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特許法・第1

特許法・実用新案法の問題(29問)

論点 29目安 約58組合せ 29
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この章で扱う論点29論点

発明の定義特許の要件進歩性新規性喪失の例外職務発明特許権の存続期間特許権の効力と効力が及ばない範囲特許権侵害に対する差止請求権先願主義共同出願実用新案権先使用による通常実施権出願公開特許無効審判特許無効審判の請求人専用実施権・通常実施権共有に係る特許権訂正審判専用実施権・共有特許特許権侵害における損害額の推定損害額の推定出願公開後の補償金請求権補償金請求権拒絶査定不服審判特許権等を目的とする質権特許出願の分割特許出願等に基づく優先権分割出願・国内優先権パリ条約による優先権

各選択肢に根拠条文(e-Gov法令データ照合済み)と、正誤の理由・覚え方のコツをつけています。

問題と解説を読む29

通読・復習用に、この章の全問題と解説を掲載しています。1問ずつ解きながら進めたい場合は「この章を解く」からどうぞ。

1発明の定義

特許法上の「発明」に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許法上「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
  • 万有引力の法則のような自然法則それ自体の発見も、新規であれば特許法上の発明として保護される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
創作であること(根拠:特許法第2条第1項
誤り
発見≠創作(根拠:特許法第2条第1項

「法則の発見」と「発明」は別物です。

特許法上の発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう(特許法2条1項)。ポイントは『自然法則を利用』『創作』の二つで、自然法則それ自体(例:万有引力の法則)を見つけただけの発見は創作ではないため発明に当たらない。また、自然法則に反する永久機関のようなものや、自然法則を利用しない単なるルール・計算方法なども発明には該当しない。『法則を利用して新しく創り出したか』が発明性の判断軸になる。

2特許の要件(産業上利用可能性・新規性)

特許の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 産業上利用することができる発明をした者は、一定の場合を除き、その発明について特許を受けることができる。
  • 特許出願前に日本国内または外国において公然知られた発明は、原則として特許を受けることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
産業上利用可能性(根拠:特許法第29条第1項
正しい
新規性(根拠:特許法第29条第1項第1号

出願のタイミングが新規性に直結します。

特許を受けるには、まず産業上利用することができる発明であることが必要で、その者は一定の除外事由がない限り特許を受けられる(特許法29条1項柱書)。除外事由の代表が新規性の喪失で、出願前に日本国内または外国で公然知られた発明、公然実施された発明、刊行物に記載され又はインターネット等で公衆に利用可能となった発明は、原則として特許を受けられない(同項各号)。発明を出願前に不用意に公表すると新規性を失う点が実務上重要である。

3進歩性

特許の要件のうち進歩性に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公知の発明から容易に発明をすることができたものであっても、その発明が公知の発明と完全に同一でなければ、当然に特許を受けることができる。
  • その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、出願前の公知発明等に基いて容易に発明をすることができたときは、その発明は特許を受けることができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
新規性だけでは不足(根拠:特許法第29条第2項
正しい
進歩性(根拠:特許法第29条第2項

「新規でありさえすれば特許」と考えると、アで誤ります。

新規性(出願前に同じ発明が公知でないこと)を満たしても、それだけでは特許を受けられない。その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(当業者)が、出願前の公知発明等に基いて容易に発明をすることができたときは、進歩性を欠くものとして特許を受けられない(特許法29条2項)。新規性は『同じものがあるか』、進歩性は『簡単に思いつけるか』という別の観点であり、両方を満たす必要がある。

4新規性喪失の例外

新規性喪失の例外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受ける権利を有する者の意に反して公然知られるに至った発明は、一定の要件の下で、新規性を失わなかったものとして扱われる場合がある。
  • 新規性喪失の例外の適用を受けられるのは、発明が公然知られるに至った日から3年以内に特許出願をした場合である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
救済規定(根拠:特許法第30条第1項
誤り
期間は1年(根拠:特許法第30条第1項

例外の期間を「3年」と覚えると、イで誤ります。

発明を出願前に公表すると原則として新規性を失うが、一定の場合には救済される。特許を受ける権利を有する者の意に反して公知になった場合や、自己の行為により公知になった場合は、その該当するに至った日から1年以内にした特許出願について、新規性を失わなかったものとして扱われうる(新規性喪失の例外。特許法30条)。ただしこれは例外的救済であり、1年の期間内の出願や所定の手続が必要である。原則は『出願前の公表で新規性喪失』だと押さえたうえで、例外と期間を覚える。

5職務発明

職務発明に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 使用者等は、従業者等がした職務発明について従業者等が特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
  • 契約や勤務規則等であらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させると定めたときは、その権利は発生した時から使用者等に帰属する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
使用者の通常実施権(根拠:特許法第35条第1項
正しい
原始帰属(根拠:特許法第35条第3項

職務発明は『誰の発明か』『誰が権利を持つか』を分けて考えます。

職務発明とは、従業者等の発明のうち、その性質上使用者等の業務範囲に属し、かつ発明に至った行為が職務に属するものをいう。使用者等は、従業者等がした職務発明について従業者等が特許を受けたときは、その特許権について法定の通常実施権を有する(特許法35条1項)。さらに、契約・勤務規則等であらかじめ使用者等に特許を受ける権利を取得させると定めたときは、その権利は発生した時から使用者等に帰属する(同35条3項)。この場合、従業者等は相当の利益を受ける権利を有する。

6特許権の存続期間

特許権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日から起算して10年をもって終了する。
  • 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
起算点は出願日(根拠:特許法第67条第1項
正しい
出願日起算20年(根拠:特許法第67条第1項

起算点を「設定登録の日」と取り違えると誤ります。

特許権は設定の登録によって発生するが、存続期間の終期は出願日を基準に計算する。特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する(特許法67条1項)。発生時点(設定登録)と期間の起算点(出願日)が異なる点に注意。なお、医薬品など一定の場合には存続期間の延長制度がある。商標権(設定登録から10年・更新可)や意匠権(出願から25年)と数字を混同しないよう、権利ごとに整理して覚える。

7特許権の効力と効力が及ばない範囲

特許権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。
  • 特許権の効力は、試験または研究のためにする特許発明の実施には及ばない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
実施の専有(根拠:特許法第68条
正しい
効力の制限(根拠:特許法第69条第1項

特許権は強力ですが、例外もあります。

特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する(特許法68条)。すなわち、正当な権原なく業として特許発明を実施する者を排除できる独占権である。ただし効力には例外があり、試験または研究のためにする特許発明の実施には及ばない(同69条1項)。技術の検証や改良研究まで禁じると、かえって技術の進歩を妨げるからである。独占権(68条)と、その効力が及ばない範囲(69条)をセットで理解する。

8特許権侵害に対する差止請求権

特許権侵害への対応に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、自己の特許権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求することができる。
  • 特許権侵害に対して差止請求をするには、侵害者に故意または過失があることを立証しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
差止請求権(根拠:特許法第100条第1項
誤り
損害賠償とは別(根拠:特許法第100条第1項

差止めと損害賠償で、必要な要件が違います。

特許権者は、自己の特許権を侵害する者または侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止または予防を請求できる(差止請求権。特許法100条1項)。差止めは侵害状態をやめさせる救済なので、相手の故意・過失は要件とならない。これに対し、損害賠償請求(民法709条)には侵害者の故意・過失が必要である。同じ侵害対応でも、差止め(故意過失不要)と損害賠償(故意過失必要)で要件が異なる点が頻出のポイントである。

9先願主義

特許出願の先後関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 同一の発明について異なった日に2以上の特許出願があったときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる。
  • 同一の発明について同日に2以上の特許出願があったときは、特許出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許を受けることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
先願主義(根拠:特許法第39条第1項
正しい
同日出願の処理(根拠:特許法第39条第2項

特許は『先に発明した人』ではなく『先に出願した人』が優先します。

日本の特許制度は先願主義を採り、同一の発明について異なった日に2以上の特許出願があったときは、最先の特許出願人のみがその発明について特許を受けることができる(特許法39条1項)。早く発明したかではなく、早く出願したかで決まる。同一の発明について同日に2以上の出願があったときは、出願人の協議により定めた一の出願人のみが特許を受けられ、協議が不成立等のときはいずれも特許を受けられない(同39条2項)。発明は早く出願することが重要になる。

10共同出願

特許を受ける権利が共有である場合の出願に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
  • 特許を受ける権利が共有に係るときであっても、各共有者は単独で自由に特許出願をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
共同出願(根拠:特許法第38条
誤り
単独出願不可(根拠:特許法第38条

共有の権利は、勝手に一人で出願できません。

複数人の共同研究などで特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができない(特許法38条)。一人の共有者が単独で出願することは認められない。共有者間の利害に関わるため、出願という重要な行為は全員で行うこととされている。同様に、共有に係る特許を受ける権利は、他の共有者の同意がなければ持分の譲渡もできないなどの制約がある。

11実用新案権(登録要件・存続期間)

実用新案に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から20年をもって終了する。
  • 産業上利用することができる考案であって物品の形状、構造又は組合せに係るものをした者は、一定の場合を除き、実用新案登録を受けることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
10年(根拠:実用新案法第15条
正しい
考案の対象(根拠:実用新案法第3条第1項

実用新案は特許より保護対象も期間も限定的です。

実用新案制度は、物品の形状・構造・組合せに係る考案(小発明)を保護する。産業上利用することができる考案であって物品の形状・構造・組合せに係るものをした者は、一定の除外事由がない限り実用新案登録を受けられる(実用新案法3条1項。方法は対象外)。実用新案権の存続期間は、実用新案登録出願の日から10年をもって終了する(同15条)。特許(出願から20年)より保護対象も期間も限定的で、無審査で早期に登録される点も特徴である。

12先使用による通常実施権

先使用による通常実施権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許出願に係る発明の内容を知らないで自らその発明をし、特許出願の際に現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者は、一定の範囲でその特許権について通常実施権を有する。
  • 先使用による通常実施権は、特許出願の際に現にその発明の実施である事業をしている者のほか、その事業の準備をしている者にも認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
先使用権(根拠:特許法第79条
正しい
準備も含む(根拠:特許法第79条

先に使っていた人を保護する制度が特許にもあります。

他人の特許出願前から、その発明の内容を知らないで独自に同じ発明をし、特許出願の際に現に日本国内でその発明の実施である事業をしている者、またはその事業の準備をしている者は、その実施・準備をしている発明および事業の目的の範囲内で、その特許権について通常実施権(先使用権)を有する(特許法79条)。先願主義の下でも、独自に先行投資した者を保護し、無償で実施を継続できるようにする趣旨である。事業の『準備』段階の者にも認められる点が重要である。

13出願公開

特許出願の出願公開に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許出願は、原則として、特許出願の日から1年6月を経過したときに出願公開される。
  • 特許出願の内容は、特許権の設定登録がされるまでは一切公開されることはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
出願公開(根拠:特許法第64条第1項
誤り
公開の時期(根拠:特許法第64条第1項

特許出願の中身は、登録前に公開されます。

特許制度は、発明を公開して技術の進歩に役立てる代わりに独占権を与える制度である。そのため、特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、原則としてその特許出願について出願公開をしなければならない(特許法64条1項)。出願公開は設定登録の前に行われ、登録の有無にかかわらず出願内容が公開される。出願公開後は、一定の場合に補償金請求権(同65条)が認められる。

14特許無効審判

特許無効審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許が一定の無効理由に該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる。
  • 特許無効審判は、特許権が消滅した後は、一切請求することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
無効審判(根拠:特許法第123条第1項
誤り
消滅後も可(根拠:特許法第123条第3項

無効審判は特許が消えた後でも起こせます。

特許に新規性・進歩性違反、共同出願違反、冒認出願などの無効理由があるときは、特許無効審判を請求してその特許を無効にすることができる(特許法123条1項)。無効審判は利害関係人に限り請求でき(同2項)、特許権の消滅後においても請求することができる(同3項)。これは、過去の実施をめぐる損害賠償等の紛争を解決するため、権利消滅後も無効を確定する必要があるからである。

15特許無効審判の請求人

特許無効審判の請求人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許無効審判は、利害関係の有無にかかわらず、何人も請求することができる。
  • 特許無効審判は、特許権の消滅後においても請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
請求人の制限(根拠:特許法第123条第2項
正しい
消滅後も可(根拠:特許法第123条第3項

無効審判は『誰でも』ではなく利害関係人が請求します。

特許無効審判は、原則として利害関係人に限り請求できる(特許法123条2項。冒認出願等を理由とする場合は特許を受ける権利を有する者)。商標の不使用取消審判が『何人も』請求できる(商標法50条1項)のと対比される。また、特許無効審判は特許権の消滅後においても請求できる(同123条3項)。請求人の範囲(利害関係人)と、消滅後も請求できる点をセットで押さえる。

16専用実施権・通常実施権

特許権の実施権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができ、専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。
  • 特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
専用実施権(根拠:特許法第77条第1項
正しい
通常実施権(根拠:特許法第78条第1項

特許も他人に使わせる形でライセンスできます。

特許権者は特許発明を自ら実施するほか、他人に実施させる形でも活用できる。専用実施権を設定すると、専用実施権者は設定行為で定めた範囲内で業として特許発明を実施する権利を専有する(特許法77条。独占的・物権的なライセンスで、その範囲では特許権者も実施できない)。一方、通常実施権を許諾すると、通常実施権者は設定範囲内で実施できるが独占権ではない(同78条)。商標の専用使用権・通常使用権と同じ構造である。

17共有に係る特許権

共有に係る特許権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。
  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得なければ、自らその特許発明を実施することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
持分処分の制限(根拠:特許法第73条第1項
誤り
自己実施は自由(根拠:特許法第73条第2項

共有特許は『使うのは自由、処分は同意必要』が基本です。

特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡したり持分に質権を設定したりできない(特許法73条1項)。また、専用実施権の設定や他人への通常実施権の許諾にも他の共有者の同意が必要である(同条3項)。一方、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得ないで自らその特許発明を実施できる(同条2項)。『自己実施は自由、第三者を関与させる処分は同意必要』と整理する。

18訂正審判

訂正審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 訂正審判は、特許権が消滅した後は、一切請求することができない。
  • 特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて、訂正審判を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
消滅後も可(根拠:特許法第126条第8項
正しい
訂正審判(根拠:特許法第126条第1項

特許の記載は後から限定的に訂正できます。

特許権者は、願書に添付した明細書・特許請求の範囲・図面の訂正について、訂正審判を請求できる(特許法126条1項)。訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記・誤訳の訂正、不明瞭な記載の釈明などに限られ、実質上特許請求の範囲を拡張・変更することはできない。無効審判等が係属中は請求できない期間があるが、訂正審判は特許権の消滅後においても請求することができる(同条8項)。無効審判(123条3項)と同様、消滅後も請求できる点を押さえる。

19専用実施権・共有特許(総合)

特許権の利用と共有に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権者が専用実施権を設定した場合であっても、特許権者自身は当然にその範囲内で特許発明を実施することができる。
  • 特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得ることなく、自由にその持分を譲渡することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
専有の効果(根拠:特許法第77条第2項
誤り
持分処分の制限(根拠:特許法第73条第1項

専用実施権は『独占』、共有持分は『勝手に処分できない』のが要点です。

専用実施権を設定すると、専用実施権者が設定範囲内で実施を専有するため、その範囲では特許権者自身も特許発明を実施できなくなる(特許法77条2項。この点が非独占的な通常実施権と異なる)。また、特許権が共有のときは、各共有者は他の共有者の同意を得なければその持分を譲渡できない(同73条1項)。専用実施権の『専有』の効果と、共有持分の処分制限という、特許権の利用・共有に関する二つの重要論点を押さえる。

20特許権侵害における損害額の推定

特許権侵害による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権侵害による損害賠償請求において、侵害者がその侵害行為により利益を受けているときは、その利益の額が特許権者の受けた損害の額と推定される。
  • 特許権者は、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額(実施料相当額)に相当する額を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
損害額の推定(根拠:特許法第102条第2項
正しい
立証負担の軽減(根拠:特許法第102条第3項

損害額の立証が難しいので、推定規定で助けられます。

特許権侵害による損害は立証が難しいため、特許法は立証を助ける規定を置く。侵害品の譲渡数量に基づく算定(102条1項)、侵害者が侵害行為により受けた利益の額を特許権者の損害額と推定する規定(同条2項)、実施に対し受けるべき金銭の額(実施料相当額)を損害額として請求できる規定(同条3項)である。不正競争防止法5条と同様の構造で、権利者の立証負担を軽減する。

21損害額の推定(総合)

特許権侵害による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権侵害による損害賠償請求では、侵害者がその侵害行為により利益を受けていても、その利益額を特許権者の損害額と推定する規定はない。
  • 特許権者は、実施料相当額を自己が受けた損害の額として賠償請求することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
推定規定(根拠:特許法第102条第2項
誤り
実施料相当額(根拠:特許法第102条第3項

「推定規定はない」「実施料は請求できない」はどちらも誤りです。

特許権侵害の損害賠償では、立証困難を緩和する規定が複数ある。侵害者がその侵害行為により利益を受けているときは、その利益額が特許権者の損害額と推定され(特許法102条2項)、また特許権者は実施料相当額を自己の損害額として賠償請求できる(同条3項)。さらに譲渡数量に基づく算定(同条1項)もある。これらにより、損害額を立証しきれない場合でも一定の賠償を受けやすくなっている。

22出願公開後の補償金請求権

出願公開の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許出願人は、出願公開後に発明の内容を記載した書面を提示して警告等をしたときは、設定登録前に業としてその発明を実施した者に対し、実施料相当額の補償金の支払を請求することができる。
  • この補償金請求権は、特許権の設定の登録があった後でなければ、行使することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
補償金請求権(根拠:特許法第65条第1項
正しい
行使時期(根拠:特許法第65条第2項

出願公開から登録までの間の実施にも、補償金で対応できます。

特許権は設定登録で発生するため、出願公開から登録までの間に第三者が発明を実施しても、本来は権利侵害として差し止められない。そこで、特許出願人は、出願公開後に発明内容を記載した書面を提示して警告をした(又は相手が出願に係る発明と知っていた)ときは、設定登録前の実施者に対し実施料相当額の補償金を請求できる(特許法65条1項)。ただし、この補償金請求権は特許権の設定登録があった後でなければ行使できない(同条2項)。

23補償金請求権(総合)

出願公開後の補償金請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 出願公開後の補償金請求権は、特許権の設定の登録前であっても、行使することができる。
  • 出願公開後に第三者が発明を業として実施しても、特許出願人は補償金を請求することはできない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
行使時期(根拠:特許法第65条第2項
誤り
補償金請求権(根拠:特許法第65条第1項

「請求できない」「登録前に行使できる」はどちらも誤りです。

出願公開(特許法64条)後・設定登録前の第三者の実施に対しては、警告等を条件に実施料相当額の補償金を請求できる(同65条1項)。ただし、特許権が未だ発生していないため、この補償金請求権は特許権の設定登録があった後でなければ行使できない(同条2項)。出願が拒絶・放棄等となれば請求権は初めから生じなかったものとみなされる。補償金請求権の発生(公開+警告等)と行使(登録後)の区別を押さえる。

24拒絶査定不服審判

拒絶査定不服審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 拒絶をすべき旨の査定を受けた者は、その査定に不服があるときは、その査定の謄本の送達があった日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求することができる。
  • 拒絶査定に不服がある者は、期間の制限なく、いつでも拒絶査定不服審判を請求することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
不服申立て(根拠:特許法第121条第1項
誤り
期間制限(根拠:特許法第121条第1項

拒絶されても、3月以内なら審判で争えます。

特許出願が審査官により拒絶査定を受けた場合、出願人はこれに不服があるときは、その査定の謄本の送達があった日から3月以内に拒絶査定不服審判を請求できる(特許法121条1項)。これは特許庁内部での不服申立手続である。期間内に請求しないと査定が確定する。なお、責めに帰すことができない理由で期間内に請求できない場合の救済もある(同条2項)。

25特許権等を目的とする質権

特許権等を目的とする質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許権を目的として質権を設定した場合、質権者は、契約に別段の定めがなくても、当該特許発明を実施することができる。
  • 特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該特許発明を実施することができない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
質権者の実施(根拠:特許法第95条
正しい
実施制限(根拠:特許法第95条

特許権に質権を取っても、質権者は勝手に発明を実施できません。

特許権・専用実施権・通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該特許発明を実施することができない(特許法95条)。質権は担保のための権利であり、質権者が当然に特許発明を実施できるわけではない。実施したい場合は契約で別段の定めを置く必要がある。担保権としての質権の性質を押さえる。

26特許出願の分割

特許出願の分割に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 特許出願人は、一定の場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。
  • 分割出願をした場合、新たな特許出願は、その分割の手続をした日に出願されたものとして扱われる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
分割出願(根拠:特許法第44条第1項
誤り
出願日の遡及(根拠:特許法第44条第2項

分割した出願は『元の出願日』が維持されます。

特許出願人は、補正可能な時期や査定謄本送達後一定期間内などの一定の場合に限り、二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる(分割出願。特許法44条1項)。重要なのは、適法な分割出願は、もとの特許出願の時にしたものとみなされる点である(同条2項。出願日の遡及)。これにより新規性・進歩性等の判断基準時が元の出願日となり、出願人に有利に働く。

27特許出願等に基づく優先権(国内優先権)

国内優先権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 国内優先権の主張は、先の出願の日から3年以内にされた特許出願について認められる。
  • 特許を受けようとする者は、一定の場合を除き、自己の先の出願に記載された発明に基づいて優先権を主張することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
1年の期間(根拠:特許法第41条第1項
正しい
優先権(根拠:特許法第41条第1項

国内優先権は『先の出願から1年以内』が原則です。

国内優先権制度は、自己の先の特許出願又は実用新案登録出願に記載された発明を基礎に、改良発明等を加えてまとめて出願し、先の出願の時を基準に新規性等の判断を受けられる制度である(特許法41条1項)。優先権の主張は、原則として先の出願の日から1年以内にされた特許出願について認められる(同項1号)。パリ条約による優先権(外国出願基礎)と並ぶ、出願戦略上重要な制度である。

28分割出願・国内優先権(総合)

特許出願に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 分割出願をした新たな特許出願は、分割の手続をした日に出願されたものとみなされる。
  • 国内優先権の主張は、原則として先の出願の日から1年以内にされた特許出願について認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
出願日の遡及(根拠:特許法第44条第2項
正しい
1年の期間(根拠:特許法第41条第1項

分割は『元の出願日』維持、国内優先は『1年以内』が要点です。

特許の出願戦略に関わる二制度を整理する。分割出願は、二以上の発明を包含する出願の一部を新たな出願とするもので、適法な分割出願はもとの特許出願の時にしたものとみなされる(出願日の遡及。特許法44条2項)。国内優先権は、自己の先の出願に基づいて優先権を主張する制度で、原則として先の出願の日から1年以内の出願について認められる(同41条1項1号)。出願日の扱いと期間という、それぞれの要点を押さえる。

29パリ条約による優先権

パリ条約による優先権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • パリ条約による優先権を主張しようとする者は、その旨や最初の出願をした同盟国の国名・出願年月日を記載した書面を、所定の期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
  • パリ条約による優先権の主張には、何らの手続も必要なく、当然に優先権が認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
優先権の手続(根拠:特許法第43条第1項
誤り
手続の必要(根拠:特許法第43条第1項

外国出願を基礎にした優先権には手続が要ります。

パリ条約による優先権は、同盟国でした第一国出願に基づき、原則1年以内に他の同盟国に出願すれば、新規性・進歩性等の判断を第一国出願時を基準に受けられる制度である。これを主張しようとする者は、その旨や最初の出願をした同盟国の国名・出願年月日を記載した書面を、経済産業省令で定める期間内に特許庁長官に提出しなければならない(特許法43条1項)。優先権証明書類等の提出も必要で、手続を欠くと優先権の効果を受けられない。国内優先権(41条)と対比される。