問1国民年金制度の目的
国民年金制度の目的に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国民年金制度は、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
- イ.国民年金制度は、専ら高齢者個人の自助努力を促進することを目的とし、国民の共同連帯という理念は制度の根拠に含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 1条のとおり → 正しい
国民年金法第1条「老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 1条は共同連帯を目的の中核とする → 「共同連帯という理念は含まれない」は誤り
ひっかけ国民年金制度の理念は「国民の共同連帯」(1条)。個人の自助努力(確定拠出年金等)とは異なる、社会保険としての相互扶助の性格を持つ点を区別する。
解説1条は日本国憲法25条2項(国の社会保障的義務)を根拠に、国民年金制度の目的を定める。FP試験のライフプランニング分野では、公的年金(国民年金・厚生年金保険)と私的年金(確定拠出年金・国民年金基金等)を対比する出題が多く、両者の制度趣旨の違い(共同連帯 vs 自助努力)を理解しておくことが重要である。
補足本章は国民年金法(公的年金の基礎)を新規に扱う。既存データは確定拠出年金法・共済制度等の私的年金にとどまり、公的年金の条文根拠は本章が初出となる。
問2国民年金の給付の種類
国民年金の給付の種類に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国民年金の給付には、遺族基礎年金は含まれず、遺族への給付は厚生年金保険からのみ行われる。
- イ.この法律による給付は、老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、付加年金、寡婦年金及び死亡一時金である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 15条3号は遺族基礎年金を給付として掲げる → 「遺族基礎年金は含まれない」は誤り
国民年金法第15条「老齢基礎年金二障害基礎年金三遺族基礎年金四付加年金、寡婦年金及び死亡一時金」e-Gov原文
- イ.正しい
- 15条のとおり → 正しい
国民年金法第15条「老齢基礎年金二障害基礎年金三遺族基礎年金四付加年金、寡婦年金及び死亡一時金」e-Gov原文
ひっかけ国民年金の給付は「老齢・障害・遺族の3基礎年金」+「付加年金・寡婦年金・死亡一時金」の6種類(15条)。FP試験では特に付加年金・寡婦年金・死亡一時金の併給調整(同時受給できない組み合わせ)が頻出。
解説15条は国民年金の給付を1号(老齢基礎年金)・2号(障害基礎年金)・3号(遺族基礎年金)・4号(付加年金、寡婦年金及び死亡一時金)に整理する。厚生年金保険の給付(老齢厚生年金・障害厚生年金・遺族厚生年金)と対応させて、公的年金の2階建て構造(1階=国民年金の基礎年金、2階=厚生年金保険の報酬比例部分)を理解することがFP試験対策の基本となる。
補足付加年金・寡婦年金・死亡一時金は、いずれも第1号被保険者(自営業者等)を対象とした独自給付である点も重要な出題ポイントである。
問3裁定と不正利得の徴収
国民年金の給付を受ける権利の裁定及び不正利得の徴収に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.給付を受ける権利は、受給権者の請求に基いて、厚生労働大臣が裁定する。
- イ.偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 16条のとおり → 正しい
国民年金法第16条「の請求に基いて、厚生労働大臣が裁定する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 23条のとおり → 正しい
国民年金法第23条「偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる」e-Gov原文
ひっかけ国民年金の給付は「請求主義」(16条・自動的に支給開始されるわけではない)。不正受給には厚生労働大臣による徴収権限(23条)が及ぶ。
解説16条は給付の裁定が受給権者本人の請求を起点とする点を定める。年金は受給資格を満たしても自動的に振り込まれるわけではなく、請求手続(裁定請求)を経て初めて支給が始まる点はFP実務でも重要な留意点である。23条は偽りその他不正の手段による受給への対応(徴収)を定め、25条の公課禁止・24条の受給権保護(差押禁止)とあわせ、年金給付の保護と適正化のバランスを図る規定群を構成する。
補足「請求に基いて裁定する」という構造は、老齢・障害・遺族のいずれの基礎年金にも共通して適用される国民年金給付の基本原則である。
問4受給権の保護
国民年金の給付を受ける権利の保護に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.給付を受ける権利は、譲渡・担保提供・差押えの対象とすることができない。
- イ.老齢基礎年金を受ける権利は、いかなる場合であっても差し押えることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 24条本文のとおり → 正しい
国民年金法第24条「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 24条ただし書は国税滞納処分による差押えの例外を認める → 「いかなる場合であっても差し押えることができない」は誤り
国民年金法第24条「老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ受給権の差押禁止(24条本文)には、老齢基礎年金・付加年金を対象とした国税滞納処分による例外(ただし書)がある。障害基礎年金・遺族基礎年金にはこの例外は及ばない点も対比して押さえる。
解説24条本文は給付を受ける権利の一般的な差押禁止・譲渡禁止・担保提供禁止を定める。これは受給権者の生活保障という年金の趣旨を実現するための保護規定である。ただし書の例外(老齢基礎年金・付加年金への国税滞納処分)は、税負担の公平性の観点から限定的に認められたものであり、対象が老齢基礎年金・付加年金に限られ、障害基礎年金・遺族基礎年金には及ばない点が試験上のポイントとなる。
補足25条の公課禁止(老齢基礎年金・付加年金を除く)と対をなす規定であり、両条とも老齢基礎年金・付加年金だけが例外的に公租公課の対象となりうる点で共通する。
問5老齢基礎年金の支給要件
老齢基礎年金の支給要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.老齢基礎年金は、保険料納付済期間又は保険料免除期間を有する者が六十五歳に達したときに、その者に支給する。
- イ.その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年に満たないときは、老齢基礎年金は支給されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 26条本文のとおり → 正しい
国民年金法第26条「保険料納付済期間又は保険料免除期間」e-Gov原文
- イ.正しい
- 26条ただし書のとおり → 正しい
国民年金法第26条「その者の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が十年に満たないときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ老齢基礎年金の受給資格期間は「合算して十年」(26条ただし書・平成29年改正で25年から10年に短縮)。FP試験で最頻出の数字の一つ。五年・二十五年等の他の数字と混同しない。
解説26条は、老齢基礎年金の支給要件を本文(65歳到達)とただし書(受給資格期間10年未満は不支給)の組み合わせで定める。この「10年」という受給資格期間は、平成29年8月施行の改正で25年から10年に短縮された経緯があり、FP試験では改正前後の数字を混同させる出題パターンが典型的である。
補足受給資格期間には保険料納付済期間・保険料免除期間のほか、合算対象期間(カラ期間)も算入される点は、より詳細な学習で扱う。
問6老齢基礎年金の支給の繰下げ
老齢基礎年金の支給の繰下げに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.老齢基礎年金の支給繰下げの申出は、六十五歳に達した日に自動的に行われたものとみなされ、受給権者が改めて申出をする必要はない。
- イ.老齢基礎年金の受給権を有する者であつて六十六歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 28条1項は受給権者が自ら申出をすることができると定める → 「自動的に行われたものとみなされる」は誤り
国民年金法第28条第1項「老齢基礎年金の受給権を有する者であつて六十六歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 28条1項のとおり → 正しい
国民年金法第28条第1項「老齢基礎年金の受給権を有する者であつて六十六歳に達する前に当該老齢基礎年金を請求していなかつたものは、厚生労働大臣に当該老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ支給繰下げは「請求しない」だけでは繰下げにならず、66歳到達後に受給権者が能動的に「申出」をする必要がある(28条1項)。FP実務でも繰下げ受給の相談は多く、申出主義であることの理解が重要。
解説28条1項は繰下げ申出の要件(66歳到達前に未請求)を定め、2項は66歳到達後に他の年金給付の受給権者となった場合等のみなし申出、3項は繰下げ申出をした場合の支給開始時期(申出のあった日の属する月の翌月から)を定める。繰下げにより年金額が増額される仕組み(1月あたり0.7%増額等)はFP試験の頻出計算問題である。
補足繰下げの上限年齢は令和4年4月の改正で70歳から75歳に引き上げられており、28条2項1号の「七十五歳に達する日前」という文言にその改正が反映されている。
問7老齢基礎年金の失権
老齢基礎年金の失権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する。
- イ.老齢基礎年金の受給権は、受給権者が再婚したときにも消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 29条のとおり → 正しい
国民年金法第29条「老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 29条は死亡のみを失権事由とする → 「再婚したときにも消滅する」は誤り
国民年金法第29条「老齢基礎年金の受給権は、受給権者が死亡したときは、消滅する」e-Gov原文
ひっかけ老齢基礎年金の失権事由は「死亡」のみ(29条)。遺族基礎年金の失権事由(40条・婚姻や養子縁組も含む)と混同しない。
解説29条は老齢基礎年金の失権事由を死亡の1つに限定するシンプルな規定である。これに対し、後述の遺族基礎年金の失権(40条)は死亡に加え婚姻・養子縁組等、より多様な事由を定めており、両者の対比がFP試験で問われやすい。老齢基礎年金は「本人の年金」であるのに対し、遺族基礎年金は「遺族としての地位に基づく年金」であるため、失権事由の設計思想が異なる点を理解する。
補足老齢基礎年金は受給権者本人に固有の権利であり、家族関係の変化(再婚等)によって失権することはない。
問8障害基礎年金の障害等級
障害基礎年金の障害等級に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.障害等級は、障害の程度に応じて軽度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、厚生労働大臣が個別に認定する。
- イ.障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 30条2項は「重度のものから」「政令で定める」と規定する → 「軽度のものから」「厚生労働大臣が個別に認定」は誤り
国民年金法第30条第2項「障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める」e-Gov原文
- イ.正しい
- 30条2項のとおり → 正しい
国民年金法第30条第2項「障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める」e-Gov原文
ひっかけ障害等級は「1級が最重度」(数字が小さいほど重い)。障害厚生年金の3級(国民年金にはない厚生年金独自の等級)と合わせ、等級の軽重の方向性を正確に押さえる。
解説30条2項は障害等級の大枠(重度から1級・2級の2段階)と、具体的な障害状態の定めを政令に委任する構造を示す。国民年金(障害基礎年金)は1級・2級のみであるのに対し、厚生年金保険(障害厚生年金)にはこれに加えて3級と障害手当金(一時金)がある点は、公的年金の1階・2階構造の違いとしてFP試験で頻出の対比ポイントである。
補足30条1項の支給要件(初診日要件・保険料納付要件・障害認定日要件の3要件)は、より詳細な学習で扱う複雑な規定である。
問9遺族基礎年金の支給要件
遺族基礎年金の支給要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であつた者が一定の要件のいずれかに該当する場合に、その者の配偶者又は子に支給する。
- イ.遺族基礎年金の受給権者は、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の配偶者又は子に限られる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 37条本文のとおり → 正しい
国民年金法第37条「遺族基礎年金は、被保険者又は被保険者であつた者が次の各号のいずれかに該当する場合に、その者の配偶者又は子に支給する」e-Gov原文
ひっかけ遺族基礎年金の受給権者は「配偶者又は子」のみ(37条)。遺族厚生年金(配偶者・子に加え父母・孫・祖父母も対象になりうる)とは受給権者の範囲が異なる点が重要な対比ポイント。
解説37条は遺族基礎年金の支給要件を1号(被保険者の死亡)・2号(被保険者であった60歳以上65歳未満の者の死亡)・3号(保険料納付済期間等が25年以上の者の死亡)に分けて定める。1号・2号には別途、死亡日前の保険料納付要件(ただし書)が課される。遺族基礎年金が「配偶者又は子」に限定されるのに対し、遺族厚生年金は父母・孫・祖父母まで対象が広がる点は、国民年金と厚生年金保険の遺族給付の設計思想の違いを示す典型例である。
補足「子のある配偶者」又は「子」という組み合わせが遺族基礎年金の基本構造であり、子のない配偶者は原則として遺族基礎年金を受給できない(寡婦年金・死亡一時金等の別制度で補完される)。
問10遺族基礎年金を受けられる遺族の範囲(配偶者)
遺族基礎年金を受けることができる配偶者の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.配偶者が遺族基礎年金を受けるには、要件に該当する子と生計を同じくしていなくても、死亡した被保険者等の配偶者であるだけで足りる。
- イ.配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、要件に該当する子と生計を同じくすることが遺族基礎年金の受給要件となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 37条の2第1項1号は子との生計同一を要件とする → 「子と生計を同じくしていなくても配偶者であるだけで足りる」は誤り
国民年金法第37条の2第1項第1号「配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること」e-Gov原文
- イ.正しい
- 37条の2第1項1号のとおり → 正しい
国民年金法第37条の2第1項第1号「配偶者については、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、かつ、次号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくすること」e-Gov原文
ひっかけ遺族基礎年金は「子のある配偶者」を保護する制度設計(37条の2第1項1号)。子のいない配偶者は原則として遺族基礎年金を受給できない点がFP試験の頻出ポイント。
解説37条の2第1項1号は、配偶者が遺族基礎年金を受けるための2つの要件(死亡当時の生計維持、及び要件該当の子との生計同一)を定める。「子のいない配偶者」は遺族基礎年金の対象外となるため、そのような場合には寡婦年金・死亡一時金といった第1号被保険者独自の給付や、遺族厚生年金(第2号被保険者期間があれば)で生活保障を補完する制度設計になっている点を理解する。
補足2項の「胎児であつた子が生まれたとき」のみなし規定は、出生前の子も将来的に配偶者の受給要件を満たす扱いとする点で実務上重要である。
問11遺族基礎年金を受けられる遺族の範囲(子)
遺族基礎年金を受けることができる子の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.子については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないことが遺族基礎年金を受けるための要件となる。
- イ.婚姻している十七歳の子であっても、年齢要件を満たしていれば遺族基礎年金を受けることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 37条の2第1項2号のとおり → 正しい
国民年金法第37条の2第1項第2号「子については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であつて障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと」e-Gov原文
- イ.誤り
- 37条の2第1項2号は未婚を要件とする → 「婚姻している子でも年齢要件を満たせば受けられる」は誤り
国民年金法第37条の2第1項第2号「現に婚姻をしていないこと」e-Gov原文
ひっかけ子の年齢要件は「18歳到達年度末(3月31日)」まで(高校卒業段階を想定)。20歳未満・障害等級該当は別の救済ルート。いずれも「未婚」が共通の追加要件。
解説37条の2第1項2号の子の要件は、健常な子については「18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」(実質的に高校卒業年度末まで)、障害のある子については「20歳未満で障害等級該当」という2つのルートを設け、いずれも婚姻していないことを共通要件とする。この「18歳到達年度末」という区切り方は、児童手当・扶養控除等の他制度とも類似する年齢区分の考え方であり、FP試験の複数分野で応用される知識である。
補足「現に婚姻をしていないこと」は、婚姻により独立した生計を営むとみなされることに基づく要件と理解できる。
問12遺族基礎年金の失権(共通事由)
遺族基礎年金の失権(受給権者共通の事由)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.遺族基礎年金の受給権は、受給権者が婚姻をしたときであっても消滅しない。老齢基礎年金と同じく死亡のみが失権事由である。
- イ.遺族基礎年金の受給権者が、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の直系血族の養子となつたときは、当該事由により受給権が消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 40条1項2号は婚姻を失権事由とする → 「死亡のみが失権事由である」は誤り
国民年金法第40条第1項「遺族基礎年金の受給権は、受給権者が次の各号のいずれかに該当するに至つたときは、消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 40条1項3号は直系血族の養子となる場合を除外する → 「当該事由により受給権が消滅する」は誤り
国民年金法第40条第1項第3号「直系血族又は直系姻族の養子となつたときを除く」e-Gov原文
ひっかけ遺族基礎年金の失権事由(40条1項)は死亡・婚姻・養子縁組の3類型。ただし養子縁組は「直系血族・直系姻族の養子となる場合」を除く点が細かい例外として問われやすい(祖父母等が孫を養子にする場合等を失権事由から外す趣旨)。
解説40条1項は、老齢基礎年金(29条・死亡のみ)と異なり、遺族基礎年金の失権事由を死亡・婚姻・養子縁組(直系血族・直系姻族の養子となる場合を除く)の3類型に拡張する。これは、婚姻や養子縁組により新たな生計維持関係が生じた場合には、死亡した被保険者等による遺族保護の必要性が後退するという制度趣旨に基づく。直系血族・直系姻族の養子となる場合を除外するのは、祖父母等の親族に引き取られる場合にまで機械的に失権させることを避ける配慮である。
補足内縁関係(事実婚)も「婚姻」に準じて失権事由となりうる点は、遺族年金の実務上しばしば争点となる。
問13遺族基礎年金の失権(配偶者固有の事由)
遺族基礎年金の失権(配偶者固有の事由)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、生計を同じくしていた子の状況が変化しても、それを理由に消滅することはない。
- イ.配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、生計を同じくする子の人数にかかわらず、常に40条1項の共通の失権事由によってのみ消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 40条2項は「前項の規定によつて消滅するほか」と追加の消滅事由を定める → 「子の状況変化を理由に消滅することはない」は誤り
国民年金法第40条第2項「配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか」e-Gov原文
- イ.誤り
- 40条2項は「前項の規定によつて消滅するほか」と追加の消滅事由を定める → 「1項の共通事由によってのみ消滅する」は誤り
国民年金法第40条第2項「配偶者の有する遺族基礎年金の受給権は、前項の規定によつて消滅するほか」e-Gov原文
ひっかけ配偶者の受給権は「子のいる配偶者」であることが前提の給付であるため、子が全員18歳到達年度末等に達し要件外となれば、配偶者自身は死亡・婚姻等していなくても受給権を失う(40条2項)。
解説40条2項は、配偶者の遺族基礎年金受給権が「子のある配偶者」であることに基礎を置く点を反映し、生計を同じくする子が1人であればその子が、2人以上であれば全ての子が39条3項各号(死亡・婚姻・離縁・年齢到達等)に該当するに至ったときに、配偶者の受給権も消滅すると定める。子の要件消滅が配偶者の受給権にも連動する点は、遺族基礎年金全体の「子のある配偶者・子」中心の制度設計を象徴する規定である。
補足子の受給権自体は40条3項で別途定められ、配偶者の失権とは独立に判断される場面もある(配偶者が死亡すれば子が単独で受給権者となる等)。
問14遺族基礎年金の失権(子固有の事由)
遺族基礎年金の失権(子固有の事由)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.子の有する遺族基礎年金の受給権は、離縁をしても、当該離縁を理由に消滅することはない。
- イ.子の有する遺族基礎年金の受給権は、障害等級に該当する障害の状態にない子については、二十五歳に達したときに消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 40条3項1号は離縁による消滅を定める → 「離縁を理由に消滅することはない」は誤り
国民年金法第40条第3項第1号「離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 40条3項2号は「18歳到達年度末」と定める → 「25歳に達したとき」は誤り
国民年金法第40条第3項第2号「十八歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了したとき」e-Gov原文
ひっかけ子の失権時期は「18歳到達年度末」(40条3項2号・受給要件と同じ年齢)。障害等級該当の子は例外的にこの年齢到達では失権しないが、20歳到達で失権する(40条3項4号)。25歳という数字は国民年金法には登場しない誤りの典型。
解説40条3項は子固有の失権事由を1号(離縁による子でなくなったこと)・2号(原則の年齢到達=18歳到達年度末、ただし障害等級該当の場合を除く)・3号(障害等級該当の子について、その事情がやんだとき、ただし18歳到達年度末までの間は除く)・4号(20歳に達したとき)に整理する。受給資格の要件(37条の2)と失権の要件(40条3項)が同じ年齢基準(18歳到達年度末・20歳未満障害等級該当)で対応している点を確認すると理解しやすい。
補足「その事情がやんだとき」(3号)は、障害の状態が回復した場合の失権を意味し、症状固定でない限り継続的な状態確認が必要となる実務上の留意点である。
問15遺族基礎年金の失権(子固有の事由・20歳到達)
遺族基礎年金の失権(子固有の事由・20歳到達)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.子の有する遺族基礎年金の受給権は、二十歳に達したときに消滅する。
- イ.子の有する遺族基礎年金の受給権は、離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたときは、消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 40条3項1号のとおり → 正しい
国民年金法第40条第3項第1号「離縁によつて、死亡した被保険者又は被保険者であつた者の子でなくなつたとき」e-Gov原文
ひっかけ20歳到達による失権(4号)は、障害等級該当の子について「18歳到達年度末では失権しないが20歳では失権する」という例外の上限を示す規定。原則の子(18歳到達年度末失権)と障害等級該当の子(20歳到達失権)の2本立てを整理する。
解説40条3項は、子の受給権の消滅事由を離縁(1号)・年齢到達(2号、原則)・障害状態の消滅(3号)・20歳到達(4号、障害等級該当の子の絶対的上限)の4類型で構成する。この4号の「20歳に達したとき」は、3号で障害の状態がやんでいなくても、20歳に達すれば無条件に失権するという上限を画する規定であり、障害基礎年金の20歳前障害の仕組み(30条の4)と年齢の接続を意識した制度設計になっている。
補足本章(国民年金法・公的年金の基礎)では、老齢・障害・遺族の3基礎年金の支給要件・失権事由を中心に条文根拠を整備した。FP技能検定のライフプランニング分野における公的年金の出題範囲の基礎を固める章として位置づけられる。