問1捜査機関等への情報提供
国家公安委員会による捜査機関等への情報提供に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、疑わしい取引に関する情報が検察官等による一定の犯罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査に資すると認めるときは、これを検察官等に提供するものとする。
- イ.検察官等は、刑事事件の捜査又は犯則事件の調査のため必要があると認めるときであっても、国家公安委員会に対し疑わしい取引に関する情報の記録の閲覧を求めることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 13条1項が情報提供を定める
犯罪収益移転防止法第13条「組織的犯罪処罰法第二条第二項第一号イ若しくはロ若しくは同項第二号ニに掲げる罪、組織的犯罪処罰法第十条第三項の罪、麻薬特例法第二条第二項各号に掲げる罪又は麻薬特例法第六条第三項の罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査に資すると認めるときは、これを検察官等に提供するものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 13条2項が検察官等の請求権を定める
犯罪収益移転防止法第13条「検察官等は、前項に規定する罪に係る刑事事件の捜査又は犯則事件の調査のため必要があると認めるときは、国家公安委員会に対し、疑わしい取引に関する情報の記録の閲覧若しくは謄写又はその写しの送付を求めることができる」e-Gov原文
ひっかけ情報提供は国家公安委員会からの提供と検察官等からの請求の双方向で可能。
解説国家公安委員会が保有する疑わしい取引に関する情報は、組織的犯罪処罰法・麻薬特例法所定の一定の罪に係る刑事事件の捜査・犯則事件の調査に資すると認められるとき、検察官・検察事務官・司法警察職員のほか、国税庁等の職員・税関職員・徴税吏員・公正取引委員会職員・証券取引等監視委員会職員(検察官等)に提供される(13条1項)。検察官等の側からも記録の閲覧等を求めることができる(13条2項)。
補足対象犯罪は組織的犯罪処罰法・麻薬特例法所定の特定の罪に限定される(13条1項)。
問2外国の機関への情報提供
国家公安委員会による外国の機関への情報提供に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、外国の機関に対し、その職務の遂行に資すると認める疑わしい取引に関する情報を提供することができる。
- イ.外国の機関への疑わしい取引に関する情報の提供については、当該情報が当該外国の機関の職務の遂行以外に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 14条1項が外国機関への情報提供を定める
犯罪収益移転防止法第14条「国家公安委員会は、前条第一項に規定する外国の機関に対し、その職務(第八条、前条及びこの条に規定する国家公安委員会の職務に相当するものに限る。次項において同じ。)の遂行に資すると認める疑わしい取引に関する情報を提供することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 14条2項が目的外使用防止措置を定める
犯罪収益移転防止法第14条「前項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供については、当該疑わしい取引に関する情報が前条第一項に規定する外国の機関の職務の遂行以外に使用されず、かつ、次項の規定による同意がなければ外国の刑事事件の捜査(その対象たる犯罪事実が特定された後のものに限る。)又は審判(以下この条において「捜査等」という。)に使用されないよう適切な措置がとられなければならない」e-Gov原文
ひっかけ外国への情報提供には目的外使用防止のセーフガードが伴う。
解説国家公安委員会は外国の機関にも疑わしい取引に関する情報を提供できるが(14条1項)、当該情報が外国機関の職務遂行以外に使用されないこと、及び国家公安委員会の同意なく外国の刑事事件の捜査等(犯罪事実特定後のものに限る)に使用されないことを担保する措置が必要である(14条2項)。
補足この規律は国内での情報提供(13条)よりも厳格な統制が置かれている点に特徴がある。
問3外国からの要請への同意の除外事由
外国からの要請に対する国家公安委員会の同意に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、外国からの要請があったときは、当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるときであっても、必ず同意をしなければならない。
- イ.国家公安委員会は、外国からの要請に対する同意をする場合、あらかじめ、政治犯罪等に該当しないことについて外務大臣の確認を、要請国の保証の有無について法務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 14条3項が除外事由を定める
犯罪収益移転防止法第14条「国家公安委員会は、外国からの要請があったときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、第一項の規定により提供した疑わしい取引に関する情報を当該要請に係る刑事事件の捜査等に使用することについて同意をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 14条4項が確認事項の担当大臣を書き分ける
犯罪収益移転防止法第14条「国家公安委員会は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ、同項第一号及び第二号に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第三号に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ外国への情報使用同意には政治犯罪・双罰性・相互保証という3つの除外事由チェックと二大臣の確認が必要。
解説国家公安委員会が外国からの要請に応じ疑わしい取引情報の刑事事件捜査等への使用に同意できるのは、①政治犯罪該当性、②双罰性(日本国内で行われたとした場合に罪とならない)、③要請国の相互保証の欠如、のいずれにも該当しない場合に限られる(14条3項各号)。同意にあたっては法務大臣・外務大臣の事前確認を要する(14条4項)。
補足この仕組みは、犯罪人引渡し条約等における政治犯罪不引渡しの原則と同様の考え方に基づく。
問4本人特定事項隠蔽目的の罪
顧客等の本人特定事項の隠蔽目的の罪に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.顧客等又は代表者等の本人特定事項を隠蔽する目的で虚偽の本人特定事項を申告する行為をしたときは、当該違反行為をした者は、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.25条の罪に係る違反行為が法人の業務に関して行われた場合、その法人には行為者と同額の罰金刑(同条の罰金刑)が科される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 25条が隠蔽目的の罰則を定める
犯罪収益移転防止法第25条「顧客等又は代表者等の本人特定事項を隠蔽する目的で、第四条第六項の規定に違反する行為(当該顧客等又は代表者等の本人特定事項に係るものに限る。)をしたときは、当該違反行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 35条1号が25条違反の法人罰金額を「同条の罰金刑」と定める
ひっかけ25条違反の法人罰金刑だけは行為者と同額。33条=3億円、34条=2億円という高額パターンと区別する。
解説25条(本人特定事項隠蔽目的の違反)は、33条・34条と異なり、両罰規定における法人の罰金刑が独自の上限額ではなく「同条の罰金刑」(行為者と同額)とされている点に特徴がある(35条1号)。
補足25条は本人特定事項という取引時確認制度の根幹に関わる不正行為を対象とする点で、26条以下のなりすまし取引の罪と関連する。
問5なりすまし預貯金契約の罪(譲受け)
預貯金通帳等の譲受け等の罪に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人になりすまして預貯金取扱事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けることを目的として、預貯金通帳等を譲り受けた者は、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.相手方になりすまし目的があることを知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡した者は処罰されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 26条1項が譲受け等の罰則を定める
犯罪収益移転防止法第26条「他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から第十五号まで及び第三十七号に掲げる特定事業者に限る。第三十二条第四項第一号において「預貯金取扱事業者」という。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から第三十八号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下この項及び第三十二条第四項第一号イにおいて同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報その他当該役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 26条2項が譲渡側の処罰も定める
犯罪収益移転防止法第26条「相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする」e-Gov原文
ひっかけ口座の売買は譲受け側・譲渡側の双方が処罰対象。
解説なりすまし預貯金口座の罪は、①なりすまし目的で通帳等を譲り受ける側(26条1項)と、②相手方の目的を知りながら通帳等を譲り渡す側(26条2項)の双方を処罰する対向犯構造になっている。業として行った場合は5年以下・1000万円以下に加重される(26条3項)。
補足対象は預貯金取扱事業者(第2条2項1号〜15号・37号の特定事業者)との間の預貯金契約に限られる。
問6業として行う場合の加重・勧誘誘引の罪
なりすまし預貯金口座の罪の加重類型に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.業として預貯金通帳等の譲受け又は譲渡しの罪に当たる行為をした者は、単純類型と同じく3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処せられる。
- イ.第1項又は第2項の罪に当たる行為をするよう人を勧誘し、又は広告により人を誘引した者も、第1項と同様に処罰される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 26条3項が業として行う場合の加重を定める
犯罪収益移転防止法第26条「業として前二項の罪に当たる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 26条4項が勧誘・誘引の処罰を定める
犯罪収益移転防止法第26条「第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする」e-Gov原文
ひっかけ口座売買の広告・勧誘の段階でも処罰されうる(4項)。
解説なりすまし口座譲渡罪の処罰は4層構造である。①譲受け側(1項)、②譲渡側(2項)、③業として行う加重類型(3項・5年以下1000万円以下)、④勧誘・誘引による予備的行為(4項)である。この構造は27条〜31条の他の特定事業者類型にも共通する。
補足この4層構造(譲受け・譲渡・業として加重・勧誘誘引)は27条〜31条でもパラレルに規定されている。
問7高額電子移転可能型前払式支払手段のなりすまし取得罪
高額電子移転可能型前払式支払手段利用情報の不正取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人になりすまして高額電子移転可能型前払式支払手段発行者との間における高額電子移転可能型前払式支払手段利用契約に係る役務の提供を受けることを目的として、高額電子移転可能型前払式支払手段利用情報の提供を受けた者は、3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.業として本条の罪に当たる行為をした者に対する法定刑は、単純な譲受け・譲渡しの罪と同一である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 27条1項が罰則を定める
犯罪収益移転防止法第27条「他人になりすまして第二条第二項第三十号の二に掲げる特定事業者(以下この項及び第三十二条第四項第一号ロにおいて「高額電子移転可能型前払式支払手段発行者」という。)との間における高額電子移転可能型前払式支払手段利用契約(高額電子移転可能型前払式支払手段発行者が顧客に資金決済に関する法律第三条第八項に規定する高額電子移転可能型前払式支払手段を利用させることを内容とする契約をいう。以下この項及び第三十二条第四項第一号ロにおいて同じ。)に係る役務の提供を受けること又はこれを第三者にさせることを目的として」e-Gov原文
- イ.誤り
- 27条3項が加重規定を定める
犯罪収益移転防止法第27条「業として前二項の罪に当たる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
ひっかけ「高額電子移転可能型前払式支払手段」は預貯金口座となりすまし取引の規制パターンが共通する。
解説高額電子移転可能型前払式支払手段(Suica等の交通系電子マネーとは異なり、高額のチャージ・譲渡が可能な前払式支払手段を想定)についても、預貯金口座と同様のなりすまし取得・提供・業として加重・勧誘誘引の4層構造の罰則が設けられている(27条1〜4項)。
補足「高額電子移転可能型前払式支払手段」の定義は資金決済に関する法律3条8項に委ねられている。
問8資金移動業者の為替取引カード等のなりすまし取得罪
為替取引カード等の不正取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人になりすまして資金移動業者との間における為替取引により送金をすることを目的として、為替取引カード等を譲り受けた者は、5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.相手方になりすまし目的があることの情を知って為替取引カード等を有償で譲り渡した者は、正当な理由がある場合を除き処罰されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 28条1項が罰則を定める
犯罪収益移転防止法第28条「他人になりすまして第二条第二項第三十一号に掲げる特定事業者(以下この項及び第三十二条第四項第一号において「資金移動業者」という。)との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること又はこれらを第三者にさせることを目的として、当該為替取引に係る送金の受取用のカード、送金又はその受取に必要な情報その他資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に必要なものとして政令で定めるもの(以下「為替取引カード等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 28条2項前段が情を知っての譲渡しを処罰する
犯罪収益移転防止法第28条「相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする」e-Gov原文
ひっかけ「正当な理由」の抗弁は後段(有償譲渡)類型の話であり、なりすまし目的を知っての前段類型には及ばない。
解説28条は資金移動業者(第2条2項31号)との間の為替取引に用いる「為替取引カード等」について、預貯金口座・高額電子移転可能型前払式支払手段と同様のなりすまし取得・提供・業として加重・勧誘誘引の4層構造の罰則を定める。「正当な理由」の抗弁が働くのは、通常の商取引等として有償で取得・提供した場合の後段類型に限られ、なりすまし目的を知っての取得・提供という前段類型には及ばない。
補足資金移動業者は銀行以外で送金サービスを提供する事業者(資金決済法上の登録業者)を指す。
問9電子決済手段等取引業者のなりすまし取得罪
電子決済手段等取引用情報の不正取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人になりすまして電子決済手段等取引業者との間における電子決済手段等取引契約に係る役務の提供を受けることを目的として、電子決済手段等取引用情報の提供を受けた者は、3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.本条の罪に当たる行為をするよう人を勧誘し、又は広告により人を誘引した者は、第1項と同様に処罰される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 29条1項が罰則を定める
犯罪収益移転防止法第29条「電子決済手段等取引用情報」という。)の提供を受けた者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 29条4項が勧誘・誘引の処罰を定める
犯罪収益移転防止法第29条「第一項又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする」e-Gov原文
ひっかけ電子決済手段の対象は情報(識別符号)であり通帳やカードのような物理媒体ではない。
解説29条は電子決済手段等取引業者(いわゆるステーブルコイン仲介業者等)との間の電子決済手段等取引契約について、26条〜28条と同型のなりすまし取得・提供・業として加重・勧誘誘引の4層構造の罰則を定める。対象は「電子決済手段等取引用情報」(識別符号等)である点が、通帳・カードという物理媒体を想定する26条・28条と異なる。
補足電子決済手段等取引業者の範囲は資金決済法の電子決済手段等取引業のみなし規定を経由して定義される複雑な構造になっている。
問10電子決済等取扱業者等のなりすまし取得罪
電子決済等利用情報の不正取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人になりすまして電子決済等取扱業者等との間における電子決済等利用契約に係る役務の提供を受けることを目的として、電子決済等利用情報の提供を受けた者は、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.電子決済等利用契約とは、銀行法、信用金庫法又は協同組合による金融事業に関する法律に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 30条1項が罰則を定める
犯罪収益移転防止法第30条「電子決済等利用情報」という。)の提供を受けた者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 30条1項括弧書が対象法律を列挙する
犯罪収益移転防止法第30条「電子決済等利用契約(銀行法第二条第十七項各号、信用金庫法第八十五条の三第二項各号又は協同組合による金融事業に関する法律第六条の四の三第二項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう」e-Gov原文
ひっかけ電子決済等利用契約は銀行・信金・信組系の3法にまたがる複合的な定義。
解説30条の「電子決済等取扱業者等」は、銀行代理業類似の電子決済等取扱業(銀行法)・信用金庫電子決済等取扱業(信用金庫法)・協同組合電子決済等取扱業(協同組合金融事業法)の3業態を横断的にカバーする第2条2項31号の3〜31号の5の特定事業者を指す。なりすまし取得・提供・業として加重・勧誘誘引の4層構造は他の条文と共通する。
補足この業態は、家計簿アプリ等が銀行口座に接続して残高照会・振込指図を行う「電子決済等代行業」の適正化の文脈で導入された。
問11暗号資産交換業者のなりすまし取得罪
暗号資産交換用情報の不正取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人になりすまして暗号資産交換業者との間における暗号資産交換契約に係る役務の提供を受けることを目的として、暗号資産交換用情報の提供を受けた者は、3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.暗号資産交換契約とは、資金決済に関する法律第2条第15項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 31条1項が罰則を定める
犯罪収益移転防止法第31条「暗号資産交換用情報」という。)の提供を受けた者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 31条1項括弧書が定義を定める
犯罪収益移転防止法第31条「暗号資産交換契約(資金決済に関する法律第二条第十五項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう」e-Gov原文
ひっかけ26条〜31条は対象事業者ごとにパラレルな4層構造を持つ。構造を一度理解すれば横展開できる。
解説31条は暗号資産交換業者との間の暗号資産交換契約について、26条〜30条と同型のなりすまし取得・提供・業として加重・勧誘誘引の4層構造の罰則を定める。26条〜31条の6条文はいずれも対象事業者・契約類型が異なるだけで、罰則の構造(3年以下500万円以下→業として5年以下1000万円以下→勧誘誘引も同様)は共通するパターンである。
補足暗号資産交換業者は資金決済法上の登録業者であり、マネーロンダリング対策上の重点分野の一つとされる。
問12財産移転媒介行為の依頼の罪
特定役務利用財産移転行為の依頼に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、自己又は第三者が管理し、又は管理しようとする財産を移転することを目的として、人に、有償で特定役務利用財産移転行為をするように依頼した者は、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.業として特定役務利用財産移転行為の依頼又は受託の罪に当たる行為をした者の法定刑は、単純な依頼・受託の罪と同一である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 32条1項が財産移転媒介依頼の罰則を定める
犯罪収益移転防止法第32条「通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、自己又は第三者が管理し、又は管理しようとする財産を移転することを目的として、人に、有償で特定役務利用財産移転行為をするように依頼した者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 32条3項が加重規定を定める
犯罪収益移転防止法第32条「業として第一項前段又は前項前段の罪に当たる行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
ひっかけ32条は「なりすまし」型ではなく「財産移転媒介依頼」型のマネロン処罰規定。
解説32条は、いわゆる「口座借り」「送金代行」型のマネーロンダリング手法(自己の財産を第三者名義の口座等を経由して移転させる行為)を対象とする。他人になりすます26条〜31条とは異なり、自己の財産を「特定役務利用財産移転行為」(預貯金契約等役務を利用した財産移転等)により移転させる依頼・受託を処罰する点に特徴がある。
補足特定役務利用財産移転行為の定義(32条4項)は、預貯金契約等役務を利用した財産移転行為等を列挙する複合的な規定である。
問13財産移転媒介行為の受託の罪
特定役務利用財産移転行為の受託に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、他人の依頼を受けて、当該他人に財産移転目的があることの情を知って、有償で特定役務利用財産移転行為をした者は、依頼側(1項)と同じく2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処せられるにとどまり、業として行った場合の加重規定は受託側には適用されない。
- イ.特定役務利用財産移転行為の実施を自己に依頼するよう人を勧誘し、又は広告により人を誘引した者も、第2項前段と同様に処罰される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 32条3項が「第1項前段又は前項前段」双方に加重を及ぼす
犯罪収益移転防止法第32条「業として第一項前段又は前項前段の罪に当たる行為をした者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 32条2項後段が勧誘・誘引の処罰を定める
犯罪収益移転防止法第32条「特定役務利用財産移転行為を引き受けることを示して、有償での特定役務利用財産移転行為の実施を自己に依頼するよう、人を勧誘し、又は広告その他これに類似する方法により人を誘引した者も、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ32条は依頼側(1項)・受託側(2項、勧誘誘引を含む)・業として加重(3項)の3層構造。
解説32条2項は、いわゆる「口座貸し」「送金代行の受託」側を処罰する規定であり、①情を知っての受託(前段)と、②受託を広告等で募る勧誘・誘引行為(後段)の双方を対象とする。1項(依頼側)・2項(受託側)・3項(業として加重)という3層構造は26条以下のなりすまし罪の4層構造(勧誘誘引が独立項)とは条文の建て付けがやや異なる点に注意。
補足「特定役務利用財産移転行為」の内容は32条4項各号に列挙される複数の行為類型を含む。
問14金融商品取引法の準用
犯罪収益移転防止法における金融商品取引法の準用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.金融商品取引法第9章(犯則事件の調査等)の規定は、第22条第6項各号に掲げる行為に係る第25条及び第35条第1号に規定する罪の事件について準用される。
- イ.この準用規定は、犯罪収益移転防止法上のあらゆる罰則規定に金融商品取引法上の犯則調査手続を及ぼすものである。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 36条が金商法9章の準用を定める
犯罪収益移転防止法第36条「金融商品取引法第九章の規定は、第二十二条第六項各号に掲げる行為に係る第二十五条及び前条第一号に規定する罪の事件について準用する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 36条が準用範囲を限定する
犯罪収益移転防止法第36条「第二十二条第六項各号に掲げる行為に係る第二十五条及び前条第一号に規定する罪の事件について準用する」e-Gov原文
ひっかけ準用規定は「22条6項各号の行為に係る25条・35条1号の罪」という限定的な範囲にのみ適用される。
解説36条は、証券取引等監視委員会等が金融商品取引法上の犯則調査権限(同法9章)を用いて特定の事件(22条6項各号の行為に係る25条・35条1号の罪)を調査できるようにする準用規定である。準用範囲は限定的であり、犯罪収益移転防止法の罰則全般に及ぶものではない。
補足22条6項は証券取引等監視委員会職員による報告徴収・立入検査等の特則を定める規定である。
問15なりすまし取引処罰規定の横断的理解
第26条から第31条までのなりすまし取引処罰規定の共通構造に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第26条から第31条までの規定は、いずれも対象となる特定事業者との契約類型が異なるものの、なりすまし目的での取得・情を知っての提供・業として行う場合の加重・勧誘誘引という共通の4層構造を持つ。
- イ.第26条から第31条までの規定のいずれも、単純類型の法定刑は3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、業として行う場合の加重類型の法定刑は5年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金で共通している。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 各条の3項が共通して業として行う場合の加重を定める
犯罪収益移転防止法第26条「業として前二項の罪に当たる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 各条の1項・3項が共通の法定刑を定める
犯罪収益移転防止法第31条「業として前二項の罪に当たる行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
ひっかけ26条〜31条は「対象事業者が違うだけの同じ型」として横断的に覚えるのが効率的。
解説犯罪収益移転防止法のなりすまし取引処罰規定(26条〜31条)は、預貯金・前払式支払手段・為替取引・電子決済手段・電子決済等利用・暗号資産交換という6種類の契約類型ごとに条文が分かれているが、法定刑・構造はいずれも共通している。個別の条文を丸暗記するのではなく、共通の型(1項=取得、2項=提供、3項=業として加重、4項=勧誘誘引)を理解すれば、対象事業者を入れ替えるだけで全条文を横断的に理解できる。
補足32条(財産移転媒介の依頼・受託)だけは、他人へのなりすましではなく自己の財産の移転を目的とする点で異質な類型であり、法定刑も2年以下300万円以下(業として3年以下500万円以下)とやや軽い。