問1パリ条約による優先権と外国人の権利の享有(相互主義)
知的財産に関する条約・国際的な取扱いについての次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.パリ条約による優先権を主張しようとする者は、その旨並びに最初に出願をしたパリ条約の同盟国の国名及び出願の年月日を記載した書面を、所定の期間内に特許庁長官に提出しなければならない。
- イ.日本国内に住所又は居所を有しない外国人は、その者の属する国が日本国民に対し自国民と同一の条件により権利の享有を認めている場合(相互主義)であっても、日本で特許権を享有することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 優先権主張の手続=同盟国の国名・出願日等を記載した書面を提出
特許法第43条第1項「パリ条約第四条D(1)の規定により特許出願について優先権を主張しようとする者は」e-Gov原文
特許法第43条第1項「特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 相互主義(同一条件で享有を認める国)の外国人は享有可 → 『できない』は誤り
特許法第25条「次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない」e-Gov原文
特許法第25条第1号「日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき」e-Gov原文
ひっかけ外国人は原則享有不可。だが相互主義を認める国の国民なら、その例外で享有できる。
解説アはパリ優先権を主張する手続そのもので、最初に出願した同盟国の国名と出願年月日を記した書面を所定期間内に特許庁長官へ出す(特許法43条1項)という条文どおりだから正しい。イは、日本に住所も居所もない外国人は原則として特許権を享有できないが、その者の属する国が日本国民に同一条件で権利の享有を認めているとき(相互主義、25条1号)は享有できる、という例外を無視している。条件が満たされていれば享有できるのだから、『享有することはできない』と言い切るイは誤り。よってアー正・イー誤。
補足25条は享有できる場合を3号まで並べており、相互主義(1号)のほか条約に別段の定めがあるとき(3号)も享有できる。
問2条約により保護を受ける著作物とベルヌ条約の無方式主義
著作権の国際的な保護についての次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作権法による保護を受ける著作物は、日本国民の著作物及び最初に国内で発行された著作物に限られ、条約により我が国が保護の義務を負う著作物は含まれない。
- イ.著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない(無方式主義)。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 条約による保護義務を負う著作物も含まれる → 『含まれない』は誤り
著作権法第6条第3号「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」e-Gov原文
- イ.正しい
- 権利の享有にいかなる方式の履行も要しない
著作権法第17条第2項「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない」e-Gov原文
ひっかけ保護される著作物は国内発の2種類だけではない。条約経由の3号目が抜けている。
解説アは保護対象を『日本国民の著作物』と『最初に国内で発行された著作物』だけに絞り込んでいるが、著作権法6条はもう一つ、条約により我が国が保護の義務を負う著作物(3号)を挙げている。条約経由の著作物も保護されるので、これを締め出すアは誤り。イは無方式主義の条文そのもので、著作者人格権・著作権の享有にいかなる方式の履行も要しない(17条2項)という記述どおりだから正しい。したがってアー誤・イー正。
補足無方式主義はベルヌ条約に由来し、同条約は無方式主義と内国民待遇を二本柱とする。
問3マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願の手続
商標の国際登録出願についての次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.標章の国際登録を受けようとする者は、特許庁長官に対し、特許庁に係属している自己の商標登録出願又は自己の商標登録を基礎として国際登録出願をしなければならない。
- イ.国際登録出願をしようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、外国語で作成した願書及び必要な書面を提出しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 自己の基礎出願・基礎登録を基礎に、特許庁長官に対して国際登録出願
商標法第68条の2第1項「特許庁長官に次の各号のいずれかを基礎とした」e-Gov原文
商標法第68条の2第1項第1号「特許庁に係属している自己の商標登録出願又は防護標章登録出願」e-Gov原文
- イ.正しい
- 国際登録出願の願書及び必要な書面は外国語で作成して提出
商標法第68条の2第2項「外国語で作成した願書及び必要な書面を提出しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ国際登録出願は本国官庁を通し、基礎となる自分の出願・登録の上に乗せ、願書は外国語で出す。
解説標章の国際登録を受けたい者は、特許庁に係属中の自己の商標登録出願(防護標章登録出願を含む)または自己の登録を基礎として、特許庁長官に対し国際登録出願をする(商標法68条の2第1項)。アはこの基礎要件どおりで正しい。イも、その願書と必要書面は経済産業省令の定めにより外国語で作成して提出する(同条2項)という言語要件どおりで正しい。基礎出願・登録があること、本国官庁である特許庁を経由すること、願書が外国語であること、これらが揃うのがマドプロ出願で、アー正・イー正。
補足国際登録は登録日から5年間は基礎出願・登録に従属し、その間に基礎が失効すると国際登録も取り消される(セントラルアタック)。
問4特許協力条約(PCT)国際出願の効果と優先権証明書類
特許の国際的な出願についての次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許協力条約に基づき日本国を指定国に含む国際出願(特許出願に係るもの)がされても、改めて日本に特許出願をし直さない限り、日本において特許出願として扱われることはない。
- イ.パリ条約による優先権を主張した者は、優先権証明書類等を特許庁長官に提出する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 日本を指定する国際出願は国際出願日にされた特許出願とみなされる
特許法第184条の3第1項「その国際出願日にされた特許出願とみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 優先権証明書類等を特許庁長官に提出する必要がある
ひっかけ日本指定の国際出願は出し直し不要でみなし出願になる。一方、優先権証明書類の提出は省けない。
解説アは、日本を指定国に含む国際出願でも改めて日本に出願し直さない限り特許出願として扱われない、と述べるが、日本を指定する所定の国際出願はその国際出願日にされた特許出願とみなされる(特許法184条の3第1項)。出願し直しは不要なのでアは誤り。イは、パリ優先権を主張した者は優先権証明書類等を出さなくてよい、とするが、所定期間内に証明書類等を特許庁長官へ提出しなければならない(43条2項)。提出は必要だからイも誤り。アー誤・イー誤となる。
補足みなされても自動では進まず、外国語の国際出願は優先日から所定期間内に翻訳文・国内書面を出す国内移行手続が別途いる(184条の4・184条の5)。
問5条約による外国人の権利の享有と著作権の発生
知的財産の国際的な保護についての次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.日本国内に住所又は居所を有しない外国人であっても、条約に別段の定めがあるときは、特許権その他特許に関する権利を享有することができる。
- イ.著作者は、著作者人格権及び著作権を享有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 25条3号が条約による例外を定める
特許法第25条「次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 17条1項が著作者の権利享有を定める
著作権法第17条「著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する」e-Gov原文
ひっかけ外国人の特許権享有は3類型(相互主義・準相互主義・条約)のいずれかに該当する場合に限られる。
解説特許法25条は、外国人が日本で特許権等を享有できる場合を、①相互主義、②準相互主義、③条約の定め、の3類型で限定列挙する(各号)。著作権法17条1項は、著作者人格権(18〜20条)と著作権(21〜28条)を包括的に「著作者の権利」として定める規定である。
補足著作者人格権・著作権のいずれも、享有には方式の履行を要しない(無方式主義、17条2項)。
問6条約の効力(特許法)
条約の効力(特許法)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による。
- イ.特許に関する条約の定めは、国内法上いかなる場合も参照されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文どおり
特許法第26条「条約に別段の定があるときは、その規定による」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
特許法第26条「条約に別段の定があるときは、その規定による」e-Gov原文
ひっかけ国内法だけが基準で条約は関係ない、と考えるとイを正しいと誤る。特許に関する条約に別段の定めがあればその規定が優先する。
解説特許に関し条約に別段の定めがあるときは、その規定による(特許法26条)。アはこのとおりで正しい。国内法(特許法)は条約の定めを排除するものではなく、条約が優先する場面があるので、「条約の定めは国内法上いかなる場合も参照されない」とするイは誤り。
補足知的財産の分野では、パリ条約・特許協力条約(PCT)・TRIPS協定など多くの条約があり、国内法はこれらと整合するように運用される。26条は条約優先を明文で確認した規定である。
問7外国人の特許権享有(相互主義)
外国人の特許権享有(相互主義)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.日本国内に住所又は居所を有しない外国人は、その者の属する国の法制度にかかわらず、常に日本国民と同一の条件で特許に関する権利を享有することができる。
- イ.日本国内に住所又は居所を有しない外国人は、その者の属する国において日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているときは、日本において特許に関する権利を享有することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 25条柱書が例外事由への該当を要件とする
特許法第25条「次の各号の一に該当する場合を除き、特許権その他特許に関する権利を享有することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 25条1号が相互主義を定める
特許法第25条「その者の属する国において、日本国民に対しその国民と同一の条件により特許権その他特許に関する権利の享有を認めているとき」e-Gov原文
ひっかけ権利享有は原則不可・例外的に3類型のいずれかで可、という構造。
解説特許法25条は原則として外国人の特許権等の享有を制限し、例外的に①相互主義(1号)、②準相互主義(2号)、③条約の定め(3号)のいずれかに該当する場合にのみ享有を認める構造である。原則と例外の関係を正確に理解することが重要。
補足実務上は、パリ条約等の多数国間条約により、加盟国間で相互に権利享有が認められているケースが大半である。
問8パリ条約優先権主張書面
パリ条約優先権主張書面に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.パリ条約による優先権を主張しようとする者は、優先権証明書類等を最初の出願の日から6月以内に特許庁長官に提出しなければならない。
- イ.優先権主張は、特許庁長官への書面提出なしに口頭だけで常に有効となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 43条2項が提出期限を定める
特許法第43条「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内に特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ優先権主張の書面提出(43条1項)と証明書類の提出期限(1年4月以内、43条2項)は別の手続。
解説パリ条約優先権の主張には、①最初の出願の国名・年月日等を記載した書面の提出(43条1項)、②優先権証明書類等の最先の日から1年4月以内の提出(43条2項)という、2段階の書面手続が必要である。期限を混同しないよう注意。
補足証明書類等が期限内に提出されなかった場合、優先権の主張はその効力を失う(43条4項)。
問9優先期間経過後の優先権主張
優先期間経過後の優先権主張に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一定の場合には、優先期間経過後であってもパリ条約の例により優先権を主張できる。
- イ.優先期間経過後の優先権主張は、故意に優先期間内に出願をしなかったと認められる場合には認められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 43条の2第1項本文が救済規定を定める
特許法第43条の2「優先期間の経過後であつても、同条の規定の例により、その特許出願について優先権を主張することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 43条の2第1項ただし書が故意による場合を除外する
特許法第43条の2「故意に、優先期間内にその特許出願をしなかつたと認められる場合は、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ経過後救済には「故意でないこと」という主観的要件がある。
解説優先期間経過後の優先権主張の救済(43条の2)は、①経済産業省令で定める期間内の出願、②故意に優先期間内に出願しなかったのではないこと、という2つの要件を満たす場合に限り認められる。「故意でない」ことの立証が実務上のポイントとなる。
補足この救済規定は、パリ条約の1999年改正(優先期間の回復に関する規定の国内法化)を受けて整備されたものである。
問10WTO加盟国等に基づく優先権
WTO加盟国等に基づく優先権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一定のWTO加盟国等でされた出願に基づく優先権は、パリ条約4条の例により主張できる。
- イ.WTO加盟国における出願に基づく優先権は、特許法上いかなる場合も主張できない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文どおり
特許法第43条の3第1項「パリ条約第四条の規定の例により」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
特許法第43条の3第1項「パリ条約第四条の規定の例により」e-Gov原文
ひっかけパリ条約の同盟国以外なら優先権は使えない、と考えるとイを正しいと誤る。WTO加盟国の出願にもパリ条約の例で主張できる。
解説一定のWTO加盟国等でされた出願に基づく優先権は、パリ条約4条の規定の例により主張することができる(特許法43条の3第1項)。アはこのとおりで正しい。パリ条約の同盟国でなくてもWTO加盟国等なら優先権を主張できるので、「特許法上いかなる場合も主張できない」とするイは誤り。
補足WTO協定(TRIPS協定)は、加盟国国民にパリ条約と同様の優先権を認めることを求めており、43条の3はこれを国内法に取り込んだ規定である。
問11PCT国際出願の国内出願みなし
PCT国際出願の国内出願みなしに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.日本を指定国に含むPCT国際出願は、国際出願日にかかわらず、日本国内での翻訳文提出の日にされた特許出願とみなされる。
- イ.国際特許出願とみなされた出願については、パリ条約による優先権主張の手続を定める特許法第43条の規定は適用されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 184条の3第1項がみなし規定を定める
特許法第184条の3「その国際出願日にされた特許出願とみなす」e-Gov原文
- イ.正しい
- 184条の3第2項が43条の適用除外を定める
特許法第184条の3「国際特許出願」という。)については、第四十三条(第四十三条の二第二項(第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ国際特許出願では国内出願の優先権主張手続(43条)は不要(適用除外)。
解説国際特許出願は、①国際出願日に特許出願とみなされる(1項)とともに、②通常の国内出願で必要な43条の優先権主張手続は不要とされる(2項)。国際出願の枠組み内で優先権に関する情報が既に国際事務局を通じて処理されているため、重複手続を避ける趣旨である。
補足184条の3第2項は、43条の2(経過後救済)・43条の3(WTO加盟国等の優先権)が準用する43条の規定にも及ぶ点に注意。
問12外国語特許出願の翻訳文提出
外国語特許出願の翻訳文提出に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.外国語特許出願の出願人は、国際出願日から1年以内に日本語による翻訳文を特許庁長官に提出しなければならない。
- イ.外国語特許出願では、日本語翻訳文を提出する必要は一切ない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 184条の4第1項が国内書面提出期間を定める
特許法第184条の4「優先日(以下「優先日」という。)から二年六月(以下「国内書面提出期間」という。)以内に、前条第一項に規定する国際出願日(以下「国際出願日」という。)における条約第三条(2)に規定する明細書、請求の範囲、図面(図面の中の説明に限る。以下この条において同じ。)及び要約の日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 184条の4第1項が翻訳文提出義務を定める
特許法第184条の4「日本語による翻訳文を、特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ翻訳文提出期限の起算点は「国際出願日」ではなく「優先日」。
解説外国語特許出願の翻訳文提出期限(国内書面提出期間)は、国際出願日からではなく「優先日から2年6月」で計算される点に注意。優先日は最初の出願日を基準とするため、国際出願日より早い時点から起算されることが多い。
補足翻訳文提出特例期間(184条の4第1項ただし書)により、一定の条件下では期間満了後も翻訳文提出が可能な救済がある。
問13国際特許出願の国内書面
国際特許出願の国内書面に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に所定事項を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない。
- イ.特許庁長官は、国内書面提出期間内に所定の書面が提出されないときは、相当の期間を指定して手続の補正をすべきことを命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 184条の5第1項が国内書面の提出義務を定める
特許法第184条の5「国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面を特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 184条の5第2項が補正命令を定める
特許法第184条の5「相当の期間を指定して、手続の補正をすべきことを命ずることができる」e-Gov原文
ひっかけ国内書面の未提出は、いきなり却下ではなく補正命令を経る段階的な手続。
解説国際特許出願の出願人は、国内書面提出期間内に出願人・発明者の氏名等を記載した書面を提出する義務を負い(184条の5第1項)、これを怠ると特許庁長官から補正命令を受け(同条2項)、なお補正しない場合は出願が却下され得る(同条3項)という段階的な手続構造になっている。
補足補正命令の対象には、書面未提出のほか代理権欠如(7条等違反)や方式違反、手数料未納付も含まれる(184条の5第2項各号)。
問14国際出願の願書等の効力
国際出願の願書等の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際特許出願に係る国際出願日の願書は、特許法36条1項により提出した願書とみなされる。
- イ.国際出願日の願書は、国内法上の願書として一切扱われない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文どおり
特許法第184条の6第1項「願書は、第三十六条第一項の規定により提出した願書とみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件・効果のすり替え
特許法第184条の6第1項「願書は、第三十六条第一項の規定により提出した願書とみなす」e-Gov原文
ひっかけ国際出願の願書は国内の願書として扱われない、と考えるとイを正しいと誤る。36条1項の願書とみなされる。
解説国際特許出願に係る国際出願日における願書は、特許法36条1項の規定により提出した願書とみなされる(特許法184条の6第1項)。アはこのとおりで正しい。国内法上の願書として扱われるので、「国内法上の願書として一切扱われない」とするイは誤り。
補足同様に、国際出願日における明細書・請求の範囲・図面の翻訳文は、願書に添付して提出した明細書などとみなされる(同条2項)。国際出願の書類が国内出願の書類に読み替えられる。
問15国際公開後の補償金請求
国際公開後の補償金請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際特許出願に係る発明については、警告をした場合であっても、補償金の支払を請求することはできない。
- イ.日本語特許出願については国際公開があった後に、警告をせずとも、当該発明であることを知って特許権の設定登録前に業として実施した者に対しては、補償金の支払を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 184条の10第1項前段が補償金請求権を定める
特許法第184条の10「国際特許出願の出願人は、日本語特許出願については国際公開があつた後に、外国語特許出願については国内公表があつた後に、国際特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 184条の10第1項後段が悪意実施者への請求権を定める
特許法第184条の10「当該警告をしない場合においても、日本語特許出願については国際公開がされた国際特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に...業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ補償金請求権は「警告後の実施」と「悪意による実施」の2つのルートで発生する。
解説国際特許出願の補償金請求権(184条の10)は、①発明内容を記載した書面による警告後の実施(前段)と、②警告なしでも当該発明であることを知って(悪意で)実施した場合(後段)の2ルートで発生する。悪意の実施者には警告という前置手続を要しない点が特徴的である。
補足この補償金請求権の行使には、特許法65条2項〜6項(出願公開に基づく補償金請求権の規定)が準用される(184条の10第2項)。
問16国際登録出願の基礎
国際登録出願の基礎に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際登録出願をすることができるのは日本国民に限られ、日本国内に住所を有する外国人はすることができない。
- イ.国際登録出願は、国内の基礎出願等と無関係に誰でも自由にできる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 68条の2第1項柱書が出願主体を定める
商標法第68条の2「日本国民又は日本国内に住所若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人であつて標章の国際登録に関するマドリッド協定の千九百八十九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書(以下「議定書」という。)第二条(1)に規定する国際登録(以下「国際登録」という。)を受けようとする者は」e-Gov原文
- イ.誤り
- 68条の2第1項各号が基礎出願等の要件を定める
商標法第68条の2「特許庁長官に次の各号のいずれかを基礎とした」e-Gov原文
ひっかけ国際登録出願の主体要件は「国籍」だけでなく「住所・居所」でも満たせる。
解説国際登録出願の主体要件は「日本国民又は日本国内に住所・居所(法人は営業所)を有する外国人」であり(68条の2第1項柱書)、単なる国籍要件ではなく属地的な結びつきも認められる。また、出願には国内の商標登録出願又は商標登録のいずれかを基礎とする必要がある(同項各号、マドリッドプロトコルのセントラルアタック制度の前提)。
補足この基礎出願・基礎登録の要件は、マドリッドプロトコルにおける「本国官庁」の考え方に対応する。
問17国際登録出願の願書言語
国際登録出願の願書言語に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際登録出願をしようとする者は、外国語で作成した願書及び必要書面を提出しなければならない。
- イ.国際登録出願の願書には、国際登録出願に係る商標の保護を求める議定書の締約国の国名を記載しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 68条の2第2項が外国語願書の提出を定める
商標法第68条の2「外国語で作成した願書及び必要な書面を提出しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 68条の2第3項1号が願書記載事項を定める
商標法第68条の2「国際登録出願に係る商標の保護を求める議定書の締約国の国名」e-Gov原文
ひっかけ国際登録出願の願書には「保護を求める締約国」を明示する必要がある。
解説国際登録出願の願書は外国語で作成し(2項)、保護を求める議定書締約国の国名(3項1号)及び保護を求める商品・役務並びに区分(3項2号)を記載しなければならない。指定国を明示することで、その国での保護範囲が定まる仕組みである。
補足色彩を付した商標について議定書3条3項の適用を受けようとする場合は、その旨と色彩を願書に記載し、色彩を付した商標の写しを添付する(68条の2第4項)。
問18国際登録に基づく商標権の存続期間
国際登録に基づく商標権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際登録に基づく商標権の存続期間は、その国際登録の日等から10年をもって終了する。
- イ.国際登録に基づく商標権の存続期間は、国内出願日から一律20年で終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
ひっかけ商標権の存続期間を国内出願日から20年と混同するとイを正しいと誤る。国際登録に基づく商標権は国際登録の日等から10年。
解説国際登録に基づく商標権の存続期間は、その国際登録の日(更新後は更新の日)から10年をもって終了する(商標法68条の21第1項)。アはこのとおりで正しい。基準は国際登録の日で期間は10年なので、「国内出願日から一律20年で終了する」とするイは誤り。
補足通常の国内商標権の存続期間も設定登録の日から10年で、更新登録により何度でも更新できる(19条)。商標権は更新により半永久的に存続しうる点が特色である。
問19国際登録取消し後の再出願
国際登録取消し後の再出願に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.国際登録が取り消された場合、元名義人が商標登録出願をできる期間に制限はない。
- イ.国際登録取消し後の商標登録出願は、当該国際登録が取り消された日から3月以内にされたものであること等の要件を満たすときは、当該国際登録の国際登録の日にされたものとみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 68条の32第2項1号が3月の期間制限を定める
商標法第68条の32「前項の商標登録出願が同項の国際登録が取り消された日から三月以内にされたものであること」e-Gov原文
- イ.正しい
- 68条の32第2項柱書がみなし規定を定める
商標法第68条の32「前項の規定による商標登録出願は、次の各号のいずれにも該当するときは、同項の国際登録の国際登録の日」e-Gov原文
ひっかけ出願自体(1項)とみなし出願日の付与(2項)は別の要件構造。
解説国際登録取消し後の商標登録出願は、元名義人であれば商品・役務の全部又は一部について出願自体は可能だが(68条の32第1項)、国際登録の日という有利な出願日のみなしを受けるには、①3月以内の出願、②同一商標、③指定商品・役務の範囲内、という3要件をすべて満たす必要がある(同条2項各号)。要件を欠くと通常の出願日が基準となる。
補足やむを得ない理由により3月の期間内に出願できないときは、理由消滅後14日(在外者は2月)以内かつ期間経過後6月以内の救済がある(68条の32第6項)。
問20条約により保護される著作物
条約により保護される著作物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.著作物が著作権法による保護を受けるための要件は、日本国民の著作物であることのみであり、最初に国外で発行された著作物や条約により保護義務を負う著作物は一切保護を受けない。
- イ.条約により保護義務を負う著作物は、国内著作権法で一切保護されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 6条各号が3つの保護要件を定める
著作権法第6条「著作物は、次の各号のいずれかに該当するものに限り、この法律による保護を受ける」e-Gov原文
- イ.誤り
- 6条3号が条約由来の著作物を保護対象とする
著作権法第6条「条約によりわが国が保護の義務を負う著作物」e-Gov原文
ひっかけ著作権法の保護要件は3類型のうちいずれか一つへの該当で足りる(累積要件ではない)。
解説著作権法6条は、著作物が保護を受ける要件を、①属人主義(日本国民の著作物、1号)、②最初発行地主義(最初に国内で発行、2号)、③条約主義(条約によりわが国が保護義務を負う、3号)の3類型で定める。いずれか一つに該当すれば保護を受ける選択的な要件である。
補足③の条約主義は、ベルヌ条約・TRIPS協定等の多数国間条約により、外国の著作物にも内国民待遇を及ぼす根拠となる。