に関する規定は存在しない」とするイも誤り。差止請求(3条)が故意・過失を問わないのに対し、損害賠償(4条)は故意・過失を要件とする点で両者は分かれる。よって『アー誤、イー誤』。
補足損害額の立証負担を軽くするため、譲渡数量などから損害額を算定する推定規定が置かれている(5条)。同じ不正競争でも、差止め(3条)と損害賠償(4条)で要件が違う。
問15知財3級 不競法③ 営業秘密に関する差止請求権の消滅時効
営業秘密の不正使用に対する差止請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.営業秘密を使用する行為に対する差止請求権には消滅時効の適用がなく、いつまでも行使することができる。
- イ.営業秘密を使用する行為に対する差止請求権は、その行為の開始の時から起算しても、期間の経過によって消滅することはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 消滅時効あり
不正競争防止法第15条「侵害の停止又は予防を請求する権利は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 20年の上限
不正競争防止法第15条「その行為の開始の時から二十年を経過したとき」e-Gov原文
ひっかけ営業秘密の差止請求権も、放置すれば時効で消える。20年という出口がある。
解説営業秘密を使用する行為に対する差止請求権(不正競争防止法3条1項)は、永久に行使できるわけではなく消滅時効にかかる。その行為により営業上の利益を侵害される保有者が、その事実およびその行為を行う者を知った時から3年間行わないとき、またはその行為の開始の時から20年を経過したときは、時効によって消滅する(同15条1項)。アは『消滅時効の適用がなくいつまでも行使できる』とするが、時効にかかるため誤り。イは『行為の開始時から起算しても消滅しない』とするが、開始から20年で消滅するため誤り。よって『アー誤、イー誤』。
補足3年(知った時から)と20年(行為開始から)は、いずれか早く満了した方で差止請求権が消滅する。20年は不法行為による損害賠償請求権の長期の期間(民法724条2号)に合わせたものである。