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民法・第50

民法(詐害行為取消権の効果㉜)の問題(15問)

民法426条 詐害行為取消権の期間の制限・425条の4 転得者の権利などを、条文の原文と選択肢ごとの理由で確認できます。

この章を解く(15問)→

条文検索で確認されている論点

この章には、詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力(民法425条)・詐害行為取消権の期間の制限(426条)・転得者の権利の内容及び範囲(425条の4)に関する問題を収録しています。条文名だけでなく、どの要件が結論を分けるかを各選択肢の根拠と一緒に確認できます。

この章で確認する論点

50章では、認容判決効力の債務者及び全債権者・認容判決効力の範囲誤認・反対給付返還請求と債務消滅行為除外・反対給付返還困難と価額償還・受益者債権回復と過大代物弁済除外を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

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  • 取消請求した債権者と受益者の間だけに効く、という訴訟当事者限定の読み方が誤りになる。
  • 債務者が取消訴訟の相手方でない場合を想定し、債務者には効かないと早合点しない。
  • 詐害行為が取り消されたという共通点だけで、債務消滅行為にも425条の2を適用しない。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法425条425条の2425条の3425条の4426条

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年7月時点の法令に準拠
1認容判決効力の債務者及び全債権者e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者に対しても効力を有する。
  • 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者の全ての債権者に対しても効力を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法425条は、詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力が債務者にも及ぶことを明記している。訴訟当事者だけに効くと考えて債務者を外してはならない。

民法第425条「債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。」一次資料を確認

正しい
民法425条は、認容確定判決の効力を取消請求した債権者だけに限定せず、債務者の全ての債権者にも及ぼしている。

民法第425条「その全ての債権者に対してもその効力を有する。」一次資料を確認

ひっかけ取消請求した債権者と受益者の間だけに効く、という訴訟当事者限定の読み方が誤りになる。

解説詐害行為取消請求の認容確定判決については、誰が訴訟をしたかだけで効力範囲を考えない。民法425条が示す対象を分けると、第一に債務者、第二にその全ての債権者であり、どちらも効力範囲に入る。

補足民法425条の主語である認容確定判決と、効力が及ぶ二つの対象である債務者・全債権者を一続きで読む。

2認容判決効力の範囲誤認e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及び全債権者にも効力を有する。
  • 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者には効力を有しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法425条の効力範囲をそのまま述べており、債務者とその全ての債権者の双方を含めているため正しい。

民法第425条「詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。」一次資料を確認

誤り
民法425条は債務者にも効力を有すると明記している。記述はその対象だけを反対にして『効力を有しない』としているため誤りである。

民法第425条「債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。」一次資料を確認

ひっかけ債務者が取消訴訟の相手方でない場合を想定し、債務者には効かないと早合点しない。

解説この問題は、認容確定判決の効力範囲全体を正しく述べた記述と、そのうち債務者だけを外した記述を対比している。民法425条の『債務者及びその全ての債権者』を分断せずに覚える。

補足効力範囲は、取消請求者だけ、全債権者だけではなく、債務者と全債権者の双方である。

3反対給付返還請求と債務消滅行為除外e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 425条の2の反対給付返還請求は、債務の消滅に関する行為が取り消された場合にも当然に適用される。
  • 債務者がした財産処分行為が取り消されたとき、受益者は債務者に対し、その財産取得のためにした反対給付の返還を請求できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法425条の2は、対象から債務の消滅に関する行為を除いている。記述はこの除外を無視して『当然に適用』としているため誤りである。

民法第425の2条「債務の消滅に関する行為を除く。」一次資料を確認

正しい
民法425条の2は、財産取得のために受益者がした反対給付について、受益者から債務者への返還請求を認めている。

民法第425の2条「その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができる。」一次資料を確認

ひっかけ詐害行為が取り消されたという共通点だけで、債務消滅行為にも425条の2を適用しない。

解説民法425条の2を使うときは、先に取り消された行為の種類を確認する。債務の消滅に関する行為は同条から除かれ、同条が対象とする場面では受益者が債務者に反対給付の返還を請求できる。

補足『債務消滅行為を除く』という入口の限定と、『受益者から債務者への反対給付返還請求』という効果を分ける。

4反対給付返還困難と価額償還e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務者が反対給付の返還をすることが困難であるとき、受益者はその価額の償還を請求できる。
  • 425条の2の受益者の権利は、債務者に対して行使される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法425条の2は、反対給付そのものの返還が困難なときの代替として、その価額の償還請求を受益者に認めている。返還困難だから請求自体が消えるわけではない。

民法第425の2条「その反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者は、その価額の償還を請求することができる。」一次資料を確認

正しい
民法425条の2の請求関係は、受益者が債務者に対して権利を行使する形である。請求相手を取消債権者や転得者と取り違えない。

民法第425の2条「受益者は、債務者に対し」一次資料を確認

ひっかけ現物返還が困難な場合に、受益者は何も請求できないと判断しない。

解説反対給付の回復は二段階で見る。現物を返還できるなら反対給付の返還を請求し、返還が困難なら価額償還を請求する。どちらも受益者が債務者に対して行使する権利である。

補足返還困難という条件を見つけたら価額償還へ切り替え、当事者は受益者から債務者への請求と整理する。

5受益者債権回復と過大代物弁済除外e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務消滅行為が取り消され、受益者が給付を返還又は価額償還したとき、受益者の債務者に対する債権は原状に復する。
  • 424条の4により取り消された過大な代物弁済等の場合も、425条の3により常に受益者の債権が原状に復する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法425条の3は、債務消滅行為の取消し後、受益者が給付を返還し又は価額を償還したときに、受益者の債務者に対する債権が原状に復すると定める。

民法第425の3条「受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する。」一次資料を確認

誤り
民法425条の3は、424条の4によって取り消された場合を除外している。記述の『常に』はこの例外を消しているため誤りである。

民法第425の3条「第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。」一次資料を確認

ひっかけ取消しがあれば全ての場面で債権が回復する、という『常に』の記述に注意する。

解説債務消滅行為の取消しでは、受益者が返還又は価額償還をしたことを契機に、消滅していた債権が原状に復する。ただし、424条の4による取消しは425条の3の回復ルールから除かれる。

補足返還・価額償還という回復要件を確認し、その後に424条の4の除外へ進む。

6債権回復要件誤認e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務消滅行為が取り消され、受益者が受けた給付を返還した場合でも、受益者の債務者に対する債権は原状に復しない。
  • 受益者の債権は、給付返還又は価額償還がなくても、債務消滅行為が取り消された時点で当然に原状に復する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
民法425条の3は、受益者が給付を返還したときに債権が原状に復すると定める。記述は返還後も回復しないとしており、条文の効果と逆である。

民法第425の3条「受益者が債務者から受けた給付を返還し、又はその価額を償還したときは」一次資料を確認

誤り
民法425条の3は、給付の返還又は価額の償還を債権回復の条件としている。取消しの時点だけで当然に回復するとする記述は、この条件を落としている。

民法第425の3条「返還し、又はその価額を償還したときは」一次資料を確認

ひっかけ取消判決が確定した瞬間に債権も自動回復する、という時間的な飛躍が誤りになる。

解説債権回復の時点を問われたら、取消しと返還を一つにまとめない。民法425条の3では、取消しに加えて、受益者が受けた給付を返還するか、その価額を償還したことが債権回復につながる。

補足『取り消された』だけで止めず、『返還し、又は価額を償還したとき』まで読む。

7転得者権利の区分と限度e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 転得者に対する詐害行為取消請求で債務者の行為が取り消されたとき、転得者は425条の4各号の区分に応じた権利を行使できる。
  • 転得者の権利は、前者から財産を取得するためにした反対給付等の価額を限度とする。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法425条の4本文は、転得者に対する取消請求で行為が取り消された場合、行為の区分に応じて各号所定の権利を行使できると定める。

民法第425の4条「次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める権利を行使することができる。」一次資料を確認

正しい
民法425条の4ただし書は、転得者の権利を、前者への反対給付又は財産取得によって消滅した債権の価額までに制限している。

民法第425の4条「反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。」一次資料を確認

ひっかけ転得者に権利があるという前半だけを見て、請求額の上限がないと判断しない。

解説転得者の処理は、まず取り消された行為がどの各号に当たるかを区分し、その区分に応じた権利を確認する。次に、ただし書の価額限度をかける。権利の種類と上限を別々に確認する。

補足本文で権利の種類、ただし書で反対給付等の価額上限を確認する二段階問題である。

8転得者権利の価額限度誤認e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 425条の4による転得者の権利には、前者への反対給付や消滅債権の価額による限度はない。
  • 425条の4第1号は、425条の2に規定する行為が取り消された場合の転得者の権利を定める。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法425条の4ただし書は、転得者の権利に反対給付又は消滅債権の価額という上限を置く。記述は上限がないとしており誤りである。

民法第425の4条「価額を限度とする。」一次資料を確認

正しい
民法425条の4第1号は、425条の2に規定する行為が取り消された場合を区分として掲げている。条番号と対象場面が一致する。

民法第425の4条「第四百二十五条の二に規定する行為が取り消された場合」一次資料を確認

ひっかけ第1号の対象場面が正しくても、価額限度を否定する別の記述まで正しくなるわけではない。

解説425条の4は、各号で転得者が行使できる権利を分け、ただし書で共通の価額上限を置く。第1号が425条の2の場面であることと、どの区分でも権利が無制限ではないことを結び付ける。

補足条番号対応は425条の2から425条の4第1号、金額面はただし書の価額限度と整理する。

9転得者の反対給付返還請求権e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 425条の2に規定する行為が転得者への取消請求で取り消された場合、転得者は、受益者に生ずべき反対給付返還請求権又は価額償還請求権を行使できる。
  • 425条の4第1号の権利は、転得者が前者へした反対給付の価額を超えて無制限に行使できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法425条の4第1号は、425条の2の場面で受益者に生ずべき反対給付返還請求権又は価額償還請求権を、転得者が行使できると定める。

民法第425の4条「反対給付の返還請求権又はその価額の償還請求権」一次資料を確認

誤り
民法425条の4ただし書は、転得者が前者へした反対給付等の価額を権利行使の上限とする。『無制限』という記述はこの制限に反する。

民法第425の4条「反対給付又はその前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額を限度とする。」一次資料を確認

ひっかけ行使できる権利名を覚えるだけで、ただし書の価額上限を外さない。

解説第1号では、受益者に生ずべき反対給付返還請求権又は価額償還請求権が転得者の権利になる。ただし、転得者が前者へ与えた反対給付等の価額を超えて回復できるわけではない。

補足反対給付の返還が基本、返還困難なら価額償還という権利内容と、転得者側の価額限度を分けて確認する。

10転得者の債権回復権e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 425条の4第2号は、424条の4により取り消された場合も含めて、常に受益者の債権回復を転得者に認める。
  • 425条の4第2号は、425条の3に規定する行為が取り消された場合に、回復すべき受益者の債務者に対する債権を対象とする。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法425条の4第2号は、424条の4により取り消された場合を除いている。記述はその除外を消して『常に』認めるとしているため誤りである。

民法第425の4条「第四百二十四条の四の規定により取り消された場合を除く。」一次資料を確認

正しい
民法425条の4第2号は、425条の3の場面で回復すべき受益者の債務者に対する債権を、転得者の権利の対象としている。

民法第425の4条「前条の規定により回復すべき受益者の債務者に対する債権」一次資料を確認

ひっかけ425条の3の債権回復という本則だけを見て、424条の4の除外を落とすと誤る。

解説425条の4第2号は、債務消滅行為の取消し後に回復すべき受益者の債権を扱う。ただし、424条の4により取り消された場合は除かれるため、対象場面を『常に』と一般化してはならない。

補足第2号では、回復対象となる債権を確認した後、424条の4による取消しではないことを確認する。

11取消訴訟二年制限と起算点e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 詐害行為取消請求に係る訴えは、債権者が債務者の詐害行為を知った時から二年を経過したときは提起できない。
  • 二年の起算点は、常に詐害行為の時である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法426条前段は、詐害行為取消請求の訴えを、債権者が債務者の詐害行為を知った時から二年以内に提起するよう求めている。二年経過後は提起できない。

民法第426条「債権者が知った時から二年を経過したときは、提起することができない。」一次資料を確認

誤り
二年の期間は詐害行為時からではなく、民法426条前段が定める『債権者が知った時』から進行する。行為時は別の十年制限の起算点である。

民法第426条「債権者が知った時から二年」一次資料を確認

ひっかけ『詐害行為に関する期間だから、どちらも行為の日から数える』と一括しない。

解説詐害行為取消訴訟には二つの時計がある。二年は債権者が詐害行為を知った時から進む主観的な期間であり、行為時から進む十年とは起算点が異なる。まず問われている年数を見て起算点を対応させる。

補足二年という年数を確認したら、債権者の知った時を起算点として経過を判断する。

12取消訴訟十年制限誤認e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 詐害行為取消請求に係る訴えは、行為の時から十年を経過しても提起できる。
  • 426条は、詐害行為取消請求に係る訴えの期間制限について、二年だけを定め、十年の制限は定めていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
民法426条後段は、詐害行為の時から十年を経過した場合も訴えを提起できないとする。十年経過後も可能という記述は条文と逆である。

民法第426条「行為の時から十年を経過したときも、同様とする。」一次資料を確認

誤り
民法426条は前段の二年制限だけでなく、後段で行為時から十年の制限も置いている。十年制限を否定する記述は誤りである。

民法第426条「行為の時から十年を経過したときも、同様とする。」一次資料を確認

ひっかけ債権者が最近知ったので二年以内だとしても、行為時から十年を超えていれば提起できると考えない。

解説426条後段の十年は詐害行為時から進む客観的な期間である。債権者がいつ知ったかとは別に、行為から十年が経過すれば提訴できない。前段と後段を一つの二重制限として読む。

補足行為時を特定し、十年経過を確認し、二年制限とは独立して判定する。

13二年十年の併存e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 詐害行為取消請求に係る訴えは、債権者が知った時から二年を経過したときは提起できない。
  • 詐害行為取消請求に係る訴えは、行為の時から十年を経過したときも提起できない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
民法426条前段は、債権者が詐害行為を知った時から二年を経過すると訴えを提起できないという制限を置く。

民法第426条「二年を経過したときは、提起することができない。」一次資料を確認

正しい
民法426条後段は、詐害行為の時から十年を経過した場合にも訴えを提起できないとし、前段とは異なる起算点の上限を置く。

民法第426条「行為の時から十年を経過したときも、同様とする。」一次資料を確認

ひっかけ二年以内なら行為時から十年を無視できる、又は十年以内なら知った時から二年を無視できると考えない。

解説二年と十年は選択的な期間ではなく、異なる起算点から並行して働く二重の制限である。二年は認識時、十年は行為時から数え、先に満了した制限によって提訴できなくなる。

補足知った時から二年と、行為時から十年を別々に計算し、双方を通過しているか確認する。

14反対給付と債権回復の混同e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 財産処分行為が取り消された場合の受益者の反対給付返還請求は、受益者の債務者に対する債権が原状に復する制度である。
  • 債務消滅行為が取り消された場合、受益者が給付を返還又は価額償還したときは、受益者の債務者に対する債権は原状に復する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
民法425条の2は財産処分行為の取消しに伴う反対給付の返還請求を定める。受益者の債権が原状に復する仕組みは425条の3の債務消滅行為に関する規律であり、両者は別である。

民法第425の2条「反対給付の返還を請求することができる。」一次資料を確認

正しい
民法425条の3どおり、債務消滅行為が取り消され、受益者が受けた給付を返還し又は価額を償還すると、受益者の債務者に対する債権が原状に復する。

民法第425の3条「受益者の債務者に対する債権は、これによって原状に復する。」一次資料を確認

ひっかけ『取消し後に元へ戻す』という共通イメージだけで、反対給付返還と債権回復を同じ制度として扱わない。

解説取消後の受益者保護は、行為類型で分かれる。財産処分行為では受益者がした反対給付の返還を請求し、債務消滅行為では受益者が給付返還又は価額償還をしたことで、消滅していた債権が原状に復する。

補足取消対象が財産処分か債務消滅かを特定し、反対給付返還又は債権回復へ振り分ける。

15判決効力と期間制限誤認e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者の全ての債権者には効力を有しない。
  • 詐害行為取消請求に係る訴えは、債権者が知った時から二年を経過しても、行為時から十年以内なら必ず提起できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
民法425条は、詐害行為取消請求を認容する確定判決の効力を、債務者と全ての債権者にも及ぼす。全債権者への効力を否定する記述は誤りである。

民法第425条「その全ての債権者に対してもその効力を有する。」一次資料を確認

誤り
民法426条前段の二年制限は、後段の十年以内であっても独立して働く。知った時から二年を経過すれば、行為時から十年以内というだけでは提起できない。

民法第426条「債権者が知った時から二年を経過したときは、提起することができない。」一次資料を確認

ひっかけ十年以内という一条件だけで提訴可能としたり、訴えた債権者だけに判決効が限定されると考えたりしない。

解説詐害行為取消しでは、提訴前と判決後を分ける。提訴前は二年・十年の二重制限を確認し、認容判決が確定した後は、その効力が債務者と全債権者にも及ぶことを確認する。

補足最初に提訴期間を二重に確認し、認容確定後は425条の効力範囲を確認する。

読み終えたら、解いて採点

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