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特許法・第1

特許法・実用新案法の問題(34問)

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特許は、権利化後の実施・許諾・無効まで見る

特許法・実用新案法を実務レベルで問う章で、2級では2番目の収録量(34問)です。職務発明と相当の利益、先使用権、差止請求、無効審判・訂正審判、技術的範囲、特許権の効力、共有特許の持分と実施・許諾、通常実施権の対抗力、生産方法の推定を収録しています。3級の基礎の上に、権利行使と審判・共有といった応用論点が積み上がります。

第1章は特許法・実用新案法の応用です。職務発明、先使用権、共有、通常実施権、無効審判、訂正審判など、権利を取った後の処理が増えます。

  • 共有特許は自己実施とライセンスの同意要否を分ける。
  • 専用実施権と通常実施権を同じ利用権として扱わない。
  • 無効審判、訂正審判、差止請求を局面ごとに見る。

この章で確認する論点

1章では、共有に係る特許権・登録の効果・過失の推定・判定・職務発明を中心に34問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

特許法を他資格と横断して確認する場合は、知的財産法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 会社の通常実施権は当然に発生し、予約承継の定めも職務発明なら有効。無効になるのは職務発明以外。
  • 権利を会社に渡した従業者は相当の利益を受ける権利を持つ。アはこれを否定しているので誤り。
  • 出願前から独自に実施・準備していた者は、無償で実施を続けられる。範囲はそのときの実施・準備の目的内に限られる。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

特許法30条32条33条35条36条64条67条68条70条71条72条73条79条92条97条98条99条100条103条104条105条123条126条175条

問題と解説を読む34問・答え付き

答え・解説つきで34問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2025年12月時点の法令に準拠
1職務発明

職務発明に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 使用者等は、従業者等がその職務発明について特許を受けたとき等は、その特許権について通常実施権を有する。
  • 従業者がした職務発明について、契約や勤務規則であらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させる定めをしても、その定めは無効である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
法定通常実施権

特許法第35条第1項その特許権について通常実施権を有するe-Gov原文

誤り
予約承継

特許法第35条第3項その特許を受ける権利は、その発生した時から当該使用者等に帰属するe-Gov原文

ひっかけ会社の通常実施権は当然に発生し、予約承継の定めも職務発明なら有効。無効になるのは職務発明以外。

解説従業者がした発明のうち、その性質上使用者の業務範囲に属し、かつ発明に至った行為が従業者の現在・過去の職務に属するものが職務発明である(特許法35条1項)。使用者は、従業者が職務発明について特許を受けたとき等は、その特許権について法定の通常実施権を当然に有する。これがアで、35条1項のとおり正しい。さらに職務発明については、契約・勤務規則等であらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させる定め(予約承継)が認められ、定めがあれば権利は発生時から使用者に原始帰属する(同条3項)。よってイの『定めは無効』は誤り。無効になるのは職務発明以外の発明についての予約承継の定めである(同条2項)。

補足予約承継の定めがあると権利は移転ではなく発生時から使用者に帰属する(原始帰属)。定めがなければ権利はいったん従業者に発生し、承継には個別の合意が要る。

2職務発明と相当の利益

職務発明における従業者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 従業者は、職務発明について使用者に特許を受ける権利を取得させた場合であっても、相当の利益を受ける権利を有しない。
  • 従業者は、契約・勤務規則等により職務発明について使用者等に特許を受ける権利を取得させたとき等は、相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)を受ける権利を有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
相当の利益

特許法第35条第4項相当の金銭その他の経済上の利益e-Gov原文

正しい
相当の利益請求権

特許法第35条第4項相当の金銭その他の経済上の利益e-Gov原文

ひっかけ権利を会社に渡した従業者は相当の利益を受ける権利を持つ。アはこれを否定しているので誤り。

解説職務発明について使用者に特許を受ける権利を取得させ、特許権を承継させ、又は専用実施権を設定したとき等は、従業者は相当の金銭その他の経済上の利益(相当の利益)を受ける権利を有する(特許法35条4項)。したがってアの『相当の利益を受ける権利を有しない』は誤り、同じ内容を肯定するイが正しい。2015年改正で、対価が金銭に限られず留学機会の付与なども含まれることが明確化され、あわせて相当の利益の内容を定める基準の策定手続や、その不合理性の判断基準も法定された(同条5項~7項)。

補足相当の利益は金銭に限らない(35条4項)。社内基準で額を定めても、その基準が不合理と判断されれば裁判所が相当額を決める(同条7項)。

3先使用による通常実施権

先使用による通常実施権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、特許出願の際に現に日本国内でその発明の実施である事業をしている者等は、その特許権について通常実施権(先使用権)を有する。
  • 先使用権は、その者が実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
先使用権

特許法第79条その特許出願に係る特許権について通常実施権を有するe-Gov原文

正しい
範囲

特許法第79条その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内においてe-Gov原文

ひっかけ出願前から独自に実施・準備していた者は、無償で実施を続けられる。範囲はそのときの実施・準備の目的内に限られる。

解説他人の特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、又はその発明をした者から知得して、特許出願の際に現に日本国内でその発明の実施である事業をしている者・その準備をしている者は、その特許権について通常実施権(先使用権)を有する(特許法79条)。アはこの要件どおりで正しい。先使用権が及ぶ範囲は、その者が実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内に限られる。これがイで、やはり正しい。出願前から独自に実施していた者を救う無償の法定通常実施権で、対価を払わずに実施を続けられる代わりに範囲が固定される。

補足先使用権は実施の事業とともにする場合に限り、特許権者の承諾なく移転できる(特許法94条1項)。先使用権だけを切り離して譲ることはできない。

4差止請求権

特許権の侵害に対する差止請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
  • 差止請求をするに際し、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
差止請求

特許法第100条第1項特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができるe-Gov原文

誤り
廃棄・除却請求

特許法第100条第2項侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ差止めには侵害品の廃棄・侵害設備の除却まで含められる。イはこれを否定しているので誤り。

解説特許権者・専用実施権者は、自己の特許権等を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求できる(差止請求権。特許法100条1項)。アはこのとおりで正しい。そして差止請求をするに際しては、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為もあわせて請求できる(同条2項)。よってイの『除却その他の予防に必要な行為を請求できない』は誤り。差止めは侵害者の過失を問わずに認められ、過失を要件とする損害賠償とはこの点で性質が異なる。

補足差止請求権は意匠・商標・著作権・不正競争防止法にもあるが、不正競争防止法では類型ごとに期間制限(消滅時効・除斥期間)が置かれている点で特許とは異なる。

5特許無効審判

特許無効審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許無効審判は、二以上の請求項に係る特許については、特許全体を一体としてのみ請求でき、請求項ごとに請求することはできない。
  • 特許が新規性・進歩性等の規定に違反してされたとき等は、特許無効審判を請求して、その特許を無効にすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
請求項ごと

特許法第123条第1項二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができるe-Gov原文

正しい
無効理由

特許法第123条第1項その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ複数請求項の特許は請求項ごとに無効審判を争える。全体一括でしか請求できないとするアが誤り。

解説特許が、新規性・進歩性・拡大先願・先願等の規定違反、補正要件違反、記載要件違反、冒認出願などの無効理由(特許法123条1項各号)に該当するときは、特許無効審判によりその特許を無効にできる。これを述べるイは正しい。アは『特許全体を一体としてのみ請求でき請求項ごとには請求できない』とするが、二以上の請求項に係る特許は請求項ごとに請求できる(同項後段)ので誤り。無効審判を請求できるのは原則として利害関係人で、冒認・共同出願違反を理由とするときは特許を受ける権利を有する者に限られる。

補足無効審判の請求人は原則として利害関係人に限られる。これに対し、付与後6月以内の特許異議申立ては『何人も』できる点で請求人適格が異なる。

6訂正審判

訂正審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、願書に添付した明細書・特許請求の範囲・図面の訂正について訂正審判を請求できるが、その訂正は特許請求の範囲の減縮等を目的とするものに限られる。
  • 訂正審判は、特許無効審判が特許庁に係属している間であっても、いつでも請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
目的の限定

特許法第126条第1項特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができるe-Gov原文

特許法第126条第1項特許請求の範囲の減縮e-Gov原文

誤り
係属中の制限

特許法第126条第2項訂正審判は、特許異議の申立て又は特許無効審判が特許庁に係属した時からその決定又は審決e-Gov原文

ひっかけ訂正審判で権利は広げられず、無効審判が係属していればその手続の中で訂正します。

解説訂正審判で訂正できるのは、願書に添付した明細書・特許請求の範囲・図面であり(特許法126条1項)、その訂正の目的は、(1) 特許請求の範囲の減縮、(2) 誤記・誤訳の訂正、(3) 不明瞭な記載の釈明、(4) 引用関係の解消、のいずれかに限られる。実質上特許請求の範囲を拡張・変更する訂正はできないので、アはこの範囲に収まり正しい。一方、特許異議の申立てや特許無効審判が特許庁に係属している間は訂正審判を請求できず(同条2項)、その場合は当該手続の中で訂正請求を行う。よってイの『いつでも請求できる』は誤りで、組み合わせは『アー正、イー誤』となる。

補足訂正審判は特許権が消滅した後でも請求できる(126条8項)。過去の侵害に基づく損害賠償の場面で訂正の利益が残るためで、ただし取消決定や無効審決が確定した後はできない。

7特許発明の技術的範囲

特許発明の技術的範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
  • 技術的範囲を定めるにあたり、特許請求の範囲の用語の意義は明細書・図面を考慮して解釈するが、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
クレーム基準

特許法第70条第1項特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないe-Gov原文

正しい
要約書の除外

特許法第70条第3項願書に添付した要約書の記載を考慮してはならないe-Gov原文

ひっかけ技術的範囲はクレームで決まり、用語の解釈に要約書は使いません。

解説特許発明の技術的範囲、すなわち特許権の効力が及ぶ範囲は、願書に添付した特許請求の範囲(クレーム)の記載に基づいて定める(特許法70条1項)。アはこの原則どおりで正しい。クレームの用語の意義は、明細書の記載及び図面を考慮して解釈するが(同条2項)、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない(同条3項)。要約書は技術情報の検索用に作られる書面で、権利範囲の解釈資料にはならない。したがって、用語解釈に明細書・図面は使うが要約書は使わないとするイも正しく、『アー正、イー正』となる。

補足ある製品が他人の特許の技術的範囲に入るかは、特許庁に判定を求めることもできる(特許法71条)。中立な専門機関の判断だが裁判所を拘束する効力はない。

8特許権の効力

特許権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
  • 特許権について専用実施権を設定した場合でも、その専用実施権者が実施をする権利を専有する範囲について、特許権者が実施をする権利を専有し続ける。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
実施の専有

特許法第68条特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有するe-Gov原文

誤り
専用実施権の効果

特許法第68条専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ専用実施権を与えた範囲では、設定した特許権者自身も実施できなくなります。

解説特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法68条本文)。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない(同条ただし書)。専用実施権を設定した範囲では、特許権者自身も実施できなくなる。だからイの『特許権者が実施をする権利を専有し続ける』は誤り。アは68条本文そのままで正しい。専用実施権は物権的な独占的実施権であり、設定範囲では権利者の実施まで排除される点が、非独占的な通常実施権との分かれ目になる。

補足専用実施権は当事者の契約だけでは生じず、特許原簿への登録が効力発生の要件です(特許法98条1項2号)。登録なしでは契約上の通常実施権にとどまります。

9特許出願の願書と添付書類

特許出願に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受けようとする者は、所定の事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
  • 特許出願の願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
願書

特許法第36条第1項特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならないe-Gov原文

正しい
添付書類

特許法第36条第2項願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならないe-Gov原文

ひっかけ願書に添付するのは、明細書・特許請求の範囲・必要な図面・要約書の4点です。

解説特許を受けようとする者は、出願人の氏名等の所定事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない(特許法36条1項)。その願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付する(同条2項)。アは1項、イは2項のとおりで、いずれも正しい。なお明細書の発明の詳細な説明は当業者が実施できる程度に明確かつ十分でなければならず(同条4項。実施可能要件)、特許請求の範囲は発明の詳細な説明に記載したもので明確に記載しなければならない(同条6項。サポート要件・明確性要件)。これらは満たさなければ拒絶理由・無効理由となる。

補足4点のうち図面は「必要な」ときに添付すればよく、要約書は技術情報の検索用で権利範囲の解釈には用いられません(特許法70条は特許請求の範囲を基準とする)。

10共有に係る特許権(持分・実施)

共有に係る特許権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許発明を実施することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
持分の処分制限

特許法第73条第1項特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができないe-Gov原文

誤り
自己実施は自由

特許法第73条第2項各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができるe-Gov原文

ひっかけ持分を手放す・質に入れるには同意がいる。自分で実施するときだけは同意が抜ける。

解説特許権が共有に係るときは、各共有者は他の共有者の同意を得なければその持分を譲渡し、又は質権を設定することができない(特許法73条1項)。専用実施権の設定・通常実施権の許諾も同様に他の共有者の同意を要する(同条3項)。これに対し、各共有者の自己実施は、契約で別段の定めをした場合を除き、同意なくできる(同条2項)。アは1項どおりで正、イは自己実施が同意不要だから誤り。持分処分と他人へのライセンスは同意がいるのに、自分で使うときだけ同意が抜ける、という条文の組み方になっている。

補足持分の「放棄」も同意は不要で、放棄された持分は他の共有者にその持分に応じて帰属する(民法255条)。

11共有に係る特許権(実施権の許諾)

共有に係る特許権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なくても、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明を実施することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
ライセンスの制限

特許法第73条第3項各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その特許権について専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができないe-Gov原文

正しい
自己実施は自由

特許法第73条第2項各共有者は、契約で別段の定をした場合を除き、他の共有者の同意を得ないでその特許発明の実施をすることができるe-Gov原文

ひっかけ他人に使わせる側(ライセンス)には同意がいる。自分が使う側は同意がいらない。

解説共有特許権について、各共有者が専用実施権を設定し又は他人に通常実施権を許諾するには、他の共有者の同意が必要である(特許法73条3項)。他人が実施に入れば他の共有者の取り分に響くからである。よってアは誤り。一方、各共有者が自分で実施するのは、契約で別段の定めをした場合を除き同意なくできる(同条2項)から、イは正しい。同じ共有でも、著作権の共有は自己利用ですら共有者全員の合意を要する(著作権法65条2項)ので、特許の自己実施自由とは結論が逆になる。

補足共有持分の放棄や処分は単独で/同意を要して動くが、無効審判の請求のように共有者全員が共同でしないとできない手続もある(特許法132条3項)。

12通常実施権の対抗力

通常実施権の対抗力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する。
  • したがって、特許権が第三者に譲渡されても、既存の通常実施権者は、登録がなくても新たな特許権者に実施権を対抗することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
当然対抗

特許法第99条通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有するe-Gov原文

正しい
登録不要

特許法第99条通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有するe-Gov原文

ひっかけライセンスを受けていれば、特許が売られても、登録なしでそのまま使い続けられる。

解説通常実施権は、その発生後にその特許権若しくは専用実施権又はその特許権についての専用実施権を取得した者に対しても、その効力を有する(特許法99条・当然対抗)。だからアは正しく、特許権が第三者に譲渡されても登録なしで新権利者に実施権を主張でき、イも正しい。かつては対抗に登録が必要だったが、2011年改正でこの当然対抗制度に切り替わった。登録という形式を踏まなくても、いつ生じた通常実施権かを問わず後の権利取得者に当然に効く、という点が改正前との違いである。

補足専用実施権の対抗には今も登録が必要で(特許法98条1項2号)、登録なしの当然対抗が認められるのは通常実施権のほうだけである。

13特許権の存続期間

特許権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。
  • 特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日から20年をもって終了する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
20年(出願日起算)

特許法第67条第1項特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了するe-Gov原文

誤り
起算点

特許法第67条第1項特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了するe-Gov原文

ひっかけ数え始めは『出願の日』。設定登録の日ではない。審査にかかった期間も20年に食い込む。

解説特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する(特許法67条1項)。権利そのものは設定登録で発生するが、期間は出願日から数えるので、審査に費やした期間も20年の中に含まれる。アは1項どおりで正、イは起算点を設定登録の日としている点で誤り。なお、医薬品の承認待ち等で実施できなかった期間については、5年を限度に延長登録の出願で期間を延長できる(同条4項)。意匠権が出願日から25年、商標権が設定登録から10年(更新あり)と起算点も年数も違うので、ここは20年・出願日と覚える対象になる。

補足延長は無制限ではなく、医薬品・農薬の承認待ち等による延長は5年が上限である(特許法67条4項)。

14生産方法の推定

物を生産する方法の発明の特許に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 物を生産する方法の発明について特許がされている場合、その物が特許出願前に日本国内で公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定される。
  • 物を生産する方法の特許について、被疑侵害者が製造した物が同一であっても、その物の製造方法は常に特許権者が立証しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
生産方法の推定

特許法第104条その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定するe-Gov原文

誤り
立証責任の転換

特許法第104条物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定するe-Gov原文

ひっかけ推定が使えるのは、その物が出願前に公知でなかったときだけ。

解説製造方法は外から観察できないので、侵害者がどの方法で作ったかを特許権者が立証するのは難しい。そこで特許法104条は、物を生産する方法の発明について特許がされている場合に、その物が特許出願前に日本国内で公然知られた物でないときは、その物と同一の物はその方法により生産したものと推定する、と定めた。アはこの条文どおりで正しい。イは『製造方法は常に特許権者が立証しなければならない』とするが、104条の推定が働く結果、別の方法で作ったことを被疑侵害者の側が反証しなければならず、立証責任が事実上転換される。だからイは誤り。推定が外れるのは、対象の物が出願前に公知だった場合である。

補足推定が及ぶのは『物を生産する方法』の発明に限られ、単純方法の発明には104条の適用はない。

15利用関係と裁定通常実施権

他人の権利を利用する関係にある特許発明の実施に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 自己の特許発明が他人の先願の特許発明等を利用する関係にある場合でも、特許権者は当該他人に対し実施のための通常実施権の許諾について協議を求めることはできない。
  • 利用関係にある場合の協議が成立しないときは、特許権者は、特許庁長官の裁定を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
協議

特許法第92条第1項特許権者又は専用実施権者は、その特許発明が第七十二条に規定する場合に該当するときはe-Gov原文

正しい
裁定

特許法第92条第3項第一項の協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、特許権者又は専用実施権者は、特許庁長官の裁定を請求することができるe-Gov原文

ひっかけ協議が決裂したとき頼るのは、経済産業大臣ではなく特許庁長官。

解説後願の特許発明が先願の他人の特許発明等を利用する関係(利用発明。特許法72条)にあると、後願の特許権者は自分の特許発明を実施しても他人の権利を侵害してしまい、勝手には実施できない。この調整のため、特許権者は先願権利者に対し実施のための通常実施権の許諾について協議を求めることができる(92条1項)。アは『協議を求めることはできない』とするが、求められるので誤り。協議が成立せず、または協議できないときは、特許庁長官の裁定を請求できる(同条3項。裁定通常実施権)。イはこの裁定請求を述べており正しい。求める相手は経済産業大臣ではなく特許庁長官である。

補足92条の裁定は『利用・抵触関係』の調整用で、3年不実施を理由とする83条の不実施裁定とは請求の根拠が別。

16発明の新規性喪失の例外

発明の新規性喪失の例外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受ける権利を有する者の行為に起因して新規性を喪失するに至った発明は、その日から1年以内にその者がした特許出願に係る発明については、新規性を喪失しなかったものとみなされる場合がある。
  • 新規性喪失の例外の適用を受けるための期間は、新規性を喪失した日から6月以内である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
新規性喪失の例外

特許法第30条第2項その該当するに至つた日から一年以内にその者がした特許出願e-Gov原文

誤り
1年の期間

特許法第30条第2項その該当するに至つた日から一年以内にその者がした特許出願e-Gov原文

ひっかけ発表してしまった発明でも、1年以内に出願すれば救える余地がある。

解説出願前に発明が公開されると新規性を失うが、特許を受ける権利を有する者の意に反して公知となった場合や、その者の行為に起因して公知となった場合(公報掲載によるものを除く)は、その該当するに至った日から1年以内にその者がした特許出願に係る発明について、新規性等を喪失しなかったものとみなされる(特許法30条1項・2項)。アはこの『1年以内』の枠内で救済されうると述べており正しい。イは期間を『6月以内』とするが、平成30年改正で6月から1年に延びているため誤り。なお行為に起因する場合の適用には、出願と同時の書面提出と、出願日から30日以内の証明書提出が必要となる(同条3項)。

補足意に反する公知(盗用・漏えい等)の場合は出願時の書面提出が不要で、行為に起因する公知の場合のみ出願と同時の書面+30日以内の証明書提出が要る(30条3項)。

17出願公開

特許出願の出願公開に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、原則としてその特許出願について出願公開をしなければならない。
  • 出願公開は、出願人の氏名や明細書・特許請求の範囲に記載した事項等を特許公報に掲載することにより行う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
出願公開

特許法第64条第1項特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならないe-Gov原文

正しい
公開の方法

特許法第64条第2項出願公開は、次に掲げる事項を特許公報に掲載することにより行うe-Gov原文

ひっかけ出願から1年6月で、中身は特許公報に載って公衆の目に触れる。

解説特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない(特許法64条1項)。出願人の請求による早期公開も認められる。アはこの時期の原則どおりで正しい。出願公開は、出願人の氏名・出願番号・発明者・明細書・特許請求の範囲・図面の内容等を特許公報に掲載して行うため(同条2項)、イも正しい。出願公開後の業としての実施に対しては補償金請求権が生じうる(65条)。

補足補償金請求権は、出願公開後に警告(又は悪意)があった実施が対象で、行使できるのは特許権の設定登録後に限られる(65条)。

18特許権の放棄

特許権の放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。
  • 特許権者は、専用実施権者や質権者がいても、その承諾を得ることなく自由に特許権を放棄することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
放棄の制限

特許法第97条第1項特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができるe-Gov原文

誤り
利害関係者の保護

特許法第97条第1項特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができるe-Gov原文

ひっかけ自分の特許権でも、専用実施権者・質権者がいれば承諾なしには放棄できない。

解説特許権者は、専用実施権者又は質権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる(特許法97条1項)。だからアは正しく、承諾不要とするイは誤り。同条は段階的に並ぶ。専用実施権者も、質権者・専用実施権についての通常実施権者があるときはその承諾を得た場合に限り専用実施権を放棄でき(2項)、通常実施権者も、質権者があるときはその承諾を得た場合に限り通常実施権を放棄できる(3項)。放棄で消える権利の上に他者の権利が乗っていれば、その者の承諾がいる。

補足承諾が要るのは専用実施権者と質権者で、通常実施権者は対象に入らない(97条1項)。通常実施権は放棄されても消滅対抗力を持たず存続しうるため、特許権の放棄に通常実施権者の承諾までは求めない。

19専用実施権・通常実施権の放棄

実施権の放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 専用実施権者は、質権者や一定の通常実施権者があるときであっても、その承諾を得ることなく専用実施権を放棄することができる。
  • 通常実施権者は、質権者があるときであっても、その承諾を得ることなく通常実施権を放棄することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
専用実施権の放棄

特許法第97条第2項専用実施権者は、質権者又は第七十七条第四項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権を放棄することができるe-Gov原文

誤り
通常実施権の放棄

特許法第97条第3項通常実施権者は、質権者があるときは、その承諾を得た場合に限り、その通常実施権を放棄することができるe-Gov原文

ひっかけ放棄の承諾が要るのは特許権だけだ、と思うと両肢とも落とす。実施権の放棄も同じ97条で縛られる。

解説専用実施権の放棄には、質権者又は専用実施権についての通常実施権者があるとき、その承諾を要する(特許法97条2項)。承諾不要とするアは誤り。通常実施権の放棄も、質権者があるときはその承諾を要する(同条3項)。こちらも承諾不要とするイは誤り。よって両方とも誤り。放棄の制限は特許権だけの話ではなく、実施権そのものにも質権など他者の権利が成立しうるため、同じ97条が実施権の放棄まで縛る。

補足専用実施権の放棄で承諾を要する通常実施権者は、77条4項の通常実施権者、つまり専用実施権者が許諾した通常実施権者を指す(97条2項)。特許権者が直接設定した通常実施権者ではない。

20登録の効果

特許に関する登録の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く)や専用実施権の設定等は、登録しなければ、その効力を生じない。
  • 専用実施権の設定は、当事者間の契約のみで効力を生じ、登録は効力発生要件ではない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
効力発生要件

特許法第98条第1項次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じないe-Gov原文

誤り
専用実施権の設定

特許法第98条第1項専用実施権の設定、移転e-Gov原文

ひっかけ専用実施権は、設定契約を結んだだけでは効力が生じない。登録があって初めて発生する。

解説特許権の移転(相続その他の一般承継を除く)・信託による変更・放棄による消滅・処分の制限、専用実施権の設定・移転・変更・消滅・処分の制限、質権の設定等は、登録しなければその効力を生じない(特許法98条1項)。つまりアの「移転や専用実施権の設定等は登録しなければ効力を生じない」は条文どおりで正しい。これに対しイは、専用実施権の設定が当事者間の契約のみで効力を生じるとするが、設定は98条1項2号の登録事項であり、契約だけでは足りず登録して初めて効力が生じるため誤り。なお相続その他の一般承継による移転は登録不要で、遅滞なく届け出ればよい(同条2項)。専用実施権は登録が効力発生要件、通常実施権は登録不要の当然対抗(99条)という違いがそのまま正誤を分ける。

補足同じ実施権でも通常実施権は別で、登録なしに後の特許権取得者へ当然対抗できる(99条)。

21登録の効果(総合)

特許に関する登録の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権の移転は、相続による場合を含め、すべて登録しなければその効力を生じない。
  • 特許権を目的とする質権の設定は、登録の有無にかかわらず効力を生じる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
一般承継の例外

特許法第98条第1項次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じないe-Gov原文

誤り
質権の設定

特許法第98条第1項次に掲げる事項は、登録しなければ、その効力を生じないe-Gov原文

ひっかけ相続による移転だけが登録不要。質権の設定はあくまで登録して初めて効く。

解説特許権の移転・専用実施権の設定・質権の設定等は登録が効力発生要件だが(特許法98条1項)、相続その他の一般承継による移転・消滅だけは例外で、登録を要しない(遅滞なく届け出る。同条2項)。アは特許権の移転を「相続による場合を含めすべて登録が必要」とするが、相続は一般承継の典型で登録不要のため誤り。イは質権の設定を「登録の有無にかかわらず効力を生じる」とするが、質権の設定は一般承継以外の処分であり、98条1項3号により登録しなければ効力を生じないため誤り。よって両方とも誤りで、組み合わせは『アー誤、イー誤』。一般承継は登録不要、特定承継・各種設定は登録必要という線引きで両肢が処理できる。

補足98条2項の届出は権利発生のためではなく、すでに発生した一般承継の事実を特許庁に知らせる手続。

22特許を受けることができない発明

特許を受けることができない発明に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明は、特許を受けることができない。
  • 公序良俗を害するおそれがある発明であっても、新規性・進歩性があれば特許を受けることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
不特許事由

特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができないe-Gov原文

誤り
公益的制限

特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができないe-Gov原文

ひっかけ公序良俗に反する発明は、新規性・進歩性で勝負する土俵に上がる前に落ちる。

解説公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明は、第29条の規定にかかわらず特許を受けることができない(特許法32条。不特許事由)。「第29条にかかわらず」とあるとおり、産業上の利用可能性・新規性・進歩性をすべて満たしても、この一点で特許は拒絶される。技術の優劣ではなく公益的な観点から付与を排除する規定だからである。アはこの条文どおりで正しい。イは「新規性・進歩性があれば特許を受けられる」とする点が32条に反し誤り。なお32条はかつて飲食物・医薬・化学物質・原子核変換の方法など複数の不特許事由を列挙していたが、これらは順次廃止され、現行の不特許事由は公序良俗等を害するおそれがある発明のみである。

補足現行32条に残る不特許事由はこの1類型だけ。飲食物・医薬・化学物質・原子核変換の方法は、過去の改正でいずれも32条から外された。

23不特許事由(総合)

特許を受けることができない発明に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公衆の衛生を害するおそれがある発明であっても、産業上利用することができるものであれば特許を受けることができる。
  • 発明が公序良俗を害するおそれがあるか否かは、特許を受けることができるかどうかの判断とは無関係である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
不特許事由

特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができないe-Gov原文

誤り
判断要素

特許法第32条公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害するおそれがある発明については、第二十九条の規定にかかわらず、特許を受けることができないe-Gov原文

ひっかけ「産業上利用できる」「公序良俗は別問題」という逃げ道は、32条の前では通らない。

解説産業上の利用可能性・新規性・進歩性(特許法29条)をすべて満たす発明でも、公の秩序・善良の風俗・公衆の衛生を害するおそれがあれば特許を受けられない(同32条)。アは「公衆衛生を害するおそれがあっても産業上利用できれば特許可能」とするが、32条が「第29条の規定にかかわらず」拒絶する以上、産業上利用可能性で救われることはなく誤り。イは「公序良俗を害するおそれは特許可否と無関係」とするが、これはまさに32条の独立した不特許事由であり、判断に直結するため誤り。よって両方とも誤りで『アー誤、イー誤』。29条の各要件をクリアしていることと、32条をクリアしていることは別個に審査される。

補足29条の要件と32条の不特許事由は別の関門。29条を全部満たしても、32条に当たれば拒絶理由(49条)になる。

24過失の推定

特許権侵害における過失の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定される。
  • 特許権侵害に基づく損害賠償請求では、特許権者が侵害者の故意・過失を立証しなければならず、過失の推定は働かない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
過失の推定

特許法第103条他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定するe-Gov原文

誤り
立証負担の軽減

特許法第103条他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定するe-Gov原文

ひっかけ侵害行為があれば、立証を待たずに侵害者の過失が推定される。

解説他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定される(特許法103条)。特許の内容は公報で公開され何人も知りうる状態にあることが前提で、損害賠償請求(民法709条)で本来は権利者が負う故意・過失の立証を、侵害者側の反証責任へと転換する。意匠権にも同じ趣旨の推定規定があり(意匠法40条)、商標権は商標法39条が特許法103条を準用するため侵害者の過失が推定される。これに対し著作権法には過失推定の規定がなく、権利者が侵害者の故意・過失を立証しなければならない。アはこの103条どおりで正しく、イは「推定は働かず権利者が立証する」とする点が誤り。

補足意匠法40条の過失推定にはただし書きがあり、秘密意匠(意匠法14条)は公報に意匠が掲載されないため、その期間中の侵害には過失推定が及ばない。

25過失の推定(総合)

特許権侵害における過失の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人の特許権を侵害した者について、過失があったものと推定する規定は設けられていない。
  • 特許権侵害に基づく損害賠償請求では、過失の推定は働かず、特許権者が侵害者の過失を立証しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
過失の推定

特許法第103条他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定するe-Gov原文

誤り
立証負担の軽減

特許法第103条他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定するe-Gov原文

ひっかけ「規定がない」「権利者が立証する」は、103条をそれぞれ裏返した記述。

解説他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害行為について過失があったものと推定される(特許法103条)。特許が公報で公開されていることを根拠に侵害者の過失を推定する規定であり、これにより損害賠償請求(民法709条)において権利者は侵害者の過失を立証する必要がなく、侵害者側が過失のないことを反証する側に回る。アは「推定規定は設けられていない」とするが103条が現にあるため誤り、イは「推定は働かず権利者が立証する」とする点で誤り。両肢とも103条の存在と効果を逆に述べている。

補足推定はあくまで反証可能で、侵害者が自らに過失がなかったことを立証できれば覆る。立証責任が侵害者へ移る点に意味がある。

26判定

特許発明の技術的範囲についての判定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
  • 判定の求めがあったときは、特許庁長官が単独でその判定を行う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
判定

特許法第71条第1項特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができるe-Gov原文

誤り
判定の主体

特許法第71条第2項特許庁長官は、前項の規定による求があつたときは、三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならないe-Gov原文

ひっかけ技術的範囲が争われたら特許庁に判定を求められる。ただし判断するのは長官個人ではない。

解説ある物や方法が特許発明の技術的範囲に属するかどうかは、特許庁に対して判定を求めることができる(特許法71条1項)。求めがあったとき、判定をするのは特許庁長官ではなく、長官が指定する三名の審判官である(同条2項)。だからイの「長官が単独で行う」は誤り。判定は技術的範囲についての特許庁の公的な見解(鑑定的意見)にとどまり、裁判所を法的に拘束するものではないが、侵害の有無を見積もる材料として実務で参照される。

補足判定(71条)は当事者が特許庁に求めるもの。これとは別に、裁判所が侵害訴訟で技術的範囲の鑑定を嘱託する制度があり、その場合も三名の審判官が担当する(71条の2)。

27判定(総合)

特許発明の技術的範囲についての判定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許発明の技術的範囲について、特許庁に判定を求めることはできない。
  • 判定は、特許庁長官が指定する1名の審判官が行う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
判定

特許法第71条第1項特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができるe-Gov原文

誤り
判定の主体

特許法第71条第2項三名の審判官を指定して、その判定をさせなければならないe-Gov原文

ひっかけ「求められない」も「1名で判定」も、どちらも条文の作りと逆になっている。

解説アは「判定を求めることはできない」とするが、技術的範囲については特許庁に判定を求めることができるので誤り(特許法71条1項)。イは「1名の審判官」とするが、判定をするのは三名の審判官なので誤り(同条2項)。両方とも誤りで、組み合わせは『アー誤、イー誤』。判定は技術的範囲への特許庁の公的見解であって法的拘束力はなく、侵害紛争を予防・解決する際の参考に使われる。

補足求める相手は特許庁、実際に判定する人数は三名。この二点が71条1項と2項で別々に問われている。

28他人の特許発明等との関係(利用・抵触)

特許発明の実施と他人の権利との関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者であっても、その特許発明が特許出願の日前の出願に係る他人の特許発明・登録意匠等を利用するものであるとき等は、業としてその特許発明の実施をすることができない。
  • 特許権を取得しても、その発明を自由に実施できるとは限らず、利用・抵触関係があれば実施が制限される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
利用・抵触

特許法第72条業としてその特許発明の実施をすることができないe-Gov原文

正しい
権利取得≠自由実施

特許法第72条業としてその特許発明の実施をすることができないe-Gov原文

ひっかけ特許を取っても、出願前の他人の特許発明を利用するなら実施できません。

解説特許権者・専用実施権者・通常実施権者は、その特許発明が出願日前の出願に係る他人の特許発明・登録実用新案・登録意匠(類似意匠を含む)を利用するものであるとき、又はその特許権が出願日前の出願に係る他人の意匠権・商標権と抵触するときは、業としてその特許発明の実施をすることができない(特許法72条)。アはこの規定そのもの、イはその趣旨(特許権は排他権であって自由実施の保証ではない)であり、ともに正。改良発明が元発明の技術的範囲に丸ごと含まれるような利用関係では、特許を得てもなお元発明の特許権者の許諾がなければ実施できない。

補足利用関係なら、後願者は元発明の特許権者と協議し、不成立のとき特許庁長官の裁定で通常実施権を受けられる(特許法92条)。意匠法33条の裁定と対をなす。

29特許を受ける権利

特許を受ける権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受ける権利は、移転することができる。
  • 特許を受ける権利は、質権の目的とすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
移転可能性

特許法第33条第1項特許を受ける権利は、移転することができるe-Gov原文

誤り
質権の制限

特許法第33条第2項特許を受ける権利は、質権の目的とすることができないe-Gov原文

ひっかけ特許前の『特許を受ける権利』は譲渡できますが、質入れはできません。

解説発明をした者は特許を受ける権利を有し、この権利は移転することができる(特許法33条1項)。一方で、特許を受ける権利は質権の目的とすることができない(同条2項)。登録のない不安定な権利のため、価値を担保として固定する質権設定は認められていない。移転可とするアは1項どおりで正、質権設定可とするイは2項に反して誤り。設定登録された特許権なら質権の目的にできるのと、出願前の段階では扱いが逆になる。

補足特許権は質権を設定でき、その移転は登録が効力発生要件(特許法98条)。出願前の特許を受ける権利は質権不可で、移転は当事者の合意で生じる点が対照的。

30特許を受ける権利の共有

特許を受ける権利が共有に係る場合に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受ける権利が共有に係るとき、各共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、その持分を譲渡することができる。
  • 特許を受ける権利が共有に係るとき、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
持分の処分制限

特許法第33条第3項特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができないe-Gov原文

正しい
共有者の保護

特許法第33条第3項特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができないe-Gov原文

ひっかけ共有の『特許を受ける権利』も、持分の譲渡には他の共有者の同意が要ります。

解説特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡することができない(特許法33条3項)。持分の譲渡が誰を共同出願人とするかに直結し、他の共有者の利害を左右するためである。同意不要とするアは3項に反して誤り、同意が必要とするイは正。さらに各共有者は他の共有者の同意なく仮専用実施権の設定・仮通常実施権の許諾もできない(同条4項)。

補足共有なら出願も共有者全員でしなければならず(特許法38条)、一人でも欠ければ拒絶理由(49条2号)になる。持分譲渡の同意(33条3項)と共同出願の縛りは表裏の関係。

31書類提出命令

特許権侵害訴訟における書類提出命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 裁判所は、特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、書類又は電磁的記録の提出を命ずることができる。
  • 書類の所持者は、提出を拒むことについて正当な理由があっても、書類の提出を拒むことはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文が当事者の申立てを起点とする

特許法第105条当事者の申立てによりe-Gov原文

誤り
ただし書が拒否を認める

特許法第105条その提出を拒むことについて正当な理由があるときe-Gov原文

ひっかけ提出命令には、正当な理由があれば拒めるというただし書がある。

解説特許権・専用実施権の侵害訴訟で、裁判所は当事者の申立てを受けて、侵害の立証や損害計算に必要な書類・電磁的記録の提出を命じられる(105条)。アはこの申立てを起点とする命令の形どおりで正しい。ただし条文には、所持者がその提出を拒むことについて正当な理由があるときは提出を命じないというただし書がある。イは正当な理由があっても拒めないとしており、このただし書を消してしまっているので誤り。

補足正当な理由の有無を判断するため、裁判所は書類を実際に見分するインカメラ手続を採れる(105条2項)。

32書類提出命令の目的と起点

特許権侵害訴訟における書類提出命令に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 書類提出命令は、損害の計算に必要な書類であっても対象とはならず、侵害の立証に必要な書類のみを対象とする。
  • 書類提出命令は、裁判所が当事者の申立てによらず職権で常に発する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
条文が損害計算のための書類も対象とする

特許法第105条当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類e-Gov原文

誤り
条文は当事者の申立てによるとする

特許法第105条当事者の申立てによりe-Gov原文

ひっかけ損害計算用も対象に入り、しかも発令は職権でなく申立て。

解説書類提出命令で問われるのは、対象範囲と誰が動かすかの二点。アは損害計算用の書類は対象外で侵害立証用だけが対象だとするが、105条は侵害行為による損害の計算に必要な書類等も明文で対象に含めるため誤り。イは裁判所が職権で常に発するとするが、命令はあくまで当事者の申立てによるもので、職権発令ではないから誤り。立証と損害計算の両方を当事者の申立てが引き金にする構造になっている。

補足損害計算をさらに詰める段階では、裁判所が選んだ鑑定人への資料提出を当事者に求める仕組みもある(105条の2の12)。

33再審回復特許権の効力制限

再審により回復した特許権の効力の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 再審により特許権が回復した場合で物の発明についてされているとき、特許権の効力は、審決確定後再審請求登録前に善意に日本国内で生産した当該物には及ばない。
  • この効力制限は、その特許が物の発明についてされているときに適用される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
条文が善意の生産物を効力外とする

特許法第175条日本国内において生産し、若しくは取得した当該物には、及ばないe-Gov原文

正しい
条文が物の発明を要件とする

特許法第175条その特許が物の発明についてされているときe-Gov原文

ひっかけ物の発明で、善意に作られた現物。ここに回復後の効力は届かない。

解説いったん取り消され、または無効とされた特許が再審で生き返ったとき、もし物の発明についての特許なら、取消決定・審決の確定後で再審請求の登録より前に、善意に日本国内で生産・取得された当該物には、回復した特許権の効力が及ばない(175条)。アはこの及ばない結論どおりで正しい。イも、この効力制限が物の発明についてされているときに働くという適用要件を正しく述べており正しい。特許がないと信じて動いた者の手元の物を、後の復活で打ち切らないための制限である。

補足及ばない行為には生産・取得のほか善意の輸入も含まれる(175条)。

34再審回復特許権と善意の時期

再審により回復した特許権の効力の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 善意による行為であれば、再審の請求の登録後に日本国内で生産した物にも特許権の効力は及ばない。
  • 効力制限は、当該取消決定又は審決が確定した後の行為について問題となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
条文は再審の請求の登録前を要件とする

特許法第175条再審の請求の登録前に善意に輸入しe-Gov原文

正しい
条文が審決確定後を時的基準とする

特許法第175条当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に輸入しe-Gov原文

ひっかけ守られるのは再審請求の登録より前の善意。登録後はもう保護されない。

解説保護されるのは、いつの善意かで決まる。アは再審請求の登録後に国内で生産した物まで善意なら効力が及ばないとするが、175条が守るのは登録より前の善意行為であって、登録後の行為は守られないから誤り。イは効力制限が取消決定または審決の確定後の行為について問題になるとしており、条文がこの確定後を時的な起点とするとおりで正しい。確定後に始まり、再審請求の登録で切れる、その間の善意だけが保護される。

補足登録後に実施を続けたい場合は、別途176条の法定通常実施権(後用権)の枠組みが受け皿になる。

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