本文へ移動

本ページには広告(PR・アフィリエイトリンク)を含みます。

民法・第47

民法(履行遅滞・損害賠償㉙)の問題(15問)

民法415条 債務不履行による損害賠償・412条 履行遅滞の時期などを、条文の原文と選択肢ごとの理由で確認できます。

この章を解く(15問)→

条文検索で確認されている論点

この章には、債務の不履行に対する損害賠償請求(民法415条)・確定期限・不確定期限の履行遅滞の時期(412条)・履行不能(412条の2)に関する問題を収録しています。条文名だけでなく、どの要件が結論を分けるかを各選択肢の根拠と一緒に確認できます。

この章で確認する論点

47章では、確定期限と不確定期限の履行遅滞・期限なし債務と履行不能請求排除・原始的不能と受領遅滞中保存義務・受領遅滞費用増加と遅滞中不能帰責・受領遅滞中不能帰責と履行強制限界を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

民法を他資格と横断して確認する場合は、民法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 不確定期限を確定期限と同じく「期限到来時点」だけで遅滞開始と即断しない。債務者の認識または債権者の請求という追加の要件が必要である。
  • 履行不能の場面を履行遅滞と同列に扱い、不能でも遅滞と同様に履行請求できると考えない。不能は請求権そのものを失わせる点で遅滞と異なる。
  • 原始的不能=契約無効・賠償不可という旧来の理解を持ち込まない。現行民法は原始的不能でも415条の損害賠償請求を認める。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法412条412条の2413条413条の2414条415条416条417条417条の2418条419条420条422条

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年7月時点の法令に準拠
1確定期限と不確定期限の履行遅滞e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務の履行について確定期限があるとき、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
  • 不確定期限がある債務では、期限到来後の履行請求時又は期限到来を知った時のいずれか早い時から、債務者は遅滞の責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法412条1項は、確定期限がある債務は期限到来という客観的事実のみで遅滞責任が生じると定めており、記述はこれと一致する。

民法第412条第1項「確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。」一次資料を確認

正しい
民法412条2項は、不確定期限の場合は期限到来後に履行請求を受けた時又は債務者が期限到来を知った時のいずれか早い時から遅滞となると定め、期限到来のみでは遅滞としない点が確定期限との違いであり、記述はこの区別を正しく反映している。

民法第412条第2項「履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。」一次資料を確認

ひっかけ不確定期限を確定期限と同じく「期限到来時点」だけで遅滞開始と即断しない。債務者の認識または債権者の請求という追加の要件が必要である。

解説履行遅滞の起算点は期限の定め方で3通りに分かれる。確定期限(1項)は期限到来という事実のみで遅滞となるが、不確定期限(2項)は期限到来後に履行請求を受けるか債務者が到来を知った時のいずれか早い時点まで遅滞とならず、期限の定めがない場合(3項)は履行請求を受けた時から初めて遅滞となる。

補足民法412条1項(確定期限)・2項(不確定期限)・3項(期限の定めなし)の3類型を条文の文言で区別して確認する。

2期限なし債務と履行不能請求排除e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 履行について期限を定めなかったとき、債務者は履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
  • 債務の履行が社会通念上不能であっても、債権者は常にその履行を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法412条3項は、期限の定めのない債務は履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負うと定めており、記述はこれと一致する。

民法第412条第3項「期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。」一次資料を確認

誤り
民法412条の2第1項は、契約その他の発生原因及び取引上の社会通念に照らして履行が不能であるときは、債権者は履行の請求をすることができないと定める。記述は不能でも常に請求できるとしており、この規定に反し誤りである。

民法第412の2条第1項「不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。」一次資料を確認

ひっかけ履行不能の場面を履行遅滞と同列に扱い、不能でも遅滞と同様に履行請求できると考えない。不能は請求権そのものを失わせる点で遅滞と異なる。

解説期限の定めのない債務は履行請求を受けた時から遅滞となる(412条3項)が、これは履行が可能であることが前提である。履行が契約その他の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、遅滞ではなく履行請求権自体が412条の2第1項により排除される。

補足民法412条3項(期限なし債務の遅滞起算点)と412条の2第1項(履行不能による請求排除)を別の場面として条文で確認する。

3原始的不能と受領遅滞中保存義務e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 契約成立時に履行不能であった場合、債権者は履行不能による損害賠償を一切請求できない。
  • 債権者が履行の受領を拒み、特定物引渡債務について債務者が履行の提供をした後は、債務者は引渡しまで自己の財産に対するのと同一の注意で保存すれば足りる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法412条の2第2項は、契約成立時に既に履行不能であったこと(原始的不能)は、415条の規定による履行不能を理由とする損害賠償請求を妨げないと定める。記述は一切請求できないとしており、この規定に反し誤りである。

民法第412の2条第2項「契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない。」一次資料を確認

正しい
民法413条1項は、債権者が履行の受領を拒み又は受けることができない場合において、特定物の引渡しを目的とする債務では、債務者は履行の提供をした時から引渡しまで自己の財産に対するのと同一の注意をもって保存すれば足りると定めており、記述はこれと一致する。

民法第413条第1項「自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。」一次資料を確認

ひっかけ原始的不能=契約無効・賠償不可という旧来の理解を持ち込まない。現行民法は原始的不能でも415条の損害賠償請求を認める。

解説契約成立時に履行が不能であった原始的不能の場合でも、412条の2第2項により415条に基づく損害賠償請求は妨げられない。また受領遅滞中の特定物保存義務は、通常の善管注意義務より軽減され、自己の財産に対するのと同一の注意で足りる(413条1項)。

補足民法412条の2第2項(原始的不能と賠償請求)・413条1項(受領遅滞中の保存義務軽減)を条文で確認する。

4受領遅滞費用増加と遅滞中不能帰責e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債権者が履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって履行費用が増加したとき、その増加額は債権者の負担となる。
  • 債務者が遅滞責任を負っている間に、双方無帰責の事由で履行不能となったとき、その不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法413条2項は、債権者が履行の受領を拒み又は受けることができないことによって履行の費用が増加したときは、その増加額は債権者の負担とすると定めており、記述はこれと一致する。

民法第413条第2項「その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。」一次資料を確認

正しい
民法413条の2第1項は、債務者が遅滞の責任を負っている間に当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行が不能となったときは、その不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなすと定めており、記述はこれと一致する。

民法第413の2条第1項「債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。」一次資料を確認

ひっかけ双方に帰責事由がない不能は常に債務者免責になると早合点しない。履行遅滞中に生じた不能は、遅滞に陥っていたこと自体が帰責の根拠となり債務者責任とみなされる。

解説受領遅滞により増加した履行費用は債権者の負担となる(413条2項)。一方、債務者が既に履行遅滞に陥っている間に当事者双方無帰責の事由で履行不能となった場合は、本来なら債務者は免責されうるところ、遅滞中であったことを理由に不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされ(413条の2第1項)、債務者は損害賠償責任を免れない。

補足民法413条2項(受領遅滞と費用負担)・413条の2第1項(履行遅滞中の不能のみなし帰責)を条文で確認する。

5受領遅滞中不能帰責と履行強制限界e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 受領遅滞中に履行の提供後、双方無帰責の事由で履行不能となったとき、その不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。
  • 債務者が任意に履行しないとき、債務の性質が許さない場合でも、債権者は必ず履行の強制を裁判所に請求できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法413条の2第2項は、債権者が履行の受領を拒み又は受けることができない場合において、履行の提供があった時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって履行が不能となったときは、その不能は債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなすと定めており、記述はこれと一致する。

民法第413の2条第2項「その履行の不能は、債権者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。」一次資料を確認

誤り
民法414条1項は、債務者が任意に履行しないときは裁判所に履行の強制を請求できると定める一方、ただし書で『債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。』として例外を置く。記述は例外を無視して常に履行強制できるとしており誤りである。

民法第414条第1項「債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」一次資料を確認

ひっかけ履行強制は債権者の権利として無制限に認められると考えない。414条1項ただし書の『債務の性質』による限界を必ず確認する。

解説413条の2は履行不能の帰責を場面ごとに振り分ける。履行遅滞中の不能は債務者帰責(1項)、受領遅滞中に提供後生じた不能は債権者帰責(2項)とみなされる。また414条1項は履行の強制を原則として認めるが、ただし書により債務の性質が強制を許さない場合(例:芸術家の創作債務等)は履行強制ができず、損害賠償等の別の救済手段によることになる。

補足民法413条の2第2項(受領遅滞中提供後の不能の帰責)・414条1項本文とただし書(履行強制の原則と例外)を条文で確認する。

6履行強制と損害賠償請求併存e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債権者が履行の強制を請求したときは、損害賠償の請求は法律上当然に排斥される。
  • 債務者が債務の本旨に従った履行をしない場合でも、債権者は損害賠償を請求することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
民法414条2項は『前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。』と定め、履行の強制を請求したことが損害賠償請求を排斥しないことを明文化している。記述は当然に排斥されるとしており誤りである。

民法第414条第2項「前項の規定は、損害賠償の請求を妨げない。」一次資料を確認

誤り
民法415条1項は、債務者が債務の本旨に従った履行をしない場合(不完全履行を含む)又は履行が不能である場合に、債権者が生じた損害の賠償を請求することができると定めており、記述はこれと正反対であり誤りである。

民法第415条第1項「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは」一次資料を確認

ひっかけ履行強制を選んだら損害賠償はもう請求できない、という二者択一の発想をしない。414条2項が併存を明文で保障している。

解説履行の強制(414条)と損害賠償請求(415条)は択一的な救済手段ではなく、414条2項により併存が明文で認められている。また415条1項は、本旨不履行(不完全な履行を含む)と履行不能のいずれについても損害賠償請求の根拠となる原則規定であり、ただし書の帰責不能事由がない限り請求は妨げられない。

補足民法414条2項(履行強制と損害賠償請求の併存)・415条1項本文(本旨不履行・履行不能による損害賠償請求の原則)を条文で確認する。

7債務不履行責任と帰責不能免責e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務者が債務の本旨に従った履行をしないとき、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
  • 債務不履行が契約その他の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるときは、損害賠償請求はできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法415条1項本文は、債務者が債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は生じた損害の賠償を請求することができると定めており、記述はこれと一致する。

民法第415条第1項「債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。」一次資料を確認

正しい
民法415条1項ただし書は、債務の不履行が契約その他の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、損害賠償請求ができないと定めており、記述はこれと一致する。

民法第415条第1項「債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」一次資料を確認

ひっかけ本旨不履行があれば無条件に損害賠償責任を負うと単純化しない。ただし書の帰責不能事由による免責の余地を必ず検討する。

解説415条1項は『本旨不履行又は履行不能があれば損害賠償責任を負う(本文)が、契約その他の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者に帰責できない事由による場合は免責される(ただし書)』という原則・例外の構造で理解する。帰責事由の有無は契約内容や取引上の社会通念によって個別に判断される。

補足民法415条1項本文(原則としての損害賠償請求権)とただし書(帰責不能事由による免責)を条文でセットで確認する。

8履行に代わる損害賠償の場面e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務の履行が可能で、債務者が履行拒絶の意思を明確に表示していないときでも、債権者は常に履行に代わる損害賠償を請求できる。
  • 債務の履行が不能であるときは、債権者は履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法415条2項は『次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。』として、履行不能・明確な履行拒絶・契約解除又は解除権発生の3類型(各号)に限定して履行に代わる損害賠償を認める。記述はこれらの場面によらず常に請求できるとしており誤りである。

民法第415条第2項「次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。」一次資料を確認

正しい
民法415条2項1号は『債務の履行が不能であるとき。』を履行に代わる損害賠償を請求できる場面の一つとして掲げており、記述はこれと一致する。

民法第415条第2項第1号「債務の履行が不能であるとき。」一次資料を確認

ひっかけ本旨不履行があれば常に履行に代わる損害賠償(履行そのものの価値の賠償)を請求できると考えない。2項各号の限定場面に該当するかを必ず確認する。

解説履行に代わる損害賠償(塡補賠償)は、415条1項の損害賠償請求ができる場合のうち、2項各号(1号:履行不能、2号:明確な履行拒絶、3号:契約解除又は解除権発生)に該当するときに限って認められる限定列挙である。単なる本旨不履行一般では足りず、履行の実現がもはや見込めない場面に限定される点に注意する。

補足民法415条2項の柱書(限定列挙の趣旨)と1号(履行不能)を条文で確認する。

9履行拒絶意思表示と解除発生e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示したとき、債権者は履行に代わる損害賠償を請求できる。
  • 契約が解除された場合でも、債権者は履行に代わる損害賠償を請求することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法415条2項2号は『債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。』を履行に代わる損害賠償を請求できる場面として掲げており、記述はこれと一致する。

民法第415条第2項第2号「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。」一次資料を確認

誤り
民法415条2項3号は『その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。』を履行に代わる損害賠償を請求できる場面として掲げている。記述は解除された場合に請求できないとしており、この規定に反し誤りである。

民法第415条第2項第3号「その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。」一次資料を確認

ひっかけ契約を解除すれば損害賠償請求もできなくなると考えない。解除は履行請求権を消滅させるだけで、415条2項3号により履行に代わる損害賠償請求はむしろ解除を機縁として認められる。

解説履行に代わる損害賠償が認められる415条2項の3類型のうち、2号(履行拒絶の意思の明確な表示)と3号(契約解除又は解除権発生)は、履行不能(1号)とは異なり債務者の意思表示や契約関係の解消という法的な事実状態を要件とする。特に3号は、契約を解除した場合でも解除により履行請求権自体は消滅するが、履行に代わる損害賠償請求は妨げられない点が重要である。

補足民法415条2項2号(履行拒絶の明確な意思表示)・3号(契約解除又は解除権発生)を条文で確認する。

10通常損害と特別損害e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務不履行による損害賠償は、特別の事情による損害だけを賠償させることを目的とする。
  • 特別の事情によって生じた損害でも、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は賠償を請求できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法416条1項は『これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。』と定め、損害賠償の基本は通常損害の賠償にあるとする。記述は特別の事情による損害だけを目的とするとしており、この規定に反し誤りである。

民法第416条第1項「通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」一次資料を確認

正しい
民法416条2項は『特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。』と定めており、記述はこれと一致する。

民法第416条第2項「当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」一次資料を確認

ひっかけ通常損害と特別損害を対等な選択肢と捉えない。通常損害は無条件に賠償対象となる原則、特別損害は予見可能性という要件を満たして初めて賠償対象となる例外である。

解説損害賠償の範囲は、416条1項の通常損害(当該不履行から通常生ずべき損害)を原則とし、2項の特別損害(特別の事情によって生じた損害)は当事者がその事情を予見すべきであった場合に限って賠償範囲に含まれるという原則・例外の構造で理解する。『予見すべきであった』かどうかは不履行時を基準に判断される。

補足民法416条1項(通常損害の原則)・2項(予見すべき特別事情による特別損害の賠償)を条文でセットで確認する。

11損害賠償方法と中間利息控除e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。
  • 将来取得すべき利益の損害賠償額から利息相当額を控除するときは、常に履行期の法定利率による。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法417条は『損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。』と定め、金銭賠償を原則とすることを明らかにしており、記述はこれと一致する。

民法第417条「別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。」一次資料を確認

誤り
民法417条の2第1項は中間利息控除の基準時を『その損害賠償の請求権が生じた時点』とする。記述は履行期を基準としており、この規定に反し誤りである。

民法第417の2条第1項「その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。」一次資料を確認

ひっかけ中間利息控除の基準時を履行期や現実の支払時と取り違えない。基準は損害賠償請求権が生じた時点における法定利率である。

解説将来の逸失利益や将来負担費用を賠償する場合、将来時点までの利息相当額をあらかじめ控除する中間利息控除が必要となる。417条の2第1項はその基準時を『損害賠償の請求権が生じた時点』における法定利率とし、履行期や現実の支払時点を基準としない点に注意する。なお417条・417条の2は722条1項により不法行為の損害賠償にも準用される。

補足民法417条(金銭賠償の原則)・417条の2第1項(中間利息控除の基準時)を条文で確認する。

12将来費用控除と過失相殺e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 将来負担すべき費用についての損害賠償額から利息相当額を控除する場合、将来取得利益の場合の規定は準用されない。
  • 債務不履行による損害の発生又は拡大に関して債権者に過失があっても、裁判所はこれを考慮できない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
民法417条の2第2項は『その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。』と定め、将来負担費用の中間利息控除にも第1項と同じ基準時(損害賠償請求権が生じた時点の法定利率)を適用する。記述は準用を否定しており誤りである。

民法第417の2条第2項「その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。」一次資料を確認

誤り
民法418条は『裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。』と定め、債権者の過失を必要的に考慮すべきものとする。不法行為の過失相殺(722条2項)が『することができる』という裁量規定であるのと異なり、債務不履行の過失相殺は裁判所の義務とされる。記述は考慮を否定しており誤りである。

民法第418条「裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。」一次資料を確認

ひっかけ債務不履行の過失相殺を、不法行為の過失相殺(裁量的)と同列に考えない。418条の考慮は裁判所の義務であり任意ではない。

解説417条の2は第1項で将来取得利益、第2項で将来負担費用について、いずれも損害賠償請求権が生じた時点の法定利率で中間利息控除を行うと定め、両者は同一基準で扱われる。418条の過失相殺は『裁判所は、これを考慮して…定める』という文言により必要的な考慮とされ、不法行為の過失相殺(722条2項『することができる』)が裁判所の裁量による任意的な考慮であるのと対照的である。

補足民法417条の2第2項(将来費用の中間利息控除)・418条(過失相殺の必要的考慮、722条2項との対比)を条文で確認する。

13金銭債務損害賠償と損害証明不要e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 金銭債務の不履行による損害賠償額は、原則として、債務者が遅滞責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。
  • 金銭債務の不履行について、債権者は損害の証明をすることを要しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法419条1項は『債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。』と定め、原則は遅滞責任開始時点の法定利率によりつつ、約定利率が上回る場合は例外的に約定利率による。記述は『原則として』と留保しており、この規定と一致する。

民法第419条第1項「債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。」一次資料を確認

正しい
民法419条2項は『前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。』と定め、金銭債務の不履行では実損害の証明なしに法定利率等による賠償を請求できるとする特則を置いており、記述はこれと一致する。

民法第419条第2項「債権者は、損害の証明をすることを要しない。」一次資料を確認

ひっかけ金銭債務の遅延損害金の基準時を『現在の法定利率』や『履行期』と取り違えない。基準は遅滞責任を負った最初の時点の法定利率であり、約定利率が上回る場合のみ例外的に約定利率による。

解説金銭債務の不履行による損害賠償は、419条1項により原則として債務者が遅滞責任を負った最初の時点の法定利率によるが、ただし書により約定利率が法定利率を超えるときは約定利率が優先する。さらに2項により債権者は損害の証明を要しない特則があり、通常の債務不履行(416条)が損害の発生・範囲の立証を要するのと対照的に、金銭債務では利率のみで機械的に賠償額が算定される。

補足民法419条1項(原則と約定利率の例外)・2項(損害証明不要の特則)を条文で確認する。

14金銭債務不可抗力抗弁と賠償額予定e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 金銭債務の不履行による損害賠償について、債務者は不可抗力を抗弁とすることができる。
  • 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法419条3項は『第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。』と定め、金銭債務の不履行では不可抗力による免責の主張を認めない。記述は不可抗力を抗弁にできるとしており、この規定に反し誤りである。

民法第419条第3項「債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。」一次資料を確認

正しい
民法420条1項は『当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。』と定め、実損害の証明・算定なしに賠償額をあらかじめ合意で定めることを認めており、記述はこれと一致する。

民法第420条第1項「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。」一次資料を確認

ひっかけ金銭債務の不履行で天災等の不可抗力を主張できると考えない。419条3項により不可抗力は抗弁にならない。

解説金銭債務は419条1項〜3項によって特別に扱われ、遅滞責任開始時の法定利率(1項)・損害証明不要(2項)に加え、3項では不可抗力を抗弁として主張できないとされる。これは金銭には調達不能という事態が観念しにくく、常に履行遅滞として処理されるためである。420条1項の賠償額の予定は、当事者があらかじめ賠償額を合意しておく制度で、金銭債務に限らず債務一般に適用される点で419条とは適用場面が異なる。

補足民法419条3項(不可抗力抗弁の否定)・420条1項(損害賠償額の予定)を条文で確認する。

15賠償額予定効果と損害賠償代位e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を当然に妨げる。
  • 債権者が損害賠償として債権目的物又は権利の価額の全部の支払を受けても、債務者がその物又は権利について債権者に代位することはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
民法420条2項は『賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。』と定め、賠償額をあらかじめ予定していても、債権者は履行の請求や解除権の行使を選択できるとする。記述は賠償額の予定が当然にこれらを妨げるとしており、この規定に反し誤りである。

民法第420条第2項「賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。」一次資料を確認

誤り
民法422条は『債権者が、損害賠償として、その債権の目的である物又は権利の価額の全部の支払を受けたときは、債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。』と定め、全部賠償を受けた債権者が目的物等も保持する二重取りを防ぐため、債務者への当然代位を認める。記述は代位を否定しており、この規定に反し誤りである。

民法第422条「債務者は、その物又は権利について当然に債権者に代位する。」一次資料を確認

ひっかけ賠償額の予定を合意すれば履行請求や解除ができなくなると考えない。420条2項により両者は併存する。また全部賠償を受けても目的物を保持できると考えない。422条により当然に代位が生じる。

解説賠償額の予定(420条1項)は履行請求・解除権行使という他の救済手段と両立し、420条2項によりこれらを妨げない。422条の損害賠償による代位は、債権者が全部価額の賠償を受けた場合に、目的物や権利についての債務者の権利を債権者に当然移転させることで、賠償金と目的物等の二重取りを防止する制度である。両条とも、損害賠償が債権者に不当な利得をもたらさないよう調整する趣旨で共通する。

補足民法420条2項(賠償額の予定と履行請求・解除の並存)・422条(損害賠償による代位)を条文で確認する。

読み終えたら、解いて採点

この章の15問を、確認根拠つきで採点します。選択肢ごとの正誤を自分で判断してから答え合わせできます。

この章を解く(15問)→

登録不要・無料。各問にe-Gov等の一次資料で確認済みの根拠つき。 宅地建物取引士の過去問の公開状況も確認できます。

この章を解く(15問)→