問1保証契約の成立(書面要件)e-Gov等の一次資料で確認済み
保証契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
- イ.保証契約は、当事者の口頭の合意のみによって成立し、書面によることを要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 446条1項どおり保証債務は補充的 → 正しい
民法第446条第1項「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 446条2項で書面が効力要件 → 口頭のみでは無効
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」一次資料を確認
ひっかけ売買や賃貸借と違い、保証契約は書面がなければ効力を生じない。口頭だけで有効としたイが誤り。
解説主たる債務者が債務を履行しないとき、保証人が代わって履行する責任を負う(民法446条1項)。保証債務はあくまで主たる債務を補う補充的なもので、主たる債務者が払えば保証人の負担も消える。本問で結論を分けるのは成立要件で、保証契約は書面でしなければその効力を生じない(同条2項。内容を記録した電磁的記録によるときも書面とみなされる)。保証は後で予想外に重い負担を生むことが多く、口約束による軽率な保証を防ぐ趣旨である。アは446条1項のとおりで正しい。イは『口頭の合意のみで成立する』とするが、書面を効力要件とする2項に反して誤り。口頭でも合意は合意だ、という常識がそのまま通らないのが保証契約である。
補足事業向け融資を個人が保証する場合は、書面に加え、原則として公証人が保証意思を確認する公正証書も要る(民法465条の6)。
問2連帯保証と催告・検索の抗弁e-Gov等の一次資料で確認済み
保証人の抗弁に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯保証人は、債権者から債務の履行を請求された場合、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求すること(催告の抗弁)ができる。
- イ.(連帯保証でない)通常の保証人は、債権者から履行を請求されたとき、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 454条で連帯保証人は催告・検索の抗弁を有しない → 行使できない
民法第454条「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 452条の催告の抗弁どおり → 正しい
民法第452条「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ通常の保証人なら言える『まず本人に請求して』を、連帯保証人は言えない。アとイで結論が裏返る。
解説保証人には、債権者からいきなり請求されたとき身を守る抗弁が二つある。催告の抗弁は『まず主たる債務者に催告してほしい』と言える権利(民法452条)、検索の抗弁は主たる債務者に弁済の資力があり執行も容易だと証明して本人の財産から先に執行させる権利(453条)である。ところが連帯保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担するため、この『前二条の権利を有しない』(454条)。債権者は主たる債務者を飛ばして連帯保証人にいきなり全額請求でき、連帯保証人は『まず本人に』とは拒めない。本問のアは連帯保証人が催告の抗弁を行使できるとしており、454条に反して誤り。イは通常の保証人の催告の抗弁(452条)どおりで正しい。同じ『保証人』でも、頭に『連帯』が付くかどうかで抗弁の有無が裏返る。
補足検索の抗弁は単に『本人に資力がある』だけでは足りず、執行が容易であることまで保証人が証明しなければならない(民法453条)。
問3債権譲渡の対抗要件e-Gov等の一次資料で確認済み
債権譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者に対抗することができない。
- イ.債務者以外の第三者に対抗するためには、その通知又は承諾を、確定日付のある証書によってしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 467条1項どおり対債務者対抗要件は通知・承諾 → 正しい
民法第467条第1項「譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 467条2項どおり第三者対抗要件は確定日付証書 → 正しい
民法第467条第2項「確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
ひっかけ債務者に対抗するには通知・承諾で足りるが、二重譲渡で他の譲受人に勝つにはそれが確定日付付きでなければならない。
解説債権は原則として自由に譲渡できるが、その譲渡を他人にぶつける(対抗する)には対抗要件が要り、これが『誰に対抗するか』で二段階になっている。債務者本人に対しては、譲渡人から債務者への通知、または債務者の承諾があれば対抗できる(民法467条1項)。これがないと債務者は誰に払えばよいか分からないからである。さらに、同じ債権が二重に譲渡された場合などに、もう一人の譲受人といった『債務者以外の第三者』に勝つには、その通知・承諾が確定日付のある証書(内容証明郵便など)によることが必要になる(同条2項)。日付を後から動かせない形にすることで、譲受人同士の優劣を客観的に決められる。本問はアが1項、イが2項のとおりで、いずれも正しい。対債務者は通知・承諾、対第三者はそれが確定日付付きか、という二段の差がこの問題の核である。
補足確定日付のある証書が複数あるときは、確定日付の先後ではなく、その通知が債務者に到達した順で優劣を決める(最判昭49.3.7)。
問4相殺の方法と相殺禁止e-Gov等の一次資料で確認済み
相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。
- イ.悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負う者は、その債務を受働債権として、相殺をもって債権者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする(民法506条1項)。相手の同意は要らない。例えば、AがBに100万円を貸し、BもAに100万円を貸しているとき、Aが一方的にBへ「相殺する」と伝えれば足りる。
民法第506条第1項「相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗できない(同法509条)。例えば、わざと他人を傷つけた加害者が、被害者に貸している金と賠償債務を相殺して、賠償を免れることはできない。
民法第509条「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」一次資料を確認
民法第509条「次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。」一次資料を確認
ひっかけ相殺は一方的にできるのが原則だが、わざと(悪意で)人を害した加害者は相殺で賠償を免れられない。イが誤り。
解説互いに同種の債務を負担し双方が弁済期にあるとき、対当額で帳消しにできるのが相殺で(民法505条)、当事者の一方から相手方への意思表示によって一方的に行える(506条1項。相手の同意は不要で、条件や期限は付けられない)。便利な決済・回収手段だが、相殺が禁じられる場面がある。代表が、悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務や、人の生命・身体の侵害による損害賠償の債務で、これらの債務者(加害者側)は相殺をもって債権者(被害者側)に対抗できない(509条)。被害者に現実の金銭を受け取らせる必要が高いからである。本問のアは506条1項のとおりで正しい。イは悪意の不法行為の加害者が相殺で対抗できるとしており、509条が禁じる場面なので誤り。わざと害した側が『自分も債権を持っている』と言って賠償を帳消しにすることは、ここでは通らない。
補足給料や年金のような差押えが禁じられた債権も、受働債権として相殺することはできない(民法510条)。生活原資を確保させる趣旨である。
問5債権の消滅時効(期間)e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、権利を行使することができる時から10年間行使しなくても時効によって消滅することはなく、20年間行使しなかったときに初めて時効消滅する。
- イ.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 166条1項2号で『行使できる時から10年』で消滅 → 記述は誤り
民法第166条第1項第2号「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」一次資料を確認
- イ.正しい
- 166条1項1号どおり主観的起算点5年 → 正しい
民法第166条第1項第1号「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」一次資料を確認
ひっかけ通常の債権は『行使できる時から10年』で時効消滅する。10年では消えず20年が要るとしたアが誤り。
解説債権の消滅時効は、2020年施行の改正民法で二本立てになった(民法166条1項)。主観的起算点として、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年(1号)。客観的起算点として、権利を行使することができる時から10年(2号)。どちらか早く満了した方で債権は時効消滅する。通常の取引債権は発生時に権利行使できると分かっているのが普通なので、実際には5年で時効にかかることが多い。本問のアは『10年では消滅せず20年で初めて消滅する』とするが、2号の10年で消滅するため誤り(20年は債権・所有権以外の財産権の話で、166条2項)。イは1号の『知った時から5年』どおりで正しい。10年・20年と5年・10年を取り違えると、アの数字の罠にはまる。
補足人の生命・身体の侵害による損害賠償は被害者保護のため期間が延び、客観的起算点が10年ではなく20年になる(民法167条)。
問6第三者の弁済e-Gov等の一次資料で確認済み
第三者による弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の弁済は、債務者本人がしなければならず、第三者が弁済をすることは一切認められない。
- イ.弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反していても、常に有効に弁済をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 474条1項で第三者も弁済できる → 記述は誤り
民法第474条第1項「債務の弁済は、第三者もすることができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 474条2項で原則できない → 『常に有効』は誤り
民法第474条第2項「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」一次資料を確認
ひっかけ『本人しか弁済できない』も『誰でも常に弁済できる』も両極端で、どちらも条文を外している。アもイも誤り。
解説弁済は必ずしも債務者本人がする必要はなく、原則として第三者もできる(民法474条1項)。親が子の借金を肩代わりして払う、といった場面である。ただし無制限ではない。弁済について正当な利益を有しない第三者(物上保証人や担保不動産の第三取得者は正当な利益あり、単なる親族・友人は通常これに当たらない)は、原則として債務者の意思に反して弁済をすることができない(同条2項)。本人が望まないのに第三者が勝手に払うと、望まない求償関係が生じるなどの不都合があるためである。本問のアは『第三者の弁済を一切認めない』とする点で1項に反して誤り。イは『正当な利益のない第三者でも本人の意思に反して常に有効に弁済できる』とする点で2項に反して誤り。一切できないも、常にできるも、どちらも条文の原則と例外の片側を踏み外している。
補足正当な利益のない第三者は、債務者だけでなく債権者の意思に反しても弁済できない(民法474条3項)。受領を拒める側が二方向にある。
問7連帯債務e-Gov等の一次資料で確認済み
連帯債務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.数人が連帯して債務を負担するとき、債権者は、連帯債務者の一人に対し、又は全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
- イ.連帯債務では、債権者は各連帯債務者に対し、それぞれの負担部分の限度でしか履行を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 436条どおり → 正しい
民法第436条「債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 436条で一人に全部請求可 → 負担部分限定は誤り
民法第436条「全部又は一部の履行を請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ負担部分は債務者どうしの内部の話。債権者に対しては、各人が全額を負います。
解説300万円の連帯債務を3人が負っていても、債権者は誰か一人に300万円全額を請求してよい。連帯債務とは、数人が同一の債務についてそれぞれ全部を履行する義務を負う関係であり、債権者は、連帯債務者の一人に対し、又は同時・順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求できる(民法436条)。アはこの436条どおりで正しい。各連帯債務者の間には負担部分(内部的な分担割合)があるが、それは弁済した者が他の者に求償する場面で効いてくる内部の問題にすぎず、債権者に対しては各人が全額の支払義務を負う。イはこの負担部分を債権者への支払義務の限度であるかのように扱う点で誤り。よってアは正しく、イは誤り。負担部分が出てくるのは債権者との関係ではなく、債務者どうしの精算の場面だという切り分けが要点。
補足全額を弁済した連帯債務者は、その額が自分の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者へ各自の負担部分に応じて求償できる(民法442条1項)。
問8相殺の要件e-Gov等の一次資料で確認済み
相殺の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。
- イ.当事者が相殺を禁止する旨の意思表示をした場合、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 505条1項の相殺要件どおり → 正しい
民法第505条第1項「双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 505条2項どおり → 正しい
民法第505条第2項「第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」一次資料を確認
ひっかけ相殺禁止特約は万能ではなく、事情を知らない善意無重過失の第三者には対抗できません。
解説互いに同種の目的の債務を負い合い、双方の債務が弁済期にある(相殺適状の)とき、各債務者は対当額についてその債務を免れることができる(民法505条1項。ただし債務の性質が相殺を許さないときは不可)。アはこの相殺の要件どおりで正しい。当事者が合意で相殺を禁止・制限することもできるが、その効力は無条件ではない。相殺禁止の意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗できる(同条2項)。つまり事情を知らず過失もない譲受人などには禁止特約を主張できず、その分だけ取引の安全が守られる。イはこの505条2項どおりで正しい。アもイも条文に沿っており、『アー正、イー正』。相殺できる場面の入口(505条1項)と、禁止特約が第三者に効くかの限界(505条2項)が、それぞれそのまま問われている。
補足特約とは別に法律上相殺できない場合もあり、悪意による不法行為や人の生命・身体の侵害による損害賠償の債務を受働債権とする相殺は、加害者の側からはできない(民法509条)。
問9時効の完成猶予と更新e-Gov等の一次資料で確認済み
消滅時効の完成猶予及び更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判上の請求をしても、時効の進行には何ら影響がなく、完成猶予も更新も生じない。
- イ.権利の承認があったときは、時効はその時から新たにその進行を始める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 147条で裁判上の請求は完成猶予・更新事由 → 影響なしは誤り
- イ.正しい
- 152条1項どおり承認は時効更新事由 → 正しい
民法第152条第1項「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。」一次資料を確認
ひっかけ裁判上の請求は時効に無関係どころか、完成猶予と更新の両方を生む典型事由です。
解説消滅時効は時の経過で権利を消滅させるが、放っておけば必ず進みきるというものではない。一定の事由があると、完成猶予(その事由が続く間など一定期間、時効の完成を先延ばしにして進行を一時止める)や、更新(それまでの経過をなかったことにして時効を新たに進行させる、いわゆるリセット)が生じる。裁判上の請求があると、その事由が終了するまで時効は完成せず(完成猶予)、確定判決等で権利が確定すれば時効は更新される(民法147条)。アは裁判上の請求に何ら影響がないとするが、完成猶予にも更新にもなるため誤り。また、債務者が権利の承認(借金がある旨を認めるなど)をしたときは、その時から時効が新たに進行を始める(152条1項)。イはこの152条1項どおりで正しい。よってアは誤りで、イは正しい。承認は、訴えのような手続を踏まなくても、それだけで時効を振り出しに戻す事由になる。
補足承認は単に時効を更新するだけで、しかも管理行為にあたるため、承認をする者に行為能力や処分の権限までは要らない(民法152条2項)。
問10保証債務の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
保証債務の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証債務は、主たる債務の元本に限られ、主たる債務に関する利息や損害賠償を含まない。
- イ.保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 保証債務は、主たる債務の元本に限られず、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他の従たるものをすべて包含する(民法447条1項)。例えば、主たる債務者が支払を遅らせて遅延損害金が生じたとき、保証人はその遅延損害金も含めて保証する。
民法第447条第1項「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定できる(同条2項)。「約定できない」とする記述は、条文と逆である。例えば、主たる債務の違約金とは別に、保証債務だけについて違約金の額を定めておける。
民法第447条第2項「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる。」一次資料を確認
ひっかけ保証の範囲は元本に閉じず、利息・違約金・損害賠償まで及びます。約定できないという向きが逆です。
解説保証人が背負うのは元本だけではない。保証債務は主たる債務に付き従う性質(付従性)を持ち、その範囲は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する(民法447条1項)。だから主たる債務者が支払を遅らせて遅延損害金が生じれば、保証人はそれも含めて責任を負う。アは保証債務を元本に限り利息・損害賠償を含まないとする点で、447条1項に反し誤り。一方、保証人は、自分の保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額をあらかじめ約定することができる(同条2項。保証債務独自の違約金の定め)。イはこれを『約定できない』とする点で誤り。アもイも条文と逆向きで、『アー誤、イー誤』。447条は、1項で保証の及ぶ範囲を広げ、2項で保証債務だけに付ける違約金を認めるという、向きの違う二つの定めを並べている。
補足範囲が広いぶん保証契約は慎重さが求められ、書面でしなければ効力を生じない(民法446条2項。電磁的記録でも可、同3項)。口約束だけでは保証は成立しない。
問11債権者代位権の要件e-Gov等の一次資料で確認済み
債権者代位権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(被代位権利)を行使することができる。
- イ.債務者の一身に専属する権利であっても、債権者はこれを代位して行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 423条1項本文どおり → 正しい
民法第423条第1項「自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利」一次資料を確認
- イ.誤り
- 423条1項ただし書で一身専属権は対象外 → 代位できない
民法第423条第1項「債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ代位できる権利には限界がある。慰謝料請求権のような一身専属権は債務者本人しか行使できず、債権者が代わって行使することはできない。
解説債権者代位権は、債務者が自分の財産を増やす権利(売掛金の取立てなど)を行使しないまま放置しているときに、債権者が自己の債権を保全するため、債務者に代わってその権利を行使できる制度である(民法423条1項本文)。たとえば、お金を貸した相手が第三者に対する売掛金を取り立てずに眠らせていると、貸主の回収原資が確保できない。そこで貸主は、自己の債権を保全するために必要な範囲で、その売掛金債権(被代位権利)を代わって行使できる。もっとも、何でも代位できるわけではなく、債務者の一身に専属する権利(離婚請求権や慰謝料請求権など本人の意思に委ねるべきもの)と、差押えを禁じられた権利は対象から除かれる(同項ただし書)。本問のアは1項本文のとおりで正しく、イは一身専属権まで代位できるとする点で同項ただし書に反し誤り。代位できる原則と、できない例外をセットで押さえることが核になる。
補足債権者代位権は、債権の期限が到来しない間は原則として行使できない。ただし時効の完成猶予のような保存行為は期限前でも認められる(民法423条2項)。
問12詐害行為取消請求e-Gov等の一次資料で確認済み
詐害行為取消権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者の行為によって利益を受けた受益者が、その行為の時において債権者を害することを知らなかったときであっても、債権者は詐害行為取消請求をすることができる。
- イ.債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 424条1項ただし書で受益者が善意なら不可 → 取消請求できない
民法第424条第1項「がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 424条1項本文どおり → 正しい
民法第424条第1項「債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる」一次資料を確認
ひっかけ詐害行為取消しは、相手(受益者)の善悪で結論が変わる。受益者が事情を知らずに取引した場合まで覆すと取引の安全を害するため、善意の受益者は保護される。
解説詐害行為取消権は、債務者が債権者を害すると知りながら自分の財産を不当に減らす行為(贈与や安売りなど)をしたとき、債権者がその行為の取消しを裁判所に請求して、逃がされた財産を責任財産に取り戻す制度である(民法424条1項本文)。債権者が勝手に取り消せるのではなく、必ず裁判所に請求して行う点が特徴である。もっとも、その行為によって利益を受けた受益者が、行為の時において債権者を害することを知らなかった(善意であった)ときは、取消請求はできない(同項ただし書)。事情を知らずに取引した相手まで巻き込むと取引の安全を害するからである。本問のアは、受益者が善意でも取消請求できるとする点でただし書に反し誤り。イは取消しを裁判所に請求するという本文どおりで正しい。債務者の害意だけでなく受益者の善意・悪意まで見て結論を出すのがこの制度の要点である。
補足詐害行為取消請求は、債務者の行為より前の原因に基づいて生じた債権でなければすることができず、強制執行により実現できない債権を保全するためにも行えない(民法424条3項・4項)。
問13弁済による代位e-Gov等の一次資料で確認済み
弁済による代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
- イ.弁済によって債権者に代位した者は、債権の効力及び担保として債権者が有していた一切の権利を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 499条どおり → 正しい
民法第499条「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 501条1項どおり → 正しい
民法第501条第1項「債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる」一次資料を確認
ひっかけ弁済による代位の強みは、元の債権についていた担保(抵当権など)まで弁済者が使える点にある。単なる求償権だけでなく、担保付きの債権そのものを引き継ぐ。
解説弁済による代位は、保証人や第三者など債務者のために弁済をした者が、自分が払って消えたはずの債権者の地位を引き継ぐ制度である(民法499条)。弁済すれば本来その債務は消えるが、立て替えた者を保護するため、債権者が持っていた権利を弁済者に移すことにしている。そして代位した者は、債権の効力に加え、担保として債権者が有していた一切の権利(抵当権・質権・他の保証など)まで行使できる(501条1項)。単に債務者へ「払った分を返せ」と求償できるだけでなく、担保付きの債権そのものを引き継ぐので回収が確実になる。ただし、その行使は弁済者が債務者に対して持つ求償権の範囲内に限られる(同条2項)。本問はアが499条、イが501条1項のとおりで、いずれも正しい。代位の要件(誰が代位するか)と効果(何を行使できるか)をセットで理解することがポイントである。
補足代位による権利行使は、弁済者が債務者に対して有する求償権の範囲内に限られる(民法501条2項)。担保を使えるといっても、回収できるのは立て替えた分までである。
問14受領権者としての外観を有する者に対する弁済e-Gov等の一次資料で確認済み
受領権者としての外観を有する者に対する弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受領権者としての外観を有する者に対してした弁済は、弁済をした者が善意であれば、過失があったとしても、その効力を有する。
- イ.ここでいう受領権者には、債権者は含まれず、法令の規定により弁済を受領する権限を付与された第三者のみをいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 受領権者らしい外観のある者への弁済が有効になるのは、弁済をした者が善意で、かつ過失がなかったときに限られる(民法478条)。過失があれば有効にならない。例えば、通帳と印鑑を持参した人に払い戻したとき、本人でないと疑うべき事情があったのに確かめなかったなら、無過失とはいえず、弁済は有効にならない。
民法第478条「その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 受領権者には、債権者が含まれる。受領権者とは、債権者のほか、法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者である(同条かっこ書)。例えば、債権者が代理人に受領を任せたなら、その代理人も受領権者に当たる。
民法第478条「債権者及び法令の規定又は当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を付与された第三者」一次資料を確認
ひっかけ外観を信じた弁済が保護されるには、知らなかった(善意)だけでは足りず、知らないことに落ち度がなかった(無過失)ことまで必要になる。
解説本来弁済を受け取る権限がない者であっても、取引上の社会通念に照らして受領権者らしい外観を備えていることがある(預金通帳と印鑑を持参した者など)。このような者に対してした弁済は、弁済をした者が善意であり、かつ過失がなかったときに限り、有効となる(民法478条)。有効になれば債務者は債務を免れ、真の債権者は外観を作出した者に対して責任を追及することになる。ここで重要なのは、単に知らなかった(善意)だけでは足りず、知らないことに落ち度がない(無過失)ことまで要求される点である。また、条文上の受領権者とは、債権者本人に加え、法令の規定や当事者の意思表示によって弁済を受領する権限を与えられた第三者をいい、債権者を除外するものではない。本問のアは善意だけで有効としており無過失の要件を欠く点で誤り、イは受領権者から債権者を外す点で定義に反し誤り。いずれも条文の文言を正確に押さえれば誤りと分かる。
補足受領権者としての外観を有する者の典型例は、預金通帳と印鑑を持参した者や、債権譲渡が無効だった場合の譲受人などである。
問15個人根保証契約の極度額e-Gov等の一次資料で確認済み
個人根保証契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.個人根保証契約は、その極度額を定めなければ、その効力を生じない。
- イ.保証人が法人である根保証契約も、個人根保証契約として極度額を定めなければ効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない(民法465条の2第2項)。例えば、賃貸借の保証人が個人のとき、「いくらまで保証するか」を決めていない根保証契約は効力を生じない。
民法第465条の2第2項「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 極度額の定めが必要なのは、保証人が法人でない根保証契約(個人根保証契約)である(同条1項)。保証人が法人の根保証契約は対象外である。例えば、保証会社(法人)が保証人になる根保証には、この規制は及ばない。
民法第465条の2第1項「であって保証人が法人でないもの」一次資料を確認
ひっかけ個人が青天井で根保証を負うと過大なリスクを背負う。そこで個人根保証契約では上限額(極度額)を定めることが効力要件とされる。一方、保証人が法人の場合はこの規制の対象外である。
解説根保証とは、一定の範囲に属する将来発生する不特定の債務をまとめて保証する契約で、賃貸借の連帯保証や継続的取引の保証などで使われる。保証する債務が次々に膨らむため、個人が保証人になると予想外に過大な負担を負いかねない。そこで、保証人が法人でない個人根保証契約については、保証の上限となる極度額を定めなければその効力を生じないとされている(民法465条の2第2項)。極度額を定めることで、保証人は自分が背負う最大限度をあらかじめ把握できる。注意すべきは、この規制が及ぶのは保証人が法人でない場合に限られる点で、保証会社のような法人が保証人となる根保証はこの極度額規制の対象外である(同条1項)。本問のアは極度額が効力要件であるとおりで正しく、イは法人が保証人の根保証まで個人根保証契約に含めて極度額が要るとする点で誤り。誰が保証人かによって規制の有無が変わるのがこの論点の核である。
補足極度額の定めは、保証契約と同じく書面(または電磁的記録)でしなければ効力を生じない(民法465条の2第3項が446条2項・3項を準用)。
問16分割債権・分割債務e-Gov等の一次資料で確認済み
分割債権・分割債務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.数人の債権者又は債務者がある場合、別段の意思表示がなければ各人は等しい割合で権利又は義務を負う。
- イ.数人の債務者がある場合、別段の意思表示がなくても常に全員が全額について連帯債務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 数人の債権者又は債務者がある場合、別段の意思表示がなければ、各人は等しい割合で権利を有し、義務を負う(民法427条)。例えば、3人が同じ債務を負うとき、特約がなければ各自が負うのは3分の1ずつである。
民法第427条「それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う」一次資料を確認
- イ.誤り
- 数人の債務者がいても、当然に全員が全額を負う連帯債務になるわけではない(同条)。連帯債務は、法令の規定や当事者の意思表示などがある場合の例外である。例えば、3人が300万円の債務を負い、連帯の約束がなければ、債権者が1人に請求できるのは100万円までである。
民法第427条「それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う」一次資料を確認
ひっかけ債務者が複数なら当然に全員が全額の連帯債務、と考えるとイを正しいと誤る。原則は分割債務で、各自は等しい割合を負うにとどまる。
解説数人の債権者または債務者がある場合、別段の意思表示がなければ、各人はそれぞれ等しい割合で権利を有し、または義務を負う(民法427条)。これを分割主義といい、多数当事者の債権・債務の原則である。たとえば3人が同じ債務を負っても、特約がなければ各自は3分の1ずつを負担するにとどまる。アはこの原則をそのまま述べており正しい。これに対し連帯債務(各人が全額の履行義務を負い、1人の弁済で全員が免れる)は、当事者の意思表示や法律に規定がある場合にはじめて生じる例外的な形態である。したがって『別段の意思表示がなくても常に全員が全額の連帯債務を負う』とするイは、原則と例外を逆にしており誤り。
補足この等しい割合は、債権者との対外的な関係で分かれるという意味である。債務者どうしの内部でどのように負担を分けるかは、別に取り決めることができる。
問17保証人の責任e-Gov等の一次資料で確認済み
保証人の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者が債務を履行しないときに履行する責任を負う。
- イ.保証人は、主たる債務者が履行しても必ず重ねて履行しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第446条第1項の「主たる債務者がその債務を履行しないとき」と一致するため正しい。
民法第446条第1項「主たる債務者がその債務を履行しないとき」一次資料を確認
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
民法第446条第1項「主たる債務者がその債務を履行しないとき」一次資料を確認
ひっかけ保証人は主債務者と重ねて二重に払う、と考えるとイを正しいと誤る。保証人が履行するのは主債務者が履行しないとき。
解説保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う(民法446条1項)。保証債務はあくまで主たる債務を補う補充的なもので、主たる債務者がきちんと弁済すれば保証人が重ねて履行する必要はなく、その負担も消える。アはこのとおりで正しい。イは主たる債務者が履行しても必ず重ねて履行しなければならないとするが、補充的性質に反し誤り。『主たる債務者が払わないときに初めて登場する』のが保証人である。
補足保証債務は主たる債務に付き従う性質(付従性)を持つ。主たる債務が弁済などで消滅すれば、保証債務も当然に消滅する。
問18保証債務の範囲(第5章)e-Gov等の一次資料で確認済み
保証債務の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証債務は、主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償など従たるものを包含する。
- イ.保証債務は、元本だけに限られ、利息や違約金を含むことはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第447条第1項の「利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの」と一致するため正しい。
民法第447条第1項「利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの」一次資料を確認
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
民法第447条第1項「利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの」一次資料を確認
ひっかけ保証は元本だけを保証する、と考えるとイを正しいと誤る。保証債務は利息・違約金など従たるものも含む。
解説保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する(民法447条1項)。保証人は主たる債務そのものに加え、それに付随して生じるこれらの負担についても責任を負う。アはこのとおりで正しい。イは保証債務が元本だけに限られ利息や違約金を含まないとするが、447条1項に反し誤り。保証をするときは、元本の額だけでなく利息や遅延損害金まで負担が及びうる点に注意が必要である。
補足これは、保証債務が主たる債務に付き従う(付従性)ことの表れである。保証人は、主たる債務に関する遅延損害金などについても責任を負いうる。
問19弁済の提供の効果e-Gov等の一次資料で確認済み
弁済の提供の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
- イ.弁済の提供をしただけで、債権者の受領の有無にかかわらず債務は常に消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第492条の「債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる」と一致するため正しい。
民法第492条「債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
民法第492条「債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる」一次資料を確認
ひっかけ弁済を提供すれば債務は消える、と考えるとイを正しいと誤る。提供で免れるのは債務不履行の責任で、債務そのものは消えない。
解説債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任(遅延損害金の発生など)を免れる(民法492条)。債権者が受け取ってくれなくても、きちんと提供すれば債務者は履行遅滞の責めを負わなくなる。アはこのとおりで正しい。イは提供しただけで受領の有無にかかわらず債務が常に消滅するとするが、492条が定めるのは責任を免れる効果であって、債務そのものが当然に消えるわけではないため誤り。債務を確定的に消すには、債権者の受領や供託などが別に必要になる。
補足提供しても債権者が受領しなければ債務は残るので、債務者は債務を確定的に消滅させる手段として供託(494条)を使うことになる。弁済の提供と供託は役割が異なる。
問20供託の要件e-Gov等の一次資料で確認済み
供託の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者が弁済の受領を拒み、又は受領できないとき、弁済者は供託により債務を免れることができる。
- イ.債権者が弁済を受領する場合でも、弁済者は常に供託しなければ債務を免れない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第494条第1項の「債権者がその受領を拒んだとき」と一致するため正しい。
ひっかけ弁済するには常に供託が必要、と考えるとイを正しいと誤る。供託が使えるのは受領拒否や受領不能などの場合。
解説債権者が弁済の受領を拒み、又は受領することができないときは、弁済者はその弁済の目的物を供託所に供託して、債務を免れることができる(民法494条1項)。債権者の都合で弁済できないのに債務者がいつまでも責任を負い続けるのは不公平なので、供託という手段が用意されている。アはこのとおりで正しい。イは債権者が受領する場合でも常に供託しなければ債務を免れないとするが、供託はあくまで受領拒否や受領不能などの場合の手段であり、通常は債権者に直接弁済すればよいため誤り。
補足弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも供託ができる(494条2項)。なお供託後も、債権者が供託物を受け取る前などは、弁済者は供託物を取り戻すことができる(496条1項)。
問21連帯保証の特則e-Gov等の一次資料で確認済み
連帯保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯保証人は、債権者から請求を受けたとき、まず主たる債務者に請求するよう求めること(催告の抗弁)ができる。
- イ.連帯保証人は、主たる債務者に弁済の資力があり執行が容易であることを証明して、まず主たる債務者の財産から執行するよう求めること(検索の抗弁)ができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 454条:前二条(452・453)の権利を有しない
民法第454条「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 454条:補充性がない
民法第454条「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない。」一次資料を確認
ひっかけ連帯保証人は『普通の保証人の2つの盾』を持たない。
解説連帯保証は、保証人が主たる債務者と『連帯して』債務を負うもので、補充性(まず主債務者に、という性質)がない。そのため、普通の保証人が持つ催告の抗弁(452条)と検索の抗弁(453条)を、連帯保証人は有しない(454条)。だから『まず主債務者に請求せよ』と言えるとするアも、『まず主債務者の財産から執行せよ』と言えるとするイも、ともに誤り。債権者は連帯保証人にいきなり全額を請求できる。結論はアー誤、イー誤。
補足普通の保証人は催告の抗弁(452条)・検索の抗弁(453条)を持つ。連帯保証はこれらを失う点が違い。
問22債権譲渡の対抗要件e-Gov等の一次資料で確認済み
債権譲渡の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知せず、債務者が承諾もしていなくても、債務者に対抗することができる。
- イ.債務者以外の第三者に対抗するためには、通知又は承諾を口頭で行えば足りる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 467条1項:対抗要件
民法第467条第1項「債権の譲渡…は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 467条2項:口頭では不可
民法第467条第2項「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」一次資料を確認
ひっかけ第三者に勝つには『確定日付』。口頭の通知では足りない。
解説債権譲渡を債務者に主張するには、譲渡人から債務者への通知、または債務者の承諾が必要である(467条1項)。だから『通知も承諾もなくても対抗できる』とするアは誤り。さらに、債務者以外の第三者(別の譲受人など)に対抗するには、その通知・承諾を確定日付のある証書で行わなければならない(同条2項)。だから『口頭で足りる』とするイも誤り。結論はアー誤、イー誤。
補足二重譲渡では、確定日付ある通知が債務者に到達した日時(又は確定日付ある承諾の日時)の先後で優劣が決まる。
問23相殺の要件e-Gov等の一次資料で確認済み
相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.二人が互いに同種の目的を有する債務を負担し、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者はその対当額について相殺によって債務を免れることができる。
- イ.債務の性質が相殺を許さないときは、相殺をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 505条1項本文:相殺適状
民法第505条第1項本文「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 505条1項ただし書
民法第505条第1項ただし書「ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」一次資料を確認
ひっかけ相殺は『対当額』で双方の債権をぶつけて消す簡便な回収手段。
解説互いに同種の目的の債務を負い、双方が弁済期にあれば(相殺適状)、各当事者は対当額について相殺で債務を消せる(505条1項本文)。だからアは正しい。ただし、債務の性質が相殺を許さないとき(たとえば現実の労務提供のように、ぶつけ合っても目的を達せられない債務)は相殺できない(同項ただし書)。だからイも正しい。結論はアー正、イー正。
補足相殺は当事者の一方の意思表示で行い、相手方の同意は要らない(506条)。担保を取らずに済む簡便な回収手段として実務で重要。
問24保証契約の方式e-Gov等の一次資料で確認済み
保証契約の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
- イ.保証契約は、当事者が口頭で合意すれば、書面がなくても有効に成立する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 要式行為(軽率な保証の防止)
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 書面が効力要件
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」一次資料を確認
ひっかけ保証は『口約束』では効力を生じない。書面が要る。
解説契約は原則として当事者の合意だけで成立するが、保証契約は例外で、書面でしなければ効力を生じない(民法446条2項)。保証人が安易に重い責任を引き受けてしまうのを防ぐためである。だから書面でした保証は有効(ア=正)で、口頭だけの保証は効力を生じない(イ=誤)。なお、契約内容を記録した電磁的記録(メール本文やPDF等の電子データ)でされた場合は、書面でされたものとみなされる(446条3項)。結論はアー正、イー誤。
補足保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、書面によってされたものとみなされる(446条3項)。
問25保証契約の成立(書面要件)と連帯保証と催告・検索の抗弁の横断確認e-Gov等の一次資料で確認済み
保証契約の成立(書面要件)と連帯保証と催告・検索の抗弁を横断して確認する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
- イ.(連帯保証でない)通常の保証人は、債権者から履行を請求されたとき、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 保証人の責任を定めた民法446条1項のとおりで正しい。保証債務は主たる債務者が履行しない場合に履行する補充的なものである。
民法第446条第1項「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 通常の保証人は催告の抗弁を有する(民法452条)。記述のとおりで正しい。
民法第452条「債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ異なる制度の要件や法律効果を一つのルールとして混同しない。
解説保証契約の成立(書面要件)と連帯保証と催告・検索の抗弁は、根拠条文と法律効果を分けて整理する。
補足各記述に付したe-Gov根拠を個別に確認する。
問26保証債務に含まれる従たる債務e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証債務は主債務の利息・違約金・損害賠償等も包含する。
- イ.保証債務は元本だけに限定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第447条の「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」に合致する。
民法第447条「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法第447条は「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第447条「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。」一次資料を確認
ひっかけ「保証債務は元本だけに限定される」とする点が民法第447条の定めと反する。
解説保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
補足民法第447条で「保証債務に含まれる従たる債務」の要件と効果を対応させる。
問27保証人の資力喪失と交替請求e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が無資力になっても交替請求は一切できない。
- イ.保証人が必要な資力を欠くに至れば、債権者は要件を備える者への交替を請求できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法第450条は「債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第450条「債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法第450条の「債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる」に合致する。
民法第450条「債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ「保証人が無資力になっても交替請求は一切できない」とする点が民法第450条の定めと反する。
解説債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
補足民法第450条で「保証人の資力喪失と交替請求」の要件と効果を対応させる。
問28保証人を立てられない場合の代替担保e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.要件を備える保証人を立てられないときは他の担保で代えることができる。
- イ.保証人を立てられなければ他の担保でも代替できない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第451条の「他の担保を供してこれに代えることができる」に合致する。
民法第451条「他の担保を供してこれに代えることができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法第451条は「他の担保を供してこれに代えることができる」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第451条「他の担保を供してこれに代えることができる。」一次資料を確認
ひっかけ「保証人を立てられなければ他の担保でも代替できない」とする点が民法第451条の定めと反する。
解説他の担保を供してこれに代えることができる。
補足民法第451条で「保証人を立てられない場合の代替担保」の要件と効果を対応させる。
問29連帯保証人の催告・検索の抗弁e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯保証人も通常の保証人と同様に両抗弁権を有する。
- イ.連帯保証人は催告・検索の抗弁権を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法第454条は「前二条の権利を有しない」と定めており、この記述は反対の結論である。
- イ.正しい
- 民法第454条の「前二条の権利を有しない」に合致する。
ひっかけ「連帯保証人も通常の保証人と同様に両抗弁権を有する」とする点が民法第454条の定めと反する。
解説前二条の権利を有しない。
補足民法第454条で「連帯保証人の催告・検索の抗弁」の要件と効果を対応させる。
問30保証人による主債務者の抗弁援用e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は主債務者が主張できる抗弁で債権者に対抗できる。
- イ.保証人は主債務者の抗弁を一切援用できない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第457条の「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」に合致する。
民法第457条「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法第457条は「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第457条「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。」一次資料を確認
ひっかけ「保証人は主債務者の抗弁を一切援用できない」とする点が民法第457条の定めと反する。
解説保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
補足民法第457条で「保証人による主債務者の抗弁援用」の要件と効果を対応させる。
問31受領権者外観への弁済の有効要件e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.弁済者に過失があっても常に有効である。
- イ.受領権者の外観を有する者への弁済は、弁済者が善意無過失なら有効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法第478条は「その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第478条「その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法第478条の「その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する」に合致する。
民法第478条「その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。」一次資料を確認
ひっかけ「弁済者に過失があっても常に有効である」とする点が民法第478条の定めと反する。
解説その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。
補足民法第478条で「受領権者外観への弁済の有効要件」の要件と効果を対応させる。
問32受領権者以外への弁済の効力範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受領権者以外への弁済は、原則として債権者が利益を受けた限度だけ有効である。
- イ.債権者が利益を受けなくても全額が常に有効となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第479条の「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する」に合致する。
民法第479条「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法第479条は「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第479条「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。」一次資料を確認
ひっかけ「債権者が利益を受けなくても全額が常に有効となる」とする点が民法第479条の定めと反する。
解説債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有する。
補足民法第479条で「受領権者以外への弁済の効力範囲」の要件と効果を対応させる。
問33代物弁済の効力発生e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代物弁済契約では他の給付をしなくても直ちに債務が消滅する。
- イ.他の給付で債務を消滅させる契約に基づき実際に給付すれば弁済と同じ効力を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法第482条は「その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第482条「その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法第482条の「その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する」に合致する。
民法第482条「その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。」一次資料を確認
ひっかけ「代物弁済契約では他の給付をしなくても直ちに債務が消滅する」とする点が民法第482条の定めと反する。
解説その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
補足民法第482条で「代物弁済の効力発生」の要件と効果を対応させる。
問34弁済費用の増加分負担e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者の住所移転等で弁済費用が増えたとき、その増加額は債権者が負担する。
- イ.住所移転で増えた費用も例外なく全額債務者が負担する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第485条の「その増加額は、債権者の負担とする」に合致する。
- イ.誤り
- 民法第485条は「その増加額は、債権者の負担とする」と定めており、この記述は反対の結論である。
ひっかけ「住所移転で増えた費用も例外なく全額債務者が負担する」とする点が民法第485条の定めと反する。
解説その増加額は、債権者の負担とする。
補足民法第485条で「弁済費用の増加分負担」の要件と効果を対応させる。
問35電磁的受取証書の請求e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受取証書は紙だけで電磁的記録を請求できない。
- イ.弁済者は受取証書に代えて内容を記録した電磁的記録を請求できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法第486条は「その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第486条「その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 民法第486条の「その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる」に合致する。
民法第486条「その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。」一次資料を確認
ひっかけ「受取証書は紙だけで電磁的記録を請求できない」とする点が民法第486条の定めと反する。
解説その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
補足民法第486条で「電磁的受取証書の請求」の要件と効果を対応させる。
問36弁済提供による責任免除e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者は弁済提供時から不履行による責任を免れる。
- イ.適法な弁済提供後も不履行責任は無条件に増え続ける。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第492条の「債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる」に合致する。
民法第492条「債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法第492条は「債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第492条「債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。」一次資料を確認
ひっかけ「適法な弁済提供後も不履行責任は無条件に増え続ける」とする点が民法第492条の定めと反する。
解説債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
補足民法第492条で「弁済提供による責任免除」の要件と効果を対応させる。
問37受領拒絶時の弁済供託e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受領拒絶時でも供託は一切できない。
- イ.弁済提供後に債権者が受領拒絶したとき、弁済者は供託できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法第494条は「債権者がその受領を拒んだとき」と定めており、この記述は反対の結論である。
- イ.正しい
- 民法第494条の「債権者がその受領を拒んだとき」に合致する。
ひっかけ「受領拒絶時でも供託は一切できない」とする点が民法第494条の定めと反する。
解説債権者がその受領を拒んだとき。
補足民法第494条で「受領拒絶時の弁済供託」の要件と効果を対応させる。
問38相殺意思表示への条件付加禁止e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.相殺の意思表示には条件や期限を付けられない。
- イ.相殺意思表示には自由に停止条件を付けられる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 相殺は当事者の一方から相手方に対する意思表示によってするもので、その意思表示には、条件又は期限を付することができない(民法506条1項)。例えば、「来月までに入金がなければ相殺する」という条件付きの相殺通知は、効力が認められない。
民法第506条「その意思表示には、条件又は期限を付することができない。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 停止条件も条件の一つであり、付けることはできない(同項)。一方的な意思表示によって相手方の立場を不安定にしないための規律と理解できる。例えば、「別の取引が成立したら相殺する」という通知も同じ扱いになる。
民法第506条「その意思表示には、条件又は期限を付することができない。」一次資料を確認
ひっかけ「停止条件ならよい」「期限なら構わない」と考えるとイでつまずく。相殺の意思表示には、停止条件も期限も付けられない。
解説相殺は、当事者の一方から相手方に対する意思表示によってする。この場合、その意思表示には、条件又は期限を付することができない(民法506条1項)。アはこの条文どおりで正しい。条件には停止条件も解除条件も含まれ、イのように停止条件を自由に付けることはできないため、イは誤り。なお、相殺の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって効力を生ずる(同条2項)。
補足相殺の意思表示は、双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって効力を生ずる(民法506条2項)。条件・期限を付けられないこととあわせて、相殺の意思表示の内容として押さえる。
問39履行地が異なる債務の相殺e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.履行地が異なるだけで相殺は常に禁止される。
- イ.双方の履行地が異なっても相殺できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 民法507条は双方の債務の履行地が異なるときでも相殺できると明記するため、履行地の相違だけを理由に一律禁止する記述は誤りであるため。
民法第507条「相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。」一次資料を確認
- イ.正しい
- 履行地の一致は相殺の要件ではなく、双方の債務が相殺適状にあれば、履行地が異なっていても相殺の意思表示をすることができるため。
民法第507条「相殺は、双方の債務の履行地が異なるときであっても、することができる。」一次資料を確認
ひっかけ別々の場所で履行すべき債務は決済できない、場所の違いだけで相殺禁止になると考えるのがひっかけである。
解説相殺では双方の債務の目的・弁済期など相殺適状を確認するが、履行地が同じであることは要件ではない。異なる履行地でも相殺できる。
補足自働債権と受働債権を特定し、相殺適状と禁止事由を確認する。履行地の相違による損害があれば別途賠償問題として整理する。
問40時効消滅債権による相殺e-Gov等の一次資料で確認済み
債権の管理・回収に関する次のア・イの正誤の組合せとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効消滅前に相殺適状なら、その債権で相殺できる。
- イ.時効消滅債権は相殺適状の時期を問わず絶対に相殺できない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 民法第508条の「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる」に合致する。
民法第508条「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」一次資料を確認
- イ.誤り
- 民法第508条は「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる」と定めており、この記述は反対の結論である。
民法第508条「時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。」一次資料を確認
ひっかけ「時効消滅債権は相殺適状の時期を問わず絶対に相殺できない」とする点が民法第508条の定めと反する。
解説時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。
補足民法第508条で「時効消滅債権による相殺」の要件と効果を対応させる。
問41少額訴訟の対象となる請求と申述の時期e-Gov等の一次資料で確認済み
少額訴訟に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.少額訴訟による審理及び裁判を求めることができるのは、訴訟の目的の価額が140万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えである。
- イ.少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の後であれば、口頭弁論が終結するまでの間、いつでもすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 少額訴訟を利用できるのは、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払を求める訴えである(民事訴訟法368条1項)。140万円は、簡易裁判所が扱える事件の上限で、別の基準である。例えば、100万円の貸金の請求では、少額訴訟は使えない。
民事訴訟法第368条第1項「訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 少額訴訟を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない(同条2項)。例えば、通常の訴えを起こして審理が進んでから、少額訴訟に切り替えたいと申し出ることはできない。
民事訴訟法第368条第2項「少額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない」一次資料を確認
ひっかけ少額訴訟の上限は60万円。申述は提起の際に行う。
解説簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる(民事訴訟法368条1項)。その旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない(同条2項)。
補足同一の簡易裁判所において同一の年に少額訴訟を求めることができる回数には、最高裁判所規則で定める上限がある(368条1項ただし書)。少額訴訟を求める者は、その年に求めた回数を届け出なければならない(同条3項)。
問42少額訴訟の一期日審理の原則と証拠調べの制限e-Gov等の一次資料で確認済み
少額訴訟の審理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.少額訴訟では、審理は、原則として、複数回の口頭弁論の期日を重ねて行われる。
- イ.少額訴訟では、証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限り、することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 少額訴訟は、簡易・迅速に紛争を解決する手続。そのため、複数回の期日を重ねるのではなく、原則として最初の期日で審理を終える一期日審理が原則になる。
民事訴訟法第370条第1項「少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 1回の期日で審理を終えるため、その場で調べられる証拠(持参した書類など)に限られる。後日の取調べが必要になる証拠は、原則として使えない。
民事訴訟法第371条「証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる」一次資料を確認
ひっかけ少額訴訟は原則1回で終わり、証拠もその場で調べられるものに限る。
解説少額訴訟においては、特別の事情がある場合を除き、最初にすべき口頭弁論の期日において、審理を完了しなければならない(民事訴訟法370条1項)。当事者は、その期日前又は期日において、すべての攻撃又は防御の方法を提出しなければならない(同条2項)。証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる(371条)。
補足口頭弁論が続行されたときは、期日前又は期日にすべての攻撃防御の方法を提出しなければならないという2項の制限は、適用されない(370条2項ただし書)。
問43支払督促の要件と申立先の裁判所書記官e-Gov等の一次資料で確認済み
支払督促に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる。
- イ.支払督促の申立ては、原則として、債権者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 支払督促を発するのは裁判官ではなく裁判所書記官で、対象は金銭その他の代替物や有価証券の一定の数量の給付を求める請求である(民事訴訟法382条)。例えば、貸した100万円の返済を求める請求に使える。
民事訴訟法第382条「金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、支払督促を発することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 申立先は、債権者の所在地ではなく、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官である(同法383条1項)。例えば、債権者が東京、債務者が大阪に住んでいるなら、申立ては大阪を管轄する簡易裁判所にする。
民事訴訟法第383条第1項「支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする」一次資料を確認
ひっかけ支払督促を発するのは書記官で、申立先は債務者の側の裁判所。
解説金銭その他の代替物又は有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求については、裁判所書記官が、債権者の申立てにより支払督促を発することができる(民事訴訟法382条)。申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする(383条1項)。
補足支払督促は、債務者を審尋しないで発せられる(386条1項)。債務者は、支払督促に対し、これを発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所に督促異議の申立てをすることができる(同条2項)。
問44抵当権の物上代位(賃料等・差押えの時期)e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権の物上代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権者は、抵当不動産の賃貸によって債務者が受けるべき金銭に対しても、抵当権を行使することができる。
- イ.物上代位権を行使するには、債務者がその金銭の払渡し又は引渡しを受ける前に、差押えをしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 372条によって304条が抵当権に準用される。304条は、目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物にも権利を行使できると定めており、賃貸による賃料もこれに含まれる。
民法第372条「第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する」一次資料を確認
民法第304条第1項「その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 304条1項ただし書が、払渡し又は引渡しの前に差押えをすることを要件として定めている。債務者への払渡しなどが済んだ後では、物上代位権を行使できない。
民法第304条第1項ただし書「先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない」一次資料を確認
ひっかけ物上代位は、金銭が債務者に渡る前に差し押さえる必要がある。
解説先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使できるが、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない(民法304条1項)。この規定は抵当権に準用される(372条)。
補足先取特権の目的物につき債務者が設定した物権の対価についても、同様に物上代位が認められる(304条2項)。
問45詐害行為取消請求に係る訴えの期間制限e-Gov等の一次資料で確認済み
詐害行為取消請求に係る訴えの提起期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したときは、提起することができない。
- イ.詐害行為取消請求に係る訴えは、債権者がその行為を知らなかった場合には、行為の時から20年を経過するまで提起することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 詐害行為取消請求の訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を過ぎると、提起できない(民法426条)。例えば、債務者の財産隠しを知った日から2年が過ぎると、訴えは起こせない。
民法第426条「詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から二年を経過したときは、提起することができない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 債権者が行為を知らなかった場合でも、行為の時から10年を経過すると、訴えは提起できない(同条)。20年ではない。例えば、債権者が財産隠しにずっと気づかなくても、行為から10年が過ぎれば、訴えは起こせない。
民法第426条「行為の時から十年を経過したときも、同様とする」一次資料を確認
ひっかけ2年は「知った時」から、10年は「行為の時」から数える。
解説詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したとき、又は行為の時から10年を経過したときは、提起することができない(民法426条)。
補足詐害行為取消請求の要件は424条1項が定める。債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求できる。
問46連帯債務者の一人について生じた事由の効力(相対的効力の原則)e-Gov等の一次資料で確認済み
連帯債務者の一人について生じた事由の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
- イ.連帯債務者の一人について生じた事由は、法律に別段の定めがある場合を除いても、他の連帯債務者に対して当然にその効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 連帯債務者の一人と債権者との間に更改があると、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する(民法438条)。例えば、AとBの連帯債務で、Aが債権者と更改の契約を結べば、Bの債務も消える。
民法第438条「連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 更改・相殺・混同などの場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に効力を生じない(相対的効力の原則。同法441条)。例えば、債権者がAに請求しても、Bに請求したことにはならない。
民法第441条「連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけ連帯債務は「相対的効力」が原則。絶対的効力があるのは更改などに限られる。
解説連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は全ての連帯債務者の利益のために消滅する(民法438条)。混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされる(440条)。これらの場合を除き、連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない(441条)。
補足441条ただし書は、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、その連帯債務者に対する効力は、その意思に従うと定める。
問47事業のための貸金等債務の保証と公正証書による保証意思の確認e-Gov等の一次資料で確認済み
事業のために負担した貸金等債務の保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、原則として、保証人になろうとする者が書面により保証意思を表示すれば足り、公正証書を作成する必要はない。
- イ.この保証意思を表示する公正証書は、保証契約の締結に先立ち、その締結の日前1か月以内に作成されたものでなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 書面での意思表示では足りない。保証契約の効力を生じさせるには、公正証書による保証意思の表示が要件になる。
民法第465条の6第1項「事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 契約と同時や契約後ではなく、締結の前に、しかも締結の日前1か月以内という時期の制限がある。
民法第465条の6第1項「その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書」一次資料を確認
ひっかけ公正証書は契約の前、1か月以内。書面だけでは足りない。
解説事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約や、その債務が範囲に含まれる根保証契約は、契約の締結に先立ち、その締結の日前1か月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、効力を生じない(民法465条の6第1項)。
補足公正証書の作成には、保証人になろうとする者が、主たる債務の内容や、主たる債務者が履行しないときに全額について履行する意思を有していることを、公証人に口授することが必要になる(465条の6第2項1号)。
問48債権者代位権の要件と代位行使の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
債権者代位権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者は、その債権の期限が到来しない間であっても、保存行為に限らず、債務者に属する権利を行使することができる。
- イ.債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 期限が到来する前は、原則として債務者の権利に代位して行使することはできない。例外は、権利の現状を維持する保存行為に限られる。
民法第423条第2項「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 代位行使は、債権者が自己の債権を保全するために認められる。目的が可分であれば、自己の債権の額を超える部分まで行使することはできない。
民法第423条の2「債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる」一次資料を確認
ひっかけ期限前は保存行為だけ。可分なら自己の債権額の限度まで。
解説債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(被代位権利)を行使できる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない(民法423条1項)。債権の期限が到来しない間は、保存行為を除き、被代位権利を行使できず(同条2項)、強制執行により実現できない債権のときも行使できない(同条3項)。
補足被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度でのみ行使できる(423条の2)。
問49仮差押命令の要件と条件付・期限付債権e-Gov等の一次資料で確認済み
仮差押えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権に限らず、特定の物の引渡しを求める債権についても、発することができる。
- イ.仮差押命令は、被保全債権が条件付又は期限付である場合には、発することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 仮差押命令を発することができるのは、金銭の支払を目的とする債権に限られる(民事保全法20条1項)。例えば、「この機械を引き渡せ」という請求権を守る手続としては使えない(物の現状の変更を防ぐ手続は、係争物に関する仮処分として民事保全法23条1項に別に定められている)。仮差押えは、お金を回収するための強制執行ができなくなる事態に備える手続である。
民事保全法第20条第1項「仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 被保全債権が条件付や期限付でも、仮差押命令は発することができる(同条2項)。例えば、「3か月後に支払う」という期限付の貸金でも、期限の前に財産を処分されて回収できなくなるおそれがあれば、先に財産を押さえられる。
民事保全法第20条第2項「仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる」一次資料を確認
ひっかけ対象は「金銭債権」だけ。条件付・期限付でも使える。
解説仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる(民事保全法20条1項)。その債権が条件付又は期限付である場合にも、発することができる(同条2項)。
補足仮差押えは、債権の回収を確実にするため、判決などを得る前に債務者の財産を保全する手続にあたる。強制執行そのものではない。
問50強制執行の債務名義(確定判決・支払督促・執行証書)e-Gov等の一次資料で確認済み
強制執行の債務名義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決や、仮執行の宣言を付した支払督促は、強制執行を行うための債務名義になる。
- イ.金銭の一定の額の支払を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているものは、債務名義になる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 強制執行は、債務名義という公的な文書に基づいて行う。裁判で確定した判決のほか、仮執行の宣言を付した支払督促も、これに含まれる。
- イ.正しい
- 裁判を経なくても、公正証書に、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述があれば、債務名義として強制執行ができる。
民事執行法第22条第5号「金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載され、又は記録されているもの」一次資料を確認
ひっかけ債務名義には、判決のほか、支払督促や公正証書もある。
解説強制執行は、債務名義により行う(民事執行法22条)。債務名義には、確定判決(1号)、仮執行の宣言を付した判決(2号)、仮執行の宣言を付した支払督促(4号)、金銭の一定の額の支払などを目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(執行証書、5号)などがある。
補足強制執行は、執行文の付された債務名義の正本に基づいて実施する(25条)。ただし、少額訴訟における確定判決や、仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促による強制執行は、その債務名義の正本に基づいて実施する(同条ただし書)。
問51破産手続開始の原因(支払不能と支払停止の推定)e-Gov等の一次資料で確認済み
破産手続の開始に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
- イ.債務者が支払を停止したときでも、支払不能にあるものとは推定されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、申立てにより、決定で、破産手続を開始する(破産法15条1項)。破産手続開始の原因は、支払不能である。例えば、収入や資産が乏しく、弁済期の来た債務を一般的に返せない状態が、これにあたる。
破産法第15条第1項「債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定される(同条2項)。例えば、債務者が「もう支払えない」と債権者に通知して支払をやめたときは、申立人が支払不能そのものを証明しなくても、推定が働く。推定されないとする点が誤りである。
破産法第15条第2項「債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する」一次資料を確認
ひっかけ破産の原因は支払不能。支払停止は支払不能の推定になる。
解説債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、申立てにより、決定で、破産手続を開始する(破産法15条1項)。債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する(同条2項)。
補足債務者が法人である場合は、破産手続開始の原因が、支払不能に加えて債務超過(その債務につき、その財産をもって完済することができない状態)にも広がる(16条1項)。
問52預金口座への払込みによる弁済の効力発生時期e-Gov等の一次資料で確認済み
債権者の預金口座への振込みによる弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者の預金の口座に対する払込みによってする弁済は、債務者が払込みの手続をした時に、その効力を生ずる。
- イ.債権者の預金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者(銀行など)に対して払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる(民法477条)。債務者が振込みの手続をした時ではない。例えば、振込みを依頼しても、債権者の口座で払戻しを請求できる状態にならない間は、弁済の効力は生じない。
民法第477条「債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 弁済の効力が生ずるのは、債権者が払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時である(同条)。例えば、債務者が代金を債権者の口座に振り込み、その入金によって債権者が銀行に対して払戻しを請求できるようになった時に、弁済の効力が生ずる。
民法第477条「債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる」一次資料を確認
ひっかけ振込みの手続をした時ではなく、債権者が払戻請求権を取得した時。
解説債権者の預金又は貯金の口座に対する払込みによってする弁済は、債権者がその預金又は貯金に係る債権の債務者に対してその払込みに係る金額の払戻しを請求する権利を取得した時に、その効力を生ずる(民法477条)。
補足弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる(民法493条)。
問53債権譲渡における債務者の抗弁と相殺e-Gov等の一次資料で確認済み
債権譲渡における債務者の抗弁と相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって、譲受人に対抗することができる。
- イ.債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺を、譲受人に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 主張できるかどうかの基準時は、譲渡の時ではなく「対抗要件具備時」。
民法第468条第1項「債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 相殺の基準時も、対抗要件具備時(取得が前か後か)。
民法第469条第1項「債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる」一次資料を確認
ひっかけ債権譲渡の「対抗要件具備時」を基準に、債務者が主張できる抗弁と相殺が決まる。
解説債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる(民法468条1項)。債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる(同法469条1項)。
補足債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権でも、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じたものなどであれば、相殺を譲受人に対抗できる(民法469条2項)。
問54催告による時効の完成猶予e-Gov等の一次資料で確認済み
催告による時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.催告があったときは、その時から1年を経過するまでの間は、時効は完成しない。
- イ.催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 1年という期間は、協議を行う旨の合意の完成猶予(151条1項)で出てくる。
民法第150条第1項「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 完成猶予を重ねて延ばすことを防ぐ規定。
民法第150条第2項「催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」一次資料を確認
ひっかけ催告の完成猶予は「6箇月」で、再度の催告で延ばすことはできない。
解説催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は完成しない。催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しない(民法150条)。
補足催告による完成猶予の間に、協議を行う旨の合意をしても、その合意は完成猶予の効力を有しない(民法151条3項)。
問55協議を行う旨の合意による時効の完成猶予e-Gov等の一次資料で確認済み
協議を行う旨の合意による時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過した時などのいずれか早い時までの間は、時効は完成しない。
- イ.権利についての協議を行う旨の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 協議の合意による猶予は、合意の時から原則1年が上限。
民法第151条第1項「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない」一次資料を確認
民法第151条第1項「その合意があった時から一年を経過した時」一次資料を確認
- イ.正しい
- 電子メールなどで合意を残す場合も、猶予の対象になる。
民法第151条第4項「第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録」一次資料を確認
民法第151条第4項「によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する」一次資料を確認
ひっかけ協議の合意による完成猶予の要件は「書面」。電磁的記録でも書面とみなされる。
解説権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、その合意があった時から1年を経過した時、合意で協議期間(1年未満)を定めたときはその期間を経過した時、協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときはその通知の時から6箇月を経過した時のうち、いずれか早い時までの間は、時効は完成しない。合意が電磁的記録でされたときは、書面によってされたものとみなされる(民法151条)。
補足協議を行う旨の合意による猶予の間にされた再度の合意にも猶予の効力があるが、その効力は、本来時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない(民法151条2項)。
問56確定判決で確定した権利の消滅時効e-Gov等の一次資料で確認済み
確定判決で確定した権利の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.確定判決によって確定した権利の時効期間は、もとの時効期間にかかわらず、5年となる。
- イ.確定判決によって確定した権利について時効期間を10年とする規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権にも適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 判決で確定すると、短期の時効期間が10年に延びる。
民法第169条第1項「十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 将来の債権まで一律に10年にはならない、という例外。
民法第169条第2項「前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない」一次資料を確認
ひっかけ判決で確定した権利の時効は「10年」だが、確定時に弁済期が来ていない債権は対象外。
解説確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は10年とする。ただし、確定の時に弁済期の到来していない債権については、この規定は適用しない(民法169条)。
補足債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間行使しないときに、時効によって消滅する(民法166条1項)。
問57保証人の求償権(委託の有無)e-Gov等の一次資料で確認済み
保証人の求償権(委託の有無)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者の委託を受けて保証をした者と同じ範囲で、求償権を有する。
- イ.保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をし、主たる債務者に代わって弁済をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額の求償権を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 委託の有無・意思に反するかどうかで、求償できる範囲が変わる。
民法第462条第2項「主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 支出額が消滅した主たる債務の額を超えるときは、消滅した額が上限になる。
民法第459条第1項「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為」一次資料を確認
民法第459条第1項「主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額」一次資料を確認
ひっかけ保証人の求償の範囲は、委託を受けたか、意思に反するかで大きく変わる。
解説保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額(消滅した主たる債務の額を超える場合は、その消滅した額)の求償権を有する(民法459条1項)。主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する(同法462条2項)。
補足主たる債務者の委託を受けないで保証をした者が債務の消滅行為をした場合の求償権は、民法459条の2第1項が準用される(民法462条1項)。
問58連帯債務者間の求償権e-Gov等の一次資料で確認済み
連帯債務者間の求償権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯債務者の一人が弁済をして共同の免責を得たときは、その免責を得た額が自己の負担部分を超える場合に限り、他の連帯債務者に対して求償権を有する。
- イ.連帯債務者間の求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 条文は、自己の負担部分を超えたかどうかを求償の要件にしていない。
民法第442条第1項「その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」一次資料を確認
- イ.正しい
- 元本だけでなく、利息・費用・損害も求償の対象になる。
民法第442条第2項「前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する」一次資料を確認
ひっかけ連帯債務者間の求償は、負担部分を超えて払ったかどうかを問わない。
解説連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し、その免責を得るために支出した財産の額のうち各自の負担部分に応じた額の求償権を有する。この求償は、免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する(民法442条)。
補足連帯債務者の一人について生じた事由の効力は、原則として他の連帯債務者に及ばない(相対的効力の原則。民法441条)。
問59差押えを受けた債権と相殺e-Gov等の一次資料で確認済み
差押えを受けた債権と相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺を、差押債権者に対抗することができる。
- イ.差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、第三債務者は、その債権による相殺を差押債権者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 基準は「差押え前か後か」で、取得の時期で決まる。
民法第511条第1項「差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 例外として、差押え後に他人の債権を取得した場合は対抗できない(同項ただし書)。
民法第511条第2項「差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる」一次資料を確認
ひっかけ差押え後に取得した債権でも、差押え前の原因に基づくなら相殺を対抗できる。
解説差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときも、その債権による相殺を対抗できる。ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない(民法511条)。
補足差押えを禁じた債権を受働債権とする相殺はできない(民法510条)。
問60差押禁止債権を受働債権とする相殺と債権譲渡後の相殺e-Gov等の一次資料で確認済み
差押禁止債権を受働債権とする相殺と債権譲渡後の相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組合せとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。
- イ.債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権は、その債権が対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じたものであっても、その債権による相殺を譲受人に対抗することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 差押えを禁じた債権は、相殺の受働債権にできない。
民法第510条「債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 原因の時期で判断する点は、差押え後の相殺(511条2項)にもある。
民法第469条第2項第1号「債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、その債権が次に掲げるものであるときは、前項と同様とする」一次資料を確認
民法第469条第2項第1号「対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権」一次資料を確認
ひっかけ債権譲渡の相殺は、「取得の時期」だけでなく「生じた原因の時期」も見る。
解説債権が差押えを禁じたものであるときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない(民法510条)。債務者が対抗要件具備時より後に取得した譲渡人に対する債権であっても、対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権などであるときは、相殺を譲受人に対抗できる(同法469条2項)。
補足債務者が対抗要件具備時より後に他人の債権を取得したときは、469条2項の例外は使えない(民法469条2項ただし書)。