問1質権内容と譲渡不能物の目的性e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権者は、債権の担保として受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。
- イ.譲り渡すことができない物は、質権の目的とすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 民法342条は、質権者が担保として受け取った物を占有し、その物から他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有すると定める。占有と優先弁済という二つの中核的効力が一致する。
民法第342条「債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法343条は、譲り渡すことができない物を質権の目的とすることを認めない。換価して優先弁済を得る担保権であるため、譲渡可能性を欠く物を除外する記述は正しい。
民法第343条「譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。」一次資料を確認
ひっかけ占有を伴わない抵当権と混同せず、当事者が合意すれば譲渡不能物でも換価担保にできると考えない。
解説質権は担保として受け取った物を占有し、その物から他の債権者に先立って弁済を受ける権利であり、譲渡できない物は目的物にできない。
補足民法342条で占有と優先弁済を、343条で目的物の譲渡可能性という制限を確認する。
問2質権設定引渡しと代理占有禁止e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって効力を生ずる。
- イ.質権者は、質権設定者に自己に代わって質物の占有をさせることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法344条は、質権設定の効力発生に債権者への目的物の引渡しを要求する。単なる合意だけで成立するのではなく、引渡しを効力要件とする点が正しい。
民法第344条「債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法345条は、質権者が質権設定者に自己に代わって質物を占有させることを禁止する。設定者へ占有を残す占有改定では質権の占有要件を満たせず、記述は反対である。
民法第345条「質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。」一次資料を確認
ひっかけ担保設定の合意だけで質権が成立するとせず、占有改定により設定者の直接占有を維持できると考えない。
解説質権設定は目的物を債権者へ引き渡すことで効力を生じ、質権設定者を質権者の代理占有者として目的物を設定者側に残すことはできない。
補足民法344条の引渡しによる効力発生と、345条の設定者による代理占有禁止を連続して確認する。
問3質権担保範囲と質物留置e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権は、元本と利息を担保するが、質物の隠れた瑕疵によって生じた損害賠償は担保しない。
- イ.質権者は、被担保債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法346条は、別段の定めがなければ、元本・利息だけでなく質物の隠れた瑕疵から生じた損害賠償等も質権の担保範囲に含める。これを除外する記述は範囲を狭め過ぎている。
民法第346条「質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法347条本文は、質権者が被担保債権の弁済を受けるまで質物を留置できると定める。占有担保として返還を拒み履行を促す効力を正しく述べている。
民法第347条「債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。」一次資料を確認
ひっかけ質権の担保範囲を元本と利息だけに限定せず、留置できることと他のすべての債権者へ常に対抗できることも同一視しない。
解説質権は別段の定めがない限り元本・利息に加えて実行費用や質物の隠れた瑕疵による損害賠償等も担保し、弁済までは質物を留置できる。
補足民法346条で法定担保範囲と別段の定めを、347条本文で弁済までの質物留置を確認する。
問4転質責任と弁済期前処分約定禁止e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で質物について転質をすることができる。
- イ.質権設定者は、弁済期前の契約で、法律に定める方法によらない質物処分を質権者にさせる旨を約することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 民法348条前段は、質権者が質権の存続期間内に自己の責任で質物を転質できると定める。転質自体を禁止せず、質権者に重い責任を負わせる制度である。
民法第348条「自己の責任で、質物について、転質をすることができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法349条は、質権設定者が設定行為又は弁済期前の契約で、法定方法によらず質物の所有権取得等を質権者に約することを禁止する。流質契約禁止を正しく述べている。
民法第349条「債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。」一次資料を確認
ひっかけ流質契約が禁止されることから転質まで全面禁止と考えず、転質が許されることから法定実行手続を回避する事前約定も有効だと考えない。
解説質権者は権利存続期間内に自己の責任で転質できるが、設定時又は弁済期前に法定方法によらず質物を取得・処分する流質的約定はできない。
補足民法348条で転質の可否と責任を、349条で弁済期前の流質的約定禁止を対比する。
問5質権準用規定と物上保証人求償e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.留置権の不可分性等に関する一定の規定や先取特権の物上代位規定は、質権について準用される。
- イ.他人の債務を担保するため質権を設定した者は、質権の実行により質物の所有権を失っても、債務者に対する求償権を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法350条は、留置権の不可分性・果実収取・保管義務等の規定と、先取特権の物上代位規定を質権に準用する。質権の性質に共通する規律を正しく示している。
民法第350条「第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法351条は、他人の債務を担保する質権設定者が質権実行により質物所有権を失ったとき、保証債務の規定に従う求償権を認める。全面否定する記述は逆である。
民法第351条「質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。」一次資料を確認
ひっかけ質権の条文だけで規律が完結すると考えず、物上保証人は保証契約当事者でないから債務者へ一切求償できないとも考えない。
解説質権には留置権の不可分性等と先取特権の物上代位規定が準用され、他人の債務のため質物を提供した物上保証人は実行による所有権喪失後に求償できる。
補足民法350条の準用元と準用内容を確認し、351条で所有権を失った質権設定者の求償根拠を押さえる。
問6動産質対抗要件と占有回復方法e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.動産質権者は、一度質物の占有を得ていれば、その後占有を継続しなくても質権を第三者に対抗できる。
- イ.動産質権者は、質物の占有を奪われたとき、占有回収の訴え以外の任意の方法によっても質物を回復できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 民法352条は、動産質権者が質物の占有を継続しなければ質権を第三者に対抗できないとする。設定時の引渡しだけで対抗力が永久に残るとする記述は誤りである。
民法第352条「継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法353条は、動産質権者が占有を奪われた場合、占有回収の訴えによってのみ質物を回復できると定める。任意の方法一般を認める記述は法定手段の限定に反する。
民法第353条「占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。」一次資料を確認
ひっかけ設定時の引渡しがあれば後の占有喪失にかかわらず対抗できるとせず、自力救済など任意の回復方法が広く許されるとも考えない。
解説動産質権を第三者へ対抗するには質権者の継続占有が必要であり、占有を奪われた場合は占有回収の訴えによってのみ質物を回復できる。
補足民法352条で継続占有という対抗要件を、353条で占有侵奪後の唯一の回復手段を確認する。
問7動産質実行と複数質権順位e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.動産質権者は、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物を直ちに弁済に充てることを裁判所に請求できる。
- イ.同一の動産について数個の質権が設定されたとき、その順位は設定の前後による。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 354条は、正当な理由がある場合に限り、鑑定人評価に従って質物を直ちに弁済に充てることを裁判所に請求できるとする。要件と手続をすべて満たしている。
民法第354条「正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 355条は、同一動産について数個の質権が設定されたときの順位を設定の前後によると定める。順位基準を設定時で見る点が正しい。
民法第355条「同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。」一次資料を確認
ひっかけ質権者が自力で直ちに充当できる、又は順位を占有・弁済期で決めると読まない。
解説動産質の簡易実行は正当理由・鑑定評価・裁判所請求が必要で、複数質権の順位は設定の前後で決まる。
補足354条は実行手続、355条は同一動産上の複数質権の順位基準として確認する。
問8不動産質使用収益と負担e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.不動産質権者は、質権の目的不動産について、用法に従った使用及び収益をすることができない。
- イ.不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法356条は、不動産質権者が目的不動産をその用法に従って使用・収益できると定める。占有を伴う不動産質の特徴を否定する記述は条文と反対である。
民法第356条「不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法357条は、不動産質権者に管理費用の支払その他不動産に関する負担を課す。使用収益の利益を得る一方で維持管理上の負担も負うという規律に一致する。
民法第357条「管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。」一次資料を確認
ひっかけ不動産担保という理由だけで抵当権と同様に使用収益できないと考えず、収益を得ながら管理費用等は所有者だけが負うとも考えない。
解説不動産質権者は目的不動産を用法に従って使用・収益できる一方、管理費用を支払い、その他その不動産に関する負担を負う。
補足民法356条の用法に従った使用収益と、357条の管理費用その他の負担を表裏の規律として確認する。
問9不動産質利息請求禁止と別段定めe-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。
- イ.不動産質権者の使用収益、費用負担、利息請求禁止の規定は、設定行為に別段の定めがあるときにも必ず適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法358条は、不動産質権者が被担保債権の利息を請求できないと定める。目的不動産の使用収益を認めることとの調整として、原則的な利息請求禁止を正しく述べている。
民法第358条「不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法359条は、設定行為に別段の定めがある場合等には356条から358条を適用しないとする。使用収益・費用負担・利息禁止を強行的に必ず適用する記述は誤りである。
民法第359条「前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行」一次資料を確認
ひっかけ不動産質では常に無利息になると断定せず、358条の原則だけを見て359条の別段の定め等による不適用を見落とさない。
解説不動産質権者は原則として被担保債権の利息を請求できないが、設定行為に別段の定めがある場合等には使用収益・費用負担・利息禁止の規定が適用されない。
補足民法358条で利息請求禁止の原則を、359条で356条から358条が適用されない場面を確認する。
問10不動産質存続期間と抵当権準用e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.不動産質権の存続期間は二十年を超えることができない。
- イ.不動産質権については、その性質に反しない限り、抵当権の規定が準用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法360条1項は、不動産質権の存続期間を十年以下に制限する。二十年まで設定できるとする記述は法定上限を二倍に取り違えている。
民法第360条第1項「不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法361条は、不動産質権について、その性質に反しない限り抵当権の規定を準用する。占有・使用収益を伴う質権固有の性質と抵触しない範囲という限定まで正しい。
民法第361条「その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。」一次資料を確認
ひっかけ上限を二十年などと取り違えず、抵当権規定が不動産質権の性質にかかわらず全部そのまま適用されるとも考えない。
解説不動産質権の存続期間は十年が上限であり、不動産質権の占有・使用収益という性質に反しない限り抵当権の規定が準用される。
補足民法360条1項の十年という上限と、361条の『その性質に反しない限り』という準用条件を確認する。
問11権利質目的と債権質対抗要件e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権は、財産権をその目的とすることができる。
- イ.債権を目的とする質権の設定は、第三債務者への通知又は承諾がなくても、第三債務者その他の第三者に対抗できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法362条1項は、質権の目的を物に限らず財産権にも広げる権利質を認める。譲渡性などの制約は別として、財産権を目的にできるという一般則は正しい。
民法第362条第1項「質権は、財産権をその目的とすることができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法364条は、債権を目的とする質権を第三債務者等へ対抗するため、467条の方式による第三債務者への通知又は承諾を求める。不要とする記述は誤りである。
民法第364条「第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
ひっかけ財産権を質入れできるという実体上の設定可能性から、第三債務者への通知・承諾なしでも当然に対抗できると飛躍しない。
解説質権は財産権も目的にできるが、債権質を第三債務者その他の第三者へ対抗するには467条の方式による第三債務者への通知又は承諾が必要である。
補足民法362条1項で権利質の目的を、364条で債権質の対抗要件と467条準拠の方式を確認する。
問12質権者取立権と金銭債権限度e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができない。
- イ.債権の目的物が金銭であるとき、質権者は、自己の債権額を超える部分も含めてこれを取り立てることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 民法366条1項は、質権者が質権の目的である債権を直接取り立てられると定める。第三債務者からの直接取立権を全面否定する記述は条文と反対である。
民法第366条第1項「質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法366条2項は、目的債権が金銭の場合、質権者が自己の債権額に対応する部分に限って取り立てられるとする。超過部分まで取立可能とする記述は範囲を広げ過ぎている。
民法第366条第2項「自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。」一次資料を確認
ひっかけ債権質だから第三債務者へ直接請求できないとせず、直接取立権があることから目的債権の全額を無条件に取得できるとも考えない。
解説質権者は質権の目的債権を直接取り立てられるが、目的債権が金銭である場合は自己の被担保債権額に対応する部分だけを取り立てられる。
補足民法366条1項で直接取立権を、2項で金銭債権についての自己債権額という上限を確認する。
問13質権者供託請求と非金銭目的物e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権の目的である金銭債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したとき、質権者は第三債務者に供託させることができる。
- イ.債権の目的物が金銭でないとき、質権者は弁済として受けた物について質権を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 366条3項は、目的金銭債権の弁済期が先に来た場合、第三債務者に弁済金額を供託させることができるとする。質権者の債権の弁済期前という場面設定も合う。
民法第366条第3項「質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 366条4項は、債権の目的物が金銭でないとき、弁済として受けた物について質権を有すると定める。非金銭目的物への質権移行を正しく述べている。
民法第366条第4項「債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。」一次資料を確認
ひっかけ目的債権が金銭か非金銭かで処理が変わる。供託と受領物への質権を混ぜない。
解説債権質では、目的債権の弁済期が先に来たときの供託と、非金銭債権の受領物への質権移行を分ける。
補足366条3項は金銭債権の供託、4項は非金銭目的物への質権を確認する。
問14質権内容と担保範囲再整理e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権者は、質物を占有しなくても、その物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。
- イ.質権は、設定行為に別段の定めがない限り、元本、利息、違約金、実行費用、保存費用等を担保する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 342条は、質権者が受け取った物を占有することを質権の内容に含める。占有しなくてもよいとする記述は、質権の基本要素を欠かせている。
民法第342条「債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 346条は、設定行為に別段の定めがない限り、元本、利息、違約金、実行費用、保存費用などを担保すると定める。列挙とただし書の構造に合う。
民法第346条「元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。」一次資料を確認
ひっかけ優先弁済だけを見て、質物の占有を落とさない。担保範囲も元本だけに狭めない。
解説質権は占有を伴う担保物権であり、担保範囲は別段の定めがない限り元本以外にも広く及ぶ。
補足342条で占有と優先弁済、346条で担保範囲と別段の定めを確認する。
問15質物留置の対抗限界と転質損失責任e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.質権者の質物留置権は、自己に対して優先権を有する債権者にも対抗できる。
- イ.質権者が転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであれば責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 民法347条ただし書は、質権者の留置権を自己に対して優先権を有する債権者へ対抗できないとする。留置効にも順位上の限界があり、対抗できるとの記述は逆である。
民法第347条「この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法348条後段は、転質をしなければ生じなかった損失について、不可抗力による場合でも質権者に責任を負わせる。不可抗力を一律の免責事由とする記述は誤りである。
民法第348条「転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。」一次資料を確認
ひっかけ質物を占有していることから優先順位を無視して全債権者へ返還拒絶できるとせず、転質後の不可抗力なら当然に免責されるとも考えない。
解説質権者は弁済まで質物を留置できるが自己より優先する債権者には対抗できず、転質しなければ生じなかった損失には不可抗力の場合も責任を負う。
補足民法347条ただし書の優先権者への対抗限界と、348条後段の不可抗力を含む転質損失責任を確認する。