問1国際関係緊急時の関税率と経過措置
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際関係の緊急時において、一般協定による関税についての便益を与えることが適当でないときは、政令で定める国を原産地とする政令で定める物品で政令で定める期間内に輸入されるものに課する関税の率は、関税法第三条ただし書の規定にかかわらず、関税定率法第三条の規定によるものとする。
- イ.前項の政令を制定し、又は改廃する場合であつても、罰則に関する経過措置を定めることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 3条1項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第3条「国際関係の緊急時において、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定(以下「一般協定」という。)による関税についての便益を与えることが適当でないときは、政令で定める国(その一部である地域を含む。)を原産地とする物品で政令で定めるもので、政令で定める期間内に輸入されるものに課する関税の率は、関税法第三条ただし書(課税物件)の規定にかかわらず、関税定率法第三条(課税標準及び税率)の規定」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『罰則に関する経過措置を定めることはできない』が誤り。含めて定めることができる
関税暫定措置法第3条「前項の政令を制定し、又は改廃する場合においては、政令の制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる」e-Gov原文
ひっかけ経過措置には罰則に関するものも含められる。
解説3条は国際関係の緊急時に一般協定上の便益を制限する関税率の特例を定める規定。1項が実体的な関税率の特例、2項がその政令制定・改廃に伴う経過措置(罰則に関する経過措置を含む)を定める附随規定という構成。
補足関税暫定措置法は関税定率法の特別法として、緊急時・経済連携協定等の政策的な税率調整を担う。
問2経済連携協定に基づく緊急措置①(発動要件と期間延長)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.経済連携協定に基づく関税の譲許による特定の種類の貨物の輸入の増加の事実があり、当該貨物の輸入の増加が重要な原因となつて本邦の産業に重大な損害を与え、又は与えるおそれがある事実がある場合において、国民経済上緊急に必要があると認められるときは、当該経済連携協定の規定に基づき、政令で定めるところにより、国、貨物及び期間を指定して関税の緊急措置をとることができる。
- イ.前項の規定による措置がとられている場合において、特別の理由により必要があると認められるときは、当該経済連携協定の規定に基づき、政令で定めるところにより、指定された期間を延長することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 7条の7第1項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第7条の7第1項「経済連携協定に基づく関税の譲許(以下この条において単に「譲許」という。)による特定の種類の貨物(当該経済連携協定の規定に基づき譲許の便益の適用を受けるものに限る。)の輸入の増加の事実(第六項及び第七項において「特定貨物の輸入増加の事実」という。)があり、当該貨物の輸入の増加が重要な原因となつて、これと同種の貨物その他用途が直接競合する貨物の生産に関する本邦の産業に重大な損害を与え、又は与えるおそれがある事実(第六項及び第七項において「本邦の産業に与える重大な損害等の事実」という。)がある場合において、国民経済上緊急に必要があると認められるとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 7条の7第2項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第7条の7第2項「前項の規定による措置がとられている場合において、特別の理由により必要があると認められるときは、当該経済連携協定の規定に基づき、政令で定めるところにより、同項の規定により指定された期間を延長することができる」e-Gov原文
ひっかけ緊急措置の発動要件は『輸入増加の事実』と『本邦産業への重大な損害等の事実』の両方が必要。
解説7条の7は経済連携協定(EPA/FTA)に基づく関税緊急措置(いわゆる二国間セーフガード)の根拠規定。1項が発動要件(輸入増加+重大な損害+緊急の必要性)、2項が期間延長を定める。
補足一般協定(WTO)上のセーフガードとは別に、経済連携協定固有の緊急措置が置かれている点を区別する。
問3経済連携協定に基づく緊急措置②(対抗措置と配慮義務)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.経済連携協定の我が国以外の締約国において当該経済連携協定の規定に基づく関税の緊急措置がとられた場合であつても、我が国は、譲許がされている貨物についてその譲許の適用を停止するなどの対抗措置を講ずることはできない。
- イ.前二項の規定による措置は、その効果が必要な限度を超えても差し支えなく、国民経済に対する影響についての配慮も求められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 『対抗措置を講ずることはできない』が誤り。譲許の適用停止等の対抗措置が可能
関税暫定措置法第7条の7第4項「経済連携協定の我が国以外の締約国(第十二条の四において「協定締約国」という。)において当該経済連携協定の規定に基づき関税の緊急措置(次項において「我が国以外の締約国の緊急措置」という。)がとられた場合には、当該経済連携協定の規定に基づき、政令で定めるところにより、国及び譲許がされている貨物を指定し、その貨物の全部又は一部につき譲許の適用を停止し、実行税率の範囲内の税率による関税を課することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『限度を超えても差し支えなく、配慮も求められない』が誤り。限度と配慮の両方が義務付けられる
関税暫定措置法第7条の7第5項「前二項の規定による措置は、それぞれその効果が第一項の規定による措置の補償又は我が国以外の締約国の緊急措置に対する対抗措置として必要な限度を超えず、かつ、その国民経済に対する影響ができるだけ少ないものとするような配慮のもとに行わなければならない」e-Gov原文
ひっかけ対抗措置にも比例原則(必要限度・影響最小化)の縛りがある。
解説7条の7第4項は締約国の緊急措置への対抗措置(いわば報復的な譲許停止)を認める規定。ただし5項により、1項の措置・4項の対抗措置いずれも『必要な限度を超えない』『国民経済への影響を最小化する』という比例原則的な制約が課される。
補足国際通商法における対抗措置の比例性は、WTO協定等でも共通する基本的な考え方。
問4経済連携協定に基づく緊急措置③(関係大臣への意見聴取)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.財務大臣は、譲許の適用を停止し実行税率の範囲内の税率による関税を課するに当たり、外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣その他関係行政機関の長への意見聴取を行うことは想定されていない。
- イ.外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣その他関係行政機関の長は、前項の規定により財務大臣から意見を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、その求めがあつた日から起算して三十日以内に、書面により意見を述べなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 『意見聴取を行うことは想定されていない』が誤り。財務大臣は意見を求めることができる
関税暫定措置法第7条の7第9項「財務大臣は、第四項に基づき譲許の適用を停止し、実行税率の範囲内の税率による関税を課するため必要があると認めるときは、外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣その他関係行政機関の長に対し、譲許の適用を停止すべき国及び貨物並びに適用すべき関税の税率について意見を求めることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 7条の7第10項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第7条の7第10項「外務大臣、農林水産大臣、経済産業大臣その他関係行政機関の長は、前項の規定により財務大臣から意見を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、その求めがあつた日から起算して三十日以内に、書面により意見を述べなければならない」e-Gov原文
ひっかけ意見を『求める』のは財務大臣の裁量、『答える』のは相手方の期限付き義務。
解説7条の7第9項・10項は、財務大臣が対抗措置の実施に当たり関係行政機関の長(外務・農林水産・経済産業各大臣等)と協議する手続を定める。意見聴取は財務大臣の任意(できる)だが、求められた側の回答は原則30日以内という期限付きの義務(なければならない)である点が非対称。
補足行政機関間の協議手続では『できる』(任意)と『なければならない』(義務)の主体・場面を丁寧に区別する。
問5特恵受益国等原産品であることの確認①(確認方法と質問の方式)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.税関長は、輸入申告がされた貨物について特恵関税等の規定による便益を適用する場合において、当該貨物が特恵受益国等原産品であるかどうかの確認をするために必要があるときは、当該貨物を輸入する者に対し、当該貨物が特恵受益国等原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法など、法定の方法によりその確認をすることができる。
- イ.前項第二号の質問又は求めは、当該質問又は求めを受けた者が当該質問に対する回答又は当該求めに係る資料の提供をすべき相当の期間を定めて、書面をもつてするものとする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 8条の4第1項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_4条「税関長は、輸入申告がされた貨物について、第八条の二第一項又は第三項(特恵関税等)の規定による関税についての便益を適用する場合において、当該貨物が特恵受益国等を原産地とする物品(以下この項において「特恵受益国等原産品」という。)であるかどうかの確認をするために必要があるときは、次に掲げる方法によりその確認をすることができる。一当該貨物を輸入する者に対し、当該貨物が特恵受益国等原産品であることを明らかにする資料の提供を求める方法」e-Gov原文
- イ.正しい
- 8条の4第2項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_4条「前項第二号の質問又は求めは、当該質問又は求めを受けた者が当該質問に対する回答又は当該求めに係る資料の提供をすべき相当の期間を定めて、書面をもつてするものとする」e-Gov原文
ひっかけ確認方法は輸入者本人だけでなく、輸出者・生産者・相手国当局にも及ぶ。
解説8条の4は特恵関税(開発途上国優遇関税)の適用に当たり、税関長が原産地を確認するための調査権限を定める。1項で4つの確認方法(資料提供要求・質問等・実地調査・立会い)を列挙し、2項以下で各方法の手続的な要件(書面・相当期間)を具体化する構成。
補足特恵関税の悪用防止のための原産地確認制度として、EPA上の原産地手続と対比しながら理解する。
問6特恵受益国等原産品であることの確認②(実地調査の通知と回答期限)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.税関長は、その職員に第一項第三号の調査をさせようとするときは、特恵受益国等が当該調査に同意するかどうかを回答すべき相当の期間を定めて、書面によりその旨を通知するものとする。
- イ.第一項第四号の求めについては、特恵受益国等の権限ある当局が回答すべき期間を定める必要はなく、口頭で足りる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 8条の4第3項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_4条「税関長は、その職員に第一項第三号の調査をさせようとするときは、特恵受益国等が当該調査に同意するかどうかを回答すべき相当の期間を定めて、書面によりその旨を通知するものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『期間を定める必要はなく、口頭で足りる』が誤り。相当期間を定めて書面で行う
関税暫定措置法第8_4条「第一項第四号の求めは、特恵受益国等の権限ある当局が当該求めに応ずるかどうかを回答すべき相当の期間を定めて、書面をもつてするものとする」e-Gov原文
ひっかけ2項〜4項の手続はすべて『相当の期間』+『書面』が共通要件。
解説8条の4第2項〜4項は、いずれの確認方法(質問・資料提供要求、実地調査、立会い)も『相当の期間を定めて書面で行う』という共通の手続様式を要求する。口頭や無期限の求めは認められない。
補足行政調査の相手方の手続保障(回答期間の明示・書面性)として、他の行政法規の調査規定とも共通する発想。
問7特恵受益国等原産品であることの確認③(便益不適用事由と結果通知)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.税関長は、当該貨物が特恵関税等の便益の適用を受けるための要件を満たしていないときは、当該貨物について当該便益を与えないことができる。
- イ.税関長は、第一項の規定による確認をしたときは、その結果の内容(その理由を含む。)を当該確認に係る貨物を輸入する者に通知するものとする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 8条の4第5項1号のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_4条「税関長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、第八条の二第一項又は第三項の規定による関税についての便益の適用を受けようとする貨物について、当該便益を与えないことができる。一当該貨物が当該便益の適用を受けるための要件を満たしていないとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 8条の4第6項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_4条「税関長は、第一項の規定による確認をしたときは、その結果の内容(その理由を含む。)を当該確認に係る貨物を輸入する者に通知するものとする」e-Gov原文
ひっかけ便益不適用の事由は要件不備だけでなく、調査への非協力(拒否・無回答)も含む。
解説8条の4第5項は、確認手続への非協力(質問無回答・調査拒否等)や要件不備の場合に税関長が便益を与えないことができる事由を列挙し、6項は確認結果を理由付きで輸入者に通知する事後手続を定める。調査権限と手続保障がセットで規定されている。
補足確認結果の通知(6項)は不利益処分の理由提示に相当する手続的保障として位置づけられる。
問8暫定税率適用物品に対する特殊関税制度の適用
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第二条及び第八条の二に規定する物品に対する関税定率法上の特殊関税制度に関する一定の規定の適用については、これらの規定中「別表の税率」とあるのは、関税暫定措置法上の暫定税率等の適用があるときはその適用される税率を意味するものとして読み替える。
- イ.関税定率法第九条の二の規定は、別表第一において税率が一定の数量を限度として定められている物品について、いかなる場合であつても準用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 8条の5第1項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_5条「第二条及び第八条の二に規定する物品に対する関税定率法第六条第一項若しくは第二項、第七条第一項若しくは第三項、第八条第一項若しくは第二項、第八条の二第一項又は第九条第一項、第四項若しくは第八項の規定の適用については、これらの規定中「別表の税率」とあるのは、「別表の税率(関税暫定措置法第二条、第七条の三第一項、第七条の四第一項、第七条の六第一項又は第八条の二第一項若しくは第三項の税率の適用があるときは、その適用される税率)」とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『いかなる場合であつても準用されない』が誤り。政令で定めるものには準用される
関税暫定措置法第8_5条「関税定率法第九条の二の規定は、別表第一において税率が一定の数量を限度として定められている物品のうち政令で定めるものについて準用する」e-Gov原文
ひっかけ『いかなる場合も〜ない』という全否定の記述は、政令委任による例外の有無を必ず確認する。
解説8条の5は暫定税率・特恵関税等と、関税定率法上の特殊関税制度(不当廉売関税等)・関税割当制度(9条の2)との適用調整を図る技術的規定。1項は税率の読み替え、2項は関税割当制度の準用範囲を定める。
補足暫定税率と特殊関税制度が競合する場合の税率決定ルールとして、条文相互の関係を意識する。
問9経済連携協定に基づく関税割当制度
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.経済連携協定において関税の譲許が一定の数量を限度として定められている物品で政令で定めるものについては、その譲許の便益は、当該一定の数量の範囲内において、当該物品の使用の実績及び見込みその他国民経済上の必要な考慮に基づいて政府が行う割当てを受けた者がその受けた数量の範囲内で輸入するものに適用する。
- イ.経済連携協定において関税の譲許が一定の数量を限度として定められている物品で政令で定めるもののうち輸出国が発給する証明書に基づき輸入国が割当てを行うこととされているものについては、その譲許の便益は、当該一定の数量の範囲内において、当該経済連携協定の我が国以外の締約国が発給する証明書に基づいて政府が行う割当てを受けた者がその受けた数量の範囲内で輸入するものに適用する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 8条の6第1項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_6条「経済連携協定において関税の譲許が一定の数量を限度として定められている物品で政令で定めるもの(次項に規定する物品を除く。)については、その譲許の便益は、当該一定の数量の範囲内において、当該物品の使用の実績及び見込みその他国民経済上の必要な考慮に基づいて政府が行う割当てを受けた者がその受けた数量の範囲内で輸入するものに適用する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 8条の6第2項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第8_6条「経済連携協定において関税の譲許が一定の数量を限度として定められている物品で政令で定めるもののうち輸出国(固有の関税及び貿易に関する制度を有する地域を含む。)が発給する証明書に基づき輸入国が割当てを行うこととされているものについては、その譲許の便益は、当該一定の数量の範囲内において、当該経済連携協定の我が国以外の締約国が発給する証明書に基づいて政府が行う割当てを受けた者がその受けた数量の範囲内で輸入するものに適用する」e-Gov原文
ひっかけ関税割当制度には政府裁量型(1項)と証明書連動型(2項)の2方式がある。
解説8条の6の関税割当制度は、数量限度付きの譲許について、①政府が使用実績等を考慮して割当てを行う通常方式(1項)と、②輸出国(締約国)発給の証明書に基づいて政府が割当てを行う証明書方式(2項)の2類型がある。
補足TPP11等の経済連携協定における低関税枠(TRQ)の運用として、実務上の輸入手続とも結びつけて理解する。
問10経済連携協定に基づく加工修繕免税と関税免除物品の転用
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.加工又は修繕のため本邦から経済連携協定の我が国以外の締約国に輸出された貨物は、輸出の許可の日から三年以内に輸入されるものであれば、常にその関税が免除される。
- イ.関税定率法第二十条の三(関税の軽減、免除等を受けた物品の転用)の規定は、第四条の規定により関税の免除を受け、又は第九条第一項の軽減税率若しくは同条第二項若しくは第九条の二第一項の譲許の便益の適用を受けた物品が、その免除等を受けた用途以外の用途に供され、又は当該用途以外の用途に供するため譲渡される場合について準用する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 『三年以内であれば常に免除』が誤り。原則一年、延長には税関長の承認が必要
関税暫定措置法第8_7条「加工又は修繕(政令で定めるものを除く。)のため本邦から経済連携協定の我が国以外の締約国に輸出され、その輸出の許可の日から一年(一年を超えることがやむを得ないと認められる理由がある場合において、政令で定めるところにより税関長の承認を受けたときは、一年を超え税関長が指定する期間)以内に輸入される貨物については、当該経済連携協定の規定に基づき、政令で定めるところにより、その関税を免除する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 12条のとおり → 正しい
関税暫定措置法第12条「関税定率法第二十条の三(関税の軽減、免除等を受けた物品の転用)の規定は、第四条の規定により関税の免除を受け、又は第九条第一項の軽減税率若しくは同条第二項若しくは第九条の二第一項の譲許の便益の適用を受けた物品が、その免除を受け、若しくは軽減税率若しくは譲許の便益の適用を受けた用途以外の用途に供され、又はこれらの用途以外の用途に供するため譲渡される場合について準用する」e-Gov原文
ひっかけ免税・軽減税率の特典には、目的外転用時の追徴という『後ろ盾』の規定が必ずセットである。
解説8条の7の加工修繕免税は『一年以内』が原則で、延長には税関長の承認という手続的な歯止めがある。12条は暫定措置法上の免税・軽減税率適用物品が目的外に転用・譲渡された場合に、関税定率法20条の3(用途外使用の関税追徴)を準用することで、免税制度の濫用を防止する仕組み。
補足8条の7・12条とも、免税等の特典に対応する濫用防止規定として一体的に理解する。
問11TPP11に係る更正の請求の特例と賦課決定の請求①
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.納税申告をした者は、環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされる貨物について当該協定に基づく関税の譲許の便益の適用を受けていない場合において、当該便益の適用を受けることにより納付すべき税額が過大となるときは、当該貨物の輸入の許可の日から一年以内に限り、税関長に対し更正の請求をすることができる。
- イ.賦課課税方式が適用される貨物を輸入した者は、税関長が環太平洋包括的及び先進的協定の譲許の便益を適用しないで決定した税額が過大となるときであつても、輸入の許可の日から一年を超えて期限の制限なく決定の変更を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 12条の2のとおり → 正しい
関税暫定措置法第12_2条「当該貨物の輸入の許可の日から一年以内に限り、政令で定めるところにより、税関長に対し、当該納税申告に係る税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)について同法第七条の十五第一項(更正の請求)の規定による更正の請求をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『期限の制限なく』が誤り。輸入許可の日から一年以内という期限がある
関税暫定措置法第12_3条「当該貨物の輸入の許可の日(同号ロに規定する郵便物にあつては、日本郵便株式会社から交付された日)から一年以内に限り、政令で定めるところにより、税関長に対し、当該決定に係る税額の変更について同条第三項の規定による決定をすべき旨の請求をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ申告納税方式・賦課課税方式のいずれでも、事後救済の期限は輸入許可の日から一年以内。
解説12条の2(申告納税方式)・12条の3(賦課課税方式)はいずれもTPP11原産品について事後的に譲許の便益を求める救済手続だが、共通して『輸入の許可の日から一年以内』という期間制限が課される。課税方式の違いに関わらず期間制限は共通する点がポイント。
補足関税法本体の更正の請求(原則5年)と比べて、経済連携協定の事後適用に関する特例は期間が短い(一年)点に注意。
問12TPP11に係る賦課決定の請求②(税関長の調査義務と通知)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.税関長は、決定の変更の請求があつた場合であつても、当該請求に係る貨物が環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされるものであるかどうかを独自に調査する必要はなく、請求者の申告内容をそのまま採用すれば足りる。
- イ.税関長は、調査をした場合において、決定をしないときであつても、その理由をその請求をした者に通知する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 『独自に調査する必要はなく、申告内容をそのまま採用すれば足りる』が誤り。税関長には調査義務がある
関税暫定措置法第12_3条「税関長は、前項の規定による決定の請求があつた場合には、その請求に係る貨物が環太平洋包括的及び先進的協定の規定に基づき環太平洋包括的及び先進的協定の原産品とされるものであるかどうかその他必要な事項について調査しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『理由をその請求をした者に通知する必要はない』が誤り。理由がない旨の通知が必要
関税暫定措置法第12_3条「税関長は、前項の調査をした場合において、関税法第八条第三項の規定による決定をしないときは、当該決定をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する」e-Gov原文
ひっかけ決定変更の請求は税関長の調査を経る。申告内容が自動的に認められるわけではない。
解説12条の3第2項・3項は、賦課課税方式における決定変更請求について、税関長に調査義務(2項)と、決定をしない場合の理由通知義務(3項)という2段階の手続保障を課す。請求すれば自動的に認められるわけではなく、税関長の調査を経る点に注意。
補足不利益処分(請求の拒否)に理由提示を求める点は8条の4第6項の確認結果通知とも共通する発想。
問13沖縄国際物流拠点産業集積地域に係る課税物件確定の特例
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.沖縄振興特別措置法上の総合保税地域又は保税工場における保税作業による製品である外国貨物についてのこの課税物件確定時期の特例は、輸入時期を問わず、期限の定めなく将来にわたつて適用される。
- イ.前項の規定は、本邦の産業に対する影響等を考慮して同項の規定を適用することを適当としない貨物として政令で定める貨物については、適用しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 『期限の定めなく将来にわたつて適用される』が誤り。令和九年三月三十一日までの輸入に限られる
関税暫定措置法第13条「外国貨物が令和九年三月三十一日までに輸入される場合において」e-Gov原文
- イ.正しい
- 13条2項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第13条「前項の規定は、本邦の産業に対する影響等を考慮して同項の規定を適用することを適当としない貨物として政令で定める貨物については、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ沖縄特例は無期限ではなく、期限と適用除外物品の両方で絞られている。
解説13条の沖縄国際物流拠点産業集積地域に係る課税物件確定の特例は、①適用期限(令和9年3月31日まで)という時間的限定(1項)と、②本邦産業への影響を理由とする政令による適用除外という物品面での限定(2項)の二重の絞りがかかっている。
補足沖縄振興特別措置法上の国際物流拠点産業集積地域という政策的な地域指定と関税手続が結びつく実務的な特例。
問14検査拒否等の罰則と経済連携協定緊急措置に伴う他貨物の譲許修正
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第十五条第一項において準用する関税法第百五条第一項第五号の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者に対しては、罰則は定められていない。
- イ.特定の貨物につき第一項の規定による緊急措置をとる場合又はとつた場合には、当該貨物以外の貨物について譲許を修正したり、新たに譲許をしたりすることは認められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 『罰則は定められていない』が誤り。一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金が定められている
関税暫定措置法第17条「第十五条第一項において準用する関税法第百五条第一項第五号(製造用原料品等に係る税関職員の権限)の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『認められない』が誤り。当該貨物以外の貨物についても譲許の修正・新規譲許ができる
関税暫定措置法第7条の7第3項「特定の貨物につき第一項の規定による措置をとる場合又はとつた場合には、当該経済連携協定の規定に基づき、政令で定めるところにより、当該貨物以外の貨物で譲許がされているものにつきその譲許を修正し、又は譲許がされていないものにつき新たに譲許をし、その修正又は譲許をした後の税率を適用することができる」e-Gov原文
ひっかけ緊急措置は対象貨物への課税強化だけでなく、他の貨物の譲許修正という形の補償措置も伴いうる。
解説17条は暫定措置法上の税関職員の検査権限(関税法105条1項5号の準用)を実効化する罰則規定。7条の7第3項は、緊急措置の対象となった貨物の代替として、他の貨物の譲許を修正・新設できるという柔軟な補償措置を認める規定で、緊急措置の副作用(貿易上のバランス)を調整する機能を持つ。
補足罰則規定(17条)は制度の実効性担保、譲許修正(7条の7第3項)は制度運用の柔軟性確保という別の役割を持つ。
問15経済連携協定に基づく緊急措置④(政府の調査義務と関税の還付)
関税暫定措置法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.政府は、特定貨物の輸入増加の事実及びこれによる本邦の産業に与える重大な損害等の事実についての十分な証拠がある場合であつても、これらの事実の有無について調査を行う義務を負わない。
- イ.政府は、第六項の調査が終了したときは、第一項の規定による措置をとる場合を除き、前項の規定により課された関税を速やかに還付しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 『調査を行う義務を負わない』が誤り。政府は調査を行うものとされている
関税暫定措置法第7条の7第6項「政府は、特定貨物の輸入増加の事実及びこれによる本邦の産業に与える重大な損害等の事実についての十分な証拠がある場合において、必要があると認めるときは、これらの事実の有無につき調査を行うものとする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 7条の7第8項のとおり → 正しい
関税暫定措置法第7条の7第8項「政府は、第六項の調査が終了したときは、第一項の規定による措置をとる場合を除き、前項の規定により課された関税を速やかに還付しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ暫定的に課した関税は、正式な緊急措置に至らなければ速やかに還付される。
解説7条の7第6項〜8項は、緊急措置の発動前に暫定的な課税(7項、今回の対象条文には含めていないが調査完了前の緊急課税を定める)を認めつつ、6項で政府の調査義務、8項で調査後に正式な緊急措置をとらない場合の還付義務を定め、暫定課税の濫用を防止する構造になっている。
補足WTOセーフガード協定における暫定措置の還付ルールと同様の思想が、経済連携協定の緊急措置にも取り入れられている。