問1知財3級 特許実案③ 特許の要件(産業上利用可能性・新規性)
特許の要件に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.産業上利用することができる発明をした者は、一定の場合を除き、その発明について特許を受けることができる。
- イ.特許出願前に日本国内または外国において公然知られた発明は、原則として特許を受けることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 産業上利用可能性
特許法第29条第1項「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 新規性
特許法第29条第1項第1号「特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明」e-Gov原文
ひっかけ公知の出所が他人か自分かは問わない。出願前に世に出た時点で新規性は消える。
解説産業上利用することができる発明をした者は、29条1項各号の除外事由がない限り特許を受けられる(特許法29条1項柱書)。アはこの柱書のとおりで正しい。その除外事由の筆頭が新規性の喪失で、出願前に日本国内または外国で公然知られた発明は、原則として特許を受けられない(同項1号)。イはこれに当たり正しい。1号の『公然知られた』のほか、公然実施(2号)、刊行物記載・インターネット公開(3号)も同じく新規性を失わせる。出願より先に発明を世に出すと、自分の公表でも新規性は消える。
補足1号の『公然知られた』と2号の『公然実施された』は別号で、外形上は使っているが内容までは知られていない実施でも2号で新規性を失うことがある。
問2知財3級 特許実案③ 職務発明
職務発明に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者等は、従業者等がした職務発明について従業者等が特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
- イ.契約や勤務規則等であらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させると定めたときは、その権利は発生した時から使用者等に帰属する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 使用者の通常実施権
特許法第35条第1項「その特許権について通常実施権を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 原始帰属
特許法第35条第3項「その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属する」e-Gov原文
ひっかけ事前の定めの有無で、権利が最初から会社に立つか従業者に立つかが分かれる。
解説使用者等は、従業者等がした職務発明について従業者等が特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する(特許法35条1項)。これは法律上当然に生じる無償の通常実施権で、アはこのとおり正しい。さらに、契約・勤務規則等であらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させると定めたときは、その権利は発生した時から使用者等に帰属する(同35条3項)。イはこの原始帰属の規定どおりで正しい。定めがなければ権利は従業者に生じ、使用者は1項の通常実施権を持つにとどまる。
補足35条3項で権利を会社に取得させた場合、従業者は対価ではなく『相当の利益』を受ける権利を持つ(35条4項。金銭に限らず留学や昇進等でもよい)。
問3知財3級 特許実案③ 特許権の効力と効力が及ばない範囲
特許権の効力に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
- イ.特許権の効力は、試験または研究のためにする特許発明の実施には及ばない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 実施の専有
特許法第68条「特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 効力の制限
特許法第69条第1項「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない」e-Gov原文
ひっかけ68条の独占を、69条1項の試験・研究がそのまま一部くり抜いている。
解説特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法68条)。正当な権原なく業として実施する者を排除できる独占権で、アはこのとおり正しい。ただし効力は無制限ではなく、試験または研究のためにする特許発明の実施には及ばない(同69条1項)。イはこの69条1項どおりで正しい。検証や改良のための実施まで禁じれば技術の進歩を妨げるため、69条が68条の独占を切り欠いている。
補足69条1項が外すのは『試験・研究のため』の実施に限られ、研究を口実にした業としての販売や量産までは免れない。
問4知財3級 特許実案③ 先願主義
特許出願の先後関係に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一の発明について異なった日に2以上の特許出願があったときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。
- イ.同一の発明について同日に2以上の特許出願があったときは、特許出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 先願主義
特許法第39条第1項「同一の発明について異なつた日に二以上の特許出願があつたときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 同日出願の処理
特許法第39条第2項「同一の発明について同日に二以上の特許出願があつたときは、特許出願人の協議により定めた一の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる」e-Gov原文
ひっかけアもイも、条文をそのまま述べた肢。引っかける要素がない分、39条1項と2項の言い回しを丸ごと知っているかが問われる。
解説同一の発明について異なった日に2以上の特許出願があったときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる(特許法39条1項)。優先するのは早く発明した者ではなく、早く出願した者である。同一の発明について同日に2以上の出願があったときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許を受けられ、協議が不成立に終わったり協議そのものができなかったりしたときは、いずれの出願人も特許を受けられない(同39条2項・4項)。アは39条1項、イは39条2項の文言どおりで、ともに正しい。
補足同日出願で協議がまとまらないと、誰も特許を受けられない(39条2項・4項)。先に出願していても同日が複数あれば自動で決着するわけではない。
問5知財3級 特許実案③ 発明の定義
特許法上の「発明」に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許法上「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
- イ.万有引力の法則のような自然法則それ自体の発見も、新規であれば特許法上の発明として保護される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 創作であること
特許法第2条第1項「「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」e-Gov原文
- イ.誤り
- 発見≠創作
特許法第2条第1項「「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」e-Gov原文
ひっかけ万有引力を見つけただけでは、それは発見であって発明ではない。
解説特許法上の発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう(特許法2条1項)。要件は『自然法則を利用』と『創作』の二つ。万有引力の法則のように自然法則それ自体を見つけただけのものは、創作ではなく発見にとどまるため発明に当たらない(イが誤りなのはここ)。アはこの定義そのままで正しい。なお、自然法則に反する永久機関や、自然法則を使わない単なる計算方法・ゲームのルールも、同じ理由で発明には該当しない。万有引力を『見つけた』のか、それを『利用して何かを創った』のかが分岐点になる。
補足自然法則『に反する』永久機関や、自然法則を『使わない』暗号方式・課金スキームのような人為的取決めも、同じ2条1項の網から外れる。
問6知財3級 特許実案③ 新規性喪失の例外
新規性喪失の例外に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許を受ける権利を有する者の意に反して公然知られるに至った発明は、一定の要件の下で、新規性を失わなかったものとして扱われる場合がある。
- イ.新規性喪失の例外の適用を受けられるのは、発明が公然知られるに至った日から3年以内に特許出願をした場合である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 救済規定
特許法第30条第1項「特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十九条第一項各号のいずれかに該当するに至つた発明は、その該当するに至つた日から一年以内にその者がした特許出願」e-Gov原文
- イ.誤り
- 期間は1年
特許法第30条第1項「その該当するに至つた日から一年以内にその者がした特許出願」e-Gov原文
ひっかけ救済期間は1年。イの『3年』はこの一点だけで切れる。
解説出願前の公表は原則として新規性を奪うが、救済の余地がある。特許を受ける権利を有する者の意に反して29条1項各号に該当するに至った発明は、その該当するに至った日から1年以内にその者がした特許出願について、新規性を失わなかったものとして扱われうる(特許法30条1項)。アはこの趣旨どおりで正しい。期間は1年であって3年ではないため、『3年以内』とするイは誤り。意に反した公知のほか、自己の行為による公知も対象となるが、いずれも1年の枠と所定手続を外せば救済されない。
補足意に反する公知(30条1項)と、自己の行為による公知(30条2項)は別枠で、後者は出願時に適用を受ける旨の書面提出など所定の手続を要する。
問7知財3級 特許実案③ 特許権侵害に対する差止請求権
特許権侵害への対応に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権者は、自己の特許権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求することができる。
- イ.特許権侵害に対して差止請求をするには、侵害者に故意または過失があることを立証しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 差止請求権
特許法第100条第1項「自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 損害賠償とは別
特許法第100条第1項「自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ故意・過失が要るのは賠償の話。差止めは相手の落ち度を問わない。
解説特許権者は、自己の特許権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求できる(差止請求権。特許法100条1項)。アはこの100条1項どおりで正しい。差止めは侵害状態をやめさせる救済なので、相手の故意・過失は要件にならない。『故意または過失の立証が必要』とするイは誤り。故意・過失が要るのは損害賠償請求(民法709条)の側で、差止めと損害賠償で要件が分かれる。なお『おそれがある者』に対しても、侵害が現実化する前に予防を請求できる。
補足賠償側でも特許権侵害は過失が推定されるため(特許法103条)、被害者が相手の落ち度を一から立証する負担は軽い。
問8知財3級 特許実案③ 共同出願
特許を受ける権利が共有である場合の出願に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
- イ.特許を受ける権利が共有に係るときであっても、各共有者は単独で自由に特許出願をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 共同出願
特許法第38条「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 単独出願不可
特許法第38条「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない」e-Gov原文
ひっかけイの「単独で自由に」が38条の真逆。共有なら出願は共同が原則で、一人歩きはできない。
解説特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができない(特許法38条)。一人の共有者が単独で出願することは認められない。アはこの38条をそのまま述べた肢で正しく、「単独で自由に特許出願をすることができる」とするイは同条に反して誤り。よって組み合わせは『アー正、イー誤』。共同研究の成果のように権利が複数人に帰属する場面で、出願という入口を全員一致に縛る規定である。
補足出願の場面だけでなく、共有に係る特許を受ける権利は、他の共有者の同意を得なければその持分を譲渡することもできない(33条3項)。
問9知財3級 特許実案③ 進歩性
特許の要件のうち進歩性に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公知の発明から容易に発明をすることができたものであっても、その発明が公知の発明と完全に同一でなければ、当然に特許を受けることができる。
- イ.その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、出願前の公知発明等に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明は特許を受けることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 新規性だけでは不足
特許法第29条第2項「特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 進歩性
特許法第29条第2項「特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が前項各号に掲げる発明に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明については、同項の規定にかかわらず、特許を受けることができない」e-Gov原文
ひっかけ公知発明と少し違えば通る、というアの理屈を29条2項が塞いでいる。
解説新規性(出願前に同一発明が公知でないこと)を満たしても、それだけでは足りない。アは『同一でなければ当然に特許を受けられる』とするが、これは誤り。その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(当業者)が、出願前の公知発明等に基いて容易に発明をすることができたときは、進歩性を欠き特許を受けられない(特許法29条2項)。イはこの29条2項の文言どおりで正しい。判断軸が、新規性は『同じものがあるか』、進歩性は『容易に思いつけるか』と異なる。
補足進歩性の基準となる『当業者』は実在の特定人ではなく、その分野の通常知識を持つ仮想の人物として観念される。
問10知財3級 特許実案③ 特許権の存続期間
特許権の存続期間に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日から起算して10年をもって終了する。
- イ.特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 起算点は出願日
特許法第67条第1項「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 出願日起算20年
特許法第67条第1項「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する」e-Gov原文
ひっかけ権利が生まれるのは登録時、しかし20年を数え始めるのは出願日。
解説特許権は設定の登録で発生するが、存続期間の終わりは出願日を基準に測る。特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する(特許法67条1項)。イはこの条文どおりで正しい。アは『設定登録の日から10年』とするが、起算点も年数も誤り。発生時点(設定登録)と終期の起算点(出願日)がずれている点がそのまま誤答の作りどころになっている。医薬品等では延長制度もあるが、原則の数字は出願日から20年。
補足20年は権利者が払う段ではなく出願日で固定されるため、審査が長引いて登録が遅れると、実際に独占できる期間はその分だけ食われる。
問11知財3級 特許実案③ 実用新案権(登録要件・存続期間)
実用新案に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から20年をもって終了する。
- イ.産業上利用することができる考案であって物品の形状、構造又は組合せに係るものをした者は、一定の場合を除き、実用新案登録を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 10年
実用新案法第15条「実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から十年をもつて終了する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 考案の対象
実用新案法第3条第1項「産業上利用することができる考案であつて物品の形状、構造又は組合せに係るものをした者は、次に掲げる考案を除き、その考案について実用新案登録を受けることができる」e-Gov原文
ひっかけアの数字を「20年」にして特許と混ぜてくる。実用新案は出願日から10年で切れる。
解説実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から10年をもって終了する(実用新案法15条)。特許権の20年とは異なり、アの「20年」は誤り。一方、産業上利用することができる考案であって物品の形状、構造又は組合せに係るものをした者は、一定の除外事由に当たらない限り実用新案登録を受けることができる(同3条1項)から、イは正しい。保護されるのは物品の形状・構造・組合せに係る考案であって、方法はそもそも対象に入らない。したがって『アー誤、イー正』。
補足対象が「物品の形状・構造・組合せ」に限られる結果、方法の考案は実用新案では保護できない(3条1項)。登録時に実体審査を経ない点も特許と分かれる。
問12知財3級 特許実案③ 特許無効審判の請求人
特許無効審判の請求人に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許無効審判は、利害関係の有無にかかわらず、何人も請求することができる。
- イ.特許無効審判は、特許権の消滅後においても請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 消滅後も可
特許法第123条第3項「特許無効審判は、特許権の消滅後においても、請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ無効審判を請求できるのは「誰でも」ではなく、利害関係人です。
解説特許無効審判を請求できるのは、原則として利害関係人に限られる(特許法123条2項。冒認出願や共同出願違反を理由とする場合は、特許を受ける権利を有する者)。アの「何人も請求できる」は誤り。一方、無効審判は特許権の消滅後においても請求でき(同3項)、イは正しい。同じ審判でも、商標の不使用取消審判は「何人も」請求できる(商標法50条1項)ので、請求人の範囲はこの2つで反対になる。
補足冒認・共同出願違反を理由とする無効審判だけは、利害関係人ではなく「特許を受ける権利を有する者」が請求人になる(123条2項括弧書)。
問13知財3級 特許実案③ 専用実施権・共有特許(総合)
特許権の利用と共有に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権者が専用実施権を設定した場合であっても、特許権者自身は当然にその範囲内で特許発明を実施することができる。
- イ.特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、自由にその持分を譲渡することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 専有の効果
特許法第77条第2項「専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 持分処分の制限
特許法第73条第1項「特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない」e-Gov原文
ひっかけ専用実施権を設定すると、その範囲では特許権者も実施できなくなります。
解説アもイも誤り。アは、専用実施権を設定しても特許権者自身が当然にその範囲で実施できるとするが、専用実施権者が設定範囲内で実施を専有する以上、その範囲では特許権者も特許発明を実施できない(特許法77条2項)。実施できる余地が残る非独占的な通常実施権とは、この点が決定的に違う。イは、共有特許の持分を他の共有者の同意なく自由に譲渡できるとするが、各共有者は他の共有者の同意を得なければ持分を譲渡できない(同73条1項)。持分の譲渡先しだいで他の共有者の利益が左右されるためである。よってアー誤、イー誤。専用実施権の『専有』は権利者自身の手も縛る、という効果が両肢を貫く論点になる。
補足特許権者が自社実施を続けたい場合は、専用実施権ではなく独占的通常実施権の許諾で対応するのが通例である。
問14知財3級 特許実案③ 損害額の推定(総合)
特許権侵害による損害賠償に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権侵害による損害賠償請求では、侵害者がその侵害行為により利益を受けていても、その利益額を特許権者の損害額と推定する規定はない。
- イ.特許権者は、実施料相当額を自己が受けた損害の額として賠償請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 推定規定
特許法第102条第2項「その利益の額は、特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 実施料相当額
特許法第102条第3項「その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけアは「推定規定はない」、イは「実施料相当額は請求できない」と、いずれも制度の存在自体を否定する肢。2項・3項が現にある以上、どちらも誤り。
解説侵害者がその侵害行為により利益を受けているときは、その利益の額が特許権者の受けた損害の額と推定される(特許法102条2項)。だから、利益額を損害額と推定する規定はないとするアは誤り。また特許権者は、実施料相当額を自己が受けた損害の額として賠償請求できる(同条3項)から、実施料相当額を請求できないとするイも誤り。これらに加えて譲渡数量に基づく算定(同条1項)もあり、損害額を立証しきれない場合でも一定の賠償を受けやすくする仕組みが重ねて置かれている。よって『アー誤、イー誤』。
補足三つの方法は併存していて、権利者は事案に応じて使い分けられる。1項の譲渡数量による算定では、侵害者の譲渡数量のうち権利者の実施能力を超える部分も、実施料相当額として損害に含められる。
問15知財3級 特許実案③ 補償金請求権(総合)
出願公開後の補償金請求権に関する特許法・実用新案法の復習として、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.出願公開後の補償金請求権は、特許権の設定の登録前であっても、行使することができる。
- イ.出願公開後に第三者が発明を業として実施しても、特許出願人は補償金を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 行使時期
特許法第65条第2項「前項の規定による請求権は、特許権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 補償金請求権
特許法第65条第1項「補償金の支払を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ「請求できない」も「登録前に行使できる」も、向きが違うだけでどちらも外れ。
解説出願公開(特許法64条)後・設定登録前に第三者が発明を業として実施した場合、出願人は警告等を条件に実施料相当額の補償金を請求できる(同65条1項)。よってイの「補償金を請求することはできない」は誤り。もっとも、この補償金請求権は特許権が設定登録された後でなければ行使できない(同条2項)から、アの「設定登録前であっても行使できる」も誤り。請求権の存在自体(公開+警告等で発生)と、それを行使してよい時期(登録後)は別の話で、ここを取り違えると両肢とも正しく見えてしまう。
補足出願が放棄・取下げ・却下されたり拒絶が確定したときは、この補償金請求権は初めから生じなかったものとみなされる(65条6項)。