問1制限行為能力者(未成年者の法律行為)
17歳の未成年者Aが、法定代理人の同意を得ずに行った法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の範囲内での処分であっても、取り消すことができる。
- イ.未成年者が、負担のない贈与を受ける契約(単に権利を得る法律行為)を法定代理人の同意なく行った場合でも、その契約は取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 未成年者保護の原則には例外がある。法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的内で未成年者が自由に処分できるので、同意なしというだけでは取消しに戻らない。
民法第5条「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 単に権利を得るだけの行為は未成年者に不利益がないため、5条1項ただし書で同意不要とされる。負担のない贈与を受ける契約はこの典型。
民法第5条「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ「単に権利を得る行為」と「処分許可財産の目的内処分」は同意不要の2大例外。
解説未成年者の法律行為には法定代理人の同意が原則必要(5条1項本文)だが、①単に権利を得、又は義務を免れる法律行為(1項ただし書)、②法定代理人が目的を定めて処分を許した財産の目的範囲内の処分(3項)は、同意不要の例外とされる。この2つの例外を「同意が必要な行為」と誤って理解しないことが重要。
補足目的を定めないで処分を許した財産についても、未成年者は自由に処分できる(5条3項後段)。
問2制限行為能力者(第1章)
未成年者の法律行為に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者が法律行為をするには、原則として法定代理人の同意を得なければならない。
- イ.法定代理人の同意を得ずに未成年者が行った法律行為は、当然に無効である。
- ウ.単に権利を得る法律行為であっても、未成年者は法定代理人の同意を得なければならない。
- エ.目的を定めて処分を許された財産は、未成年者がその目的の範囲外でも自由に処分できる。
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正解:ア
- ア.正しい
- 未成年者は判断能力や取引経験が十分でないことがあるため、法律行為をするには原則として法定代理人の同意を必要とする。選択肢アは例外ではなく、5条1項本文の基本ルールをそのまま述べている。
民法第5条第1項本文「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 同意のない未成年者の法律行為は、初めから当然に効力がない無効ではない。民法5条2項は「取り消すことができる」としており、取消しまでは一応有効に扱われ、取消し又は追認によって帰結が決まる。
民法第5条第2項「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」e-Gov原文
- ウ.誤り
- 単に権利を得るだけ、又は義務を免れるだけの法律行為は、未成年者に不利益を与える危険が小さいため、5条1項ただし書で同意不要とされる。選択肢ウは、この例外を原則に戻してしまっている。
民法第5条第1項ただし書「ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。」e-Gov原文
- エ.誤り
- 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内でだけ未成年者が自由に処分できる。目的を定めた意味を失わせるため、範囲外でも自由とする選択肢エは3項の限定を外している。
民法第5条第3項「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。」e-Gov原文
ひっかけ「無効」と書いてあるイが引っかけ。正しくは取消し。
解説同意のない未成年者の行為は「無効」ではなく「取り消すことができる」にとどまる(民法5条2項)。だからイの「当然に無効」は誤り。無効は誰でも・初めから効力ゼロだが、取消しは取消権者が取り消して初めて効力が消え、取り消すまでは有効に扱われる。アは5条1項本文の原則そのもので正しい。ウは1項ただし書を逆にしており、単に権利を得る行為は同意不要だから誤り。エは3項を読み違えていて、処分を許された財産を使えるのは目的の範囲内だけで「範囲外でも自由」ではない。正しいのはアだけ。
補足取り消すまでは有効なので、本人側が追認すれば逆に確定的に有効にもできる。無効にはこの「あとから有効にする」余地がない。
問3制限行為能力者(成年被後見人)
成年被後見人の法律行為に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができる。
- イ.成年被後見人が単独でした日用品の購入は、成年後見人がこれを取り消すことができる。
- ウ.成年被後見人の法律行為は、すべて当然に無効である。
- エ.成年被後見人は、日常生活に関する行為であっても、単独で確定的に行うことはできない。
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正解:ア
- ア.正しい
- 成年被後見人の保護は「当然無効」ではなく「取消し」で実現される。9条本文は、本人側が後から効力を否定できる取消可能性を定めている。
民法第9条本文「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 日用品購入まで取り消せると日常生活が成り立たないため、9条ただし書が取消しの対象から外している。成年後見人でもこの例外部分は取り消せない。
民法第9条ただし書「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」e-Gov原文
- ウ.誤り
- 成年被後見人の行為は無効ではなく取消可能。無効なら追認で有効にする余地が乏しいが、取消しは取り消されるまでは一応有効という整理になる。
民法第9条本文「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」e-Gov原文
- エ.誤り
- 日常生活に関する行為は、9条ただし書により単独で確定的に行える。成年被後見人であっても生活維持に必要な範囲は別扱い。
民法第9条ただし書「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ日用品の購入を取り消せるとしているイ・エが誤り。
解説成年被後見人は判断能力を欠く常況にあり、その法律行為は原則として取り消せる(民法9条本文)。だからアが正しい。例外は日用品の購入など日常生活に関する行為で、本人の自己決定を尊重してこれだけは取り消せない(同条ただし書)。よってイ(日用品購入も取り消せる)とエ(日常生活も単独では不可)はただし書に反して誤り。ウの「すべて当然に無効」も誤りで、効果は取消しであって無効ではない。
補足成年後見人には同意権がない。被保佐人・被補助人なら保佐人等の同意を得た行為は有効になるが、成年被後見人は同意を得てした行為でも取り消せる点が違う。
問4制限行為能力者の相手方の催告権
制限行為能力者の相手方の催告権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者の相手方が、行為能力者となった本人に対し、1か月以上の期間を定めて追認するかどうかを確答すべき旨を催告したが、本人が期間内に確答を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
- イ.相手方が被保佐人に対し、期間内に保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、被保佐人がその期間内に追認を得た旨の通知を発しなかった場合、その行為は追認したものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 能力者本人 → 確答なし=追認
民法第20条第1項「その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 被保佐人本人 → 通知なし=取消し
民法第20条第4項「その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。」e-Gov原文
ひっかけ「確答なし=追認」を全員に当てはめるとイで転ぶ。
解説アは、行為能力者となった本人への催告で期間内に確答がないケース。本人は単独で追認できる立場なので、確答なしは追認とみなされる(民法20条1項)。だから正しい。イは被保佐人本人への催告で、追認を得た旨の通知が期間内にないケース。被保佐人は単独では追認できないので、20条4項により結論が逆になり、取り消したものとみなされる。よってイは誤り。確答・通知なしの効果は、催告の相手が単独で行為を確定できる者かどうかで追認と取消しに分かれる。
補足単独で確定できる側には法定代理人も含まれ、法定代理人への催告で確答がなければやはり追認とみなされる(20条2項)。逆になるのは被保佐人・被補助人本人へ催告した場合。
問5制限行為能力者の詐術
制限行為能力者の詐術に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者が、行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
- イ.未成年者が詐術を用いて契約した場合でも、未成年者保護の趣旨から常に取り消すことができる。
- ウ.制限行為能力者であることを単に黙秘していれば、それだけで常に詐術にあたる。
- エ.詐術を用いた制限行為能力者の行為は、当然に無効となる。
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正解:ア
- ア.正しい
- 詐術を用いた場合は、相手方をだまして行為能力者だと信じさせた本人を保護する必要が後退するため、21条が取消しを否定する。
民法第21条「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 未成年者保護は絶対ではない。詐術で相手方を誤信させた場合は21条により取消し不可となるので、「常に取り消せる」は言い過ぎ。
民法第21条「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。」e-Gov原文
- ウ.誤り
- 判例は、単なる黙秘だけでは詐術としない。黙秘に加えて他の言動が相手方の誤信を強める場合に詐術となり得るため、「それだけで常に」は誤り。
最判昭和44年2月13日(詐術の意義)「単に制限行為能力者であることを黙秘していたことの一事をもって詐術にあたるとはいえない。」e-Gov原文
- エ.誤り
- 21条の効果は「取り消すことができない」であって「無効」ではない。取消し不可なら、行為は有効なものとして扱われる。
ひっかけ黙秘さえあれば詐術、とするウが誤り。
解説制限行為能力者が「自分は能力者だ」と相手に信じさせる詐術を用いたときは、保護に値しないので取り消せない(民法21条)。アはこの条文どおりで正しい。よってイの「未成年者保護の趣旨から常に取り消せる」は詐術がある以上誤り。エの「当然に無効」も誤りで、取り消せないだけで行為は有効のまま残る。ウは判例の射程を誤る。最判昭和44年2月13日は、単に制限行為能力者であることを黙秘していた一事だけでは詐術にあたらないとしており、他の言動と相まって相手を誤信させて初めて詐術になる。
補足詐術は積極的なうそに限らない。黙秘でも、年齢や属性についての他の言動と組み合わさって相手の誤信を強めれば詐術と評価される(最判昭44.2.13の射程)。
問6権利能力
権利能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.私権の享有は、出生に始まる。
- イ.外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 権利能力とは、私法上の権利義務の主体になれる地位をいう。民法3条1項は、その始期を出生と定めているため、人は出生によって私権を享有する主体となる。胎児保護の特則と混同せず、一般原則は出生時からと押さえる。
- イ.正しい
- 民法は外国人についても、原則として私権を享有すると定める。ただし、法令又は条約で禁止される場合は例外になる。国籍がないと私権を持てないという理解ではなく、原則享有・例外制限という構造で読む。
民法第3条「外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する」e-Gov原文
ひっかけ外国人の私権享有は「原則享有・例外禁止」という構造。「いかなる場合も享有できない」は誤り。
解説権利能力は出生により当然に取得される(3条1項)。外国人についても、法令・条約による禁止がない限り私権を享有できる(3条2項)のが原則であり、内国民待遇が基本となる。
補足外国人の権利享有が制限される具体例として、特許法25条の相互主義的制限がある(原則不可・例外的に享有可という逆の構造)。
問7意思能力
意思能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合、その法律行為は取り消すことができるにとどまり、無効とはならない。
- イ.意思能力を欠く者がした法律行為は、取り消すことができるにとどまる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 意思能力欠如の効果は取消しではなく無効。制限行為能力者制度の取消しと混同しやすいが、意思能力は法律行為の成立前提そのものを欠く場面。
民法第3条の2「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 「取り消すことができるにとどまる」は、未成年者や成年被後見人の規律と混同した表現。3条の2は端的に無効とする。
ひっかけ意思無能力による法律行為の効果は「無効」であり「取消し」ではない。
解説意思能力(自己の行為の結果を弁識するに足りる精神能力)を欠く状態でした法律行為は、無効である(3条の2)。制限行為能力者の行為が原則として「取り消すことができる」にとどまるのとは異なり、意思無能力の場合は初めから法律行為の効果が生じない「無効」という強い効果が定められている。
補足意思能力の有無は個別の行為ごとに判断され、幼児・重度の精神障害者・泥酔者等が典型例とされる。
問8被保佐人
被保佐人について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがあるにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
- イ.保佐人の同意を得なければならない行為について、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 13条3項が要件を「利益を害するおそれがないにもかかわらず」とする
民法第13条「保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 13条4項が取消権を定める
民法第13条「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ同意に代わる許可の要件は「利益を害するおそれがない」ことが前提。
解説保佐人が正当な理由なく同意を拒む場合、家庭裁判所は被保佐人の請求により「同意に代わる許可」を与えることができるが、この許可が認められるのは「被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず」同意しない場合に限られる(13条3項)。この許可の制度により、保佐人の恣意的な同意拒否から被保佐人を保護している。
補足同意・代わる許可のいずれも得ずにした行為は、被保佐人自身や保佐人が取り消すことができる(13条4項、120条1項)。
問9被補助人
被補助人について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.家庭裁判所は、本人以外の者の請求により被補助人の同意を要する旨の審判をする場合、本人の同意は不要である。
- イ.補助人の同意を得なければならない行為を同意なしでした場合でも、取り消すことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 17条2項が本人の同意を要件とする
民法第17条「本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 17条4項が取消権を定める
民法第17条「補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ補助開始・同意審判の請求が本人以外からの場合、本人の同意が不可欠(補助制度の自己決定尊重)。
解説被補助人制度は、判断能力の低下が軽度な者を対象とするため、本人の自己決定権を尊重する仕組みが随所に組み込まれている。本人以外の者(配偶者・4親等内の親族等)の請求による同意審判には必ず本人の同意を要する(17条2項)点が、後見・保佐と異なる補助制度の特徴である。
補足補助人の同意を要する行為の範囲は、13条1項所定の行為の「一部」に限定される(17条1項ただし書)。
問10意思表示の錯誤
意思表示の錯誤について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.錯誤による意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
- イ.表意者が法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限りすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 95条1項柱書が錯誤取消しの要件を定める
民法第95条「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 95条2項が表示要件を定める
民法第95条「前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる」e-Gov原文
ひっかけ動機の錯誤による取消しには「基礎事情の表示」という追加要件がある。
解説錯誤には、①意思表示に対応する意思を欠く錯誤(表示の錯誤、1項1号)と、②法律行為の基礎とした事情についての認識が真実に反する錯誤(動機の錯誤、1項2号)の2類型があり、②の動機の錯誤については、その事情が法律行為の基礎とされていることが相手方に表示されていたことが取消しの追加要件となる(2項)。
補足重大な過失による錯誤は、相手方の悪意・重過失又は同一錯誤の場合を除き、取消しできない(95条3項)。
問11詐欺・強迫による意思表示の取消し
詐欺又は強迫による意思表示について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対しても対抗することができる。
- イ.詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 善意無過失の第三者には対抗不可(96条3項)
民法96条3項「詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 詐欺・強迫による意思表示は取消し可(96条1項)
民法96条1項「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ詐欺は第三者保護があるが、強迫にはこの第三者保護がない。
解説詐欺又は強迫による意思表示は取り消すことができる(民法96条1項)。だましたり脅したりして得た意思表示は、その効力を覆せる。イはこの条文どおりで正しい。もっとも、取消し前に利害関係を持った第三者の保護のため、詐欺による取消しは『善意でかつ過失がない第三者』に対抗することができない(同条3項)。アは『善意無過失の第三者に対しても対抗できる』とするが、これは96条3項に反するため誤り。なお、この第三者保護は詐欺にだけ置かれた規律で、強迫による取消しには適用されず、強迫の場合は善意無過失の第三者にも対抗できる点に注意する。
補足第三者保護があるのは詐欺取消しだけで、強迫による取消しは善意無過失の第三者にも対抗できる。強迫された者は詐欺より保護の必要性が高いと考えられているためである。
問12代理(顕名主義)
代理における顕名について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
- イ.代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、原則として、代理人が自己のためにしたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 権限内+顕名 → 本人に直接効果(99条1項)
民法99条1項「本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 顕名なし → 自己のためにしたものとみなす(100条本文)
民法100条本文「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ代理の効果を本人に帰属させる鍵は『本人のためにすることを示す』顕名にある。
解説代理人が、与えられた権限の範囲内で『本人のためにする』ことを相手方に示して(顕名して)意思表示をすると、その効果は代理人ではなく本人に直接帰属する(民法99条1項)。アはこの仕組みどおりで正しい。逆に、本人のためにすることを示さずにした意思表示は、原則として代理人が自己のためにしたものとみなされ、本人には効果が及ばない(同100条本文)。イはこの原則どおりで正しい。ただし、相手方が本人のためにすることを知り又は知ることができたときは99条1項が準用され、本人に効果が帰属する(100条ただし書)。アもイも条文どおりであり、両方とも正しい。
補足顕名がなくても、相手方が『本人のためにする』ことを知り又は知ることができたときは、99条1項が準用され効果は本人に帰属する(100条ただし書)。
問13無権代理
無権代理について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が本人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなくても、当然に本人に対してその効力を生ずる。
- イ.無権代理行為の相手方は、本人が追認をしない間であっても、その契約を取り消すことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 追認しなければ本人に効力生じない(113条1項)
民法113条1項「本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 追認しない間は相手方が取り消せる(115条本文)
民法115条本文「本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ無権代理行為は無効でも当然有効でもなく、追認があるまで効力が確定しない宙ぶらりんの状態にある。
解説代理権を持たない者が本人の代理人として結んだ契約(無権代理行為)は、本人が追認しなければ本人に対して効力を生じない(民法113条1項)。当然に有効になるわけではなく、効力が確定しない宙ぶらりんの状態にある。アは『追認がなくても当然に効力を生ずる』とするので誤り。一方、相手方は本人が追認しない間であれば、その契約を取り消すことができる(同115条本文)。アの状態に置かれた相手方を保護する規律である。イは『取り消すことはできない』とするので誤り。ただし、契約時に相手方が代理権のないことを知っていたときは取り消せない(115条ただし書)点には注意する。ア・イとも誤りである。
補足相手方の取消権は、契約の時に代理権がないことを相手方が知っていた場合には認められない(115条ただし書)。また相手方は本人に対し追認するかどうかの催告もでき、確答がなければ追認拒絶とみなされる(114条)。
問14債権の消滅時効
債権の消滅時効について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.債権は、権利を行使することができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 主観的起算点から5年(166条1項1号)
民法166条1項1号「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 客観的起算点からは10年(166条1項2号)
民法166条1項2号「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ債権の消滅時効には『知った時から5年』と『行使できる時から10年』の2つの起算点があり、どちらか早い方の到来で完成する。
解説債権の消滅時効には2つの起算点がある。1つは『債権者が権利を行使することができることを知った時』(主観的起算点)で、ここから5年間行使しないと時効消滅する(民法166条1項1号)。アはこの主観的起算点の規律どおりで正しい。もう1つは『権利を行使することができる時』(客観的起算点)で、こちらは10年間行使しないと時効消滅する(同項2号)。イは客観的起算点からの期間を『5年』としているが、正しくは10年なので誤り。両者はいずれか早く満了した方で消滅時効が完成する。
補足2つの期間はいずれか早く満了した方で時効が完成する。生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、客観的起算点からの期間が20年に伸長される(167条)。
問15代理権の消滅
代理権の消滅に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権は、本人の死亡によって消滅する。
- イ.委任による代理権は、本人・代理人の死亡等とは別に、委任が終了しても消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 111条2項で追加の消滅事由
民法111条2項「委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する」e-Gov原文
ひっかけ代理権の消滅事由は、法定代理・任意代理に共通するものと、委任代理に特有のものを分ける。
解説民法111条1項は、代理権が本人の死亡、代理人の死亡等によって消滅することを定める。アは本人の死亡を挙げており正しい。さらに同条2項は、委任による代理権について、1項各号の事由のほか、委任の終了によっても消滅すると定める。イも正しい。
補足代理人の死亡・破産手続開始決定・後見開始審判も代理権の消滅事由である。
問16成年年齢
成年年齢に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.民法上、年齢18歳をもって成年とされる。
- イ.民法上、成年となる年齢は20歳である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 現行民法では成年年齢は18歳。未成年者の法律行為や親権から離れる基準になるため、旧来の20歳という知識で答えると誤る。
- イ.誤り
- 20歳は旧制度の記憶や飲酒・喫煙等の年齢制限と混同しやすいが、民法上の成年年齢は18歳。民法4条の基準と異なる。
ひっかけ成年は20歳、という古い感覚のままだとイを正しいと誤る。改正で成年は18歳になった。
解説民法4条は『年齢十八歳をもって、成年とする』と定める。成年に達すると親権に服さなくなり、単独で有効に契約などの法律行為をすることができる。アはこの条文どおりで正しい。イは成年年齢を20歳とするが、現行の民法4条は18歳と定めているため誤り。契約を1人で結べるか親の同意が要るかを分ける重要な基準なので、『20歳』ではなく『18歳』と押さえる。
補足成年年齢の引下げにより、18歳・19歳は未成年者取消権を行使できなくなった。一方、飲酒・喫煙や公営競技の年齢制限は、健康への配慮などから従来どおり20歳のまま維持されている。
問17未成年者の営業許可
未成年者の営業許可に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関して成年者と同一の行為能力を有する。
- イ.未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、営業の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 6条1項が営業許可の効果を定める
民法第6条「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 6条2項が許可の取消し・制限を定める
民法第6条「前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる」e-Gov原文
ひっかけ営業許可は法定代理人による事後的な取消し・制限の対象となる。
解説未成年者の営業許可(6条1項)は、いったん与えられても永続的なものではなく、営業に堪えられない事由が生じたときは法定代理人が取消し・制限できる(6条2項)という事後的な監督の仕組みが備わっている。
補足営業を許可された未成年者は、当該営業に関する行為についてのみ成年者と同一の能力を持ち、営業外の行為には及ばない(6条1項の「その営業に関しては」という限定)。
問18住所の意義
住所の意義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.民法上、各人の生活の本拠が住所とされる。
- イ.民法上の住所は、一時的に滞在している場所を常にいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 住所は単なる所在地ではなく、生活関係の中心となる場所をいう。住民票や滞在地の形式だけでなく、生活の本拠という実質で捉える。
- イ.誤り
- 出張先や旅行先のような一時滞在地は、通常は生活の本拠ではない。「常に住所」とすると、民法22条の生活の本拠という基準を外してしまう。
ひっかけ住所は今いる場所のこと、と考えるとイを正しいと誤る。住所は生活の本拠であって、一時的な滞在場所ではない。
解説民法22条は『各人の生活の本拠をその者の住所とする』と定める。住所とは、その人の生活の中心となっている場所をいう。アはこの条文どおりで正しい。イは一時的に滞在している場所を常に住所とするが、それは居所であって生活の本拠とは限らないため誤り。生活の本拠かどうかという実質で判断する点を押さえる。
補足住所が知れない場合には、居所が住所とみなされる(23条1項)。住所は、債務の履行場所や裁判管轄、失踪宣告など、さまざまな法律関係の基準になる。
問19取消しの効果
取消しの効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされる。
- イ.取り消された行為は、取消しの時から将来に向かってのみ無効となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文どおり
民法第121条「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
民法第121条「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ取消しは取り消した時から先の効力を失わせるだけ、と考えるとイを正しいと誤る。取り消された行為は初めから無効になる(遡及効)。
解説取り消すことができる行為が取り消されると、その行為は初めから無効であったものとみなされる(民法121条)。これを遡及効という。アはこのとおりで正しい。イは取消しの時から将来に向かってのみ無効になるとするが、121条は行為の当初にさかのぼって無効とみなすので誤り。取消しは『これから無効にする』のではなく『初めから無効だった』ことにする点が要点である。
補足遡及して無効になる結果、当事者は互いに受け取ったものを返す原状回復義務を負う(121条の2第1項)。ただし制限行為能力者は、現に利益を受けている限度で返還すれば足りる(同条3項)。
問20取消権の期間制限
取消権の期間制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取消権は、追認をすることができる時から10年間行使しないと時効によって消滅する。
- イ.取消権は、行為の時から20年を経過したときも、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 126条前段が5年の消滅時効を定める
民法第126条「取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 126条後段が20年の除斥期間を定める
民法第126条「行為の時から二十年を経過したときも、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ取消権の期間制限は「追認可能時から5年」と「行為時から20年」の二重構造。
解説取消権は、①追認をすることができる時から5年間の消滅時効(126条前段)と、②行為の時から20年の除斥期間(126条後段)という二重の期間制限に服する。いずれか早い方の期間経過により取消権は消滅する。
補足追認をすることができる時とは、取消しの原因となっていた状況が消滅した時(例:制限行為能力者が行為能力者となった時、詐欺・強迫の状態を脱した時)を指す(124条参照)。
問21制限行為能力者(被保佐人)
被保佐人の法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被保佐人が新築、改築、増築又は大修繕をする行為は、保佐人の同意を得なくても、常に有効である。
- イ.被保佐人が贈与、和解又は仲裁合意をするには、保佐人の同意を得なければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 13条1項5号が贈与等を同意事項とする
民法第13条「五贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること」e-Gov原文
ひっかけ13条1項の同意事項は多岐にわたる(借財・重要財産処分・訴訟・贈与・新築等)。
解説13条1項各号は、被保佐人が保佐人の同意を要する行為を10類型にわたって列挙する。借財・保証(2号)、重要財産の得喪(3号)、訴訟行為(4号)、贈与・和解・仲裁合意(5号)、相続の承認放棄・遺産分割(6号)、新築等の重要な建築行為(8号)等、財産上の重大な影響を及ぼす行為が幅広く対象となる。
補足家庭裁判所は、これら各号以外の行為についても保佐人の同意を要する旨の審判をすることができる(13条2項)。
問22通謀虚偽表示
相手方と通じてした虚偽の意思表示(通謀虚偽表示)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.通謀虚偽表示の無効は、その事情を知らない(善意の)第三者に対しても主張することができる。
- イ.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 94条2項:外観を信頼した者を保護
民法第94条第2項「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」e-Gov原文
- イ.正しい
- 94条1項:内心の意思を欠く
民法第94条第1項「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」e-Gov原文
ひっかけ当事者間では無効でも、善意の第三者には無効を押し付けられない。
解説通謀虚偽表示は、当事者が示し合わせた仮装なので当事者間では無効である(94条1項)。だからイは正しい。しかし、その仮装の外観を信じて取引に入った善意の第三者まで犠牲にするのは酷なので、無効は善意の第三者に対抗できない(94条2項)。だから『善意の第三者にも無効を主張できる』とするアは誤り。結論はアー誤、イー正。
補足94条2項の第三者は善意で足り、無過失までは条文上要求されない(判例)。
問23詐欺・強迫による意思表示
詐欺又は強迫による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺による意思表示の取消しは、第三者の善意・悪意や過失の有無を問わず、常に対抗することができる。
- イ.強迫による意思表示の取消しも、詐欺と同様に、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 96条3項が第三者保護を定める
民法第96条「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 96条3項が詐欺のみを対象とする
民法第96条「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ詐欺取消しと強迫取消しで第三者への対抗力に差がある(強迫の方が保護が強い)。
解説詐欺・強迫はいずれも96条1項で取消し可能とされるが、第三者保護規定(3項)は詐欺の場合にのみ適用され、強迫の場合には適用されない。表意者の帰責性の違い(詐欺は自ら錯誤に陥った落ち度がある一方、強迫は完全に被害者的立場)が、この差異を正当化する根拠とされる。
補足この構造はしばしば「詐欺の被害者よりも強迫の被害者の方が手厚く保護される」という形で説明される。
問24制限行為能力者(成年被後見人)
成年被後見人Aの法律行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.Aが成年後見人の同意を得たうえで居住用不動産の売買契約を締結した場合であっても、その契約は取り消すことができる。
- イ.Aが日用品を購入する行為についても、成年被後見人がした行為である以上、取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 後見人に同意権なし → 同意しても取消し可能
民法第9条本文「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 日常生活の行為は例外 → 取消し不可
民法第9条ただし書「ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ成年被後見人は、後見人の同意を得てした行為でも取り消せる。
解説成年被後見人の法律行為は、原則として取り消せる(民法9条本文)。間違えやすいのは『成年後見人の同意を得ていれば取り消せないのでは』という点。未成年者や被保佐人と違い、成年後見人には同意権がなく、同意を得てした行為でも取り消せる。判断能力を欠く常況にある本人には、同意どおりに行動できると期待しにくいからである。だからアは正しい。一方、日用品の購入のような日常生活に関する行為は、本人の自立を過度に縛らないよう9条ただし書で取消しの対象から外れている。だからイは誤り。結論はアー正、イー誤。
補足取り消せないのは日用品の購入その他『日常生活に関する行為』に限られる。電気・ガス・水道代の支払などもこれに含まれる。
問25意思表示の錯誤
錯誤による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.現行の民法では、錯誤による意思表示は当然に無効となり、誰でもいつでもその無効を主張することができる。
- イ.錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合は、原則として錯誤による取消しをすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 改正で無効 → 取消しに変更
民法第95条第1項「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。」e-Gov原文
- イ.正しい
- 落ち度が大きい表意者は原則保護されない
民法第95条第3項「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。」e-Gov原文
ひっかけ錯誤は『無効』ではなく『取消し』(改正で変わった)。
解説錯誤は、2020年施行の改正で効果が『無効』から『取消し』に変わった。現行95条1項は、重要な錯誤による意思表示を『取り消すことができる』とする。だから『当然無効で誰でも主張できる』とするアは誤り。取消しは取消権者が主張するものである。次に、表意者自身の重大な過失による錯誤は、原則として取り消せない(95条3項)。落ち度の大きい表意者まで広く救うと相手方が害されるからである。だからイは正しい。ただし相手方が悪意・重過失だったときなどは例外的に取消しが認められる。結論はアー誤、イー正。
補足重過失があっても、相手方が錯誤を知り(悪意)もしくは重過失で知らなかったとき、または相手方も同じ錯誤に陥っていたときは、例外的に取消しができる(95条3項各号)。
問26無権代理と追認
代理権を有しない者がした契約(無権代理)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が本人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなければ、本人に対して効力を生じない。
- イ.本人は、無権代理人がした契約を追認して、その効力を自己に帰属させることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 原則:無権代理は本人に及ばない
民法第113条第1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」e-Gov原文
- イ.正しい
- 本人に有利なら追認して取り込める
民法第113条第1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」e-Gov原文
ひっかけ無権代理は『無効』で固定ではなく、本人の追認しだいで効力が生じる。
解説代理権のない者が本人の名でした契約(無権代理)は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない(民法113条1項)。これはアのとおり。もっとも、無権代理が必ず本人に不利とは限らないので、本人には追認して契約の効力を自分に帰属させる道が与えられている。これがイで、同じ113条1項の裏側の効果である。だから両方とも正しい。なお、追認やその拒絶は相手方に対してしないと相手方に対抗できない点(113条2項)も合わせて押さえておくとよい。結論はアー正、イー正。
補足追認・追認拒絶は相手方に対してしなければ相手方に対抗できない(113条2項本文)。ただし相手方がその事実を知ったときは対抗できる(同項ただし書)。