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会社法・第6

企業と会社のしくみの問題(22問)

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この章の概要

会社のしくみの基礎をあつかう章です。株主有限責任と株式譲渡自由の原則、株主総会・取締役会・代表取締役・監査役の権限、役員の選任・解任、取締役の忠実義務と競業・利益相反取引を収録しています。機関ごとの権限の切り分けと、取締役に課される義務が中心で、2級の会社法へつながる土台になります。

この章で確認する論点

6章では、株主総会の権限・株主有限責任と株式譲渡自由の原則・役員の選任と取締役の資格・取締役会の権限・代表取締役の権限を中心に22問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

会社法を他資格と横断して確認する場合は、会社法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 倒産したら株主も会社の借金を背負う、という思い込みを外せるか。株主の負担は出資額どまりで、アはそのとおり。
  • 株主総会は最高機関だから何でも決められる、と一律に考えるとアでつまずく。取締役会があると決議事項は絞られる。
  • 経営の人事は取締役会、と早合点するとアを取り違える。役員を選ぶのは株主総会のほう。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

会社法25条26条104条105条109条127条136条139条295条296条309条329条330条331条332条335条336条339条349条355条356条362条381条454条461条576条580条

問題と解説を読む22問・答え付き

答え・解説つきで22問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2025年12月〜2026年6月時点の法令に準拠
1株主有限責任と株式譲渡自由の原則

株式会社の株主に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。
  • 株主は、その有する株式を譲渡することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
104条どおり株主有限責任 → 正しい

会社法第104条株主の責任は、その有する株式の引受価額を限度とする。e-Gov原文

正しい
127条どおり株式譲渡自由 → 正しい

会社法第127条株主は、その有する株式を譲渡することができる。e-Gov原文

ひっかけ倒産したら株主も会社の借金を背負う、という思い込みを外せるか。株主の負担は出資額どまりで、アはそのとおり。

解説株主が会社の債務についてどこまで負担するかは、出資した株式の引受価額が限度であり、それを超えて個人で責任を負うことはない(会社法104条・株主有限責任)。だから会社が倒産しても株主は出資分を失うだけで、アは条文どおり正しい。手にした株式を手放す自由も保障されており、株主はその有する株式を譲渡することができる(127条)。出資した資金を回収する道(投下資本の回収)を確保する趣旨で、イも正しい。両方正しく、答えは『アー正、イー正』。

補足127条の譲渡自由には例外があり、定款で会社の承認を要する譲渡制限株式とすることもできる(原則は自由、制限は定款で個別に設定)。

2株主総会の権限

取締役会設置会社における株主総会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取締役会設置会社においては、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
  • 会社法上、株主総会の決議を必要とする事項について、取締役会が決定できる旨を定款で定めれば、その定款の定めは有効である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
取締役会設置会社では業務執行の意思決定を取締役会に集約するため、株主総会の決議事項は会社法事項と定款事項に限定される。

会社法第295条第2項取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。e-Gov原文

誤り
株主総会決議を法律が要求する事項は、定款で取締役会などへ移せない。295条3項は、株主総会以外の機関が決められるとする定款を無効にしている。

会社法第295条第3項株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。e-Gov原文

ひっかけ株主総会は最高機関だから何でも決められる、と一律に考えるとアでつまずく。取締役会があると決議事項は絞られる。

解説株主総会が何を決められるかは機関設計で変わる。取締役会設置会社では機動的な経営を取締役会に委ねるため、株主総会が決議できるのは会社法に規定する事項と定款で定めた事項に限られる(会社法295条2項)。アはこの限定どおりで正しい。一方、本来株主総会が決めるべき事項を取締役会など別の機関が決定できるとする定款の定めは、効力を有しない(同条3項)。株主の根幹の権限まで取り上げることは許されないからで、その定款を有効とするイは誤り。アが正、イが誤りだから『アー正、イー誤』。

補足取締役会を置かない会社なら株主総会は一切の事項を決議できる万能機関で(295条1項)、権限が限定されるのは取締役会設置会社の場合に限られる。

3役員の選任と取締役の資格

株式会社の役員に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取締役その他の役員は、取締役会の決議によって選任する。
  • 法人は、取締役となることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
取締役や監査役などの役員は、会社の経営・監督を担う重要な地位なので、取締役会が自分たちで選ぶのではなく、出資者である株主が株主総会で選任する。329条1項は、役員選任の機関を株主総会と定めている。

会社法第329条第1項株主総会の決議によって選任する。e-Gov原文

正しい
取締役は会社の業務執行や意思決定に関与し、善管注意義務・忠実義務などを負う地位である。会社法331条1項は欠格事由を定め、その一つとして法人を除外しているため、取締役になれるのは自然人に限られる。

会社法第331条第1項次に掲げる者は、取締役となることができない。e-Gov原文

ひっかけ経営の人事は取締役会、と早合点するとアを取り違える。役員を選ぶのは株主総会のほう。

解説取締役・会計参与・監査役をまとめて役員といい、これらを選ぶのは株主総会の決議である(会社法329条1項)。会社の所有者である株主が経営を委ねる相手を選ぶ構造で、選任機関を取締役会とするアは誤り。取締役の資格についても制限があり、法人は取締役となることができない(331条1項1号)。取締役は会社の業務執行に関する判断を自ら下す立場で、自然人であることが求められるためで、法人はなれないとするイは正しい。アが誤りでイが正しく、答えは『アー誤、イー正』。

補足代表取締役の選定は取締役会(または取締役の互選等)が行うが、その前提となる取締役そのものは株主総会が選ぶ、という順序の違いに注意。

4取締役会の権限

取締役会設置会社の取締役会に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取締役会は、重要な財産の処分及び譲受けの決定を、各取締役に委任することができる。
  • 取締役会は、すべての取締役で組織し、代表取締役の選定及び解職を行う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
重要な財産の処分・譲受けは会社の資産や経営に大きく影響する重要な業務執行である。取締役会設置会社では、このような事項を個々の取締役に丸投げできず、取締役会自身が決定して監督機能を果たす必要がある。

会社法第362条第4項重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。e-Gov原文

会社法第362条第4項第1号重要な財産の処分及び譲受けe-Gov原文

正しい
取締役会は、すべての取締役で構成される合議体として業務執行の決定と監督を担う。その中核的な権限の一つが、会社を代表して業務を執行する代表取締役の選定・解職である。

会社法第362条第1項取締役会は、すべての取締役で組織する。e-Gov原文

会社法第362条第2項第3号代表取締役の選定及び解職e-Gov原文

ひっかけ効率重視で重要な決定も社長に丸投げできる、と考えるとアで外す。重要な業務執行は取締役会の手元に残る。

解説取締役会設置会社では、取締役会はすべての取締役で組織され(会社法362条1項)、業務執行の決定・取締役の職務執行の監督・代表取締役の選定および解職を行う(同条2項)。組織と権限をこのとおり述べるイは正しい。日常の業務執行は代表取締役らに任せられるが、会社への影響が大きい重要な業務執行の決定は取締役会自身が行わねばならず、各取締役には委任できない(同条4項)。その筆頭が1号の重要な財産の処分および譲受けで、これを各取締役に委任できるとするアは誤り。アが誤りでイが正しいから『アー誤、イー正』。

補足委任できない重要事項は1号の重要財産の処分・譲受けに限らず、多額の借財や支配人など重要な使用人の選任・解任、支店等の重要な組織の設置・変更・廃止も4項各号に並ぶ。

5代表取締役の権限

代表取締役の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 代表取締役の代表権に加えた制限は、善意の第三者に対しても対抗することができる。
  • 代表取締役は、株式会社の業務に関する裁判外の行為についてのみ権限を有し、裁判上の行為をする権限はない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
349条5項で善意の第三者には対抗できない

会社法第349条第5項前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。e-Gov原文

誤り
349条4項は裁判上・裁判外の一切の行為の権限を認める

会社法第349条第4項株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。e-Gov原文

ひっかけ社内で代表権に枠をはめれば取引相手にも主張できる、というのがアの落とし穴。事情を知らない相手には通らない。

解説代表取締役は、会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を持つ(会社法349条4項・包括的代表権)。契約締結などの取引行為だけでなく訴訟行為も含む広い権限で、裁判上の行為の権限はないとするイは誤り。会社が内部規程や取締役会決議でこの代表権に制限(たとえば一定額以上の取引は事前承認を要する等)を加えても、その制限は善意の第三者に対抗することができない(同条5項)。取引相手は会社内部の事情を知り得ないのが通常で、取引の安全を守る必要があるからで、善意の第三者にも対抗できるとするアも誤り。両方誤りで『アー誤、イー誤』。

補足5項で守られるのは善意の第三者であり、制限を知っていた相手(悪意)に対しては内部制限を主張できる。

6株式会社の設立方法

株式会社の設立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株式会社は、発起設立又は募集設立のいずれかの方法により設立することができる。
  • 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
25条1項が2つの設立方法を定める → 正しい

会社法第25条第1項株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。e-Gov原文

正しい
25条2項どおり発起人は最低1株引受 → 正しい

会社法第25条第2項各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。e-Gov原文

ひっかけ発起設立と募集設立、どちらでも発起人が最低1株引き受ける点は共通。そこを境界に置いて読む問題。

解説株式会社の作り方は2通りある(会社法25条1項)。発起人が設立時発行株式の全部を引き受けるのが発起設立、発起人が一部を引き受けたうえ残りを引き受ける株主を募集するのが募集設立で、この2方法のいずれかとするアは正しい。どちらの方法でも、各発起人は設立に際して設立時発行株式を1株以上引き受けなければならない(同条2項)。発起人は会社設立の企画者であり、自らも出資者になることが求められるからで、1株以上の引受義務を述べるイも正しい。両方正しく、答えは『アー正、イー正』。

補足募集設立では設立時株主を集めて創立総会を開く手続が加わるぶん手間が増え、中小の会社設立では手続の簡素な発起設立が多く使われる。

7株主の権利

株主の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株主は、その有する株式につき、剰余金の配当を受ける権利及び株主総会における議決権を有する。
  • 株主に剰余金の配当を受ける権利及び残余財産の分配を受ける権利の全部を与えない旨を定款で定めた場合、その定めは有効である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
105条1項どおり株主の基本的権利 → 正しい

会社法第105条第1項剰余金の配当を受ける権利e-Gov原文

会社法第105条第1項株主総会における議決権e-Gov原文

誤り
105条2項でその定款の定めは無効 → 有効ではない

会社法第105条第2項株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。e-Gov原文

ひっかけイが落とし穴。配当と残余財産の両方を全部奪う定款は、定めても効力がない。

解説株主は出資の見返りとして、剰余金の配当を受ける権利及び株主総会における議決権を持つ(会社法105条1項)。前者は経済的利益を得る自益権、後者は経営に参加する共益権で、アはこの基本的権利の内容をそのまま述べており正しい。ところがイは、剰余金配当を受ける権利と残余財産の分配を受ける権利の全部を株主に与えない旨の定款の定めも有効だとする。この点、両方の権利の全部を与えない定款の定めは、その効力を有しない(同条2項)。出資者である意味を失わせるからである。よってイは誤り。種類株式で配当か残余財産の一方を制限することはできるが、経済的権利を丸ごと奪う設計だけは認められない。

補足無効になるのは配当・残余財産分配の『全部』を奪う定款。一方だけを与えない種類株式(無配当株など)は適法に設計できる。

8取締役の忠実義務と競業・利益相反取引

取締役の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引(競業取引)をしようとするときは、その取引につき重要な事実を開示して承認を受けなければならない。
  • 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
356条1項1号どおり競業避止 → 正しい

会社法第356条第1項当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。e-Gov原文

会社法第356条第1項第1号株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときe-Gov原文

正しい
355条の忠実義務どおり → 正しい

会社法第355条取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。e-Gov原文

ひっかけアもイも条文の素直な言い換え。どこにも引っかけはなく、ともに正しい。

解説取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない(会社法355条の忠実義務)。イはこの条文どおりで正しい。この義務の具体化として、会社の利益を犠牲に自己や第三者の利益を図る危険のある取引が規制される。取締役が自己又は第三者のために会社の事業の部類に属する取引(競業取引)をしようとするときは、その取引につき重要な事実を開示し、承認を受けなければならない(356条1項1号)。アはこの競業取引の規制どおりで正しい。よって『アー正、イー正』。承認を与える機関は株主総会だが、取締役会設置会社では取締役会に読み替えられる(365条1項)。

補足承認機関は会社の機関設計で変わる。356条は株主総会の承認とするが、取締役会設置会社では取締役会の承認に読み替えられる(365条1項)。

9取締役の解任

取締役の解任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取締役を解任するには正当な理由が必要であり、正当な理由がなければ、株主総会の決議によっても取締役を解任することはできない。
  • 正当な理由がないのに解任された取締役は、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
会社法339条1項は、役員をいつでも株主総会の決議で解任できるとする。正当な理由は解任そのものの要件ではなく、理由なく解任した場合の損害賠償問題として後から処理される。

会社法第339条第1項いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。e-Gov原文

正しい
任期途中の解任を自由に認める一方、正当な理由なく解任された役員の期待利益を放置しないため、会社法339条2項は損害賠償請求を認める。解任の有効性と損害賠償の有無を分けるのがポイント。

会社法第339条第2項正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。e-Gov原文

ひっかけ解任に正当理由は要らない。正当理由が問題になるのは、解任の可否ではなく損害賠償の場面です。

解説役員は、いつでも株主総会の決議によって解任することができる(会社法339条1項)。会社の所有者である株主が、信頼できない経営者を理由を問わず外せるようにする趣旨で、解任に正当な理由は要らない。アはこの『いつでも』に反し、正当理由がなければ解任できないとする点で誤り。もっとも、解任が自由だからといって役員が無防備というわけではなく、任期途中で正当な理由なく解任された役員は、会社に対し、解任によって生じた損害(残りの任期分の報酬相当額など)の賠償を請求できる(同条2項)。地位を奪う自由は認めつつ、不意に職を失う役員の不利益は金銭で調整する。イは339条2項どおりで正しい。よって『アー誤、イー正』。解任そのものの可否(339条1項)と、不当解任の後始末(339条2項)は別の話として整理される。

補足同じ解任でも監査役の解任は株主総会の特別決議が必要で(会社法343条4項・309条2項7号)、普通決議で足りる取締役とは違う。監査役の地位を強くして独立性を保つ趣旨。

10監査役の権限と取締役の任期

監査役及び取締役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 監査役は、会社の会計の監査を行うのみで、取締役の職務の執行を監査する権限はない。
  • 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
381条1項で取締役の職務執行を監査する → 権限はある

会社法第381条第1項監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。e-Gov原文

誤り
332条1項は原則2年 → 10年は誤り(非公開会社で定款により最長10年に伸長可)

会社法第332条第1項取締役の任期は、選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。e-Gov原文

ひっかけ監査役の監査は会計だけでなく業務にも及びます。取締役の任期の原則は2年で、10年は非公開会社の上限です。

解説監査役の監査は、会計の数字を見る会計監査だけにとどまらない。監査役は、取締役(会計参与設置会社では取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する機関であり(会社法381条1項)、取締役が法令・定款を守って職務を行っているかを見る業務監査にも及ぶ。アは監査役を会計監査専門と狭く捉える点で誤り。次に取締役の任期は、原則として選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までである(332条1項)。イはこれを10年とするが、10年は非公開会社が定款で伸長できる上限(同条2項)であって原則ではないため誤り。アもイも条文の原則を外しており、『アー誤、イー誤』。任期の数字は、原則2年・非公開会社の上限10年という対応で正誤が決まる。

補足同じ会社の役員でも監査役の任期は原則4年で、取締役と違って定款・決議による短縮ができない(会社法336条1項)。独立性を守るための身分保障。

11株式の譲渡制限と譲渡承認の手続

譲渡制限株式の譲渡承認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、その他人が当該株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
  • 株式会社が譲渡等の承認をするか否かの決定をするには、必ず株主総会の決議によらなければならず、取締役会設置会社であっても取締役会の決議によることはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
136条どおり譲渡承認請求権がある → 正しい

会社法第136条承認をするか否かの決定をすることを請求することができるe-Gov原文

誤り
139条1項は取締役会設置会社では取締役会と定める → 「取締役会では不可」は誤り

会社法第139条第1項株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならないe-Gov原文

ひっかけアは条文どおり。イは「必ず株主総会」と言い切る点に引っかけがある。

解説譲渡制限株式とは、譲渡による取得について会社の承認を要する旨を定めた株式である(会社法2条17号)。その株主は、株式を他人に譲り渡そうとするとき、会社に対し承認をするか否かの決定を請求できる(136条)。アはこの請求権どおりで正しい。承認をするか否かの決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議による(139条1項)。したがって承認機関は機関設計で変わり、取締役会設置会社では取締役会が決定する。「常に株主総会で、取締役会では不可」とするイは誤り。よって『アー正、イー誤』。

補足139条1項ただし書により、定款で別段の定めを置けば承認機関を代表取締役等に変えることもできる。

12株主総会の決議要件(普通決議と特別決議)

株主総会の決議の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株主総会の普通決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
  • 定款変更など会社法が定める一定の重要事項についての特別決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
309条1項の普通決議の要件どおり → 正しい

会社法第309条第1項出席した当該株主の議決権の過半数をもって行うe-Gov原文

正しい
309条2項の特別決議の要件どおり → 正しい

会社法第309条第2項出席した当該株主の議決権の三分の二e-Gov原文

ひっかけアもイも条文どおりで、ともに正しい。数字を入れ替える引っかけに注意。

解説株主総会の普通決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う(会社法309条1項)。アはこの普通決議の要件どおりで正しい。一方、定款変更や合併など会社法が列挙する重要事項は特別決議により、出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数を要する(同条2項)。イはこの特別決議の要件どおりで正しい。よって『アー正、イー正』。可決に必要な賛成割合が普通決議と特別決議で異なる点を押さえる。

補足特別決議の定足数(過半数)は定款で3分の1以上まで引き下げられ、可決要件の3分の2は定款で引き上げられる(309条2項)。

13剰余金の配当の決定と分配可能額の制限

剰余金の配当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株式会社は、株主総会の決議を経ることなく、取締役の決定のみで随時、剰余金の配当をすることができる。
  • 剰余金の配当により株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、その効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
454条1項は株主総会決議を要求 → 「取締役の決定のみ」は誤り

会社法第454条第1項その都度、株主総会の決議によってe-Gov原文

正しい
461条1項の財源規制どおり → 正しい

会社法第461条第1項分配可能額を超えてはならないe-Gov原文

ひっかけアは決定機関を取締役だけにしている点が引っかけ。イは財源規制の条文どおり。

解説株式会社が剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、配当財産の種類・帳簿価額の総額などの事項を定めなければならない(会社法454条1項)。したがって取締役の決定のみで随時配当できるとするアは誤り。一方、配当等により株主に対して交付する金銭等の帳簿価額の総額は、その効力を生ずる日における分配可能額を超えてはならない(461条1項)。これは会社財産を確保し債権者を保護する財源規制であり、イはこの規制どおりで正しい。よって『アー誤、イー正』。

補足取締役会設置会社は定款で定めれば年1回の中間配当を取締役会決議でできる(454条5項)。また会計監査人設置会社等は要件を満たせば配当決定を取締役会に委ねられる(459条)。

14監査役の兼任禁止と任期

監査役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 監査役は、その会社の取締役を兼ねることはできないが、その会社の子会社の取締役や支配人その他の使用人を兼ねることは認められている。
  • 監査役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
監査役は取締役の職務執行を監査する立場なので、監査される側の業務執行や使用人の立場を兼ねると独立性が損なわれる。会社法335条2項は、その会社だけでなく子会社の取締役・使用人等との兼任も禁止している。

会社法第335条第2項監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人e-Gov原文

会社法第335条第2項兼ねることができないe-Gov原文

誤り
監査役には取締役から独立して継続的に監査する役割があるため、任期は取締役より長い原則4年とされる。選択肢の2年は取締役の任期と混同させる典型的なひっかけ。

会社法第336条第1項選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとするe-Gov原文

ひっかけアは「子会社ならよい」、イは「2年」と、いずれも数字・範囲をずらした引っかけ。

解説監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人、又は子会社の会計参与・執行役を兼ねることができない(会社法335条2項)。監査の独立性を確保する趣旨であり、子会社の取締役・使用人の兼任も禁止される。よって「子会社なら兼任可」とするアは誤り。また監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までが原則である(336条1項)。取締役の原則2年より長く設定され、監査役の地位の安定を図っている。任期を2年とするイは誤り。よって『アー誤、イー誤』。

補足公開会社でない株式会社は、定款で監査役の任期を選任後10年以内まで伸長できる(336条2項)。任期を短縮することは原則できない。

15会社の種類と持分会社の社員の責任

持分会社の社員の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 合同会社の社員は、その全部が有限責任社員であり、有限責任社員は、その出資の価額を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
  • 合名会社を設立する場合には、その定款に、社員の全部を無限責任社員とする旨を記載し、又は記録しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
576条4項(全部有限責任)+580条2項(出資額限度)どおり → 正しい

会社法第576条第4項その社員の全部を有限責任社員とする旨e-Gov原文

会社法第580条第2項有限責任社員は、その出資の価額e-Gov原文

正しい
576条2項どおり合名会社は全員無限責任 → 正しい

会社法第576条第2項その社員の全部を無限責任社員とする旨を記載しe-Gov原文

ひっかけアもイも会社の種類ごとの社員の責任を正しく述べており、ともに正しい。

解説持分会社(合名会社・合資会社・合同会社の総称)の社員の責任は種類ごとに異なる。合同会社は、定款で社員の全部を有限責任社員とする旨を定めなければならず(会社法576条4項)、有限責任社員は出資の価額を限度として会社の債務を弁済する責任を負う(580条2項)。アはこのとおりで正しい。合名会社は、定款で社員の全部を無限責任社員とする旨を記載・記録しなければならない(576条2項)。イはこのとおりで正しい。よって『アー正、イー正』。なお合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される(576条3項)。

補足合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される(576条3項)。3種類のうち中間にあたる。

16株式会社の定款作成

株式会社の定款作成に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員が署名又は記名押印しなければならない。
  • 株式会社は、定款を作成しなくても設立できる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

会社法第26条第1項株式会社を設立するには、発起人が定款を作成しe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

会社法第26条第1項株式会社を設立するには、発起人が定款を作成しe-Gov原文

ひっかけ会社は定款なしでも作れる、と考えるとイを正しいと誤る。株式会社の設立には発起人による定款の作成が必要。

解説株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない(会社法26条1項)。定款は会社の組織や運営の根本ルールを定める基本文書で、設立の出発点になる。アはこのとおりで正しい。イは定款を作成しなくても設立できるとするが、26条1項に反し誤り。まず定款を作ることが設立手続の第一歩である。

補足発起人が作成した定款(原始定款)は、原則として公証人の認証を受けなければ効力を生じない(30条1項)。定款には、目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額など、必ず記載すべき絶対的記載事項がある(27条)。

17株主平等原則

株主平等原則に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株式会社は、株主をその有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱わなければならない。
  • 株式会社は、同じ内容・数の株式を持つ株主を理由なく不平等に扱ってよい。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

会社法第109条第1項株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならないe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

会社法第109条第1項株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならないe-Gov原文

ひっかけ会社は株主を自由に差別してよい、と考えるとイを正しいと誤る。株式の内容・数に応じた平等取扱いが求められる。

解説株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない(会社法109条1項)。これを株主平等原則という。持株数が多ければそれに比例した扱いを受けるという意味での平等で、頭数の平等ではない。アはこのとおりで正しい。イは同じ内容・数の株式を持つ株主を理由なく不平等に扱ってよいとするが、株主平等原則に反し誤り。多数派株主が少数派株主を不当に扱うことを防ぐ基本原則である。

補足ただし非公開会社(全株式に譲渡制限のある会社)では、剰余金の配当や議決権などについて、株主ごとに異なる取扱いをする旨を定款で定めることができる(属人的定め。109条2項)。

18株式譲渡自由の原則

株式譲渡自由の原則に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株主は、原則としてその有する株式を譲渡することができる。
  • 株主は、法律上いかなる場合も株式を譲渡することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

会社法第127条株主は、その有する株式を譲渡することができるe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

会社法第127条株主は、その有する株式を譲渡することができるe-Gov原文

ひっかけ株式は一切譲渡できない、と考えるとイを正しいと誤る。株主は原則としてその株式を自由に譲渡できる。

解説株主は、原則としてその有する株式を譲渡することができる(会社法127条)。これを株式譲渡自由の原則という。株主は会社に出資の払戻しを直接求めることが原則できないため、投下した資本を回収する手段として株式の譲渡が保障されている。アはこのとおりで正しい。イは法律上いかなる場合も譲渡できないとするが、127条の原則に反し誤り。もっとも定款で譲渡に会社の承認を要する旨を定めること(譲渡制限株式)はでき、原則自由・例外制限という関係になる。

補足もっとも、株式会社は、その発行する株式の全部または一部について、譲渡に会社の承認を要する旨を定款で定めることができる(譲渡制限株式。107条・108条)。中小企業では、好ましくない者が株主になるのを防ぐため、この制限が広く使われている。

19株主総会の招集

株主総会の招集に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない。
  • 定時株主総会は、設立後一度も招集しなくてよい。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

会社法第296条第1項定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

会社法第296条第1項定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないe-Gov原文

ひっかけ株主総会は開かなくてよい、と考えるとイを正しいと誤る。定時株主総会は毎事業年度後に招集しなければならない。

解説定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない(会社法296条1項)。決算の承認など、株主が定期的に会社の状況を確認し重要事項を決める場であるため、毎年の開催が義務づけられている。アはこのとおりで正しい。イは設立後一度も招集しなくてよいとするが、296条1項に反し誤り。必要に応じて開かれる臨時株主総会と異なり、定時株主総会は毎事業年度ごとに必ず招集される点を押さえる。

補足定時株主総会のほかに、必要がある場合にはいつでも招集できる臨時株主総会がある(296条2項)。株主総会の招集は、原則として取締役が決定して行う(298条・296条3項)。

20取締役と会社の関係

取締役と会社の関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株式会社と取締役など役員との関係は、委任に関する規定に従う。
  • 株式会社と取締役の関係は、常に売買契約に関する規定に従う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文どおり

会社法第330条株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従うe-Gov原文

誤り
要件・効果のすり替え

会社法第330条株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従うe-Gov原文

ひっかけ会社と取締役は売買のような関係、と取り違えるとイを正しいと誤る。両者は委任の規定に従う関係である。

解説株式会社と取締役をはじめとする役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う(会社法330条)。委任とは、当事者の信頼に基づき一定の事務処理を任せる関係で、これに従う結果、取締役は会社に対して善良な管理者の注意をもって職務を行う義務(善管注意義務)を負う。アはこのとおりで正しい。イは常に売買契約に関する規定に従うとするが、330条に反し誤り。取締役の地位が信頼を基礎とする委任である点が、その義務や責任の出発点になる。

補足委任の規定に従う結果、取締役は会社に対して善良な管理者の注意義務(善管注意義務。民法644条)を負う。会社法はさらに、取締役が法令・定款や株主総会の決議を守り会社のため忠実に職務を行う忠実義務を課している(会社法355条)。

21取締役の義務(善管注意義務・忠実義務)

株式会社の取締役の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 株式会社と取締役との関係は委任に関する規定に従い、取締役は会社に対して善良な管理者の注意をもって職務を行う義務(善管注意義務)を負う。
  • 取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
会社法330条+民法644条

会社法第330条・民法第644条株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。e-Gov原文

正しい
会社法355条:忠実義務

会社法第355条取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。e-Gov原文

ひっかけ取締役は『委任を受けたプロ』として善管注意義務と忠実義務を負う。

解説株式会社と取締役の関係は委任であり(会社法330条)、受任者である取締役は善良な管理者の注意をもって職務を行う義務を負う(民法644条)。だからアは正しい。さらに会社法355条は、取締役が法令・定款・株主総会決議を守り、会社のため忠実に職務を行う忠実義務を定める。だからイも正しい。両者は別条文だが、判例は忠実義務を善管注意義務の具体化と理解している。結論はアー正、イー正。

補足取締役が任務を怠って会社に損害を与えたときは、会社に対して損害賠償責任を負う(任務懈怠責任)。

22株主総会の権限

株式会社の株主総会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 取締役会設置会社の株主総会は、会社の組織・運営・管理その他会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
  • 取締役会を設置していない株式会社の株主総会は、会社の組織・運営・管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
295条2項:権限が限定される

会社法第295条第2項取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。e-Gov原文

正しい
295条1項:万能機関

会社法第295条第1項株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。e-Gov原文

ひっかけ取締役会を置くと、株主総会の権限はぐっと絞られる。

解説取締役会を設置していない株式会社では、株主総会が会社に関する一切の事項を決議できる万能機関である(会社法295条1項)。だからイは正しい。一方、取締役会設置会社では、機動的な経営を可能にするため、株主総会は会社法が定める事項と定款で定めた事項に限って決議できる(同条2項)。だから『一切の事項を決議できる』とするアは誤り。結論はアー誤、イー正。

補足取締役会設置会社では、業務執行の決定の多くは取締役会に委ねられ、株主総会は基礎的・重要事項に集中する。

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