問1司法書士 民法③ 相続開始の原因と子の相続権
相続の開始及び相続人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人の子は、相続人とならない。
- イ.相続は、死亡によって開始する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
ひっかけ相続開始の原因は「死亡」のみ。失踪宣告も死亡とみなされて開始する。
解説相続は死亡によって開始する(882条)。被相続人の子は第一順位の相続人となる(887条1項)。相続開始の原因が単純である一方、相続人の範囲・順位・代襲相続の要件は細かく定められており、司法書士試験の頻出領域である。
補足失踪宣告を受けた者は死亡したものとみなされ、相続が開始する(31条・882条)。
問2司法書士 民法③ 子の代襲相続
子の代襲相続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代襲相続は、被相続人の直系卑属でない者であっても認められる。
- イ.被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 直系卑属でない者は認められない → 誤り
民法第887条第2項「被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 887条2項のとおり → 正しい
民法第887条第2項「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき」e-Gov原文
民法第887条第2項「その者の子がこれを代襲して相続人となる」e-Gov原文
ひっかけ代襲相続は「被相続人の直系卑属」であることが要件(887条2項ただし書)。
解説被相続人の子が相続開始以前に死亡し、又は欠格・廃除により相続権を失ったときは、その者の子が代襲して相続人となる(887条2項本文)。ただし、代襲者は被相続人の直系卑属である必要があり(同項ただし書)、例えば養子の連れ子で被相続人と血族関係にない者は代襲相続人となれない。
補足代襲者が更に死亡・欠格・廃除により代襲相続権を失った場合には、再代襲が生ずる(887条3項)。
問3司法書士 民法③ 直系尊属及び兄弟姉妹の相続権
直系尊属及び兄弟姉妹の相続権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.直系尊属のうち親等の異なる者の間では、親等の遠い者を先に相続人とする。
- イ.被相続人の直系尊属は、887条の規定により相続人となるべき者がない場合に、相続人となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 近い者が優先 → 誤り
民法第889条第1項第1号「親等の異なる者の間では、その近い者を先にする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 889条1項1号のとおり → 正しい
民法第889条第1項「第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる」e-Gov原文
民法第889条第1項第1号「被相続人の直系尊属」e-Gov原文
ひっかけ直系尊属の順位は「親等が近い者」が優先(889条1項1号ただし書)。
解説被相続人の子(887条)がいない場合、直系尊属が第一順位、兄弟姉妹が第二順位で相続人となる(889条1項)。直系尊属間では親等の近い者(例:父母)が親等の遠い者(例:祖父母)に優先する。子がいる限り直系尊属・兄弟姉妹は相続人とならない点も重要である。
補足兄弟姉妹が相続人となる場合にも887条2項が準用され、代襲相続が生じ得る(889条2項)。
問4司法書士 民法③ 配偶者の相続権
配偶者の相続権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
- イ.配偶者は、887条又は889条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位で相続人となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 890条後段のとおり → 正しい
民法第890条「第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする」e-Gov原文
ひっかけ配偶者は「常に」相続人。子・直系尊属・兄弟姉妹と「同順位」で並ぶ(890条)。
解説被相続人の配偶者は常に相続人となり、887条・889条により相続人となるべき者(子、直系尊属、兄弟姉妹)があるときは、その者と同順位で共同相続人となる(890条)。配偶者は独立の相続順位を持たず、他の血族相続人の順位に応じて相続分が変わる点が特徴である(900条)。
補足ここでいう配偶者は法律上の婚姻関係にある者に限られ、内縁配偶者には相続権が認められない(判例)。
問5司法書士 民法③ 法定相続分(子と配偶者)
法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一である。
- イ.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 900条1号のとおり → 正しい
民法第900条第1号「子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 900条2号のとおり → 正しい
民法第900条第2号「配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする」e-Gov原文
ひっかけ配偶者の相続分は共同相続人により「1/2・2/3・3/4」と変動する(900条)。
解説法定相続分は、子+配偶者なら各二分の一(900条1号)、配偶者+直系尊属なら配偶者三分の二・直系尊属三分の一(同条2号)、配偶者+兄弟姉妹なら配偶者四分の三・兄弟姉妹四分の一(同条3号)と定められている。共同相続人の組合せごとに配偶者の取り分が変わる点を正確に押さえる必要がある。
補足父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一である(900条4号ただし書)。
問6司法書士 民法③ 遺言による相続分の指定
遺言による相続分の指定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人は、法定相続分の規定にかかわらず、遺言で共同相続人の相続分を定めることができる。
- イ.相続分の指定は、遺言によるほか、これを定めることを第三者に委託することもできる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 902条1項のとおり → 正しい
民法第902条第1項「被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め」e-Gov原文
- イ.正しい
- 902条1項のとおり → 正しい
民法第902条第1項「これを定めることを第三者に委託することができる」e-Gov原文
ひっかけ相続分の指定は「遺言で自ら定める」だけでなく「第三者に委託」する方法もある(902条1項)。
解説被相続人は、法定相続分(900条・901条)にかかわらず、遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる(902条1項)。共同相続人のうち一部の者の相続分のみを定めた場合、他の共同相続人の相続分は法定相続分の規定によって定まる(同条2項)。
補足遺言による相続分の指定は、遺留分に関する規定に違反することができない(902条1項ただし書)。
問7司法書士 民法③ 相続の承認・放棄をすべき期間
相続の承認又は放棄をすべき期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から六箇月以内に、相続について単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
- イ.915条1項の期間は、いかなる場合であっても伸長することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 三箇月であり六箇月ではない → 誤り
民法第915条第1項「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 伸長できないわけではない → 誤り
民法第915条第1項「この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる」e-Gov原文
ひっかけ熟慮期間「三箇月」は「知った時」から起算。家庭裁判所の許可で伸長できる(915条1項)。
解説相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月(熟慮期間)以内に、単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選択しなければならない(915条1項本文)。この期間は利害関係人又は検察官の請求により家庭裁判所が伸長できる(同項ただし書)。承認・放棄の前に相続財産の調査をすることもできる(同条2項)。
補足熟慮期間内に何も選択しなかった場合は、単純承認をしたものとみなされる(921条2号、法定単純承認)。
問8司法書士 民法③ 単純承認の効力
単純承認の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。
- イ.相続人が相続財産の全部を処分したときは、原則として単純承認をしたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 920条のとおり → 正しい
民法第920条「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 921条1号のとおり → 正しい
民法第921条第1号「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」e-Gov原文
ひっかけ単純承認は「無限責任」。相続財産の処分は「法定単純承認」事由になる(920条・921条)。
解説単純承認をした相続人は、無限に被相続人の権利義務を承継する(920条)、すなわちプラスの財産だけでなく債務も限定なく引き継ぐ。相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、単純承認の意思表示をしなくても単純承認をしたものとみなされる(921条1号本文、法定単純承認)。ただし保存行為や短期賃貸借は処分に当たらない(同号ただし書)。
補足熟慮期間内に限定承認・放棄をしなかったときも法定単純承認となる(921条2号)。
問9司法書士 民法③ 法定単純承認(相続財産の隠匿・消費)
法定単純承認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人が保存行為をしたときは、それだけで単純承認をしたものとみなされる。
- イ.相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったときは、単純承認をしたものとみなされることがある。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 保存行為は除外される → 誤り
民法第921条第1号「保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 921条3号のとおり → 正しい
民法第921条第3号「限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき」e-Gov原文
ひっかけ法定単純承認は「単純な財産管理(保存行為)」は除外し、「背信的な隠匿・消費」は含める(921条)。
解説法定単純承認事由は、(1号)相続財産の処分(ただし保存行為・短期賃貸を除く)、(2号)熟慮期間内に限定承認・放棄をしなかったこと、(3号)限定承認・放棄後の相続財産の隠匿・私消費・悪意の目録不記載、の三類型である(921条)。相続人の背信的な行動を単純承認とみなすことで、限定承認・放棄による責任限定・免脱の濫用を防ぐ。
補足3号の場合でも、放棄によって相続人となった者が既に相続の承認をした後は単純承認とみなされない(921条3号ただし書)。
問10司法書士 民法③ 相続放棄の効力
相続の放棄の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人であったものとみなされる。
- イ.相続の放棄をした者に子がいる場合、その子が代襲して相続人となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 相続人とならなかったとみなされる(逆) → 誤り
民法第939条「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 放棄者の子は代襲相続しない → 誤り
民法第939条「初めから相続人とならなかったものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ「死亡・欠格・廃除」は代襲原因だが、「放棄」は代襲原因ではない(887条2項・939条)。
解説相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされる(939条)。代襲相続の原因は死亡・欠格・廃除に限られ(887条2項)、放棄は含まれないため、放棄をした者の子が代襲相続することはない。この点は死亡・欠格・廃除との違いとして頻出の論点である。
補足相続の放棄は、家庭裁判所への申述によってしなければならない(938条)。
問11司法書士 民法③ 遺言の方式
遺言の方式に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺言は、この法律に定める方式によらなくても、遺言者の真意が明らかであれば有効にすることができる。
- イ.遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書のいずれかの方式に限られ、特別の方式によることは一切許されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 方式に従わなければできない → 誤り
民法第960条「遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特別方式も許される → 誤り
民法第967条「特別の方式によることを許す場合は、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ遺言は「要式行為」。普通方式(自筆証書・公正証書・秘密証書)の他に特別方式もある(960条・967条)。
解説遺言は民法の定める方式に従わなければすることができない要式行為である(960条)。普通の方式による遺言は自筆証書・公正証書・秘密証書の三種であるが(967条本文)、危急時遺言・隔絶地遺言等の特別の方式によることが許される場合もある(同条ただし書)。方式を欠く遺言は無効となる点が重要である。
補足自筆証書遺言は原則として全文・日付・氏名を自書し押印することを要する(968条1項)。
問12司法書士 民法③ 遺言の効力発生時期
遺言の効力の発生時期に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
- イ.遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は遺言者の死亡時にさかのぼって効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 985条1項のとおり → 正しい
民法第985条第1項「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 死亡時にさかのぼらない → 誤り
民法第985条第2項「その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる」e-Gov原文
ひっかけ遺言の効力発生は原則「死亡時」。停止条件付きなら「条件成就時」(985条)。
解説遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる(985条1項)。停止条件を付した遺言で、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は条件が成就した時から効力を生ずる(同条2項)。死亡時に遡及するわけではない点に注意する。
補足遺言は生前にいつでも撤回することができ、その撤回権は放棄できない(1022条・1026条)。
問13司法書士 民法③ 遺留分の帰属及びその割合
遺留分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を有する。
- イ.直系尊属のみが相続人である場合の遺留分の割合は、二分の一である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 1042条1項のとおり → 正しい
民法第1042条第1項「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として」e-Gov原文
- イ.誤り
- 二分の一ではなく三分の一 → 誤り
民法第1042条第1項第1号「直系尊属のみが相続人である場合三分の一」e-Gov原文
ひっかけ遺留分は「兄弟姉妹には認められない」。割合は「直系尊属のみ=1/3」「それ以外=1/2」(1042条)。
解説兄弟姉妹以外の相続人は遺留分を有し、遺留分算定の基礎となる財産の価額に、直系尊属のみが相続人である場合は三分の一、それ以外の場合は二分の一を乗じた額を受ける(1042条1項)。相続人が複数いる場合には、さらに各自の法定相続分(900条・901条)を乗じた割合となる(同条2項)。
補足兄弟姉妹には遺留分が認められないため、兄弟姉妹のみが相続人となる場合には遺留分侵害額請求はできない。
問14司法書士 民法③ 遺留分侵害額の請求
遺留分侵害額の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
- イ.遺留分侵害額請求権は、目的物そのものの返還(現物返還)を原則とし、金銭での支払は認められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 1046条1項のとおり → 正しい
民法第1046条第1項「受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 金銭での支払が原則 → 誤り
民法第1046条第1項「遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ遺留分侵害額請求は「金銭債権」。現物(不動産等)の返還請求ではない(1046条)。
解説遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる(1046条1項)。平成30年改正前は目的物に対する物権的な効果(現物返還)が生ずる遺留分減殺請求権であったが、改正後は金銭債権として構成される遺留分侵害額請求権に一本化された。
補足遺留分侵害額は、遺留分の額から遺贈・特別受益等を控除し、承継債務額を加算して算定する(1046条2項)。
問15司法書士 民法③ 誤りやすい論点(複数相続人の遺留分割合の算定)
相続人が複数ある場合の遺留分の割合に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相続人が数人ある場合には、遺留分の割合は、900条及び901条の規定により算定した各自の相続分を乗じた割合とされる。
- イ.配偶者及び子が相続人である場合、各自の個別的遺留分の割合は、900条の法定相続分を考慮せず、常に均等に配分される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 1042条2項のとおり → 正しい
民法第1042条第2項「これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 法定相続分を考慮する → 誤り
民法第1042条第2項「第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする」e-Gov原文
ひっかけ個別的遺留分=総体的遺留分割合(1/2または1/3)×各自の法定相続分(1042条2項)。均等配分ではない。
解説相続人が数人ある場合の各自の遺留分(個別的遺留分)は、1042条1項の割合(総体的遺留分:直系尊属のみなら三分の一、それ以外なら二分の一)に、900条・901条の規定により算定した各自の法定相続分を乗じて算定する(1042条2項)。例えば配偶者と子1人の場合、総体的遺留分1/2に配偶者の法定相続分1/2を乗じた1/4が配偶者の個別的遺留分となる。
補足遺留分算定の基礎財産は、相続開始時の財産に一定の贈与を加え、債務を控除して算定される(1043条)。