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破産法・第11

債務者の倒産への対応の問題(20問)

この章を解く(20問)→

倒産は、清算か再建かで手続の意味が変わる

会社が行き詰まったときの倒産処理をあつかう章です。清算型(破産・特別清算)と再建型(民事再生・会社更生)の違いを軸に、破産手続開始の原因、免責と非免責債権、別除権・相殺権・否認権、財団債権、自由財産、特別清算を収録しています。とくに民事再生のDIP型と会社更生の管財人型で経営権の扱いが正反対になる点が分かれ目で、根拠は破産法・民事再生法・会社更生法とe-Govで照合しています。

第11章は破産、民事再生、会社更生、特別清算です。企業が消える手続なのか、事業を残す手続なのかを先に分けると、管財人や経営権の扱いを取り違えにくくなります。

  • 破産・特別清算と民事再生・会社更生を分ける。
  • 別除権、相殺権、否認権を手続内の効果として見る。
  • 免責と非免責債権を混同しない。

この章で確認する論点

11章では、破産債権者の相殺権・破産財団の範囲と自由財産・再建型手続の比較・破産手続開始の原因・免責許可の決定の効力と非免責債権を中心に20問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

  • 「再建型はどちらも経営陣が残る」と思うと、管財人型の会社更生でイを取り違える。
  • 債務超過はどんな債務者でも開始原因になる、と広げるとイの「法人である場合」という限定を外す。
  • 「免責が確定すれば全部の債務が消える」と読むと、租税等の非免責債権でイを誤る。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

破産法2条15条16条34条42条53条65条67条72条78条100条148条160条253条

民事再生法1条38条85条172条の3

会社更生法1条72条

会社法510条

問題と解説を読む20問・答え付き

答え・解説つきで20問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年6月〜2026年6月時点の法令に準拠
1再建型手続の比較(民事再生のDIP型と会社更生の管財人型)

倒産処理手続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 民事再生手続では、再生債務者は、再生手続が開始された後も、その業務を遂行し、財産を管理・処分する権利を有する。
  • 会社更生手続でも、更生会社の取締役が引き続き事業の経営権を持ち、財産の管理・処分を行う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
再生手続開始後も再生債務者が経営を続ける(38条1項)

民事再生法第38条第1項再生債務者は、再生手続が開始された後も、その業務を遂行しe-Gov原文

誤り
更生手続開始で経営・財産の権利が管財人に専属(72条1項)

会社更生法第72条第1項裁判所が選任した管財人に専属するe-Gov原文

ひっかけ「再建型はどちらも経営陣が残る」と思うと、管財人型の会社更生でイを取り違える。

解説再建型の倒産手続でも、経営権の扱いは正反対になる。民事再生は再生債務者がそのまま業務を遂行し財産を管理・処分するDIP型(民事再生法38条1項)。会社更生は更生手続開始で経営・財産の権利が裁判所の選任した管財人に専属する管財人型(会社更生法72条1項)。アはDIP型をそのまま述べて正しく、イは会社更生に取締役の経営継続を当てはめており誤り。

補足担保権の扱いも分かれる。破産・民事再生では担保権は別除権として手続外で行使できるが、会社更生では担保権者も更生担保権者として手続に取り込まれ、個別の権利行使が止まる。

2破産手続開始の原因(支払不能・債務超過)

破産手続開始の原因に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産手続開始の原因は、原則として、債務者が支払不能にあることである。
  • 債務者が法人である場合には、支払不能のほか、債務超過も破産手続開始の原因となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
支払不能で破産手続が開始される(15条1項)

破産法第15条第1項債務者が支払不能にあるときは、裁判所はe-Gov原文

正しい
法人は16条1項で支払不能又は債務超過が開始原因

破産法第16条第1項支払不能又は債務超過e-Gov原文

ひっかけ債務超過はどんな債務者でも開始原因になる、と広げるとイの「法人である場合」という限定を外す。

解説破産手続開始の原因は、原則として債務者が支払不能にあること(破産法15条1項)。支払不能は弁済能力を欠いて弁済期の債務を一般的・継続的に払えない状態を指す。債務者が法人のときは16条1項で「支払不能」が「支払不能又は債務超過」に読み替えられ、債務超過(財産で債務を完済できない状態)も開始原因に加わる。アは原則、イは法人の特則で、ともに正しい。

補足支払を停止したときは支払不能が推定される(15条2項)。手形の不渡りや事業停止の公表などが典型で、債権者は支払不能そのものの立証まで負わずに済む。

3免責許可の決定の効力と非免責債権

破産手続における免責に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 免責許可の決定が確定すると、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について原則としてその責任を免れる。
  • 租税等の請求権も、免責許可の決定の確定によってその責任を免れる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
253条1項本文で配当を除き責任を免れる

破産法第253条第1項破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れるe-Gov原文

誤り
253条1項ただし書1号で租税等は除外

破産法第253条第1項第1号次に掲げる請求権については、この限りでない。一租税等の請求権e-Gov原文

ひっかけ「免責が確定すれば全部の債務が消える」と読むと、租税等の非免責債権でイを誤る。

解説免責許可の決定が確定すると、破産者は配当を除き破産債権について責任を免れる(破産法253条1項本文)。ただし同項ただし書は非免責債権を列挙し、その1号が租税等の請求権。アは原則、イは非免責債権である租税等を免責されるとした点で誤り。

補足非免責債権には租税等のほか、破産者が悪意で加えた不法行為の損害賠償請求権、雇用関係に基づく使用人の給料・預り金返還請求権なども含まれる(253条1項各号)。

4別除権(担保権の手続外行使)

破産手続における別除権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 別除権者は、破産手続の中で配当を受ける形でしか、その担保権を行使することができない。
  • 別除権とは、破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者の権利をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
65条1項で破産手続によらず行使できる

破産法第65条第1項別除権は、破産手続によらないで、行使することができるe-Gov原文

正しい
2条9項の定義どおり(特別の先取特権・質権・抵当権)

破産法第2条第9項破産手続開始の時において破産財団に属する財産につき特別の先取特権、質権又は抵当権を有する者e-Gov原文

ひっかけ担保権者も配当手続に並ぶ、と思うとアを正しいと誤判断する。別除権は手続外で行使できる。

解説別除権は、破産手続開始時に破産財団に属する財産上の特別の先取特権・質権・抵当権を有する者の権利で(破産法2条9項)、破産手続によらないで行使できる(65条1項)。担保権者は配当を待たず手続外で担保目的物から回収できる。アは手続内の配当に限定した点で誤り、イは定義どおりで正しい。

補足別除権を行使しても回収しきれない不足額は、破産債権として手続内で配当を受ける(不足額責任主義)。担保で足りる部分は手続外、足りない部分は手続内、と二段になる。

5破産債権者の相殺権

破産手続における相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで相殺をすることができる。
  • 破産債権者の相殺は、必ず配当手続の中で行わなければならず、手続外ですることはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
67条1項で破産手続によらず相殺できる

破産法第67条第1項破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで、相殺をすることができるe-Gov原文

誤り
67条1項が手続によらない相殺を認める

破産法第67条第1項破産手続によらないで、相殺をすることができるe-Gov原文

ひっかけ破産者への債務も配当の対象に回る、と考えるとイを正しいと取り違える。相殺は手続外でできる。

解説破産債権者が破産手続開始時に破産者に対して債務を負担しているときは、破産手続によらないで相殺できる(破産法67条1項)。相殺は担保的機能を果たすため、別除権と同じく手続外での行使が認められる。アは条文どおりで正しく、イは配当手続内に限定した点で誤り。

補足ただし相殺には制限もあり、破産者の債務者が支払不能を知って債権を取得した場合などは相殺が禁止される(71条)。無制限に相殺できるわけではない。

6否認権

破産手続における否認権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産者が支払の停止等があった後又はその前6か月以内にした無償行為は、否認の対象とならない。
  • 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
160条3項で無償行為は否認の対象

破産法第160条第3項その前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができるe-Gov原文

正しい
160条1項1号の詐害行為否認

破産法第160条第1項第1号破産者が破産債権者を害することを知ってした行為e-Gov原文

ひっかけ「タダであげた財産は取り戻せない」と考えるとアを正しいと誤る。無償行為こそ広く否認の対象になる。

解説否認権は、破産者が破産財団を不当に減少させた行為の効力を覆し、財産を取り戻す制度。破産者が破産債権者を害することを知ってした行為(詐害行為)は否認でき(破産法160条1項1号)、支払停止等の後又はその前6か月以内の無償行為も否認できる(同条3項)。アは無償行為否認を否定した点で誤り、イは詐害行為否認どおりで正しい。

補足否認には詐害行為否認(160条)のほか、特定の債権者だけを優遇する弁済・担保提供を覆す偏頗行為否認(162条)もあり、支払不能後や開始申立て後の偏頗行為が狙われる。

7財団債権と破産債権

破産手続における財団債権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 財団債権は、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権である。
  • 破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権のうち一定のものは、財団債権となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
2条7項の定義どおり

破産法第2条第7項破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けることができる債権e-Gov原文

正しい
148条1項3号で一定の租税等は財団債権

破産法第148条第1項第3号破産手続開始前の原因に基づいて生じた租税等の請求権e-Gov原文

ひっかけ租税はすべて破産債権だ、と決めると一定の租税が財団債権になるイを誤りと取り違える。

解説財団債権は、破産手続によらないで破産財団から随時弁済を受けられる債権で(破産法2条7項)、破産債権に優先する。手続費用や破産管財人の行為で生じた請求権のほか、開始前の原因による租税等で納期限前のもの等も財団債権となる(148条1項3号)。アは定義、イは租税の扱いをそのまま述べ、ともに正しい。

補足破産者の従業員の給料も、破産手続開始前3か月間のものは財団債権として優先弁済される(149条1項)。生活への影響が大きい債権を手厚く保護する趣旨。

8破産財団の範囲と自由財産

破産財団の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産者が破産手続開始の時に有する財産は、差し押さえることができない財産も含めて、すべて破産財団に属する。
  • 自由財産の範囲は、いかなる場合も裁判所が拡張することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
34条3項で差押禁止財産等は破産財団から除かれる

破産法第34条第3項次に掲げる財産は、破産財団に属しないe-Gov原文

誤り
34条4項で自由財産の範囲拡張が認められる

破産法第34条第4項破産財団に属しない財産の範囲を拡張することができるe-Gov原文

ひっかけ破産すると全財産を失う、という思い込みでアを正しいと判断しがち。生活に必要な自由財産は残る。

解説破産財団は原則として破産者が開始時に有する一切の財産だが(破産法34条1項)、差押禁止財産や一定額の金銭は破産財団に属しない自由財産となる(同条3項)。さらに裁判所は生活状況等を考慮して自由財産の範囲を拡張できる(同条4項)。アは差押禁止財産まで含めた点で誤り、イは拡張を否定した点で誤り。

補足破産財団に属しない金銭は、民事執行法の差押禁止額(66万円)に2分の3を乗じた99万円が基準で(34条3項1号)、当面の生活資金として破産者の手元に残る。

9特別清算の開始原因と対象

特別清算に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特別清算は、清算株式会社に、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情や債務超過の疑いがあると認められるときに開始される。
  • 特別清算は、清算中であれば株式会社以外の法人も利用することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
会社法510条の開始原因どおり

会社法第510条債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第二項において同じ。)の疑いがあることe-Gov原文

誤り
会社法510条が対象を清算株式会社とする

会社法第510条清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときe-Gov原文

ひっかけ倒産手続だから誰でも使える、と広げるとイを正しいと取り違える。特別清算は清算株式会社専用。

解説特別清算は、すでに解散・清算中の株式会社を対象に、裁判所の監督のもとで清算を進める手続。開始原因は、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること、又は債務超過の疑いがあること(会社法510条)。対象は清算株式会社に限られる。アは開始原因どおりで正しく、イは対象を広げた点で誤り。

補足清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は特別清算開始の申立てをしなければならない(511条2項)。清算人にとっては任意でなく義務になる場面がある。

10倒産手続の対象(会社更生と民事再生)

倒産手続の対象に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 会社更生は、窮境にある株式会社についての事業の維持更生を図る手続である。
  • 民事再生は、株式会社にのみ利用が認められる手続である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
会社更生法1条が対象を株式会社とする

会社更生法第1条窮境にある株式会社についてe-Gov原文

誤り
民事再生法1条が対象を債務者とする

民事再生法第1条経済的に窮境にある債務者についてe-Gov原文

ひっかけ再建型はどちらも会社向け、と思うと民事再生を株式会社限定とするイを見抜けない。民事再生は個人も使える。

解説会社更生は窮境にある株式会社の事業の維持更生を図る手続で、対象は株式会社に限られる(会社更生法1条)。これに対し民事再生は経済的に窮境にある債務者を広く対象とし(民事再生法1条)、個人・各種法人が利用できる。アは会社更生の対象どおりで正しく、イは民事再生を株式会社限定とした点で誤り。

補足個人の住宅ローンを抱えた債務者には、住宅を手放さずに再建する個人再生(小規模個人再生・給与所得者等再生)が民事再生法に用意されており、会社更生にはない選択肢になる。

11破産管財人の管理処分権

破産手続開始後の財産の管理処分権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する。
  • 破産者は、破産手続開始後も、破産財団に属する財産を自ら自由に処分することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
開始決定で管理処分権が破産管財人に専属する(78条1項)

破産法第78条第1項破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属するe-Gov原文

誤り
78条1項で管理処分権が破産管財人に専属し破産者は権限を失う

破産法第78条第1項裁判所が選任した破産管財人に専属するe-Gov原文

ひっかけ「破産しても自分の財産は自分で処分できる」と考えると、管理処分権が破産管財人に移ることを見落としてイを正しいと取り違える。

解説破産手続開始の決定があると、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した破産管財人に専属する(破産法78条1項)。財産の換価や配当は破産管財人が担い、破産者はこれらの財産を自ら処分する権限を失う。アは条文どおりで正しく、イは破産者が自由に処分できるとした点で誤り。

補足破産者が破産手続開始後に破産財団に属する財産についてした法律行為は、破産手続の関係においてはその効力を主張できない(破産法47条1項)。専属の効果を裏から支える規定になっている。

12双方未履行双務契約と破産管財人の選択権

破産手続開始時に双方が未履行の双務契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産者及びその相手方が破産手続開始の時に共にまだ履行を完了していない双務契約について、破産管財人は契約を解除することはできず、相手方の債務の履行を請求することしかできない。
  • 双方未履行の双務契約の相手方は、破産管財人に対し、契約の解除をするか債務の履行を請求するかを確答すべき旨を催告することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
53条1項で破産管財人は解除と履行請求のいずれかを選択できる

破産法第53条第1項破産管財人は、契約の解除をしe-Gov原文

誤り
53条2項で相手方は確答を求める催告ができる

破産法第53条第2項相手方は、破産管財人に対し、相当の期間を定めe-Gov原文

ひっかけ破産管財人の選択権や相手方の催告権を知らないと、アとイのどちらかを正しいと取り違えやすい。

解説双方が未履行の双務契約では、破産管財人は契約を解除するか、破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求するかを選択できる(破産法53条1項)。相手方は不安定な地位に置かれるため、相当の期間を定めて確答を求める催告ができ、破産管財人が期間内に確答しないと解除したものとみなされる(同条2項)。アは履行請求に限定した点で誤り、イは催告を否定した点で誤り。

補足破産管財人が履行を選んで相手方の履行を請求する場合、相手方の請求権は財団債権となり(破産法148条1項7号)、破産債権より優先して随時弁済を受けられる。

13破産債権の個別行使の禁止と強制執行の制限

破産手続開始後の破産債権の行使に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産債権は、破産法に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ行使することができない。
  • 破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する破産債権に基づく強制執行は、することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
100条1項で破産債権の個別行使が原則禁止される

破産法第100条第1項破産手続によらなければ、行使することができないe-Gov原文

正しい
42条1項で破産債権に基づく強制執行等が禁止される

破産法第42条第1項破産財団に属する財産に対する強制執行e-Gov原文

ひっかけ「担保のない一般債権でも訴訟や差押えで先に回収できる」と考えると、個別行使が封じられることを見落とす。

解説破産手続は総債権者の公平な満足を目的とするため、破産債権は特別の定めがある場合を除き破産手続によらなければ行使できず(破産法100条1項)、配当という形でしか回収できない。これを実効的にするため、破産財団に属する財産に対する破産債権に基づく強制執行等もすることができない(同法42条1項)。アもイも条文どおりで正しい。

補足別除権者(担保権者)や相殺権者は例外で、別除権は破産手続によらないで行使でき(破産法65条1項)、相殺も手続によらないでできる(同法67条1項)。個別行使禁止が及ぶのは一般の破産債権である。

14再生計画案の可決の要件

民事再生手続における再生計画案の可決の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 再生計画案を可決するには、議決権者の過半数の同意があれば足り、議決権の総額に関する要件を満たす必要はない。
  • 再生計画案を可決するには、議決権者の議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意がなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
172条の3第1項が掲げる同意のいずれもが必要

民事再生法第172条の3第1項次に掲げる同意のいずれもがなければならないe-Gov原文

正しい
172条の3第1項2号で議決権総額の2分の1以上の同意が必要

民事再生法第172条の3第1項第2号議決権者の議決権の総額の二分の一以上の議決権を有する者の同意e-Gov原文

ひっかけ「過半数が賛成すれば可決」と頭数だけで考えると、議決権額の要件を満たすイを誤りと取り違える。

解説再生計画案を可決するには、二つの同意のいずれもが必要になる(民事再生法172条の3第1項)。一つは議決権者(出席者・書面等投票者に限る)の過半数の同意という頭数要件(同項1号)、もう一つは議決権者の議決権の総額の2分の1以上の議決権を有する者の同意という議決権額要件(同項2号)である。アは頭数だけで足りるとした点で誤り、イは議決権額要件をそのまま述べて正しい。

補足可決された再生計画案は、裁判所が認可・不認可を判断する。再生計画が遂行される見込みがないときや決議が不正の方法で成立したとき等には不認可の決定がされる(民事再生法174条2項)。

15再生債権の弁済の禁止

民事再生手続における再生債権の弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 再生債権については、再生手続開始後は、特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ弁済をすることができない。
  • 再生債務者を主要な取引先とする中小企業者であっても、再生計画認可の決定が確定する前に再生債権の弁済を受けることは一切認められない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
85条1項で再生計画によらない弁済が原則禁止される

民事再生法第85条第1項再生計画の定めるところによらなければ、弁済をしe-Gov原文

誤り
85条2項で中小企業者への早期弁済が許可されうる

民事再生法第85条第2項再生計画認可の決定が確定する前でもe-Gov原文

ひっかけ「再生手続が始まれば弁済は計画まで全面ストップ」と覚えると、例外の弁済許可を否定するイを正しいと取り違える。

解説再生債権は、再生手続開始後は特別の定めがある場合を除き、再生計画の定めるところによらなければ弁済できない(民事再生法85条1項)。ただし、再生債務者を主要な取引先とする中小企業者が弁済を受けないと事業継続に著しい支障が生じるおそれがあるときは、裁判所は認可確定前でも弁済を許可できる(同条2項)。アは原則どおりで正しく、イは例外を否定した点で誤り。

補足少額の再生債権についても、早期弁済で手続が円滑に進む場合等には、裁判所が認可確定前の弁済を許可できる(民事再生法85条5項)。取引関係の維持に配慮した例外が複数用意されている。

16破産手続開始の原因と申立て

破産手続開始の原因に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 債務者が支払不能にあるとき、裁判所は申立てにより破産手続開始の決定をする。
  • 債務者が支払停止をした場合でも、支払不能にあるものと推定されることはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
支払不能は、弁済期にある債務を一般的・継続的に支払えない状態であり、破産手続開始の基本原因になる。裁判所は申立てにより開始決定をする。

破産法第15条第1項債務者が支払不能にあるときe-Gov原文

誤り
支払停止は、支払不能状態を外部に示す典型的な事情である。条文上、支払停止があれば支払不能が推定されるため、推定されないとはいえない。

破産法第15条第2項支払不能にあるものと推定するe-Gov原文

ひっかけ支払停止は支払不能とは別物、と考えるとイを正しいと誤る。支払を停止すれば支払不能が推定される。

解説破産手続開始の原因は、原則として債務者の支払不能である。債務者が支払不能にあるときは、裁判所は申立てにより破産手続開始の決定をする(破産法15条1項)。アはこのとおりで正しい。そして、債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定される(同条2項)。支払停止は支払不能を直接証明するものではないが、条文上は推定効を生じるので、推定されることはないとするイは誤り。

補足支払停止とは、資力欠乏のため一般的・継続的に支払ができないことを外部に表示する行為をいい、弁護士の受任通知や銀行取引停止処分などがこれにあたる。支払不能は、弁済期にある債務を一般的・継続的に弁済できない客観的状態を指す。

17破産財団の範囲と自由財産(第11章・biz2-ch11-0017)

破産財団の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産者が破産手続開始の時に有する一切の財産は、破産財団とされるのが原則である。
  • 破産者が破産手続開始後に新たに取得した財産は、常に破産財団に属する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
破産財団は、破産債権者への配当に充てるために破産者の財産を集めたもの。原則として破産手続開始時に破産者が有する財産が対象になる。

破産法第34条第1項破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産e-Gov原文

誤り
破産財団は開始時を基準に固定されるのが原則である。開始後に破産者が取得した財産まで常に財団に入ると、破産者の経済的再出発が妨げられる。

破産法第34条第1項破産手続開始の時において有するe-Gov原文

ひっかけ破産すると手続後に得た財産まで全部債権者のもの、と考えるとイを正しいと誤る。財団は開始時の財産が基準になる(固定主義)。

解説破産財団は、破産者の財産を債権者への配当に充てるための集合で、破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産が原則としてこれに属する(破産法34条1項)。アはこのとおりで正しい。基準時は開始時であり、破産者が開始後に新たに取得した財産(新得財産)は原則として破産財団に属さない。これを固定主義という。イは開始後に取得した財産も常に破産財団に属するとした点で誤り。

補足開始後の新得財産が財団に入らないのは、破産者の経済的な再起を確保する趣旨でもある。差押禁止財産や一定額の金銭も自由財産として財団から除かれ、破産者の手元に残る(34条3項)。

18双方未履行双務契約と破産管財人

破産手続における双方未履行双務契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産者及び相手方がともにまだ履行を完了していない双務契約について、破産管財人は契約の解除又は債務の履行請求を選択できる。
  • 相手方は、破産管財人に対して相当の期間を定め、その期間内に解除するか履行請求するかの確答を催告できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
双方未履行双務契約

破産法第53条第1項契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができるe-Gov原文

正しい
相手方保護

破産法第53条第2項確答すべき旨を催告することができるe-Gov原文

ひっかけ双方未履行の契約は破産で当然に消える、と考えるとアを取り違える。管財人が解除か履行かを選べる。

解説破産者と相手方がともにまだ履行を完了していない双務契約について、破産管財人は、契約を解除するか、または破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求するかを選択できる(破産法53条1項)。アはこのとおりで正しい。管財人が選択するまで相手方は不安定な立場に置かれるため、相手方は破産管財人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に解除するか履行請求するかを確答すべき旨を催告できる(同条2項前段)。イもこの相手方保護の催告どおりで正しい。

補足破産管財人が催告の期間内に確答しないときは、契約の解除をしたものとみなされる(53条2項後段)。そして解除された場合、相手方は損害の賠償について破産債権者として権利を行使できる(54条1項)。

19破産債権者の相殺権(第11章・biz2-ch11-0019)

破産手続における相殺権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 破産債権者は、破産手続開始の時に破産者に対して債務を負担するとき、破産手続によらないで相殺できる。
  • 破産手続開始後に他人の破産債権を取得しても、破産者に対する債務と常に相殺できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
破産手続開始時に相互に債権債務を持っている破産債権者には、相殺による担保的利益がある。破産法は一定範囲で手続外相殺を認める。

破産法第67条第1項破産手続によらないで、相殺をすることができるe-Gov原文

誤り
開始後に他人の破産債権を取得して相殺できると、抜け駆け的な回収が可能になる。公平な配当を守るため、このような相殺は禁止される。

破産法第72条第1項第1号破産手続開始後に他人の破産債権を取得したときe-Gov原文

ひっかけ破産手続中はいつ債権を手に入れて相殺してもよい、と考えるとイを正しいと誤る。開始後に他人の破産債権を取得しての相殺は禁止される。

解説破産債権者は、破産手続開始の時において破産者に対して債務を負担するときは、破産手続によらないで相殺をすることができる(破産法67条1項)。相殺は手続外で自己の債権と債務を対当額で消滅させられる強い権利で、破産債権者にとって担保的な機能を果たす。アはこのとおりで正しい。もっとも、破産手続開始後に他人の破産債権を取得して相殺適状を作り出すような相殺は禁止される(72条1項1号)。イは開始後に他人の破産債権を取得しても常に相殺できるとした点で誤り。

補足これらの相殺禁止は、危機時期に相殺できる状態を意図的に作り出して抜け駆け的に債権を回収する行為を防ぐ趣旨による。支払不能や支払停止を知った後に取得した破産債権による相殺も、同様に禁止される(72条1項各号)。

20再生債権の弁済禁止と再生計画の可決

民事再生手続における再生債権と再生計画に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 再生債権については、再生手続開始後は、原則として再生計画の定めるところによらなければ弁済してはならない。
  • 再生計画案の可決には、議決権者の頭数だけでなく、議決権総額についても一定割合の同意が必要となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
再生手続開始後の個別弁済を制限する趣旨を問う肢。計画外の弁済を許すと、債権者間の公平が崩れる。

民事再生法第85条第1項再生計画の定めるところによらなければ、弁済をしe-Gov原文

正しい
再生計画の可決要件を問う肢。頭数の過半数だけでなく、議決権総額の要件も必要になる。

民事再生法第172条の3第1項議決権者の議決権の総額の二分の一以上e-Gov原文

ひっかけ頭数さえ過半数集まれば再生計画は可決される、と考えるとイを取り違える。議決権総額の要件も同時に満たす必要がある。

解説民事再生では、再生債権を再生計画の枠内で公平に処理することが基本になる。そのため、開始後の個別弁済は原則として禁止される。また、再生計画の可決は、少額債権者の頭数だけ、または大口債権者の金額だけで決まらないように、頭数要件と議決権総額要件の両方を置いている。弁済禁止と可決要件は、いずれも再生手続の公平性を支えるルールである。

補足頭数要件と議決権総額要件の両方を課すのは、多数の少額債権者の頭数だけで、あるいは少数の大口債権者の額だけで可決されることを防ぎ、双方のバランスをとるためである。

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