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個人情報保護法・第21

個人情報保護法(行政機関等の義務)の問題(15問)

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この章で確認する論点

21章では、保有個人情報の定義・個人情報の保有の制限等・適正な取得・安全管理措置・利用及び提供の制限を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

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この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

個人情報保護法60条61条63条64条65条66条67条68条69条76条77条78条79条83条89条90条92条98条100条

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年7月時点の法令に準拠
1保有個人情報の定義

行政機関等における「保有個人情報」の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 「保有個人情報」とは、行政機関等の職員が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該行政機関等の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関等が保有しているものをいう。
  • 職員が個人的に作成したメモ書きであって、組織的に利用されていないものも、「保有個人情報」に含まれる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
60条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第60条第1項当該行政機関等の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関等が保有しているものをいうe-Gov原文

誤り
60条1項は組織的利用を要件とする → 「組織的に利用されていないものも含まれる」は誤り

個人情報保護法第60条第1項当該行政機関等の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関等が保有しているものをいうe-Gov原文

ひっかけ「保有個人情報」の核心要件は「組織的に利用するもの」(60条1項)。職員個人のメモ・下書き段階の文書は組織的利用性を欠けば対象外となりうる。

解説60条は、行政機関等における個人情報保護のこの章(第5章)及び開示請求等の対象を画定する基礎概念として「保有個人情報」を定義する。民間事業者向けの「個人データ」(16条)とは別の定義体系である点、行政文書等に記録されているものに限られる点(ただし書)も併せて押さえる。

補足本問は「行政機関等の義務」章の入口として、まず対象概念を正確に押さえることを目的とする。

2個人情報の保有の制限等

行政機関等による個人情報の保有の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関等は、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有することができる。
  • 行政機関等は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
61条2項は範囲超過の保有を禁止する → 「保有することができる」は誤り

個人情報保護法第61条第2項前項の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を保有してはならないe-Gov原文

正しい
61条3項のとおり → 正しい

個人情報保護法第61条第3項行政機関等は、利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならないe-Gov原文

ひっかけ61条は「保有の制限」の3層構造:①所掌事務・業務遂行に必要な場合に限り利用目的を特定(1項)②特定された範囲を超える保有の禁止(2項)③利用目的変更も相当の関連性の範囲に限定(3項)。

解説61条は、民間事業者向けの利用目的規制(17条・18条)に相当する、行政機関等向けの規律である。行政機関等は法令の定める所掌事務・業務の遂行に必要な場合に限り個人情報を保有でき、利用目的の変更も無制限には認められない点で、民間事業者と同様の目的拘束の理念を共有する。

補足「法令」には条例を含む(61条1項括弧書き)点も、地方公共団体が主体となる場面で重要となる。

3適正な取得

行政機関等による個人情報の適正な取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。
  • 行政機関の長等は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
64条のとおり → 正しい

個人情報保護法第64条偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならないe-Gov原文

正しい
65条のとおり → 正しい

個人情報保護法第65条保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならないe-Gov原文

ひっかけ64条(適正な取得)は「してはならない」という禁止規定、65条(正確性の確保)は「努めなければならない」という努力義務。義務の強さの違いを区別する。

解説64条は取得の適正性(不正取得の禁止)、65条は保有後の正確性確保(努力義務)を定める。民間事業者向けの規律(20条:不適正利用の禁止・適正取得、22条:正確性の確保)と対をなす行政機関等向けの規定であり、条文の構造・趣旨は共通するが、義務主体が「行政機関の長等」である点が異なる。

補足65条が「努めなければならない」という努力義務にとどまるのに対し、64条は「してはならない」という禁止規定である点は、条文の文言を丁寧に読む必要がある典型例。

4安全管理措置

行政機関等における安全管理措置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、保有個人情報の漏えい等の防止のための措置を講じることが望ましいが、法律上の義務ではない。
  • 個人情報の取扱いに従事する行政機関等の職員若しくは職員であった者は、その業務に関して知り得た個人情報の内容を、不当な目的に利用することが許される場合がある。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
66条1項は「講じなければならない」と定める → 「望ましいが義務ではない」は誤り

個人情報保護法第66条第1項保有個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の保有個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならないe-Gov原文

誤り
67条は不当な目的での利用を禁止する → 「許される場合がある」は誤り

個人情報保護法第67条その業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならないe-Gov原文

ひっかけ行政機関等の安全管理措置(66条)は「講じなければならない」という法律上の義務。従事者の秘密保持(67条)も例外のない禁止規定。義務を任意・努力義務に格下げする誤りに注意。

解説66条1項は安全管理措置の実施義務、2項は委託先等(指定管理者・第58条各号の者等)にもこの措置が準用される旨を定める。67条は個人情報の取扱いに従事する職員(元職員・派遣労働者を含む)に対する秘密保持義務を定め、民間事業者の従業者の監督(24条)に相当する規律を行政機関等の職員にも及ぼす。

補足68条の漏えい等の報告等の義務は、66条の安全管理措置が破られた場合の事後対応規定として別途定められている。

5利用及び提供の制限(原則)

行政機関等における保有個人情報の利用及び提供の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、法令に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならない。
  • 行政機関の長等は、いかなる場合であっても、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
69条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第69条第1項利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供してはならないe-Gov原文

誤り
69条2項が例外を認める → 「いかなる場合であってもできない」は誤り

個人情報保護法第69条第2項第1号本人の同意があるとき、又は本人に提供するときe-Gov原文

ひっかけ69条1項の原則(目的外利用・提供の禁止)には、2項各号の例外(本人同意・内部利用の相当理由・他機関への提供・統計目的等)がある。原則と例外を両方押さえる。

解説69条1項は目的外利用・提供の原則禁止、2項は4号にわたる例外事由を定める。民間事業者向けの第三者提供制限(27条)と構造は類似するが、行政機関等では「内部利用」も規律の対象となる点(2項2号)が特色である。3項は他の法令による制限を妨げない旨、4項は特に必要がある場合の内部利用の限定を定める。

補足ただし書(2項柱書後段)により、例外に該当する場合でも、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあるときは目的外利用・提供が制限される。

6開示請求権

保有個人情報の開示請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 開示請求権を有するのは日本国籍を有する成人のみであり、未成年者や外国籍の者は開示請求をすることができない。
  • 未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人は、本人に代わって開示請求をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
76条1項は「何人も」と定める → 「日本国籍を有する成人のみ」は誤り

個人情報保護法第76条第1項行政機関の長等に対し、当該行政機関の長等の属する行政機関等の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができるe-Gov原文

正しい
76条2項のとおり → 正しい

個人情報保護法第76条第2項未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人e-Gov原文

ひっかけ開示請求権の主体は「何人も」(76条1項)=国籍・年齢を問わない。未成年者本人でも請求でき、さらに法定代理人による代理請求も可能(76条2項)という二重の広がりを押さえる。

解説76条1項は開示請求権を「何人も」に認める広い規定であり、行政機関等が保有する自己を本人とする保有個人情報について開示を求める権利を保障する。2項は、未成年者・成年被後見人の法定代理人、本人の委任代理人による代理請求を認め、本人が自ら手続を行うことが困難な場合にも権利行使の途を開いている。

補足開示請求の対象は「自己を本人とする」保有個人情報に限られ、他人の情報を自由に開示請求できるわけではない点に注意。

7開示請求の手続

保有個人情報の開示請求の手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 開示請求は、口頭で行うことができ、書面の提出は不要である。
  • 行政機関の長等は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、開示請求者に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
77条1項は書面提出を要件とする → 「口頭で行うことができ、書面提出は不要」は誤り

個人情報保護法第77条第1項開示請求は、次に掲げる事項を記載した書面e-Gov原文

正しい
77条3項のとおり → 正しい

個人情報保護法第77条第3項に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができるe-Gov原文

ひっかけ開示請求は「書面」が必須(77条1項)。口頭での請求は認められない。形式的な不備は却下ではなく「補正」で対応する点も押さえる(77条3項)。

解説77条1項は開示請求書の記載事項(氏名・住所、保有個人情報を特定する事項)、2項は本人であることを示す書類の提示・提出、3項は形式的不備への補正要求を定める。補正を求める際、行政機関の長等は補正の参考となる情報を提供するよう努める義務も課される(3項後段)。

補足本人確認書類の提示・提出(77条2項)は、なりすまし請求を防ぐための重要な手続的担保である。

8保有個人情報の開示義務

保有個人情報の開示義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、開示請求があったときは、不開示情報が含まれている場合であっても、開示請求者に対し、当該保有個人情報の全部を開示しなければならない。
  • 開示決定等は、開示請求があった日から六十日以内にしなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
78条1項は不開示情報を除外事由とする → 「不開示情報が含まれていても全部開示しなければならない」は誤り

個人情報保護法第78条第1項のいずれかが含まれている場合を除き、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示しなければならないe-Gov原文

誤り
83条1項は「三十日以内」と定める → 「六十日以内」は誤り

個人情報保護法第83条第1項開示決定等は、開示請求があった日から三十日以内にしなければならないe-Gov原文

ひっかけ開示義務の原則は「開示」だが、不開示情報が含まれる場合は例外(78条1項)。開示決定等の期限は「三十日以内」(83条1項、事務処理上の困難等があれば30日以内で延長可)。

解説78条1項は開示義務の原則を定めつつ、1号(開示請求者本人の生命等を害するおそれ)から7号(行政運営に支障を及ぼすおそれ)までの不開示情報を列挙する。79条の部分開示、80条の裁量的開示と合わせ、開示・不開示の判断の全体構造を理解する。83条の期限(原則30日、事務処理上の困難等があれば延長可)は民間事業者の開示対応より厳格に法定されている点が特色である。

補足不開示情報の該当性判断は個人情報保護士試験でも頻出であり、1号〜7号の類型(本人の権利利益・第三者の権利利益・国の安全等・公共の安全と秩序・審議検討協議・事務事業の適正遂行)を大枠で押さえておく。

9訂正請求権

保有個人情報の訂正請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 何人も、自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該保有個人情報の訂正を請求することができる。
  • 訂正請求は、いつまでにしなければならないという期間の制限はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
90条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第90条第1項の内容が事実でないと思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該保有個人情報の訂正e-Gov原文

誤り
90条3項は90日以内という期間制限を定める → 「期間の制限はない」は誤り

個人情報保護法第90条第3項訂正請求は、保有個人情報の開示を受けた日から九十日以内にしなければならないe-Gov原文

ひっかけ訂正請求は「保有個人情報の開示を受けた日から九十日以内」(90条3項)という期間制限がある。開示請求とセットで運用される仕組みである点を理解する。

解説90条1項は訂正請求権の内容(事実誤りの訂正・追加・削除を含む)、2項は代理人による請求、3項は期間制限(開示を受けた日から90日以内)を定める。訂正請求の対象は「開示決定に基づき開示を受けた保有個人情報」等(90条1項各号)に限定されており、開示を受けていない情報について直接訂正を求めることはできない構造になっている。

補足92条の訂正義務は、訂正請求に「理由がある」と認めるときに生じる。理由の有無の判断基準は個別事案ごとになる。

10保有個人情報の訂正義務

保有個人情報の訂正義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、訂正請求があった場合、当該訂正請求に理由がなくても、常に請求どおりの訂正をしなければならない。
  • 行政機関の長等は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
92条は理由があると認めるときに限り訂正義務を課す → 「理由がなくても常に訂正しなければならない」は誤り

個人情報保護法第92条当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならないe-Gov原文

正しい
92条のとおり → 正しい

個人情報保護法第92条当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならないe-Gov原文

ひっかけ訂正義務は「理由がある」と認められて初めて生じる(92条)。請求すれば無条件に訂正されるわけではなく、行政機関の長等による理由の審査を経る。

解説92条は、90条の訂正請求権を受けた行政機関の長等の対応義務を定める。「利用目的の達成に必要な範囲内で」という限定が付されており、無制限の訂正義務ではない点も押さえる。93条は訂正決定等の通知、94条・95条は訂正決定等の期限とその特例を定め、開示請求の手続(82条〜84条)と並行する構造になっている。

補足訂正の対象は「事実」の誤りに限られ、評価や意見の当否は訂正請求の対象とならない点も実務上の重要な区別である。

11利用停止請求権

保有個人情報の利用停止請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 何人も、自己を本人とする保有個人情報が一定の違法事由に該当すると思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。
  • 利用停止請求は、保有個人情報の開示を受けた日から九十日以内にしなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
98条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第98条第1項何人も、自己を本人とする保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該各号に定める措置を請求することができるe-Gov原文

正しい
98条3項のとおり → 正しい

個人情報保護法第98条第3項利用停止請求は、保有個人情報の開示を受けた日から九十日以内にしなければならないe-Gov原文

ひっかけ利用停止請求の期間制限(90日以内・98条3項)は、訂正請求の期間制限(90条3項)と同じ「開示を受けた日から」起算する構造。開示請求→訂正・利用停止請求という手続の連続性を押さえる。

解説98条1項は利用停止請求の事由を1号(違法な保有・取扱い・取得・利用)・2号(違法な提供)に分けて定め、それぞれ請求できる措置(利用停止・消去、提供停止)を対応させる。訂正請求(90条)が「内容の誤り」を対象とするのに対し、利用停止請求は「取扱いの違法性」を対象とする点で問題の性質が異なる。

補足100条の利用停止義務も、訂正義務(92条)と同様「理由があると認めるとき」に生じる条件付き義務であり、かつ「事務又は事業の適正な遂行に著しい支障」があるときはただし書により制限される。

12保有個人情報の利用停止義務

保有個人情報の利用停止義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、利用停止請求に理由があると認めるときは、当該保有個人情報の利用目的の達成に著しい支障が生じる場合であっても、必ず利用停止をしなければならない。
  • 利用停止請求権は、開示請求権や訂正請求権とは異なり、行政機関等の義務の章には規定されていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
100条ただし書は著しい支障がある場合を例外とする → 「必ず利用停止をしなければならない」は誤り

個人情報保護法第100条当該行政機関の長等の属する行政機関等における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしなければならないe-Gov原文

誤り
98条は行政機関等の義務の章に含まれる → 「規定されていない」は誤り

個人情報保護法第98条第1項何人も、自己を本人とする保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該各号に定める措置を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ利用停止義務(100条)にも訂正義務同様、「理由があると認めるとき」の条件に加え、事務事業への著しい支障を理由とする適用除外(ただし書)が付されている点を見落とさない。

解説100条は、98条の利用停止請求を受けた行政機関の長等の対応義務を定める。「個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で」という範囲の限定と、「著しい支障」を理由とする例外(ただし書)の両方が付されており、無条件の利用停止義務ではない。開示請求権(76条)・訂正請求権(90条)・利用停止請求権(98条)は、いずれも「行政機関等の義務」章(第5章)の中に体系的に配置されている。

補足3つの請求権(開示・訂正・利用停止)は、いずれも「何人も」を主体とし、それぞれ76条・90条・98条を起点に、対応する行政機関等の義務規定(78条・92条・100条)とセットで理解すると全体構造が整理しやすい。

13不適正な利用の禁止

行政機関の長等による個人情報の不適正な利用の禁止及び漏えい等の通知に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならない。
  • 行政機関の長等は、保有個人情報の漏えい等の事態が生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、本人に対しその旨を通知しなければならない(一定の例外を除く)。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
63条のとおり → 正しい

個人情報保護法第63条は、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法により個人情報を利用してはならないe-Gov原文

正しい
68条2項のとおり → 正しい

個人情報保護法第68条第2項本人に対し、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を通知しなければならないe-Gov原文

ひっかけ63条の「不適正な利用の禁止」は、民間事業者向けの19条(不適正利用の禁止)に相当する行政機関等向けの規律。68条の漏えい等の対応は「委員会への報告」(1項)と「本人への通知」(2項)の2段構え。

解説63条は、個人情報の取扱いそのものが適正であっても、その「利用のされ方」が違法・不当な行為を助長・誘発するおそれがある場合を禁止する行為規範である。68条は、漏えい等の事態が生じた場合の対応として、1項で個人情報保護委員会への報告義務、2項で本人への通知義務を定め、2項には本人への通知が困難な場合等の例外(1号・2号)が置かれている。

補足68条2項ただし書の例外(本人への通知が困難な場合の代替措置、不開示情報に該当する場合)は、開示義務(78条1項各号)の不開示情報概念と連動している。

14漏えい等の委員会報告・部分開示

保有個人情報の漏えい等の報告及び部分開示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長等は、保有個人情報の漏えい等であって個人の権利利益を害するおそれが大きいものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、その旨を個人情報保護委員会に報告しなければならない。
  • 行政機関の長等は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
68条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第68条第1項個人の権利利益を害するおそれが大きいものとして個人情報保護委員会規則で定めるものが生じたときは、個人情報保護委員会規則で定めるところにより、当該事態が生じた旨を個人情報保護委員会に報告しなければならないe-Gov原文

正しい
79条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第79条第1項不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならないe-Gov原文

ひっかけ78条の開示義務は「不開示情報を含む場合は開示しない」という原則にとどまらず、79条により「区分できる部分は開示する」という部分開示の仕組みまで踏み込む点を押さえる。

解説68条1項は漏えい等の委員会報告義務、79条は開示決定における部分開示の仕組みを定める。79条2項は、開示請求者以外の特定個人を識別できる情報(78条1項2号)について、氏名等の識別部分のみを除けば残りは開示できる場合があるという、より踏み込んだ部分開示のルールも置いている。

補足80条の裁量的開示(不開示情報に該当しても公益上特に必要があると認めるときに任意で開示できる制度)と79条の部分開示(義務的)は、開示の可否を広げる方向で機能する点で共通するが、義務か裁量かという性質が異なる。

15開示請求の手数料

保有個人情報の開示請求に係る手数料に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 行政機関の長に対し開示請求をする者は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならない。
  • 開示請求の手数料の額を定めるに当たっては、行政機関の財政負担の軽減を最優先の考慮要素としなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
89条1項のとおり → 正しい

個人情報保護法第89条第1項行政機関の長に対し開示請求をする者は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の手数料を納めなければならないe-Gov原文

誤り
89条3項は利用しやすさへの配慮を求める → 「財政負担の軽減を最優先」は誤り

個人情報保護法第89条第3項できる限り利用しやすい額とするよう配慮しなければならないe-Gov原文

ひっかけ開示請求の手数料額は「実費の範囲内」かつ「できる限り利用しやすい額」(89条3項)という2つの制約の下で定められる。財政負担の軽減という発想は条文にない。

解説89条は、開示請求先の主体(行政機関の長・地方公共団体の機関・独立行政法人等・地方独立行政法人)ごとに手数料の定め方(政令・条例・独立行政法人等の定め)を分けて規定する。いずれも「実費の範囲内」という上限の制約と、「利用しやすい額」への配慮という2つの理念で貫かれている点で共通する。

補足独立行政法人等・地方独立行政法人が定める手数料額は、それぞれ行政機関(1項)・地方公共団体(2項)の手数料額を「参酌して」定めるものとされ(5項・8項)、機関間の整合性も図られている。

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