問1取締役の競業取引・利益相反取引の制限と任務懈怠責任
取締役会設置会社であるA株式会社の取締役Bに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.Bが自己のためにA社の事業の部類に属する取引(競業取引)をしようとする場合、Bは、その取引につき重要な事実を開示して取締役会の承認を受けなければならない。
- イ.Bが自己のためにA社と直接取引(利益相反取引)をした場合、その取引について取締役会の承認を受けていれば、その取引によってA社に損害が生じても、Bは任務を怠らなかったことを証明することで損害賠償責任を免れる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 事業の部類に属する取引 → 重要事実を開示 → 取締役会の承認
会社法第356条第1項第1号「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」e-Gov原文
会社法第365条第1項「取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 損害発生 → 任務懈怠が推定 → 自己のための直接取引は無過失でも免責されない
会社法第423条第3項「株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する」e-Gov原文
会社法第428条第1項「第四百二十三条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該取締役又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない」e-Gov原文
ひっかけ承認は「取引してよい」というゴーサインにすぎず、損害が出たときの賠償責任まで消すものではない。
解説競業取引・利益相反取引には、取引前の手続と取引後の責任という二つの局面があり、アとイはそれぞれ別の局面を問うている。アは取引前。取締役が自己の事業の部類に属する取引(競業取引)をするには、重要な事実を開示して承認を受けなければならない(会社法356条1項1号)。取締役会設置会社では、この承認機関が株主総会から取締役会に読み替えられる(同法365条1項)から、Bは取締役会の承認を要する。アは正しい。イは取引後。利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、その取引をした取締役などの任務懈怠が推定される(同法423条3項)。さらに、自己のためにした直接取引をした取締役の損害賠償責任は、自分に帰責事由がないこと(無過失)を理由としても免れることができない無過失責任とされる(同法428条1項)。承認を受けていようと、無過失を証明しようと、自己のための直接取引なら責任は残る。よってイは誤りで、組み合わせは『アー正、イー誤』。
補足無過失でも免責されない428条1項の重い扱いは、自己のためにした直接取引をした取締役に限られる。第三者のためにした取引や間接取引なら、423条3項の任務懈怠の推定にとどまり、無過失を立証して免責される余地が残る。
問2株主総会の権限(取締役会設置会社)
取締役会設置会社における株主総会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役会設置会社では、株主総会は、会社法に規定する事項および定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
- イ.株主総会の決議を要する事項を取締役会その他の機関が決定できる旨を定款で定めれば、その定めは有効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 機関が分化 → 株主総会の権限は限定
会社法第295条第2項「取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 株主総会の本質的権限 → 定款で奪えない
会社法第295条第3項「株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない」e-Gov原文
ひっかけ権限が限定されることと、定款で自由に権限を動かせることは別。後者は否定されている。
解説取締役会という常設の意思決定機関を置く会社では、機動的な経営判断を取締役会に委ねる代わり、株主総会が決議できるのは会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られる(会社法295条2項)。これがアで、結論は正しい。ところがイは、その逆方向、つまり株主総会が決めるべき事項を取締役会など他の機関に決めさせる定款を有効とする。これは認められず、株主総会の決議事項を株主総会以外の機関が決定できる旨の定款の定めは効力を有しない(同条3項)。権限は法と定款で絞られるが、株主総会の根幹的な決定権を定款で他へ移すことはできない。よってイは誤りで、『アー正、イー誤』。
補足この限定は取締役会設置会社の話で、取締役会を置かない会社の株主総会は会社法に規定する事項に限らず一切の事項を決議できる万能機関とされる(295条1項)。機関設計で株主総会の守備範囲が変わる。
問3取締役の資格・員数
株式会社の取締役の資格および員数に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社は、定款をもって、取締役が株主でなければならない旨(株主資格の要件)を定めることができる。
- イ.取締役会設置会社においては、取締役は3人以上でなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 原則禁止 → 例外は非公開会社のみ
会社法第331条第2項「株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 合議体 → 最低3人
会社法第331条第5項「取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない」e-Gov原文
ひっかけ株主資格を要求する定款は、公開会社でこそ置けない。例外が許されるのは非公開会社の側。
解説アは『公開会社は取締役に株主資格を要求する定款の定めを置ける』とするが、許否が逆である。取締役が株主でなければならない旨の定款の定めは原則として置けず、例外として認められるのは公開会社でない株式会社に限られる(会社法331条2項)。広く人材を確保させる趣旨で原則禁止とし、株主が固定的な閉鎖的会社にだけ例外を開いている。だから公開会社では定められず、アは誤り。イは『取締役会設置会社では取締役3人以上』で、合議体を構成する以上当然の下限であり(同条5項)、正しい。組み合わせは『アー誤、イー正』。
補足員数とは別に資格の欠格事由は331条1項に並ぶが、破産手続開始の決定を受けて復権しない者はそこに入っておらず、破産者でも取締役になれる。2021年施行の改正で成年被後見人・被保佐人も欠格事由から外れた。
問4取締役会の専決事項と代表取締役の選定
取締役会設置会社の取締役会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.重要な財産の処分および譲受けや多額の借財は、重要な業務執行の決定として、取締役会が決定しなければならず、各取締役に決定を委任することができない。
- イ.代表取締役の選定は、取締役会の決議によらず、各取締役が単独で行うことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重要な業務執行 → 取締役会で決定
会社法第362条第4項「重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない」e-Gov原文
会社法第362条第4項第1号「重要な財産の処分及び譲受け」e-Gov原文
- イ.誤り
- 選定権限 → 各取締役単独では不可
会社法第362条第3項「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ代表取締役の選定は日常業務ではなく、会社の代表者を誰にするかという取締役会の専決事項。
解説アは取締役会の専決事項を問う。重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財といった重要な業務執行の決定は、取締役会が自ら行わなければならず、各取締役に委任できない(会社法362条4項1号・2号)。会社に大きな影響を与える判断を一人に委ねさせない趣旨で、アは正しい。イは『代表取締役を各取締役が単独で選べる』とするが、取締役会は取締役の中から代表取締役を選定しなければならず(同条3項)、選定・解職は取締役会の職務である(同条2項3号)。会社の代表者を決める権限を取締役個人が単独で行使することはできない。イは誤りで、『アー正、イー誤』。
補足委任できない事項は1号・2号にとどまらず、支配人その他の重要な使用人の選任及び解任(3号)、支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止(4号)なども同じく取締役会の専決に含まれる。
問5株主総会の特別決議の要件
株主総会の特別決議の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特別決議は、定款に別段の定めがない限り、出席した株主の議決権の過半数の賛成があれば成立する。
- イ.特別決議は、原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席することを要する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 重要事項 → 加重された賛成数
会社法第309条第2項「出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 重要事項 → 定足数を要求
会社法第309条第2項「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し」e-Gov原文
ひっかけ過半数というキーワードが、表決数(誤)と定足数(正)の両方に顔を出して混乱を誘う。
解説特別決議には表決数と定足数の二つの数字があり、アとイはそれぞれ別の数字を問うている。アは表決数。特別決議は出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で行わなければならない(会社法309条2項)。『出席株主の過半数で成立する』とするアは、普通決議の数字を当てはめており誤り。イは定足数。特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上まで軽減できる)を有する株主の出席を要する(同項)。イは正しい。よって『アー誤、イー正』。過半数で足りるのは普通決議のほうで、特別決議の表決は3分の2以上である。
補足3分の2以上のさらに上に特殊決議があり、全部の株式に譲渡制限を付す定款変更などは、議決権の3分の2以上に加えて株主の頭数の半数以上という人数要件まで課される(309条3項)。
問6取締役会の決議(特別利害関係・賛成の推定)
取締役会の決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、その決議の議決に加わることができない。
- イ.取締役会の決議に参加した取締役であって、議事録に異議をとどめなかった者は、その決議に賛成したものと推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 利益相反の懸念 → 議決から排除
会社法第369条第2項「前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 沈黙 → 賛成の推定(責任追及の前提)
会社法第369条第5項「取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ決議に出席して黙っていた取締役は、反対していたつもりでも賛成と推定されてしまう。
解説アは決議の公正さに関わる。取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、その議決に加わることができない(会社法369条2項)。自分の利害が絡む決議で投票させれば判断がゆがむためで、アは正しい。イは決議後の責任追及に関わる。決議に参加した取締役で議事録に異議をとどめない者は、その決議に賛成したものと推定される(同条5項)。沈黙が賛成と扱われ、後に違法な決議の責任を問う足がかりになる。イも正しい。両方とも条文どおりで、『アー正、イー正』。
補足賛成の推定を覆すには議事録に異議を残すことが鍵だが、その議事録には出席した取締役だけでなく監査役も署名または記名押印しなければならない(369条3項)。
問7役員等の第三者に対する責任
取締役の第三者に対する損害賠償責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、その職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.取締役は、その職務を行うについて軽過失があったにすぎない場合でも、会社法上、当然に第三者に対して損害賠償責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重い帰責 → 第三者保護
会社法第429条第1項「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件は悪意・重過失 → 軽過失では不成立
会社法第429条第1項「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ会社に対する責任と違い、第三者への責任が立ち上がるのは悪意または重大な過失があったとき。
解説会社法429条1項は、不法行為とは別に第三者を保護するための特別の責任を定める。役員等が職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(会社法429条1項)。アはこの要件をそのままなぞっており正しい。イは『軽過失でも当然に第三者責任を負う』とするが、同項の要件は悪意または重大な過失であって、単なる軽過失では成立しない。イは誤り。会社に対する責任(同法423条)が過失でも生じるのと対照的に、第三者責任は帰責の程度が重く設定されている。よって『アー正、イー誤』。
補足同じ429条でも2項は構造が違い、計算書類等への虚偽記載があれば、役員側が注意を怠らなかったと証明しない限り責任を負う。立証責任が転換され、軽過失でも捕まえうる点で1項の悪意・重過失とは別物。
問8株主代表訴訟
株主による責任追及等の訴え(株主代表訴訟)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社では、6箇月前から引き続き株式を有する株主は、会社に対し、取締役などの責任を追及する訴えの提起を請求することができる。
- イ.株主の提訴請求の日から30日以内に会社が責任追及等の訴えを提起しないときは、その株主は会社のために訴えを提起することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 濫訴防止 → 一定の保有期間
会社法第847条第1項「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主」e-Gov原文
- イ.誤り
- 待機期間は60日
会社法第847条第3項「株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる」e-Gov原文
ひっかけ株主が自ら訴えを起こせるのは、会社が請求から動かないまま60日が過ぎたとき。30日ではない。
解説株主代表訴訟は、会社が身内である取締役への訴えを起こさないときに株主が会社に代わって責任を追及する制度で、アは提訴請求権者、イは待機期間を問う。アについて、公開会社では6箇月前から引き続き株式を有する株主が、会社に対し責任追及等の訴えの提起を請求できる(会社法847条1項)。継続保有を求めるのは濫訴防止の趣旨で、アは正しい。イは『30日』とするが、会社が請求の日から60日以内に訴えを提起しないときに、初めて株主が会社のために提訴できる(同条3項)。数字は60日であって、イは誤り。組み合わせは『アー正、イー誤』。
補足ただし60日の経過を待つと会社に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合は、株主は60日を待たず直ちに提訴できる(847条5項)。
問9取締役の義務(忠実義務・善管注意義務)
取締役の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
- イ.株式会社と取締役との関係は、委任に関する規定に従う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 忠実義務
会社法第355条「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 委任関係
会社法第330条「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」e-Gov原文
ひっかけアの「忠実に」が355条、イの「委任に関する規定に従う」が330条。どちらも条文そのままの言い回しで、いずれも正しい。
解説株式会社と取締役・監査役・会計参与・会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う(会社法330条)。委任である以上、取締役は受任者として善良な管理者の注意をもって職務を行う義務、すなわち善管注意義務を負う(民法644条)。これとは別に会社法が定めるのが忠実義務で、取締役は法令・定款・株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実に職務を行わなければならない(会社法355条)。アは355条の文言、イは330条の委任関係を述べたもので、いずれも条文どおり正しい。
補足330条が委任に従うとする相手は取締役だけでなく、監査役・会計参与・会計監査人も含む。これらの役員等はみな善管注意義務を負う。
問10役員等の責任の一部免除
役員等の会社に対する責任の免除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.役員等の会社に対する任務懈怠責任は、いかなる場合も総株主の同意がなければ一切免除することができない。
- イ.役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、一定の限度を超える部分について株主総会の決議によって責任を免除することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 一部免除あり
会社法第425条第1項「当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 一部免除の要件
会社法第425条第1項「当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないとき」e-Gov原文
ひっかけアの「いかなる場合も一切免除できない」が引っかけ。総株主の同意による全部免除のほかに、善意・無重過失なら株主総会の特別決議で一部免除する道がある。
解説役員等の会社に対する任務懈怠責任(会社法423条1項)は、原則として総株主の同意がなければ全部を免除できない(同424条)。ただし全部免除しか道がないわけではなく、当該役員等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、最低責任限度額を超える部分について、株主総会の特別決議等によって一部を免除できる(同425条1項)。アは一部免除の制度を否定する点で誤り。イは善意・無重過失を要件とする一部免除を述べたもので正しい。
補足一部免除で残る最低責任限度額は、報酬等の1年分に、代表取締役・代表執行役なら6、業務執行取締役等なら4、それ以外の取締役・監査役・会計参与・会計監査人なら2を乗じた額が基準となる(425条1項)。
問11会計帳簿の閲覧等の請求
会計帳簿の閲覧等の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主は、その持株数にかかわらず、単独で、会社の営業時間外であっても会計帳簿の閲覧を請求することができる。
- イ.総株主の議決権の100分の3以上等の要件を満たす株主は、請求の理由を明らかにして、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 単独・時間外では不可
会社法第433条第1項「株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 少数株主権
会社法第433条第1項「会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求」e-Gov原文
ひっかけアは「持株数にかかわらず単独で」「営業時間外であっても」の二点が誤り。会計帳簿の閲覧は3%以上の持株を要する少数株主権で、請求できるのは営業時間内に限られる。
解説会計帳簿には会社の機微な情報が含まれるため、その閲覧等の請求は持株要件を満たす株主に限られる少数株主権とされている。総株主の議決権の100分の3以上、または発行済株式(自己株式を除く)の100分の3以上を有する株主は、株式会社の営業時間内であればいつでも、請求の理由を明らかにして、会計帳簿またはこれに関する資料の閲覧・謄写を請求できる(会社法433条1項)。アは持株数を問わず単独で、しかも営業時間外でも請求できるとする点で誤り。イは3%以上の要件と理由の明示を述べたもので正しい。
補足同じ閲覧でも、貸借対照表などの計算書類等は持株要件のない単独の株主でも営業時間内に閲覧できる(442条3項)。3%要件がかかるのは生の会計帳簿のほうだという対比になる。
問12募集株式の発行(有利発行)
募集株式の発行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.募集事項の決定は、定款に別段の定めがある場合等を除き、原則として株主総会の決議によらなければならない。
- イ.払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、株主総会において、その払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 募集株式の発行
会社法第199条第2項「の決定は、株主総会の決議によらなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 既存株主の保護
会社法第199条第3項「第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない」e-Gov原文
ひっかけアは決定機関、イは有利発行の理由説明と、それぞれ別の条文を問う。199条2項・3項のどちらも正しい記述になっている。
解説募集株式の発行は資金調達の手段だが、既存株主の持分が希釈されうるため決定手続が定められている。募集事項の決定は、定款に別段の定めがある場合等を除き、原則として株主総会の決議による(会社法199条2項)。さらに、払込金額が引受人に特に有利な金額である場合、いわゆる有利発行では、取締役は株主総会において、その払込金額で募集をする必要がある理由を説明しなければならない(同199条3項)。アは199条2項、イは199条3項の文言どおりで、いずれも正しい。
補足公開会社では募集事項の決定は原則として取締役会で足りるが、有利発行にあたる場合だけは株主総会の特別決議が必要になる(201条1項、309条2項5号)。
問13剰余金の配当(財源規制)
剰余金の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、分配可能額を超えて剰余金の配当を行うことができる。
- イ.剰余金の配当により株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額には、会社法上の上限はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 財源規制
会社法第461条第1項「当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 債権者保護
会社法第461条第1項「当該行為がその効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない」e-Gov原文
ひっかけアもイも、配当に上限がないかのように書いてある。分配可能額が交付総額の上限なので(461条1項)、両方とも誤りになる。
解説株式会社の財産は株主への配当原資であると同時に会社債権者の引当てでもあるため、株主への払戻しには財源規制がかかる。剰余金の配当などにより株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、その行為の効力発生日における分配可能額を超えてはならない(会社法461条1項)。アは分配可能額を超える配当ができるとする点で誤り。イは交付総額に上限がないとする点で誤り。分配可能額という上限が存在する以上、いずれも成り立たない。
補足分配可能額を超えて配当した場合、金銭等の交付を受けた株主と、その配当に関する職務を行った業務執行者は、連帯して帳簿価額相当額を会社に支払う義務を負う(462条1項)。
問14株主総会の招集
株主総会の招集に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
- イ.株主総会は、必要がある場合には、いつでも招集することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 定時総会
会社法第296条第1項「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 臨時総会
会社法第296条第2項「株主総会は、必要がある場合には、いつでも、招集することができる」e-Gov原文
ひっかけ毎年決まって開くものと、必要なときに随時開くもの、二本立てになっている。
解説定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない(会社法296条1項)。これは毎年必ず開く必要がある総会で、計算書類の承認や事業報告などが行われる。これに対し、株主総会は必要がある場合にはいつでも招集することができ(同条2項)、この随時開かれるものが臨時株主総会である。アは定時総会、イは臨時の招集を述べたもので、いずれも条文どおり正しい。なお株主総会を招集するのは原則として取締役だが(同条3項)、一定の要件を満たす株主が招集を請求し、自ら招集できる場合もある。
補足定時株主総会は決算と結びついており、計算書類の承認・報告がその中心議題になる。臨時株主総会は、合併承認や役員選任など、決算期を待てない事項があるときに開かれる。
問15取締役の報酬等
取締役の報酬等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役の報酬等についての一定の事項は、定款にその事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
- イ.取締役の報酬等は、取締役会の決議のみで自由に定めることができ、株主総会の関与は不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- お手盛り防止
会社法第361条第1項「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
- イ.誤り
- 株主の関与
会社法第361条第1項「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
ひっかけ報酬を受け取る側がその額を自分で決める、という構図を法は許していない。
解説取締役が自分たちの報酬を自由に決められるとすると、いわゆる『お手盛り』によって会社や株主の利益が損なわれるおそれがある。そこで、取締役の報酬・賞与その他の職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益(報酬等)についての一定の事項は、定款にその事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定めることとされている(会社法361条1項)。これがアの内容で、正しい。一方イのように、取締役会の決議のみで報酬等を自由に定めることはできず、株主の関与が必要となるから、イは誤り。定款か株主総会かという入口で、取締役だけの判断を遮断している点に意味がある。
補足株主総会で全取締役の報酬総額(上限)だけを定め、各取締役への具体的な配分は取締役会の決定に委ねる扱いは、お手盛り防止の趣旨を害しないものとして実務上認められている。
問16株式の譲渡(譲渡自由と譲渡制限)
株式の譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主は、その有する株式を譲渡することができる。
- イ.譲渡制限株式の株主は、これを他人に譲り渡そうとするときは、会社に対し、その取得について承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 株式譲渡自由
会社法第127条「株主は、その有する株式を譲渡することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 譲渡承認
会社法第136条「当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ株式は原則自由に譲れる。定款で承認制にすることもできる、というのがアとイの関係。
解説株主は、その有する株式を自由に譲渡できる(株式譲渡自由の原則。会社法127条)。出資した資本を回収する道を株主に保障する趣旨である。ただし、株主の顔ぶれを限定したい会社は、定款で株式の譲渡に会社の承認を要する旨を定められる(譲渡制限株式)。その株主が株式を譲り渡そうとするときは、会社に対し、譲受人がその株式を取得することの承認をするか否かの決定を請求する(同136条)。アは127条どおりで正しく、イは136条の承認請求として正しい。
補足相続その他の一般承継で譲渡制限株式を取得する場合は、この承認手続は適用されない(会社法134条4号)。相続人は承認なしに当然に株主となる。
問17事業譲渡の承認
事業譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が事業の全部の譲渡をする場合には、原則として、効力発生日の前日までに株主総会の決議によって契約の承認を受けなければならない。
- イ.事業の全部の譲渡は、取締役会の決議のみで行うことができ、株主総会の承認は不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重要事項
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
会社法第467条第1項第1号「事業の全部の譲渡」e-Gov原文
- イ.誤り
- 株主の関与
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ事業の全部の譲渡を取締役会だけで決められる、というのが引っかけ。実際は株主総会の特別決議が要る。
解説事業の全部の譲渡は、会社の事業の基礎を動かす重要な行為なので、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって契約の承認を受けなければならない(会社法467条1項。この決議は特別決議)。株主の利害に直結するため、取締役会の決議だけで完結させることはできない。アは467条1項どおりで正しい。イは取締役会のみで足りるとする点が誤りで、株主総会の承認が必要である。
補足相手方が議決権の9割以上を握る特別支配会社なら略式手続で株主総会を省け、対価が純資産額の5分の1以下なら簡易手続で省ける(会社法468条)。
問18株式会社の解散事由
株式会社の解散に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、破産手続開始の決定があっても、これを理由として解散することはない。
- イ.株式会社は、株主総会の決議によって解散する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
ひっかけ破産すれば会社は解散事由に当たる。アはそこを逆に書いている。
解説破産手続開始の決定は、会社法471条5号が定める解散事由そのものである。したがってアの『破産しても解散しない』は誤り。一方、株主総会の決議は同条3号の解散事由なので、イは正しい。471条が挙げる解散事由は、(1)定款所定の存続期間の満了、(2)定款所定の解散事由の発生、(3)株主総会の決議、(4)合併(消滅する側)、(5)破産手続開始の決定、(6)解散を命ずる裁判であり、株主の意思による任意解散と、破産のように外部から生じる解散とが並んでいる。
補足登記が12年間ない株式会社は休眠会社とされ、法務大臣の官報公告後2か月以内に届出がないとその満了時に解散したとみなされる(会社法472条)。
問19株式会社の設立(定款・発起人)
株式会社の設立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社の定款には、目的、商号、本店の所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名又は名称及び住所を記載し、又は記録しなければならない。
- イ.各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 絶対的記載事項
会社法第27条「株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない」e-Gov原文
会社法第27条第1号「目的二商号三本店の所在地」e-Gov原文
- イ.正しい
- 発起人の引受け
会社法第25条第2項「各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ定款に必ず書く事項と、発起人が最低1株を引き受ける義務。アとイはどちらも会社法の条文そのまま。
解説発起人が作成する定款には、目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額・発起人の氏名又は名称及び住所を必ず記載しなければならない(絶対的記載事項。会社法27条)。一つでも欠けば定款自体が無効になる。アはこの27条の記載事項を並べたもので正しい。また各発起人は、設立に際し設立時発行株式を一株以上引き受けなければならず(同25条2項)、発起設立か募集設立かを問わず出資者として関与する。イはこの25条2項どおりで正しい。
補足発行可能株式総数は定款に定める必要があるが、発起人全員の同意で成立後・設立登記前まで定めれば足りる(会社法37条)ので、27条の絶対的記載事項には含まれない。
問20事業譲渡等の承認を要する行為
事業譲渡等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、譲受会社において株主総会の承認は一切不要である。
- イ.事業の重要な一部の譲渡は、その規模にかかわらず、株主総会の承認を要しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 譲受側も承認
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
会社法第467条第1項第3号「他の会社」e-Gov原文
ひっかけ承認が要るのは譲り渡す側だけではない。譲り受ける側にも、重要な一部の譲渡にも及ぶ。
解説会社法467条1項は、株主総会の承認を要する行為を列挙している。事業の全部の譲渡(1号)に限らず、事業の重要な一部の譲渡(2号。譲り渡す資産が総資産額の5分の1以下等の小規模なものは除く)、他の会社の事業の全部の譲受け(3号)も対象になる。したがって、他社の事業全部を譲り受ける側にも株主総会の承認が要るので、アの『一切不要』は誤り。重要な一部の譲渡も規模を問わず不要とするイも誤りで、原則として承認がいる。会社の基礎を変える取引を、譲る側・譲り受ける側の双方で株主のコントロール下に置く構造になっている。
補足譲り受ける側でも、対価が純資産額の5分の1以下なら簡易な事業の譲受けとして株主総会を省ける(会社法468条2項)。承認の要否は規模で線が引かれている。
問21株主提案権
株主提案権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる。
- イ.取締役会設置会社では、議題提案権(一定の事項を株主総会の目的とすることの請求)は、原則として総株主の議決権の100分の1以上又は300個以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主に限り行使できる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 株主提案権
会社法第303条第1項「株主は、取締役に対し、一定の事項」e-Gov原文
会社法第303条第1項「を株主総会の目的とすることを請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 少数株主権
会社法第303条第2項「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主に限り」e-Gov原文
ひっかけ株主は総会の議題を出せるが、取締役会設置会社では持株割合と保有期間のハードルがかかる。
解説株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的(議題)とすることを請求できる(議題提案権。会社法303条1項)。アはこの内容どおりで正しい。イは取締役会設置会社における加重要件で、原則として総株主の議決権の100分の1以上又は300個以上の議決権を6箇月前から引き続き有する株主に限り行使できる(同条2項)。条文どおりであり、イも正しい。したがってアー正、イー正となる。
補足この請求は株主総会の日の8週間前までにしなければならない(会社法303条2項)。総会の場で議案を出す議案提案権(同304条)には、こうした持株・保有期間の要件はない。
問22株式会社の機関設計
株式会社の機関に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
- イ.公開会社は、取締役会を置かなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 取締役の必置
会社法第326条第1項「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 取締役会設置義務
会社法第327条第1項「次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない」e-Gov原文
会社法第327条第1項第1号「公開会社」e-Gov原文
ひっかけ取締役はどんな株式会社にも要る。公開会社になると、さらに取締役会まで必須になる。
解説すべての株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない(会社法326条1項)。取締役は最小限の必置機関であり、アは正しい。取締役会・監査役・会計監査人などはさらに定款で置くことができる(同条2項)が、置く義務が課される類型もある。公開会社はその一つで、取締役会を置かなければならない(同327条1項1号)。イもこのとおりで正しいから、アー正、イー正となる。
補足取締役会の設置義務は公開会社のほか、監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社にも及ぶ(会社法327条1項)。
問23監査役の権限
監査役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役は、その職務を行うため必要があるときであっても、子会社に対して事業の報告を求めたり、その業務・財産の状況を調査することは一切できない。
- イ.監査役は、取締役や使用人に対して事業の報告を求めることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 調査権
会社法第381条第3項「監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め」e-Gov原文
- イ.誤り
- 報告請求権
会社法第381条第2項「監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め」e-Gov原文
ひっかけ監査役の調査権を狭く見せる肢が2つ。実際は使用人にも子会社にも手が届く。
解説監査役は、取締役の職務の執行を監査し監査報告を作成する(会社法381条1項)が、その実効性を支える調査権限が問題となる。アは子会社に対する報告請求・調査が一切できないとするが、同条3項は必要があるときに子会社へ事業の報告を求め、その業務・財産の状況を調査できると定めるため誤り。イは取締役や使用人への報告請求ができないとするが、同条2項は「いつでも」取締役・会計参与・支配人その他の使用人に事業の報告を求められるとするため、これも誤り。よってアー誤、イー誤となる。
補足子会社への調査は監査役の権限だが、子会社の側は正当な理由があればその報告・調査を拒める(会社法381条4項)。
問24機関設計の規律
株式会社の機関設計に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社であっても、定款で定めれば取締役会を置かないことができる。
- イ.指名委員会等設置会社は、監査役を置かなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 設置義務
会社法第327条第1項「次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない」e-Gov原文
会社法第327条第1項第1号「公開会社」e-Gov原文
- イ.誤り
- 監査役の不設置
会社法第327条第4項「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない」e-Gov原文
ひっかけ片方は「置く義務」を無視し、もう片方は「置いてはならない」機関を置けと言う。両方逆。
解説会社法は機関設計について、設置義務と設置禁止の両方を定める。アは公開会社でも定款で取締役会を置かないことができるとするが、公開会社は取締役会を置かなければならない(会社法327条1項1号)ため誤り。イは指名委員会等設置会社が監査役を置かなければならないとするが、同条4項は「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない」と定める。これらの会社では監査委員会・監査等委員会が監査を担うからである。イも誤りで、アー誤、イー誤となる。
補足監査役を置けない代わりに、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は会計監査人を置かなければならない(会社法327条5項)。
問25代表取締役の権限
代表取締役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
- イ.代表取締役の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対しても対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 包括的代表権
会社法第349条第4項「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 取引の安全
会社法第349条第5項「前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ社内で『この取引は要承認』と決めても、事情を知らない取引相手にはその制限を持ち出せない。
解説代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を持つ(会社法349条4項)。包括的な権限なので、アはそのまま正しい。この権限に会社が内部で制限を加えても(一定額以上の取引は取締役会の承認を要する、など)、その制限は善意の第三者に対抗できない(同条5項)。取引のたびに相手へ内部規程の確認を強いない、という取引安全の要請がそこにある。だからイの『善意の第三者にも対抗できる』は誤りで、組み合わせはアー正・イー誤。
補足悪意(制限を知っていた)の第三者には対抗できる。守られるのは善意の相手だけ。
問26取締役会の招集
取締役会の招集に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役会は、各取締役が招集するのが原則であるが、招集権者を定款又は取締役会で定めることができる。
- イ.招集権者が定められている場合、それ以外の取締役は、招集権者に対し、取締役会の招集を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 招集権者
会社法第366条第1項「取締役会は、各取締役が招集する」e-Gov原文
会社法第366条第1項「取締役会を招集する取締役を定款又は取締役会で定めたときは、その取締役が招集する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 招集請求権
会社法第366条第2項「招集権者に対し、取締役会の目的である事項を示して、取締役会の招集を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ招集権者を一人に決めても、他の取締役の招集請求の道までは塞がれない。
解説取締役会の招集は、各取締役が招集するのが原則で、定款又は取締役会の決議で招集権者を特定の取締役に絞ることもできる(会社法366条1項)。アはこの本文とただし書のとおりで正しい。招集権者を定めた場合でも、それ以外の取締役は、目的事項を示して招集権者に招集を請求できる(同条2項)。イもこの請求権どおりで正しく、組み合わせはアー正・イー正となる。
補足請求から5日以内に、請求日から2週間以内を会日とする招集通知が出なければ、請求した取締役が自ら招集できる(366条3項)。
問27監査役会
監査役会に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役会は、監査の方針等を決定することができ、その決定によって各監査役の権限の行使を妨げることができる。
- イ.監査役会は、すべての監査役で組織し、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 独任制
会社法第390条第2項「第三号の決定は、監査役の権限の行使を妨げることはできない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 監査役会の構成
会社法第390条第1項「監査役会は、すべての監査役で組織する」e-Gov原文
会社法第390条第3項「監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ監査役会の多数決は、個々の監査役の調査権までは縛れない。
解説監査役は独任制で、一人ひとりが独立して調査権などを行使する。監査役会が監査の方針等を決めても、その決定で各監査役個人の権限行使を妨げることはできない(会社法390条2項3号・同項ただし書)。アは『決定で権限行使を妨げられる』としており誤り。一方、監査役会はすべての監査役で組織し(同条1項)、その中から常勤の監査役を選定しなければならない(同条3項)。イはこの構成どおりで正しく、組み合わせはアー誤・イー正。
補足監査役会設置会社では監査役は3人以上、その半数以上が社外監査役でなければならない(会社法335条3項)。
問28会計監査人の権限
会計監査人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.会計監査人は、計算書類等を監査するが、その職務を行うため必要があるときであっても、子会社に対して会計に関する報告を求めることは一切できない。
- イ.会計監査人は、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査し、会計監査報告を作成する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 子会社調査権
会社法第396条第3項「会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め」e-Gov原文
- イ.正しい
- 計算書類の監査
会社法第396条第1項「会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する」e-Gov原文
ひっかけ計算書類の監査に必要なら、会計監査人の調査は子会社にも届く。
解説会計監査人は、必要があるときは子会社に対して会計に関する報告を求め、その業務・財産の状況を調査できる(会社法396条3項)。アは『子会社への報告請求は一切できない』と言い切っており誤り。職務の対象は、計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類の監査と会計監査報告の作成で(同条1項)、イはこの権限どおりで正しい。よって組み合わせはアー誤・イー正となる。
補足会計監査人になれるのは公認会計士又は監査法人に限られる(会社法337条1項)。監査役(兼任不可)とは資格が別物。
問29株主の権利行使に関する利益供与の禁止
株主の権利の行使に関する利益供与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、自社又は子会社の計算において財産上の利益を供与してはならない。
- イ.利益供与の禁止に違反して利益供与を受けた者は、これを会社又はその子会社に返還する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 返還義務
会社法第120条第3項「当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ禁止に反して渡された利益は、受け取った側に返還義務が残る。
解説株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、自社又は子会社の計算で財産上の利益を供与してはならない(会社法120条1項)。総会屋への利益供与などを断つ趣旨で、アはこの禁止どおり正しい。違反して利益供与を受けた者は、それを会社又は子会社に返還しなければならない(同条3項)。イは『返還する必要はない』としており誤り。組み合わせはアー正・イー誤。
補足供与に関与した取締役等も供与額相当の支払義務を負い、注意を怠らなかったと証明すれば免責される。ただし現に供与した取締役本人は無過失でも免責されない(120条4項)。
問30利益供与の推定
株主の権利の行使に関する利益供与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が特定の株主に対して無償で財産上の利益を供与したときであっても、株主の権利の行使に関する利益供与と推定されることはない。
- イ.利益供与の禁止に違反して利益供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 推定規定
会社法第120条第2項「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしたものと推定する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 返還義務
会社法第120条第3項「当該利益の供与を受けた者は、これを当該株式会社又はその子会社に返還しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ特定の株主への無償の利益供与は、いったん違法な供与の側に推定が振れる。
解説利益供与の禁止(会社法120条1項)を実効化するため、推定規定が置かれている。会社が特定の株主に対し無償で財産上の利益を供与したとき(有償でも会社側の対価が著しく少ないときを含む)は、株主の権利の行使に関する供与と推定される(同条2項)。アは『推定されることはない』としており誤り。違反受領者の返還義務(同条3項)を述べたイは正しく、組み合わせはアー誤・イー正となる。
補足推定なので、会社が『権利行使とは無関係』と立証できれば覆せる。立証責任が会社側に移る点が効き目になる。
問31株主の権利
株主の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主は、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、株主総会における議決権等を有する。
- イ.株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- イ.正しい
- 本質的権利
会社法第105条第2項「株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない」e-Gov原文
ひっかけ無効になるのは、配当と残余財産分配の取り分を『全部』奪う定款だけ。
解説株主が株式について有する権利は、(1) 剰余金の配当を受ける権利、(2) 残余財産の分配を受ける権利、(3) 株主総会における議決権その他法律上認められた権利である(会社法105条1項)。(1)(2)は会社から経済的利益を受ける自益権、(3)は会社運営に関与する共益権の代表とされる。これを前提に、(1)(2)の権利の全部を株主に与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない(同条2項)。株主から配当も残余財産分配も両方とも完全に奪う定款だけが無効になるのであって、議決権をなくす定款や、配当のみ制限する定款まで一律に無効となるわけではない。
補足なお105条2項が禁じるのは(1)(2)の権利の全部剥奪であり、議決権制限株式や配当の異なる種類株式など、権利の一部を変える設計は種類株式(108条)として適法にできる。
問32株主平等の原則
株主平等の原則に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
- イ.株主平等の原則の下では、保有株式数にかかわらず、すべての株主を全く同一に取り扱わなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 株主平等の原則
会社法第109条第1項「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 比例的平等
会社法第109条第1項「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」e-Gov原文
ひっかけ『平等』は持株数に比例した平等であって、株主を頭数でそろえることではない。
解説株主平等の原則とは、株式会社が株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならないという原則である(会社法109条1項)。ここでの『平等』は、株主一人を頭数で同一に扱うことではなく、持株数に比例した取扱いを意味する。1万株の株主は1株の株主の1万倍の議決権を持ち、配当も持株数に比例する。だからイの『保有株式数にかかわらず全株主を全く同一に』は、比例的平等という建付けを取り違えており誤り。アは条文どおりで正しい。
補足この比例的平等の例外が、公開会社でない株式会社に認められる属人的定め(109条2項)で、そこでは持株数とは無関係に株主ごとに異なる扱いを定款で定められる。
問33議決権(一株一議決権・自己株式)
株主総会における議決権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、自己株式についても議決権を有する。
- イ.株主は、原則として、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 自己株式
会社法第308条第2項「株式会社は、自己株式については、議決権を有しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 一株一議決権
会社法第308条第1項「その有する株式一株につき一個の議決権を有する」e-Gov原文
ひっかけ会社が握っている自社株(自己株式)には議決権がない。一株一議決権の例外。
解説議決権は、株主が有する株式一株につき一個が原則である(一株一議決権の原則。会社法308条1項。単元株制度を採用していれば一単元の株式につき一個)。ところが会社が自社の株式を取得して保有している場合、その自己株式については議決権を有しない(同条2項)。会社が自社株の議決権を行使できるとすると、経営陣が会社の金で取得した株式で自らに有利な決議を作れてしまうからである。よってアは誤り、イは原則どおりで正しい。
補足議決権を持たないのは自己株式のほか、相互保有株式(議決権の4分の1以上を握られている会社が持つ相手会社株式)なども308条1項括弧書で同様に扱われる。
問34基準日
基準日に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、基準日を定めて、基準日において株主名簿に記載・記録されている株主を、その権利を行使することができる者と定めることができる。
- イ.株式会社が基準日を定めた場合であっても、基準日や行使できる権利の内容を公告する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 基準日
会社法第124条第1項「基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主」e-Gov原文
会社法第124条第1項「その権利を行使することができる者と定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 公告
会社法第124条第3項「当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ基準日を設けたら、原則として2週間前までの公告が要る。
解説株式は日々売買され株主が入れ替わるため、配当や議決権を行使できる株主を一時点で固定する仕組みが基準日である。会社は基準日を定め、その日において株主名簿に記載・記録されている株主(基準日株主)を権利行使者と定めることができる(会社法124条1項)。基準日株主が行使できる権利は基準日から3箇月以内のものに限られ(同条2項)、原則として基準日の2週間前までに基準日と権利の内容を公告しなければならない(同条3項)。よってアは正しく、公告不要とするイは誤り。
補足ただし124条3項ただし書により、定款にあらかじめ基準日を定めてあれば公告は不要。事業年度末を議決権の基準日と定款に書いておくのが実務の常道で、その場合は毎期の公告がいらない。
問35株主平等の例外と自己株式
株主の取扱いに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社でない株式会社であっても、剰余金の配当や議決権等について株主ごとに異なる取扱いをする旨を定款で定めることは一切できない。
- イ.株主平等の原則の下では、会社は自己株式についても議決権を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 属人的定め
会社法第109条第2項「公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 自己株式
会社法第308条第2項「株式会社は、自己株式については、議決権を有しない」e-Gov原文
ひっかけ非公開会社なら、持株数を離れて株主ごとに違う扱いを定款で作れる。
解説アについて、株主平等の原則(会社法109条1項)には例外があり、公開会社でない株式会社は、剰余金配当・残余財産分配・議決権に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる(属人的定め。同条2項)。閉鎖的な会社における株主間の合意を尊重する趣旨で、『一切できない』とするアは誤り。イについて、会社が保有する自己株式には議決権がない(同308条2項)から、議決権を行使できるとするイも誤り。したがって両肢とも誤り。
補足この属人的定めを新設・変更する定款変更は、特別決議より重い特殊決議(総株主の半数以上であって総株主の議決権の4分の3以上の賛成。会社法309条4項)を要する点で、通常の定款変更と一線を画す。
問36基準日と権利行使期間
基準日に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、基準日を定めることはできず、常に権利行使の時点における株主が権利を行使する。
- イ.基準日を定めた場合、基準日株主が行使することができる権利は、基準日から6箇月以内に行使するものに限られる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 基準日制度
会社法第124条第1項「基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主」e-Gov原文
会社法第124条第1項「その権利を行使することができる者と定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 3箇月
会社法第124条第2項「基準日株主が行使することができる権利」e-Gov原文
会社法第124条第2項「の内容を定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ基準日株主が権利を行使できるのは3箇月以内。6箇月と書いてあれば誤り。
解説アについて、会社は基準日を定めて基準日株主を権利行使者と定めることができる(会社法124条1項)のであって、常に権利行使時点の株主が行使するわけではないから、アは誤り。イについて、基準日株主が行使できる権利は基準日から3箇月以内に行使するものに限られる(同条2項)。6箇月ではない。3月決算会社が事業年度末を議決権の基準日にすると、3箇月以内すなわち6月末までに定時株主総会を開く必要が生じる。よってイも誤りで、組み合わせは両肢誤り。
補足この3箇月という上限が、3月決算の会社の定時株主総会が6月下旬に集中する直接の理由になっている。
問37取締役等の説明義務
株主総会における取締役等の説明義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において株主から特定の事項について説明を求められた場合には、原則として当該事項について必要な説明をしなければならない。
- イ.取締役等は、説明を求められた事項が株主総会の目的事項に関しない場合や、説明により株主の共同の利益を著しく害する場合等であっても、必ず説明しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 説明義務
会社法第314条「取締役、会計参与、監査役及び執行役は、株主総会において、株主から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 説明拒絶事由
会社法第314条「その説明をすることにより株主の共同の利益を著しく害する場合その他正当な理由がある場合」e-Gov原文
ひっかけアの『必要な説明をしなければならない』は本文どおり。引っかかるのはイの『必ず』で、314条ただし書が拒絶を認めている。
解説株主から株主総会で特定の事項について説明を求められたら、取締役・会計参与・監査役・執行役は、その事項について必要な説明をしなければならない(説明義務。会社法314条本文)。アはこの本文どおりで正しい。ただしこの義務は無制限ではなく、求められた事項が総会の目的事項に関しないとき、説明により株主の共同の利益を著しく害するとき、調査を要するとき、その他正当な理由があるときは、説明を拒める(同条ただし書)。イは『必ず説明しなければならない』と言い切っているのでこのただし書に反し、誤り。株主の質問権に対応する義務だが、拒絶事由が条文に並んでいる。
補足拒絶事由のうち『調査を要する場合』は、株主が総会日より相当の期間前に書面で質問を通知していたときなどは拒絶理由にならない(会社法施行規則71条)。
問38株主総会決議の取消しの訴え
株主総会決議の取消しの訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なときは、株主等は決議取消しの訴えを提起することができる。
- イ.株主総会等の決議の取消しの訴えは、決議の日から3箇月以内に提起しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 取消事由
会社法第831条第1項「株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 提訴期間
会社法第831条第1項「株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ手続の瑕疵は『取消し』、しかも決議の日から3箇月という短い期間が切られている。アもイもその枠どおりで、両方正しい。
解説招集の手続や決議の方法が法令・定款に違反し、又は著しく不公正なときは、株主等は決議取消しの訴えを提起できる(会社法831条1項1号)。アはこの取消事由そのもので正しい。そしてこの訴えは、決議の日から3箇月以内に提起しなければならない(同項柱書)。イはこの提訴期間どおりで正しい。手続的瑕疵や決議内容の定款違反、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議は、比較的軽い瑕疵としてこの取消しの訴えで争う。これに対し決議内容そのものが法令に違反する場合は、提訴期間の制限がない決議無効の訴え(830条2項)になる。
補足3箇月を過ぎても、招集手続等の違反が重大でなく決議に影響を及ぼさないと認めるときは、裁判所は請求を棄却できる(裁量棄却。831条2項)。
問39資本金の額の減少
資本金の額の減少に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が資本金の額を減少するには、取締役会の決議のみで足り、株主総会の決議は不要である。
- イ.株式会社は、資本金の額を減少することができ、原則として株主総会の決議によって減少する資本金の額等を定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 株主総会決議
会社法第447条第1項「株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 減資
会社法第447条第1項「株式会社は、資本金の額を減少することができる」e-Gov原文
会社法第447条第1項「株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけアは『取締役会の決議のみで足りる』が誤り。減資は会社の基礎にかかわるので、447条1項が原則として株主総会の決議を要求している。
解説資本金は会社債権者の引当ての基礎となる計数なので、その減少(減資)には手続がある。株式会社は資本金の額を減少することができ、原則として株主総会の決議によって、減少する資本金の額・準備金へ振り替える額・効力発生日を定めなければならない(会社法447条1項)。これを取締役会だけでできるとするアは誤り。減資の手続をこのとおり述べたイは正しい。あわせて、債権者に異議を述べる機会を与える債権者保護手続も要る。株主の関与と債権者保護の両方がかかる。
補足原則は特別決議だが、定時株主総会で減少額がその日の欠損額を超えない範囲の減資なら、普通決議で足りる(会社法309条2項9号ただし書)。
問40単元株式数
単元株制度に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、一定の数の株式をもって株主総会等において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を、定款で定めることができる。
- イ.一単元の株式の数(単元株式数)は、会社が自由に定めることができ、法令上の上限はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 単元株
会社法第188条第1項「一単元の株式とする旨を定款で定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 上限
会社法第188条第2項「前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない」e-Gov原文
ひっかけ『何株で1議決権か』を定款で決められる(ア)が、その単元株式数には188条2項の上限がある。『上限はない』とするイが誤り。
解説一定の数の株式をもって株主総会等で一個の議決権を行使できる一単元の株式とする旨は、定款で定めることができる(単元株制度。会社法188条1項)。アはこの条文どおりで正しい。少額の株式に伴う管理コストを抑える趣旨だが、無制限ではない。一単元の株式の数(単元株式数)は、法務省令で定める数を超えることができない(同条2項)。これを『上限はない』とするイは誤り。株主の議決権を不当に制約しないための歯止めである。
補足法務省令の上限は1単元1000株、かつ発行済株式総数の200分の1まで(会社法施行規則34条)。
問41自己株式の取得
自己株式の取得に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、いかなる場合であっても、自由に自己の株式を取得することができる。
- イ.株式会社が自己株式を取得できるのは、株主との合意による取得や取得請求権付株式の取得など、法定の場合に限られる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 取得事由の限定
会社法第155条「株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 限定列挙
会社法第155条「株式会社は、次に掲げる場合に限り、当該株式会社の株式を取得することができる」e-Gov原文
ひっかけアの『いかなる場合であっても、自由に』が誤り。155条は取得できる場合を列挙し、その枠の外では取れない。イはその限定を正しく述べている。
解説自己株式の取得は出資の払戻しと同じ効果を持ち、債権者や株主間の公平に影響する。そこで会社法155条が、取得できる場合を限定列挙している。株主との合意による有償取得、取得請求権付株式・取得条項付株式の取得、合併・分割等による承継などである。これを『いかなる場合でも自由に取得できる』とするアは誤り。取得が法定の場合に限られるとするイは正しい。とくに株主との合意による有償取得には、原則として株主総会決議と、分配可能額による財源規制がかかる。
補足特定の株主だけから取得するときは特別決議が必要で、他の株主も自分を売主に加えるよう請求でき、当該特定株主はその議案で議決権を行使できない(会社法160条)。
問42会計参与の権限
会計参与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.会計参与は、取締役と共同して計算書類及びその附属明細書等を作成し、会計参与報告を作成しなければならない。
- イ.会計参与は、その職務を行うため必要があるときであっても、子会社に対して会計に関する報告を求めることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 計算書類の作成
会社法第374条第1項「会計参与は、取締役と共同して」e-Gov原文
会社法第374条第1項「会計参与報告を作成しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 調査権
会社法第374条第3項「会計参与は、その職務を行うため必要があるときは、会計参与設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め」e-Gov原文
ひっかけ会計参与の権限は取締役と共同しての作成にとどまらず、子会社にも及ぶ。
解説会計参与は、取締役と共同して計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類、連結計算書類を作成し、あわせて会計参与報告を作成する(会社法374条1項)。職務のため会計帳簿等の閲覧・謄写をし、取締役や使用人に会計に関する報告を求めることもできる(同条2項)。さらに必要があるときは、会計参与設置会社の子会社に対して会計に関する報告を求め、子会社の業務・財産の状況を調査できる(同条3項)。だからイの『子会社に報告を求めることはできない』は誤り。アは374条1項そのままで正しい。会計参与に就けるのは公認会計士・監査法人または税理士・税理士法人に限られる(333条1項)。
補足同じ会計監査人が外部から計算書類を『監査』する立場なのに対し、会計参与は取締役と並んで計算書類を『作成』する側に立つ。
問43計算書類の定時株主総会への提出・承認
計算書類に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、一定の監査・承認を受けた計算書類及び事業報告を、定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。
- イ.定時株主総会に提出された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 計算書類と事業報告は会社の状態を株主に説明する基礎資料。取締役は、所定の監査・承認を経たうえで定時株主総会に提出または提供する。
会社法第438条第1項「計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 計算書類は株主が会社の財産・損益を確認する中心資料なので、定時株主総会に提出・提供されるだけで終わらず、原則として承認を受ける必要がある。
会社法第438条第2項「前項の規定により提出され、又は提供された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ計算書類は定時株主総会の承認まで要るが、並んで提出される事業報告は報告で足りる。
解説監査役・会計監査人・取締役会等の監査・承認を経た計算書類及び事業報告は、取締役が定時株主総会に提出・提供しなければならない(会社法438条1項)。提出された計算書類は、定時株主総会の承認を受けなければならない(同条2項)。これに対し事業報告は、取締役がその内容を定時株主総会に報告すれば足り、承認の対象ではない(同条3項)。アは438条1項、イは438条2項に対応し、ともに正しい。計算書類は承認、事業報告は報告という扱いの差がそのまま出ている。
補足会計監査人設置会社では、会計監査人の無限定適正意見など一定の要件を満たせば、計算書類も承認ではなく報告で足りる特則がある(439条)。
問44剰余金の配当に関する事項の決定
剰余金の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が剰余金の配当をするときは、取締役会の決議のみで配当財産の種類・総額等を定めれば足り、株主総会の決議は不要である。
- イ.株式会社は、剰余金の配当をしようとするときは、その都度、原則として株主総会の決議によって、配当財産の種類及び帳簿価額の総額等を定めなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 配当の決定機関
会社法第454条第1項「株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 配当事項
会社法第454条第1項「株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ配当額を決めるのは原則として株主総会で、取締役会だけで完結はしない。
解説剰余金の配当をしようとするときは、その都度、原則として株主総会の決議によって、(1) 配当財産の種類及び帳簿価額の総額、(2) 株主への割当てに関する事項、(3) 効力発生日を定めなければならない(会社法454条1項)。よってアの『取締役会の決議のみで足り株主総会の決議は不要』は誤り。イは454条1項どおりで正しい。例外として、会計監査人設置会社で取締役の任期が1年以内であるなど一定の要件を満たす会社は、定款の定めにより取締役会で剰余金の配当を定められる(459条1項)。また配当として株主に交付する金銭等の総額は分配可能額を超えてはならない(461条)。
補足配当財産は金銭に限らず現物でもよいが、現物配当のとき株主に金銭分配請求権を与えないなら、株主総会の特別決議が要る(454条4項・309条2項10号)。
問45種類株式
種類株式に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、剰余金の配当、残余財産の分配、株主総会において議決権を行使することができる事項等について異なる定めをした、内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。
- イ.株式会社が発行できる株式は1種類に限られ、内容の異なる種類の株式を発行することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 種類株式
会社法第108条第1項「株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 多様な設計
会社法第108条第1項「株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる」e-Gov原文
ひっかけ配当も議決権も内容を変えた株式を複数種類出せるのが種類株式で、1種類に縛られない。
解説株式会社は、(1) 剰余金の配当、(2) 残余財産の分配、(3) 株主総会で議決権を行使できる事項、(4) 譲渡制限、(5) 取得請求権、(6) 取得条項、(7) 全部取得条項、(8) 拒否権、(9) 取締役・監査役の選任、について異なる定めをした、内容の異なる二以上の種類の株式を発行できる(会社法108条1項)。アはこの規定に沿って正しい。イは『発行できる株式は1種類に限られる』とする点で誤り。配当優先株式や議決権制限株式などが典型で、資金調達や支配関係の設計に使われる。
補足種類株式を発行している会社が、ある種類の株主に損害を及ぼすおそれのある行為をするときは、その種類の株主による種類株主総会の決議がなければ効力を生じない(322条1項)。
問46新株予約権の内容
新株予約権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が新株予約権を発行する場合、その新株予約権を行使することができる期間を、新株予約権の内容として定める必要はない。
- イ.新株予約権の内容として、その行使に際して出資される財産の価額やその算定方法を定める必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 行使期間
会社法第236条第1項「当該新株予約権を行使することができる期間」e-Gov原文
- イ.誤り
- 内容の法定
会社法第236条第1項「株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない」e-Gov原文
ひっかけ新株予約権では行使期間も出資価額も、必ず内容として定めなければならない法定事項である。
解説新株予約権は、会社に対して行使することで株式の交付を受けられる権利である。発行に際しては、(1) 目的である株式の数又はその算定方法、(2) 行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法、(3) 行使期間、(4) 増加する資本金及び資本準備金に関する事項などを、新株予約権の内容として必ず定めなければならない(会社法236条1項1号・2号・4号・5号)。したがってアの『行使期間を定める必要はない』もイの『出資される財産の価額等を定める必要はない』もいずれも誤りで、答えは誤誤。これに対し譲渡制限や取得条項は、そうした定めを置くときに限り内容となる(同項6号・7号等)。
補足新株予約権を行使した者は、行使した日に、目的である株式の株主となる(282条1項)。
問47特別支配株主の株式等売渡請求
特別支配株主の株式等売渡請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社の特別支配株主(総株主の議決権の10分の9以上を有する者等)は、他の株主全員に対し、その有する株式の全部を自己に売り渡すことを請求することができる。
- イ.特別支配株主の株式売渡請求は、対象会社の他の株主全員の個別の同意がなければ行うことができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- キャッシュアウト
会社法第179条第1項「その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 対象会社の承認
会社法第179条第1項「その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ9割を握る株主が、残りの株主を株主の地位から外す制度です。
解説総株主の議決権の10分の9以上を保有する株主(特別支配株主)は、他の株主全員に対し、その有する株式の全部を自己に売り渡すよう請求できる(会社法179条1項)。少数株主を金銭で締め出すキャッシュアウトの手段であり、アはこの条文どおりで正しい。この請求は対象会社の承認を得て進められ、締め出される側の株主一人ひとりの同意は要らないため、イの『全員の個別同意がなければ行えない』は誤り。同意の代わりに、売買価格に納得できない株主は裁判所へ価格決定を申し立てられる(179条の8)。
補足売渡しを迫られた株主が対抗できるのは、裁判所への売買価格決定の申立て(179条の8)。締め出し自体は止められないが、価格は争える。
問48公開会社における募集事項の決定
公開会社における募集株式の発行に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社では、有利発行に該当する場合等を除き、募集株式の募集事項の決定は、取締役会の決議による。
- イ.公開会社が取締役会の決議で募集事項を定めたときは、原則として、払込期日等の2週間前までに、株主に対し当該募集事項を通知(又は公告)しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 機動的な資金調達
会社法第201条第1項「公開会社における同条第二項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 株主への情報提供
会社法第201条第3項「二週間前までに、株主に対し、当該募集事項」e-Gov原文
ひっかけ取締役会だけで増資を決められる代わりに、株主への事前通知が残ります。
解説公開会社が募集株式を発行するとき、特に有利な払込金額での発行(有利発行)にあたる場合などを除けば、募集事項の決定は取締役会の決議で足りる(会社法201条1項)。機動的に資金を集められるようにする趣旨で、アは正しい。もっとも自由放任ではなく、株主が発行の差止め等を検討できるよう、原則として払込期日等の2週間前までに、株主へ募集事項を通知するか公告しなければならない(同条3項)。イもこの手続どおりで正しい。決定は取締役会だけで完結するが、事後の通知・公告まで省けるわけではない。
補足非公開会社では同じ募集事項の決定に株主総会の特別決議が要る(199条2項)。取締役会で足りるのは公開会社の特則。
問49株主名簿の名義書換
株主名簿の名義書換に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式を会社以外の者から取得した者(株式取得者)は、会社に対し、株主名簿記載事項を株主名簿に記載・記録することを請求することができる。
- イ.株式を取得しても、会社に対して株主名簿の名義書換を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 名義書換
会社法第133条第1項「当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 対抗要件
会社法第133条第1項「当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ株式を譲り受けても、名簿を書き換えるまで会社は前の名義人を株主として扱います。
解説会社以外の者から株式を取得した者(株式取得者)は、会社に対して、株主名簿記載事項を株主名簿に記載・記録すること、すなわち名義書換を請求できる(会社法133条1項)。アはこの条文そのままで正しく、『請求できない』とするイは反対の内容なので誤り。株式の譲渡は名義書換をしなければ会社その他の第三者に対抗できない(130条)から、譲受人は名義書換を済ませて初めて、会社に対し自分が株主だと主張できる。
補足この請求は原則として名簿上の株主と共同で行う(133条2項)。譲受人が単独で請求できるのは、確定判決の謄本など定められた資料を添えた場合に限られる。
問50特別支配株主(総合)
特別支配株主の株式等売渡請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特別支配株主の株式売渡請求は、対象会社の少数株主全員の同意がなければ行うことができない。
- イ.特別支配株主とは、株式会社の総株主の議決権の過半数を有する者をいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 個別同意不要
会社法第179条第1項「その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 10分の9以上
会社法第179条第1項「株式会社の総株主の議決権の十分の九」e-Gov原文
ひっかけ要件の『9割』と、手続に同意が要らない点。誤りはこの二か所に仕込まれます。
解説特別支配株主とは、総株主の議決権の10分の9(定款で引き上げ可)以上を、その株主と完全子法人等が併せて持っている場合の当該株主をいう(会社法179条1項)。過半数では足りないので、『過半数を有する者』とするイは誤り。そして株式売渡請求は対象会社の承認を得て行われ、締め出される少数株主の個別同意は不要だから、『全員の同意がなければ行えない』とするアも誤り。要件の数字は9割、手続では少数株主の同意は登場しない、という二点で両肢が外れている。
補足10分の9は『その株主+完全子法人等』を合算して判定する。本人単独で9割なくても、完全子会社の保有分を足して届けば特別支配株主にあたる。
問51株式会社の設立方法
株式会社の設立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、発起人が設立時発行株式の全部を引き受ける方法(発起設立)又は発起人が一部を引き受け残りを引き受ける者を募集する方法(募集設立)により設立することができる。
- イ.株式会社の設立に際し、各発起人は、設立時発行株式を引き受ける必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 設立方法
会社法第25条第1項「株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 発起人の引受義務
会社法第25条第2項「各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ設立の方法は発起設立と募集設立の二択。ただしどちらでも、発起人は最低一株を引き受けます。
解説設立時発行株式の全部を発起人だけで引き受ければ発起設立、発起人が一部を引き受けて残りの引受人を募集すれば募集設立で、株式会社はこのいずれかの方法により設立できる(会社法25条1項)。アはこの二本立てをそのまま述べていて正しい。これとは別に、同条2項が各発起人に設立時発行株式を一株以上引き受けることを義務づけているから、『引き受ける必要はない』とするイは誤り。設立方法は二通りあっても、発起人である以上は最低一株を引き受ける点は動かず、組み合わせは『アー正、イー誤』。
補足一株以上を引き受けた発起人は、引受け後遅滞なくその全額を払い込み、現物出資なら全部を給付しなければならない(会社法34条1項)。引受けと出資の履行は別段階で、引き受けただけでは足りない。
問52株式の併合
株式の併合に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、併合の割合や効力発生日等を定めなければならない。
- イ.株式の併合は、取締役会の決議のみで行うことができ、株主総会の決議は不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 株式の併合
会社法第180条第2項「株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 決議要件
会社法第180条第2項「株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ株式の併合は端数を生んで株主に響くからこそ、決めるのは取締役会ではなく株主総会です。
解説複数の株式を一株にまとめる株式の併合では一株に満たない端数が生じて株主の利益に影響するため、会社が併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議で併合の割合・効力発生日等を定めなければならない(会社法180条2項)。アはこの手続どおりで正しい。決議機関は株主総会であって取締役会ではないから、『取締役会の決議のみで行え、株主総会の決議は不要』とするイは誤り。端数による不利益を株主自身に諮るのが趣旨で、取締役会だけで完結させることはできない。よって『アー正、イー誤』。
補足この株主総会の決議は普通決議では足りず特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上)にあたる(会社法309条2項4号)。割合に反対する株主は、端数となる株式を公正な価格で買い取るよう請求できる(182条の4)。
問53定款の絶対的記載事項
株式会社の定款に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社の定款には、目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額・発起人の氏名等を記載しなければならない。
- イ.定款に発起人の氏名又は名称及び住所を記載することは、任意である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 絶対的記載事項
会社法第27条「株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない」e-Gov原文
会社法第27条第4号「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」e-Gov原文
- イ.誤り
- 記載必須
会社法第27条「株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ発起人の氏名は「書いても書かなくてもよい」ではなく、欠けば定款が無効になる項目。
解説目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額又はその最低額・発起人の氏名又は名称及び住所、この5つは株式会社の定款に記載・記録しなければならない絶対的記載事項である(会社法27条)。一つでも欠ければ定款全体が無効になる。発起人の氏名等も27条5号に並ぶ絶対的記載事項だから、これを任意とするイは誤り。アは27条そのままで正しい。なお、定款には変態設立事項のような相対的記載事項や任意的記載事項もあるが、それらは欠けても定款自体は無効にならない点で絶対的記載事項と立場が違う。
補足作成した定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じない(会社法30条)。
問54変態設立事項
株式会社の設立における変態設立事項に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.現物出資や財産引受け等の事項は、定款に記載しなくても、当然にその効力を生ずる。
- イ.金銭以外の財産を出資する者の氏名・当該財産及びその価額等(変態設立事項)は、定款に記載しなければ、その効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 変態設立事項
会社法第28条「次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 相対的記載事項
会社法第28条「金銭以外の財産を出資する者」e-Gov原文
会社法第28条「次に掲げる事項は、第二十六条第一項の定款に記載し、又は記録しなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ現物出資は黙っていても通る話ではなく、定款に書いて初めて効力が出る。
解説現物出資・財産引受け・発起人が受ける報酬その他の特別の利益・設立費用は、定款に記載又は記録しなければその効力を生じない変態設立事項である(会社法28条)。発起人によるお手盛りで会社財産が害される危険があるため、定款記載を効力要件とし、原則として裁判所が選任する検査役の調査も課す(同33条)。アは「定款に書かなくても当然に効力を生ずる」としており28条に反するから誤り。金銭以外の財産を出資する者の氏名・財産・価額を挙げるイは28条1号どおりで正しい。
補足検査役の調査は、価額の総額が500万円以下のとき、市場価格ある有価証券のとき、弁護士等の証明があるときは不要になる(会社法33条10項)。
問55監査役の権限(第13章・biz2-ch13-0055)
監査役の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役は、取締役の職務の執行を監査し、法務省令で定めるところにより監査報告を作成しなければならない。
- イ.監査役は、いつでも、取締役等に対して事業の報告を求め、又は会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 業務監査
会社法第381条第1項「監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 調査権
会社法第381条第2項「監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ監査役の仕事は報告書を書くだけでなく、業務・財産にいつでも踏み込める調査権を含む。
解説監査役は取締役(会計参与設置会社では取締役及び会計参与)の職務の執行を監査し、法務省令で定めるところにより監査報告を作成しなければならない(会社法381条1項)。さらに、いつでも取締役・会計参与・支配人その他の使用人に事業の報告を求め、会社の業務及び財産の状況を調査できる(同条2項)。アは1項、イは2項の文言どおりでいずれも正しい。違法行為に対しては取締役会への報告義務や差止請求権(同385条)も認められ、業務執行の適法性を監督する。
補足監査役の監査は会計だけでなく業務監査にも及ぶが、定款で会計監査限定にできるのは非公開会社(監査役会・会計監査人設置会社を除く)に限られる(会社法389条)。
問56監査役の子会社調査権
監査役の調査権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役は、その職務を行うため必要があるときであっても、子会社に対して事業の報告を求めることはできない。
- イ.監査役は、その職務を行うため必要があるときは、子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 子会社調査
会社法第381条第3項「監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め」e-Gov原文
- イ.正しい
- 子会社調査権
会社法第381条第3項「監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め」e-Gov原文
ひっかけ監査役の調査範囲は当の会社にとどまらず、子会社にまで届く。
解説監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況を調査することができる(会社法381条3項)。企業集団としての監査の実効性を確保する趣旨である。アは「子会社に報告を求めることはできない」としており3項に反するから誤り。子会社調査をそのまま述べるイは正しい。子会社の側は、正当な理由があるときはこの報告又は調査を拒める(同条4項)。
補足同様の子会社調査権は会計参与(会社法374条3項)や会計監査人(同396条3項)にも認められている。
問57株主総会の招集の通知
株主総会の招集の通知に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会を招集するには、取締役は、原則として株主総会の日の2週間前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
- イ.取締役会設置会社においても、株主総会の招集通知は口頭ですれば足り、書面でする必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 招集通知
会社法第299条第1項「株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間」e-Gov原文
- イ.誤り
- 書面通知
会社法第299条第2項「前項の通知は、書面でしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ取締役会設置会社の招集通知は、口頭では済まない。書面(又は承諾を得て電磁的方法)で発する。
解説株主総会を招集するには、取締役は、原則として株主総会の日の2週間前までに、株主に対して招集通知を発しなければならない(会社法299条1項)。ただし公開会社でない株式会社では原則1週間前まででよく、取締役会設置会社以外なら定款でさらに短縮できる。アはこの原則どおりで正しい。通知の方式は、取締役会設置会社の場合や書面・電磁的方法による議決権行使を定めた場合には、書面(又は株主の承諾を得て電磁的方法)でしなければならない(同条2項・3項)。だからイの「口頭で足りる」は誤り。
補足招集通知には、株主総会の日時・場所、目的である事項などを記載する(299条4項が298条1項各号を引く)。漫然と「集まってください」では足りない。
問58事業譲渡等の承認
事業譲渡等の承認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が事業の全部の譲渡をする場合には、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、その契約の承認を受けなければならない。
- イ.事業の重要な一部の譲渡(一定の基準を超えるもの)についても、株主総会の決議による承認が必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 事業譲渡
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
会社法第467条第1項第1号「事業の全部の譲渡」e-Gov原文
- イ.正しい
- 重要な一部
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ「一部だから総会はいらない」とはならない。重要な一部の譲渡も承認の対象になる。
解説株式会社が事業の全部を譲渡する場合には、効力発生日の前日までに、株主総会の決議(特別決議)によってその契約の承認を受けなければならない(会社法467条1項1号)。アはこのとおりで正しい。承認が要るのは全部譲渡だけではない。事業の重要な一部の譲渡(譲渡資産の帳簿価額が総資産額の5分の1を超えるもの。同項2号)も会社の基礎に関わるため株主総会の承認が必要で、イも正しい。反対株主には株式買取請求権が認められる(同469条)。
補足「重要な一部」かどうかは、譲渡資産の帳簿価額が総資産額の5分の1を超えるか(法務省令の割合)で線が引かれる。5分の1以下なら簡易の手続で承認が不要になる(468条2項)。
問59事業譲渡等の承認(総合)
事業譲渡等の承認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が事業の全部を譲渡する場合であっても、株主総会の決議による承認は不要である。
- イ.他の会社の事業の全部を譲り受ける場合には、譲受会社において株主総会の承認を受ける必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 承認必要
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 譲受けも承認
会社法第467条第1項「株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ承認が要るのは「出す」ときだけではない。他社事業の全部を「受け入れる」側にも要る。
解説事業譲渡等の承認(会社法467条)は、譲り渡す側だけの話ではない。事業の全部の譲渡には株主総会の決議による承認が必要なので(同項1号)、アの「承認は不要」は誤り。さらに、他の会社の事業の全部を譲り受ける場合にも、譲受会社で株主総会の承認が必要なので(同項3号)、イの「承認を受ける必要はない」も誤り。いずれも会社の事業の基礎的変更を伴うためである。
補足譲受けでも、その対価として交付する財産の帳簿価額が純資産額の5分の1以下なら簡易手続として承認が不要になりうる(468条2項)。逆に親子会社間のような略式手続の例外もある(468条1項)。
問60競業取引の承認機関
取締役会非設置会社における取締役の競業取引の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役が第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合であっても、自己のためにする場合と異なり、株主総会の承認を受ける必要はない。
- イ.取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 自己/第三者の区別による誤解を突く
会社法第356条第1項第1号「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 承認機関と開示義務を正確に問う
会社法第356条第1項「株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ「第三者のためなら自由」と読ませにかかる肢。条文は自己でも第三者でも同じ扱い。
解説356条1項1号は競業取引の承認を求めるが、その射程は「自己又は第三者のために」する取引に及ぶ。取締役が自分名義で会社の事業の部類に属する取引をする場合だけでなく、他人の名義や計算で行う場合も承認の対象に入る。名義を第三者にすれば規制を逃れられる、という抜け道を塞ぐためである。だからアの「第三者のためなら承認不要」は誤り。イは1項柱書と1号の文言そのままで、株主総会での重要事実の開示と承認を要するとしており正しい。非設置会社では承認機関が株主総会になる点が、本問の前提である。
補足取締役会設置会社ではこの承認は取締役会で行い、取引をした取締役は取引後遅滞なくその重要な事実を取締役会に報告する義務を負う(365条)。
問61利益相反取引(間接取引)
取締役と会社の利益相反取引に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役が自己のために会社と直接取引をしようとするときは、重要な事実の開示は不要であり、株主総会の承認のみを受ければよい。
- イ.株式会社が取締役の債務を保証する場合のように、会社と取締役以外の者との間において会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするときも、株主総会の承認を受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 開示義務の省略可否を突く
会社法第356条第1項「当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 直接取引だけでなく間接取引も対象と問う
会社法第356条第1項第3号「株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき」e-Gov原文
ひっかけ「承認があれば開示は省ける」と思わせる肢。開示は承認判断の材料で、外せない。
解説間接取引、すなわち会社が取締役の債務を保証するように、形式上は取締役以外の者との取引でありながら実質的に会社と取締役の利益が衝突する取引は、356条1項3号で承認の対象とされている。会社の犠牲で取締役が利益を得る危険があるからで、直接取引(2号)と並んで規制される。よってイは正しい。アは、承認さえ得れば重要事実の開示は省けるとする点で誤り。356条1項柱書は「当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」と定め、開示は承認の前提だからである。開示なき承認では取締役会・株主総会が利益相反の中身を判断できない、という構造がアを誤りにしている。
補足債務保証のほか、会社が取締役の債務を引き受ける債務引受や、取締役の借入れに会社が物上保証する場合も、3号の間接取引として承認の対象になる。
問62取締役の報酬の決定
取締役の報酬等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役の報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法を定める必要はなく、取締役会に一任することができる。
- イ.取締役の報酬等のうち額が確定しているものについては、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によってその額を定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 取締役会一任という誤解を突く
会社法第361条第1項第2号「報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法」e-Gov原文
- イ.正しい
- 報酬決定の機関を正確に問う
会社法第361条第1項「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
ひっかけ不確定額だから取締役会に任せてよい、という流れに乗せる肢。算定方法は株主の手元に残る。
解説報酬等のうち額が確定していないものについては、361条1項2号がその具体的な算定方法を定款又は株主総会の決議で定めるよう求めている。業績連動報酬のように金額が事前に決まらない場合でも、算定の枠組みまで取締役会に丸投げすることは認められない。お手盛りを防ぐためである。したがってアの「取締役会に一任できる」は誤り。イは、確定額については定款に定めがないときは株主総会の決議でその額を定めるとするもので、1項柱書と1号のとおり正しい。確定か不確定かで「額そのもの」を決めるか「算定方法」を決めるかが分かれる、というのが本問の分岐点である。
補足募集株式や新株予約権を報酬とする場合は、361条1項3号以下でその数の上限など定めるべき事項が別に法定されている。
問63取締役会の決議要件
取締役会の決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.定款の定めによっても、取締役会の決議要件を法定の過半数より加重することはできない。
- イ.取締役会の決議は、原則として議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 定款による加重の可否を突く
会社法第369条第1項「これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上」e-Gov原文
- イ.正しい
- 取締役会の原則的決議要件を問う
会社法第369条第1項「議決に加わることができる取締役の過半数」e-Gov原文
ひっかけ法定の過半数は動かせない、と言い切る肢。条文は「上回る割合を定款で」と明言する。
解説369条1項は取締役会の決議を、議決に加わることができる取締役の過半数の出席と、その過半数の賛成で成立するとしたうえで、「これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上」と続ける。つまり定款で要件を法定より重くすることは条文上認められている。だからアの「定款でも加重できない」は誤り。イは同項の定足数と決議要件そのままで正しい。加重はできるが緩和はできない、という一方向の規律が本問の核心で、アはその「重くできる」側を否定して引っかけにきている。
補足逆に、定款で定めておけば、提案に議決権のある取締役全員が書面・電磁的記録で同意したとき決議があったものとみなせる(370条。監査役が異議を述べたときは不可)。
問64特別利害関係取締役
取締役会の決議における特別利害関係を有する取締役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、その決議について議決に加わることができる。
- イ.取締役会の決議に参加した取締役であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 議決権行使の可否を逆にして突く
会社法第369条第2項「特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 議事録への異議と責任の関係を問う
会社法第369条第5項「議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ利害関係があっても一票は投じられる、と読ませる肢。条文はその一票を奪っている。
解説369条2項は、決議について特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないと定める。自己の利益を会社の利益に優先させるおそれがあるからで、定足数の計算からも外れる。だからアの「議決に加わることができる」は誤り。イは369条5項のとおりで、決議に参加した取締役のうち議事録に異議をとどめない者は、その決議に賛成したものと推定される。反対していたなら議事録に異議を残しておかないと、賛成扱いされて責任を問われる側に回る。アが排除の場面、イが推定の場面と、369条が議決の前後で別々の歯止めを置いていることが見える問題である。
補足推定にとどまるので、実際に反対していた事実を証明できれば、賛成したとの扱いを覆して責任を免れる余地はある。
問65役員等の対会社責任
役員等の株式会社に対する損害賠償責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.取締役が356条1項の規定に違反して競業取引をしたときは、当該取引によって取締役や第三者が得た利益の額が会社の損害の額と推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 責任の主体と発生要件を正確に問う
会社法第423条第1項「その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 損害額の推定規定を問う
会社法第423条第2項「当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する」e-Gov原文
ひっかけ両方とも正しい型。イの推定が引っかけに見えても、423条2項そのままである。
解説423条1項は、取締役・会計参与・監査役・執行役・会計監査人がその任務を怠ったとき、会社に対しこれによって生じた損害を賠償する責任を負うとする。アはこの主体と要件をそのまま述べており正しい。イは、356条1項違反の競業取引について、その取引で取締役や第三者が得た利益の額を会社の損害額と推定する423条2項を述べたもので正しい。会社が逸失利益を立証するのは難しいため、得た利益から逆算させて立証の負担を軽くする趣旨である。競業違反では「会社の損害」ではなく「相手が得た利益」が起点になる、という立証構造の転換がイの肝である。
補足利益相反取引で会社に損害が生じた場合は、取引をした取締役のほか、承認の取締役会決議に賛成した取締役も任務を怠ったものと推定される(423条3項)。
問66役員等の対第三者責任
役員等の第三者に対する損害賠償責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.役員等がその職務を行うについて軽過失があったにとどまる場合でも、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 必要な主観要件を軽くして突く
会社法第429条第1項「その職務を行うについて悪意又は重大な過失があったとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 正しい主観要件を確認させる
会社法第429条第1項「悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ軽過失でも第三者に責任、と言わせる肢。1項の主観要件は悪意か重過失まで上がっている。
解説429条1項は、役員等が職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときに、第三者に生じた損害の賠償責任を負わせる。会社への任務懈怠責任(423条1項)が軽過失でも生じるのと違い、対第三者責任には悪意又は重過失という重い主観要件がかかっている。だから軽過失どまりとするアは責任を肯定しており誤り、悪意又は重過失とするイは正しい。この加重は、第三者の保護と、取締役が萎縮せず経営判断できることとの釣り合いをとった結果である。軽過失と重過失の境目で結論が分かれる、という一点だけで正誤が決まる問題である。
補足なお同じ429条でも2項は別系統で、計算書類等への虚偽記載などは、注意を怠らなかったことを取締役自身が証明しない限り責任を負う立証責任転換型になっている。
問67役員の解任
役員及び会計監査人の解任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.役員及び会計監査人は、正当な理由がある場合に限り、株主総会の決議によって解任することができる。
- イ.解任された役員は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 解任に正当理由が必要という誤解を突く
会社法第339条第1項「いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 解任の自由と損害賠償の関係を問う
会社法第339条第2項「その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ正当な理由がないと解任できない、と縛る肢。条文は理由を問わず「いつでも」解任を認める。
解説339条1項は、役員及び会計監査人を「いつでも、株主総会の決議によって解任することができる」とする。解任そのものに正当な理由は要らず、信頼関係が失われればいつでも切れる建付けである。だからアの「正当な理由がある場合に限り」は誤り。一方イは339条2項のとおりで、正当な理由がある場合を除き、解任された役員は会社に解任によって生じた損害(残任期分の報酬等)の賠償を請求できる。正当理由は「解任できるか」ではなく「賠償が発生するか」の場面で効いてくる。解任の自由と賠償の有無を二段に分けて読めるかが、アとイの違いに表れている。
補足なお、不正行為等があるのに解任議案が株主総会で否決された場合は、一定の少数株主が30日以内に解任の訴えを起こせる(854条)。
問68報酬等の意義と決定
取締役の報酬等の意義と決定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.報酬等のうち額が確定しているものについては、定款で定めていない場合であっても、株主総会の決議を経ることなく取締役会限りで定めることができる。
- イ.報酬や賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益は、報酬等として361条の規律の対象となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 決定機関を取締役会にすり替えて突く
会社法第361条第1項「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
- イ.正しい
- 報酬等の範囲を正確に問う
会社法第361条第1項「職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」e-Gov原文
ひっかけ確定額なら取締役会で決められる、と思わせる肢。定款になければ株主総会に戻る。
解説361条1項柱書は報酬等を「職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」と定義する。名目が報酬か賞与かを問わず、実質的に職務の対価といえる利益はここに含まれる。よってイは正しい。アは、確定額の報酬を定款の定めなしに取締役会限りで決められるとする点で誤り。361条1項は定款に定めがないときは株主総会の決議で定めるとしており、決定権は取締役会にない。報酬を取締役自身の合議で決めればお手盛りになるため、決定機関を株主側に置いている。アは「対価の定義」ではなく「誰が決めるか」をすり替えてくる肢である。
補足退職慰労金も職務執行の対価としての性質を持つ限り報酬等にあたり、361条の規律に服する。
問69利益相反取引と取締役会決議
取締役の利益相反取引と取締役会の決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役が自己又は第三者のために会社と取引をしようとするときは、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
- イ.会社と利益相反取引をしようとする取締役は、その承認に係る取締役会の決議において、特別の利害関係を有する取締役にあたらず議決に加わることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 直接取引の規律を正確に問う
会社法第356条第1項第2号「取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特別利害関係への該当を否定して突く
会社法第369条第2項「特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」e-Gov原文
ひっかけ当事者でも承認決議には加われる、と読ませる肢。当事者だからこそ369条2項で議決を外される。
解説356条1項2号の直接取引、つまり取締役が自己又は第三者のために会社と取引する場合は、重要な事実を開示して承認を受けなければならない。アはこの規律のとおりで正しい。これに対しイは、利益相反取引の当事者である取締役が承認の取締役会決議で議決に加われるとする点で誤り。当該取締役は決議について特別の利害関係を有するため、369条2項により議決から排除される。自分が当事者の取引の可否を自分で決めさせない、という利益相反の趣旨が、356条の承認と369条の議決排除の両方を貫いている。承認を要することと、その承認決議で当事者が一票を持てないことは、別条文だが同じ目的でつながっている。
補足取締役会設置会社では承認は取締役会で行い、取引をした取締役は取引後遅滞なく重要な事実を取締役会に報告しなければならない(365条1項・2項)。
問70株主に対する剰余金の配当
剰余金の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社は、その株主に対し、剰余金の配当をすることができる。ただし、当該株式会社自身は配当を受ける株主から除かれる。
- イ.株式会社は、当該株式会社自身が保有する自己株式に対しても、剰余金の配当をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 除外規定を無視させる
会社法第453条「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く」e-Gov原文
ひっかけ配当の相手から「当該株式会社を除く」。自己株式には回らない。
解説453条は「株式会社は、その株主(当該株式会社を除く。)に対し、剰余金の配当をすることができる」と定める。アはこの括弧書まで正しく書いており、会社が保有する自己株式には配当しない。会社が自分自身に配当しても財産が動かず無意味だからで、この括弧書は読み落としやすい。イは逆に自己株式にも配当できるとするので誤り。よって組み合わせはアー○・イー×になる。
補足自己株式は議決権も持たない(308条2項)。配当も議決権も外される点で共通する。
問71資本金の額の原則
資本金の額に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社の資本金の額は、別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
- イ.払込み又は給付に係る額の三分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 資本金の原則額を確認
会社法第445条第1項「設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 割合(二分の一)を改変する
会社法第445条第2項「前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる」e-Gov原文
ひっかけ資本金に計上しなくてよいのは払込額の二分の一まで。三分の一にすり替えられている。
解説445条1項は、資本金の額を、別段の定めがある場合を除き、設立または株式の発行に際して株主となる者が払込み・給付した財産の額とする。アはこの原則どおりで正しい。イは2項に関わるが、ここで数字がすり替えられている。資本金に計上しないことができるのは「二分の一を超えない額」であって、三分の一ではない。割合だけを変えるのが定番のひっかけで、イは誤り。答えはアー○・イー×。
補足資本金に算入しなかった額は宙に浮かず、資本準備金として計上が義務づけられる(445条3項)。
問72資本準備金への計上
資本準備金に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.払込み又は給付に係る額のうち資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。
- イ.資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上するか否かを会社が任意に選べる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 準備金計上の義務を確認
会社法第445条第3項「資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 義務(しなければならない)を任意に弱める
会社法第445条第3項「前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ「しなければならない」を「任意に選べる」へ弱めている。準備金計上は義務。
解説445条3項は、2項によって資本金に計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない、と定める。アはこの義務規定どおりで正しい。イは同じ場面を「計上するか否か会社が任意に選べる」とするが、条文は「しなければならない」と義務づけており、会社の財産的基礎を確保する趣旨から任意ではない。だからイは誤り、組み合わせはアー○・イー×になる。
補足剰余金を配当する際も、減少する剰余金の十分の一を準備金として積み立てる義務がある(445条4項)。
問73株主総会の普通決議の定足数と多数決要件
株主総会の普通決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会の普通決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
- イ.株主総会の普通決議は、定款の定めの有無にかかわらず、常に議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主の出席を要し、定款によってこの定足数を引き下げることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 普通決議の原則的な定足数・表決数を正しく述べている。
会社法第309条第1項「株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き」e-Gov原文
- イ.誤り
- 定款による別段の定めを認める条文を無視している点が誤り。
会社法第309条第1項「定款に別段の定めがある場合を除き」e-Gov原文
ひっかけ309条1項は『定款に別段の定めがある場合を除き』から始まる。この一句で定足数は動く。
解説普通決議の定足数は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席で、表決は出席した株主の議決権の過半数(会社法309条1項)。ただしこの条文は冒頭で『定款に別段の定めがある場合を除き』と断っており、定足数も表決数も定款で別段の定めができる。アはこの原則どおりで正しい。イは『定款の定めの有無にかかわらず常に過半数の出席を要し、定款で引き下げられない』とするが、冒頭句を読み飛ばしている点で誤り。実際には定足数を定款で軽減でき、撤廃することすら可能とされる。
補足公開会社・上場会社では実務上、定款で普通決議の定足数を撤廃(『出席株主の議決権の過半数で決する』のみ)している例が多い。
問74株主総会の特別決議の要件(第13章・biz2-ch13-0074)
株主総会の特別決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一定の重要事項に係る株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
- イ.特別決議の定足数は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数とされ、三分の一以上の割合を定款で定めた場合であっても、これを過半数より引き下げることは一切できない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 特別決議の表決数(三分の二以上)を正しく述べている。
会社法第309条第2項「出席した当該株主の議決権の三分の二」e-Gov原文
- イ.誤り
- 定款による定足数緩和の括弧書を無視している点が誤り。
会社法第309条第2項「三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上」e-Gov原文
ひっかけ特別決議で定款が触れるのは定足数の側。三分の一までなら下げられる。
解説特別決議は、議決権の過半数を有する株主の出席を定足数とし、出席株主の議決権の三分の二以上で可決する(会社法309条2項)。アはこの表決数を正しく述べている。問題はイで、『定足数は過半数で固定、三分の一以上を定款で定めても過半数より引き下げることは一切できない』とするが、309条2項の括弧書『三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上』により、定足数は定款で三分の一まで緩和できる。よってイは誤り。なお表決数の三分の二以上は最低ラインで、こちらは定款で加重する方向にしか動かせない。
補足緩和できるのは定足数だけ。表決の三分の二以上は下限で、定款では上回る割合への加重しかできない。
問75普通決議と特別決議の表決数の区別
株主総会の決議要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会の普通決議は、出席した当該株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
- イ.一定の重要事項に係る株主総会の決議は、出席した当該株主の議決権の三分の二以上に当たる多数をもって行わなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 普通決議の表決数を特別決議の三分の二以上と取り違えている点が誤り。
会社法第309条第1項「出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 特別決議の表決数を正しく述べている。
会社法第309条第2項「三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合」e-Gov原文
ひっかけ三分の二という数字が出たら特別決議の側。普通決議に貼り付けると誤る。
解説三分の二以上の多数を要求するのは特別決議(会社法309条2項)であって、普通決議ではない。普通決議は出席株主の議決権の過半数で足りる(同条1項)。アは普通決議に三分の二以上を求めており、特別決議の表決数を持ち込んだ誤り。イは重要事項の決議について三分の二以上としており、特別決議の表決数そのもので正しい。
補足役員の選任・解任や計算書類の承認は普通決議、定款変更・合併・事業譲渡などが特別決議に並ぶ。
問76特別決議における定款による加重
株主総会の特別決議における定款の定めに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特別決議の表決数について、三分の二を上回る割合を定款で定めた場合には、その割合以上に当たる多数をもって決議を行わなければならない。
- イ.特別決議の表決数は法律で三分の二以上と固定されており、定款によってこれより重い割合を定めることは認められていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 定款による表決数の加重を認める括弧書を正しく述べている。
会社法第309条第2項「これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合」e-Gov原文
- イ.誤り
- 定款による表決数の加重を否定している点が誤り。
会社法第309条第2項「以上に当たる多数をもって行わなければならない」e-Gov原文
ひっかけ三分の二は床であって天井ではない。定款で重くする分には条文が認めている。
解説特別決議の表決は三分の二以上が原則だが、309条2項の括弧書『これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合』により、定款で三分の二を超える割合に加重できる。アはこの加重を認める記述で正しい。イは『三分の二以上で固定、定款でこれより重い割合は定められない』とするが、括弧書が認める加重を否定しており誤り。三分の二以上はあくまで法定の下限で、定款で引き上げる方向には動かせる。
補足加重はできても緩和はできない。三分の二未満で決められる定款を作ることは認められていない。
問77反対株主の株式買取請求の相手方と価格
吸収合併等における反対株主の株式買取請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。
- イ.吸収合併等をする場合の反対株主の株式買取請求は、存続株式会社等ではなく、当該反対株主が取引した相手方たる第三者に対して行わなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 買取請求の相手方と価格を正しく述べている。
会社法第797条「反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求」e-Gov原文
- イ.誤り
- 請求の相手方を第三者とする点が条文に反し誤り。
ひっかけ買い取れと言う先は会社自身。取引の相手方ではない。
解説吸収合併等に反対する株主は、存続株式会社等に対して自己の株式を公正な価格で買い取るよう請求できる(会社法797条1項)。請求の相手は会社であって、株式を譲渡した取引相手などの第三者ではない。アは相手方を存続株式会社等とし価格を公正な価格とする点で条文どおり正しい。イは請求の相手を『取引した相手方たる第三者』とするが、797条が定める相手方は存続株式会社等であり、第三者に向けるとした点で誤り。
補足ただし簡易合併など一定の手続では、そもそも反対株主に買取請求権が認められない場合がある(797条1項ただし書)。
問78買取請求の価格基準
反対株主の株式買取請求の価格に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.吸収合併等に反対する株主が株式買取請求をする場合、その買取りは公正な価格によって行われる。
- イ.吸収合併等に反対する株主の株式買取請求においては、買取りの価格は当該株式の額面金額によることとされている。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 買取価格の基準を正しく述べている。
会社法第797条「自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求」e-Gov原文
- イ.誤り
- 買取価格の基準を額面金額とする点が条文に反し誤り。
会社法第797条「公正な価格で買い取ることを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ額面という言葉が出たら警戒。買取りの物差しは公正な価格だけ。
解説反対株主の株式買取請求では、買取りは『公正な価格』で行われる(会社法797条1項)。アはこの価格基準どおりで正しい。イは買取価格を『当該株式の額面金額』によるとするが、797条の基準は公正な価格であって額面ではないため誤り。そもそも現行会社法に額面株式の制度はなく、価格は合併等の条件を踏まえて事後的に定まる公正な価格による。
補足協議が調わなければ、株主・会社のいずれも裁判所に価格決定の申立てができる(会社法798条)。
問79少数株主による株主総会の招集請求
株主総会の招集の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社において、総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を6か月前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。
- イ.株主が株主総会の招集を請求したにもかかわらず、請求後遅滞なく招集の手続が行われない場合、当該株主は、裁判所の許可を得ることなく、自ら株主総会を招集することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 持株要件・保有期間・請求先・示すべき事項をいずれも条文どおり述べている。
会社法第297条「総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権」e-Gov原文
会社法第297条「招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 少数株主が自ら総会を招集するには裁判所の許可を要する。許可不要とする点が誤り。
会社法第297条「請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合」e-Gov原文
会社法第297条「裁判所の許可を得て、株主総会を招集することができる」e-Gov原文
ひっかけ『自ら招集できる』という結論だけを見て正しいと即断しない。
解説少数株主による株主総会の招集請求(会社法第297条)は、多数派に握られた会社運営を少数株主が是正するための重要な権利であり、二段階で理解する。第一に『請求権』:総株主の議決権の100分の3(定款で引下げ可)以上を6か月前から引き続き有する株主が、取締役に対し、株主総会の目的である事項と招集の理由を示して招集を請求する(第1項)。公開会社でない会社では株式の流動性が低く保有期間を問う意味が乏しいため、6か月の継続保有要件は適用されない(第2項)。第二に『自ら招集する権利』:請求しても遅滞なく招集手続が行われない、または請求日から8週間以内を会日とする招集通知が発せられないときに限り、請求をした株主は裁判所の許可を得て自ら総会を招集できる(第4項)。ここで重要なのは、株主が単独の判断で勝手に総会を開けるのではなく、必ず裁判所の許可という公的なコントロールを経る点である。イの記述はこの『裁判所の許可』という要件を落としており誤り。なお、招集請求の100分の3という持株要件は、株主提案権のうち議案要領通知請求権(取締役会設置会社で100分の1または300個)の要件とは別物であり、混同しないこと、そして『招集の請求』と『自ら招集』を段階として区別することが本条を正確に押さえる鍵となる。
補足アは持株要件・保有期間・請求先・記載事項がいずれも条文どおりで正しい。
問80累積投票による取締役の選任
取締役会設置会社であるA株式会社が、株主総会で2人以上の取締役を選任しようとする場合における累積投票に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主が累積投票によって取締役を選任すべきことを請求できるのは、A社の定款にその旨の定めがある場合に限られる。
- イ.株主が累積投票による取締役の選任を請求するには、その株主総会の日の5日前までにしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 『定款に別段の定めがあるときを除き』請求できる=原則可能なので、定款の定めがある場合に限るとするのは誤り。
会社法第342条第1項「定款に別段の定めがあるときを除き、株式会社に対し」e-Gov原文
- イ.正しい
- 342条2項が請求を『株主総会の日の五日前までにしなければならない』と定めるとおりで正しい。
会社法第342条第2項「株主総会の日の五日前までにしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ累積投票は「定款に定めがあって初めて使える制度」ではなく、「定款で外していない限り使える制度」。
解説累積投票は、2人以上の取締役を1回の株主総会で選任する場合に、少数派株主にも取締役を送り込む機会を与えるための制度である。アは制度が使える場面を問う。会社法342条1項は、株主は『定款に別段の定めがあるときを除き』累積投票による選任を請求できると定める。つまり累積投票は法律上の原則であって、定款はそれを『排除する』方向にのみ働く。したがって『定款にその旨の定めがある場合に限り請求できる』とするアは、原則と例外が逆で誤り。イは請求の期限を問う。同条2項は、この請求を『株主総会の日の五日前までにしなければならない』と定めており、記述はこの期限どおりで正しい。なお、累積投票では株主は1株につき選任する取締役の数と同数の議決権を有し(同条3項)、投票の最多数を得た者から順次取締役に選任される(同条4項)。以上より、組み合わせは『アー誤、イー正』となる。
補足累積投票では1株につき選任する取締役の数と同数の議決権が与えられ(342条3項)、その票を1人に集中投票することも複数に分散することもできる。投票の最多数を得た者から順次選任される(同条4項)ため、少数派株主でも票を集中させれば取締役を送り込みやすくなる。
問81表見代表取締役
表見代表取締役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社が、代表取締役でない取締役に対し、社長・副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、その取締役が実際には代表権を有していなくても、当該取締役がした行為について、株式会社が責任を負うことがある。
- イ.表見代表取締役の規定により株式会社がその取締役の行為について責任を負うのは、その名称を信頼した善意の第三者に対してである。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 会社が代表権の外観(社長・副社長等の名称)を作出 → その取締役の行為について会社が責任を負う余地がある。正しい。
会社法第354条「代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合」e-Gov原文
- イ.正しい
- 外観を信頼した善意の第三者を保護する規定 → 悪意の相手方は保護されない。正しい。
会社法第354条「当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ『会社は必ず責任を負う』ではない。保護されるのは名称を信頼した善意の第三者に限られる。
解説表見代表取締役(会社法354条)は、会社が作り出した『代表権があるように見える外観』を信頼した第三者を保護し、取引の安全を図る制度である。仕組みは二段構えで理解する。第一に外観の作出。会社が、実際には代表権を持たない取締役に対し、社長・副社長その他会社を代表する権限を有すると認められる名称を付したこと。この名称を付したのは会社自身だから、外観が誤っていた責任を会社が引き受けるべきだという考え方(帰責性)に基づく。アはこの局面を述べており、代表権が実際にはなくても会社が責任を負うことがある、という点で正しい。第二に保護される相手方の範囲。354条は責任を負う相手方を『善意の第三者』に限定している。善意とは、その取締役に代表権がないことを知らなかったことをいう。名称を信頼した善意の第三者だけが保護され、代表権のないことを知っていた悪意の第三者は保護されない。イはこの局面を述べており正しい。したがって組み合わせは『アー正、イー正』。両者は同じ条文の別々の側面(外観の作出という要件と、善意の第三者という保護範囲)を問うている。
補足354条の名称は『社長・副社長』に限られず、『その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称』を含む。専務・常務など、代表権があると外観上信じられる名称であれば適用の余地がある。
問82株主による取締役の行為の差止め請求
株主による取締役の行為の差止請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.6か月前から引き続き株式を有する株主は、取締役が法令または定款に違反する行為をし、これによって株式会社に著しい損害が生ずるおそれがある場合には、当該取締役ではなく株式会社に対し、その行為をやめることを請求することができる。
- イ.監査役設置会社でない公開会社において、6か月前から引き続き株式を有する株主は、取締役の法令違反行為によって株式会社に損害が生ずるおそれがあれば、その損害が著しいものであるか否かを問わず、当該行為の差止めを請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 請求の相手方を株式会社とする点が条文に反し誤り。
会社法第360条第1項「当該取締役に対し、当該行為をやめることを請求」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『著しい損害』の要件を落としており条文に反し誤り。
会社法第360条第1項「当該株式会社に著しい損害が生ずるおそれがあるとき」e-Gov原文
ひっかけ差止請求は「誰に対して」「どの程度の損害で」を取り違えやすい。相手方と損害要件を条文どおり押さえる。
解説株主による取締役の行為の差止め(会社法360条)は、株主が取締役の違法・定款違反行為を事前に止めるための監督是正権である。第1項は、6か月前から引き続き株式を有する株主が、取締役の目的範囲外の行為その他法令・定款違反の行為(現にする場合だけでなく、するおそれがある場合を含む)によって株式会社に『著しい損害』が生ずるおそれがあるときに、『当該取締役に対し』その行為をやめることを請求できると定める。ここで押さえるべきは二点で、請求の相手方はあくまで取締役本人であって株式会社ではないこと(アの誤り)、そして単に損害が生ずるおそれがあるだけでは足りず損害が『著しい』ものであることまで必要なこと(イの誤り)である。さらに、公開会社でない株式会社では6か月の株式保有要件が外れて『株主』であれば足り(2項)、監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では、監査機関による監督が働くことを踏まえ、要件が『著しい損害』から『回復することができない損害』へと加重される(3項)。相手方・損害の程度・会社類型ごとの要件の違いをセットで整理しておきたい。
補足会社の機関設計で損害要件が変わる点も重要。監査役設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では、機関による監督が期待できる分、株主による差止めの要件は『回復することができない損害』へと厳しくなる(360条3項)。
問83取締役の任期
取締役の任期に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである。ただし、定款または株主総会の決議によって、その任期を短縮することができる。
- イ.公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く。)は、定款によって、取締役の任期を選任後15年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 原則2年+定款・総会決議で短縮可 → 条文どおりで正しい。
会社法第332条第1項「終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」e-Gov原文
- イ.誤り
- 定款による伸長の上限は10年であり、15年は誤り → 条文に反し誤り。
会社法第332条第2項「選任後十年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長する」e-Gov原文
ひっかけ非公開会社が定款で伸ばせる上限は『10年』。15年ではない。
解説アは会社法332条1項のとおりで正しい。取締役の任期は原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、定款または株主総会の決議によってこれを短縮することは妨げられない(同項ただし書)。所有と経営の分離のもとで、株主が定期的に取締役を信任し直せるようにする趣旨である。イは同条2項に反し誤り。公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社を除く。)は、定款によって任期を選任後『10年』以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長できるにとどまり、『15年』まで伸ばすことはできない。株主が固定的で閉鎖的な会社に限って改選の負担を軽くする例外であり、上限は10年で頭打ちである。なお、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の取締役(監査等委員である取締役を除く)の任期は原則1年に短縮され(同条3項・6項)、監査等委員である取締役の任期は2年で短縮のただし書が適用されない(同条4項・5項)。以上より組み合わせは『アー正、イー誤』。
補足監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社の取締役(監査等委員である取締役を除く)の任期は原則1年(332条3項・6項)。監査等委員である取締役の任期は2年で、短縮を認めるただし書は適用されない(同条4項)。