問1制限行為能力者(未成年者の法律行為)
17歳の未成年者Aが、法定代理人の同意を得ずに行った法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.Aが法定代理人の同意を得ずに高額な商品の購入契約を締結した場合、その契約は取り消すことができる。
- イ.Aが、負担のない贈与を受ける契約(単に権利を得る法律行為)を法定代理人の同意なく行った場合でも、その契約は取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
未成年者でも、得するだけの行為は取り消せません。
未成年者は判断能力が十分でないため、不利益な取引から保護される。そこで未成年者の法律行為には原則として法定代理人の同意が必要で、同意なくした行為は取り消すことができる(民法5条1項本文・2項)。ただしこの保護は「未成年者に不利益が生じうる行為」のためのもの。単に権利を得るだけ・義務を免れるだけの行為(負担のない贈与を受ける等)は不利益がないため例外で、同意は不要・取消しもできない(同条1項ただし書)。本問のアは代金支払義務という負担を伴う購入なので取り消せる。イは負担のない贈与で、ただ利益を得るだけだから取り消せない。「未成年者なら何でも取り消せる」ではなく、「その行為に本人の不利益があるか」で判断するのがコツ。
問2制限行為能力者(未成年者の法律行為)
未成年者の法律行為に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意を得なければならない。
- イ.法定代理人の同意を得ずに未成年者が行った法律行為は、当然に無効である。
- ウ.単に権利を得る法律行為であっても、未成年者は法定代理人の同意を得なければならない。
- エ.目的を定めて処分を許された財産は、未成年者がその目的の範囲外でも自由に処分できる。
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正解:ア
同意なき行為は「無効」ではなく「取消し」です。
同意のない未成年者の行為は「無効」ではなく「取り消すことができる」にとどまる(民法5条2項)。無効は誰でも・最初から効力ゼロだが、取消しは取消権者が取り消して初めて効力が失われ、取り消すまでは有効に扱われる。だから本人側が追認すれば確定的に有効にもできる。また、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産(例:学費)は「その目的の範囲内」でのみ自由に使える(同条3項)。範囲外の処分は原則どおり取消しの対象。「無効と取消しの違い」「許された財産は範囲内だけ」の2点が要。
問3制限行為能力者(成年被後見人)
成年被後見人の法律行為に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができる。
- イ.成年被後見人が単独でした日用品の購入は、成年後見人がこれを取り消すことができる。
- ウ.成年被後見人の法律行為は、すべて当然に無効である。
- エ.成年被後見人は、日常生活に関する行為であっても、単独で確定的に行うことはできない。
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正解:ア
日常生活の行為だけは取り消せません。
成年被後見人は判断能力を欠く常況にあるため保護が手厚く、その法律行為は原則として取り消せる(民法9条本文)。成年後見人に同意権はなく、同意を得てした行為でも取り消せる点が被保佐人・被補助人と異なる。ただし本人の自己決定の尊重から、日用品の購入など「日常生活に関する行為」だけは例外で取り消せない(同条ただし書)。なお効果は取消しであって無効ではない。「原則は取り消せる/日常生活の行為だけ例外」を押さえる。
問4制限行為能力者の相手方の催告権
制限行為能力者の相手方の催告権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者の相手方が、行為能力者となった本人に対し、1か月以上の期間を定めて追認するかどうかを確答すべき旨を催告したが、本人が期間内に確答を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
- イ.相手方が被保佐人に対し、期間内に保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、被保佐人がその期間内に追認を得た旨の通知を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
確答なしの結論は、相手で逆になります。
取り消しうる行為は相手方を不安定な立場に置くため、相手方には決着をつける催告権が与えられる(民法20条)。ポイントは「期間内に確答・通知がないとき」の扱いが相手によって逆になること。単独で追認できる者(行為能力者となった本人や法定代理人)への催告に確答がなければ、追認したものとみなす。これに対し、単独では追認できない被保佐人・被補助人本人への催告では、追認を得た旨の通知がなければ取り消したものとみなす。「その行為を単独で確定できる者かどうか」で結論が決まると整理すると覚えやすい。
問5制限行為能力者の詐術
制限行為能力者の詐術に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
- イ.未成年者が詐術を用いて契約した場合でも、未成年者保護の趣旨から常に取り消すことができる。
- ウ.制限行為能力者であることを単に黙秘していれば、それだけで常に詐術にあたる。
- エ.詐術を用いた制限行為能力者の行為は、当然に無効となる。
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正解:ア
詐術を使えば取り消せません(黙秘だけは別)。
制限行為能力者の保護は、取引の安全との調整で限界がある。制限行為能力者が「自分は能力者だ」と相手に信じさせる詐術を用いたときは、保護に値しないため取り消せない(民法21条)。ここでの詐術は積極的な偽装に限らず、判例は他の言動と相まって相手の誤信を誘起・強化した場合も含むとする。一方、単に制限行為能力者であることを黙秘していただけでは詐術にあたらない(最判昭44.2.13)。「詐術=取消し不可(有効のまま。無効ではない)」「黙秘だけでは詐術でない」を区別する。
問6権利能力
権利能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.私権の享有は、出生に始まる。
- イ.外国人は、いかなる場合も私権を享有することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 出生に始まる(民法3条1項)(根拠:民法3条1項)
- イ.誤り
- 禁止される場合を除き享有できる(3条2項)(根拠:民法3条2項)
外国人も、原則として私権を享有できます。
権利義務の主体となれる地位を権利能力という。自然人は出生によって権利能力を取得する(民法3条1項)。胎児は原則として権利能力を持たないが、相続・遺贈・不法行為の損害賠償請求では例外的に既に生まれたものとみなされる。外国人も、法令や条約で禁止される場合を除いて私権を享有できる(同条2項)。「出生に始まる」「外国人も原則享有する」を押さえる。
問7意思能力
意思能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効である。
- イ.意思能力を欠く者がした法律行為は、取り消すことができるにとどまる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 意思能力なき行為は無効(民法3条の2)(根拠:民法3条の2)
- イ.誤り
- 取消しではなく無効(3条の2)(根拠:民法3条の2)
意思能力を欠く行為は「取消し」ではなく「無効」です。
自分の行為の意味を理解できる能力を意思能力という。意思能力を欠く者(泥酔者や重度の認知症の人など)がした法律行為は「無効」となる(民法3条の2)。これは取消しではなく無効である点が重要。制限行為能力者制度(年齢や審判で画一的に保護し、効果は取消し)と、意思能力(その時点の判断能力に着目し、効果は無効)は別の制度。意思表示をした時点で意思能力があったかどうかで判断する。
問8被保佐人
被保佐人について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被保佐人が借財又は保証をするには、その保佐人の同意を得なければならない。
- イ.保佐人の同意を得なければならない行為を同意なしでした場合でも、取り消すことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重要な財産行為は保佐人の同意が必要(民法13条1項)(根拠:民法13条1項)
- イ.誤り
- 同意なき行為は取り消すことができる(13条4項)(根拠:民法13条4項)
被保佐人が同意なしでした重要な行為は、取り消せます。
被保佐人は判断能力が著しく不十分な者で、重要な財産行為についてだけ保佐人の同意が必要となる(民法13条1項。借財・保証、不動産など重要財産の処分、訴訟、相続の承認・放棄等が列挙される)。逆に日常的な行為は単独でできる。同意(またはこれに代わる許可)を得ずにした重要行為は取り消せる(同条4項)。「限定列挙の重要行為だけ同意が必要」「同意なき重要行為は取消し可」が要点。
問9被補助人
被補助人について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.家庭裁判所は、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。
- イ.補助人の同意を得なければならない行為を同意なしでした場合でも、取り消すことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 同意なき行為は取り消すことができる(17条4項)(根拠:民法17条4項)
補助人の同意が必要な行為を同意なしでしたら、取り消せます。
被補助人は判断能力が不十分だが被保佐人ほどではない者で、補助は最も軽い保護。家庭裁判所の審判によって「特定の法律行為」についてのみ補助人の同意を要するとされる(民法17条1項。対象は13条1項の行為の一部に限られ、本人以外の者の請求による審判には本人の同意も必要)。同意を要するとされた行為を同意なくすれば取り消せる(同条4項)。「どこまで保護するかを審判でオーダーメイドに決める」のが補助の特徴。