問1司法書士 民法③ 抵当権の内容(優先弁済権)
民法上の抵当権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しなければ、債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- イ.地上権及び永小作権は、抵当権の目的とすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 占有移転は要件でない → 誤り
民法第369条第1項「債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 目的とできる → 誤り
民法第369条第2項「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」e-Gov原文
ひっかけ抵当権の目的は不動産だけでなく地上権・永小作権にも及ぶ(369条2項)。
解説抵当権者は、占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する(369条1項)。地上権・永小作権もこの章の規定を準用して抵当権の目的とすることができる(369条2項)。占有を移さない非占有担保である点が質権との大きな違いである。
補足抵当権は登記が対抗要件であり、占有の移転がないため設定者は目的物の使用収益を継続できる。
問2司法書士 民法③ 抵当権の効力の及ぶ範囲
抵当権の効力の及ぶ範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権は、抵当地の上に存する建物を含め、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
- イ.抵当権の効力は、設定行為に別段の定めがある場合には、付加一体物に及ばないことがある。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 建物は除かれる → 誤り
民法第370条「抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ」e-Gov原文
ひっかけ抵当権の効力は「付加一体物」に及ぶが「抵当地上の建物」は除外(370条)。
解説抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、抵当不動産に付加して一体となっている物(付合物等)に及ぶ(370条本文)。土地に抵当権を設定しても、その上の建物には及ばないのが原則で、これが法定地上権(388条)の制度趣旨につながる。設定行為に別段の定めがある場合や詐害行為取消しの対象となる場合は例外となる。
補足抵当権の効力は、抵当不動産の従物にも及ぶと解されている(判例)。
問3司法書士 民法③ 抵当権の順位
抵当権の順位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、設定契約の締結の前後による。
- イ.抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができるが、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 契約締結の前後ではなく登記の前後 → 誤り
- イ.正しい
- 374条1項のとおり → 正しい
民法第374条第1項「利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない」e-Gov原文
ひっかけ抵当権の順位は「登記」の前後。契約日ではない(373条)。
解説同一不動産に複数の抵当権が設定された場合、その順位は登記の前後による(373条)。順位は各抵当権者の合意によって変更できるが、その変更により不利益を受ける利害関係人があるときはその承諾を要し、変更の登記をしなければ効力を生じない(374条)。
補足順位変更は登記が効力発生要件であり、単なる合意だけでは第三者に対抗できない(374条2項)。
問4司法書士 民法③ 抵当権の被担保債権の範囲(利息等の制限)
抵当権の被担保債権の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、原則としてその満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。
- イ.満期後に特別の登記をしたときは、それ以前の定期金についても、その登記の時から抵当権を行使することが妨げられない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 375条1項のとおり → 正しい
民法第375条第1項「その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 375条1項ただし書のとおり → 正しい
民法第375条第1項「満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない」e-Gov原文
ひっかけ利息等の被担保範囲は原則「満期後2年分」。後順位担保権者保護のための制限(375条)。
解説抵当権者が利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、満期となった最後の二年分についてのみ抵当権を行使できる(375条1項本文)。後順位抵当権者等の期待を保護する趣旨である。ただし満期後に特別の登記をすれば、その登記の時から二年分を超える定期金についても行使を妨げられない(同項ただし書)。
補足債務不履行による損害賠償請求権についても、利息等と通算して最後の二年分を超えることができない(375条2項)。
問5司法書士 民法③ 抵当権の処分
抵当権の処分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とすることができない。
- イ.抵当権者は、同一の債務者に対する他の債権者の利益のために、その抵当権若しくはその順位を譲渡し、又は放棄することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- できないわけではない → 誤り
民法第376条第1項「同一の債務者に対する他の債権者の利益のためにその抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる」e-Gov原文
ひっかけ抵当権は「転抵当」のほか「譲渡」「放棄」もできる(376条)。
解説抵当権者は、その抵当権を他の債権の担保とし(転抵当)、又は同一の債務者に対する他の債権者の利益のために抵当権若しくはその順位を譲渡し、若しくは放棄することができる(376条1項)。抵当権自体が独立した財産的価値を持ち、様々な形で処分の対象になり得ることを示す規定である。
補足複数の処分がされたときの利益を受ける者の権利の順位は、抵当権の登記にした付記の前後による(376条2項)。
問6司法書士 民法③ 抵当権消滅請求
抵当権消滅請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができる。
- イ.抵当不動産の第三取得者が抵当権消滅請求をするときは、登記をした各債権者に対し一定の書面を送付しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 379条のとおり → 正しい
民法第379条「抵当不動産の第三取得者は、第三百八十三条の定めるところにより、抵当権消滅請求をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 383条のとおり → 正しい
民法第383条「登記をした各債権者に対し、次に掲げる書面を送付しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ抵当権消滅請求は第三取得者の権利。ただし所定の書面送付という手続要件がある(379条・383条)。
解説抵当不動産の第三取得者は、抵当権消滅請求をすることができ(379条)、その手続として、登記をした各債権者に対し、取得原因・登記事項証明書・代価弁済等に関する書面を送付しなければならない(383条)。抵当権付き不動産を取得した者が、代価等の弁済によって抵当権を消滅させる制度である。
補足主たる債務者・保証人及びこれらの者の承継人は、抵当権消滅請求をすることができない(380条)。
問7司法書士 民法③ 抵当権者の同意による賃貸借の対抗力
抵当権者の同意の登記がある場合の賃貸借の対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.登記をした賃貸借は、その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる。
- イ.抵当権者が同意をするには、その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 387条1項のとおり → 正しい
民法第387条第1項「その登記前に登記をした抵当権を有するすべての者が同意をし、かつ、その同意の登記があるときは、その同意をした抵当権者に対抗することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 387条2項のとおり → 正しい
民法第387条第2項「その抵当権を目的とする権利を有する者その他抵当権者の同意によって不利益を受けるべき者の承諾を得なければならない」e-Gov原文
ひっかけ抵当権に後れる賃貸借も「同意の登記」があれば対抗できる(387条)。
解説登記をした賃貸借は、原則として登記前の抵当権に対抗できないが、登記前に登記をしたすべての抵当権者が同意し、その同意の登記があるときは、同意をした抵当権者に対抗できる(387条1項)。抵当権者が同意をするには、その抵当権を目的とする権利者等、同意により不利益を受ける者の承諾を要する(同条2項)。
補足この制度により、抵当権に後れる賃借人でも、抵当権が実行されても賃借権を維持できる余地が生まれる。
問8司法書士 民法③ 法定地上権の成立要件
法定地上権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなされる。
- イ.法定地上権が成立する場合、その地代は当事者間の合意によらなければ一切定めることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 388条前段のとおり → 正しい
民法第388条「その建物について、地上権が設定されたものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 合意が唯一の方法ではない → 誤り
民法第388条「地代は、当事者の請求により、裁判所が定める」e-Gov原文
ひっかけ法定地上権は「土地建物が同一所有者」かつ「抵当権実行で所有者が分離」した場合に成立(388条)。
解説土地及びその上の建物が同一所有者に属し、その土地又は建物に設定された抵当権の実行により所有者が異なるに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなされる(388条前段)。建物のための敷地利用権を確保し、建物を存続させる趣旨である。地代は当事者の請求により裁判所が定める(同条後段)。
補足法定地上権の成立には「抵当権設定時に土地建物が同一所有者に属していたこと」が要件とされる(判例)。
問9司法書士 民法③ 共同抵当における代価の配当(同時配当)
共同抵当における代価の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、各不動産の価額にかかわらず、いずれか一つの不動産の代価から債権の全部の弁済を受けることができる。
- イ.ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 価額に応じた按分であり一不動産からの全部回収ではない → 誤り
民法第392条第1項「その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 全部の弁済を受けられる → 誤り
民法第392条第2項「抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる」e-Gov原文
ひっかけ共同抵当は「同時配当=按分」「異時配当=一不動産から全部回収可」(392条)。
解説共同抵当において、同時に代価を配当するときは各不動産の価額に応じて債権の負担を按分する(392条1項)。他方、ある不動産の代価のみを配当するとき(異時配当)は、抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けることができ、次順位抵当権者は抵当権者に代位できる限度で保護される(同条2項)。
補足異時配当における次順位抵当権者の代位(392条2項後段)は、同時配当であれば負担すべきであった限度に限られる。
問10司法書士 民法③ 根抵当権の意義
根抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権は、設定行為で定めるところにより、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる。
- イ.根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他一定の種類の取引によって生ずるものに限定して定めなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 398条の2第1項のとおり → 正しい
民法第398条の2第1項「一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において担保するためにも設定することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 398条の2第2項のとおり → 正しい
民法第398条の2第2項「債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ根抵当権は「不特定の債権」を「極度額」の範囲で担保する点が普通抵当権と異なる(398条の2)。
解説根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保するために設定できる(398条の2第1項)。被担保債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約その他一定の種類の取引によって生ずるものに限定しなければならない(同条2項)。継続的な取引関係から生じる多数の債権を一つの担保でまとめて処理できる点に実益がある。
補足手形上・小切手上の請求権や電子記録債権は、一定の場合に限り根抵当権の被担保債権とすることができる(398条の2第3項)。
問11司法書士 民法③ 根抵当権の被担保債権の範囲(確定後)
根抵当権の被担保債権の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
- イ.根抵当権が担保する利息その他の定期金は、普通抵当権と同様、原則として満期後の最後の二年分に限られる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 398条の3第1項のとおり → 正しい
民法第398条の3第1項「確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 二年分に限られない → 誤り
民法第398条の3第1項「利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として」e-Gov原文
ひっかけ根抵当権に375条の「利息2年分」制限は適用されない。極度額でカバーする(398条の3)。
解説根抵当権者は、確定した元本、利息その他の定期金、債務不履行による損害賠償の全部について、極度額を限度として根抵当権を行使できる(398条の3第1項)。普通抵当権の375条(利息等を満期後二年分に限定する規定)とは異なり、根抵当権は極度額という上限があるため、その範囲内であれば利息等も無制限に担保される。
補足元本確定前は債権の範囲が流動的であるため、極度額の限度で担保される内容も元本確定によって初めて具体的に定まる。
問12司法書士 民法③ 抵当権消滅請求の手続書面
抵当権消滅請求の手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当不動産の第三取得者が抵当権消滅請求をするときに送付すべき書面には、抵当不動産に関する登記事項証明書が含まれる。
- イ.送付すべき書面には、債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、第三取得者が代価等を弁済し又は供託すべき旨を記載した書面は含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 383条2号のとおり → 正しい
民法第383条第2号「抵当不動産に関する登記事項証明書(現に効力を有する登記事項のすべてを証明したものに限る。)」e-Gov原文
- イ.誤り
- 含まれる → 誤り
民法第383条第3号「債権者が二箇月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしないときは、抵当不動産の第三取得者が第一号に規定する代価又は特に指定した金額を債権の順位に従って弁済し又は供託すべき旨を記載した書面」e-Gov原文
ひっかけ抵当権消滅請求の送付書面は3種(取得原因等・登記事項証明書・二箇月競売不申立て時の弁済供託の記載)(383条)。
解説第三取得者が抵当権消滅請求をするときに登記済の各債権者に送付すべき書面は、(1号)取得の原因・年月日等を記載した書面、(2号)抵当不動産の登記事項証明書、(3号)債権者が二箇月以内に競売の申立てをしないときは代価等を弁済・供託すべき旨を記載した書面の三つである(383条)。
補足債権者がこの書面を受け取った後二箇月以内に競売の申立てをしないときは、書面記載の代価を承諾したものとみなされる(384条参照)。
問13司法書士 民法③ 誤りやすい論点(抵当権の順位変更の効力発生要件)
抵当権の順位変更の効力発生に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権の順位の変更は、各抵当権者間の合意のみによってその効力を生ずる。
- イ.抵当権の順位の変更は、その登記をしなければ効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 合意のみでは効力を生じない → 誤り
民法第374条第2項「前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 374条2項のとおり → 正しい
民法第374条第2項「その登記をしなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ抵当権の順位変更は「登記」が効力発生要件(第三者対抗要件ではない)(374条2項)。
解説抵当権の順位変更は、各抵当権者の合意によって行うことができるが、その変更は登記をしなければ効力を生じない(374条2項)。通常の物権変動が登記を対抗要件とするのと異なり、順位変更の登記は効力発生要件(成立要件)とされている点が誤りやすい論点である。
補足順位変更に利害関係人があるときは、その承諾も効力発生の要件となる(374条1項ただし書)。
問14司法書士 民法③ 誤りやすい論点(法定地上権と抵当権設定時の所有者要件)
法定地上権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法定地上権が成立するためには、土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属することが前提となる。
- イ.法定地上権は、抵当権が実行され所有者を異にするに至れば、土地建物の所有者が抵当権設定時に別人であった場合でも当然に成立する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 388条前段のとおり → 正しい
民法第388条「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において」e-Gov原文
- イ.誤り
- 設定時に別人であれば当然には成立しない → 誤り
民法第388条「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され」e-Gov原文
ひっかけ法定地上権の同一所有者要件は「抵当権設定時」を基準に判断する。
解説法定地上権は、抵当権設定時に土地及び建物が同一の所有者に属していたことを前提として、その後の抵当権実行により所有者が分離するに至った場合に成立する(388条)。抵当権設定当時から土地建物の所有者が異なっていた場合には、原則として法定地上権は成立しない(既に何らかの土地利用権が存在するはずだからである)。
補足更地に抵当権を設定した後に建物が築造された場合の法定地上権の成否は、388条の文言だけでなく判例法理による調整が必要な論点である。
問15司法書士 民法③ 誤りやすい論点(根抵当権の極度額と担保範囲の限定)
根抵当権の被担保債権の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との取引に限らず、およそ一切の債権を無限定に含めて定めることができる。
- イ.根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他一定の種類の取引によって生ずるものに限定して定めなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 無限定にはできない → 誤り
民法第398条の2第2項「その他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 398条の2第2項のとおり → 正しい
民法第398条の2第2項「債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ根抵当権の極度額は「上限」だが、被担保債権の「範囲」自体は無限定ではなく限定される(398条の2第2項)。
解説根抵当権は不特定の債権を極度額の限度で担保できる点で普通抵当権と異なるが、その被担保債権の範囲自体は無制限ではなく、債務者との特定の継続的取引契約その他一定の種類の取引によって生ずるものに限定して定めなければならない(398条の2第2項)。「極度額の上限」と「被担保債権の範囲の限定」は別の制約であり、両方セットで押さえる必要がある。
補足特定の原因に基づき継続して生ずる債権や手形・小切手上の請求権等は、例外的に被担保債権とすることができる(398条の2第3項)。