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民法・第12章

法的紛争等の予防と対応の問題(37問)

この章を解く(37問)→

契約によらない責任(不法行為・使用者責任・不当利得・事務管理)

紛争が起きたときの民事責任をあつかう章(37問)です。不法行為と使用者責任・土地工作物責任・共同不法行為、不当利得、事務管理、債権者代位権、詐害行為取消権、不法行為の消滅時効を収録しています。契約によらない責任が中心で、成立要件と免責・求償・時効の組み合わせが問われます。

第12章は不法行為、使用者責任、土地工作物責任、不当利得、事務管理です。契約がない場面でも責任が発生するかを、成立要件と時効で確認します。

  • 不法行為は故意・過失、損害、因果関係を見る。
  • 使用者責任と土地工作物責任は責任主体を分ける。
  • 不当利得と事務管理を同じ救済として扱わない。

この章で確認する論点

第12章は37問を収録し、主な論点は「不当利得の返還義務」「不法行為と使用者責任」「使用者責任の免責と求償」「不動産物権変動の対抗要件」「履行遅滞となる時期」です。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

他の資格との比較は、民法を学べる資格と無料問題も参照できます。

  • 従業員が起こした損害でも、賠償を求められる相手は本人だけとは限らない。
  • 『使用者は絶対に免れない』も『被用者に一切求償できない』も、どちらも言い過ぎ。
  • 不動産で効くのは登記、引渡しで効くのは動産。ここを入れ替えると両方落とす。
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この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

民法:177条・412条・413条・415条・416条・417条・418条・419条・420条・423条・424条・541条(ほか25条)

民法の残り25条を開く

542条・543条・544条・545条・697条・703条・704条・705条・708条・709条・710条・711条・713条・714条・715条・716条・717条・718条・719条・720条・721条・722条・723条・724条・724条の2

問題と解説を読む全37問・答え付き

答え・解説つきで37問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov等の一次資料で確認済み2026年6月〜2026年10月時点の法令に準拠
問1不法行為と使用者責任e-Gov等の一次資料で確認済み

不法行為に基づく損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
  • イ.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うことがある。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
一般不法行為

民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」一次資料を確認

イ.正しい
使用者責任

民法第715条第1項「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」一次資料を確認

ひっかけ従業員が起こした損害でも、賠償を求められる相手は本人だけとは限らない。

解説アは一般不法行為の要件そのものである。故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(民法709条)。イは使用者責任で、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(同715条1項)。企業活動では、従業員が職務の遂行中に取引先や第三者へ損害を与える場面が生じ、その場合、加害行為をした従業員本人(709条)に加えて、使用者である会社も賠償責任を問われうる。被害者から見れば、賠償資力のある会社に請求できる意味が大きい。

補足『その事業の執行について』は外形から判断され、被用者の行為が職務の範囲内に見える限り、たとえ被用者が私利を図っていても使用者責任が及びうる。

問2使用者責任の免責と求償e-Gov等の一次資料で確認済み

使用者責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.使用者は、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたことを証明しても、使用者責任を免れることはできない。
  • イ.使用者責任が成立する場合であっても、使用者は、被用者に対して求償権を行使することは一切できない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
免責事由

民法第715条第1項「使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」一次資料を確認

イ.誤り
求償権

民法第715条第3項「前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない」一次資料を確認

ひっかけ『使用者は絶対に免れない』も『被用者に一切求償できない』も、どちらも言い過ぎ。

解説アもイも誤りである。まずアについて、使用者責任は無条件の責任ではなく、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、責任を免れる(民法715条1項ただし書)。条文上は免責の余地があるため、『相当の注意を証明しても免れない』とするアは誤り(もっとも裁判実務でこの免責が認められる例はほとんどない)。次にイについて、第三者に賠償した使用者は、被用者に対して求償権を行使できる(同条3項)。『一切できない』とするイも誤り。ただし求償は、損害の公平な分担の見地から信義則上相当と認められる限度に制限されることがある。

補足求償は使用者から被用者への一方通行とは限らない。被用者が先に被害者へ全額賠償したときは、被用者の側から使用者へ負担を求める(いわゆる逆求償)ことも認められている。

問3不動産物権変動の対抗要件e-Gov等の一次資料で確認済み

不動産に関する物権変動の対抗要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.不動産に関する物権の得喪及び変更は、登記をしなくても、当然に第三者に対抗することができる。
  • イ.不動産物権変動の対抗要件は引渡しであり、登記をする必要はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
登記が対抗要件

民法第177条「その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

イ.誤り
登記主義

民法第177条「その登記をしなければ、第三者に対抗することができない」一次資料を確認

ひっかけ不動産で効くのは登記、引渡しで効くのは動産。ここを入れ替えると両方落とす。

解説アもイも誤りである。不動産に関する物権の得喪および変更は、登記をしなければ、第三者に対抗することができない(民法177条)。所有権を取得しても、登記を備えないかぎり第三者に『これは自分のものだ』と主張できないから、『登記がなくても当然に対抗できる』とするアは誤り。そして不動産の対抗要件は登記であって引渡しではないから、『対抗要件は引渡し』とするイも誤り。引渡しは動産物権変動の対抗要件である(同178条)。同一の不動産が二重に譲渡された場面では、先に登記を備えた譲受人が優先する。

補足177条の『第三者』は無制限ではない。実体を知りながら登記の欠けを主張するような背信的悪意者は第三者にあたらず、その者に対しては登記がなくても物権変動を対抗できる。

問4不当利得の返還義務e-Gov等の一次資料で確認済み

不当利得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
  • イ.不当利得の返還義務は、受けた利益が現存するか否かにかかわらず、常に受けた利益の全額に及ぶ。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
不当利得

民法第703条「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者」一次資料を確認

イ.誤り
現存利益

民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」一次資料を確認

ひっかけ善意の受益者が返すのは、今も残っている利益の分。受け取った全額ではない。

解説法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う(不当利得。民法703条)。アはこの条文どおりで正しい。ここで返還の範囲が問題になる。善意の受益者は、利益が手元に残っている限度(現存利益)を返せば足り、常に全額に及ぶわけではない。イは『現存するか否かにかかわらず常に全額』とする点で703条に反するので誤り。

補足悪意の受益者になると扱いが重くなり、受けた利益に利息を付けて返還し、なお損害があれば賠償責任まで負う(民法704条)。善意か悪意かで返還範囲が分かれる。

問5履行遅滞となる時期e-Gov等の一次資料で確認済み

履行遅滞の責任を負う時期に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
  • イ.債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けても遅滞の責任を負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
確定期限

民法第412条第1項「債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う」一次資料を確認

イ.誤り
期限の定めなし

民法第412条第3項「期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」一次資料を確認

ひっかけ「いつから遅れか」は期限しだい。期限の定めがない債務は、請求された時点で遅滞に入る。

解説債務者がいつから履行遅滞の責任を負うかは、履行期の種類で変わる。確定期限があるときは、その期限の到来した時から遅滞となる(民法412条1項)。アはこのとおりで正しい。一方イは、期限を定めなかったときは履行の請求を受けても遅滞の責任を負わないとするが、412条3項は「履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」と定めるため誤り。期限の定めがない債務でも、債権者の請求があればその時点から遅滞になる。よってアは正しく、イは誤りとなる。

補足不確定期限の場合は、期限到来後に請求を受けた時か、債務者が期限到来を知った時の、いずれか早い時から遅滞となる(民法412条2項)。

問6債権者代位権e-Gov等の一次資料で確認済み

債権者代位権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債権者は、自己の債権を保全する必要があるか否かにかかわらず、債務者に属する権利を代位行使することができる。
  • イ.債権者は、債務者の一身に専属する権利であっても、これを代位行使することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
保全の必要性

民法第423条第1項「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利」一次資料を確認

イ.誤り
代位の対象外

民法第423条第1項「債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ保全の必要があり、かつ一身専属でない権利。どちらか欠けても代位は届かない。

解説債権者代位権は、自己の債権を保全する必要があるときに、債務者に属する権利を代わって行使できる制度である(民法423条1項本文)。アは『保全の必要があるか否かにかかわらず』としており、必要性の要件を外しているので誤り。さらに、債務者の一身に専属する権利と差押えを禁じられた権利は対象から外れる(同項ただし書)。イは一身専属権も代位行使できるとしており誤り。両肢とも誤りで、組み合わせはアー誤・イー誤。

補足自己の債権の期限が来るまでは代位行使できない。ただし時効の完成猶予のような保存行為は期限前でもできる(423条2項)。

問7土地工作物責任e-Gov等の一次資料で確認済み

土地の工作物の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、まずその工作物の占有者が損害賠償責任を負う。
  • イ.工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合でも、所有者が損害賠償責任を負うことはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
工作物責任

民法第717条第1項「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」一次資料を確認

イ.誤り
所有者の無過失責任

民法第717条第1項「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」一次資料を確認

ひっかけ占有者が注意を尽くして免責されると、責任は所有者へ移る。

解説土地の工作物(建物・塀・看板など)の設置又は保存に瑕疵があって他人に損害が生じたときは、まずその工作物の占有者が損害賠償責任を負う(民法717条1項本文)。もっとも、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたことを証明すれば占有者は免責され、今度は所有者が賠償しなければならない(同項ただし書)。アはこの一次的な占有者責任を正しく述べており正しい。イは、占有者が免責された場合に所有者が責任を負う場面を否定しており誤り。

補足占有者は必要な注意の証明で免責される余地があるのに対し、所有者は注意を尽くしても免責されない無過失責任を負う。占有者と所有者で免責の可否が逆になる点に717条の特徴がある。

問8共同不法行為e-Gov等の一次資料で確認済み

共同不法行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。
  • イ.共同行為者のうちいずれの者が損害を加えたかを知ることができないときも、各自が連帯して損害賠償責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
連帯責任

民法第719条第1項「数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」一次資料を確認

イ.正しい
加害者不明

民法第719条第1項「共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする」一次資料を確認

ひっかけ誰がやったか分からなくても、共同行為者は全員が全額の連帯責任を負う。

解説数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う(民法719条1項前段)。被害者は加害者の誰に対しても損害の全額を請求できる。さらに、共同行為者のうちいずれの者が損害を加えたかを知ることができないときも各自が連帯責任を負う(同項後段)。加害者を特定できない被害者を救済する規定である。アは前段、イは後段にそのまま当たり、いずれも正しい。

補足教唆者・幇助者も共同行為者とみなされて連帯責任を負う(719条2項)。なお全額を弁償した加害者は、他の加害者に対し各自の過失割合に応じた負担部分を求償できる。

問9事務管理e-Gov等の一次資料で確認済み

事務管理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって事務管理をしなければならない。
  • イ.事務管理とは、法律上の義務に基づいて他人の事務を処理する場合をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法で管理しなければならない(民法697条1項)。例えば、隣家が留守の間に台風で屋根が壊れたとき、頼まれていなくても修理を始めたなら、本人の利益に最もかなう方法で行う。

民法第697条第1項「義務なく他人のために事務の管理を始めた者」一次資料を確認

民法第697条第1項「最も本人の利益に適合する方法によって」一次資料を確認

イ.誤り
事務管理は、法律上の義務がないのに他人のために事務を始める場合である(同項)。義務があって処理するなら、委任契約などに基づく処理であり、事務管理ではない。

民法第697条第1項「義務なく他人のために事務の管理を始めた者」一次資料を確認

ひっかけ鍵は『義務なく』始めること。義務があれば事務管理ではない。

解説事務管理とは、義務なく他人のために事務の管理を始めることをいう(民法697条1項)。管理者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法で管理しなければならず、本人の意思を知り又は推知できるときはその意思に従う(同条2項)。隣家が留守の間に台風で壊れた屋根を頼まれずに修理する場面が典型である。アは697条1項・2項どおりで正しい。イは事務管理を『法律上の義務に基づく』処理だと説明しており、『義務なく』という出発点を真逆にしているため誤り。

補足管理者は本人のために支出した有益な費用の償還を請求できる(民法702条1項)が、委任と違って報酬請求権はない。好意で他人の事務に踏み込む制度なので、実費は取り戻せても手間賃は出ない。

問10正当防衛・緊急避難(不法行為)e-Gov等の一次資料で確認済み

不法行為における正当防衛・緊急避難に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利等を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、常に損害賠償責任を負う。
  • イ.他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合(緊急避難)には、正当防衛に関する規定は準用されない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
正当防衛

民法第720条第1項「他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない」一次資料を確認

イ.誤り
緊急避難

民法第720条第2項「前項の規定は、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合について準用する」一次資料を確認

ひっかけアの『常に損害賠償責任を負う』は720条1項に正面から反する。イの『準用されない』も同条2項に反する。両方とも条文の逆を言っている。

解説他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利・法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない(正当防衛。民法720条1項)。だから『常に損害賠償責任を負う』とするアは誤り。さらに、他人の物から生じた急迫の危難を避けるためその物を損傷した場合(緊急避難)にも、この規定が準用される(同条2項)。よって準用を否定するイも誤り。やむを得ない防衛・避難行為について、不法行為責任が阻却される。

補足720条1項ただし書により、正当防衛で免責されても、被害者は元の不法行為者に対して損害賠償を請求できる。

問11名誉毀損における原状回復e-Gov等の一次資料で確認済み

名誉毀損に対する救済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる。
  • イ.名誉毀損の場合に裁判所が命ずることができるのは金銭による損害賠償のみであり、謝罪広告等の名誉を回復する処分を命ずることはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
原状回復

民法第723条「裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」一次資料を確認

イ.誤り
金銭賠償に限られない

民法第723条「裁判所は、被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる」一次資料を確認

ひっかけ723条は損害賠償『に代えて、又はとともに』名誉回復処分を認める。アはそのとおりで正しく、『金銭賠償のみ』とするイが誤り。

解説他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は被害者の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができる(民法723条)。謝罪広告の掲載などがその例である。アはこの条文どおりで正しい。これに対し、命じられるのは金銭賠償のみで名誉回復処分は命じられないとするイは誤り。金銭だけでは回復しにくい名誉という人格的利益を、原状回復的な処分で保護する趣旨である。

補足謝罪広告を命じる判決は、単に真相を告げ陳謝する程度のものなら良心の自由(憲法19条)に反せず、代替執行もできる(最大判昭31.7.4)。

問12不法行為による損害賠償請求権の消滅時効e-Gov等の一次資料で確認済み

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
  • イ.不法行為による損害賠償請求権は、不法行為の時から20年間行使しないときも、時効によって消滅する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
不法行為による損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する(民法724条1号)。損害だけでなく、加害者も知った時から進む。例えば、事故にあった被害者が、相手が誰か分からない間は、この3年は進まない。人の生命又は身体を害する不法行為では、この期間は5年になる(民法724条の2)。

民法第724条「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」一次資料を確認

イ.正しい
不法行為の時から20年間行使しないときも、時効によって消滅する(民法724条2号)。被害者の認識とは関係なく、不法行為の時から進む。例えば、被害者が加害者を知らないまま20年が過ぎれば、請求権は消滅する。3年と20年は、それぞれ別に進む。

民法第724条「不法行為の時から二十年間行使しないとき」一次資料を確認

ひっかけ起算点の違う『3年』と『20年』が、それぞれ独立に時効を進めます。

解説不法行為による損害賠償請求権は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年で時効消滅する(民法724条1号)。これが主観的起算点で、アは正しい。これとは別に、不法行為の時から20年という客観的起算点の時効も走り(同条2号)、イもこの条文どおり正しい。3年と20年は片方が満ちた時点で権利が消える二本立てで、知らないまま20年を過ぎれば、加害者を特定する前でも請求権は失われる。

補足人の生命・身体を害する不法行為では、3年の側だけが5年に延びる(724条の2)。20年の方は動かないので、人身被害の時効は『5年・20年』の組み合わせになる。

問13不当利得の返還義務(第12章・biz2-ch12-0015)e-Gov等の一次資料で確認済み

不当利得の返還義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.法律上の原因なく他人の財産等によって利益を受け他人に損失を及ぼした者は、利益が現存しているか否かにかかわらず、受けた利益の全額を返還しなければならない。
  • イ.不当利得返還義務は、契約に基づく債務であり、法律上の原因がある場合にのみ生じる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
現存利益

民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」一次資料を確認

イ.誤り
法律上の原因なし

民法第703条「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者」一次資料を確認

ひっかけ不当利得は法律上の原因が「ない」ことから生まれ、善意者の返還は現存利益にとどまります。

解説不当利得の受益者がいくら返すかは善意か悪意かで分かれ、善意の受益者はその利益の存する限度(現存利益)で返還すれば足りる(民法703条)。だから『利益が現存しているか否かにかかわらず全額を返還しなければならない』とするアは、善意者の現存利益の扱いを無視していて誤り。そして不当利得は法律上の原因なく利益を受けた場合に生じるものだから、『契約に基づく債務であり、法律上の原因がある場合にのみ生じる』とするイは制度の前提を取り違えていて誤り。返還範囲と発生原因の両方で外れ、組み合わせは『アー誤、イー誤』。

補足現存利益で足りるのは善意の受益者に限られる。悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があれば賠償責任まで負う(民法704条)。善意か悪意かが返還の重さを大きく分ける。

問14詐害行為取消請求の受益者の主観e-Gov等の一次資料で確認済み

詐害行為取消請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを、裁判所に請求することができる。
  • イ.受益者がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときであっても、債権者は詐害行為取消請求をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
裁判上の行使である点を確認

民法第424条第1項「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる」一次資料を確認

イ.誤り
ただし書の善意受益者保護を裏返す

民法第424条第1項「その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という」一次資料を確認

ひっかけ受益者が善意なら、債務者が害意でしていても取り消せない。ただし書がそこで効く。

解説詐害行為取消請求は、債務者が債権者を害すると知ってした行為について、債権者が裁判所に取消しを求める制度。アはその本文どおりで正しい。問題はイで、424条1項にはただし書があり、利益を受けた受益者がその行為の時に債権者を害することを知らなかった(善意の)ときは取り消せない。取引の安全のため、事情を知らずに財産を取得した者まで巻き込まないという趣旨。だから「受益者が善意でも取消請求できる」とするイは誤りで、組み合わせはアー○・イー×になる。

補足行使には期間制限もあり、債権者が害意を知った時から2年、行為の時から10年で訴えを提起できなくなる(426条)。

問15詐害行為取消請求の対象行為と被保全債権e-Gov等の一次資料で確認済み

詐害行為取消請求の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.財産権を目的としない行為については、詐害行為取消請求の規定は適用されない。
  • イ.債権者の債権が強制執行により実現することのできないものであっても、債権者は詐害行為取消請求をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
詐害行為取消請求の規定は、財産権を目的としない行為については適用しない(民法424条2項)。例えば、婚姻や養子縁組のような身分に関わる行為は、債権者が取り消す対象にならない。

民法第424条第2項「前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない」一次資料を確認

イ.誤り
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない(同条4項)。強制執行で実現できない債権のために、債務者の財産を取り戻すことはできない、という趣旨である。なお、取消請求ができるのは、その債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限られる(同条3項)。

民法第424条第4項「その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない」一次資料を確認

ひっかけ強制執行で実現できない債権を、詐害行為取消しで守ることはできない。4項がそこを切る。

解説アは424条2項そのままで、財産権を目的としない行為には詐害行為取消しの規定が及ばない。婚姻や離婚といった身分行為が責任財産の保全になじまないからで、正しい。イは被保全債権の側の話で、424条4項は、その債権が強制執行により実現できないものであるときは取消請求ができないと定める。詐害行為取消権は最終的に強制執行で満足を得るための制度なので、執行できない債権を保全する意味がない。よってイは誤り、答えはアー○・イー×。

補足詐害行為の前の原因に基づいて生じた債権であることも必要で、行為より後に発生した債権では取消請求できない(424条3項)。

問16債権者代位権の保全必要性e-Gov等の一次資料で確認済み

債権者代位権に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利を行使することができる。
  • イ.債務者の一身に専属する権利であっても、債権者は当然に代位行使することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
423条1項

民法第423条第1項「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利」一次資料を確認

イ.誤り
対象外の権利

民法第423条第1項「債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ債権者は債務者のどんな権利でも代位行使できる、と考えるとイを正しいと誤る。一身専属権や差押禁止権は対象外。

解説債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(被代位権利)を行使することができる(債権者代位権。民法423条1項本文)。アはこのとおりで正しい。もっとも、債務者の一身に専属する権利や差押えを禁じられた権利は、代位行使の対象から除かれる(同項ただし書)。したがって「一身に専属する権利であっても当然に代位行使できる」とするイは誤り。

補足一身専属権とは、離婚請求権や名誉毀損の慰謝料請求権など、行使するかを本人の意思に委ねるべき権利をいう。債権者代位権は責任財産の保全のための制度なので、こうした権利や差押禁止財産には及ばない。

問17事務管理の方法と通知義務e-Gov等の一次資料で確認済み

事務管理に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって管理しなければならない。
  • イ.義務なく他人のために事務の管理を始めた者は、本人に不利な方法であっても、自己の利益に最も適合する方法で管理すれば足りる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
事務管理の基本義務

民法第697条第1項「最も本人の利益に適合する方法によって」一次資料を確認

イ.誤り
他人のための事務管理

民法第697条第1項「義務なく他人のために事務の管理を始めた者」一次資料を確認

ひっかけ頼まれず他人の事務を始めた者は自分の都合で管理してよい、と考えるとイを正しいと誤る。本人の利益に適合する方法で管理しなければならない。

解説義務なく他人のために事務の管理を始めた者(管理者)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理をしなければならない(事務管理。民法697条1項)。アはこのとおりで正しい。管理の基準は本人の利益であって管理者自身の利益ではないので、「自己の利益に最も適合する方法で管理すれば足りる」とするイは誤り。

補足管理者は、本人の意思を知っているときやこれを推知できるときは、その意思に従って管理しなければならない(697条2項)。また、管理を始めたことを遅滞なく本人に通知する義務なども負う(699条)。

問18不当利得の返還範囲e-Gov等の一次資料で確認済み

不当利得に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、不当利得返還義務を負う。
  • イ.善意の受益者であっても、受けた利益が現存しない場合を含め、常に受けた利益の全額を返還しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
不当利得の成立

民法第703条「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者」一次資料を確認

イ.誤り
常に全額ではない

民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」一次資料を確認

ひっかけ受益者は常に受けた利益の全額を返す、と考えるとイを正しいと誤る。善意の受益者は利益が現存する限度で返せば足りる。

解説法律上の原因なく他人の財産または労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(受益者)は、不当利得として返還義務を負う(民法703条前段)。アはこのとおりで正しい。もっとも、その返還範囲は「その利益の存する限度」(現存利益)であって、善意の受益者は利益が現存しない部分まで返す必要はない。したがって「現存しない場合を含め常に全額を返還しなければならない」とするイは誤り。

補足これは善意の受益者の返還範囲である。これに対し、悪意の受益者は、受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があればその賠償責任も負う(704条)。善意か悪意かで返還範囲が大きく変わる。

問19不法行為における過失相殺e-Gov等の一次資料で確認済み

不法行為による損害賠償と過失相殺に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.不法行為について被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して損害賠償の額を定めることができる。
  • イ.不法行為による損害賠償については、損害賠償の方法及び中間利息の控除に関する規定は準用されない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
不法行為の過失相殺

民法第722条「これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」一次資料を確認

イ.誤り
準用を否定するのは誤り

民法第722条「第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する」一次資料を確認

ひっかけ不法行為にも損害賠償の方法・中間利息控除の規定が準用される。

解説不法行為では、被害者に過失があれば、裁判所はこれを考慮して損害賠償額を定めることができる。あわせて、損害賠償の方法と中間利息控除に関する民法417条・417条の2も不法行為に準用される。過失相殺の有無だけでなく、準用規定も確認する。

補足債務不履行の過失相殺との違いを聞く問題にもつながる。

問20財産以外の損害の賠償と近親者への賠償e-Gov等の一次資料で確認済み

財産以外の損害の賠償と近親者への賠償に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.不法行為によって損害賠償の責任を負う者は、他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
  • イ.他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害された場合に限り、損害の賠償をしなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
710条

民法第710条「前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」一次資料を確認

イ.誤り
711条

民法第711条「その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」一次資料を確認

ひっかけ近親者の慰謝料は、財産権の侵害の有無にかかわらず認められる。

解説不法行為(民法709条)による損害賠償責任を負う者は、財産以外の損害に対してもその賠償をしなければならない(710条)。アは正しい。また、他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても損害の賠償をしなければならない(711条)。財産権が侵害された場合に限るとするイは誤り。

補足711条の対象は、条文上は被害者の父母、配偶者及び子である。

問21責任無能力者の監督義務者の責任e-Gov等の一次資料で確認済み

責任無能力者の監督義務者の責任に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者は、監督義務者が負う責任を負わない。
  • イ.監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、監督義務者は、責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
714条2項

民法第714条第2項「監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う」一次資料を確認

イ.正しい
714条1項ただし書

民法第714条第1項ただし書「監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ監督義務者の責任は、義務を怠らなかったことの証明で免れる。代わって監督する者も同じ責任を負う。

解説責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、責任無能力者が責任を負わない場合に、その者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない(民法714条1項)。イは正しい。監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、同じ責任を負う(同条2項)。アは誤り。

補足責任無能力者本人が責任を負わないことが前提になる点(714条1項)も押さえる。

問22注文者の責任と動物の占有者の責任e-Gov等の一次資料で確認済み

注文者の責任と動物の占有者の責任に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.注文者は、注文又は指図についてその注文者に過失がなくても、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
  • イ.動物の占有者は、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときでも、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を免れない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
716条

民法第716条「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」一次資料を確認

イ.誤り
718条1項ただし書

民法第718条第1項「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ原則と免責の組み立てが規定ごとに違う。注文者は原則免責、動物占有者は原則責任である。

解説注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文または指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない(民法716条)。アは誤り。動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うが、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない(718条1項)。イも誤り。

補足占有者に代わって動物を管理する者も、同じ責任を負う(718条2項)。

問23生命・身体侵害の不法行為の時効と損害賠償の方法e-Gov等の一次資料で確認済み

生命・身体侵害の不法行為の時効と損害賠償の方法に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効については、民法724条1号の「三年間」を「五年間」として適用する。
  • イ.損害賠償は、別段の意思表示がないときは、原状回復の方法によってその額を定める。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
724条の2

民法第724条の2「同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする」一次資料を確認

イ.誤り
417条

民法第417条「損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める」一次資料を確認

ひっかけ債務不履行の損害賠償の方法(417条)は金銭が原則である。

解説人の生命または身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効では、724条1号の「三年間」が「五年間」となる(民法724条の2)。アは正しい。また、損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める(417条)。原状回復の方法によるとするイは誤り。

補足生命・身体の侵害では、債務不履行(167条)も不法行為(724条の2)も、通常より時効期間が長くなる点を比べて覚える。

問24債務不履行による損害賠償請求e-Gov等の一次資料で確認済み

債務不履行による損害賠償請求に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときでも、債権者は、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。
  • イ.債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
415条1項ただし書

民法第415条第1項「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」一次資料を確認

イ.正しい
415条2項2号

民法第415条第2項第2号「債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき」一次資料を確認

ひっかけ債務者に帰責事由がなければ、債務不履行による損害賠償は請求できない。

解説債務者が債務の本旨に従った履行をしないとき、または履行が不能であるときは、債権者は損害の賠償を請求できる。ただし、その不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない(民法415条1項)。アは誤り。債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は債務の履行に代わる損害賠償を請求できる(同条2項2号)。イは正しい。

補足履行に代わる損害賠償の請求ができるのは、履行不能のとき、履行拒絶の明確な表示があったとき、契約が解除され又は解除権が発生したときである(415条2項各号)。

問25損害賠償の範囲e-Gov等の一次資料で確認済み

損害賠償の範囲に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
  • イ.特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
416条1項

民法第416条第1項「これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする」一次資料を確認

イ.正しい
416条2項

民法第416条第2項「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる」一次資料を確認

ひっかけ特別損害は、当事者が予見すべきであったかどうかで賠償の可否が決まる。

解説債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする(民法416条1項)。特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる(同条2項)。ア・イとも正しい。

補足予見の対象は「特別の事情」であり、予見すべきであったかどうかで判断する。

問26賠償額の予定e-Gov等の一次資料で確認済み

賠償額の予定に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
  • イ.賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
420条1項

民法第420条第1項「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる」一次資料を確認

イ.誤り
420条2項

民法第420条第2項「賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない」一次資料を確認

ひっかけ賠償額を予定しても、履行の請求や解除はできる。

解説当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる(民法420条1項)。アは正しい。賠償額の予定は、履行の請求または解除権の行使を妨げない(同条2項)。妨げるとするイは誤り。

補足違約金は、賠償額の予定と推定される(420条3項)。

問27違約金の推定と催告による解除e-Gov等の一次資料で確認済み

違約金の推定と催告による解除に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.違約金は、賠償額の予定とは推定されない。
  • イ.当事者の一方が債務を履行しない場合に、相手方が相当の期間を定めて催告をしても、その期間を経過した時における債務の不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、契約の解除をすることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
420条3項

民法第420条第3項「違約金は、賠償額の予定と推定する」一次資料を確認

イ.正しい
541条ただし書

民法第541条ただし書「その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ違約金の性質(推定)と、催告解除が制限される軽微な不履行を区別する。

解説違約金は、賠償額の予定と推定される(民法420条3項)。推定されないとするアは誤り。また、当事者の一方が債務を履行しない場合に、相手方が相当の期間を定めて催告をし、その期間内に履行がないときは契約を解除できるが、期間経過時の債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは解除できない(541条)。イは正しい。

補足催告によらない解除は542条に別に定められている。

問28履行に代わる損害賠償の請求ができる場合e-Gov等の一次資料で確認済み

履行に代わる損害賠償の請求ができる場合に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の履行が不能であるときは、債権者は、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
  • イ.債務が契約によって生じたものである場合には、債権者は、契約が解除されたときに限り債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができ、解除権が発生しただけでは請求することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
415条2項1号

民法第415条第2項第1号「債務の履行が不能であるとき」一次資料を確認

イ.誤り
415条2項3号

民法第415条第2項第3号「債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき」一次資料を確認

ひっかけ「解除されたとき」だけでなく「解除権が発生したとき」も含まれる。

解説債務の履行が不能であるときは、債権者は、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる(民法415条2項1号)。アは正しい。また、債務が契約によって生じたものである場合に、その契約が解除され、または債務の不履行による契約の解除権が発生したときも請求できる(同項3号)。解除されたときに限るとするイは誤り。

補足履行拒絶の明確な表示(415条2項2号)を含め、三つの場合を並べて覚える。

問29動物を管理する者の責任と監督義務者の責任e-Gov等の一次資料で確認済み

動物を管理する者の責任と監督義務者の責任に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.占有者に代わって動物を管理する者も、動物の占有者と同じ責任を負う。
  • イ.責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、責任無能力者が責任を負わない場合において、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
718条2項

民法第718条第2項「占有者に代わって動物を管理する者も、前項の責任を負う」一次資料を確認

イ.正しい
714条1項本文

民法第714条第1項「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」一次資料を確認

ひっかけ「代わって管理・監督する者も責任を負う」という共通の構造を押さえる。

解説占有者に代わって動物を管理する者も、動物の占有者の責任を負う(民法718条2項)。責任無能力者が責任を負わない場合には、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者が、第三者に加えた損害を賠償する責任を負う(714条1項本文)。ア・イとも正しい。

補足動物の占有者・監督義務者のいずれも、一定の免責事由が条文で定められている。

問30催告によらない解除(全部不能と一部不能・目的不達成)e-Gov等の一次資料で確認済み

催告によらない契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の全部の履行が不能であるときは、債権者は、催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
  • イ.債務の一部の履行が不能である場合には、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときでなくても、債権者は、催告をすることなく、契約の全部を直ちに解除することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
債務の全部の履行が不能であるときは、債権者は催告をすることなく、直ちに契約を解除できる(民法542条1項1号)。例えば、売買の目的物である特定の建物が火災で全部滅失した場合、買主は催告せずに解除できる。

民法第542条第1項第1号「債務の全部の履行が不能であるとき」一次資料を確認

イ.誤り
債務の一部の履行が不能な場合、催告なしで契約の全部を解除できるのは、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときである(民法542条1項3号)。残存部分で目的を達することができるときは、不能の部分に限って契約の一部を解除できる(同条2項)。

民法第542条第1項第3号「債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき」一次資料を確認

ひっかけ債務の一部でも履行が不能になれば、契約全体を催告なしで解除できると考えるとイを正しいとしやすい。全部解除ができるのは、残存部分のみでは契約をした目的を達することができない場合に限られ、そうでない場合は一部解除にとどまる。

解説債務の全部の履行が不能であるとき等には、債権者は催告をすることなく直ちに契約を解除できる(民法542条1項)。債務の一部の履行が不能である場合は、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないときに契約の全部を解除でき(同項3号)、それ以外は、契約の一部の解除ができる(同条2項)。アは正しく、イは誤り。

補足催告による解除(541条)は、相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときにできる。542条は、その催告が不要となる場合を定めている。

問31解除の効果(果実の返還と損害賠償請求)e-Gov等の一次資料で確認済み

契約の解除の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.解除権を行使した場合には、損害賠償の請求をすることはできなくなる。
  • イ.解除により金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない(民法545条4項)。契約を解除した上で、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。

民法第545条第4項「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」一次資料を確認

イ.正しい
解除により金銭以外の物を返還するときは、受領の時以後に生じた果実も返還する必要がある(民法545条3項)。金銭を返還するときは、受領の時から利息を付さなければならない(同条2項)。

民法第545条第3項「金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない」一次資料を確認

ひっかけ解除すれば契約がなかったことになるので、損害賠償も請求できなくなる、と考えるとアを正しいとしやすい。解除権の行使は損害賠償の請求を妨げない。イは、元物だけでなく、受領の時以後に生じた果実も返還の対象となる点を押さえる。

解説解除権を行使した当事者は、相手方を原状に復させる義務を負うが、第三者の権利を害することはできない(民法545条1項)。金銭を返還するときは、受領の時から利息を付さなければならず(同条2項)、金銭以外の物を返還するときは、受領の時以後に生じた果実も返還しなければならない(同条3項)。解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない(同条4項)。アは誤り、イは正しい。

補足解除により、各当事者は相手方を原状に復させる義務を負うが、第三者の権利を害することはできない(545条1項ただし書)。

問32債務の不存在を知ってした弁済と不法原因給付e-Gov等の一次資料で確認済み

不当利得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。
  • イ.不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

ア.正しい
債務の弁済として給付をした者は、その時に債務が存在しないことを知っていたときは、給付したものの返還を請求できない(民法705条)。例えば、代金の支払義務がないと分かっていて支払った場合、後から返還を求めることはできない。

民法第705条「その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない」一次資料を確認

イ.正しい
不法な原因のために給付をした者は、給付したものの返還を請求できない(民法708条本文)。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、返還を請求できる(同条ただし書)。

民法第708条「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」一次資料を確認

民法第708条ただし書「不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない」一次資料を確認

ひっかけ不当利得は、法律上の原因がなければ常に返還請求できる、と考えるとア・イとも誤りに見える。債務の不存在を知ってした弁済と、不法な原因のための給付は、不当利得の返還請求が制限される場面である。イは、ただし書の例外(不法な原因が受益者にのみある場合)を落とさないこと。

解説債務の弁済として給付をした者が、その時に債務の存在しないことを知っていたときは、給付したものの返還を請求できない(民法705条)。不法な原因のために給付をした者も、返還を請求できないが、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、請求できる(708条)。ア・イとも正しい。

補足不当利得の返還義務の範囲は、善意の受益者は現存利益、悪意の受益者は利益に利息を付して返還するなど、受益者の主観で異なる(703条、704条)。

問33金銭債務の不履行の特則(損害の証明と不可抗力の抗弁)e-Gov等の一次資料で確認済み

金銭の給付を目的とする債務の不履行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償について、債権者は、損害の証明をしなければならない。
  • イ.金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償について、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償については、債権者は損害の証明をすることを要しない(民法419条2項)。例えば、代金の支払が遅れた場合、売主は遅延による具体的な損害を立証せずに、遅延損害金を請求できる。

民法第419条第2項「債権者は、損害の証明をすることを要しない」一次資料を確認

イ.誤り
金銭の給付を目的とする債務の不履行による損害賠償については、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない(民法419条3項)。例えば、災害で送金が遅れた場合でも、遅延損害金の支払義務は免れない。

民法第419条第3項「債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」一次資料を確認

ひっかけ債務不履行による損害賠償は、一般には債権者が損害を立証し、債務者は帰責事由がなければ免責される、と考えるとア・イとも正しいとしやすい。金銭債務の不履行には特則があり、損害の証明は不要で、不可抗力の抗弁もできない。

解説金銭の給付を目的とする債務の不履行の損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率によるが、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による(民法419条1項)。債権者は損害の証明をすることを要せず(同条2項)、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない(同条3項)。ア・イとも誤り。

補足約定利率が法定利率を超えるときは、損害賠償の額は約定利率による(419条1項ただし書)。

問34悪意の受益者の返還義務(利息の付加と損害賠償)e-Gov等の一次資料で確認済み

悪意の受益者の返還義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。
  • イ.悪意の受益者は、利息を付して返還すれば足り、なお損害があっても、その賠償の責任は負わない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
法律上の原因がないことを知っている悪意の受益者は、受けた利益に利息を付して返還しなければならない(民法704条前段)。善意の受益者は、現に利益を受けている限度で返還すればよい(703条)のと対照的である。

民法第704条前段「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない」一次資料を確認

イ.誤り
悪意の受益者は、利息を付して返還した上で、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う(民法704条後段)。利息の返還だけで責任が終わるとは限らない。

民法第704条後段「この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う」一次資料を確認

ひっかけ受益者は、受けた利益を返せば責任を果たしたことになる、と考えるとイを正しいとしやすい。悪意の受益者は、利息を付して返還するだけでなく、なお損害があるときはその賠償の責任も負う。善意の受益者の返還範囲(現存利益)と区別して覚える。

解説悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならず、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う(民法704条)。善意の受益者は、その利益の存する限度で返還の義務を負う(703条)。アは正しく、イは誤り。

補足善意の受益者は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う(703条)。

問35債務不履行における過失相殺と受領遅滞中の特定物の保存義務e-Gov等の一次資料で確認済み

債務不履行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
  • イ.債権者が債務の履行を受けることを拒んだ場合において、債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時から引渡しをするまで、善良な管理者の注意をもってその物を保存しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

ア.正しい
債務の不履行やその損害の発生・拡大について債権者に過失があったときは、裁判所は、損害賠償の責任及びその額を定めるに当たってこれを考慮する(民法418条)。

民法第418条「裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」一次資料を確認

イ.誤り
債権者が履行の受領を拒んでいる間、特定物を引き渡すべき債務者は、履行の提供をした時から引渡しまで、自己の財産に対するのと同一の注意で保存すれば足りる(民法413条1項)。債務者の保存義務の程度が軽くなる。

民法第413条第1項「自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる」一次資料を確認

ひっかけ特定物を引き渡す債務では、常に善良な管理者の注意で保存しなければならないと考えるとイを正しいとしやすい。債権者が受領を拒んでいる間は、履行の提供をした時から、自己の財産に対するのと同一の注意で足りる。アは、過失相殺が債務不履行でも適用される点を押さえる。

解説債務の不履行やこれによる損害の発生・拡大について債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して損害賠償の責任及びその額を定める(民法418条)。債権者が履行の受領を拒んでいる場合に、特定物の引渡しを目的とする債務の債務者は、履行の提供をした時から引渡しまで、自己の財産に対するのと同一の注意で保存すれば足りる(413条1項)。アは正しく、イは誤り。

補足債権者が履行を受けることを拒み又は受けることができないために履行の費用が増加したときは、その増加額は債権者の負担となる(413条2項)。

問36債権者の責めに帰すべき事由による解除の制限と解除権の不可分性e-Gov等の一次資料で確認済み

契約の解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであっても、債権者は、催告による解除又は催告によらない解除をすることができる。
  • イ.当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

ア.誤り
債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、541条(催告による解除)及び542条(催告によらない解除)の規定による解除をすることができない(民法543条)。

民法第543条「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は、前二条の規定による契約の解除をすることができない」一次資料を確認

イ.正しい
当事者の一方が数人ある場合、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみすることができる(民法544条1項)。解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する(同条2項)。

民法第544条第1項「契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる」一次資料を確認

ひっかけ債務の不履行があれば、その原因にかかわらず債権者は解除できる、と考えるとアを正しいとしやすい。不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるときは、解除できない。イは、共有者など当事者が複数の場合に、解除が全員の関与を要する点を押さえる。

解説債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるときは、債権者は催告による解除及び催告によらない解除をすることができない(民法543条)。当事者の一方が数人ある場合、解除は全員から又は全員に対してのみすることができる(544条1項)。アは誤り、イは正しい。

補足解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する(544条2項)。

問37責任能力を欠く状態での加害と胎児の損害賠償請求権e-Gov等の一次資料で確認済み

不法行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • ア.精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、故意又は過失によって一時的にその状態を招いた場合であっても、賠償の責任を負わない。
  • イ.胎児は、損害賠償の請求権については、出生するまでは権利能力がなく、出生前に請求することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

ア.誤り
責任弁識能力を欠く状態で他人に損害を加えた者は賠償責任を負わないが、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは責任を負う(民法713条ただし書)。

民法第713条ただし書「故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない」一次資料を確認

イ.誤り
胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされる(民法721条)。

民法第721条「胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす」一次資料を確認

ひっかけ責任能力のない状態での加害は常に免責される、と考えるとアを正しいとしやすい。ただし書は、故意又は過失で一時的にその状態を招いた場合を例外とする。イは、胎児には権利能力がないと一般に覚えていると正しく見えるが、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなされる。

解説精神上の障害により責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、賠償の責任を負わないが、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない(民法713条)。胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす(721条)。ア・イとも誤り。

補足未成年者が、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない(712条)。

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