問1詐害行為取消請求の基本要件と受益者善意e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求できる。
- イ.受益者が行為時に債権者を害することを知らなかったときは、詐害行為取消請求はできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 424条1項本文は、債権者は債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができると定める。取消しは債権者が当然にできる私的取消しではなく、必ず裁判所への請求という方法によらなければならない。
民法第424条第1項「債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条1項ただし書は、その行為によって利益を受けた受益者が行為の時において債権者を害することを知らなかったときは取消請求ができないと定める。債務者の詐害意思だけでなく受益者の悪意も要件であり、善意の取引相手を保護する趣旨である。
民法第424条第1項「その行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。」一次資料を確認
ひっかけ債務者側の詐害意思だけを見て受益者の善意・悪意という要件を落とさない。取消しが裁判上の請求である点も見落とさない。
解説詐害行為取消請求(424条1項)は、債務者が債権者を害することを知ってした行為について、債権者が裁判所に取消しを請求する制度であり、債権者の一方的な意思表示では取消しの効力を生じさせられず必ず訴えによる必要がある。さらに同項ただし書は、行為によって利益を受けた受益者が行為の時に善意(債権者を害することを知らなかった)であれば取消請求を認めないと定めており、債務者の詐害意思だけでなく受益者の悪意も別個の要件として必要になる。
補足424条1項本文(裁判所への取消請求と債務者の詐害意思)とただし書(受益者の行為時善意による除外)を条文の文言で確認する。
問2非財産行為と前原因債権e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.詐害行為取消請求の規定は、財産権を目的としない行為には適用されない。
- イ.債権者は、債権が詐害行為後の原因に基づいて生じた場合でも、詐害行為取消請求ができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 424条2項は、前項(1項)の規定は財産権を目的としない行為については適用しないと定める。婚姻・離縁など身分的な非財産行為は本人の自己決定に委ねるべきであり、詐害行為取消請求の対象から除外される。
民法第424条第2項「財産権を目的としない行為については、適用しない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条3項は、債権者は、その債権が1項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り取消請求をすることができると定める。行為後に生じた債権を被保全債権として取消請求することはできず、記述は誤りである。
民法第424条第3項「その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り」一次資料を確認
ひっかけ非財産行為も取消対象になると誤解しない。行為後に生じた債権で当然に取消せるとしない。
解説詐害行為取消請求の対象は財産権を目的とする行為に限られ(424条2項)、婚姻・相続放棄等の身分的な非財産行為には適用されない。また被保全債権となる債権は、詐害行為の前の原因に基づいて生じたものでなければならず(同条3項)、詐害行為の後に生じた債権では、その行為によって責任財産が減少したことによる不利益を受けていないため、取消請求の基礎とすることができない。
補足424条2項(非財産行為の適用除外)と3項(被保全債権の発生時期)を条文の文言で確認する。
問3強制執行不能債権と相当対価処分e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.債権が強制執行により実現できないものであっても、詐害行為取消請求は常に可能である。
- イ.相当の対価を得て財産を処分した場合でも、民法424条の2各号の要件を満たすときは、詐害行為取消請求ができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 424条4項は、債権者はその債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができないと定める。取消権は責任財産を保全して強制執行の実効性を確保する制度で、強制執行できない債権は保護対象外となる。
民法第424条第4項「強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の2は、相当の対価を取得した財産処分は通常の無償行為より詐害性が低いことから、隠匿等処分のおそれ・債務者の隠匿等処分意思・受益者の悪意という各号の要件をすべて満たす場合に限り取消請求を認める特則である。
民法第424の2条「次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、その行為について、詐害行為取消請求をすることができる。」一次資料を確認
ひっかけ強制執行不能な債権でも常に取消請求できるとしない。相当対価があれば常に取消不可とも決めつけない。
解説詐害行為取消請求の被保全債権は、強制執行により実現できる債権でなければならず(424条4項)、強制執行で実現不能な債権を被保全債権として取消請求をすることはできない。また、相当の対価を得てした財産処分は、無償行為より詐害性が低いため、通常の詐害行為取消請求の要件に加えて、隠匿等処分のおそれ・債務者の処分意思・受益者の悪意という424条の2各号の要件をすべて満たす場合に限り取消請求の対象となる特則が置かれている。
補足424条4項(強制執行可能性)と424条の2各号(相当対価処分の特則要件)を条文の文言で確認する。
問4隠匿等処分のおそれと債務者意思e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.相当対価処分の特則では、処分による財産種類の変更により、債権者を害する処分をするおそれを現に生じさせることが要件となる。
- イ.相当対価処分の特則では、債務者が対価として取得した財産について隠匿等の処分をする意思を有していたことも要件となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 424条の2第1号は、当該行為が不動産の金銭への換価その他の財産種類の変更により、債務者において隠匿・無償供与その他債権者を害する処分(隠匿等の処分)をするおそれを現に生じさせるものであることを要件とする。
民法第424の2条「債権者を害することとなる処分(以下この条において「隠匿等の処分」という。)をするおそれを現に生じさせるものであること。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の2第2号は、債務者がその行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について隠匿等の処分をする意思を有していたことを要件とする。客観的なおそれ(1号)だけでなく、債務者本人の主観的な処分意思も別個に必要とされる。
民法第424の2条「隠匿等の処分をする意思を有していたこと。」一次資料を確認
ひっかけ客観的なおそれ(1号)だけで要件が満たされると誤解せず、債務者の主観的意思(2号)も別個の要件と押さえる。
解説相当対価処分の特則(424条の2)は、通常の無償行為より詐害性が類型的に低いことから、要件を段階的に絞り込んでいる。第1号は財産種類の変更により隠匿等処分のおそれが客観的に生じたことを要求し、第2号はさらに債務者本人が現に隠匿等処分をする意思を有していたという主観的要件を要求する。客観的なおそれだけでは足りず、債務者の主観的意思まで認められて初めて要件の一部を満たす。
補足424条の2第1号(客観的な隠匿等処分のおそれ)と第2号(債務者の主観的処分意思)を条文の文言で区別して確認する。
問5受益者悪意と既存債務担保e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.相当対価処分の特則では、受益者が債務者の隠匿等処分意思を知っていたことが要件となる。
- イ.既存債務についての担保供与又は債務消滅行為は、支払不能時に行われたものでなくても、常に詐害行為取消請求の対象となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 424条の2第3号は、受益者がその行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたことを要件とする。債務者側のおそれ・意思(1号・2号)だけでなく、取引の相手方である受益者の悪意まで要求することで、対価を得た通常取引を不当に覆さないよう限定している。
民法第424の2条「受益者が、その行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条の3第1項は、既存債務の担保供与・消滅行為について、①行為が債務者の支払不能時に行われたこと、②債務者と受益者が通謀して他の債権者を害する意図で行ったことの両方を要件とする。支払不能時でなければ原則として取消請求の対象とならず、記述は要件を欠落させている。
民法第424の3条第1項「その行為が、債務者が支払不能」一次資料を確認
ひっかけ既存債務への弁済・担保供与をいつでも取消せるとしない。支払不能要件と通謀要件をどちらも確認する。
解説相当対価処分の特則(424条の2)は、隠匿等処分のおそれ・債務者の処分意思に加え、第3号で受益者がその意思を知っていた(悪意)ことも要件とし、正常な取引の相手方を保護する。また既存債務についての担保供与・弁済行為は本来正当な履行であるから、424条の3第1項により、支払不能時に行われ、かつ債務者・受益者の通謀による他害意図があった場合に限り取消請求の対象となる特則が置かれている。支払不能時でない平時の履行行為は原則として取消対象外である。
補足424条の2第3号(受益者の悪意)と424条の3第1項(支払不能時・通謀の要件)を条文の文言で確認する。
問6支払不能定義と通謀害意e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.支払不能とは、支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一時的に一部弁済できない状態をいう。
- イ.既存債務についての担保供与等の特則では、債務者と受益者が通謀して他の債権者を害する意図をもつことは不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 424条の3第1項1号かっこ書は、支払不能を『支払能力を欠くために、弁済期にある債務につき一般的かつ継続的に弁済できない状態』と定義する。記述は『一時的』『一部』としており、継続性・網羅性の要件を欠く点で誤りである。
民法第424の3条第1項「一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条の3第1項は、支払不能時であること(1号)と債務者・受益者の通謀害意(2号)のいずれにも該当する場合に限り取消請求を認める。記述は通謀害意を不要としており、条文の累積要件を無視した誤りである。
民法第424の3条第1項「債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。」一次資料を確認
ひっかけ支払不能を一時的・部分的な不払いと混同しない。支払不能時要件と通謀害意要件のどちらか一方だけで足りるとしない。
解説支払不能(424条の3第1項1号かっこ書)は、支払能力を欠くために弁済期にある債務を一般的かつ継続的に弁済できない状態をいい、単発・一時的な不払いでは足りない。また既存債務についての担保供与・弁済行為は本来正当な履行であるから、支払不能時に行われたこと(1号)と債務者・受益者の通謀害意(2号)の両方を満たす場合に限り例外的に取消請求の対象となる。
補足424条の3第1項1号かっこ書(支払不能の定義)と1号・2号の累積要件(いずれにも該当)を条文の文言で確認する。
問7義務外担保供与と三十日要件e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.債務者の義務に属しない担保供与等については、支払不能になる前三十日以内に行われたことが特則の要件となる。
- イ.義務外担保供与等についても、債務者と受益者が通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたことが要件となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 424条の3第2項1号は、義務に属しない担保供与等について、支払不能時ちょうどでなくても『支払不能になる前三十日以内に行われたものであること』を要件とし、1項の支払不能時要件より捕捉範囲を広げている。
民法第424の3条第2項「支払不能になる前三十日以内に行われたものであること。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の3第2項2号は、義務外の担保供与等についても『債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること』を要件とし、1項2号と同じ通謀害意を要求する。
民法第424の3条第2項「債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。」一次資料を確認
ひっかけ三十日要件が緩和されているからといって通謀害意まで不要になると誤解しない。義務内(1項)と義務外(2項)の期間要件の違いを混同しない。
解説既存債務についての担保供与・消滅行為が債務者の義務に属しない場合(義務外担保供与等)は、424条の3第2項により、支払不能時ちょうどでなくても「支払不能になる前三十日以内」であれば足りると要件が緩和される一方、債務者と受益者の通謀害意(2号)は1項と同様に必要とされ、要件が一切不要になるわけではない。義務に属しない行為は能動的な財産減少行為として、より広い危機時期を対象とする趣旨である。
補足424条の3第2項1号(支払不能前三十日以内)と2号(通謀害意)の両方を条文の文言で確認する。
問8過大代物弁済と取消範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.過大な代物弁済等については、詐害行為取消請求は消滅した債務の額に相当する部分にも当然に及ぶ。
- イ.過大な代物弁済等の特則は、受益者の受けた給付価額が消滅した債務額より過大である場合を対象とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 424条の4は、過大な代物弁済等について「その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については」取消請求ができると定める。記述は債務額相当部分にも当然に及ぶとしており、この限定を無視した誤りである。
民法第424の4条「その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の4は、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものを対象とすると定めており、記述はこの適用対象を条文どおり述べている。
民法第424の4条「受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるもの」一次資料を確認
ひっかけ過大な代物弁済は全体が取消対象になると誤解しない。過大部分だけが取消対象である点を条文の文言で確認する。
解説過大な代物弁済等の特則(424条の4)は、受益者の受けた給付価額が消滅した債務額より過大である場合に適用され、424条の3第1項の支払不能・通謀害意という要件にかかわらず、424条の一般要件(詐害意思・受益者悪意)を満たせば取消請求ができる。ただし取消請求の範囲は、消滅した債務額に相当する部分(正当な弁済部分)を除いた過大部分に限定され、代物弁済全体が当然に取消されるわけではない。
補足424条の4(過大部分の限定と424条の一般要件への切替え)を条文の文言で確認する。
問9転得者請求の区分と受益者転得e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.受益者に対して詐害行為取消請求ができ、受益者から転得した者が転得時に詐害性を知っていたときは、その転得者に対しても請求できる。
- イ.受益者からの転得者が転得時に詐害性を知らなかった場合でも、転得者に対して常に詐害行為取消請求ができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 424条の5第1号は、受益者からの転得者について「転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき」に限り請求できると定める。記述は条文どおりであり正しい。
民法第424の5条「その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条の5第1号は転得者の転得時悪意を要件としており、転得時に善意であった転得者に対しては請求できない。記述は善意の転得者にも常に請求できるとしており誤りである。
民法第424の5条「債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。」一次資料を確認
ひっかけ受益者への請求ができれば転得者にも当然請求できるとしない。転得者自身の転得時悪意を別個の要件として確認する。
解説受益者から転得した者に対する詐害行為取消請求(424条の5第1号)は、①受益者に対して詐害行為取消請求ができることを前提として、②その転得者が転得の当時、債務者の行為が債権者を害することを知っていた(悪意)ことが要件となる。転得者が転得時に善意であれば、受益者への請求ができる場合でも転得者に対しては請求できず、善意の取引の安全が優先される。
補足424条の5柱書(受益者請求の前提)と1号(転得者の転得時悪意)を条文の文言で確認する。
問10多段転得者と全転得者悪意e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.他の転得者から転得した者に対する請求では、最後の転得者だけが悪意であれば足りる。
- イ.他の転得者から転得した者への詐害行為取消請求では、前に転得した全ての転得者がそれぞれ転得時に詐害性を知っていたことが要件となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 424条の5第2号は、他の転得者から転得した者について「その転得者及びその前に転得した全ての転得者」が転得時に悪意であることを要件とする。記述は最後の転得者だけで足りるとしており誤りである。
民法第424の5条「その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の5第2号は、前に転得した全ての転得者がそれぞれの転得の当時に詐害性を知っていたことを要件とする。記述は条文どおりであり正しい。
民法第424の5条「前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。」一次資料を確認
ひっかけ最後の転得者の悪意だけを見て、中間の転得者の悪意を確認し忘れない。連鎖の途中に善意者がいれば以降は保護される点を押さえる。
解説受益者から数次にわたって転得された財産について、後順位の転得者に対して詐害行為取消請求をするには(424条の5第2号)、請求の相手方である転得者本人だけでなく、その前に転得した全ての転得者もそれぞれの転得の当時に詐害性を知っていた(悪意)ことが必要である。転得の連鎖のどこかに一人でも善意の転得者がいれば、その者以降の転得者に対しては請求できなくなる。
補足424条の5第2号(その転得者及び前に転得した全ての転得者の転得時悪意)を条文の文言で確認する。
問11受益者返還請求と価額償還e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.受益者に対する詐害行為取消請求では、取消しとともに、受益者に移転した財産の返還を請求できる。
- イ.受益者が財産の返還をすることが困難であっても、債権者は価額の償還を請求できない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 424条の6第1項前段は、受益者に対する詐害行為取消請求において、行為の取消しとともに受益者に移転した財産の返還を請求できると定める。記述は条文どおりであり正しい。
民法第424の6条第1項「その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条の6第1項後段は、受益者による財産の返還が困難であるときは価額の償還を請求できると定める。記述は価額償還を否定しており、この後段の規定を無視した誤りである。
民法第424の6条第1項「その価額の償還を請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ現物返還が困難な場合に請求自体ができなくなると誤解しない。価額償還という代替手段があることを押さえる。
解説受益者に対する詐害行為取消請求(424条の6第1項)では、行為の取消しとともに受益者に移転した財産の返還を請求できるのが原則(前段)であるが、受益者による現物返還が困難なときは、原状回復を確保するため価額の償還を請求できる(後段)。現物返還が原則、価額償還はその代替手段という原則・例外の関係にある。
補足424条の6第1項前段(現物返還請求)と後段(返還困難時の価額償還)を条文の文言で確認する。
問12転得者返還請求と被告e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.転得者に対する詐害行為取消請求では、転得者が転得した財産の返還を請求することはできない。
- イ.受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴えでは、債務者を被告とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 424条の6第2項前段は、転得者に対する詐害行為取消請求において、取消しとともに転得者が転得した財産の返還を請求できると定める。記述はこの返還請求を否定しており誤りである。
民法第424の6条第2項「転得者が転得した財産の返還を請求することができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条の7第1項1号は、受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴えについては受益者を被告とすると定める。記述は債務者を被告としており、被告適格の所在を誤っている。
民法第424の7条第1項「受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴え受益者」一次資料を確認
ひっかけ転得者には返還請求ができないと誤解しない。詐害行為取消訴訟の被告を債務者と混同しない。
解説転得者に対する詐害行為取消請求(424条の6第2項)でも、受益者への請求と同様に取消しとともに転得財産の返還(困難なら価額償還)を請求できる。また詐害行為取消請求に係る訴えの被告は、行為の相手方である受益者または転得者であり(424条の7第1項)、行為をした債務者自身は被告とならない点に注意する。
補足424条の6第2項(転得者への返還・価額償還請求)と424条の7第1項1号(受益者が被告)を条文の文言で確認する。
問13転得者被告と訴訟告知e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴えでは、その詐害行為取消請求の相手方である転得者を被告とする。
- イ.債権者は、詐害行為取消請求に係る訴えを提起したときは、遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 424条の7第1項2号は、転得者に対する詐害行為取消請求に係る訴えについては、その相手方である転得者を被告とすると定める。記述は条文どおりであり正しい。
民法第424の7条第1項「その詐害行為取消請求の相手方である転得者」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の7第2項は、債権者は訴え提起時に遅滞なく債務者に対し訴訟告知をしなければならないと定める。記述は条文どおりであり正しい。
民法第424の7条第2項「遅滞なく、債務者に対し、訴訟告知をしなければならない。」一次資料を確認
ひっかけ訴訟告知の対象である債務者を被告と混同しない。被告適格と訴訟告知義務を分けて整理する。
解説詐害行為取消請求に係る訴えの被告は、受益者に対する訴えでは受益者、転得者に対する訴えではその相手方である転得者であり(424条の7第1項)、いずれの場合も債務者は被告とならない。もっとも取消しの効果は債務者にも及ぶため、債権者は訴え提起後遅滞なく債務者に訴訟告知をしなければならない(同条第2項)。被告(当事者)であることと訴訟告知(通知)の対象であることは別の概念である。
補足424条の7第1項2号(転得者に対する訴えの被告)と第2項(債務者への訴訟告知義務)を条文の文言で確認する。
問14可分取消範囲と価額償還限度e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.詐害行為の目的が可分であるときでも、債権者は常に行為全部の取消しを請求できる。
- イ.価額償還を請求する場合についても、可分目的の取消範囲に関する規定と同様とされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 424条の8第1項は、取消しの対象となる行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ取消しを請求できると定める。記述は行為全部を常に取消せるとしており誤りである。
民法第424の8条第1項「自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条の8第2項は、価額の償還を請求する場合についても前項と同様とすると定める。記述は条文どおりであり正しい。
民法第424の8条第2項「価額の償還を請求する場合についても、前項と同様とする。」一次資料を確認
ひっかけ可分な目的物でも行為全体を取消せると誤解しない。価額償還でも自己債権額の限度が及ぶことを見落とさない。
解説詐害行為取消請求において、取消しの対象となる行為の目的が可分であるときは、債権者は自己の債権の額の限度においてのみ取消しを請求できる(424条の8第1項)。目的物が金銭のように分割できるものであれば、被保全債権を超える部分まで取消権を行使する必要がないためである。この自己債権額による限定は、価額償還を請求する場合にも同様に適用される(同条第2項)。
補足424条の8第1項(可分な目的の取消範囲)と第2項(価額償還への準用)を条文の文言で確認する。
問15債権者への支払引渡しと債務者免責e-Gov等の一次資料で確認済み
次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
- ア.返還請求が金銭支払又は動産引渡しを求めるものであっても、債権者は自己への支払又は引渡しを求めることができない。
- イ.受益者又は転得者が債権者に支払又は引渡しをしたときでも、債務者に対して同じ支払又は引渡しをしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 424条の9第1項前段は、金銭の支払又は動産の引渡しを求める返還請求では、債権者が受益者・転得者に対して自己への支払・引渡しを求めることができると定める。記述はこの直接請求権を否定しており誤りである。
民法第424の9条第1項「自己に対してすることを求めることができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 424条の9第1項後段は、受益者又は転得者が債権者に支払又は引渡しをしたときは、債務者に対してその支払又は引渡しをすることを要しないと定める。記述は二重履行を必要としており誤りである。
民法第424の9条第1項「債務者に対してその支払又は引渡しをすることを要しない。」一次資料を確認
ひっかけ金銭・動産の返還請求でも債務者に対してしかできないと誤解しない。債権者への履行後に債務者への二重履行が必要になると誤解しない。
解説詐害行為取消しに伴う財産の返還請求が金銭の支払又は動産の引渡しを求めるものであるときは、債権者は受益者・転得者に対して自己への直接の支払・引渡しを求めることができる(424条の9第1項前段)。これは債務者による受領拒絶などで原状回復が実効性を失うことを防ぐための規定である。受益者・転得者が債権者に支払・引渡しをすれば、それによって義務は消滅し、あらためて債務者に同じ給付をする必要はない(同項後段)。
補足424条の9第1項前段(債権者への直接請求)と後段(債務者への履行不要)を条文の文言で確認する。