問1意思表示(心裡留保)
心裡留保に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.表意者が真意ではないことを知ってした意思表示は、原則としてその効力を妨げられない。
- イ.相手方の悪意を理由とする意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 心裡留保は、表意者だけが内心では真意でないと分かっている意思表示。相手方から見ると通常の意思表示と区別できないため、原則として表示どおり有効に扱い、表意者が後から「本気ではなかった」と言って効力を否定することを認めない。
民法第93条「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 相手方が悪意又は有過失なら当事者間では無効になり得るが、その外形を信頼して後から取引関係に入った善意の第三者まで害するのは取引安全に反する。そこで93条2項は、ただし書による無効を善意の第三者には主張できないとする。
民法第93条「前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ心裡留保の無効は「相手方との関係」では生じても「善意の第三者」には対抗できない。
解説心裡留保による意思表示は原則有効だが、相手方が表意者の真意でないことを知り又は知り得た場合は無効となる(93条1項)。もっとも、この無効は善意の第三者には対抗できない(93条2項)。取引の安全を図るため、無効の効果を第三者との関係で制限する構造になっている。
補足この93条2項の構造は、94条2項(虚偽表示の善意の第三者保護)と同様のパターンである。
問2意思表示(虚偽表示)
通謀虚偽表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効である。
- イ.通謀虚偽表示の無効は、善意の第三者に対しても対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 本人と相手方が通じて外形だけの意思表示をした場合、当事者間では保護すべき信頼がないため無効となる。94条1項の基本効果。
民法第94条第1項「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 94条2項は、虚偽表示を信じて取引に入った善意の第三者を保護する規定。当事者間の無効を、善意第三者にまで押し付けることはできない。
民法第94条第2項「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」e-Gov原文
ひっかけ無効だから誰にでも主張できる、としたイが落とし穴。
解説アは民法94条1項そのもので、相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効だから正しい。仮装売買のように当事者双方に本心がないからである。イはその無効を善意の第三者にも対抗できるとするが、94条2項は逆に「善意の第三者に対抗することができない」と定めるので誤り。外観を信じて取引に入った第三者を守る趣旨である。当事者間では無効でも、善意の第三者との関係では有効として扱われる。よってアー正、イー誤。
補足94条2項の第三者は「善意」でありさえすればよく、無過失までは要求されない。詐欺取消しが善意かつ無過失の第三者しか縛らないのと対照的(96条3項)。
問3意思表示(錯誤)
錯誤による意思表示に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.錯誤による意思表示は、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
- イ.錯誤による意思表示は、現行民法のもとでも当然に無効である。
- ウ.錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合、いかなる場合でも取り消すことができる。
- エ.錯誤が重要なものでなくても、表意者はいつでも取り消すことができる。
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正解:ア
- ア.正しい
- 重要な錯誤 → 取消し可
民法第95条第1項「意思表示は、…錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。」e-Gov原文
- ウ.誤り
- 重過失は原則取消し不可
民法第95条第3項「錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、…取消しをすることができない。」e-Gov原文
- エ.誤り
- 重要性が要件
民法第95条第1項「…重要なものであるときは、取り消すことができる。」e-Gov原文
ひっかけ「無効」と書いたイは改正前の知識。今は取消し。
解説錯誤による意思表示は、その錯誤が法律行為の目的と取引通念に照らして重要なものであるとき取り消せる(民法95条1項)。アはこの要件どおりで正しい。イの「当然に無効」は2020年施行の改正前の理解で、現行法は無効から取消しに変わっているため誤り。ウは、表意者に重大な過失があるときは原則として取り消せない(同条3項)ことを無視して「いかなる場合でも取消し可」とするので誤り。エは「重要なもの」という要件を外しており、重要でない錯誤では取り消せないから誤り。正しいのはア。
補足重要性の判断は、その錯誤がなければ意思表示をしなかったといえるか、かつ一般人を基準にしてもそういえるか、という二段で見る。単なる思い違いでは足りない。
問4意思表示(詐欺・強迫)
詐欺又は強迫による意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐欺による意思表示の取消しは、第三者の善意・悪意にかかわらず、常にその第三者に対抗することができる。
- イ.強迫による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対しても対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 96条3項が第三者保護を定める
民法第96条「前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 96条3項が詐欺のみを対象とし強迫を除外する
民法第96条「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ第三者保護規定(96条3項)は詐欺のみに適用され、強迫には適用されない。
解説民法96条は詐欺と強迫を1項でまとめて取消し可能とするが、第三者保護規定(3項)は詐欺の場合にのみ適用され、強迫の場合には適用されない。これは、強迫を受けた表意者の帰責性が詐欺の場合より低く、より強く保護すべきという価値判断による。
補足相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合(第三者詐欺)は、相手方が悪意又は有過失のときに限り取り消せる(96条2項)。
問5代理(無権代理)
無権代理に関する次のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理権を有しない者が本人の代理人としてした契約は、本人が追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
- イ.無権代理行為は、本人が追認をしても、本人に対して効力を生じることはない。
- ウ.無権代理行為は、本人の追認がなくても、当然に本人に効力が帰属する。
- エ.本人の追認は、相手方に対してしなければ、相手方がその事実を知った場合であっても一切対抗することができない。
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正解:ア
- ア.正しい
- 追認なければ効力なし
民法第113条第1項「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 追認すれば本人に帰属
民法第113条第1項「…本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」e-Gov原文
- ウ.誤り
- 追認なしでは帰属しない
民法第113条第1項「…本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」e-Gov原文
- エ.誤り
- 相手が知れば対抗できる
民法第113条第2項ただし書「ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ無権代理は常に効力ゼロ、と決めつけると外す。
解説代理権のない者がした代理行為は、本人が追認しなければ本人に効力を生じない(民法113条1項)。アはこの条文どおりで正しい。裏返せば本人が追認すれば効力は本人に帰属するので、イ(追認しても効力を生じない)とウ(追認がなくても当然に帰属)はどちらも追認の効果を取り違えていて誤り。効力は本人の追認しだいで宙ぶらりんという状態である。エは、追認を相手方にしなくても相手方がその事実を知ったときは対抗できるとする113条2項ただし書に反するので誤り。よってア。
補足本人が追認すると、その効力は契約の時にさかのぼって生じる(116条)。ただし、その間に登場した第三者の権利を害することはできない。
問6意思表示の効力発生時期(到達主義)
意思表示の効力発生時期について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生ずる。
- イ.相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 97条1項が到達主義を定める
民法第97条「意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 97条2項が到達妨害への対応を定める
民法第97条「相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ到達妨害があった場合は「通常到達すべきであった時」に到達したものとみなされる。
解説意思表示の効力発生時期は到達主義(97条1項)が原則だが、相手方が正当な理由なく到達を妨げた場合には、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす公平の規定が置かれている(97条2項)。到達を意図的に妨げることで意思表示の効力発生を阻止する行為を防ぐ趣旨である。
補足表意者が通知発信後に死亡・意思能力喪失・行為能力制限を受けても、意思表示の効力は妨げられない(97条3項)。
問7同時履行の抗弁権
同時履行の抗弁権について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
- イ.相手方の債務が弁済期にないときであっても、同時履行の抗弁権を行使できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 同時履行の抗弁(民法533条本文)
民法533条本文「相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相手方の債務が弁済期にないときは行使できない(533条ただし書)
民法533条ただし書「ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ同時履行の抗弁は、互いの債務が弁済期にあって対等なときの話。自分が先払いの約束なら出てこない。
解説双務契約では当事者が対等で、自分だけ先に履行させられるのは不公平になる。そこで相手がその債務の履行を提供するまで、自分の債務の履行を拒める同時履行の抗弁権が認められる(民法533条本文)。これは履行を一時拒める「抗弁」にとどまり、契約自体を消す効果はない。ただし、相手の債務がまだ弁済期にない、つまり自分が先に履行すべき関係にある場合には使えない(同条ただし書)。よってイの「弁済期前でも行使できる」は誤り。アは533条本文どおりで正しい。
補足533条が拒める「相手の債務の履行」には、履行に代わる損害賠償の債務の履行も含まれる(同条括弧書き)。
問8危険負担
危険負担について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者双方の責めに帰することができない事由で債務を履行できなくなったときであっても、債権者は反対給付の履行を拒むことができない。
- イ.債権者の責めに帰すべき事由で債務を履行できなくなったときも、債権者は反対給付の履行を拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 536条1項が債権者の履行拒絶権を定める
民法第536条「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 536条2項前段が債権者の履行拒絶権を否定する
民法第536条「債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない」e-Gov原文
ひっかけ危険負担は「誰に帰責事由があるか」で反対給付の帰趨が正反対になる。
解説危険負担(536条)は、履行不能の原因が①当事者双方に帰責事由がない場合は債権者が反対給付を拒める(1項、債務者主義的処理)、②債権者に帰責事由がある場合は債権者は反対給付を拒めない(2項前段、自己責任)という、帰責事由の所在によって結論が逆転する構造である。
補足債権者に帰責事由がある場合、債務者は自己の債務を免れたことで得た利益(例:材料費の節約分)を債権者に償還しなければならない(536条2項後段)。
問9債務不履行による損害賠償
債務不履行による損害賠償について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであっても、債権者は損害賠償を請求できる。
- イ.債務者が債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 415条1項ただし書が免責事由を定める
民法第415条「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 415条2項2号が填補賠償の要件を定める
民法第415条「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」e-Gov原文
ひっかけ損害賠償請求には債務者の帰責事由が前提(帰責事由なしは免責)。
解説債務不履行による損害賠償(415条1項)は、債務者に帰責事由がないことを債務者側が立証すれば免責される構造である(1項ただし書)。また、履行不能・履行拒絶の明確な意思表示・契約解除等の場合には、履行に代わる損害賠償(填補賠償)を請求できる(2項各号)。
補足填補賠償は、履行不能(1号)・履行拒絶の意思表示(2号)・契約解除又は解除権発生(3号)の3類型で認められる。
問10契約の解除(催告による解除)
催告による契約の解除について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.催告期間を経過した時の債務の不履行が、契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときであっても、相手方は契約を解除できる。
- イ.催告による契約解除は、相手方が相当の期間を定めて催告することなく、直ちに行うことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 541条ただし書が軽微性による解除制限を定める
民法第541条「その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 541条本文が催告手続を要件とする
民法第541条「相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ催告解除には「催告手続」と「不履行の非軽微性」の両方が必要。
解説催告による契約解除(541条)は、①相当の期間を定めた催告、②その期間内の不履行、という手続的要件(本文)に加え、③不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微でないこと、という実質的要件(ただし書)を満たす必要がある。軽微性の判断は個別の契約内容・取引慣行等を踏まえて行われる。
補足無催告解除(542条)は、履行不能や履行拒絶の明確な意思表示等、催告が無意味な場合に限り認められる別の制度である。
問11解除の効果(原状回復義務)
契約解除の効果について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者の一方が解除権を行使したときは、各当事者はその相手方を原状に復させる義務を負う。
- イ.原状回復として金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 545条1項本文が原状回復義務を定める
民法第545条「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 545条2項が利息付与を定める
民法第545条「前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない」e-Gov原文
ひっかけ金銭の原状回復には「受領の時から」の利息が必要(解除時からではない)。
解説契約解除による原状回復義務(545条1項)は、①金銭を返還する場合は受領の時から利息を付す(2項)、②金銭以外の物を返還する場合は受領時以後に生じた果実も返還する(3項)という具体的な内容を伴う。原状回復は第三者の権利を害することができない点(1項ただし書)も重要な限定である。
補足解除権の行使は損害賠償の請求を妨げない(545条4項、解除と損害賠償の両立)。
問12手付(解約手付)
手付による解除について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.買主が手付を交付したとき、相手方が契約の履行に着手する前であれば、買主は手付を放棄して契約を解除できる。
- イ.相手方が契約の履行に着手した後でも、手付による解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 解約手付(民法557条1項本文)
民法557条1項本文「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相手方が履行に着手した後はできない(557条1項ただし書)
民法557条1項ただし書「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ手付があっても無制限ではない。相手が履行に動き出した後は、もう手付では抜けられない。
解説売買で買主が交付する手付は、特約がなくても解約手付と推定される。相手が契約の履行に着手するまでは、買主は手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約を解除できる(民法557条1項本文)。これに対し、相手がすでに契約の履行に着手した後は、その期待を保護するため手付による解除はできない(同項ただし書)。したがってイの「着手後でも解除できる」は誤り。アは557条1項本文どおりで正しい。
補足手付解除には545条4項が適用されず(557条2項)、手付の放棄・倍返しで清算が完結するため、別途の損害賠償は請求できない。
問13売買の契約不適合責任(追完請求)
売買の契約不適合責任について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであっても、買主は履行の追完を請求できる。
- イ.売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 562条2項が追完請求権の制限を定める
民法第562条「前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 562条1項ただし書が売主の選択権を定める
民法第562条「売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ追完請求権には「売主の方法選択権」と「買主の帰責事由による制限」の2つの制約がある。
解説買主の追完請求権(562条1項)には、①売主が買主に不相当な負担を課さない範囲で異なる方法による追完を選択できる(1項ただし書)、②不適合が買主の帰責事由による場合は追完請求自体ができない(2項)、という2つの制限がある。
補足追完方法には修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しの3類型があり、買主はいずれかを選択して請求できる(562条1項本文)。
問14不法行為による損害賠償
一般の不法行為について、次のアからエまでのうち最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.不法行為が成立するには加害者の故意が必要で、過失だけでは責任を負わない。
- ウ.現実に損害が発生していなくても、権利侵害があれば不法行為が成立する。
- エ.権利侵害がなければ、法律上保護される利益の侵害があっても不法行為は成立しない。
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正解:ア
- ア.正しい
- 民法709条の規定どおり
民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 故意「又は過失」で足りる
民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」e-Gov原文
- ウ.誤り
- 「これによって生じた損害」=損害の発生が要件
民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」e-Gov原文
- エ.誤り
- 「権利又は法律上保護される利益」=利益侵害でも成立
民法709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」e-Gov原文
ひっかけ過失でも成立し、対象は権利に限らず保護に値する利益に及び、しかも現実の損害が要る。709条はこの3点を一度に問える。
解説故意または過失によって他人の権利・法律上保護される利益を侵害し、損害を生じさせた者は、その損害を賠償する責任を負う(民法709条)。要件は、(1)故意または過失、(2)権利・利益の侵害、(3)損害の発生、(4)因果関係の4つ。アはこの条文そのままで正しい。イは「過失だけでは責任を負わない」とするが、条文は「故意又は過失」で足りるから誤り。ウは損害がなくても成立するとするが、「これによって生じた損害」が要件であり誤り。エは権利侵害がなければ成立しないとするが、保護対象は権利に限らず「法律上保護される利益」も含むため誤り。よってア。
補足この賠償請求権は、損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年で時効消滅する(724条)。
問15使用者責任
使用者責任について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
- イ.使用者は、被用者の選任及び事業の監督について相当の注意をしたことを証明しても、使用者責任を免れない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 使用者責任(民法715条1項本文)
民法715条1項本文「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 選任・監督に相当の注意をしたときは免責される(715条1項ただし書)
民法715条1項ただし書「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ使用者責任は無条件ではない。選任と監督に相当の注意を尽くしたと証明できれば、条文上は免れる道がある。
解説被用者が事業の執行について第三者に損害を加えたとき、被害者保護と報償責任(利益を得る者が損失も負う)の趣旨から、使用者も賠償責任を負う(民法715条1項本文)。ただし、使用者が被用者の選任および事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは免責される(同項ただし書)。したがってイの「証明しても免れない」は誤り。アは715条1項本文どおりで正しい。条文上は免責の余地があるが、実務上この免責はそう簡単には認められていない。
補足使用者に代わって現場を監督する者も同じ責任を負い(715条2項)、賠償した使用者は被用者に求償できる(同条3項)。
問16代理行為の効力(顕名)
代理について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
- イ.代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示についての規定は、第三者が代理人に対してした意思表示についても準用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 99条1項が顕名主義を定める
民法第99条「代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 99条2項が受働代理への準用を定める
民法第99条「前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する」e-Gov原文
ひっかけ代理の効果帰属規定は「能働代理」だけでなく「受働代理」にも準用される。
解説代理には、代理人が本人のために第三者に意思表示をする「能働代理」(99条1項)と、第三者が代理人に対して意思表示をする「受働代理」(99条2項)の両方があり、いずれも顕名(本人のためにすることを示す)を要件として本人に直接効力が帰属する。
補足顕名がない場合は、代理人が自己のためにしたものとみなされる(100条本文、ただし相手方が悪意・有過失なら99条を準用)。
問17代理人の行為能力
代理人の行為能力について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
- イ.制限行為能力者は代理人になることができず、その代理行為はすべて取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 代理人に行為能力は不要(民法102条本文)
民法102条本文「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 制限行為能力者も代理人になれ、行為能力の制限では取り消せない(102条)
民法102条本文「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。」e-Gov原文
ひっかけ制限行為能力者も代理人になれ、その行為は行為能力の制限を理由には取り消せない。
解説制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない(民法102条本文)。代理行為の効果は本人に帰属し、代理人自身が不利益を負うわけではないから、代理人に行為能力は要らない。能力に不安のある者をあえて代理人に選んだ以上、そのリスクは本人が負うべきという趣旨である。アはこの本文どおりで正しい。イは「代理人になれず、その代理行為はすべて取り消せる」とするが本文に反し、誤り。なお、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為は例外として取り消せる(同条ただし書)。
補足ただし書が外すのは法定代理の場面。本人が代理人を選んだわけではない法定代理では、行為能力の制限を理由に取り消せる。
問18自己契約・双方代理
自己契約・双方代理について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一の法律行為について当事者双方の代理人としてした行為は、常に有効な代理行為として本人に効果が帰属する。
- イ.債務の履行や本人があらかじめ許諾した行為であっても、双方代理は無権代理とみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 双方代理では、同じ代理人が取引の両側に立つため、どちらの利益を優先するのかが衝突しやすい。そこで民法108条1項本文は、本人保護のため、原則として代理権を有しない者がした行為、つまり無権代理行為とみなす。
民法第108条「同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 利益相反のおそれが小さい債務の履行や、本人があらかじめ許諾してリスクを受け入れている行為まで無権代理扱いにする必要はない。108条1項ただし書は、このような場面を例外として無権代理とみなさない。
民法第108条「ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ自己契約・双方代理の無効は「原則」であり、債務の履行等の場合は「例外」として有効。
解説自己契約・双方代理は、本人の利益が害されるおそれがあるため原則として無権代理行為とみなされる(108条1項本文)が、①債務の履行、②本人があらかじめ許諾した行為、については本人の利益が害されるおそれが小さいため例外的に有効な代理行為として扱われる(同項ただし書)。さらに、代理人と本人の利益相反行為についても同様の規律が及ぶ(108条2項)。
補足108条2項は、自己契約・双方代理に該当しない場合でも、代理人と本人の利益が相反する行為には同様の規律が及ぶことを定める(本人の事前許諾があれば例外)。
問19表見代理
表見代理について、次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代理人が権限外の行為をした場合、第三者が代理人の権限の有無を調査すべき義務はなく、常に表見代理が成立する。
- イ.代理権の消滅後にその代理権の範囲内で第三者との間でした行為については、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対して責任を負うが、第三者が過失によってその事実を知らなかったときはこの限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 110条が正当理由の要件を定める
民法第110条「代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 112条1項が善意無過失の要件を定める
民法第112条「他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ表見代理はいずれの類型でも「第三者の信頼に落ち度がないこと」が要件となる。
解説表見代理は、①権限外の行為の表見代理(110条:第三者の正当な理由)、②代理権消滅後の表見代理(112条:第三者の善意無過失)等、類型ごとに第三者保護の要件が定められている。いずれも本人の帰責性と第三者の信頼保護のバランスを図る制度であり、第三者側の落ち度(悪意・過失)があれば保護されない点で共通する。
補足112条2項は、代理権消滅後にその範囲外の行為をした場合の複合的な表見代理(110条の準用)についても定める。
問20契約の成立
契約の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.契約は、申込みの意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
- イ.契約は、必ず契約書を作成しなければ成立しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文どおり
民法第522条第1項「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
民法第522条第1項「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示」e-Gov原文
ひっかけ契約は契約書がないと成立しない、と考えるとイを正しいと誤る。契約は申込みと承諾の合致で成立し、書面は原則不要。
解説契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(申込み)に対して、相手方が承諾をしたときに成立する(民法522条1項)。アはこのとおりで正しい。イは必ず契約書を作成しなければ成立しないとするが、契約は原則として申込みと承諾の合致という当事者の意思表示だけで成立し(諾成主義)、契約書の作成は成立要件ではないため誤り。保証契約など一部の契約が書面を要するのは例外である。日常の売買が口頭でも成立するのはこのためである。
補足申込みと承諾が合致すれば、口頭でも契約は成立する。ただし、保証契約のように、法令が書面(電磁的記録を含む)を要求する契約もあり、その場合は書面がなければ効力を生じない。
問21契約不適合責任(追完請求権)
売買の目的物が契約の内容に適合しない場合の買主の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は売主に対し、修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
- イ.売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 562条1項本文:買主の追完請求権
民法第562条第1項本文「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。」e-Gov原文
- イ.正しい
- 562条1項ただし書:売主の選択余地
民法第562条第1項ただし書「ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。」e-Gov原文
ひっかけ追完の方法は、買主が指定しても売主が別方法に変えられる場合がある。
解説引き渡された物が種類・品質・数量で契約内容に適合しないとき、買主は修補・代替物・不足分の引渡しによる追完を請求できる(562条1項本文)。だからアは正しい。もっとも、売主側にも一定の選択余地があり、買主に不相当な負担を課さなければ、買主の指定と異なる方法で追完できる(同項ただし書)。だからイも正しい。結論はアー正、イー正。
補足不適合が買主の責めに帰すべき事由によるときは、買主は追完を請求できない(562条2項)。
問22同時履行の抗弁
双務契約における同時履行の抗弁に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.双務契約の当事者の一方は、相手方が履行を提供する前であっても、自己の債務を先に履行しなければならない。
- イ.相手方の債務がまだ弁済期にない場合でも、同時履行の抗弁を主張して自己の履行を拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 533条本文:同時履行の抗弁
民法第533条本文「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行…を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 533条ただし書:先履行義務の場面
民法第533条ただし書「ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ同時履行の抗弁は『公平に同時に』。先履行を強いる原則ではない。
解説双務契約では、当事者の公平を図るため、相手方が履行を提供するまで自分の履行を拒める(民法533条本文・同時履行の抗弁)。だから『先に履行しなければならない』とするアは誤り。ただし、相手方の債務がまだ弁済期にないとき(自分が先に履行すべき約束のとき)は、この抗弁は使えない(同条ただし書)。だから『弁済期前でも抗弁できる』とするイも誤り。結論はアー誤、イー誤。
補足同時履行の関係に立つと、履行を拒んでも履行遅滞の責任を負わない(抗弁の存在効果)。
問23債務不履行による契約解除(催告解除)
債務不履行を理由とする契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者の一方が債務を履行しない場合、相手方は催告をしなくても直ちに契約を解除することができる。
- イ.催告期間を経過した時の債務の不履行が、契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約を解除することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 541条本文:相当の期間を定めた催告が必要
民法第541条本文「当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。」e-Gov原文
- イ.正しい
- 541条ただし書:軽微な不履行の除外
民法第541条ただし書「ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ催告解除には『相当の期間を定めた催告』が原則として要る。
解説債務不履行を理由に契約を解除するには、原則として相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がないことが必要である(民法541条本文・催告解除)。だから『催告なしで直ちに解除できる』とするアは誤り。さらに、催告期間経過時の不履行が契約や取引通念に照らして軽微なときは解除できない(同条ただし書)。だからイは正しい。結論はアー誤、イー正。
補足履行不能や明確な履行拒絶など一定の場合は、催告をせずに解除できる(無催告解除・542条)。
問24売買契約と手付
売買契約における手付(解約手付)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.売主が手付による解除をするには、買主から受け取った手付と同額を買主に提供すれば足りる。
- イ.買主が既に履行に着手していても、売主がまだ履行に着手していなければ、買主は手付による解除をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 同額では足りない(倍額が必要)
民法第557条第1項「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。」e-Gov原文
- イ.誤り
- 解除を封じるのは『相手方』の着手
民法第557条第1項ただし書「ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」e-Gov原文
ひっかけ手付解除を封じるのは『相手方』の着手であって、自分の着手ではない。
解説解約手付では、買主は手付を放棄して、売主は手付の倍額を現実に提供して契約を解除できる(民法557条1項)。だからアの『同額で足りる』は誤り。倍額が必要である。次に、解除ができなくなるのは『相手方』が履行に着手した後である(同項ただし書)。判例法理として、自分が履行に着手していても相手方が未着手なら解除は妨げられない。だからイの『自分が着手していれば解除できない』も誤り。封じるのは相手方の着手である。結論はアー誤、イー誤。
補足『現実に提供』が必要なので、口頭で『倍額返す』と伝えるだけでは足りない。実際に提供する点が問われやすい。