本文へ移動

本ページには広告(PR・アフィリエイトリンク)を含みます。

民法・第58

民法(債務引受㊵)の問題(15問)

この章を解く(15問)→

この章で確認する論点

58章では、併存的債務引受人の連帯責任・債権者契約による併存的債務引受・債務者契約による併存的債務引受・併存的債務引受と第三者のための契約・併存的債務引受人の抗弁を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

民法を他資格と横断して確認する場合は、民法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 併存的債務引受と免責的債務引受を『引受人が債務を負う』点だけで同一視せず、原債務者の債務が存続するか消滅するかで区別する。
  • 併存的債務引受の成立方式を債務者関与の契約だけに限定せず、470条2項の債権者と引受人だけの契約でも成立する点を確認する。
  • 債務者と引受人だけの契約で併存的債務引受が当然に効力を生じると考えず、債権者の承諾という別要件が必要な点を確認する。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法470条471条472条472条の2472条の3472条の4

問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年7月時点の法令に準拠
1併存的債務引受人の連帯責任e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 併存的債務引受の引受人は、債務者と連帯して同一内容の債務を負担する。
  • 併存的債務引受では、債務者は自己の債務を免れない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
470条1項は『債務者と連帯して』同一内容の債務を負担すると明文で定めている。

民法第470条第1項「債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する。」一次資料を確認

正しい
併存的債務引受は原債務者の債務が消滅しない点で、原債務者が免責される免責的債務引受(472条1項)と異なる。

民法第470条第1項「債務者と連帯して」一次資料を確認

ひっかけ併存的債務引受と免責的債務引受を『引受人が債務を負う』点だけで同一視せず、原債務者の債務が存続するか消滅するかで区別する。

解説併存的債務引受(470条1項)は、引受人が原債務者と連帯して同一内容の債務を負担する制度であり、原債務者の債務はそのまま存続する。これに対し免責的債務引受(472条1項)は、引受人が同一内容の債務を負担する一方で原債務者が自己の債務を免れる点で異なる。『引受人の債務が加わるだけか、原債務者の債務が消滅して入れ替わるか』という一点で両者を区別する。

補足民法470条1項と472条1項の文言の違いを条文で確認する。

2債権者契約による併存的債務引受e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
  • 併存的債務引受は、債務者と引受人となる者との契約によってしかすることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
470条2項は債権者と引受人となる者との契約による併存的債務引受を明文で認めている。

民法第470条第2項「債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。」一次資料を確認

誤り
470条2項により債権者と引受人となる者との契約でも成立するため、『しかすることができない』は誤り。

民法第470条第2項「債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。」一次資料を確認

ひっかけ併存的債務引受の成立方式を債務者関与の契約だけに限定せず、470条2項の債権者と引受人だけの契約でも成立する点を確認する。

解説併存的債務引受は、470条2項の債権者と引受人となる者との契約、470条3項の債務者と引受人となる者との契約という二つの方式で成立させることができる。原債務者の債務が存続したまま引受人の債務が付加されるだけの併存的債務引受は原債務者に不利益を及ぼしにくいため、原債務者が関与しない2項方式でも成立を認めている点を押さえる。

補足民法470条2項と3項の二つの成立方式を条文で確認する。

3債務者契約による併存的債務引受e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務者と引受人となる者との契約による併存的債務引受は、契約時に当然に効力を生ずる。
  • 債務者と引受人となる者との契約による併存的債務引受は、債権者が引受人となる者に承諾した時に効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
470条3項は債権者の承諾を効力発生要件としており、契約時に当然に効力を生ずるわけではない。

民法第470条第3項「債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。」一次資料を確認

正しい
470条3項は『債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる』と明文で定めている。

民法第470条第3項「債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。」一次資料を確認

ひっかけ債務者と引受人だけの契約で併存的債務引受が当然に効力を生じると考えず、債権者の承諾という別要件が必要な点を確認する。

解説470条2項の債権者自身が契約当事者となる方式では契約成立と同時に効力を生じるが、470条3項の債務者と引受人だけの契約による方式では、債権者が契約の当事者ではないため、別途債権者が引受人に対して承諾をした時に初めて効力を生ずる。契約当事者に債権者が含まれているかどうかで、効力発生要件(承諾の要否)が変わる点を対比して整理する。

補足民法470条3項の『債権者が…承諾をした時に、その効力を生ずる』という文言を条文で確認する。

4併存的債務引受と第三者のための契約e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務者と引受人となる者との契約による併存的債務引受は、第三者のためにする契約に関する規定に従わない。
  • 併存的債務引受は、どの方式による場合も第三者のためにする契約に関する規定に従う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
470条4項は3項方式の併存的債務引受に第三者のためにする契約の規定が及ぶと定めており、正反対の内容である。

民法第470条第4項「第三者のためにする契約に関する規定に従う。」一次資料を確認

誤り
470条4項が準用するのは『前項の規定によってする』3項方式に限られ、2項方式には及ばないため『どの方式でも』は誤り。

民法第470条第4項「前項の規定によってする併存的債務引受」一次資料を確認

ひっかけ第三者のためにする契約の規定への準用を併存的債務引受の全方式に及ぼさず、3項方式に限定される点を確認する。

解説470条4項が第三者のためにする契約の規定を準用するのは『前項の規定によってする併存的債務引受』、すなわち3項の債務者と引受人となる者との契約による方式に限られる。3項方式では権利を取得する債権者が契約当事者ではない第三者の立場にあるためこの準用が必要になるのに対し、2項方式は債権者自身が契約当事者であるため準用の必要がない。準用の対象が方式によって異なる点を条文の『前項の規定によってする』という限定文言で押さえる。

補足民法470条4項の『前項の規定によってする』という限定文言を条文で確認する。

5併存的債務引受人の抗弁e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 併存的債務引受人は、効力発生時に債務者が主張できた抗弁をもって債権者に対抗できる。
  • 併存的債務引受人が対抗できる抗弁の基準時は、効力発生時である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
471条1項は効力発生時に債務者が主張できた抗弁を引受人も債権者に対抗できると明文で定めている。

民法第471条第1項「その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。」一次資料を確認

正しい
471条1項の基準時は『その効力が生じた時』であり、対抗要件具備時を基準とする468条・469条の債権譲渡の場面とは異なる文脈で用いられる。

民法第471条第1項「その効力が生じた時に」一次資料を確認

ひっかけ併存的債務引受人が対抗できる抗弁を無限定に捉えず、効力発生時という基準時で切り取られる点、および取消権・解除権については471条2項の限定的な履行拒絶権にとどまる点を区別する。

解説471条1項は、併存的債務引受の引受人が、効力発生時までに原債務者が主張できた抗弁(弁済、時効完成等)を債権者に対抗できると定める。引受人の債務は原債務者の債務と同一内容であるため、原債務者の抗弁を基準時で切り取って引受人に承継させる構造は、468条1項・469条1項の債権譲渡の場面(基準時は対抗要件具備時)と共通する。もっとも471条2項は取消権・解除権に基づく限定的な履行拒絶権を別途定めており、抗弁と履行拒絶権は区別される。

補足民法471条1項・2項の抗弁と履行拒絶権の違いを条文で確認する。

6併存的債務引受人の履行拒絶e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債務者が債権者に取消権又は解除権を有するとき、引受人は一定限度で履行を拒むことができる。
  • この場合、引受人は債務者が免れるべき限度を超えても履行を拒むことができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
471条2項は、取消権・解除権の行使によって債務者がその債務を免れるべき限度で、引受人にも履行拒絶権を認める例外規定である。

民法第471条第2項「債権者に対して債務の履行を拒むことができる。」一次資料を確認

誤り
条文は『債務者がその債務を免れるべき限度において』と範囲を限定しており、限度を超える履行拒絶までは認めていない。

民法第471条第2項「債務者がその債務を免れるべき限度において」一次資料を確認

ひっかけ『履行を拒める』を無限定に捉えず、471条2項の『債務者が免れるべき限度において』という数量的な歯止めを見落とさない。取消権・解除権自体を引受人が行使できるわけではない点も混同しない。

解説併存的債務引受人は、471条1項により効力発生時に債務者が主張できた抗弁(弁済・時効完成等の既発生事由)を債権者に対抗できるのが原則だが、取消権・解除権のような未行使の形成権については抗弁とは別枠の471条2項が適用され、債務者がその債務を免れるべき限度でのみ履行拒絶が認められる限定的な権利にとどまる。

補足民法471条1項の抗弁と2項の限定的履行拒絶権の違いを条文で確認する。

7免責的債務引受の効果e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 免責的債務引受では、債務者は自己の債務を免れない。
  • 免責的債務引受の引受人は、債務者が債権者に負担する債務と同一内容の債務を負担する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
472条1項は『債務者は自己の債務を免れる』と定めており、免れないとする記述は条文の効果と正反対である。

民法第472条第1項「債務者は自己の債務を免れる。」一次資料を確認

正しい
472条1項は引受人が『債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担』すると明記しており条文どおりである。

民法第472条第1項「債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し」一次資料を確認

ひっかけ『免責的』の語感から効果を漠然と捉えず、条文の『債務者は自己の債務を免れる』という明文の効果と、併存的債務引受との違い(原債務者の責任消滅の有無)を条文で確認する。

解説免責的債務引受は472条1項により、引受人が原債務と同一内容の債務を負担すると同時に、原債務者はその債務を完全に免れて債務関係から離脱する。原債務者が連帯して債務を負い続ける併存的債務引受(470条1項)とは、原債務者の責任が残るか消えるかという点で本質的に異なる。

補足民法470条1項(併存的)と472条1項(免責的)の効果の違いを条文で比較する。

8債権者契約による免責的債務引受e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債権者と引受人となる者との契約による免責的債務引受は、債務者への通知を要せず契約時に効力を生ずる。
  • 債権者と引受人となる者との契約による免責的債務引受は、債務者が承諾した時に効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
472条2項は『債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる』と定めており、通知不要で契約時に効力が生じるわけではない。

民法第472条第2項「債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。」一次資料を確認

誤り
472条2項が効力発生要件とするのは債務者への『通知』であって、債務者の『承諾』ではない。

民法第472条第2項「債務者に対してその契約をした旨を通知した時に」一次資料を確認

ひっかけ『通知』と『承諾』を取り違えない。472条2項は債務者への通知、472条3項は債権者の承諾が要件であり、逆に覚えると正誤が反転する。

解説免責的債務引受を債権者と引受人の契約で行う場合(472条2項)、効力発生要件は債務者への『通知』であり、債務者の『承諾』ではない。これに対し債務者と引受人の契約で行う場合(472条3項)は逆に債権者の『承諾』が効力発生要件となる。誰と誰の契約か、通知と承諾のどちらが要件かを条文の主語・客体ごとに正確に対応させる必要がある。

補足民法472条2項(債権者・引受人間契約=通知で効力発生)と3項(債務者・引受人間契約=債権者の承諾で効力発生)を条文で対比する。

9債務者契約による免責的債務引受e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約し、債権者が引受人となる者に承諾することによってもできる。
  • この方式では、債権者が引受人となる者に承諾することが要件である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
472条3項は『債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる』と定めており条文どおりである。

民法第472条第3項「債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。」一次資料を確認

正しい
472条3項は債権者の承諾を効力発生の要件として明文で定めており条文どおりである。

民法第472条第3項「債権者が引受人となる者に対して承諾をすること」一次資料を確認

ひっかけ契約当事者(誰と誰が契約するか)と、効力発生要件(通知か承諾か、誰の行為が必要か)を条文ごとに対応させて覚える。

解説債務者・引受人間の契約による免責的債務引受(472条3項)は、原債務者を債務から離脱させる分だけ債権者の利害に直結するため、単なる通知では足りず、債権者自身が引受人となる者に対して行う『承諾』を効力発生要件とする。債権者・引受人間契約(2項)が通知で足りるのと対照的に、契約の当事者に債権者が含まれない類型ほど債権者側の能動的な関与(承諾)が要求される構造になっている。

補足民法472条2項・3項を並べて、契約当事者と効力発生要件(通知/承諾)の対応関係を確認する。

10免責的債務引受人の抗弁e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 免責的債務引受人は、効力発生時に債務者が主張できた抗弁をもって債権者に対抗できる。
  • 免責的債務引受人は、効力発生時の債務者の抗弁を債権者に対抗できない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
472条の2第1項は、効力発生時に債務者が主張できた抗弁を引受人も債権者に対抗できると明文で定めている。

民法第472条の2第1項「その効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁をもって債権者に対抗することができる。」一次資料を確認

誤り
条文は『抗弁をもって債権者に対抗することができる』と定めており、対抗できないとする記述は条文の効果と正反対である。

民法第472条の2第1項「債権者に対抗することができる。」一次資料を確認

ひっかけ併存的債務引受(471条1項)と免責的債務引受(472条の2第1項)で抗弁の基準時が『効力が生じた時』という共通の考え方に立つ点を混同しない。471条と472条の2の条文番号の対応も正確に押さえる。

解説免責的債務引受の引受人が対抗できる抗弁の基準は472条の2第1項に定められ、併存的債務引受の471条1項と同様に『効力が生じた時に債務者が主張することができた抗弁』に限定される。引受人が負担する債務は原債務者の債務と同一内容であるため、原債務者が基準時までに獲得していた抗弁を引受人に承継させ、債権者との関係で不公正が生じないようにする趣旨である。

補足民法471条1項と472条の2第1項を条文で対比し、抗弁の基準時が共通する点を確認する。

11免責的債務引受人の求償権e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 免責的債務引受の引受人は、債務者に対して当然に求償権を取得する。
  • 免責的債務引受の引受人は、債務者に対して求償権を取得しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
472条の3は『引受人は、債務者に対して求償権を取得しない』と明文で定めており、当然に取得するとする記述は条文と正反対である。

民法第472条の3第1項「債務者に対して求償権を取得しない。」一次資料を確認

正しい
472条の3の条文どおり、免責的債務引受の引受人は債務者に対して求償権を取得しない。

民法第472条の3第1項「債務者に対して求償権を取得しない。」一次資料を確認

ひっかけ保証人の求償権や併存的債務引受における実質的な求償の可能性と混同し、免責的債務引受でも当然に求償権が発生すると誤って推測しない。

解説免責的債務引受の引受人は472条の3により債務者に対して当然の求償権を取得しない。これは、472条1項で原債務者が自己の債務を完全に免れる(債務関係から離脱する)効果と表裏一体の規律であり、もし求償権を当然に認めると、免責されたはずの債務者が経済的に再び債務を負担させられ、免責の趣旨が没却されてしまう。求償を確保したい引受人は別途特約が必要になる点も押さえる。

補足民法472条1項(免責の効果)と472条の3(求償権の不発生)を条文でセットで確認する。

12免責的債務引受による担保権移転e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 債権者は、免責される債務の担保権を引受人の債務へ移すことができない。
  • 引受人以外の者が設定した担保権でも、その者の承諾は不要である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
472条の4第1項本文は『引受人が負担する債務に移すことができる』と定めており、移せないとする記述は条文と正反対である。

民法第472条の4第1項「引受人が負担する債務に移すことができる。」一次資料を確認

誤り
同項ただし書は『引受人以外の者がこれを設定した場合には、その承諾を得なければならない』と定めており、承諾を不要とする記述は条文の要件に反する。

民法第472条の4第1項「その承諾を得なければならない。」一次資料を確認

ひっかけ担保権を設定した者が『引受人自身』か『引受人以外の第三者』かで承諾の要否が変わる点を、条文のただし書に沿って正確に読む。

解説免責的債務引受で原債務者が債務を免れると担保権は本来消滅しうるが、472条の4第1項本文は債権者が担保権を引受人の債務へ移転できるとして債権者の担保利益を保護する。ただし同項ただし書により、担保権を設定したのが引受人以外の第三者(物上保証人等)である場合には、その第三者の承諾がなければ移転できない。原則(移転可)と例外的な保護要件(第三者の承諾)を区別する。

補足民法472条の4第1項の本文(移転可)とただし書(第三者設定時は承諾必要)を条文で確認する。

13担保権移転の意思表示時期e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 担保権移転は、あらかじめ又は同時に引受人にする意思表示によってしなければならない。
  • 担保権移転の意思表示の相手方は引受人である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
472条の4第2項は『あらかじめ又は同時に引受人に対してする意思表示によってしなければならない』と定めており条文どおりである。

民法第472条の4第2項「あらかじめ又は同時に引受人に対してする意思表示によってしなければならない。」一次資料を確認

正しい
同項が定める意思表示の相手方は『引受人』であり、条文どおりである。

民法第472条の4第2項「引受人に対してする意思表示」一次資料を確認

ひっかけ『あらかじめ又は同時に』という時期的要件と、『引受人に対して』という相手方要件の両方を満たさないと担保権移転の効力が生じない点を見落とさない。

解説担保権移転(472条の4第1項)の意思表示は、同条2項により、免責的債務引受の効力発生よりも『あらかじめ又は同時に』行い、かつ相手方は『引受人』でなければならない。効力発生後の事後的な意思表示や、引受人以外(原債務者や第三者の担保設定者)への意思表示では移転の効力を生じない点を、時期と相手方の両面から正確に押さえる。

補足民法472条の4第1項(担保権移転の可否)と2項(移転の意思表示の時期・相手方)をセットで条文確認する。

14保証人への担保移転規定準用e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 免責される債務の保証をした者がある場合にも、472条の4第1項・2項は準用される。
  • 保証人がある場合、472条の4第1項・2項は準用されない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
472条の4第3項は『前二項の規定は…保証をした者があるときについて準用する』と明文で定めており条文どおりである。

民法第472条の4第3項「前二項の規定は、第四百七十二条第一項の規定により債務者が免れる債務の保証をした者があるときについて準用する。」一次資料を確認

誤り
同項は明文で1項・2項を保証人がある場合に準用すると定めており、準用されないとする記述は条文と正反対である。

民法第472条の4第3項「準用する。」一次資料を確認

ひっかけ『担保権』という言葉から抵当権等の物的担保のみを想起し、保証(人的担保)には準用されないと誤解しない。3項は明文で保証人がある場合への準用を定めている。

解説472条の4第1項・2項が定める担保権移転の規律(移転の可否、第三者設定時の承諾要件、意思表示の時期・相手方)は、同条3項により、免責される債務について保証をした者がある場合にも準用される。物的担保(抵当権等)と人的担保(保証)を区別せず、免責的債務引受による原債務の消滅に伴って生じる債権者の担保利益保護の規律が共通して及ぶ点を押さえる。

補足民法472条の4第1項〜3項を通し読みし、担保権移転の規律が保証にも準用される構造を確認する。

15保証人承諾の書面要件e-Gov等の一次資料で確認済み

次のア・イの記述の正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

  • 保証人がある場合の承諾は、口頭でも効力を生ずる。
  • 保証人がある場合の承諾が内容を記録した電磁的記録によるときは、書面による承諾とみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
472条の4第4項は『書面でしなければ、その効力を生じない』と定めており、口頭による承諾には効力を認めていない。

民法第472条の4第4項「書面でしなければ、その効力を生じない。」一次資料を確認

正しい
472条の4第5項は、電磁的記録による承諾を『書面によってされたものとみなして』4項の規定を適用すると定めており条文どおりである。

民法第472条の4第5項「書面によってされたものとみなして」一次資料を確認

ひっかけ『書面でなければ効力を生じない』という要式性を口頭でも足りると誤解しない一方、電磁的記録は書面と別扱いではなく5項によって書面とみなされる点も見落とさない。

解説免責的債務引受に伴う保証人の承諾(472条の4第3項が準用する1項の承諾)は、同条4項により書面でなければ効力を生じない要式行為とされる。これは保証人が自らの利害に関わる重大な意思表示を明確な形で残すための要件である。もっとも5項により、内容を記録した電磁的記録による承諾は書面による承諾とみなされ、書面の要式性を満たしたまま電子的な手段での承諾も認められる。原則(書面必須)と例外的な代替手段(電磁的記録のみなし)の関係を区別する。

補足民法472条の4第4項(書面要件)と5項(電磁的記録のみなし規定)をセットで条文確認する。

読み終えたら、解いて採点

この章の15問を、確認根拠つきで採点します。選択肢ごとの正誤を自分で判断してから答え合わせできます。

この章を解く(15問)→

登録不要・無料。各問にe-Gov等の一次資料で確認済みの根拠つき。 宅地建物取引士の過去問の公開状況も確認できます。

この章を解く(15問)→