問1製造物責任法(製造物の定義)
製造物責任法(PL法)の対象に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.製造物責任法における「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
- イ.欠陥のある建物(不動産)そのものも、製造物責任法上の「製造物」として、同法が直接適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
PL法が守るのは『製造・加工された動産』の欠陥被害です。
製造物責任法(PL法)は、製造物の欠陥によって消費者などが生命・身体・財産に被害を受けた場合に、製造業者等に損害賠償責任を負わせる法律である。その出発点が「製造物」の定義で、製造又は加工された動産をいう(2条1項)。つまり工業製品・加工食品・家電などの動産が対象で、製造も加工もされていない未加工の農水産物や、土地・建物といった不動産そのものは含まれない。本問のアは定義どおりで正しい。イは『建物(不動産)にもPL法が直接適用される』とするが、建物そのものは不動産で対象外なので誤り(建物に組み込まれた動産部品の欠陥が問題になることはある)。PL法が出てきたら、まず『それは製造・加工された動産か?』を確認するのが第一歩になる。
問2製造物責任(無過失責任・拡大損害)
製造物責任法に基づく製造業者等の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.製造業者等は、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.製造物の欠陥による損害が、その欠陥のある製造物自体についてのみ生じた場合(拡大損害が生じていない場合)には、製造物責任は生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 3条本文どおり欠陥を要件とする無過失責任 → 正しい(根拠:製造物責任法第3条)
PL法は『過失』ではなく『欠陥』を要件とする無過失責任です。
製造物責任法3条は、製造業者等が、引き渡した製造物の欠陥により他人の生命・身体・財産を侵害したとき、生じた損害を賠償する責任を負うと定める。ポイントは2つ。第一に、要件は製造業者の『過失』ではなく製造物の『欠陥』であること。被害者は製造業者の落ち度を立証しなくても、欠陥と損害・因果関係を示せばよく、これを無過失責任という。第二に、責任の対象は欠陥によって生じた『拡大損害』であること。損害がその欠陥製造物自体についてのみ生じたとき(買った製品が壊れただけ)は、同条ただし書によりPL責任は生じず、売買契約上の契約不適合責任などで処理される。本問はアもイも条文どおりで正しい。『欠陥=無過失責任』『製品自体の損害だけならPL対象外』の2点が第4章の最頻出ポイントである。
問3製造物責任法(免責事由)
製造物責任法の免責事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.製造業者等は、製造物の欠陥について自己に過失がなかったことを証明しさえすれば、当然に製造物責任を免れる。
- イ.製造業者等は、製造物を引き渡した時の科学又は技術に関する知見によっては、その欠陥があることを認識することができなかったことを証明したときは、賠償責任を免れる(開発危険の抗弁)。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 免責は4条各号の証明に限られる → 無過失証明では免れない(根拠:製造物責任法第4条)
PL法の免責は『過失がなかった』ではなく、限定された4条の事由だけです。
製造物責任は無過失責任なので、製造業者が『注意を尽くした・過失はなかった』と証明しても、それだけでは責任を免れない。免責が認められるのは、製造物責任法4条が定める限定的な事由を製造業者が証明したときに限られる。その代表が開発危険の抗弁(4条1号)で、製造物を引き渡した時点の科学・技術の知見をもってしても欠陥を認識できなかったことを証明すれば免責される。引渡し時点で世界中の誰にも予見不可能だった危険まで賠償させるのは酷だ、という趣旨である。本問のアは『無過失の証明で当然免責』とするが、無過失責任の仕組み上それでは免責されないので誤り。イは開発危険の抗弁(4条1号)どおりで正しい。『無過失でも責任は残る/免責は4条の限定事由だけ』を押さえる。
問4消費者契約法(不実告知による取消し)
消費者契約法に基づく取消しに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.事業者が勧誘に際して重要事項について事実と異なることを告げ(不実告知)、消費者がそれを事実と誤認して契約した場合でも、消費者は契約を取り消すことはできず、損害賠償を請求できるにとどまる。
- イ.消費者契約法の規定による消費者契約の意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
消費者契約法は、不実告知で誤認した契約を『取り消せる』のが核心です。
消費者契約法は、事業者と消費者の情報・交渉力の差を踏まえ、消費者を保護する特別法である。中心となるのが意思表示の取消しで、事業者が勧誘の際に重要事項について事実と異なることを告げ(不実告知)、消費者がそれを事実と誤認して契約した場合などには、消費者はその申込み・承諾の意思表示を取り消すことができる(4条1項1号)。ほかに断定的判断の提供や不利益事実の不告知、退去妨害などの困惑類型でも取消しが認められる。ただし無制限ではなく、この取消しは善意でかつ過失がない第三者には対抗することができない(4条6項)。取消し前に登場した、事情を知らない第三者の取引の安全を守るためである。本問のアは『取消しできず賠償のみ』とする点で4条1項に反し誤り。イは4条6項どおりで正しい。消費者契約法は『誤認・困惑→取消し』が骨格、と覚えるのがよい。
問5消費者契約法(不当条項の無効)
消費者契約法による契約条項の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する消費者契約の条項であっても、消費者がその条項に合意していれば有効である。
- イ.民法等の任意規定に比べて消費者の利益を一方的に害する条項について、消費者契約法には、これを無効とする規定は設けられていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
消費者に著しく不利な条項は、合意があっても無効になります。
消費者契約法は、消費者にとって不当な契約条項の効力を制限する。代表例が、事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項で、これは消費者がいったん合意していても無効とされる(8条1項1号。一部免除でも故意・重過失によるものは無効)。さらに、個別の禁止条項に当たらなくても、民法などの任意規定の適用による場合に比べて消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項で、信義則(民法1条2項)に反して消費者の利益を一方的に害するものは無効とする一般的な受け皿規定が置かれている(10条)。本問のアは『合意があれば全部免除条項も有効』とするが8条1項に反し誤り。イは『一方的に害する条項を無効とする規定はない』とするが10条が存在するため誤り。よって両方誤りで『アー誤、イー誤』。『契約自由にも消費者保護の歯止めがある』という第4章の発想を押さえる。
問6特定商取引法(訪問販売のクーリング・オフ)
訪問販売におけるクーリング・オフに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訪問販売で契約の申込みをした者は、法定の書面を受領した日から起算して8日を経過するまでは、書面又は電磁的記録により、その申込みの撤回又は契約の解除(クーリング・オフ)をすることができる。
- イ.クーリング・オフによる申込みの撤回等があった場合、販売業者は、その撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を購入者に請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
クーリング・オフは『無条件で解除でき、違約金も取られない』のが核心です。
特定商取引法は、訪問販売や電話勧誘販売など、不意打ち的でトラブルが起きやすい取引類型を規制する特別法である。中でも重要なのがクーリング・オフで、訪問販売では、消費者が法定の書面を受領した日から起算して8日を経過するまでは、書面又は電磁的記録により、申込みの撤回や契約の解除を無条件で行うことができる(9条1項。なお法定書面が交付されないと起算日が進まない)。しかも、撤回等があっても販売業者は、それに伴う損害賠償や違約金の支払を消費者に請求することができない(9条3項)。冷静に考え直す時間を消費者に保障する制度だからである。本問のアは8日間のクーリング・オフどおりで正しい。イは『撤回に伴う違約金を請求できる』とするが9条3項に反し誤り。『書面受領から8日・無条件・違約金なし』をセットで押さえる。
問7製造物責任法(消滅時効)
製造物責任に基づく損害賠償請求権の期間制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.製造物責任に基づく損害賠償請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.製造物責任に基づく損害賠償請求権は、製造業者等が製造物を引き渡した時から20年を経過したときに時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
PL法の期間は『知った時から3年』『引渡しから10年』です。
製造物責任に基づく損害賠償請求権にも期間制限がある。被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から3年間行使しないとき(製造物責任法5条1項1号。人の生命又は身体を侵害した場合はこの期間が5年に延びる)、又は製造業者等がその製造物を引き渡した時から10年を経過したとき(同項2号)に、時効によって消滅する。後者の起算点は被害発生ではなく『引渡し』である点が特徴で、長期間が経った製品の欠陥を無限に追及できないようにしている。本問のアは『知った時から3年』で正しく、イは引渡しからの期間を20年とするが正しくは10年なので誤り。『PL法は知った時から3年・引渡しから10年』を、民法の不法行為(知った時から3年・行為時から20年)と区別して押さえる。
問8消費者契約法(消費者・事業者の定義)
消費者契約法上の用語の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費者契約法における「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
- イ.法人は、消費者契約法における「事業者」に含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
消費者契約法は『消費者(個人)と事業者の間の契約』に適用されます。
消費者契約法は『消費者契約』、すなわち消費者と事業者の間で結ばれる契約に適用される。ここで「消費者」とは個人をいうが、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合は除かれる(消費者契約法2条1項)。つまり一般の個人が私生活のためにする契約は保護対象だが、個人事業主が事業の仕入れのためにする契約などは消費者契約ではない。「事業者」とは、法人その他の団体、及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう(同条2項)。法人は当然に事業者である。本問はアもイも定義どおりで正しい。『消費者=事業目的でない個人/事業者=法人や事業目的の個人』という線引きが、同法の適用範囲を決める出発点になる。
問9消費者契約法(困惑による取消し)
消費者契約法に基づく困惑による取消しに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費者契約法では、事実と異なる説明(不実告知)による誤認の場合にしか取消しは認められず、消費者を困惑させる行為による取消しは認められていない。
- イ.事業者が、消費者がその住居からの退去を求めたにもかかわらず退去せず、これにより消費者が困惑して契約した場合、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
消費者契約法の取消しは『誤認』だけでなく『困惑』でも認められます。
消費者契約法による取消しには、大きく『誤認類型』と『困惑類型』がある。誤認類型は、不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の不告知により消費者が誤認した場合(4条1項・2項)。困惑類型は、事業者の一定の行為により消費者が困惑して契約した場合で(4条3項)、代表例が、消費者が退去を求めたのに事業者が居座る『不退去』(同項1号)と、消費者が帰りたいと言ったのに帰してもらえない『退去妨害』(同項2号)である。これらにより困惑して契約したときは、消費者は意思表示を取り消すことができる。本問のアは困惑類型の取消しを否定するため誤り、イは不退去の困惑類型どおりで正しい。『誤認だけでなく困惑(不退去・退去妨害)でも取り消せる』を押さえる。
問10消費者契約法(損害賠償額の予定条項)
消費者契約における損害賠償額の予定条項に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定する条項は、その額が平均的な損害の額を超える場合であっても、当事者が合意していれば全額が有効である。
- イ.消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項について、消費者契約法には、その額を制限する規定は存在しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
高すぎる違約金(平均的損害を超える部分)は無効になります。
消費者契約では、事業者が高額な違約金を定めて消費者を不当に拘束することを防ぐため、損害賠償額の予定や違約金の条項に上限規制がある。消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項は、それらを合算した額が、解除の事由・時期等に応じて同種の契約で当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える場合、その超える部分が無効となる(消費者契約法9条1号)。また支払を遅滞した場合の遅延損害金についても、年14.6%を超える部分が無効とされる(同条2号)。本問のアは『平均的損害を超えても合意があれば全額有効』とするが超過部分は無効なので誤り、イは『額を制限する規定はない』とするが9条が存在するため誤り。よって両方誤りで『アー誤、イー誤』。『違約金は平均的損害が上限・超過部分は無効』を押さえる。