問1犯罪収益移転防止法の目的
犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯罪収益移転防止法)の目的に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.犯罪収益移転防止法は、特定事業者による顧客等の本人特定事項等の確認等の措置を要さず、専ら罰則の強化のみによって犯罪による収益の移転防止を図ることを目的とする。
- イ.犯罪収益移転防止法は、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保することも目的とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 1条が目的を定める
犯罪収益移転防止法第1条「特定事業者による顧客等の本人特定事項(第四条第一項第一号に規定する本人特定事項をいう。第三条第一項において同じ。)等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより」e-Gov原文
- イ.正しい
- 1条がテロ資金供与防止条約の実施確保も定める
犯罪収益移転防止法第1条「併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し」e-Gov原文
ひっかけ目的規定はマネーロンダリング対策だけでなくテロ資金供与対策も含む。
解説犯罪収益移転防止法の目的は、①特定事業者による本人確認・記録保存・疑わしい取引の届出により犯罪収益の移転を防止すること、②テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等を的確に実施すること、③国民生活の安全と平穏の確保・経済活動の健全な発展への寄与、と多層的である(1条)。
補足組織的犯罪処罰法・麻薬特例法による措置と相まって収益移転防止を図る点も1条に明記されている。
問2国家公安委員会の援助・啓発の責務
国家公安委員会の責務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、特定事業者に対し犯罪による収益の移転に係る手口に関する情報の提供その他の援助を行うとともに、犯罪による収益の移転防止の重要性について国民の理解を深めるよう努めるものとする。
- イ.国家公安委員会は、犯罪収益移転危険度調査書を作成する義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 3条1項が援助・啓発の努力義務を定める
犯罪収益移転防止法第3条「国家公安委員会は、特定事業者による顧客等の本人特定事項等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置が的確に行われることを確保するため、特定事業者に対し犯罪による収益の移転に係る手口に関する情報の提供その他の援助を行うとともに、犯罪による収益の移転防止の重要性について国民の理解を深めるよう努めるものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 3条3項が調査書の作成・公表を定める
犯罪収益移転防止法第3条「国家公安委員会は、毎年、犯罪による収益の移転に係る手口その他の犯罪による収益の移転の状況に関する調査及び分析を行った上で、特定事業者その他の事業者が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪による収益の移転の危険性の程度その他の当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成し、これを公表するものとする」e-Gov原文
ひっかけ犯罪収益移転危険度調査書は毎年作成・公表される。
解説国家公安委員会は、特定事業者への情報提供その他の援助・国民への啓発(3条1項)に加え、疑わしい取引情報等の集約整理分析(3条2項)、毎年の犯罪収益移転危険度調査書の作成・公表(3条3項)という複数の責務を負う。
補足国家公安委員会は調査・分析のため、関係行政機関・特定事業者等に資料提出や意見表明等の協力を求めることができる(3条4項)。
問3行政庁による報告徴収
行政庁による特定事業者への報告徴収に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.行政庁は、犯罪収益移転防止法の施行に必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる。
- イ.報告徴収の対象は行政庁の施行に必要な限度に限られず、行政庁は特定事業者に対しいかなる事項でも報告を求めることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 15条が報告徴収権限を定める
犯罪収益移転防止法第15条「行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告又は資料の提出を求めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 15条が限度を画す
犯罪収益移転防止法第15条「この法律の施行に必要な限度において」e-Gov原文
ひっかけ行政庁の調査権限は常に「施行に必要な限度」という限定が付く。
解説行政庁による報告徴収(15条)・立入検査(16条)は、いずれも法律の施行に必要な限度に限定される。無限定の調査権を認めるものではない。
補足行政庁は特定事業者の業態に応じ複数の省庁にまたがる(貸金業者の場合は財務局・都道府県)。
問4立入検査の要件と限界
行政庁による立入検査に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.行政庁は、特定事業者の同意を得た場合に限り、当該職員に特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
- イ.立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 16条1項が立入検査権限を定める
犯罪収益移転防止法第16条「行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 16条3項が犯罪捜査目的での解釈を禁じる
犯罪収益移転防止法第16条「第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」e-Gov原文
ひっかけ立入検査は行政調査目的に限られ、日本銀行には適用除外がある。
解説行政庁の立入検査権限(16条1項)は、身分証の携帯・提示義務(16条2項)を伴い、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない(16条3項)。また特定事業者である日本銀行には適用されない(16条4項)。
補足16条2項〜4項は19条3項でも準用され、都道府県警察による調査に同様の規律が及ぶ。
問5立入検査の適用除外(日本銀行)
立入検査をする職員の義務及び適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.立入検査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。
- イ.立入検査に関する規定は、特定事業者である日本銀行に対しても適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 16条2項が身分証の携帯・請求時提示義務を定める
犯罪収益移転防止法第16条「前項の規定により立入検査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 16条4項が日本銀行への適用除外を定める
犯罪収益移転防止法第16条「第一項の規定は、特定事業者である日本銀行については、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ身分証の提示は「請求があったとき」に限られ、常時提示義務ではない点に注意。
解説立入検査をする職員には身分証の携帯義務があり、関係人から請求があった場合に限り提示義務が生じる(16条2項、常時携帯ではなく請求時提示)。また、特定事業者である日本銀行には立入検査の規定(16条1項)が適用されない特則がある(16条4項)。
補足日本銀行は特定事業者に位置付けられているが、中央銀行としての性格から立入検査の適用除外が置かれている。
問6国家公安委員会の意見の陳述
国家公安委員会の意見の陳述に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して是正命令の根拠となる規定に違反していると認めるときであっても、行政庁に対し命令を行うべき旨の意見を述べることはできない。
- イ.国家公安委員会は、意見を述べるため必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告若しくは資料の提出を求めることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 19条1項が意見陳述権限を定める
犯罪収益移転防止法第19条「国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して前条に規定する規定に違反していると認めるときは、行政庁(都道府県公安委員会を除く。以下この条において同じ。)に対し、当該特定事業者に対し前条の規定による命令を行うべき旨又は他の法令の規定により当該違反を理由として業務の停止その他の処分を行うことができる場合にあっては、当該特定事業者に対し当該処分を行うべき旨の意見を述べることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 19条2項が報告徴収・調査指示権限を定める
犯罪収益移転防止法第19条「国家公安委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告若しくは資料の提出を求め、又は相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができる」e-Gov原文
ひっかけ国家公安委員会自身は行政庁への命令権限を持たず、意見陳述にとどまる点に注意。
解説国家公安委員会は、特定事業者の是正命令根拠規定違反を認めるときは行政庁に意見を述べることができ(19条1項)、そのため必要な限度で報告・資料提出を求め、又は都道府県警察に調査を指示できる(19条2項)。指示を受けた都道府県警察は、国家公安委員会の事前承認を得て立入検査等ができる(19条3項)。
補足国家公安委員会が都道府県警察の立入検査を承認する際は、あらかじめ行政庁に通知しなければならない(19条4項)。
問7都道府県警察による調査の承認手続
国家公安委員会の指示を受けた都道府県警察の調査に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、国家公安委員会の承認を得ることなく、独自の判断で特定事業者への立入検査を行うことができる。
- イ.国家公安委員会は、都道府県警察の立入検査を承認するにあたり、行政庁への事前通知を要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 19条3項が事前承認を要件とする
犯罪収益移転防止法第19条「前項の指示を受けた都道府県警察の警視総監又は道府県警察本部長は、同項の調査を行うため特に必要があると認められるときは、あらかじめ国家公安委員会の承認を得て、当該職員に、特定事業者の営業所その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類その他の物件を検査させ、又はその業務に関し関係人に質問させることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 19条4項が行政庁への事前通知を定める
犯罪収益移転防止法第19条「国家公安委員会は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、行政庁(行政庁が都道府県知事である場合にあっては、主務大臣を経由して当該都道府県知事)にその旨を通知しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ都道府県警察の調査権限行使には二重の手続的統制(大臣承認+行政庁通知)がある。
解説国家公安委員会の指示を受けた都道府県警察が立入検査等を行うには、国家公安委員会の事前承認が必要であり(19条3項)、国家公安委員会がその承認をする際にはあらかじめ行政庁に通知しなければならない(19条4項)。通知を受けた行政庁は、権限行使の調整のため国家公安委員会に協議を求めることができ、国家公安委員会はこれに応じなければならない(19条5項)。
補足この仕組みは、都道府県警察の権限行使と行政庁の監督権限行使との重複・混乱を防ぐための調整規定である。
問8命令違反の罪
犯罪収益移転防止法上の命令違反の罪に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第18条の規定による是正命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- イ.報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたときは、1年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 33条が命令違反の罰則を定める
犯罪収益移転防止法第33条「第十八条の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 34条1号が報告拒否等の罰則を定める
犯罪収益移転防止法第34条「第十五条若しくは第十九条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき」e-Gov原文
ひっかけ是正命令違反(33条)と報告・検査への非協力(34条)とで法定刑の軽重が異なる。
解説犯罪収益移転防止法の行政監督系の罰則は段階的である。是正命令(18条)違反は2年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金(33条)、報告拒否・虚偽報告や質問拒否・検査拒否等(34条各号)は1年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金と、是正命令違反より軽い法定刑が定められている。
補足質問への不答弁・虚偽答弁、検査の拒否・妨害・忌避も34条2号により同様に処罰される。
問9質問拒否・検査拒否の罪
質問への不答弁や検査の拒否に関する罰則について、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第16条第1項若しくは第19条第3項の規定による質問への不答弁・虚偽答弁や検査拒否等は、是正命令違反(33条)と同様に2年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金に処せられる。
- イ.法人の代表者が、その法人の業務に関して罰則規定の違反行為をしたときは、行為者本人が罰せられるほか、その法人にも罰金刑が科される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 34条2号が質問拒否・検査拒否等の罰則を定める
犯罪収益移転防止法第34条「第十六条第一項若しくは第十九条第三項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 35条が両罰規定を定める
犯罪収益移転防止法第35条「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する」e-Gov原文
ひっかけ両罰規定により法人・雇用主にも罰金刑が及ぶ。個人事業主の場合は各本条の罰金刑が科される。
解説犯罪収益移転防止法には両罰規定(35条)が置かれ、法人の代表者・代理人・使用人等が業務に関して一定の違反行為(25条・33条・34条各号)をしたときは、行為者本人の処罰に加え、法人には各号所定の罰金刑(25条違反は同条の罰金刑、33条違反は3億円以下、34条違反は2億円以下)が科される。
補足両罰規定の対象条文(25条・33条・34条)は、25条(隠蔽目的の本人特定事項違反)を除き、行政監督系の義務違反が中心である。
問10両罰規定の法定刑
両罰規定における法人への罰金刑に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第33条(是正命令違反の罪)に係る違反行為があったとき、その法人には3億円以下の罰金刑が科される。
- イ.第34条(報告拒否・検査拒否等の罪)に係る違反行為があったとき、その法人には2億円以下の罰金刑が科される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 35条2号が33条違反の法人罰金額を定める
犯罪収益移転防止法第35条「第三十三条三億円以下の罰金刑」e-Gov原文
- イ.正しい
- 35条3号が34条違反の法人罰金額を定める
ひっかけ両罰規定の法人罰金額は条文ごとに段階的(25条=同額、33条=3億円、34条=2億円)。
解説両罰規定(35条)における法人の罰金額は、対象条文ごとに異なる。25条(隠蔽目的の本人特定事項違反)は同条の罰金刑(個人と同額)、33条(是正命令違反)は3億円以下、34条(報告・検査等の非協力)は2億円以下と、行政監督の実効性確保の観点から高額の罰金刑が設定されている。
補足個人事業主に対しては、法人と異なり各本条所定の罰金刑(個人向けの金額)がそのまま科される(35条柱書)。
問11国家公安委員会による情報の集約・整理・分析
国家公安委員会による疑わしい取引に関する情報の取扱いについて、次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、特定事業者により届け出られた疑わしい取引に関する情報が、刑事事件の捜査及び犯則事件の調査並びに国際的な情報交換その他の協力に有効に活用されるよう、迅速かつ的確にその集約、整理及び分析を行うものとする。
- イ.国家公安委員会その他の関係行政機関及び地方公共団体の関係機関は、犯罪による収益の移転防止について相互に協力する義務を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 3条2項が情報の集約整理分析義務を定める
犯罪収益移転防止法第3条「国家公安委員会は、特定事業者により届け出られた疑わしい取引に関する情報その他の犯罪による収益に関する情報が、刑事事件の捜査及び犯則事件の調査並びに犯罪による収益の移転防止に関する国際的な情報交換その他の協力に有効に活用されるよう、迅速かつ的確にその集約、整理及び分析を行うものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 3条5項が相互協力を定める
犯罪収益移転防止法第3条「国家公安委員会その他の関係行政機関及び地方公共団体の関係機関は、犯罪による収益の移転防止について相互に協力するものとする」e-Gov原文
ひっかけ疑わしい取引の届出情報は国家公安委員会が一元的に集約・分析する。
解説国家公安委員会は、届出された疑わしい取引情報等を刑事事件の捜査・犯則事件の調査・国際協力に活用できるよう集約整理分析する(3条2項)ほか、関係行政機関・地方公共団体の関係機関との相互協力義務も負う(3条5項)。
補足この情報は13条により検察官・国税庁職員・税関職員等へも提供され得る。
問12国家公安委員会による調査・分析への協力要請
国家公安委員会による調査・分析への協力要請に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、情報の集約・整理・分析及び犯罪収益移転危険度調査書のための調査・分析を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関、特定事業者その他の関係者に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
- イ.犯罪収益移転危険度調査書は、特定事業者その他の事業者が行う取引の種別ごとに、犯罪による収益の移転の危険性の程度その他の調査及び分析の結果を記載したものである。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 3条4項が協力要請権限を定める
犯罪収益移転防止法第3条「国家公安委員会は、第二項の規定による情報の集約、整理及び分析並びに前項の規定による調査及び分析を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関、特定事業者その他の関係者に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 3条3項が調査書の内容を定める
犯罪収益移転防止法第3条「特定事業者その他の事業者が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪による収益の移転の危険性の程度その他の当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成し」e-Gov原文
ひっかけ犯罪収益移転危険度調査書は取引種別ごとの危険性を分析した公表資料。
解説国家公安委員会は、疑わしい取引情報の分析(3条2項)や犯罪収益移転危険度調査書の作成(3条3項)のため必要があるときは、関係行政機関・特定事業者その他の関係者に資料提出・意見表明・説明その他の協力を求めることができる(3条4項)。この調査書は特定事業者の取引時確認等の実務(リスクベース・アプローチ)の基礎資料となる。
補足特定事業者は、この調査書を勘案して、取引時確認等の措置を講ずるよう努めることが求められる(4条2項等の趣旨)。
問13犯罪収益移転防止法の趣旨(麻薬特例法・組織的犯罪処罰法との関係)
犯罪収益移転防止法の趣旨に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.犯罪収益移転防止法は、犯罪による収益の没収・追徴や被害回復とは無関係に、専ら行政上の届出制度を整備することのみを目的として制定された。
- イ.犯罪収益移転防止法による措置は、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図ることを目的とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 1条が立法趣旨を定める
犯罪収益移転防止法第1条「犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれを剝奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから」e-Gov原文
- イ.正しい
- 1条が他法との連携を明示する
犯罪収益移転防止法第1条「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り」e-Gov原文
ひっかけ犯罪収益移転防止法は組織的犯罪処罰法・麻薬特例法と「相まって」機能する制度である。
解説犯罪収益移転防止法は単独で完結する法律ではなく、犯罪収益の没収・追徴を定める組織的犯罪処罰法、薬物犯罪収益の規制を定める麻薬特例法と一体となって、犯罪収益の移転防止という政策目的を実現する法制度の一部である(1条)。
補足犯罪収益移転防止法における「犯罪による収益」は、組織的犯罪処罰法2条4項の犯罪収益等又は麻薬特例法2条3項の薬物犯罪収益等をいう(2条1項)。
問14命令違反・両罰規定の全体像
行政監督系の罰則の全体像に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.第18条の是正命令違反は、報告拒否・虚偽報告(34条1号)や質問への不答弁・検査拒否(34条2号)よりも重い法定刑(拘禁刑の上限が長い)が定められている。
- イ.行政庁による報告徴収(15条)と国家公安委員会の意見陳述のための報告徴収(19条2項)は、いずれも34条1号の報告拒否・虚偽報告の罰則の対象となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 33条と34条の法定刑の軽重を比較する
犯罪収益移転防止法第33条「第十八条の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 34条1号が15条・19条2項の両方を対象とする
犯罪収益移転防止法第34条「第十五条若しくは第十九条第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき」e-Gov原文
ひっかけ罰則の対象条文は「15条又は19条2項」「16条1項又は19条3項」という並列構造で覚える。
解説犯罪収益移転防止法の行政監督系罰則は、是正命令違反(33条・2年以下)>報告拒否・検査拒否等(34条・1年以下)という段階構造になっている。34条1号は行政庁の報告徴収(15条)と国家公安委員会の意見陳述目的の報告徴収(19条2項)の両方を対象とし、34条2号は行政庁の質問検査(16条1項)と都道府県警察の質問検査(19条3項)の両方を対象とする。
補足この構造は、通常の行政監督ルートと国家公安委員会経由の特別ルートの双方に実効性を持たせるための規定である。
問15国家公安委員会が保有する疑わしい取引情報の性質
犯罪収益移転防止法上の「疑わしい取引に関する情報」に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国家公安委員会は、犯罪による収益の移転防止の重要性について国民の理解を深めるよう努める一方で、特定事業者に対する手口情報の提供その他の援助は行わない。
- イ.国家公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において特定事業者に立入検査を行う権限を有する行政庁そのものである。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 3条1項が援助義務も定める
犯罪収益移転防止法第3条「特定事業者に対し犯罪による収益の移転に係る手口に関する情報の提供その他の援助を行うとともに」e-Gov原文
- イ.誤り
- 19条1項が国家公安委員会と行政庁を書き分ける
犯罪収益移転防止法第19条「国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して前条に規定する規定に違反していると認めるときは、行政庁(都道府県公安委員会を除く。以下この条において同じ。)に対し」e-Gov原文
ひっかけ「行政庁」と「国家公安委員会」は別の主体で役割分担がある。
解説犯罪収益移転防止法の監督構造は、業態ごとの「行政庁」(財務局・都道府県知事等)による報告徴収・立入検査・是正命令が基本ルートであり、国家公安委員会は、疑わしい取引情報の集約分析・危険度調査書の作成・特定事業者への援助・行政庁への意見陳述という、行政庁とは別の警察的観点からの補完的役割を担う。両者は別の主体である点を混同しないこと。
補足都道府県警察は国家公安委員会の指示を受けた場合に限り、承認を得て調査権限を行使できる(19条3項)。