問1保証契約の成立(要式性)e-Gov等の一次資料で確認済み
保証契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
- イ.保証契約は、当事者の口頭の合意のみで効力を生じ、書面によることを要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 補充的な責任 → 主債務不履行が前提
民法第446条第1項「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」一次資料を確認
- イ.誤り
- 軽率な保証を防ぐ → 要式契約
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけ保証は重い責任を負わせる契約だからこそ、口約束では足りず書面が要求される。
解説アは保証人の責任内容、イは保証契約の成立形式を問う。アについて、保証人は主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う(民法446条1項)。保証債務は主債務を補う責任であり、アは条文どおり正しい。イは『口頭の合意のみで効力を生じる』とするが、保証契約は書面でしなければ効力を生じない(同条2項)。頼まれて安易に引き受けたのに後で重い負担を負う事故が多いため、保証人を保護する趣旨で要式契約とされている。口頭だけの保証は無効で、イは誤り。よってアは正しく、イは誤り。
補足書面の代わりに、その内容を記録した電磁的記録によってした保証契約も書面によるものとみなされ有効に成立する(446条3項)。電子契約での保証も明文で認められている。
問2連帯保証(催告・検索の抗弁)e-Gov等の一次資料で確認済み
保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯保証人は、債権者から債務の履行を請求されたとき、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求する催告の抗弁を主張することができる。
- イ.単純保証人は、債権者が主たる債務者に催告をした後でも、主たる債務者に弁済の資力がありかつ執行が容易であることを証明すれば、まず主たる債務者の財産に執行するよう求めることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 連帯 → 補充性が後退
民法第454条「保証人は、主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 補充性 → 先に主債務者へ
民法第453条「保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない」一次資料を確認
ひっかけ「保証人ならどんな場合も、まず主債務者に請求するよう言える」と考えると、アを正にしてしまう。連帯保証人にはその抗弁がない。
解説保証人がいきなり債権者から請求されたとき、「まず主債務者に催告してくれ」と言えるのが催告の抗弁(民法452条)、「主債務者に資力があり執行も容易だから先にそちらへ」と言えるのが検索の抗弁(同453条)である。どちらも、保証はあくまで主債務者が払えないときの備えだという補充性から出てくる。ところが連帯保証人は主債務者と連帯して債務を負担するため、この前二条の権利を持たない(同454条)。だからアのように連帯保証人が催告の抗弁を主張する、というのは成り立たない。イは単純保証人が453条の検索の抗弁を行使する場面そのもので、資力と執行容易を証明すれば先に主債務者の財産へ執行させられる。連帯か単純かという一点で、アとイの結論が裏返る。
補足454条が奪うのは「前二条の権利」、つまり催告(452条)と検索(453条)の二つだけ。連帯保証人でも、主債務が時効消滅すればその援用や付従性による抗弁までなくなるわけではない。
問3抵当権(順位・効力の及ぶ範囲)e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
- イ.抵当権の効力は、設定行為に別段の定めがない限り、抵当不動産に付加して一体となっている物には及ばない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 公示 → 登記順で優劣
民法第373条「同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による」一次資料を確認
- イ.誤り
- 一体物 → 抵当権の効力内
民法第370条「その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ」一次資料を確認
ひっかけイの「付加して一体となっている物には及ばない」は、原則と例外を逆さにした言い回し。原則は及ぶ方。
解説同一の不動産には抵当権を複数設定でき、その優劣(順位)は登記の前後で決まる(民法373条)。先に登記した抵当権が上位に立つという、登記による公示の表れである。アはこれをそのまま述べているので正しい。イは効力の物的範囲の話で、抵当権の効力は抵当不動産に付加して一体となっている物(付加一体物)に及ぶのが原則である(同370条)。設定行為で別段の定めを置けば別だが、何もなければ「及ぶ」が出発点なので、「及ばない」と言い切るイは誤り。順位を聞く肢と、効力の届く範囲を聞く肢が並んでいる。
補足付加一体物には及ぶ一方、抵当不動産から分離・搬出された動産には原則として効力が及ばなくなる。「一体かどうか」が及ぶ範囲の境目になる。
問4保証債務の付従性(範囲・加重)e-Gov等の一次資料で確認済み
保証債務の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証債務は、主たる債務の元本に限られ、主たる債務に関する利息や損害賠償には及ばない。
- イ.主たる債務の目的または態様が保証契約の締結後に加重されたときは、保証人の負担もこれに応じて加重される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する(民法447条1項)。例えば、主債務者が元本100万円と約定利息を払わないとき、保証人は利息や遅延損害金についても責任を負う。
民法第447条第1項「保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない(民法448条2項)。例えば、保証後に債権者と主債務者が利率を引き上げる合意をしても、保証人はその引上げ分まで負担しない。保証人が引き受けたのは、契約時点の主債務だからである。
民法第448条第2項「主たる債務の目的又は態様が保証契約の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない」一次資料を確認
ひっかけ「保証は元本だけ」「主債務が増えれば保証も増える」のどちらも条文と逆で、アもイも誤りになる。
解説保証債務は主たる債務に付き従う(付従性)。その範囲も主債務だけにとどまらず、主債務に関する利息・違約金・損害賠償その他従たるものすべてに及ぶ(民法447条1項)。だから「元本に限られ利息や損害賠償には及ばない」とするアは誤り。もう一方、保証人は保証を引き受けた時点の負担を前提にしている。そこで保証契約の締結後に主たる債務の目的または態様が加重されても、保証人の負担はそれに連動して重くならない(同448条2項)。アとイは方向が逆で、付従性で範囲は従たるものまで広がるのに、締結後の一方的な加重は保証人に届かない。両方とも「保証人の負担はこう動く」という思い込みを外したところに正解がある。
補足448条には1項もあり、主債務より重い保証は主債務の限度に減縮される。締結後の加重を遮断する2項と合わせ、保証人の負担が主債務を超えない仕組みになっている。
問5委託を受けた保証人の求償権e-Gov等の一次資料で確認済み
保証人の求償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者の委託を受けて保証をした保証人が弁済をしたときは、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額の求償権を有する。
- イ.保証人は、その保証債務についてのみ、違約金または損害賠償の額を約定することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 委託+弁済 → 主債務者に求償
民法第459条第1項「主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為」一次資料を確認
民法第459条第1項「主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額」一次資料を確認
- イ.正しい
- 保証人独自の約定 → 自己の保証債務に限る
民法第447条第2項「保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を約定することができる」一次資料を確認
ひっかけイの「保証債務についてのみ」が引っかけどころ。保証人が約定で重くできるのは自分の保証債務だけで、主債務ではない。
解説主たる債務者から頼まれて(委託を受けて)保証した者が、弁済その他自己の財産で主債務を消滅させたときは、本来支払うべき主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額を求償できる(民法459条1項)。アはこの立替払いの清算をそのまま述べていて正しい。イは別の論点で、保証人は主債務の内容そのものは動かせないが、自分の保証債務についてだけは違約金や損害賠償の額をあらかじめ約定できる(同447条2項)。これも正しい。弁済後に主債務者へ向ける求償と、保証人が自分の債務に上乗せできる約定とは、別々の条文が支えている。
補足委託を受けた保証人は、一定の場合に弁済前でも求償できる(460条の事前求償)。委託がない保証人だと求償の範囲はさらに狭まり、委託の有無が清算の手厚さを分ける。
問6法定地上権e-Gov等の一次資料で確認済み
法定地上権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地とその上の建物が別々の所有者に属する場合に、土地に抵当権が設定されて実行されたときは、その建物のために法定地上権が成立する。
- イ.土地とその上の建物が同一の所有者に属し、その一方に抵当権が設定されて実行され、所有者を異にするに至ったときは、その建物について地上権が設定されたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 土地と建物がもともと別々の所有者に属しているときは、法定地上権は成立しない(民法388条)。要件は、抵当権の設定時に土地と建物が同一の所有者に属していることである。例えば、Bの土地にAの建物が建っているとき、土地の抵当権が実行されても、Aの建物のための法定地上権は成立しない。
民法第388条「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において」一次資料を確認
- イ.正しい
- 土地と建物が同一の所有者に属し、その一方に抵当権が設定されて実行され、所有者が別々になったときは、建物について地上権が設定されたものとみなされる(同条)。例えば、自分の土地に自分の建物を持つAが土地に抵当権を設定し、競売で土地をBが買うと、Aの建物のために地上権が成立する。
民法第388条「その建物について、地上権が設定されたものとみなす」一次資料を確認
ひっかけアの「土地に抵当権が付いて実行されれば成立」では足りない。設定時に土地も建物も同じ所有者だったか、がもう一つの関門。
解説土地と建物は別個の不動産なので、抵当権の実行で両者の所有者が分かれると、建物は敷地を使う権利を失い、取り壊さざるを得なくなりかねない。これを避けるのが法定地上権で、抵当権設定時に土地と建物が同一の所有者に属していた場合に、実行で所有者が分かれたとき建物のために地上権が設定されたものとみなす(民法388条)。出発点は「設定時に同一所有者」であること。アは土地と建物がもともと別々の所有者という前提なので、この要件を欠き、法定地上権は成立しない。イは同一所有者の土地建物の一方に抵当権が設定され、実行で所有者を異にするに至った場面そのもので、388条の効果どおり建物に地上権が成立する。アとイの分かれ目は、抵当権設定の時点で所有者が一人だったかどうかにある。
補足もともと別所有者なら、建物側は最初から賃借権なり地上権なりの敷地利用権を持っているはずで、法定地上権で補う必要がない。要件が「同一所有者」に絞られるのはそのためである。
問7抵当権の内容(非占有担保・優先弁済権)e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権者は、債務者または第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- イ.地上権および永小作権も、抵当権の目的とすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 非占有担保 → 優先弁済
民法第369条第1項「抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 不動産以外の物権 → 一部は抵当可
民法第369条第2項「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」一次資料を確認
ひっかけアの「占有を移転しないで」は抵当権の核心。ここを質権と取り違えなければ、アは素直に正と読める。
解説抵当権は、目的物の占有を債権者に移さずに担保にでき、債務が弁済されないとき目的不動産から他の債権者に先立って優先弁済を受けられる権利である(民法369条1項)。アはこの定義をそのまま述べていて正しい。占有を移さないので、債務者は担保に入れた不動産をそのまま使い続けられ、ここが引渡しを要する質権との違いになる。イは目的物の話で、抵当権の目的は不動産に限らず、地上権および永小作権も対象にできる(同条2項)。これも正しい。占有を残したまま優先弁済という性質と、目的にできる権利の広がりが、369条の1項と2項に分かれて置かれている。
補足もっとも優先弁済が及ぶ利息その他の定期金は、満期となった最後の2年分に限られる(375条)。後順位抵当権者や一般債権者の取り分を守るための上限で、利息が無制限に優先するわけではない。
問8弁済による代位e-Gov等の一次資料で確認済み
弁済による代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
- イ.債権者に代位した者は、自己の求償権の範囲とは無関係に、債権者が有していた一切の権利を無制限に行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 弁済による代位
民法第499条「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 求償権の範囲
民法第501条第2項「債権者に代位した者が自己の権利に基づいて債務者に対して求償をすることができる範囲内」一次資料を確認
ひっかけイの「求償権の範囲とは無関係に無制限に」が誤り。代位による権利行使は、自分が債務者に求償できる範囲内に限られる(501条2項)。
解説保証人や物上保証人など、債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する(弁済による代位。民法499条)。アはこの文言どおりで正しい。代位した者は債権の効力および担保として債権者が有していた一切の権利を行使できるが(同501条1項)、その行使は、自己の権利に基づいて債務者に求償できる範囲内に限られる(同条2項)。立替えた分を回収するための制度だからである。イは求償権の範囲と無関係に一切の権利を無制限に行使できるとする点で誤り。
補足債権の一部だけを代位弁済したときは、代位者は債権者の同意を得たうえで、弁済額に応じて債権者とともに権利を行使することになる(502条1項)。全部弁済の場合と扱いが分かれる。
問9催告の抗弁と連帯保証人について生じた事由e-Gov等の一次資料で確認済み
保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときであっても、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求することができる。
- イ.連帯保証人について生じた事由は、更改があった場合であっても、主たる債務者に対して一切効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 債権者が保証人に債務の履行を請求したとき、保証人は、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求できる(催告の抗弁)。しかし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない(民法452条)。例えば、主債務者が破産している場合は、催告の抗弁を主張できず、債権者は保証人に直接請求できる。
民法第452条「主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人(連帯保証人)について生じた事由には、民法438条、439条1項、440条及び441条の規定が準用される(民法458条)。438条は更改に関する規定で、連帯保証人について更改があったときは、主たる債務者にも効力が及ぶ。「一切効力を生じない」とする点が誤りである。ただし、準用されるもの以外の事由は、原則として主たる債務者に効力を及ぼさない(441条)。
民法第458条「第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する」一次資料を確認
ひっかけアは催告の抗弁に例外がない前提、イは連帯保証人の事由が主債務者に全く及ばない前提で、どちらも言いすぎ。452条ただし書の例外と458条の準用があるため両方誤り。
解説単純保証人は、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求できる催告の抗弁を有する(民法452条本文)。ただし主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、またはその行方が知れないときは、この抗弁を主張できない(同条ただし書)。アはこの例外を無視して破産の場合にも催告の抗弁を行使できるとする点で誤り。また連帯保証人について生じた事由のうち、更改(438条)・相殺(439条1項)・混同(440条)は、主たる債務者について生じた事由として準用される(同458条)。イは更改があっても主たる債務者に一切効力を生じないとする点で、この準用に反し誤り。
補足連帯保証人には452条の催告の抗弁・453条の検索の抗弁がそもそも認められていない(454条)。アで問題になる催告の抗弁は、連帯でない単純保証人の話である。
問10抵当権と物上代位(規定の準用)e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権には、先取特権の物上代位に関する規定その他の留置権・先取特権に関する一定の規定が準用されることはない。
- イ.抵当権については、先取特権の物上代位に関する規定(民法304条)等が準用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 準用
民法第372条「第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 物上代位
民法第372条「第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する」一次資料を確認
ひっかけ目的物が焼けて保険金請求権に化けても、抵当権はその金銭債権を追いかけられる。
解説抵当権には、留置権・先取特権に関する一定の規定が準用される(民法372条が296条・304条・351条を準用)。中心となるのが先取特権の物上代位を定めた304条の準用であり、抵当不動産が火災で焼失して火災保険金請求権に変わった場合や、第三者の不法行為で損害賠償請求権が生じた場合に、抵当権者はその金銭債権の上に抵当権を及ぼし優先弁済を受けられる。アは準用が及ばないとする点で誤り、イは物上代位の準用を正しく述べており正しい。
補足ただし304条1項ただし書により、物上代位を行使するには保険金等が債務者へ払い渡される前に差押えをしておく必要がある。払渡し後では特定性が失われ、行使できない。
問11留置権の内容e-Gov等の一次資料で確認済み
留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有していても、弁済を受けるまでその物を留置することはできない。
- イ.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 留置権
民法第295条第1項「その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 牽連性
民法第295条第1項「他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる」一次資料を確認
ひっかけ修理代をもらうまで品物を渡さない、この当然の主張が留置権として法定されている。
解説他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる(留置権。民法295条1項本文)。時計の修理人が修理代金の支払を受けるまで時計を留置できる、という場面である。アは「留置することはできない」と否定するので誤り、条文どおりのイが正しい。被担保債権と物との牽連性(その物に関して生じた債権であること)が要件になる点が、牽連性を要しない商人間の留置権(商法521条)と異なる。
補足商人間の留置権(商法521条)は牽連性が要らない代わり、留置物が債務者の所有であることを要する点で民法の留置権と分かれる。
問12留置権の成立要件e-Gov等の一次資料で確認済み
留置権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.占有が不法行為によって始まった場合であっても、占有者はその物について留置権を行使することができる。
- イ.留置権は、被担保債権が弁済期にあるか否かにかかわらず、行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 不法占有の除外
民法第295条第2項「前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 弁済期
民法第295条第1項「その債権が弁済期にないときは、この限りでない」一次資料を確認
ひっかけ盗品を握っていても、弁済期前の債権を抱えていても、留置権は立ち上がらない。
解説留置権には成立を妨げる消極的要件がある。被担保債権が弁済期にないときは留置権は生じず(民法295条1項ただし書)、占有が不法行為によって始まった場合にも認められない(同条2項)。アは「不法行為で占有を始めても留置権を行使できる」とするので2項に反し誤り、イは「弁済期にあるか否かにかかわらず行使できる」とするのでただし書に反し誤りで、両方誤りとなる。盗んだ物に費用を投じても留置権が生じないのが2項の典型例である。
補足最判昭41.3.3は、建物の売買契約が合意解除された後に、権原のないことを知りながら建物を不法に占有している買主が必要費・有益費を支出しても、民法295条2項の類推適用により、その費用の償還請求権に基づく留置権は主張できないとした。
問13保証人の責任e-Gov等の一次資料で確認済み
保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
- イ.保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 保証債務
民法第446条第1項「保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」一次資料を確認
- イ.正しい
- 要式契約
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけ保証は口約束では成り立たない。書面でなければそもそも効力が生じない。
解説保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う(民法446条1項。保証債務。付従性・補充性をもつ)。アはこのとおりで正しい。そしてイのいうとおり、保証契約は、書面でしなければその効力を生じない(同条2項。要式契約)。電磁的記録でされたときは書面によるものとみなされる(同条3項)。契約は本来、合意だけで成立するのが原則だが、安易・情義的な保証から保証人を守るため、保証だけは書面が効力要件とされている。
補足書面要件をさらに進めて、事業のための貸金等債務を個人が保証するときは、締結日の前1か月以内に作成した公正証書で保証意思を表示しないと効力を生じない(465条の6)。
問14保証契約の要式性e-Gov等の一次資料で確認済み
保証契約の方式に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証契約は、口頭の合意のみによって、その効力を生ずる。
- イ.保証契約は、書面でしなければその効力を生じない(保証人保護のため要式契約とされている)。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 要式契約
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 保証人保護
民法第446条第2項「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけアとイは同じ条文の表と裏。「口頭で効力が生じる」と言った瞬間に446条2項に反する。
解説アは「口頭の合意のみで効力を生ずる」とするが、保証契約は書面でしなければその効力を生じないので(民法446条2項)、誤り。イはこの要式性を正しく述べており、正しい。契約は原則として諾成(合意だけで成立)だが、保証契約はその例外で、書面を効力要件とする。保証人が軽い気持ちで保証をして予想外の責任を負う事態を防ぎ、保証意思を明確にして保証人を保護する趣旨である。電磁的記録でされたときは書面とみなされる(同条3項)。
補足諾成が原則の契約の中で、書面を効力要件とするのは保証のほかに書面によらない贈与(550条で各当事者が解除できる)など限られた場面しかない。保証はその数少ない要式契約の一つ。
問15委託を受けた保証人の求償権(第9章・biz2-ch9-0015)e-Gov等の一次資料で確認済み
委託を受けた保証人の求償権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者の委託を受けて保証をした保証人が、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為をしたときは、主たる債務者に対して求償権を有する。
- イ.求償できる範囲は、支出した財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合であっても、常に支出した財産の額の全額である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 求償権の発生を確認
民法第459条「主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為」一次資料を確認
- イ.誤り
- 求償範囲の上限を裏返す
民法第459条「その財産の額がその債務の消滅行為によって消滅した主たる債務の額を超える場合にあっては、その消滅した額」一次資料を確認
ひっかけ支出額が消滅した債務額を上回ったら、求償できるのは消滅した額まで。括弧書が上限になる。
解説459条1項は、主たる債務者の委託を受けた保証人が弁済その他の債務消滅行為をしたとき、その債務者に対して求償権を取得すると定める。アはこの本文どおりで正しい。イが扱うのは求償の範囲で、原則は支出した財産の額だが、同項の括弧書が上限を置く。支出額が消滅した主たる債務の額を超える場合は「その消滅した額」が限度になる。たとえば代物弁済で時価より高い物を渡しても、超過分まで債務者に負担させることはできない。だから「常に支出した全額を求償できる」とするイは誤り、組み合わせはアー○・イー×。
補足求償権には法定利息や避けられなかった費用も含められる(442条2項を準用する459条2項)。
問16抵当権の内容と目的物e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.地上権及び永小作権は、抵当権の目的とすることができない。
- イ.抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 条文は目的とできると定めており、できないとするのは裏返しの誤り。
民法第369条第2項「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 抵当権は占有を移転せず優先弁済を受ける権利である。
民法第369条第1項「債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産」一次資料を確認
ひっかけ抵当権の目的を不動産だけと思うとアに引っかかる。369条2項に地上権・永小作権が並んでいる。
解説抵当権は、債務者または第三者が占有を移転しないで担保に供した不動産について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利である(369条1項)。目的物の占有は設定者の手元に残り、抵当権者は占有を取らない非占有担保という点が、占有を取る質権との分かれ目になる。目的物は不動産に限られず、369条2項は地上権および永小作権も抵当権の目的とすることができると定める。だからアの『地上権・永小作権は目的とできない』は条文の裏返しで誤り。イは1項の文言そのままで正しい。
補足抵当権を設定できるのは不動産・地上権・永小作権で、動産には抵当権を設定できない。動産を担保に取るなら質権(342条)になる。
問17抵当権の効力の及ぶ範囲e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権の効力の及ぶ範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
- イ.設定行為に別段の定めがある場合は、付加一体物に抵当権の効力が及ぶ範囲について例外が認められる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 条文どおり付加して一体となっている物に及ぶ。
- イ.正しい
- ただし書に別段の定めがある場合は限りでないとある。
ひっかけ370条は本文だけでなくただし書まで読む条文。別段の定めで効力範囲を変えられるかが分かれ目。
解説370条本文は、抵当権は抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶと定める。建物を除く理由は、土地の抵当権が地上の建物まで巻き込まないようにするためで、アはこの本文どおりで正しい。イが指す『設定行為に別段の定めがある場合』は、370条ただし書が効力範囲の例外として明記している場面なので、これも正しい。本文の原則とただし書の例外が同居している条文で、両方とも条文に書かれている。
補足ただし書の例外は別段の定めだけではなく、債務者の行為について詐害行為取消請求ができる場合も挙げられている(370条ただし書)。例外は二つある。
問18抵当権の効力と詐害行為e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権の効力の及ぶ範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者の行為について詐害行為取消請求をすることができる場合であっても、付加一体物には常に抵当権の効力が及ぶ。
- イ.抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に付加して一体となっている物に及ぶ。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- ただし書で詐害行為取消請求できる場合は限りでないとある。
民法第370条「詐害行為取消請求をすることができる場合」一次資料を確認
ひっかけ詐害行為取消請求ができる場面は370条ただし書の例外そのもの。『常に及ぶ』と書いてあれば誤り。
解説370条ただし書は、付加一体物への効力について二つの場合を例外としている。一つは設定行為に別段の定めがある場合、もう一つは債務者の行為について詐害行為取消請求ができる場合である。アは『詐害行為取消請求ができる場合であっても常に及ぶ』とするが、その場合はまさにただし書で効力が及ばないとされる場面なので誤り。イは370条本文の文言どおり、抵当地上の建物を除き付加一体物に及ぶとしており正しい。
補足詐害行為取消請求(424条)で取り消せるような付加であれば、抵当権者を不当に利することになるため効力を及ぼさない、という利益調整がただし書の趣旨にあたる。
問19質権の内容e-Gov等の一次資料で確認済み
質権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権者は、目的物の占有を取得しなくても、優先弁済を受ける権利を有する。
- イ.質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 条文は受け取った物を占有しと定めており占有を要する。
- イ.正しい
- 条文どおり物を占有し優先弁済を受ける権利を有する。
民法第342条「債務者又は第三者から受け取った物を占有し」一次資料を確認
ひっかけ質権は『物を占有して』はじめて権利になる。占有なしで優先弁済、と書いてあるアは中身を抜いている。
解説342条は、質権者が債権の担保として債務者または第三者から受け取った物を占有し、その物について他の債権者に先立って弁済を受けると定める。受け取った物の占有が質権の内容そのものなので、占有を取得しなくても優先弁済を受けられるとするアは誤り。イは342条の文言どおりで正しい。なお質権設定は引渡しによって効力を生ずる要物契約であり(344条)、占有を移すことが成立の前提にもなっている。
補足344条により質権の設定は目的物を引き渡すことで効力を生ずる。当事者が合意しただけでは足りず、現実の引渡しがいる点が、合意だけで成立する抵当権との違いになる。
問20質権と抵当権の対比e-Gov等の一次資料で確認済み
質権及び抵当権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.質権者は、債務者又は第三者から受け取った物を占有することが、その権利の内容に含まれる。
- イ.抵当権者は、目的不動産の占有を移転して債権の担保とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文は受け取った物を占有しと定める。
民法第342条「債務者又は第三者から受け取った物を占有し」一次資料を確認
- イ.誤り
- 条文は占有を移転しないで債務の担保に供すると定める。
民法第369条第1項「占有を移転しないで債務の担保に供した不動産」一次資料を確認
ひっかけ質権は占有を取り、抵当権は占有を取らない。イが抵当権に『占有を移転』と書いた時点で誤り。
解説質権は債務者または第三者から受け取った物を占有することが内容に含まれ(342条)、占有を担保の手段とする。アはこの占有担保としての性質を述べており正しい。これに対し抵当権は、369条1項が占有を移転しないで担保に供した不動産について、と定めるとおり占有を設定者に残す非占有担保である。占有を移転して担保とする、とするイは抵当権の性質と逆で誤り。両者は占有を移すか否かで真っ向から分かれる。
補足目的物の範囲も対照的で、質権は動産・不動産・財産権(362条)まで広く取れるのに対し、抵当権は不動産・地上権・永小作権に限られ動産には設定できない。
問21先取特権の内容e-Gov等の一次資料で確認済み
先取特権の内容に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.先取特権者は、法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
- イ.先取特権者は、当事者の契約によってのみ成立し、法律の規定によっては生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文どおり債務者の財産について優先弁済を受ける。
民法第303条「その債務者の財産について、他の債権者に先立って」一次資料を確認
- イ.誤り
- 条文はこの法律その他の法律の規定に従いと定める。
ひっかけ先取特権は契約で作るものではない。『契約によってのみ成立』と書いてあるイは成立の根拠を取り違えている。
解説303条は、先取特権者がこの法律その他の法律の規定に従い、債務者の財産について他の債権者に先立って弁済を受けると定める。アは303条の文言どおりで正しい。一方イは『当事者の契約によってのみ成立し、法律の規定によっては生じない』とするが、先取特権は当事者の合意ではなく法律の定める原因があれば当然に発生する法定担保物権なので誤り。条文が『法律の規定に従い』と明示している点が、契約で設定する質権・抵当権との分かれ目になる。
補足法定担保物権なので登記や引渡しがなくても発生する。たとえば一般の先取特権には共益の費用・雇用関係・葬式の費用・日用品の供給の四つの原因が定められている(306条)。
問22優先弁済権の共通性e-Gov等の一次資料で確認済み
担保物権の優先弁済権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.先取特権者は、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有しない。
- イ.質権者は、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 条文は他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有すると定める。
民法第303条「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」一次資料を確認
- イ.誤り
- 条文は他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有すると定める。
民法第342条「他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する」一次資料を確認
ひっかけ『優先弁済権を有しない』が二つ並ぶ問題。担保物権の核心を否定しているので、どちらも素直に誤りになる。
解説303条は先取特権者が、342条は質権者が、いずれも他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有すると定める。優先弁済権を有しない、とするアもイも、それぞれの条文を否定しているので両方誤り。優先的に弁済を受けられることは担保物権に共通する効力であって、先取特権だけ・質権だけが例外的に持たない、という分け方はできない。だから組み合わせはアー誤、イー誤になる。
補足優先弁済を受ける手段は担保物権ごとに違い、先取特権・質権・抵当権は競売による換価のほか、配当への参加というかたちで優先弁済を実現する。効力の有無ではなく実現方法に差がある。
問23担保物権の目的物e-Gov等の一次資料で確認済み
担保物権の目的物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.抵当権は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について設定される。
- イ.地上権及び永小作権は、抵当権の目的とすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 条文は占有を移転しないで債務の担保に供した不動産と定める。
民法第369条第1項「占有を移転しないで債務の担保に供した不動産」一次資料を確認
- イ.正しい
- 条文は抵当権の目的とすることができると定める。
民法第369条第2項「地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる」一次資料を確認
ひっかけ369条は1項と2項で対象を二段構えにしている。不動産だけと読むとイを誤りと早合点する。
解説369条1項は、抵当権が占有を移転しないで担保に供した不動産について設定されると定め、アはこの文言どおりで正しい。続く369条2項は、地上権および永小作権も抵当権の目的とすることができると定めるので、イも正しい。抵当権の対象は不動産だけにとどまらず、不動産を使う権利である地上権・永小作権まで含むことになる。両肢とも369条の条文そのままなので、組み合わせはアー正、イー正になる。
補足目的にできるのは不動産・地上権・永小作権までで、動産はここに入らない。動産を担保化する手段は質権(342条)や、譲渡担保といった別の制度になる。
問24主たる債務者について生じた事由の効力e-Gov等の一次資料で確認済み
主たる債務者について生じた事由の効力に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しては、その効力を生じない。
- イ.保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 457条1項
民法第457条第1項「時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 457条2項
民法第457条第2項「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」一次資料を確認
ひっかけ保証債務の付従性から、主債務者に生じた事由が保証人にも及ぶ場合があることを押さえる。
解説主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対してもその効力を生ずる(民法457条1項)。したがって効力を生じないとするアは誤り。保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる(同条2項)。イは正しい。
補足主債務者が債権者に対して相殺権・取消権・解除権を持つときの保証人の履行拒絶は457条3項にある。
問25保証人の履行拒絶と数人の保証人e-Gov等の一次資料で確認済み
保証人の履行拒絶と数人の保証人に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
- イ.数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、分割債務に関する民法427条の規定を適用する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 457条3項
民法第457条第3項「主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権又は解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる」一次資料を確認
- イ.正しい
- 456条
民法第456条「それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する」一次資料を確認
ひっかけ保証人の履行拒絶の範囲は、主債務者が債務を免れるべき限度に限られる。
解説主たる債務者が債権者に対して相殺権、取消権または解除権を有するときは、これらの権利の行使によって主たる債務者がその債務を免れるべき限度において、保証人は債務の履行を拒むことができる(民法457条3項)。また、数人の保証人がある場合には、各別の行為により債務を負担したときであっても、427条(分割債務)の規定を適用する(456条)。ア・イとも正しい。
補足履行を拒めるのは、主債務者が免れるべき限度に限られる点がポイント。全額を拒めるわけではない。
問26保証人に対する情報提供義務e-Gov等の一次資料で確認済み
保証人に対する情報提供義務に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が主たる債務者の委託を受けないで保証をした場合であっても、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本等の不履行の有無や残額に関する情報を提供しなければならない。
- イ.主たる債務者が期限の利益を喪失した旨を保証人に二箇月以内に通知しなかったときは、債権者は、保証人に対し、保証債務の全部の履行を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 458条の2
民法第458条の2「保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 保証債務の全部ではない
民法第458条の3第2項「債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない」一次資料を確認
ひっかけ情報提供義務の対象(委託を受けた保証人)と、通知を怠った場合の効果の範囲を取り違えない。
解説債権者の情報提供義務は、保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合に、保証人の請求があったときに生じる(民法458条の2)。委託を受けない保証人も対象とするアは誤り。また、主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は知った時から二箇月以内に保証人へ通知しなければならず(458条の3第1項)、通知しなかったときに請求できなくなるのは、期限の利益喪失時から通知までに生じた遅延損害金に係る保証債務である(同条2項)。保証債務の全部とするイは誤り。
補足期限の利益喪失の通知の規定は、保証人が法人である場合には適用されない(458条の3第3項)。
問27委託を受けた保証人の事前求償権e-Gov等の一次資料で確認済み
委託を受けた保証人の事前求償権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。
- イ.委託を受けた保証人が債務の弁済期に事前求償をする場合、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 460条1号
民法第460条第1号「主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき」一次資料を確認
- イ.誤り
- 460条2号ただし書
民法第460条第2号「保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない」一次資料を確認
ひっかけ保証契約後に債権者が主債務者に与えた期限の猶予は、保証人には対抗できない。
解説保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合に、主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ債権者が破産財団の配当に加入しないときなどは、あらかじめ求償権を行使できる(民法460条1号)。アは正しい。債務が弁済期にあるときも事前求償できるが、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない(同条2号ただし書)。イは誤り。
補足事前求償権は委託を受けた保証人の権利である。委託を受けない保証人の求償権は462条で別に定められている。
問28委託を受けない保証人の求償権と通知を怠った保証人e-Gov等の一次資料で確認済み
委託を受けない保証人の求償権と通知を怠った保証人に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する。
- イ.保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 462条2項
民法第462条第2項「主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 463条1項
民法第463条第1項「主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗することができた事由をもってその保証人に対抗することができる」一次資料を確認
ひっかけ求償権の範囲は、委託の有無・主債務者の意思・通知の有無で変わる。
解説主たる債務者の意思に反して保証をした者は、主たる債務者が現に利益を受けている限度においてのみ求償権を有する(民法462条2項)。また、委託を受けた保証人が主たる債務者にあらかじめ通知しないで債務の消滅行為をしたときは、主たる債務者は、債権者に対抗できた事由をもってその保証人に対抗できる(463条1項)。ア・イとも正しい。
補足この場合に相殺をもって対抗されたときは、保証人は債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求できる(463条1項後段)。
問29債務の消滅行為の通知の懈怠e-Gov等の一次資料で確認済み
債務の消滅行為の通知の懈怠に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる。
- イ.保証人が債務の消滅行為をした後に主たる債務者が債務の消滅行為をした場合において、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしていたときであっても、主たる債務者は、自己の債務の消滅行為を有効であったものとみなすことはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 463条2項
民法第463条第2項「主たる債務者が債務の消滅行為をしたことを保証人に通知することを怠ったため、その保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 463条3項
民法第463条第3項「保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が債務の消滅行為をしたことを主たる債務者に通知することを怠ったため、主たる債務者が善意で債務の消滅行為をしたときも、主たる債務者は、その債務の消滅行為を有効であったものとみなすことができる」一次資料を確認
ひっかけ二重弁済が起きた場合の処理は、誰が通知を怠ったか、保証が意思に反するかで決まる。
解説委託を受けた保証人について、主たる債務者が債務の消滅行為をしたことの通知を怠ったため、保証人が善意で債務の消滅行為をしたときは、保証人はその消滅行為を有効であったものとみなすことができる(民法463条2項)。アは正しい。保証人が消滅行為をした後に主たる債務者が消滅行為をした場合、保証人が主たる債務者の意思に反して保証をしたときのほか、保証人が通知を怠ったため主たる債務者が善意で消滅行為をしたときも、主たる債務者は自己の消滅行為を有効であったものとみなすことができる(同条3項)。したがってイは誤り。
補足二重に弁済がされたときの調整規定である。通知を怠った側が不利になる構造を押さえる。
問30個人貸金等根保証契約の元本確定期日e-Gov等の一次資料で確認済み
個人貸金等根保証契約の元本確定期日に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.個人貸金等根保証契約において、元本確定期日がその契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない。
- イ.個人貸金等根保証契約において元本確定期日の定めがない場合には、その元本確定期日は、その契約の締結の日から三年を経過する日とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 465条の3第1項
民法第465条の3第1項「その元本確定期日がその個人貸金等根保証契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 465条の3第2項
民法第465条の3第2項「その元本確定期日は、その個人貸金等根保証契約の締結の日から三年を経過する日とする」一次資料を確認
ひっかけ五年と三年の数字を入れ替えると誤りになる。上限は五年、定めがない場合は三年。
解説個人貸金等根保証契約で、元本確定期日が契約の締結の日から五年を経過する日より後の日と定められているときは、その定めは効力を生じない(民法465条の3第1項)。また、元本確定期日の定めがない場合(前項により定めが効力を生じない場合を含む)には、その期日は契約の締結の日から三年を経過する日とされる(同条2項)。ア・イとも正しい。
補足元本確定期日の変更にも五年の上限がある(465条の3第3項)。
問31個人根保証契約の元本の確定事由e-Gov等の一次資料で確認済み
個人根保証契約の元本の確定事由に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が破産手続開始の決定を受けたときでも、個人根保証契約における主たる債務の元本は確定しない。
- イ.貸金等債務を含まない個人根保証契約でも、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたときは、主たる債務の元本は確定する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 465条の4第1項2号
民法第465条の4第1項第2号「保証人が破産手続開始の決定を受けたとき」一次資料を確認
- イ.誤り
- 465条の4第2項
民法第465条の4第2項「前項に規定する場合のほか、個人貸金等根保証契約における主たる債務の元本は、次に掲げる場合にも確定する」一次資料を確認
ひっかけ確定事由は、個人根保証契約一般のものと、個人貸金等根保証契約に加わるものを分ける。
解説個人根保証契約における主たる債務の元本は、債権者が保証人の財産について強制執行等を申し立てたとき(手続の開始があったときに限る)、保証人が破産手続開始の決定を受けたとき、主たる債務者または保証人が死亡したときに確定する(民法465条の4第1項)。アは誤り。主たる債務者の財産への強制執行や主たる債務者の破産による確定は、個人貸金等根保証契約についてのみ追加される(同条2項)。イは誤り。
補足個人根保証契約全体の確定事由と、個人貸金等根保証契約だけの確定事由を表に分けて覚える。
問32事業のための貸金等債務の保証と公正証書e-Gov等の一次資料で確認済み
事業のための貸金等債務の保証と公正証書に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。
- イ.事業のための貸金等債務の保証に関する公正証書の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合にも適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 465条の6第1項
民法第465条の6第1項「その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 465条の6第3項
民法第465条の6第3項「前二項の規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には、適用しない」一次資料を確認
ひっかけ公正証書が必要なのは個人が保証人になる場合。法人が保証人の場合は対象外である。
解説事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約は、契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で、保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ効力を生じない(民法465条の6第1項)。アは正しい。この規定は、保証人になろうとする者が法人である場合には適用されない(同条3項)。イは誤り。
補足主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約にも同じ規律が及ぶ(465条の6第1項)。
問33保証意思宣明公正証書の方式e-Gov等の一次資料で確認済み
保証意思宣明公正証書の方式に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証意思宣明公正証書の作成において、公証人は、保証人になろうとする者の口述を筆記すれば足り、これを読み聞かせ又は閲覧させる必要はない。
- イ.保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 465条の6第2項2号
民法第465条の6第2項第2号「公証人が、保証人になろうとする者の口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、又は閲覧させること」一次資料を確認
- イ.正しい
- 465条の6第2項3号
民法第465条の6第2項第3号「保証人になろうとする者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる」一次資料を確認
ひっかけ公正証書の方式は、口授・筆記と読み聞かせ又は閲覧・署名押印・公証人の付記と順を追って押さえる。
解説事業のための貸金等債務の保証に係る公正証書の作成では、保証人になろうとする者が一定の事項を公証人に口授し(民法465条の6第2項1号)、公証人がその口述を筆記し、これを保証人になろうとする者に読み聞かせ、または閲覧させる(同項2号)。アは誤り。保証人になろうとする者が筆記の正確なことを承認して署名し、印を押すが、署名できない場合は公証人がその事由を付記して署名に代えることができる(同項3号)。イは正しい。
補足最後に公証人が、方式に従って作った旨を付記して署名・押印する(465条の6第2項4号)。
問34個人根保証契約の極度額(定めの必要性と保証人の責任の範囲)e-Gov等の一次資料で確認済み
個人根保証契約の極度額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.個人根保証契約は、極度額を定めなくても有効に成立し、その場合の保証人の責任は、主たる債務の元本に限られる。
- イ.個人根保証契約の保証人は、主たる債務の元本、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及び保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、履行をする責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない(民法465条の2第2項)。極度額の定めがない契約を、元本だけを保証する契約として有効に扱うことはできない。
民法第465条の2第2項「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 個人根保証契約の保証人の責任は、元本だけでなく、利息、違約金、損害賠償その他従たるもの全部を合わせた極度額が上限となる(民法465条の2第1項)。例えば、極度額が500万円なら、元本と利息などの合計がその額を超えても、保証人は500万円を限度として責任を負う。
民法第465条の2第1項「その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う」一次資料を確認
ひっかけ極度額は元本だけの上限で、利息や違約金は別に請求できる、と考えるとイを誤りとしやすい。極度額は利息、違約金、損害賠償を含む全部に係る上限である。また、極度額を定めない個人根保証契約も元本部分では有効、と考えるとアを正しいとしやすいが、効力自体が生じない。
解説個人根保証契約の保証人は、主たる債務の元本、利息、違約金、損害賠償その他従たるもの全部及び保証債務について約定された違約金・損害賠償の額について、極度額を限度として責任を負う(民法465条の2第1項)。個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない(同条2項)。アは誤り、イは正しい。
補足極度額の定めは、書面又は電磁的記録でしなければ効力を生じない(465条の2第3項により446条2項・3項が準用される)。
問35保証人が法人である根保証契約の求償権保証と極度額の定めe-Gov等の一次資料で確認済み
保証人が法人である根保証契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が法人である根保証契約において極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない。
- イ.保証人が法人である根保証契約は、極度額を定めなければ、根保証契約自体が効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 保証人が法人である根保証契約に極度額の定めがない場合、その法人保証人の求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、効力を生じない(民法465条の5第1項)。法人保証人の求償権を個人が保証する場面を対象とした規定である。
民法第465条の5第1項「保証人が法人である根保証契約において、第四百六十五条の二第一項に規定する極度額の定めがないときは、その根保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約は、その効力を生じない」一次資料を確認
- イ.誤り
- 極度額の定めを効力要件とするのは、保証人が法人でない個人根保証契約である(民法465条の2第2項)。保証人が法人である場合は、極度額の定めがなくても根保証契約は効力を生じるが、その求償権を保証する契約の効力が465条の5で制限される。
民法第465条の2第2項「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」一次資料を確認
ひっかけ個人でも法人でも根保証契約は極度額がなければ無効、と考えるとイを正しいとしやすい。極度額の定めを効力要件としているのは個人根保証契約であり、法人が保証人の場合は、その求償権を保証する契約(個人が保証人となる場合など)の効力が制限される。
解説個人根保証契約は、極度額を定めなければ効力を生じない(民法465条の2第2項)。保証人が法人である根保証契約で極度額の定めがないときは、その法人保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約が、効力を生じない(465条の5第1項)。アは正しく、イは誤り。
補足求償権に係る債務を主たる債務とする保証契約の保証人が法人である場合には、465条の5第1項・2項は適用されない(同条3項)。
問36保証人の要件(資力を欠くに至った場合と債権者による指名)e-Gov等の一次資料で確認済み
債務者が保証人を立てる義務を負う場合の保証人の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が弁済をする資力を有するという要件を欠くに至ったときは、保証契約は当然に無効となる。
- イ.債権者が保証人を指名した場合であっても、保証人は、行為能力者であること及び弁済をする資力を有することの要件を具備する者でなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 保証人が弁済をする資力を欠くに至ったときは、債権者が、行為能力者であり弁済をする資力を有する者への交代を請求できる(民法450条2項)。保証契約が自動的に無効になるのではない。
民法第450条第2項「債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 債権者が保証人を指名した場合には、保証人の要件(行為能力者であること、弁済をする資力を有すること)及び交代請求の規定は適用されない(民法450条3項)。
民法第450条第3項「前二項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない」一次資料を確認
ひっかけ保証人に資力がなくなれば保証の意味がなくなるので当然に無効、と考えるとアを正しいとしやすい。条文は、債権者が交代を請求できるとするにとどまる。イは、要件が常に適用されると考えると正しく見えるが、債権者が指名した場合は適用されない。
解説債務者が保証人を立てる義務を負う場合、保証人は行為能力者であり、弁済をする資力を有する者でなければならない(民法450条1項)。資力を欠くに至ったときは、債権者は要件を具備する者への交代を請求できる(同条2項)。これらの規定は、債権者が保証人を指名した場合には適用しない(同条3項)。ア・イとも誤り。
補足450条は、債務者が保証人を立てる義務を負う場合の保証人の要件を定めたものである。
問37共同抵当における同時配当と異時配当(次順位抵当権者の代位)e-Gov等の一次資料で確認済み
共同抵当における代価の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
- イ.共同抵当で、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができ、次順位の抵当権者は、一定の限度で、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 共同抵当で数個の不動産の代価を同時に配当するときは、各不動産の価額に応じて債権の負担を按分する(民法392条1項)。例えば、価額が3000万円と1000万円の不動産に共同抵当がある場合、債権の負担は3対1の割合で分けられる。
民法第392条第1項「その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する」一次資料を確認
- イ.正しい
- ある不動産の代価のみを配当する異時配当では、抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けられる(民法392条2項)。次順位の抵当権者は、同時配当の場合に抵当権者が他の不動産から弁済を受けるべき金額を限度として、抵当権者に代位できる。
民法第392条第2項「抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる」一次資料を確認
ひっかけ異時配当でも、同時配当と同じように各不動産の価額で按分した額しか弁済を受けられない、と考えるとイを誤りとしやすい。異時配当では、抵当権者は一つの不動産の代価から債権の全部の弁済を受けられ、その分の不利益を次順位の抵当権者が代位で調整する。
解説共同抵当で同時に代価を配当するときは、各不動産の価額に応じて債権の負担を按分する(民法392条1項)。ある不動産の代価のみを配当するときは、抵当権者はその代価から債権の全部の弁済を受けられ、次順位の抵当権者は、同時配当の場合に他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、抵当権者に代位して抵当権を行使できる(同条2項)。ア・イとも正しい。
補足同時配当の按分と異時配当の代位は、いずれも同一の債権の担保として数個の不動産に抵当権がある共同抵当を前提とする。
問38抵当建物使用者の引渡しの猶予(期間と支払の催告)e-Gov等の一次資料で確認済み
抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物を使用する者(抵当建物使用者)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.競売手続の開始前から建物を使用又は収益する抵当建物使用者は、その建物の競売における買受人の買受けの時から1年を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
- イ.買受人が、買受けの時より後の建物の使用の対価について、相当の期間を定めて1か月分以上の支払の催告をし、その期間内に履行がない場合には、引渡しの猶予の規定は適用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 抵当権者に対抗できない賃貸借により競売手続の開始前から建物を使用する者は、買受人の買受けの時から6か月を経過するまで、建物を引き渡すことを要しない(民法395条1項)。期間は1年ではなく6か月である。
民法第395条第1項「その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 買受人が、買受け後の使用の対価について、相当の期間を定めて1か月分以上の支払を催告し、その期間内に履行がなければ、引渡しの猶予は適用されない(民法395条2項)。猶予を受ける間も、使用の対価の支払は必要である。
民法第395条第2項「買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない」一次資料を確認
ひっかけ猶予期間は賃貸借の保護として長めの1年と考えるとアを正しいとしやすい。条文は買受けの時から6か月である。イは、猶予を受けている間も使用の対価の支払義務があり、1か月分以上の催告に応じなければ猶予を失う点を押さえる。
解説抵当権者に対抗できない賃貸借により抵当建物を使用又は収益する者で、競売手続の開始前から使用する者などは、買受人の買受けの時から6か月を経過するまで、建物を買受人に引き渡すことを要しない(民法395条1項)。買受人が、買受け後の使用の対価について相当の期間を定めて1か月分以上の支払を催告し、その期間内に履行がないときは、この猶予は適用されない(同条2項)。アは誤り、イは正しい。
補足395条1項2号は、強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者も、猶予の対象とする。