問1制限行為能力者(未成年者の法律行為)e-Gov等の一次資料で確認済み
17歳の未成年者Aが、法定代理人の同意を得ずに行った法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の範囲内での処分であっても、取り消すことができる。
- イ.未成年者が、負担のない贈与を受ける契約(単に権利を得る法律行為)を法定代理人の同意なく行った場合でも、その契約は取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内で、未成年者が自由に処分できる(民法5条3項)。例えば、「参考書を買うように」と渡された小遣いで参考書を買う契約は、改めて同意がなくても取り消せない。
民法第5条「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 単に権利を得、又は義務を免れる法律行為は、法定代理人の同意が要らない(同条1項ただし書)。例えば、負担のない贈与を受ける契約は、同意がなくても取り消せない。
民法第5条「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ「単に権利を得る行為」と「処分許可財産の目的内処分」は同意不要の2大例外。
解説未成年者の法律行為には法定代理人の同意が原則必要(5条1項本文)だが、①単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(1項ただし書)、②法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の目的範囲内の処分(3項)は、同意不要の例外とされる。この2つの例外を「同意が必要な行為」と誤って理解しないことが重要。
補足目的を定めないで処分を許した財産についても、未成年者は自由に処分できる(5条3項後段)。
問2制限行為能力者(第1章)e-Gov等の一次資料で確認済み
未成年者の法律行為に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意を得なければならない。
- イ.法定代理人の同意を得ずに未成年者が行った法律行為は、当然に無効である。
- ウ.単に権利を得る法律行為であっても、未成年者は法定代理人の同意を得なければならない。
- エ.目的を定めて処分を許された財産は、未成年者がその目的の範囲外でも自由に処分できる。
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正解:ア
- ア.正しい
- 未成年者は判断能力や取引経験が十分でないことがあるため、法律行為をするには原則として法定代理人の同意を必要とする。選択肢アは例外ではなく、5条1項本文の基本ルールをそのまま述べている。
民法第5条第1項本文「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 同意のない未成年者の法律行為は、初めから当然に効力がない無効ではない。民法5条2項は「取り消すことができる」としており、取消しまでは一応有効に扱われ、取消し又は追認によって帰結が決まる。
民法第5条第2項「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」一次資料を確認
- ウ.誤り
- 単に権利を得るだけ、又は義務を免れるだけの法律行為は、未成年者に不利益を与える危険が小さいため、5条1項ただし書で同意不要とされる。選択肢ウは、この例外を原則に戻してしまっている。
民法第5条第1項ただし書「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」一次資料を確認
- エ.誤り
- 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内でだけ未成年者が自由に処分できる。目的を定めた意味を失わせるため、範囲外でも自由とする選択肢エは3項の限定を外している。
民法第5条第3項「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。」一次資料を確認
ひっかけ「無効」と書いてあるイが引っかけ。正しくは取消し。
解説同意のない未成年者の行為は「無効」ではなく「取り消すことができる」にとどまる(民法5条2項)。だからイの「当然に無効」は誤り。無効は誰でも・初めから効力ゼロだが、取消しは取消権者が取り消して初めて効力が消え、取り消すまでは有効に扱われる。アは5条1項本文の原則そのもので正しい。ウは1項ただし書を逆にしており、単に権利を得る行為は同意不要だから誤り。エは3項を読み違えていて、処分を許された財産を使えるのは目的の範囲内だけで「範囲外でも自由」ではない。正しいのはアだけ。
補足取り消すまでは有効なので、本人側が追認すれば逆に確定的に有効にもできる。無効にはこの「あとから有効にする」余地がない。
問3制限行為能力者(成年被後見人)e-Gov等の一次資料で確認済み
成年被後見人の法律行為に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができる。
- イ.成年被後見人が単独でした日用品の購入は、成年後見人がこれを取り消すことができる。
- ウ.成年被後見人の法律行為は、すべて当然に無効である。
- エ.成年被後見人は、日常生活に関する行為であっても、単独で確定的に行うことはできない。
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正解:ア
- ア.正しい
- 成年被後見人の保護は「当然無効」ではなく「取消し」で実現される。9条本文は、本人側が後から効力を否定できる取消可能性を定めている。
民法第9条本文「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 日用品購入まで取り消せると日常生活が成り立たないため、9条ただし書が取消しの対象から外している。成年後見人でもこの例外部分は取り消せない。
民法第9条ただし書「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」一次資料を確認
- ウ.誤り
- 成年被後見人の行為は無効ではなく取消可能。無効なら追認で有効にする余地が乏しいが、取消しは取り消されるまでは一応有効という整理になる。
民法第9条本文「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」一次資料を確認
- エ.誤り
- 日常生活に関する行為は、9条ただし書により単独で確定的に行える。成年被後見人であっても生活維持に必要な範囲は別扱い。
民法第9条ただし書「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」一次資料を確認
ひっかけ日用品の購入を取り消せるとしているイ・エが誤り。
解説成年被後見人は判断能力を欠く常況にあり、その法律行為は原則として取り消せる(民法9条本文)。だからアが正しい。例外は日用品の購入など日常生活に関する行為で、本人の自己決定を尊重してこれだけは取り消せない(同条ただし書)。よってイ(日用品購入も取り消せる)とエ(日常生活も単独では不可)はただし書に反して誤り。ウの「すべて当然に無効」も誤りで、効果は取消しであって無効ではない。
補足成年後見人には同意権がない。被保佐人・被補助人なら保佐人等の同意を得た行為は有効になるが、成年被後見人は同意を得てした行為でも取り消せる点が違う。
問4制限行為能力者の相手方の催告権e-Gov等の一次資料で確認済み
制限行為能力者の相手方の催告権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者の相手方が、行為能力者となった本人に対し、1か月以上の期間を定めて追認するかどうかを確答すべき旨を催告したが、本人が期間内に確答を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
- イ.相手方が被保佐人に対し、期間内に保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、被保佐人がその期間内に追認を得た旨の通知を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 行為能力者となった本人に、1か月以上の期間を定めて追認するかどうかの確答を催告し、期間内に確答がなければ、追認したものとみなされる(民法20条1項)。例えば、成年に達した人に、1か月以上の期間を定めて確答を求め、返事がなければ追認したことになる。
民法第20条第1項「その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 被保佐人に、保佐人の追認を得るよう催告し、期間内に追認を得た旨の通知がなければ、その行為は取り消したものとみなされる(同条4項)。追認ではなく取消しとみなされる点が、アと逆である。
民法第20条第4項「その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。」一次資料を確認
ひっかけ「確答なし=追認」を全員に当てはめるとイで転ぶ。
解説アは、行為能力者となった本人への催告で期間内に確答がないケース。本人は単独で追認できる立場なので、確答なしは追認とみなされる(民法20条1項)。だから正しい。イは被保佐人本人への催告で、追認を得た旨の通知が期間内にないケース。被保佐人は単独では追認できないので、20条4項により結論が逆になり、取り消したものとみなされる。よってイは誤り。確答・通知なしの効果は、催告の相手が単独で行為を確定できる者かどうかで追認と取消しに分かれる。
補足単独で確定できる側には法定代理人も含まれ、法定代理人への催告で確答がなければやはり追認とみなされる(20条2項)。逆になるのは被保佐人・被補助人本人へ催告した場合。
問5制限行為能力者の詐術e-Gov等の一次資料で確認済み
制限行為能力者の詐術に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
- イ.未成年者が詐術を用いて契約した場合でも、未成年者保護の趣旨から常に取り消すことができる。
- ウ.制限行為能力者であることを単に黙秘していれば、それだけで常に詐術にあたる。
- エ.詐術を用いた制限行為能力者の行為は、当然に無効となる。
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正解:ア
- ア.正しい
- 詐術を用いた場合は、相手方をだまして行為能力者だと信じさせた本人を保護する必要が後退するため、21条が取消しを否定する。
民法第21条「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 未成年者保護は絶対ではない。詐術で相手方を誤信させた場合は21条により取消し不可となるので、「常に取り消せる」は言い過ぎ。
民法第21条「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」一次資料を確認
- ウ.誤り
- 判例は、単なる黙秘だけでは詐術としない。黙秘に加えて他の言動が相手方の誤信を強める場合に詐術となり得るため、「それだけで常に」は誤り。
最判昭和44年2月13日(詐術の意義)「単に制限行為能力者であることを黙秘していたことの一事をもって詐術にあたるとはいえない。」一次資料を確認
- エ.誤り
- 21条の効果は「取り消すことができない」であって「無効」ではない。取消し不可なら、行為は有効なものとして扱われる。
ひっかけ黙秘さえあれば詐術、とするウが誤り。
解説制限行為能力者が「自分は能力者だ」と相手に信じさせる詐術を用いたときは、保護に値しないので取り消せない(民法21条)。アはこの条文どおりで正しい。よってイの「未成年者保護の趣旨から常に取り消せる」は詐術がある以上誤り。エの「当然に無効」も誤りで、取り消せないだけで行為は有効のまま残る。ウは判例の射程を誤る。最判昭和44年2月13日は、単に制限行為能力者であることを黙秘していた一事だけでは詐術にあたらないとしており、他の言動と相まって相手を誤信させて初めて詐術になる。
補足詐術は積極的なうそに限らない。黙秘でも、年齢や属性についての他の言動と組み合わさって相手の誤信を強めれば詐術と評価される(最判昭44.2.13の射程)。
問6権利能力e-Gov等の一次資料で確認済み
権利能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.私権の享有は、出生に始まる。
- イ.外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 権利能力とは、私法上の権利義務の主体になれる地位をいう。民法3条1項は、その始期を出生と定めているため、人は出生によって私権を享有する主体となる。胎児保護の特則と混同せず、一般原則は出生時からと押さえる。
- イ.正しい
- 民法は外国人についても、原則として私権を享有すると定める。ただし、法令又は条約で禁止される場合は例外になる。国籍がないと私権を持てないという理解ではなく、原則享有・例外制限という構造で読む。
民法第3条「外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する」一次資料を確認
ひっかけ外国人の私権享有は「原則享有・例外禁止」という構造。「いかなる場合も享有できない」は誤り。
解説権利能力は出生により当然に取得される(3条1項)。外国人についても、法令・条約による禁止がない限り私権を享有できる(3条2項)のが原則であり、内国民待遇が基本となる。
補足外国人の権利享有が制限される具体例として、特許法25条の相互主義的制限がある(原則不可・例外的に享有可という逆の構造)。
問7意思能力e-Gov等の一次資料で確認済み
意思能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合、その法律行為は取り消すことができるにとどまり、無効とはならない。
- イ.意思能力を欠く者がした法律行為は、取り消すことができるにとどまる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効であり、取消しにとどまらない(民法3条の2)。例えば、泥酔して判断がつかない状態で契約書に署名した場合、その契約は取り消すまでもなく無効になる。
民法第3条の2「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 意思能力を欠く者がした法律行為の効果は、取消しではなく無効である(同条)。「取り消すことができる」にとどまるのは、未成年者などの制限行為能力者がした行為である。
ひっかけ意思無能力による法律行為の効果は「無効」であり「取消し」ではない。
解説意思能力(自己の行為の結果を弁識するに足りる精神能力)を欠く状態でした法律行為は、無効である(3条の2)。制限行為能力者の行為が原則として「取り消すことができる」にとどまるのとは異なり、意思無能力の場合は初めから法律行為の効果が生じない「無効」という強い効果が定められている。
補足意思能力の有無は個別の行為ごとに判断され、幼児・重度の精神障害者・泥酔者等が典型例とされる。
問8被保佐人e-Gov等の一次資料で確認済み
被保佐人について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがあるにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
- イ.保佐人の同意を得なければならない行為について、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 家庭裁判所が同意に代わる許可を与えるのは、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意しないときである(民法13条3項)。利益を害するおそれがあるなら、保佐人が同意しないのは正当で、許可の対象にならない。例えば、被保佐人が不利な借金をしようとして保佐人が反対するときは、裁判所が許可を与える場面ではない。
民法第13条「保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 保佐人の同意を要する行為を、同意も、これに代わる許可も得ないでしたときは、その行為は取り消せる(同条4項)。例えば、被保佐人が保佐人の同意を得ずに借金をしたときは、その借金の契約を取り消せる。
民法第13条「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ同意に代わる許可の要件は「利益を害するおそれがない」ことが前提。
解説保佐人が正当な理由なく同意を拒む場合、家庭裁判所は被保佐人の請求により「同意に代わる許可」を与えることができるが、この許可が認められるのは「被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず」同意しない場合に限られる(13条3項)。この許可の制度により、保佐人の恣意的な同意拒否から被保佐人を保護している。
補足同意・代わる許可のいずれも得ずにした行為は、被保佐人自身や保佐人が取り消すことができる(13条4項、120条1項)。
問9被補助人e-Gov等の一次資料で確認済み
被補助人について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.家庭裁判所は、本人以外の者の請求により被補助人の同意を要する旨の審判をする場合、本人の同意は不要である。
- イ.補助人の同意を得なければならない行為を同意なしでした場合でも、取り消すことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 17条2項が本人の同意を要件とする
民法第17条「本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 17条4項が取消権を定める
民法第17条「補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ補助開始・同意審判の請求が本人以外からの場合、本人の同意が不可欠(補助制度の自己決定尊重)。
解説被補助人制度は、判断能力の低下が軽度な者を対象とするため、本人の自己決定権を尊重する仕組みが随所に組み込まれている。本人以外の者(配偶者・4親等内の親族等)の請求による同意審判には必ず本人の同意を要する(17条2項)点が、後見・保佐と異なる補助制度の特徴である。
補足補助人の同意を要する行為の範囲は、13条1項所定の行為の「一部」に限定される(17条1項ただし書)。
問10意思表示の錯誤e-Gov等の一次資料で確認済み
意思表示の錯誤について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.錯誤による意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
- イ.表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限りすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 法律行為の目的と取引上の社会通念に照らして重要な錯誤による意思表示は、取り消すことができる(民法95条1項柱書)。効果は無効ではなく取消しである。例えば、重要な点を勘違いして契約したとき、その契約は取消しの意思表示をして初めて効力を失わせることができる。
民法第95条「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 動機の錯誤(法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤)は、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、取り消すことができる(同条2項)。例えば、「値上がりすると思って」土地を買った場合、その期待を相手方に伝えて契約の基礎としていなければ、取り消せない。
民法第95条「前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる」一次資料を確認
ひっかけ動機の錯誤による取消しには「基礎事情の表示」という追加要件がある。
解説錯誤には、①意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示の錯誤、1項1号)と、②法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤、1項2号)の2類型があり、②の動機の錯誤については、その事情が法律行為の基礎とされていることが相手方に表示されていたことが取消しの追加要件となる(2項)。
補足重大な過失による錯誤は、相手方の悪意・重過失又は同一錯誤の場合を除き、取消しできない(95条3項)。
問11詐欺・強迫による意思表示の取消しe-Gov等の一次資料で確認済み
詐欺又は強迫による意思表示について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対しても対抗することができる。
- イ.詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 善意無過失の第三者には対抗不可(96条3項)
民法96条3項「詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 詐欺・強迫による意思表示は取消し可(96条1項)
民法96条1項「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ詐欺は第三者保護があるが、強迫にはこの第三者保護がない。
解説詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができる(民法96条1項)。だましたり脅したりして得た意思表示は、その効力を覆せる。イはこの条文どおりで正しい。もっとも、取消し前に利害関係を持った第三者の保護のため、詐欺による取消しは『善意でかつ過失がない第三者』に対抗することができない(同条3項)。アは『善意無過失の第三者に対しても対抗できる』とするが、これは96条3項に反するため誤り。なお、この第三者保護は詐欺にだけ置かれた規律で、強迫による取消しには適用されず、強迫の場合は善意無過失の第三者にも対抗できる点に注意する。
補足第三者保護があるのは詐欺取消しだけで、強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できる。強迫された者は詐欺より保護の必要性が高いと考えられているためである。
問12代理(顕名主義)e-Gov等の一次資料で確認済み
代理における顕名について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
- イ.代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、原則として、代理人が自己のためにしたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 権限内+顕名 → 本人に直接効果(99条1項)
民法99条1項「本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 顕名なし → 自己のためにしたものとみなす(100条本文)
民法100条本文「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす」一次資料を確認
ひっかけ代理の効果を本人に帰属させる鍵は『本人のためにすることを示す』顕名にある。
解説代理人が、与えられた権限の範囲内で『本人のためにする』ことを相手方に示して(顕名して)意思表示をすると、その効果は代理人ではなく本人に直接帰属する(民法99条1項)。アはこの仕組みどおりで正しい。逆に、本人のためにすることを示さずにした意思表示は、原則として代理人が自己のためにしたものとみなされ、本人には効果が及ばない(同100条本文)。イはこの原則どおりで正しい。ただし、相手方が本人のためにすることを知り又は知ることができたときは99条1項が準用され、本人に効果が帰属する(100条ただし書)。アもイも条文どおりであり、両方とも正しい。
補足顕名がなくても、相手方が『本人のためにする』ことを知り又は知ることができたときは、99条1項が準用され効果は本人に帰属する(100条ただし書)。
問13無権代理e-Gov等の一次資料で確認済み
無権代理について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が本人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなくても、当然に本人に対してその効力を生ずる。
- イ.無権代理行為の相手方は、本人が追認をしない間であっても、その契約を取り消すことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 追認しなければ本人に効力生じない(113条1項)
民法113条1項「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 追認しない間は相手方が取り消せる(115条本文)
民法115条本文「本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ無権代理行為は無効でも当然有効でもなく、追認があるまで効力が確定しない宙ぶらりんの状態にある。
解説代理権を持たない者が本人の代理人として結んだ契約(無権代理行為)は、本人が追認しなければ本人に対して効力を生じない(民法113条1項)。当然に有効になるわけではなく、効力が確定しない宙ぶらりんの状態にある。アは『追認がなくても当然に効力を生ずる』とするので誤り。一方、相手方は本人が追認しない間であれば、その契約を取り消すことができる(同115条本文)。アの状態に置かれた相手方を保護する規律である。イは『取り消すことはできない』とするので誤り。ただし、契約時に相手方が代理権のないことを知っていたときは取り消せない(115条ただし書)点には注意する。ア・イとも誤りである。
補足相手方の取消権は、契約の時に代理権がないことを相手方が知っていた場合には認められない(115条ただし書)。また相手方は本人に対し追認するかどうかの催告もでき、確答がなければ追認拒絶とみなされる(114条)。
問14債権の消滅時効e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の消滅時効について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.債権は、権利を行使することができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 主観的起算点から5年(166条1項1号)
民法166条1項1号「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」一次資料を確認
- イ.誤り
- 客観的起算点からは10年(166条1項2号)
民法166条1項2号「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」一次資料を確認
ひっかけ債権の消滅時効には『知った時から5年』と『行使できる時から10年』の2つの起算点があり、どちらか早い方の到来で完成する。
解説債権の消滅時効には2つの起算点がある。1つは『債権者が権利を行使することができることを知った時』(主観的起算点)で、ここから5年間行使しないと時効消滅する(民法166条1項1号)。アはこの主観的起算点の規律どおりで正しい。もう1つは『権利を行使することができる時』(客観的起算点)で、こちらは10年間行使しないと時効消滅する(同項2号)。イは客観的起算点からの期間を『5年』としているが、正しくは10年なので誤り。両者はいずれか早く満了した方で消滅時効が完成する。
補足2つの期間はいずれか早く満了した方で時効が完成する。生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、客観的起算点からの期間が20年に伸長される(167条)。
問15代理権の消滅e-Gov等の一次資料で確認済み
代理権の消滅に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権は、本人の死亡によって消滅する。
- イ.委任による代理権は、本人・代理人の死亡等とは別に、委任が終了しても消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 111条2項で追加の消滅事由
民法111条2項「委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する」一次資料を確認
ひっかけ代理権の消滅事由は、法定代理・任意代理に共通するものと、委任代理に特有のものを分ける。
解説民法111条1項は、代理権が本人の死亡、代理人の死亡等によって消滅することを定める。アは本人の死亡を挙げており正しい。さらに同条2項は、委任による代理権について、1項各号の事由のほか、委任の終了によっても消滅すると定める。イも正しい。
補足代理人の死亡・破産手続開始決定・後見開始審判も代理権の消滅事由である。
問16成年年齢e-Gov等の一次資料で確認済み
成年年齢に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.民法上、年齢18歳をもって成年とされる。
- イ.民法上、成年となる年齢は20歳である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 現行民法では成年年齢は18歳。未成年者の法律行為や親権から離れる基準になるため、旧来の20歳という知識で答えると誤る。
- イ.誤り
- 20歳は旧制度の記憶や飲酒・喫煙等の年齢制限と混同しやすいが、民法上の成年年齢は18歳。民法4条の基準と異なる。
ひっかけ成年は20歳、という古い感覚のままだとイを正しいと誤る。改正で成年は18歳になった。
解説民法4条は『年齢十八歳をもって、成年とする』と定める。成年に達すると親権に服さなくなり、単独で有効に契約などの法律行為をすることができる。アはこの条文どおりで正しい。イは成年年齢を20歳とするが、現行の民法4条は18歳と定めているため誤り。契約を1人で結べるか親の同意が要るかを分ける重要な基準なので、『20歳』ではなく『18歳』と押さえる。
補足成年年齢の引下げにより、18歳・19歳は未成年者取消権を行使できなくなった。一方、飲酒・喫煙や公営競技の年齢制限は、健康への配慮などから従来どおり20歳のまま維持されている。
問17未成年者の営業許可e-Gov等の一次資料で確認済み
未成年者の営業許可に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関して成年者と同一の行為能力を有する。
- イ.未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、営業の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 6条1項が営業許可の効果を定める
民法第6条「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 6条2項が許可の取消し・制限を定める
民法第6条「前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる」一次資料を確認
ひっかけ営業許可は法定代理人による事後的な取消し・制限の対象となる。
解説未成年者の営業許可(6条1項)は、いったん与えられても永続的なものではなく、営業に堪えられない事由が生じたときは法定代理人が取消し・制限できる(6条2項)という事後的な監督の仕組みが備わっている。
補足営業を許可された未成年者は、当該営業に関する行為についてのみ成年者と同一の能力を持ち、営業外の行為には及ばない(6条1項の「その営業に関しては」という限定)。
問18住所の意義e-Gov等の一次資料で確認済み
住所の意義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.民法上、各人の生活の本拠が住所とされる。
- イ.民法上の住所は、一時的に滞在している場所を常にいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 住所は単なる所在地ではなく、生活関係の中心となる場所をいう。住民票や滞在地の形式だけでなく、生活の本拠という実質で捉える。
- イ.誤り
- 出張先や旅行先のような一時滞在地は、通常は生活の本拠ではない。「常に住所」とすると、民法22条の生活の本拠という基準を外してしまう。
ひっかけ住所は今いる場所のこと、と考えるとイを正しいと誤る。住所は生活の本拠であって、一時的な滞在場所ではない。
解説民法22条は『各人の生活の本拠をその者の住所とする』と定める。住所とは、その人の生活の中心となっている場所をいう。アはこの条文どおりで正しい。イは一時的に滞在している場所を常に住所とするが、それは居所であって生活の本拠とは限らないため誤り。生活の本拠かどうかという実質で判断する点を押さえる。
補足住所が知れない場合には、居所が住所とみなされる(23条1項)。住所は、債務の履行場所や裁判管轄、失踪宣告など、さまざまな法律関係の基準になる。
問19取消しの効果e-Gov等の一次資料で確認済み
取消しの効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされる。
- イ.取り消された行為は、取消しの時から将来に向かってのみ無効となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第121条の「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」と一致するため正しい。
民法第121条「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」一次資料を確認
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
民法第121条「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」一次資料を確認
ひっかけ取消しは取り消した時から先の効力を失わせるだけ、と考えるとイを正しいと誤る。取り消された行為は初めから無効になる(遡及効)。
解説取り消すことができる行為が取り消されると、その行為は初めから無効であったものとみなされる(民法121条)。これを遡及効という。アはこのとおりで正しい。イは取消しの時から将来に向かってのみ無効になるとするが、121条は行為の当初にさかのぼって無効とみなすので誤り。取消しは『これから無効にする』のではなく『初めから無効だった』ことにする点が要点である。
補足遡及して無効になる結果、当事者は互いに受け取ったものを返す原状回復義務を負う(121条の2第1項)。ただし制限行為能力者は、現に利益を受けている限度で返還すれば足りる(同条3項)。
問20取消権の期間制限e-Gov等の一次資料で確認済み
取消権の期間制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取消権は、追認をすることができる時から10年間行使しないと時効によって消滅する。
- イ.取消権は、行為の時から20年を経過したときも、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないと、時効によって消滅する(民法126条前段)。10年ではない。例えば、詐欺に気づき、取消権があると知った時から5年が過ぎると、取消権は時効で消える。
民法第126条「取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 行為の時から20年を経過したときも、取消権は消滅する(同条後段)。追認をすることができる時から5年とは、起算点も期間も別の期間制限である。例えば、詐欺にあったことにずっと気づかなくても、行為から20年が過ぎれば取消権は消える。
民法第126条「行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」一次資料を確認
ひっかけ取消権の期間制限は「追認可能時から5年」と「行為時から20年」の二重構造。
解説取消権は、①追認をすることができる時から5年間の消滅時効(126条前段)と、②行為の時から20年の除斥期間(126条後段)という二重の期間制限に服する。いずれか早い方の期間経過により取消権は消滅する。
補足追認をすることができる時とは、取消しの原因となっていた状況が消滅した時(例:制限行為能力者が行為能力者となった時、詐欺・強迫の状態を脱した時)を指す(124条参照)。
問21制限行為能力者(被保佐人)e-Gov等の一次資料で確認済み
被保佐人の法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被保佐人が新築、改築、増築又は大修繕をする行為は、保佐人の同意を得なくても、常に有効である。
- イ.被保佐人が贈与、和解又は仲裁合意をするには、保佐人の同意を得なければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 13条1項5号が贈与等を同意事項とする
民法第13条「贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること」一次資料を確認
ひっかけ13条1項の同意事項は多岐にわたる(借財・重要財産処分・訴訟・贈与・新築等)。
解説13条1項各号は、被保佐人が保佐人の同意を要する行為を10類型にわたって列挙する。借財・保証(2号)、重要財産の得喪(3号)、訴訟行為(4号)、贈与・和解・仲裁合意(5号)、相続の承認放棄・遺産分割(6号)、新築等の重要な建築行為(8号)等、財産上の重大な影響を及ぼす行為が幅広く対象となる。
補足家庭裁判所は、これら各号以外の行為についても保佐人の同意を要する旨の審判をすることができる(13条2項)。
問22通謀虚偽表示e-Gov等の一次資料で確認済み
相手方と通じてした虚偽の意思表示(通謀虚偽表示)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.通謀虚偽表示の無効は、その事情を知らない(善意の)第三者に対しても主張することができる。
- イ.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 94条2項:外観を信頼した者を保護
民法第94条第2項「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 94条1項:内心の意思を欠く
民法第94条第1項「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」一次資料を確認
ひっかけ当事者間では無効でも、善意の第三者には無効を押し付けられない。
解説通謀虚偽表示は、当事者が示し合わせた仮装なので当事者間では無効である(94条1項)。だからイは正しい。しかし、その仮装の外観を信じて取引に入った善意の第三者まで犠牲にするのは酷なので、無効は善意の第三者に対抗できない(94条2項)。だから『善意の第三者にも無効を主張できる』とするアは誤り。結論はアー誤、イー正。
補足94条2項の第三者は善意で足り、条文上、無過失は要求されていない。
問23詐欺・強迫による意思表示e-Gov等の一次資料で確認済み
詐欺又は強迫による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺による意思表示の取消しは、第三者の善意・悪意や過失の有無を問わず、常に対抗することができる。
- イ.強迫による意思表示の取消しも、詐欺と同様に、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 96条3項が第三者保護を定める
民法第96条「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 96条3項が詐欺のみを対象とする
民法第96条「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ詐欺取消しと強迫取消しで第三者への対抗力に差がある(強迫の方が保護が強い)。
解説詐欺・強迫はいずれも96条1項で取消し可能とされるが、第三者保護規定(3項)は詐欺の場合にのみ適用され、強迫の場合には適用されない。表意者の帰責性の違い(詐欺は自ら錯誤に陥った落ち度がある一方、強迫は完全に被害者的立場)が、この差異を正当化する根拠とされる。
補足この構造はしばしば「詐欺の被害者よりも強迫の被害者の方が手厚く保護される」という形で説明される。
問24制限行為能力者(成年被後見人)e-Gov等の一次資料で確認済み
成年被後見人Aの法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.Aが成年後見人の同意を得たうえで居住用不動産の売買契約を締結した場合であっても、その契約は取り消すことができる。
- イ.Aが日用品を購入する行為についても、成年被後見人がした行為である以上、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる(民法9条本文)。成年後見人に同意権はないため、成年後見人の同意を得てした行為でも取り消せる。例えば、成年被後見人が成年後見人の同意を得て不動産を売っても、その売買は取り消せる。
民法第9条本文「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 日用品の購入その他日常生活に関する行為は、取り消せない(同条ただし書)。例えば、スーパーでの食料品の購入や、電気代の支払は、取り消せない。
民法第9条ただし書「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」一次資料を確認
ひっかけ成年被後見人は、後見人の同意を得てした行為でも取り消せる。
解説成年被後見人の法律行為は、原則として取り消せる(民法9条本文)。間違えやすいのは『成年後見人の同意を得ていれば取り消せないのでは』という点。未成年者や被保佐人と違い、成年後見人には同意権がなく、同意を得てした行為でも取り消せる。判断能力を欠く常況にある本人には、同意どおりに行動できると期待しにくいからである。だからアは正しい。一方、日用品の購入のような日常生活に関する行為は、本人の自立を過度に縛らないよう9条ただし書で取消しの対象から外れている。だからイは誤り。結論はアー正、イー誤。
補足取り消せないのは日用品の購入その他『日常生活に関する行為』に限られる。電気・ガス・水道代の支払などもこれに含まれる。
問25意思表示の錯誤e-Gov等の一次資料で確認済み
錯誤による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.現行の民法では、錯誤による意思表示は当然に無効となり、誰でもいつでもその無効を主張することができる。
- イ.錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合は、原則として錯誤による取消しをすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 改正で無効 → 取消しに変更
民法第95条第1項「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 落ち度が大きい表意者は原則保護されない
民法第95条第3項「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。」一次資料を確認
ひっかけ錯誤は『無効』ではなく『取消し』(改正で変わった)。
解説錯誤は、2020年施行の改正で効果が『無効』から『取消し』に変わった。現行95条1項は、重要な錯誤による意思表示を『取り消すことができる』とする。だから『当然無効で誰でも主張できる』とするアは誤り。取消しは取消権者が主張するものである。次に、表意者自身の重大な過失による錯誤は、原則として取り消せない(95条3項)。落ち度の大きい表意者まで広く救うと相手方が害されるからである。だからイは正しい。ただし相手方が悪意・重過失だったときなどは例外的に取消しが認められる。結論はアー誤、イー正。
補足重過失があっても、相手方が錯誤を知り(悪意)もしくは重過失で知らなかったとき、または相手方も同じ錯誤に陥っていたときは、例外的に取消しができる(95条3項各号)。
問26無権代理と追認e-Gov等の一次資料で確認済み
代理権を有しない者がした契約(無権代理)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が本人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなければ、本人に対して効力を生じない。
- イ.本人は、無権代理人がした契約を追認して、その効力を自己に帰属させることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 原則:無権代理は本人に及ばない
民法第113条第1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 本人に有利なら追認して取り込める
民法第113条第1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」一次資料を確認
ひっかけ無権代理は『無効』で固定ではなく、本人の追認しだいで効力が生じる。
解説代理権のない者が本人の名でした契約(無権代理)は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない(民法113条1項)。これはアのとおり。もっとも、無権代理が必ず本人に不利とは限らないので、本人には追認して契約の効力を自分に帰属させる道が与えられている。これがイで、同じ113条1項の裏側の効果である。だから両方とも正しい。なお、追認やその拒絶は相手方に対してしないと相手方に対抗できない点(113条2項)も合わせて押さえておくとよい。結論はアー正、イー正。
補足追認・追認拒絶は相手方に対してしなければ相手方に対抗できない(113条2項本文)。ただし相手方がその事実を知ったときは対抗できる(同項ただし書)。
問27制限行為能力者(未成年者の法律行為)と制限行為能力者(第1章)の横断確認e-Gov等の一次資料で確認済み
制限行為能力者(未成年者の法律行為)と制限行為能力者(第1章)を横断して確認する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の範囲内での処分であっても、取り消すことができる。
- イ.法定代理人の同意を得ずに未成年者が行った法律行為は、当然に無効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 未成年者保護の原則には例外がある。法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的内で未成年者が自由に処分できるので、同意なしというだけでは取消しに戻らない。
民法第5条「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 同意のない未成年者の法律行為は、初めから当然に効力がない無効ではない。民法5条2項は「取り消すことができる」としており、取消しまでは一応有効に扱われ、取消し又は追認によって帰結が決まる。
民法第5条第2項「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」一次資料を確認
ひっかけ異なる制度の要件や法律効果を一つのルールとして混同しない。
解説制限行為能力者(未成年者の法律行為)と制限行為能力者(第1章)は、根拠条文と法律効果を分けて整理する。
補足各記述に付したe-Gov根拠を個別に確認する。
問28民法の基本原則(信義誠実の原則・権利濫用の禁止)e-Gov等の一次資料で確認済み
民法の基本原則に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
- イ.権利の濫用は、これを許さない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 信義誠実の原則は、義務を果たす側だけでなく、権利を主張する側にも及ぶ。契約の相手方の信頼を裏切る形での権利行使は許されない。
民法第1条第2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 形式的には権利の行使でも、他人を害する目的で行うなど社会的に許容できない場合には、法律上の効果が認められない。
ひっかけ信義則は義務の履行だけでなく、権利の行使にも適用される。
解説民法1条は、私権が公共の福祉に適合しなければならないこと(1項)、権利の行使及び義務の履行が信義に従い誠実に行われなければならないこと(2項)、権利の濫用が許されないこと(3項)を定める。民法全体の基本原則にあたる。
補足公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とされる(民法90条)。信義則や権利濫用の禁止と並んで、当事者が自由に決めた内容にも限界があることを示す規定である。
問29法人の成立(法人法定主義)と法人の能力e-Gov等の一次資料で確認済み
法人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
- イ.法人は、民法その他の法律の規定によらなくても、設立を望む者の合意があれば成立する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 会社などの法人は、自然人と違い、定款その他の基本約款で定めた目的の範囲内で権利を持ち義務を負う。目的の範囲を超える行為は、法人の権利義務の対象にならない。
民法第34条「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う」一次資料を確認
- イ.誤り
- 法人は、法律が認めた種類と手続でしか作れない(法人法定主義)。株式会社であれば、会社法の定める設立の手続を踏む必要がある。
民法第33条第1項「法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない」一次資料を確認
ひっかけ法人は当事者の合意では作れない。法律の規定が必要。
解説法人は、民法その他の法律の規定によらなければ成立しない(民法33条1項)。成立した法人は、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内で、権利を有し、義務を負う(34条)。
補足営利事業を営むことを目的とする法人などの設立、組織、運営及び管理は、民法その他の法律の定めるところによる(33条2項)。会社の場合は、会社法がその法律にあたる。
問30時効の援用権者と時効の利益の事前放棄e-Gov等の一次資料で確認済み
時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効の利益は、あらかじめ放棄することができる。
- イ.消滅時効については、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者も、時効を援用することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない(民法146条)。例えば、お金を貸すときに「時効は援用しない」という約束を契約書に入れても、その約束は効力を持たない。債権者が立場の弱い債務者に放棄を強いることを防ぐ趣旨である。
民法第146条「時効の利益は、あらかじめ放棄することができない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 消滅時効については、当事者のほか、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者も、時効を援用できる(民法145条かっこ書)。例えば、主たる債務の消滅時効が完成したとき、保証人は、自分で時効を援用して責任を免れることができる。
民法第145条「時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない」一次資料を確認
ひっかけ時効は援用しないと効力が出ない。放棄できるのは完成後だけ。
解説時効は、当事者が援用しなければ、裁判所が時効によって裁判をすることができない(民法145条)。消滅時効では、保証人、物上保証人、第三取得者など、権利の消滅について正当な利益を有する者も援用できる。時効の利益は、完成前にあらかじめ放棄することはできない(146条)。
補足146条が禁じるのは、時効が完成する前の放棄。完成した後に時効の利益を放棄することは、この条の対象ではない。
問31期間の計算(初日不算入の原則と末日が休日の場合)e-Gov等の一次資料で確認済み
期間の計算に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.日、週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間が午前零時から始まる場合であっても、期間の初日は算入しない。
- イ.期間の末日が日曜日や祝日に当たるときは、その日に取引をしない慣習の有無にかかわらず、期間は、その翌日に満了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、初日を算入する(民法140条)。例えば、6月10日の午後に始まる「10日間」は、翌11日から数え始め、6月20日の終了で満了する。一方、6月10日の午前零時から始まる10日間なら、10日を1日目として数える。
民法第140条「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他の休日に当たる場合、その日に取引をしない慣習があるときに限り、期間は、その翌日に満了する(民法142条)。休日というだけで、当然に翌日へ延びるわけではない。取引をしない慣習がない場合は、末日が休日でも、その日に満了する。
民法第142条「その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する」一次資料を確認
ひっかけ初日不算入には午前零時始まりの例外があり、休日の延長は慣習が条件。
解説日、週、月又は年で期間を定めたときは、期間の初日は算入しない。ただし、期間が午前零時から始まるときは算入する(民法140条)。期間はその末日の終了をもって満了し(141条)、末日が休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、翌日に満了する(142条)。
補足週、月又は年で期間を定めたときは、暦に従って計算する。起算日に応当する日の前日に満了し、月又は年で最後の月に応当する日がなければ、その月の末日に満了する(143条)。
問32簡易裁判所が第一審の裁判権を有する民事事件の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
簡易裁判所に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)について、第一審の裁判権を有する。
- イ.簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が60万円を超えない請求について、第一審の裁判権を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 少額の民事事件を簡易・迅速に処理するため、訴額が140万円以下の請求は、簡易裁判所が第一審の裁判権を持つ。
裁判所法第33条第1項第1号「訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)」一次資料を確認
- イ.誤り
- 60万円は、少額訴訟の対象になる金銭の支払請求の上限額として出てくる数字。簡易裁判所全体の裁判権の上限(140万円)とは別の基準である。
裁判所法第33条第1項第1号「訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)」一次資料を確認
ひっかけ簡易裁判所の上限は140万円。60万円は少額訴訟の基準。
解説訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く)は、簡易裁判所が第一審の裁判権を有する(裁判所法33条1項1号)。それを超える請求の第一審は、原則として地方裁判所が扱う。
補足60万円以下の金銭の支払請求を目的とする訴えは、簡易裁判所で少額訴訟による審理を求めることができる(民事訴訟法368条1項)。少額訴訟は、簡易裁判所の中の特別な手続である。
問33不動産・動産の区別と主物・従物e-Gov等の一次資料で確認済み
物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地及びその定着物は不動産とされ、不動産以外の物は、すべて動産とされる。
- イ.従物は、主物の処分に従わないので、主物を譲渡しても、従物の所有権は当然には移転しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 不動産は土地とその定着物に限られる。それ以外の物は、動産として扱われる。
民法第86条第1項「土地及びその定着物は、不動産とする」一次資料を確認
民法第86条第2項「不動産以外の物は、すべて動産とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物を附属させたとき、その附属させた物が従物になる(87条1項)。従物は、主物を処分すると、それに従って処分される。
ひっかけ従物は「主物の処分に従う」。別に譲渡しなくても動く。
解説土地及びその定着物は不動産、それ以外の物はすべて動産である(民法86条)。物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物を附属させたときは、その附属させた物が従物となり(87条1項)、従物は主物の処分に従う(同条2項)。
補足物の用法に従い収取する産出物は天然果実、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物は法定果実とされる(88条)。賃料は法定果実にあたる。
問34解除条件の成就と期限の到来の効果e-Gov等の一次資料で確認済み
条件・期限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律行為に始期を付したときは、期限の到来前であっても、その法律行為の履行を請求することができる。
- イ.解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 始期を付した法律行為は、期限が到来するまでは、履行を請求することができない。終期を付したときは、期限が到来した時に効力が消滅する(同条2項)。
民法第135条第1項「法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 解除条件付きの法律行為は、成就するまでは有効。成就した時から効力を失い、原則として、それ以前にはさかのぼらない。
民法第127条第2項「解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う」一次資料を確認
ひっかけ停止条件は成就で効力発生、解除条件は成就で効力消滅。始期は期限の到来まで請求不可。
解説停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生じ、解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う(民法127条1項・2項)。始期を付した法律行為は、期限が到来するまで履行を請求できず(135条1項)、終期を付したときは、期限が到来した時に効力が消滅する(同条2項)。
補足当事者が条件が成就した場合の効果を、その成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う(127条3項)。
問35失踪の宣告の要件と死亡とみなされる時e-Gov等の一次資料で確認済み
失踪の宣告に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不在者の生死が5年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
- イ.失踪の宣告を受けた者は、家庭裁判所が宣告をした時に、死亡したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 通常の失踪の宣告は、生死が7年間明らかでないときにされる(民法30条1項)。5年間ではない。例えば、行方不明になってから5年では、通常の失踪の宣告を請求できない。
民法第30条第1項「不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により」一次資料を確認
- イ.誤り
- 死亡したものとみなされるのは、宣告の時ではなく、生死不明の期間が満了した時である(同法31条)。例えば、7年の期間が4月1日に満了し、6月1日に宣告されたとき、死亡とみなされるのは4月1日である。
民法第31条「前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす」一次資料を確認
ひっかけ要件は7年。死亡とみなされるのは、宣告の時ではなく期間満了の時。
解説不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる(民法30条1項)。宣告を受けた者は、期間が満了した時に死亡したものとみなされる(31条)。
補足戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中にあった者など、死亡の原因となるべき危難に遭遇した者は、危難が去った後1年間生死が明らかでないときに、失踪の宣告を受けることができる(30条2項)。この場合は、危難が去った時に死亡したものとみなされる(31条)。
問36財産権上の訴えの管轄(義務履行地)と管轄の合意e-Gov等の一次資料で確認済み
民事訴訟の管轄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.財産権上の訴えは、義務履行地を管轄する裁判所に提起することができる。
- イ.当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。その合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地の裁判所(4条)に限られない。財産権上の訴えでは、義務履行地の裁判所にも提起できる。
- イ.正しい
- 契約書に、紛争が生じたときの管轄裁判所を定める条項を置く場合が、これにあたる。書面でなければ効力を生じないので、口頭の合意では足りない。
民事訴訟法第11条第1項「当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる」一次資料を確認
民事訴訟法第11条第2項「前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけ管轄の合意は第一審に限り、書面が必要。
解説訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する(民事訴訟法4条1項)。財産権上の訴えは、義務履行地を管轄する裁判所にも提起できる(5条1号)。当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができるが、その合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ効力を生じない(11条)。
補足管轄の合意が、その内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされる(11条3項)。法人の普通裁判籍は、主たる事務所又は営業所によって定まる(4条4項)。
問37控訴と上告の裁判所(民事訴訟の三審制)e-Gov等の一次資料で確認済み
民事訴訟の上訴に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる。
- イ.地方裁判所が第二審としてした終局判決に対する上告は、最高裁判所にすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる(民事訴訟法281条1項本文)。第一審が地方裁判所でも簡易裁判所でも、その終局判決に不服があれば控訴できる。
民事訴訟法第281条第1項「控訴は、地方裁判所が第一審としてした終局判決又は簡易裁判所の終局判決に対してすることができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる(同法311条1項)。例えば、簡易裁判所で始まった事件は、控訴審が地方裁判所となり、その判決への上告先は高等裁判所である。最高裁判所とする点が誤りである。
民事訴訟法第311条第1項「上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる」一次資料を確認
ひっかけ上告先は、第二審の裁判所によって変わる。
解説上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる(民事訴訟法311条1項)。簡易裁判所で始まった事件は、控訴審が地方裁判所、上告審が高等裁判所になる。
補足終局判決後、当事者双方が共に上告をする権利を留保して控訴をしない旨の合意をしたときは、控訴はできず、直ちに上告できる(281条1項ただし書・311条2項)。この場合、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に上告する。
問38公序良俗と同時死亡の推定e-Gov等の一次資料で確認済み
民法の規定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とされる。
- イ.数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、順次に死亡したものと推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 当事者が合意した内容でも、公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とされる。
民法第90条「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 推定されるのは、順次の死亡ではなく、同時の死亡。死亡の先後が明らかでない者の間では、一方が他方の死亡後になお生存していたとは扱われない。
民法第32条の2「数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する」一次資料を確認
ひっかけ先後が明らかでないときは、順次ではなく同時に死亡したと推定される。
解説公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とされる(民法90条)。数人の者が死亡した場合に、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は同時に死亡したものと推定される(32条の2)。
補足同時に死亡したものと推定される者の間では、一方の死亡の後に他方がなお生存していたとは扱われない。相続は死亡によって開始するので(882条)、この推定は、相続関係を考えるときにも意味を持つ。
問39不在者の財産の管理と家庭裁判所の命令の取消しe-Gov等の一次資料で確認済み
不在者の財産の管理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.従来の住所又は居所を去った者(不在者)が財産の管理人を置かなかったときは、不在者の債権者に限り、家庭裁判所に対し、その財産の管理について必要な処分を請求することができる。
- イ.家庭裁判所の命令の後、不在者本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 管理について必要な処分を請求できるのは「利害関係人又は検察官」で、債権者だけに限られない(民法25条1項)。例えば、不在者の債権者のほか、検察官も請求できる。「〜に限り」と請求できる人を狭める文は、条文より狭く書かれているため誤りになる。
民法第25条第1項「家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 命令の後に不在者本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、請求により命令を取り消さなければならない(同条2項)。例えば、海外に出た本人が、自分で信頼できる人に財産の管理を任せたなら、裁判所が定めた管理は不要になる。
民法第25条第2項「前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない」一次資料を確認
ひっかけ請求権者は「利害関係人又は検察官」。「債権者に限り」のように主体を狭める記述は、実際にはより広い主体(利害関係人)が認められている場合に誤りになりやすい。本人が管理人を置けば命令は取り消される。
解説従来の住所又は居所を去った者(不在者)が財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる(民法25条1項)。命令後に本人が管理人を置いたときは、請求により、命令を取り消さなければならない(同条2項)。
補足不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる(30条1項)。財産の管理は、生死が不明になる前の段階の制度である。
問40確定判決の既判力の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
確定判決の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
- イ.相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 既判力が生じるのは、判決の主文に包含されるものに限られる。理由中の判断には、原則として既判力は生じない。
民事訴訟法第114条第1項「確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 主文に現れない相殺の判断にも、例外として、相殺をもって対抗した額の限度で既判力が認められる。
民事訴訟法第114条第2項「相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する」一次資料を確認
ひっかけ既判力は主文に包含されるものに限られる。相殺の判断だけが例外。
解説確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する(民事訴訟法114条1項)。相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する(同条2項)。
補足和解や請求の放棄・認諾についても、その記録は、確定判決と同一の効力を有する(267条1項)。
問41公示による意思表示の要件と到達の時期e-Gov等の一次資料で確認済み
公示による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.表意者が相手方の所在を知ることができない場合に限り、公示の方法によって意思表示をすることができ、相手方そのものを知ることができない場合には、公示の方法は使えない。
- イ.公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日の翌日に、相手方に到達したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 公示の方法で意思表示ができるのは、相手方を知ることができない場合と、相手方の所在を知ることができない場合の2つである(民法98条1項)。所在不明の場合に限られない。例えば、相手がどこの誰か分からないときにも使える。
民法第98条第1項「意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 公示による意思表示が相手方に到達したものとみなされるのは、最後に官報に掲載した日などから2週間を経過した時である(同条3項)。翌日ではない。例えば、最後の掲載が4月1日なら、その日から2週間を経過した時に到達したものとみなされる。
民法第98条第3項「公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす」一次資料を確認
ひっかけ公示できる場合は2つ。到達は掲載から2週間後。
解説意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる(民法98条1項)。公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなされる。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない(同条3項)。
補足公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合は表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合は相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する(98条4項)。
問42損害賠償請求権と相続に関する胎児の権利能力e-Gov等の一次資料で確認済み
胎児の権利能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされる。
- イ.胎児は、相続については既に生まれたものとみなされ、その規定は、胎児が死体で生まれたときにも適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 権利能力は出生に始まるのが原則だが、損害賠償の請求権については、胎児も既に生まれたものとして扱われる。
民法第721条「胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす」一次資料を確認
- イ.誤り
- 生きて生まれた場合に限って、相続については既に生まれたものとみなされる。死体で生まれたときは、この扱いは受けられない。
民法第886条第2項「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない」一次資料を確認
ひっかけ胎児は例外的に権利能力が認められるが、死体で生まれれば相続には適用されない。
解説胎児は、損害賠償の請求権(民法721条)と相続(886条1項)については、既に生まれたものとみなされる。ただし、胎児が死体で生まれたときは、相続に関する規定は適用されない(886条2項)。
補足886条・891条の規定は、遺贈を受ける者(受遺者)にも準用される(965条)。胎児も、遺贈については既に生まれたものとみなされる。
問43取消権者(行為能力の制限・錯誤・詐欺・強迫)e-Gov等の一次資料で確認済み
取消権者(行為能力の制限・錯誤・詐欺・強迫)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺によって取り消すことができる行為は、詐欺をした相手方も取り消すことができる。
- イ.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者のほか、その代理人、承継人又は同意をすることができる者も取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 詐欺をした側に取消権はない。被害を受けて意思表示をした者が取り消す。
民法第120条第2項「意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 同意権を持つ保護者(親権者・保佐人など)も取消権者に含まれる。
民法第120条第1項「又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ取消権者は、取消しの原因が行為能力の制限か、意思表示の瑕疵(錯誤・詐欺・強迫)かで範囲が違う。
解説行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる(民法120条1項)。錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、その意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる(同条2項)。詐欺をした相手方は取消権者ではないため、アは誤り。
補足取消権者が追認をしたときは、以後その行為を取り消すことができない(民法122条)。
問44取り消すことができる行為の追認の要件e-Gov等の一次資料で確認済み
取り消すことができる行為の追認の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない。
- イ.未成年者が法定代理人の同意を得て追認をする場合であっても、成年に達した後でなければ、追認の効力は生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 詐欺に気づいていない間や、強迫が続いている間にした追認は効力がない。
民法第124条第1項「取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 未成年者は、法定代理人の同意があれば成年前でも追認できる。
民法第124条第2項第2号「制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするとき」一次資料を確認
ひっかけ追認には原則として「状況の消滅」と「取消権の認識」が必要だが、保護者が関わる場合は例外がある。
解説取り消すことができる行為の追認は、取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ、その効力を生じない(民法124条1項)。ただし、法定代理人又は制限行為能力者の保佐人若しくは補助人が追認をするとき、制限行為能力者(成年被後見人を除く。)が法定代理人、保佐人又は補助人の同意を得て追認をするときは、状況の消滅後にすることを要しない(同条2項)。
補足成年被後見人が自ら追認する場合は、同意を得ても例外に当たらないため、成年被後見人でなくなった後でなければ効力を生じない(民法124条2項2号のかっこ書)。
問45法定追認が成立する事実e-Gov等の一次資料で確認済み
法定追認が成立する事実に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について、債務の全部又は一部の履行をしたときは、異議をとどめた場合を除き、追認をしたものとみなされる。
- イ.追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について強制執行をしたときは、異議をとどめた場合を除き、追認をしたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 履行の事実があれば、改めて追認の意思表示をしなくても追認したことになる。
民法第125条第1号「追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす」一次資料を確認
民法第125条第1号「全部又は一部の履行」一次資料を確認
- イ.正しい
- 法定追認の事実は、履行・履行の請求・更改・担保の供与・権利の譲渡・強制執行の6つ。
民法第125条第6号「追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について次に掲げる事実があったときは、追認をしたものとみなす」一次資料を確認
民法第125条第6号「強制執行」一次資料を確認
ひっかけ法定追認は、追認の意思表示がなくても、一定の事実があれば追認とみなす制度。
解説追認をすることができる時以後に、取り消すことができる行為について、全部又は一部の履行、履行の請求、更改、担保の供与、取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡、強制執行のいずれかがあったときは、追認をしたものとみなす。ただし、異議をとどめたときは、この限りでない(民法125条)。
補足法定追認が働くのは「追認をすることができる時以後」の事実に限られる。追認できる状態になる前の履行は、法定追認にならない。
問46人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効e-Gov等の一次資料で確認済み
人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができる時から20年間行使しないときも、時効によって消滅する。
- イ.人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 一般の債権の10年が、生命・身体の侵害では20年に延びる。
民法第167条「「十年間」とあるのは、「二十年間」とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 知った時から5年、権利を行使できる時から10年(生命・身体の侵害は20年)が基本の組み合わせ。
民法第166条第1項第1号「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」一次資料を確認
ひっかけ生命・身体の侵害で延びるのは「権利を行使することができる時から」の期間(10年→20年)だけ。
解説債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する(民法166条1項)。人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権については、後者の10年が20年になる(同法167条)。
補足不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で消滅する。人の生命又は身体を害する不法行為では、前者が5年になる(民法724条・724条の2)。
問47後見開始の審判の請求権者e-Gov等の一次資料で確認済み
後見開始の審判の請求権者に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、職権で後見開始の審判をすることができる。
- イ.後見開始の審判は、四親等内の親族の請求によってすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 請求権者は条文に列挙されており、家庭裁判所の職権は含まれない。
民法第7条「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 請求できる親族の範囲は四親等内。五親等以上の親族は含まれない。
民法第7条「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる」一次資料を確認
ひっかけ審判を始めるのは家庭裁判所でも、始めるきっかけは請求権者の請求に限られる。
解説精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる(民法7条)。
補足成年被後見人がした法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができる(民法9条)。
問48補助開始の審判の請求権者と本人の同意e-Gov等の一次資料で確認済み
補助開始の審判の請求権者と本人の同意に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.補助開始の審判の請求権者には、検察官は含まれない。
- イ.本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 請求権者に検察官が含まれる点は、後見・保佐・補助で共通。
民法第15条第1項「本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 判断能力が比較的保たれている補助では、本人の意思を尊重して同意を要件とする。
民法第15条第2項「本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない」一次資料を確認
ひっかけ補助だけは、本人以外の請求による開始に本人の同意が必要になる。
解説精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない(民法15条1項・2項)。
補足補助開始の審判は、特定の法律行為についての同意権又は代理権を付与する審判とともにしなければならない(民法15条3項)。
問49天然果実と法定果実e-Gov等の一次資料で確認済み
天然果実と法定果実に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建物の賃料のように、物の使用の対価として受けるべき金銭は、天然果実である。
- イ.物の用法に従い収取する産出物を、法定果実という。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 天然果実は産出物、法定果実は使用の対価という区別で整理する。
民法第88条第2項「物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 果実のうち、物から直接生じるのが天然果実、使用の対価として受けるのが法定果実。
民法第88条第1項「物の用法に従い収取する産出物を天然果実とする」一次資料を確認
ひっかけ果実の名前は、産出物なら「天然」、使用の対価なら「法定」で覚える。
解説物の用法に従い収取する産出物を天然果実といい、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物を法定果実という(民法88条)。賃料や利息は法定果実、果樹の実や牛乳は天然果実である。
補足天然果実は、元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属し、法定果実は、これを収取する権利の存続期間に応じて、日割計算によって取得する(民法89条)。