問1解雇権濫用法理
労働契約法に基づく解雇に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、権利を濫用したものとして無効となる。
- イ.労働契約法上、解雇は使用者が自由に行うことができ、その効力が否定されることはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
解雇は『客観的合理的理由+社会通念上の相当性』がなければ無効です。
労働契約法16条は、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とすると定める(解雇権濫用法理)。判例法理を明文化したもので、使用者は労働者を自由に解雇できるわけではなく、(1)解雇に客観的に合理的な理由があり、(2)その解雇が社会通念上相当だと認められて初めて有効となる。能力不足や規律違反を理由とする解雇でも、程度や手続次第で無効と判断されることがある。本問のアは16条どおりで正しく、イは『自由に解雇でき効力も否定されない』とする点で誤り。なお、解雇が有効か否か(労働契約法16条)と、解雇の際の手続(労働基準法20条の解雇予告)は別の問題で、両方を満たす必要がある点も押さえる。
問2賃金支払の原則
賃金の支払に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
- イ.賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
賃金支払の5原則(通貨・直接・全額・毎月1回以上・一定期日)を押さえます。
労働基準法24条は、賃金の支払について労働者保護のための原則を定める。第1に通貨払(現物給与の禁止)、第2に直接払(本人以外への支払の禁止。代理人へのピンハネ防止)、第3に全額払(一部控除の禁止)であり(1項)、第4に毎月1回以上払、第5に一定期日払である(2項)。あわせて『賃金支払の5原則』と呼ばれる。例外として、通貨以外(口座振込等)や一部控除(社会保険料の天引き等)は、法令や労使協定がある場合に認められ、賞与など臨時の賃金は毎月払・一定期日払の対象外である。本問はアもイも条文どおりで正しい。生活の原資である賃金を確実に労働者本人へ届けるための基本ルールとして押さえる。
問3法定労働時間
法定労働時間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者は、労働者に、休憩時間を除き、1日について10時間を超えて労働させてはならない。
- イ.使用者は、労働者に、休憩時間を除き、1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
法定労働時間は『1日8時間・1週40時間』。数字を正確に。
労働基準法32条は法定労働時間を定め、使用者は休憩時間を除き、1週間について40時間(1項)、1日について8時間(2項)を超えて労働させてはならないとする。これが労働時間規制の基準で、これを超えて働かせる(時間外労働をさせる)には、労使協定(いわゆる三六(さぶろく)協定)を締結して労働基準監督署に届け出る必要があり、かつ割増賃金の支払が必要になる。本問のアは『1日10時間まで』とするが上限は8時間なので誤り、イは『1週40時間』で正しい。『1日8時間・1週40時間』という数字をセットで正確に覚えることが、労働時間問題を確実に得点する条件である。
問4年次有給休暇
年次有給休暇に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者は、雇入れの日から起算して3箇月間継続勤務した労働者に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならない。
- イ.使用者は、労働者が請求する時季に有給休暇を与えなければならず、いかなる場合も他の時季に変更することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
有給の付与は『6箇月+8割出勤で10日』。使用者には時季変更権があります。
年次有給休暇は、使用者が、雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10労働日を与えなければならない制度である(労働基準法39条1項)。その後は継続勤務年数に応じて付与日数が増える。有給休暇は労働者が請求する時季に与えるのが原則だが(5項本文)、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、使用者は他の時季に変更して与えることができる(同項ただし書。時季変更権)。本問のアは付与要件を『3箇月』とするが正しくは6箇月なので誤り、イは『時季変更は一切できない』とするが時季変更権があるので誤り。よって両方誤りで『アー誤、イー誤』。『6箇月・8割出勤で10日/使用者に時季変更権』を押さえる。
問5就業規則の作成義務
就業規則に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
- イ.就業規則の作成及び届出の義務は、常時5人以上の労働者を使用する使用者に課されている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
就業規則の作成義務が生じるのは『常時10人以上』の事業場です。
就業規則は、職場の労働条件や規律を定める使用者作成のルールである。労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出る義務を課している。記載事項には、始業及び終業の時刻・休憩・休日・休暇、賃金の決定や支払の方法、退職(解雇の事由を含む)に関する事項などがある。作成・変更の際には、労働者の過半数代表等の意見を聴く必要もある。本問のアは『常時10人以上』で正しく、イは『5人以上』とするため誤り。人数基準(常時10人以上)を正確に覚えることがポイント。なお10人未満の事業場では作成義務はないが、任意に作成することは可能である。
問6解雇の予告
解雇の予告に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者は、労働者を解雇しようとする場合、予告も予告手当も要せず、いつでも即時に解雇することができる。
- イ.使用者が30日前に解雇の予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
解雇には『30日前の予告』か『30日分以上の予告手当』が必要です。
労働基準法20条は解雇の手続を定める。使用者が労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日前にその予告をしなければならず、30日前に予告をしないときは、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない(20条1項)。予告と手当は組み合わせも可能で、例えば10日前に予告すれば、不足する20日分以上の平均賃金を支払えばよい。なお、天災事変その他やむを得ない事由で事業継続が不可能となった場合や、労働者の責に帰すべき事由による解雇では、この予告が不要となる例外がある。本問のアは『予告も手当も要せず即時解雇できる』とするが20条に反し誤り、イは予告手当のとおりで正しい。注意したいのは、20条はあくまで解雇の『手続』のルールであり、解雇そのものが有効か(労働契約法16条の解雇権濫用)とは別問題である点。
問7男女同一賃金と労働条件の明示
労働条件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
- イ.使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
労基法は性別による賃金差別を禁じ、契約時の労働条件明示を義務づけます。
労働基準法は労働者保護のための基本ルールを定める。まず男女同一賃金の原則として、使用者は、労働者が女性であることを理由に、賃金について男性と差別的取扱いをしてはならない(4条。賃金以外の差別は男女雇用機会均等法が規律する)。次に労働条件の明示義務として、使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならず、賃金・労働時間など重要な事項は書面の交付等の方法で明示する必要がある(15条1項)。明示された労働条件が事実と異なる場合、労働者は即時に労働契約を解除できる(同条2項)。本問はアもイも条文どおりで正しい。『性別による賃金差別の禁止/契約時の労働条件明示』を押さえる。
問8休憩
休憩時間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を与えなければならない。
- イ.休憩時間は、必ずしも労働時間の途中に与える必要はなく、勤務の終了後にまとめて与えてもよい。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
休憩は『労働時間の途中』に与える必要があります。
労働基準法34条は休憩について定める。使用者は、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を、労働時間の途中に与えなければならない(1項)。途中に与えることが求められるのは、休憩が労働による疲労を回復させるためのものだからで、勤務の終了後にまとめて与えることは認められない。さらに休憩は原則として一斉に与え(2項。労使協定があれば例外)、自由に利用させなければならない(3項)。本問のアは休憩時間の長さどおりで正しく、イは『終了後にまとめてよい』とするが途中付与が必要なので誤り。『6時間超45分・8時間超1時間/労働時間の途中に付与』を押さえる。
問9休日
休日に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者は、労働者に対して、毎月少なくとも1回の休日を与えなければならない。
- イ.4週間を通じて4日以上の休日を与える使用者については、毎週1回の休日を与える原則の規定は適用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
休日は『毎週少なくとも1回』が原則です(毎月ではありません)。
労働基準法35条は休日(法定休日)について定める。原則として、使用者は労働者に対し、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない(1項)。これを毎週休日制という。ただし例外として、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については、毎週1回の原則の規定は適用されない(2項。変形休日制)。週によって休日が偏ってもよいが、4週間で4日以上は確保する必要がある。本問のアは『毎月少なくとも1回』とするが、正しくは毎週少なくとも1回なので誤り。イは変形休日制どおりで正しい。『休日は毎週1回が原則/4週4日の変形も可』を押さえる。なお国民の祝日に休ませることは法律上の義務ではない点も整理しておくとよい。
問10割増賃金と減給の制裁
割増賃金及び減給の制裁に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者が労働時間を延長して時間外労働をさせた場合でも、通常の賃金を支払えば足り、割増賃金を支払う必要はない。
- イ.就業規則で労働者に減給の制裁を定める場合でも、1回の減給額や総額について法律上の制限はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 91条で減給は1回半額・総額10分の1の制限あり → 記述は誤り(根拠:労働基準法第91条)
時間外労働には割増賃金が必要。減給の制裁にも法律上の上限があります。
労働基準法は賃金面でも労働者を保護する。使用者が労働時間を延長して時間外労働をさせ、又は休日に労働させた場合には、通常の賃金に2割5分以上5割以下の範囲で政令が定める率以上を上乗せした割増賃金を支払わなければならない(37条1項。深夜労働にも2割5分以上の割増しが必要)。また、就業規則で労働者に減給の制裁を定める場合でも、その額は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、かつ総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない(91条)。生活の原資である賃金を過度に奪わせない趣旨である。本問のアは『割増賃金は不要』とするが37条に反し誤り、イは『減給に制限はない』とするが91条に反し誤り。よって両方誤りで『アー誤、イー誤』。『時間外は割増賃金/減給の制裁には上限』を押さえる。