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民法・第8

ビジネスに関連する家族法の問題(10問)

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この章で扱う論点10論点

配偶者の相続権と法定相続分相続の承認・放棄自筆証書遺言と遺言能力遺留分婚姻の成立夫婦間における財産の帰属相続の一般的効力子の相続権と代襲相続相続人の順位重婚の禁止と親権

各選択肢に根拠条文(e-Gov法令データ照合済み)と、正誤の理由・覚え方のコツをつけています。

問題と解説を読む10

通読・復習用に、この章の全問題と解説を掲載しています。1問ずつ解きながら進めたい場合は「この章を解く」からどうぞ。

1配偶者の相続権と法定相続分

相続人と法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
  • 子及び配偶者が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、子の相続分は3分の1である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
890条どおり配偶者は常に相続人 → 正しい(根拠:民法第890条
誤り
900条1号は各2分の1 → 2/3・1/3は誤り(根拠:民法第900条第1号

配偶者は常に相続人。子と並ぶときの相続分は『各2分の1』です。

相続では、被相続人の配偶者は常に相続人となり(民法890条)、子・直系尊属・兄弟姉妹といった血族相続人と同順位で並ぶ。血族相続人の順位は、第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹で、先順位がいれば後順位は相続人にならない。配偶者と並ぶときの法定相続分は組み合わせで変わる(900条)。子と配偶者なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1である。本問のアは890条どおりで正しい。イは『配偶者2/3・子1/3』とするが、子と配偶者のときは各2分の1なので誤り。『配偶者は常に相続人/相手が誰かで配偶者の取り分が1/2→2/3→3/4と上がる』とセットで覚えるのがコツ。

2相続の承認・放棄

相続の承認及び放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
  • 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
915条1項の熟慮期間どおり → 正しい(根拠:民法第915条第1項
正しい
939条どおり放棄は遡及的に相続人資格を失わせる → 正しい(根拠:民法第939条

相続放棄の期限は『知った時から3箇月』、効果は『初めから相続人でない』です。

相続が始まると、相続人はプラスの財産だけでなく借金などの負債も承継し得る。そこで民法は、相続人に3つの選択肢を与える。すべてを無限に承継する単純承認(920条)、相続財産の限度でのみ負債を負う限定承認、そして一切承継しない相続放棄である。この選択は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月の熟慮期間内にしなければならない(915条1項。家庭裁判所で伸長可)。相続放棄をすると、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされ(939条)、負債を負わず、その者を飛ばした代襲相続も生じない。本問はアもイも条文どおりで正しい。被相続人に借金が多いときは、3箇月以内に家庭裁判所で相続放棄、という実務の基本がここにある。

3自筆証書遺言と遺言能力

遺言に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自筆証書遺言は、本文をパソコンで作成して印字し、末尾に署名押印すれば、全文を自書しなくても有効に成立する。
  • 15歳に達した者は、遺言をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
968条1項は全文の自書を要求 → 印字本文は無効(根拠:民法第968条第1項
正しい
961条どおり遺言能力は15歳から → 正しい(根拠:民法第961条

自筆証書遺言は『全文・日付・氏名の自書+押印』が必須です。

遺言は厳格な方式が要求される。代表的な自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければ成立しない(民法968条1項)。本文をパソコンで印字したものは、たとえ署名押印があっても無効である(2019年施行の改正で、添付する財産目録についてだけは自書不要となったが、本文の自書要件は変わらない)。一方、遺言ができる年齢(遺言能力)は15歳からとされ(961条)、未成年者でも法定代理人の同意なく単独で有効な遺言ができる。これは契約などの財産行為について行為能力が制限される未成年者でも、最終意思である遺言は本人の意思を尊重すべきという趣旨である。本問のアは全文自書の要件に反するので誤り、イは961条どおりで正しい。『自筆証書=全文自書+押印』『遺言は15歳から』を押さえる。

4遺留分

遺留分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の兄弟姉妹は、相続人となる場合であっても、遺留分を有しない。
  • 直系尊属のみが相続人である場合の遺留分の割合は、遺留分を算定するための財産の価額の2分の1である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
1042条1項は『兄弟姉妹以外の相続人』に遺留分を認める → 正しい(根拠:民法第1042条第1項
誤り
1042条1項1号は3分の1 → 2分の1は誤り(根拠:民法第1042条第1項第1号

遺留分は『兄弟姉妹にはなし』、直系尊属だけなら『3分の1』です。

遺留分は、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子・直系尊属)に保障される、相続財産の最低限の取り分である。被相続人が遺言で全財産を第三者に与えても、遺留分権利者は遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できる。重要なのは、兄弟姉妹には遺留分が認められないこと(民法1042条1項が『兄弟姉妹以外の相続人』と定める)。割合は、直系尊属のみが相続人である場合は遺留分算定の基礎財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1である(同項各号)。実際に各人が得る遺留分は、この総体的な割合に各自の法定相続分を掛けて求める。本問のアは兄弟姉妹に遺留分がない点で正しい。イは直系尊属のみのときの割合を『2分の1』とするが正しくは3分の1なので誤り。『兄弟姉妹は遺留分なし/直系尊属のみは1/3・それ以外は1/2』を押さえる。

5婚姻の成立(届出)

婚姻の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 婚姻は、当事者間に婚姻の意思があり共同生活を始めていれば、届出をしなくても法律上の婚姻としての効力を生ずる。
  • 婚姻の届出は、当事者双方が署名すれば足り、証人は必要とされていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
739条1項は届出で効力 → 届出なしでは婚姻は成立しない(根拠:民法第739条第1項
誤り
739条2項は成年の証人2人以上を要求 → 記述は誤り(根拠:民法第739条第2項

婚姻は『届出』で成立します。一緒に暮らすだけでは法律婚ではありません。

日本の民法は届出婚主義をとり、婚姻は戸籍法の定めにより届け出ることによって効力を生ずる(民法739条1項)。当事者に婚姻の意思があって共同生活を送っていても、届出がなければ法律上の婚姻は成立しない(実態のある共同生活は『事実婚(内縁)』として一定の保護を受けるが、法律婚とは区別される)。さらに婚姻の届出は、当事者双方及び成年の証人2人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭でしなければならない(同条2項)。本問のアは『届出なしでも効力を生ずる』とする点で739条1項に反し誤り、イは『証人は不要』とする点で同条2項に反し誤り。よって両方誤りで『アー誤、イー誤』。『婚姻=届出で成立/証人2人以上』を押さえる。

6夫婦間における財産の帰属

夫婦間の財産関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 夫婦の一方が婚姻中に自己の名で得た財産であっても、婚姻している以上、当然に夫婦の共有財産となる。
  • 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
762条1項は自己名義取得を特有財産とする(夫婦別産制) → 共有ではない(根拠:民法第762条第1項
正しい
762条2項どおり帰属不明財産は共有推定 → 正しい(根拠:民法第762条第2項

夫婦の財産は『別産制』が原則。自己名義で得た財産はその人のものです。

民法は夫婦の財産について別産制を原則とする。夫婦の一方が婚姻前から有していた財産や、婚姻中に自己の名で得た財産(自分の収入で買ったものなど)は、その人が単独で有する特有財産である(762条1項)。結婚しても財産が自動的に一つにまとまるわけではない。もっとも、夫婦が共同生活を送る中で、どちらの所有か判然としない財産も生じる。そうした夫婦のいずれに属するか明らかでない財産については、共有に属するものと推定される(同条2項。あくまで推定なので、一方のものだと証明できれば覆る)。本問のアは『自己名義で得た財産も当然に共有』とするが別産制の原則に反し誤り、イは帰属不明財産の共有推定どおりで正しい。『原則は別産制/不明なものだけ共有推定』を押さえる。なお離婚時の財産分与は、この別産制とは別に、夫婦が協力して築いた財産を清算する制度である。

7相続の一般的効力

相続の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
  • 被相続人の一身に専属したものも含めて、被相続人の権利義務はすべて相続人に承継される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
896条本文どおり包括承継 → 正しい(根拠:民法第896条
誤り
896条ただし書で一身専属は承継しない → 記述は誤り(根拠:民法第896条ただし書

相続は権利も義務も一括承継。ただし一身専属のものは除かれます。

相続が開始すると、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(民法896条本文)。これを包括承継といい、土地・預金などのプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産(債務)も当然に承継する点が重要である(だからこそ相続放棄の制度がある)。ただし、被相続人の一身に専属したもの(その人だけに認められた権利義務。例えば年金受給権や扶養を受ける権利、画家が絵を描く債務など)は、この限りでなく承継されない(同条ただし書)。本問のアは包括承継どおりで正しい。イは『一身専属のものも含めすべて承継』とするが、一身専属は除かれるので誤り。『権利も義務も包括承継/一身専属は除外』を押さえる。

8子の相続権と代襲相続

子の相続権及び代襲相続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の子は、相続人となる。
  • 被相続人の子が相続の開始以前に死亡していたときは、その者の子(被相続人の孫)が、これを代襲して相続人となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
887条1項どおり → 正しい(根拠:民法第887条第1項
正しい
887条2項の代襲相続どおり → 正しい(根拠:民法第887条第2項

子が先に亡くなっていれば、その子(孫)が代わりに相続します(代襲相続)。

被相続人の子は相続人となり(民法887条1項)、配偶者と並ぶ第1順位の血族相続人である。子が、相続の開始以前に死亡していたとき、または相続欠格・廃除によって相続権を失ったときは、その者の子、すなわち被相続人の孫が、これを代襲して相続人となる(同条2項。代襲相続)。亡くなった子が受けるはずだった相続分を、その子(孫)が引き継ぐ仕組みで、世代を超えて公平を図る趣旨である。さらに孫も死亡等していれば、ひ孫が再代襲する(同条3項)。なお相続放棄をした場合は代襲相続が生じない点に注意(放棄は『初めから相続人でなかった』ことになるため)。本問はアもイも条文どおりで正しい。『子は第1順位/子が先に死亡なら孫が代襲』を押さえる。

9相続人の順位

相続人の順位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人に子がいる場合であっても、被相続人の兄弟姉妹は、子と同順位で相続人となる。
  • 被相続人に子がなく、直系尊属と兄弟姉妹がいる場合には、直系尊属が兄弟姉妹に先立って相続人となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
889条で兄弟姉妹は子がない場合に相続 → 同順位ではない(根拠:民法第889条第1項
正しい
889条1項で直系尊属が第1順位(兄弟姉妹より先)→ 正しい(根拠:民法第889条第1項第1号

血族相続人は『子→直系尊属→兄弟姉妹』の順。先順位がいれば後順位は相続しません。

血族相続人には順位がある。第1順位は子(及びその代襲者)で、子がいる限り、直系尊属や兄弟姉妹は相続人にならない。子(887条により相続人となるべき者)がいない場合に、はじめて次の順位の者が相続人となり、その順序は、第1号が被相続人の直系尊属(親など。親等の近い者が先)、第2号が兄弟姉妹である(民法889条1項)。したがって、子がなく直系尊属と兄弟姉妹がいるときは、直系尊属が兄弟姉妹に先立って相続人となる。なお配偶者は順位とは別に常に相続人となり、これら血族相続人と同順位で並ぶ。本問のアは兄弟姉妹を子と同順位とするが誤り、イは直系尊属が兄弟姉妹に先立つ点で正しい。『子→直系尊属→兄弟姉妹/配偶者は常に』を押さえる。

10重婚の禁止と親権

婚姻及び親権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 配偶者のある者であっても、相手方の同意があれば、重ねて婚姻をすることができる。
  • 親権は、親自身の利益のために行使することができる権利であり、子の利益のために行使すべきものとはされていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
732条で重婚は禁止 → 同意があってもできない(根拠:民法第732条
誤り
818条1項で親権は子の利益のために行使 → 記述は誤り(根拠:民法第818条第1項

重婚は同意があっても禁止。親権は『子の利益』のための制度です。

婚姻には成立の障害となる要件(婚姻障害)がいくつかあり、その一つが重婚の禁止である。配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない(民法732条)。相手方の同意があっても重婚はできず、誤って重婚の届出が受理されても取消しの対象となる。次に親権について、親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならないとされる(818条1項)。親権は親の支配権ではなく、子を監護・教育し(820条)、その健全な成長を図るための権利義務である。本問のアは『同意があれば重婚できる』とするが732条に反し誤り、イは『親権は親自身の利益のための権利』とするが818条1項に反し誤り。よって両方誤りで『アー誤、イー誤』。『重婚は禁止/親権は子の利益のため』を押さえる。