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民法・第8

ビジネスに関連する家族法の問題(22問)

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この章の概要

ビジネスに関係する家族法・相続法の章です。法定相続分と相続人の順位・代襲相続、相続の承認・放棄、遺言(自筆証書遺言・遺言能力)、遺留分、婚姻の成立や夫婦の財産関係を収録しています。相続では「誰が・どの割合で」相続するかと、放棄・遺留分などの期間・要件が論点になり、図に描いて関係を整理すると正答に近づきます。

この章で確認する論点

8章では、相続欠格・配偶者の相続権と法定相続分・相続の承認・放棄・自筆証書遺言と遺言能力・遺留分を中心に22問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

民法を他資格と横断して確認する場合は、民法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 子と並ぶ配偶者の取り分は2分の1。配偶者が3分の2になるのは、相手が直系尊属のときです。
  • 起算点は『死亡時』ではなく『自己のために相続の開始があったことを知った時』から3箇月です。
  • 署名押印があっても、本文が印字なら自筆証書遺言は無効。全文の自書が要ります。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法731条732条739条752条762条763条768条779条784条818条887条889条890条891条896条900条915条939条961条968条1022条1023条1028条1042条

問題と解説を読む22問・答え付き

答え・解説つきで22問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2025年12月〜2026年6月時点の法令に準拠
1配偶者の相続権と法定相続分

相続人と法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
  • 子及び配偶者が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、子の相続分は3分の1である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
890条どおり配偶者は常に相続人 → 正しい

民法第890条被相続人の配偶者は、常に相続人となる。e-Gov原文

誤り
900条1号は各2分の1 → 2/3・1/3は誤り

民法第900条第1号子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。e-Gov原文

ひっかけ子と並ぶ配偶者の取り分は2分の1。配偶者が3分の2になるのは、相手が直系尊属のときです。

解説被相続人の配偶者は常に相続人となり(民法890条)、子・直系尊属・兄弟姉妹といった血族相続人と同順位で並ぶ。血族相続人の順位は、第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹で、先順位がいれば後順位は相続人にならない。配偶者と並ぶときの法定相続分は組み合わせで動く(900条)。子と配偶者なら各2分の1、配偶者と直系尊属なら配偶者3分の2・直系尊属3分の1、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1である。アは890条どおりで正しい。イは『配偶者2/3・子1/3』とするが、子と配偶者のときは各2分の1なので誤り。相手が直系尊属に変われば、はじめて配偶者の取り分が2分の1から3分の2へ上がる。

補足配偶者がいない(既に死亡など)ときは血族相続人だけで分け、子が複数なら各自の相続分は原則として均等になる(900条4号本文)。

2相続の承認・放棄

相続の承認及び放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。
  • 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
915条1項の熟慮期間どおり → 正しい

民法第915条第1項自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。e-Gov原文

正しい
939条どおり放棄は遡及的に相続人資格を失わせる → 正しい

民法第939条相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。e-Gov原文

ひっかけ起算点は『死亡時』ではなく『自己のために相続の開始があったことを知った時』から3箇月です。

解説相続が始まると、相続人はプラスの財産だけでなく借金などの負債も承継し得る。そこで民法は3つの選択肢を用意する。すべてを無限に承継する単純承認(920条)、相続財産の限度でのみ負債を負う限定承認、一切承継しない相続放棄である。この選択は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月の熟慮期間内にしなければならない(915条1項)。アはこの熟慮期間の定めどおりで正しい。相続放棄をすると、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされ(939条)、負債を負わず、その者を飛ばした代襲相続も生じない。イは939条どおりで正しい。借金が多いなら3箇月以内に家庭裁判所で相続放棄、という実務の基本がここにある。

補足3箇月の熟慮期間は、利害関係人や検察官の請求により家庭裁判所が伸長できる(915条1項ただし書)。

3自筆証書遺言と遺言能力

遺言に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自筆証書遺言は、本文をパソコンで作成して印字し、末尾に署名押印すれば、全文を自書しなくても有効に成立する。
  • 15歳に達した者は、遺言をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
968条1項は全文の自書を要求 → 印字本文は無効

民法第968条第1項遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。e-Gov原文

正しい
961条どおり遺言能力は15歳から → 正しい

民法第961条十五歳に達した者は、遺言をすることができる。e-Gov原文

ひっかけ署名押印があっても、本文が印字なら自筆証書遺言は無効。全文の自書が要ります。

解説自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければ成立しない(民法968条1項)。本文をパソコンで印字したものは、署名押印があっても無効である(2019年施行の改正で、添付する財産目録についてだけは自書不要となったが、本文の自書要件は変わらない)。アはこの方式に反するので誤り。一方、遺言ができる年齢(遺言能力)は15歳とされ(961条)、未成年者でも法定代理人の同意なく単独で有効な遺言ができる。契約などの財産行為について行為能力が制限される未成年者でも、最終意思である遺言は本人の意思を尊重すべきという趣旨である。イは961条どおりで正しい。

補足印字が許される財産目録でも、その各ページに遺言者の署名押印が必要になる(968条2項)。

4遺留分

遺留分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の兄弟姉妹は、相続人となる場合であっても、遺留分を有しない。
  • 直系尊属のみが相続人である場合の遺留分の割合は、遺留分を算定するための財産の価額の2分の1である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
1042条1項は『兄弟姉妹以外の相続人』に遺留分を認める → 正しい

民法第1042条第1項兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分としてe-Gov原文

誤り
1042条1項1号は3分の1 → 2分の1は誤り

民法第1042条第1項第1号直系尊属のみが相続人である場合三分の一e-Gov原文

ひっかけ相続人なら誰でも遺留分、ではありません。兄弟姉妹は最初から外れています。

解説遺留分は、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人(配偶者・子・直系尊属)に保障される、相続財産の最低限の取り分である。被相続人が遺言で全財産を第三者に与えても、遺留分権利者は遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求できる。要点は、兄弟姉妹には遺留分が認められないこと(1042条1項が『兄弟姉妹以外の相続人』と定める)。アはこの点で正しい。割合は、直系尊属のみが相続人である場合は遺留分算定の基礎財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1である(同項各号)。イは直系尊属のみのときを『2分の1』とするが、正しくは3分の1なので誤り。各人が実際に得る遺留分は、この総体的な割合に各自の法定相続分を掛けて求める。

補足遺留分侵害額請求権は、相続開始と侵害する贈与・遺贈を知った時から1年、相続開始から10年で時効消滅する(1048条)。

5婚姻の成立(届出)

婚姻の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 婚姻は、当事者間に婚姻の意思があり共同生活を始めていれば、届出をしなくても法律上の婚姻としての効力を生ずる。
  • 婚姻の届出は、当事者双方が署名すれば足り、証人は必要とされていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
739条1項は届出で効力 → 届出なしでは婚姻は成立しない

民法第739条第1項届け出ることによって、その効力を生ずる。e-Gov原文

誤り
739条2項は成年の証人2人以上を要求 → 記述は誤り

民法第739条第2項当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面でe-Gov原文

ひっかけ一緒に暮らしている事実があっても、届出がなければ法律上の夫婦ではない。アはそこを取り違えている。

解説婚姻の意思があり現に夫婦として暮らしていても、それだけでは法律上の婚姻にならない。民法739条1項は、婚姻は戸籍法の定めにより届け出ることによって効力を生ずるとする(届出婚主義)。だからアの『届出をしなくても効力を生ずる』は誤り。届出のない共同生活は事実婚(内縁)として一定の保護は受けるが、法律婚とは別物として扱われる。届出の方式も同条2項が決めており、当事者双方および成年の証人2人以上が署名した書面で、またはこれらの者が口頭でしなければならない。証人は要らないとするイは、この2人以上という要件を落としているので誤り。アもイも誤りで、答えは『アー誤、イー誤』。

補足口頭でも届出はできるが、その場合も成年の証人2人以上が要る点は書面の場合と変わらない(739条2項)。

6夫婦間における財産の帰属

夫婦間の財産関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 夫婦の一方が婚姻中に自己の名で得た財産であっても、婚姻している以上、当然に夫婦の共有財産となる。
  • 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
762条1項は自己名義取得を特有財産とする(夫婦別産制) → 共有ではない

民法第762条第1項婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産e-Gov原文

正しい
762条2項どおり帰属不明財産は共有推定 → 正しい

民法第762条第2項夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。e-Gov原文

ひっかけ結婚=財産も合算、ではない。民法の建前は別産制で、共有は帰属が分からない分だけ。アはここを逆に読んでいる。

解説婚姻中に自分の収入で買ったものなど、夫婦の一方が自己の名で得た財産は、その人の特有財産になる(民法762条1項)。結婚しても財産が自動的に一つにまとまるわけではなく、別産制が原則である。よってアの『婚姻している以上、当然に共有』は誤り。共有と扱われるのは、どちらに属するか判然としない財産に限られ、それも762条2項が『共有に属するものと推定する』とするにとどまる。帰属不明の財産を共有と推定するイは条文どおりで正しい。アが誤りでイが正しいから、『アー誤、イー正』となる。

補足762条2項はあくまで推定なので、一方の所有だと証明できれば共有の扱いは覆る。離婚時の財産分与はこれとは別の清算制度。

7相続の一般的効力

相続の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。
  • 被相続人の一身に専属したものも含めて、被相続人の権利義務はすべて相続人に承継される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
896条本文どおり包括承継 → 正しい

民法第896条相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。e-Gov原文

誤り
896条ただし書で一身専属は承継しない → 記述は誤り

民法第896条ただし書被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。e-Gov原文

ひっかけ承継は『一切』でも無制限ではなく、一身専属の権利義務だけは枠の外です。

解説相続が開始すると、相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する(民法896条本文)。これを包括承継といい、土地・預金などのプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産(債務)も当然に引き継ぐ。アはこの896条本文どおりで正しい。ただし『一切』には限度があり、被相続人の一身に専属したもの(その人だけに認められた権利義務。年金受給権や扶養を受ける権利、画家が絵を描く債務など)は、この限りでなく承継されない(同条ただし書)。イは一身専属のものまで含めてすべて承継されるとする点で、このただし書に反し誤り。よって『アー正、イー誤』。借金まで引き継ぐ包括承継だからこそ相続放棄の制度が用意されている一方、地位そのものが本人限りの一身専属権は、放棄を待つまでもなく承継の枠から外れる。

補足借金ごと引き継ぐのが嫌なら、自己のために相続の開始を知った時から3か月以内に相続放棄や限定承認を選べる(民法915条1項)。

8子の相続権と代襲相続

子の相続権及び代襲相続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の子は、相続人となる。
  • 被相続人の子が相続の開始以前に死亡していたときは、その者の子(被相続人の孫)が、これを代襲して相続人となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
887条1項どおり → 正しい

民法第887条第1項被相続人の子は、相続人となる。e-Gov原文

正しい
887条2項の代襲相続どおり → 正しい

民法第887条第2項その者の子がこれを代襲して相続人となる。e-Gov原文

ひっかけ子が先に亡くなっても家系が消えるわけではなく、孫が代襲して相続人になります。

解説被相続人の子は相続人となり(民法887条1項)、配偶者と並ぶ第1順位の血族相続人である。アはこの887条1項どおりで正しい。問題は、その子が先に亡くなっていた場合に家系ごと相続から外れるのかという点で、外れない。子が、相続の開始以前に死亡していたとき、又は相続欠格・廃除によって相続権を失ったときは、その者の子(被相続人の孫)が、これを代襲して相続人となる(同条2項。代襲相続)。亡くなった子が受けるはずだった相続分を、孫が引き継ぐ。イはこの887条2項どおりで正しい。アもイも条文に沿い、『アー正、イー正』。なお代襲は死亡・欠格・廃除のときに起き、相続放棄は『初めから相続人でなかった』扱いになるため代襲を生まない点が、ひっかけになりやすい。

補足代襲の原因は死亡・相続欠格・廃除に限られ、相続放棄では代襲は起きない。放棄者は初めから相続人でなかったものとみなされる(民法939条)ため。

9相続人の順位

相続人の順位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人に子がいる場合であっても、被相続人の兄弟姉妹は、子と同順位で相続人となる。
  • 被相続人に子がなく、直系尊属と兄弟姉妹がいる場合には、直系尊属が兄弟姉妹に先立って相続人となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
889条で兄弟姉妹は子がない場合に相続 → 同順位ではない

民法第889条第1項第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合にはe-Gov原文

正しい
889条1項で直系尊属が第1順位(兄弟姉妹より先)→ 正しい

民法第889条第1項第1号一被相続人の直系尊属e-Gov原文

ひっかけ兄弟姉妹は子と同列に並びません。子がいない場合に、しかも直系尊属の次に回ってくる順位です。

解説血族相続人には順位があり、全員が同時に相続するわけではない。第1順位は子(及びその代襲者)で、子がいる限り、直系尊属や兄弟姉妹は相続人にならない。アは子がいても兄弟姉妹が子と同順位で相続人になるとするが、兄弟姉妹は子(887条により相続人となるべき者)がいない場合にはじめて登場するため、同順位ではなく誤り。子がいないときの順序は、第1号が被相続人の直系尊属(親など。親等の近い者が先)、第2号が兄弟姉妹である(民法889条1項)。したがって、子がなく直系尊属と兄弟姉妹がいるときは、直系尊属が兄弟姉妹に先立って相続人となる。イはこの889条1項の順序どおりで正しい。よって『アー誤、イー正』。配偶者だけは順位の枠の外にいて、子・直系尊属・兄弟姉妹のいずれと並ぶ場合でも常に相続人となる。

補足順位とは別に、配偶者は常に相続人となる(民法890条)。子・直系尊属・兄弟姉妹のどれが相続人でも、配偶者はその者と並んで相続する。

10重婚の禁止と親権

婚姻及び親権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 配偶者のある者であっても、相手方の同意があれば、重ねて婚姻をすることができる。
  • 親権は、親自身の利益のために行使することができる権利であり、子の利益のために行使すべきものとはされていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
732条で重婚は禁止 → 同意があってもできない

民法第732条配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。e-Gov原文

誤り
818条1項で親権は子の利益のために行使 → 記述は誤り

民法第818条第1項親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない。e-Gov原文

ひっかけ重婚は同意があっても通りません。親権の向き先は親ではなく子です。

解説婚姻には成立を妨げる事由(婚姻障害)がいくつかあり、その一つが重婚の禁止である。配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない(民法732条)。アは相手方の同意があれば重婚できるとするが、同意の有無に関係なく禁止されるため誤り。誤って重婚の届出が受理されても取消しの対象になる。親権についても、誰のための権利かという点が問われる。親権は、成年に達しない子について、その子の利益のために行使しなければならない(818条1項)。イは親権を親自身の利益のための権利とし、子の利益のためのものではないとするが、818条1項と正反対で誤り。アもイも条文に反し、『アー誤、イー誤』。親権は親の支配権ではなく、子を監護・教育し(820条)その健全な成長を図るための権利義務だという位置づけが、この肢の正誤を決めている。

補足親権が子のための制度であることの裏返しとして、父母が虐待などで子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所が親権喪失の審判をすることができる(民法834条)。

11配偶者居住権

配偶者居住権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、遺産の分割によってこれを取得するものとされたときや遺贈の目的とされたときは、配偶者居住権を取得する。
  • 配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の所有者に対して賃料を支払わなければ、その居住建物を使用及び収益することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
1028条1項の取得要件どおり → 正しい

民法第1028条第1項被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していた場合においてe-Gov原文

誤り
1028条1項は『無償で使用及び収益をする権利』 → 賃料が必要とするのは誤り

民法第1028条第1項無償で使用及び収益をする権利e-Gov原文

ひっかけ配偶者居住権は『無償』で住み続けられる権利。賃料支払を条件とするイが誤り。

解説配偶者居住権は、残された配偶者が住み慣れた建物に引き続き無償で住み続けられるようにする権利である(民法1028条)。要件は、被相続人の配偶者が、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していたこと、そのうえで、遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき、または配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき、のいずれかに該当することである。効果として、配偶者は居住建物の全部について『無償で』使用及び収益をする権利を得る。アはこの取得要件のとおりで正しい。イは『賃料を支払わなければ使用・収益できない』とするが、条文は無償の権利と定めるので誤り。なお、被相続人が相続開始時に建物を配偶者以外の者と共有していた場合には配偶者居住権は成立しない(同項ただし書)。よって『アー正、イー誤』。

補足配偶者居住権は2020年4月施行の制度。被相続人が相続開始時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は成立しない(1028条1項ただし書)。短期的に居住を保護する配偶者短期居住権(1037条)とは別の権利。

12遺言の撤回

遺言の撤回に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
  • 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
1022条どおり遺言は撤回自由 → 正しい

民法第1022条遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができるe-Gov原文

正しい
1023条1項どおり抵触部分は撤回擬制 → 正しい

民法第1023条第1項前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなすe-Gov原文

ひっかけ一度書いた遺言にも縛られない。遺言者は死ぬまで何度でも撤回・書き直しができる。

解説遺言は遺言者の最終意思を実現する制度なので、その意思が変われば自由に撤回できる。民法1022条は、遺言者はいつでも遺言の方式に従ってその遺言の全部又は一部を撤回できると定める。アはこのとおりで正しい。さらに、わざわざ『前の遺言を撤回する』と書かなくても、前の遺言と後の遺言が抵触するときは、その抵触する部分について後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされる(1023条1項)。イはこのとおりで正しい。撤回の自由は強行的で、遺言者は撤回権を放棄できない(1026条)。よって『アー正、イー正』。

補足遺言を撤回する権利は放棄できない(1026条)。撤回は遺言の方式に従う必要があるが、前の遺言と同じ方式である必要はない(自筆証書遺言を公正証書遺言で撤回するなども可)。遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合も同様に撤回とみなされる(1023条2項)。

13相続欠格

相続人の欠格事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造した相続人であっても、相続人となる資格を当然に失うわけではない。
  • 詐欺によって被相続人に相続に関する遺言をさせた者は、その行為について刑に処せられた場合に限り、相続人となることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
891条5号で遺言書偽造者は欠格 → 資格を失わないとするのは誤り

民法第891条柱書次に掲げる者は、相続人となることができないe-Gov原文

民法第891条第5号相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者e-Gov原文

誤り
891条4号は刑罰を要件としない → 『刑に処せられた場合に限り』は誤り

民法第891条柱書次に掲げる者は、相続人となることができないe-Gov原文

民法第891条第4号詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者e-Gov原文

ひっかけ相続欠格は家庭裁判所の手続なしに当然発生する。刑事処罰が必要なのは『殺害』型(1号)だけ。

解説相続欠格は、相続秩序を著しく害する非行をした者から、法律上当然に相続資格を奪う制度である(民法891条)。欠格事由は、故意に被相続人や先順位・同順位の相続人を死亡させ又は死亡させようとして刑に処せられた者(1号)、被相続人の殺害を知りながら告発・告訴しなかった者(2号)、詐欺・強迫によって被相続人の遺言を妨げた者(3号)やさせた者(4号)、相続に関する遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者(5号)である。注意点は、刑に処せられたことを要件とするのは1号だけで、4号・5号は刑事処罰の有無を問わず当然に欠格となること。よってア(偽造しても資格を失わない)もイ(刑に処せられた場合に限り欠格)もいずれも誤り。欠格は家庭裁判所の手続を要する廃除(892条)とは異なり当然に生じる。よって『アー誤、イー誤』。

補足相続欠格(891条)は法律上当然に効力を生じ、家庭裁判所の手続を要しない。これに対し被相続人の意思に基づく相続人の廃除(892条)は家庭裁判所への請求が必要で、両者は区別される。欠格者の子は代襲相続できる(887条2項)。

14協議上の離婚と財産分与

協議上の離婚及び財産分与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 夫婦が離婚をするには必ず裁判所の関与(調停又は裁判)が必要であり、当事者の協議のみによって離婚をすることはできない。
  • 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
763条で協議離婚が認められる → 裁判所の関与を必須とするのは誤り

民法第763条夫婦は、その協議で、離婚をすることができるe-Gov原文

正しい
768条1項どおり財産分与請求権が認められる → 正しい

民法第768条第1項協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ日本の離婚の大半は協議離婚。裁判所が必ず関与するわけではない。

解説日本では、夫婦は家庭裁判所などの関与なしに、当事者の協議だけで離婚できる(協議離婚、民法763条)。離婚は届出により効力を生じる。協議が調わないときに初めて調停・裁判(770条の裁判上の離婚)へ進む。したがって『必ず裁判所の関与が必要』とするアは誤り。次に、協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる(768条1項)。これは婚姻中に夫婦が協力して築いた財産の清算などを目的とする権利で、イはこのとおりで正しい。協議が調わなければ家庭裁判所に処分を請求できる(同条2項)。よって『アー誤、イー正』。

補足協議離婚は離婚の届出によって効力を生じる(764条・739条)。財産分与について協議が調わないときは、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求でき、原則として離婚の時から2年(768条2項ただし書は令和の改正で延長された期間に注意)という期間制限がある点も押さえる。

15認知

認知に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
  • 認知は、認知をした時から将来に向かってのみ効力を生じ、子の出生の時にさかのぼって効力を生ずることはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
779条どおり認知が認められる → 正しい

民法第779条嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができるe-Gov原文

誤り
784条本文は出生時に遡及 → 将来に向かってのみとするのは誤り

民法第784条認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずるe-Gov原文

ひっかけ認知の効力は『認知した時から』ではなく『生まれた時にさかのぼる』。遡及効が要点。

解説婚姻関係にない男女の間に生まれた子(嫡出でない子)と父との法律上の親子関係は、当然には生じず、認知によって発生する。民法779条は、嫡出でない子はその父又は母がこれを認知することができると定める。アはこのとおりで正しい。そして認知の効力は、認知をした時からではなく、子の出生の時にさかのぼって生じる(784条本文)。これにより、認知された子は出生時から父の子であったものとして扱われ、扶養や相続の前提となる親子関係が基礎づけられる。イは『将来に向かってのみ効力を生じ、さかのぼらない』とするので誤り。ただし遡及効には限界があり、第三者が既に取得した権利を害することはできない(同条ただし書)。よって『アー正、イー誤』。

補足認知の遡及効には限界があり、第三者が既に取得した権利を害することはできない(784条ただし書)。嫡出でない子は、認知により父との間で法律上の親子関係が生じ、扶養・相続などの権利義務が認められる。

16婚姻適齢

婚姻適齢に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 婚姻は、18歳にならなければすることができない。
  • 婚姻は、15歳になれば誰でもすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
現行法では婚姻できる年齢は男女とも18歳。成年年齢と同じ数字だが、根拠条文は婚姻適齢を定める民法731条。

民法第731条婚姻は、十八歳にならなければ、することができないe-Gov原文

誤り
15歳は遺言能力の年齢と混同しやすい。婚姻適齢は15歳ではなく18歳なので、「15歳になれば誰でも婚姻できる」は誤り。

民法第731条婚姻は、十八歳にならなければ、することができないe-Gov原文

ひっかけ婚姻は15歳や16歳でできる、という古い感覚のままだとイを正しいと誤る。婚姻適齢は男女とも18歳。

解説婚姻は、18歳にならなければすることができない(民法731条)。これを婚姻適齢という。現行法では男女とも18歳で統一されている。アはこのとおりで正しい。イは15歳になれば誰でも婚姻できるとするが、731条が定める18歳の要件に反し誤り。成年年齢(18歳)ともそろえられており、数字を正確に押さえることが大切である。

補足成年年齢が18歳になったことで、婚姻に父母の同意を要する未成年者の婚姻という仕組みもなくなった。18歳になれば、親の同意なく単独で婚姻できる。

17婚姻届出

婚姻届出に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって効力を生ずる。
  • 婚姻は、当事者が口頭で合意するだけで届出なしに効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

民法第739条第1項届け出ることによって、その効力を生ずるe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

民法第739条第1項届け出ることによって、その効力を生ずるe-Gov原文

ひっかけ婚姻は合意さえあれば成立する、と考えるとイを正しいと誤る。婚姻は届出をして初めて効力を生じる。

解説婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる(民法739条1項)。これを届出婚主義という。当事者に婚姻の意思があっても、届出をしなければ法律上の夫婦とは認められない。アはこのとおりで正しい。イは当事者が口頭で合意するだけで届出なしに効力を生ずるとするが、届出を効力要件とする739条1項に反し誤り。事実上夫婦のように生活していても、届出がなければ法律婚にはならない点を押さえる。

補足届出をしないまま夫婦同然に生活する関係は内縁(事実婚)と呼ばれる。内縁には婚姻に準じた一定の保護が及ぶが、配偶者としての相続権などは認められない。

18夫婦の同居協力扶助義務

夫婦の同居協力扶助義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
  • 夫婦には、互いに協力し扶助する義務はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
民法752条は、夫婦関係の基本的義務として同居・協力・扶助を一体で定める。婚姻による身分上の効果を問う基本問題。

民法第752条夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないe-Gov原文

誤り
夫婦間には互いに協力し扶助する義務がある。義務はないとする記述は、752条が明示する協力扶助義務を正面から否定している。

民法第752条夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならないe-Gov原文

ひっかけ夫婦に協力・扶助の義務はない、と考えるとイを正しいと誤る。夫婦は同居し互いに協力・扶助しなければならない。

解説夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない(民法752条)。同居義務・協力義務・扶助義務は、夫婦という共同生活の基本をなす義務である。扶助とは、相手が自分と同程度の生活を送れるように支え合うことをいう。アはこのとおりで正しい。イは互いに協力し扶助する義務はないとするが、752条に反し誤り。夫婦が単なる同居人ではなく、生活を支え合う関係であることを法が定めている。

補足このほか夫婦は、婚姻から生じる費用を分担し(婚姻費用の分担。760条)、日常の家事に関する債務について連帯して責任を負う(日常家事債務の連帯責任。761条)。

19相続欠格(第8章)

相続欠格に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 一定の重大な非行に該当する者は、相続人となることができない。
  • 相続欠格事由に該当しても、常に相続人となることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

民法第891条相続人となることができないe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

民法第891条相続人となることができないe-Gov原文

ひっかけどんな非行があっても相続はできる、と考えるとイを正しいと誤る。一定の重大な非行があると相続欠格として相続人になれない。

解説被相続人や先順位の相続人を故意に死亡させたり、遺言を偽造・変造したりするなど、民法891条が定める一定の重大な非行に該当する者は、相続人となることができない。これを相続欠格という。アはこのとおりで正しい。イは相続欠格事由に該当しても常に相続人となることができるとするが、891条に反し誤り。相続欠格は、被相続人の意思や特別の手続を必要とせず、事由があれば法律上当然に相続資格を失う点に特徴がある。

補足相続欠格は、欠格事由があれば法律上当然に効果が生じる。これに対し、被相続人への虐待・重大な侮辱などがあった場合に、被相続人が家庭裁判所に請求して相続資格を失わせる制度が廃除である(892条)。

20遺言能力

遺言能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 15歳に達した者は、遺言をすることができる。
  • 遺言は、20歳に達しなければ一切することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
遺言は身分行為・財産処分の性質を持つが、民法961条は15歳に達した者に遺言能力を認める。成年である必要はない。

民法第961条十五歳に達した者は、遺言をすることができるe-Gov原文

誤り
遺言能力は成年年齢や20歳とは連動しない。15歳で遺言可能なので、20歳に達しなければ一切できないとする記述は過度に厳しい。

民法第961条十五歳に達した者は、遺言をすることができるe-Gov原文

ひっかけ遺言は成年でないとできない、と考えるとイを正しいと誤る。15歳に達すれば遺言ができる。

解説15歳に達した者は、遺言をすることができる(民法961条)。遺言については、財産に関する通常の法律行為の行為能力とは別に、15歳という基準が定められている。アはこのとおりで正しい。イは20歳に達しなければ一切遺言できないとするが、961条が定める15歳に反し誤り。契約などは成年(18歳)を基準にする一方、遺言は15歳からできるという年齢の違いを押さえておくとよい。

補足遺言は満15歳から単独ででき、未成年者でも法定代理人の同意なく有効に遺言できる。ただし、遺言は法律の定める方式(自筆証書・公正証書など)に従わなければ効力を生じない(960条)。

21法定相続分

法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1である。
  • 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
900条1号

民法第900条第1号子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。e-Gov原文

正しい
900条2号

民法第900条第2号配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。e-Gov原文

ひっかけ配偶者の取り分は『相手が誰か』で 1/2 → 2/3 → 3/4 と上がる。

解説法定相続分は、配偶者と一緒に相続する者が誰かで変わる。子と配偶者なら各2分の1(900条1号)、配偶者と直系尊属(親など)なら配偶者2/3・直系尊属1/3(2号)、配偶者と兄弟姉妹なら配偶者3/4・兄弟姉妹1/4(3号)。アは1号、イは2号のとおりで、ともに正しい。配偶者の取り分は相手の順位が下がるほど大きくなる、と覚えるとよい。結論はアー正、イー正。

補足配偶者と兄弟姉妹が相続人のときは、配偶者3/4・兄弟姉妹1/4(900条3号)。同順位の子・直系尊属・兄弟姉妹が複数いれば原則として頭割り。

22自筆証書遺言の方式

自筆証書遺言の方式に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自筆証書遺言は、本文をパソコンで作成し、これに署名・押印すれば有効に成立する。
  • 自筆証書によって遺言をするには、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
968条1項:全文の自書が必要

民法第968条第1項自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。e-Gov原文

正しい
968条1項:方式

民法第968条第1項自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。e-Gov原文

ひっかけ自筆証書遺言の本文は『全文を手書き』。パソコンは不可。

解説自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する(民法968条1項)。本文の全文自書が要件なので、パソコンで作成した本文に署名・押印しただけでは無効である。だからアは誤り、イは正しい。なお2018年改正で、添付する相続財産の目録については自書が不要となった(各葉に署名・押印は必要、968条2項)が、緩和されたのは目録だけで本文ではない。結論はアー誤、イー正。

補足財産目録を添付する場合、その目録は自書不要だが、毎葉に署名・押印が必要(968条2項)。日付・氏名・押印を欠くと無効になりやすい。

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