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著作権法・第4

著作権法の問題(41問)

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著作権は、権利の重なりと利用許諾を切り分ける

著作権法を深く問う、2級で最も収録の多い章(41問)です。二次的著作物と原著作者の権利、著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)の一身専属性、侵害とみなす行為、利用の許諾と利用権、保護期間、権利の目的とならない著作物、損害額の推定、私的複製の除外を収録しています。権利の重なり合いと例外を、条文の文言に沿って切り分ける力が問われます。

第4章は著作権法の中心章です。二次的著作物、原著作者の権利、人格権、侵害とみなす行為、利用許諾、損害額の推定を一つずつ分けます。

  • 二次的著作物では原著作者の権利も問題になる。
  • 著作者人格権は一身専属で譲渡できない。
  • 利用許諾は契約で認められた範囲を超えられない。

この章で確認する論点

4章では、私的使用のための複製・教科用図書への掲載・二次的著作物の利用に関する原著作者の権利・公表権・同一性保持権・氏名表示権を中心に41問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

著作権法を他資格と横断して確認する場合は、知的財産法を学べる資格と無料問題も使えます。

  • 翻案物の利用には、二次的著作物の著作者と原著作者の両方の許諾が要る。アもイも原著作者の権利を見落としており両方誤り。
  • 公表するかを決める権利と、勝手に改変されない権利は、どちらも著作者人格権です。
  • 利用者は、著作者が既に出している名義をそのまま使えます。無名固定ではありません。

この章で扱う条文

収録問題の解説が根拠として引用している条文の一覧です。リンク先はe-Gov法令検索の原文(解説内では該当箇所を逐語引用しています)。

著作権法10条13条14条17条18条19条20条21条24条26条28条30条32条33条34条35条36条38条51条59条60条61条62条63条67条68条69条90条92条113条114条116条

問題と解説を読む41問・答え付き

答え・解説つきで41問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2025年12月時点の法令に準拠
1二次的著作物の利用に関する原著作者の権利

二次的著作物の原著作物の著作者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 二次的著作物の原著作物の著作者は、その二次的著作物の利用に関して、何らの権利も有しない。
  • 二次的著作物を利用する場合、二次的著作物の著作者の許諾を得れば足り、原著作物の著作者の許諾は不要である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
原著作者の権利

著作権法第28条二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有するe-Gov原文

誤り
二重の許諾

著作権法第28条二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有するe-Gov原文

ひっかけ翻案物の利用には、二次的著作物の著作者と原著作者の両方の許諾が要る。アもイも原著作者の権利を見落としており両方誤り。

解説二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する(著作権法28条)。アは原著作者が『何らの権利も有しない』とするが、28条がまさに権利を与えているので誤り。そして原著作者が二次的著作物の著作者と同じ権利を持つ以上、二次的著作物を利用するには二次的著作物の著作者の許諾だけでは足りず、原著作物の著作者の許諾も必要になる。よってイの『原著作物の著作者の許諾は不要』も誤り。小説を映画化した作品を利用する場面では、映画の著作者と原作小説の著作者の双方の許諾が要る。

補足原著作者が持つのは二次的著作物の著作者と『同一の種類』の権利で、各自が独立に行使できる。一方の許諾だけでは適法にならず、二重の許諾を要する点がこの条文の核心。

2公表権・同一性保持権

著作者人格権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者は、まだ公表されていない著作物を公衆に提供し、又は提示する権利(公表権)を有する。
  • 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更・切除その他の改変を受けない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
公表権

著作権法第18条第1項公衆に提供し、又は提示する権利を有するe-Gov原文

正しい
同一性保持権

著作権法第20条第1項著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとするe-Gov原文

ひっかけ公表するかを決める権利と、勝手に改変されない権利は、どちらも著作者人格権です。

解説著作者人格権は、著作者の人格的利益を守る権利で、公表権・氏名表示権・同一性保持権から成る。公表権は、まだ公表されていない著作物(同意を得ずに公表されたものを含む)を公衆に提供・提示する権利であり(著作権法18条1項)、アはこの定義どおりで正しい。同一性保持権は、著作物及びその題号の同一性を保持し、その意に反する変更・切除その他の改変を受けない権利で(同20条1項)、イもこの条文どおりで正しい。よって『アー正、イー正』。著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡できない(同59条)。

補足同一性保持権には例外がある。プログラムのバグ修正や機種への適応に必要な改変(20条2項3号)、利用の目的・態様に照らしやむを得ない改変(同4号)には及ばない。

3氏名表示権

氏名表示権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供・提示に際し、実名・変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利(氏名表示権)を有する。
  • 著作物を利用する者は、著作者の別段の意思表示がない限り、著作者が既に表示しているところに従って著作者名を表示することはできず、常に無名で利用しなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
氏名表示権

著作権法第19条第1項その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有するe-Gov原文

誤り
既存表示の踏襲

著作権法第19条第2項その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができるe-Gov原文

ひっかけ利用者は、著作者が既に出している名義をそのまま使えます。無名固定ではありません。

解説氏名表示権は、著作者が、その著作物の原作品に、又は公衆への提供・提示に際し、実名・変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利である(著作権法19条1項)。名前を出すか出さないか、出すならどの名義かを著作者が決められるという内容で、アは正しい。利用者の側は、著作者の別段の意思表示がない限り、既に著作者が表示しているところに従って著作者名を表示できる(同条2項)。したがって常に無名でなければならないとするイは誤りで、『アー正、イー誤』となる。

補足著作者が創作者と主張する利益を害するおそれがなく、公正な慣行に反しないときは、利用者は著作者名の表示を省略できる(19条3項)。BGMでの作曲者名の省略などが典型。

4侵害とみなす行為

著作権法上の侵害とみなす行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 国内において頒布する目的をもって、輸入の時に国内で作成したとすれば著作権侵害となるべき行為によって作成された物を輸入する行為は、著作権を侵害する行為とみなされない。
  • 著作権を侵害する行為によって作成された物を、情を知って頒布し、又は頒布の目的をもって所持する行為は、著作権を侵害する行為とみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
みなし侵害(輸入)

著作権法第113条第1項国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為e-Gov原文

正しい
みなし侵害(頒布)

著作権法第113条第1項情を知つて、頒布し、頒布の目的をもつて所持しe-Gov原文

ひっかけ自分で複製しなくても、海賊版の輸入や事情を知った販売は侵害扱いになります。

解説著作権法113条は、直接の支分権侵害にあたらない一定の行為を侵害とみなす。国内頒布目的で、輸入時に国内で作成したとすれば侵害となるべき行為で作成された物(海賊版)を輸入する行為は、その1号で侵害とみなされる。よって侵害とみなされないとするアは誤り。侵害品を、情を知って頒布・頒布目的で所持・頒布の申出・業としての輸出等をする行為も2号で侵害とみなされるため、イは正しく、『アー誤、イー正』となる。このほかリーチサイト・リーチアプリによる侵害著作物への誘導や、アクセスコントロールの回避なども侵害とみなされる。

補足プログラムでは、違法複製物を業務上コンピュータで使う行為も、その使用権原を取得した時に情を知っていれば侵害とみなされる(113条5項)。使用そのものが対象になる例外。

5著作者人格権の一身専属性

著作者人格権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。
  • 著作者人格権は財産的権利であり、著作権(財産権)と一体として第三者に譲渡することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
一身専属

著作権法第59条著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができないe-Gov原文

誤り
譲渡不可

著作権法第59条著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができないe-Gov原文

ひっかけ著作者人格権は売買・譲渡の対象にならず、著作権を譲っても著作者に残ります。

解説著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない(著作権法59条)。だから、財産的権利として著作権と一体で第三者に譲渡できるとするイは誤り。アは59条そのままで正しい。著作権(財産権)を第三者に譲渡しても、公表権・氏名表示権・同一性保持権という著作者人格権は著作者のもとに残る。実務では、これを行使しない旨の不行使特約が用いられることがある。

補足譲渡できないだけでなく相続もされず、著作者の死後は人格的利益として保護され、原則として遺族が差止め等を請求できます(著作権法60条・116条)。

6著作物の利用の許諾

著作物の利用の許諾に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作物の利用許諾を得た者は、許諾に係る利用方法・条件の範囲を超えても、自由にその著作物を利用することができる。
  • 著作権者は他人にその著作物の利用を許諾でき、許諾を得た者は許諾に係る利用方法・条件の範囲内でその著作物を利用することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
範囲内利用

著作権法第63条第2項その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができるe-Gov原文

正しい
利用許諾

著作権法第63条第1項著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができるe-Gov原文

ひっかけライセンスを受けても使えるのは、許諾された利用方法・条件の範囲内に限られます。

解説著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる(著作権法63条1項。ライセンス)。許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、許諾に係る著作物を利用することができる(同条2項)。したがって、範囲を超えても自由に利用できるとするアは誤りで、許諾の仕組みを述べたイは正しい。許諾された利用方法・条件の範囲を超える利用は、許諾の外にあるため著作権侵害となる。

補足令和2年改正で新設された当然対抗制度により、被許諾者は著作権が第三者に譲渡されても利用権を主張でき、登録等の手続なしに利用を続けられます(著作権法63条の2)。

7利用権の譲渡・放送の許諾

著作物の利用許諾に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作物の利用許諾により取得した利用権は、著作権者の承諾を得なくても、自由に第三者に譲渡することができる。
  • 著作物の放送についての利用許諾には、契約に別段の定めがなくても、当然に当該著作物の録音・録画の許諾が含まれる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
利用権の譲渡制限

著作権法第63条第3項著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができないe-Gov原文

誤り
許諾範囲

著作権法第63条第4項当該著作物の録音又は録画の許諾を含まないものとするe-Gov原文

ひっかけ利用権の転売には著作権者の承諾が要り、放送の許諾に録音・録画は当然には含まれません。

解説利用権(許諾に基づき著作物を利用できる権利)は、著作権者の承諾を得ない限り譲渡することができない(著作権法63条3項)。だから承諾なしに自由に第三者へ譲渡できるとするアは誤り。また、著作物の放送・有線放送についての許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録音・録画の許諾を含まない(同条4項)。当然に録音・録画の許諾を含むとするイも誤り。許諾は範囲が限定的に解されるため、許諾されていない態様の利用には別途許諾が必要となる。

補足63条4項が録音・録画を切り分けるのは、放送による一回的な利用と、固定して反復利用できる録音・録画とで著作物への影響が異なるためで、別段の定めを置けば録音・録画も許諾範囲に含められます。

8著作権の保護期間と人格権

著作権・著作者人格権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作権の存続期間は、著作物が最初に公表された時に始まる。
  • 著作者人格権は、契約により第三者に譲渡することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
創作時起算

著作権法第51条第1項著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まるe-Gov原文

誤り
一身専属

著作権法第59条著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができないe-Gov原文

ひっかけ著作権は「公表時」ではなく創作時に始まり、著作者人格権は「譲渡できる」が誤りです。

解説著作権は、著作物の創作の時に始まる(著作権法51条1項。登録等を要しない無方式主義)。最初の公表時に始まるとするアは、起算点を取り違えており誤り。また著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない(同59条)から、契約で第三者に譲渡できるとするイも誤り。著作権(財産権)は創作時に自動的に発生して譲渡でき、原則として著作者の死後70年まで存続する(51条2項)のに対し、著作者人格権は譲渡不可で著作者に残る。

補足死後70年を起算点とするのは実名の著作物で、無名・変名の著作物や法人著作は、原則として公表後70年まで存続します(著作権法52条・53条)。

9権利の目的とならない著作物

著作権の目的とならない著作物に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 憲法その他の法令も著作物として著作権の目的となり、これを利用するには著作権者の許諾が必要である。
  • 裁判所の判決・決定・命令及び審判は、著作権の目的となる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
法令

著作権法第13条次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができないe-Gov原文

著作権法第13条憲法その他の法令e-Gov原文

誤り
判決等

著作権法第13条裁判所の判決、決定、命令及び審判e-Gov原文

ひっかけ法律も判決も著作権の対象外。どちらも許諾なしで使えるので、ア・イとも誤りになる。

解説アもイも誤り、という問題。憲法その他の法令は著作権の目的とならず(著作権法13条1号)、許諾なく利用できるから、法令の利用に許諾が要るとするアは誤り。裁判所の判決・決定・命令及び審判も同条3号で権利の目的とならないから、これらが目的となるとするイも誤り。13条は、国・地方公共団体等が発する告示・訓令・通達(同条2号)なども含め、国民に広く周知されるべき公共性の高いものを著作権の枠外に置く規定で、著作物に当たるかどうか以前に権利が成立しない点が特徴である。

補足13条で枠外になるのは法令・告示・判決等そのものであって、市販の判例集の解説や注釈など、それを編集・加工した人の創作部分には別途著作権が生じうる。

10複製権と権利の目的とならない著作物

著作権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
  • 憲法その他の法令や裁判所の判決等は、著作権の目的とならず、許諾なく利用することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
複製権

著作権法第21条著作者は、その著作物を複製する権利を専有するe-Gov原文

正しい
対象外の著作物

著作権法第13条次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができないe-Gov原文

ひっかけ複製権は著作権の中心。ただし法令・判決はその権利が及ぶ手前で枠外に置かれている。

解説著作者は、その著作物を複製する権利を専有する(複製権・著作権法21条)から、アは正しい。複製とは印刷・写真・録音・録画その他の方法による有形的再製を指し、支分権の中心に置かれる。一方、憲法その他の法令・告示・判決等は、著作物に当たっても著作権の目的とならず許諾なく使える(同13条)から、イも正しい。21条で権利が及ぶ著作物と、13条でそもそも権利が成立しない著作物という、対になる二つの条文を同時に問う形になっている。

補足複製には、講演を録音する・建築物を図面から建てるといった、形を変えた再製も含まれる(著作権法2条1項15号)。

11著作権侵害における損害額の推定

著作権侵害による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作権侵害による損害賠償では、侵害者が譲渡した侵害作成物の数量等に基づいて損害額を算定する規定はない。
  • 著作権侵害の損害額は、権利者が個別に立証しなければならず、推定・算定の特則は一切設けられていない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
損害額の算定

著作権法第114条第1項著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額e-Gov原文

誤り
立証負担の軽減

著作権法第114条第1項著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額e-Gov原文

ひっかけ著作権侵害にも、損害額の立証を助ける規定はちゃんとある。『ない』『一切ない』はどちらも誤り。

解説アもイも誤り。著作権侵害の損害賠償には、侵害者が譲渡した侵害作成物の数量に権利者の単位数量当たりの利益額を乗じて損害額を算定する規定(著作権法114条1項)があるから、そうした規定はないとするアは誤り。さらに、侵害者が侵害により受けた利益の額を損害額と推定する規定(同条2項)、使用料相当額を損害額として請求できる規定(同条3項)もあり、推定・算定の特則は一切ないとするイも誤り。損害額の立証は本来むずかしく、特許法102条と同型の軽減規定が著作権法にも置かれている、というのが本問の眼目である。

補足114条3項の使用料相当額は損害賠償の最低ラインを保障する趣旨で、実損がこれを上回るならその額の賠償を求めることも妨げられない。

12私的使用のための複製

私的使用のための複製に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは、原則としてその使用する者が複製することができる。
  • 私的使用のための複製であれば、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合であっても、自由に複製することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
私的複製

著作権法第30条第1項個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することe-Gov原文

著作権法第30条第1項その使用する者が複製することができるe-Gov原文

誤り
除外事由

著作権法第30条第1項公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器e-Gov原文

ひっかけ目的が私的使用でも、店頭の高速ダビング機を使えば例外に落ちる。

解説著作物は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(私的使用)を目的とするときは、原則としてその使用する者が複製できる(著作権法30条1項)。アはこの条文どおりで正しい。イは、私的使用目的なら公衆用の自動複製機器を使っても自由に複製できるとするが、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いる複製は30条1項1号で私的複製から除かれる。よってイは誤り。私的使用の目的があっても、使う機器によっては例外に落ちる。

補足除外はほかにも、技術的保護手段の回避によって可能になった複製を回避と知りつつ行う場合(30条1項2号)や、違法配信と知りながらの録音録画ダウンロード(同項各号)に及ぶ。

13私的使用のための複製(除外・主体)

私的使用のための複製に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合も、私的使用目的であれば自由に複製することができる。
  • 私的使用のための複製は、その使用する者自身が複製することを要し、私的使用目的であっても、複製の主体は問わない(第三者が複製してよい)わけではない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
除外事由

著作権法第30条第1項公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器e-Gov原文

正しい
複製の主体

著作権法第30条第1項その使用する者が複製することができるe-Gov原文

ひっかけコピーを業者に頼んだ瞬間、複製の主体は使う本人ではなくなる。

解説私的使用のための複製は、その使用する者が複製することを要する(著作権法30条1項)。イは、私的使用目的でも複製の主体は問わないわけではない、つまり使用する者自身が複製する必要がある、とするもので、条文の『その使用する者が複製することができる』に沿っており正しい。アは、私的使用目的なら公衆用の自動複製機器を使っても自由に複製できるとするが、公衆の使用に供することを目的として設置された自動複製機器による複製は30条1項1号で除外されるため誤り。複製を他人に任せた時点で、複製の主体は使用者本人ではなくなる。

補足事業者が顧客のために複製を代行する行為は、複製の主体が事業者になるため私的複製には当たらない。

14著作物の例示

著作物の例示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • プログラムは、著作権法上、著作物として例示されている。
  • 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道も、言語の著作物として保護される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
著作物の例示

著作権法第10条第1項プログラムの著作物e-Gov原文

誤り
創作性の欠如

著作権法第10条第2項事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しないe-Gov原文

ひっかけプログラムは載るが、訃報や人事異動のような事実だけの記事は外れる。

解説著作権法は著作物を例示する。(1)言語、(2)音楽、(3)舞踊・無言劇、(4)美術、(5)建築、(6)図形、(7)映画、(8)写真、(9)プログラムの著作物であり(10条1項)、プログラムは9号に挙がっているためアは正しい。一方、事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、創作性を欠くため言語の著作物に該当しないため(同条2項)、イは誤り。なおこの10条1項は例示であって限定列挙ではなく、また同条3項によりプログラム言語・規約・解法には著作権の保護が及ばない。

補足プログラムは著作物だが、その作成に用いるプログラム言語・規約(プロトコル等)・解法(アルゴリズム)は保護対象外と明文で除かれている(10条3項)。

15営利を目的としない上演等

営利を目的としない上演等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演・演奏・上映・口述することができる。
  • その上演等について、実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この自由利用は認められない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
非営利上演

著作権法第38条第1項公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができるe-Gov原文

正しい
無報酬要件

著作権法第38条第1項実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ非営利・無料・出演者無報酬がそろって初めて、許諾なしの上演が成り立つ。

解説公表された著作物は、(1)営利を目的とせず、(2)聴衆・観衆から料金を受けず、(3)実演家・口述者に報酬が支払われない場合に、公に上演・演奏・上映・口述することができる(著作権法38条1項)。アはこの3要件のうち非営利・無料を述べたもので正しい。イは出演者に報酬が支払われる場合をただし書で除く点を述べており正しい。3要件のいずれかを欠けば、著作権者の許諾が必要となる。

補足この38条1項が自由にするのは上演・演奏・上映・口述まで。台本や楽譜の複製、上演を録音・録画する行為は別問題で、この規定では正当化されない。

16著作者の死後における人格的利益の保護

著作者の死後における人格的利益の保護に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者が死亡して存しなくなった後は、著作者人格権の侵害となるべき行為も自由に行うことができる。
  • 著作物を公衆に提供・提示する者は、著作者の死後も、著作者が存しているとすれば著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
死後の保護

著作権法第60条著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならないe-Gov原文

正しい
人格的利益の保護

著作権法第60条著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならないe-Gov原文

ひっかけ亡くなったら自由ではなく、生きていれば侵害となる扱いが死後も続く。

解説著作者人格権は一身専属で、著作者の死亡により消滅する。しかし、著作物を公衆に提供・提示する者は、著作者の死後も、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない(著作権法60条本文)。よって死後は自由に侵害行為ができるとするアは誤り。イはこの60条本文どおりで正しい。ただし行為の性質・程度や社会的事情の変動等により著作者の意を害しないと認められる場合は除かれ(同条ただし書)、違反行為には一定の遺族が差止め等を請求できる(116条)。

補足死後の請求ができるのは配偶者・子等の遺族で、本人は遺言により請求できる者を別に指定もできる(116条)。財産権としての著作権の存続期間(死後70年)が切れた後も、この60条の制約自体は残る。

17著作者の推定

著作者の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作物に実名等が著作者名として通常の方法で表示されていても、その者が著作者であるとの推定は働かない。
  • 著作者の推定規定は、実名が表示されている場合に限られ、周知の変名(ペンネーム等)が表示されている場合には適用されない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
著作者の推定

著作権法第14条その著作物の著作者と推定するe-Gov原文

誤り
変名も対象

著作権法第14条として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定するe-Gov原文

ひっかけ周知のペンネームでも、表示されていれば著作者と推定される。実名だけの話ではない。

解説著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供・提示の際に、その実名又は周知の変名が著作者名として通常の方法で表示されている者は、その著作物の著作者と推定される(著作権法14条)。推定が働かないとするアは誤り。そして推定は実名に限られず、周知の変名(ペンネーム等)の表示も対象とするので、変名には及ばないとするイも誤り。よって両方とも誤り。無方式で発生する著作権では著作者の証明が難しいため、表示を手がかりに推定して立証負担を軽くする。

補足あくまで「推定」なので、反証があれば覆る。実名の登録(著作権法75条)が登録者を著作者と推定するのと違い、14条は表示そのものから直接推定する。

18引用

著作物の引用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物は、引用して利用することができる。
  • 引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
引用

著作権法第32条第1項公表された著作物は、引用して利用することができるe-Gov原文

正しい
引用の要件

著作権法第32条第1項公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならないe-Gov原文

ひっかけ引用は許諾なしでできる。ただし「公正な慣行」と「正当な範囲」という枠が後段に付いている。

解説公表された著作物は、引用して利用することができる(著作権法32条1項前段)。アはこのとおりで正しい。ただしその引用は、公正な慣行に合致し、かつ、報道・批評・研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない(同項後段)。イもこのとおりで正しい。判例上は、引用する側とされる側を分けて認識できる明瞭区別性と、引用する側が主・される側が従という主従関係が要件とされ、これを欠く引用は著作権侵害になる。

補足32条が許すのは公表された著作物だけで、未公表の著作物は引用できない。公表の事実は推定されず、引用する側が立証責任を負う。

19学校その他の教育機関における複製等

教育機関における著作物の複製等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 営利を目的としない教育機関で教育を担任する者及び授業を受ける者は、授業の過程における利用に供する目的で、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製等することができる。
  • この複製等は、著作権者の利益を不当に害することとなる場合であっても、常に認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
授業目的の利用

著作権法第35条第1項その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製e-Gov原文

誤り
限界

著作権法第35条第1項著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ授業のためなら何でもコピーできるわけではなく、権利者の利益を不当に害する利用はただし書で外れる。

解説営利を目的としない教育機関において、教育を担任する者及び授業を受ける者は、授業の過程における利用に供することを目的とする場合に、必要と認められる限度で、公表された著作物を複製・公衆送信・公の伝達ができる(著作権法35条1項本文)。アはこのとおりで正しい。これに対し、常に認められるとするイは誤り。著作物の種類・用途や複製の部数・態様に照らして著作権者の利益を不当に害することとなる場合は認められない(同項ただし書)。市販のドリルを児童全員分コピーするような利用がこの限界に当たる。

補足複製・公衆送信が許されるのは「公表された」著作物に限られる。未公表のものや、35条が対象としない試験問題としての複製(36条が別途規律)はこの条文では正当化されない。

20授業目的公衆送信補償金

教育機関における公衆送信に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 教育機関で授業目的の公衆送信を行う場合でも、著作権者に補償金を支払う必要はない。
  • 教育機関が授業目的で公衆送信を行う場合には、その教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
補償金

著作権法第35条第2項相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

正しい
補償金制度

著作権法第35条第2項相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

ひっかけ教室でのコピーは無償でも、遠隔授業などの公衆送信には設置者の補償金が要る。同じ35条でも1項と2項で扱いが分かれる。

解説教育機関での複製は補償金なしで認められる(著作権法35条1項)が、授業目的での公衆送信を行う場合は、その教育機関を設置する者が相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない(同条2項。授業目的公衆送信補償金制度)。支払不要とするアは誤り、設置者が支払うとするイは正しい。補償金は指定管理団体(SARTRAS)に一括して支払われ、そこから権利者に分配される。複製は補償金不要、公衆送信は補償金必要という線引きになっている。

補足補償金を払うのは個々の教員ではなく教育機関の設置者で、SARTRASへの一括支払という形をとる(35条2項)。2018年改正で導入された仕組み。

21著作者の権利と無方式主義

著作者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者は、著作者人格権及び著作権を享有する。
  • 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
著作者の権利

著作権法第17条第1項著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利e-Gov原文

正しい
無方式主義

著作権法第17条第2項著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しないe-Gov原文

ひっかけ著作権は作った瞬間に発生する。届け出も登録もマルC表示も、発生の条件ではない。

解説著作者は、著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)及び著作権(複製権・上演権・公衆送信権・翻案権等の財産権)を享有する(著作権法17条1項)。そしてこれらの権利の享有には、いかなる方式の履行をも要しない(同条2項。無方式主義)。アは著作者が人格権と著作権を享有するという17条1項どおりで正しく、イは享有に方式を要しないという17条2項どおりで正しいため、『アー正、イー正』。著作物を創作した時点で自動的に権利が発生し、登録・出願・表示等は一切要らない。設定登録によってはじめて発生する特許権・意匠権・商標権(産業財産権)とは正反対の建て付けになっている。

補足著作権登録制度自体は存在するが、移転を第三者に対抗するため等のもので(77条)、権利を発生させる手続ではない。

22試験問題としての複製等

試験問題としての著作物の複製等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物は、入学試験その他の試験・検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験・検定の問題として複製又は公衆送信することができる。
  • この試験問題としての複製等は、著作権者の利益を不当に害することとなる場合であっても、常に認められる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:2(アー正、イー誤)

正しい
試験問題の複製

著作権法第36条第1項入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製e-Gov原文

誤り
限界

著作権法第36条第1項著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでないe-Gov原文

ひっかけ試験問題への利用は許諾不要だが、「だから何をしても自由」ではない。利益を不当に害する使い方は枠の外。

解説公表された著作物は、入学試験その他人の学識技能に関する試験・検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験・検定の問題として複製・公衆送信できる(著作権法36条1項本文)。試験は秘密性の確保が必要で、事前に著作権者へ許諾を求めることになじまないためである。アはこの本文どおりの記述で正しい。イはこの利用が著作権者の利益を不当に害する場合でも常に認められるとするが、36条1項ただし書は、著作物の種類・用途や公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合を除外しているため誤り。したがって『アー正、イー誤』。許諾不要は無制限の自由利用ではなく、不当に害しない範囲という枠の中での話である。

補足36条1項で許されるのは複製と一定の公衆送信(放送・有線放送は除く)で、平成15年改正でインターネット試験を想定して公衆送信が加えられた。

23試験問題としての複製と補償金

試験問題としての著作物の利用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 営利を目的として試験問題として著作物を複製する場合であっても、著作権者に補償金を支払う必要はない。
  • 営利を目的として試験問題としての複製等を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
営利目的は補償金

著作権法第36条第2項営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

正しい
補償金

著作権法第36条第2項営利を目的として前項の複製又は公衆送信を行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

ひっかけ許諾がいらないことと、無償で使えることは別。営利でやるなら使用料相当の補償金がかかる。

解説試験問題としての著作物の複製・公衆送信は許諾なく行えるが(著作権法36条1項)、営利を目的として行う者は、通常の使用料の額に相当する額の補償金を著作権者に支払わなければならない(同条2項)。アは営利目的でも補償金は不要とするが、36条2項が補償金の支払を求めているため誤り。イは営利目的の利用者に通常の使用料相当額の補償金支払を課すという36条2項どおりの記述で正しい。よって『アー誤、イー正』。学校の入学試験のような非営利の試験なら補償金は要らないが、予備校の模擬試験や検定ビジネスのように営利目的で著作物を試験問題に用いる場合は、許諾は不要でも補償金の支払が残る。

補足補償金は事前許諾の代わりではなく、利用後に通常の使用料相当額を支払うもの。許諾不要という性質は営利でも変わらない。

24著作権の発生(無方式主義・総合)

著作者の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作権(財産権)及び著作者人格権の享有には、登録その他の方式の履行が必要である。
  • 著作者は著作権(財産権)のみを享有し、著作者人格権を享有することはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
無方式主義

著作権法第17条第2項著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しないe-Gov原文

誤り
二つの権利

著作権法第17条第1項著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利e-Gov原文

ひっかけ「方式がいる」も「人格権はない」も、どちらも条文に反する。創作と同時に両方の権利が生まれる。

解説著作者は、著作者人格権(公表権・氏名表示権・同一性保持権)及び著作権(財産権)を享有し(著作権法17条1項)、その享有にはいかなる方式の履行をも要しない(同条2項。無方式主義)。アは享有に登録その他の方式が必要とするが、17条2項の無方式主義に反するため誤り。イは著作者が著作権のみを享有し著作者人格権を享有しないとするが、17条1項は両方の権利の享有を定めているため誤り。よって両肢とも誤りで『アー誤、イー誤』。著作物の創作と同時に人格権と財産権の両方が自動的に発生する。著作権登録制度はあるものの、それは第三者対抗要件等のためのもので、権利の発生要件ではない。

補足移転を第三者に対抗するための著作権登録(77条)はあるが、これは発生済みの権利の対抗要件であって、発生のための手続ではない。

25口述権

口述権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を有しない。
  • 口述権とは、音楽の著作物を公に演奏する権利のことをいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
口述権

著作権法第24条著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有するe-Gov原文

誤り
対象

著作権法第24条著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有するe-Gov原文

ひっかけ口述権の対象は言語の著作物。音楽を持ち出した時点で、それは演奏権の話にすり替わっている。

解説著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する(口述権。著作権法24条)。口述とは、朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達することをいい、実演に該当するものは除かれる(同2条1項18号)。アは「口述する権利を有しない」とするが24条に反し誤り。イは口述権を「音楽の著作物を公に演奏する権利」とするが、それは演奏権(22条)であって口述権の対象は言語の著作物であり誤り。小説・論文・詩などの朗読会が口述権の典型で、演奏権とは対象とする著作物の種類が異なる。

補足口述の定義には「実演に該当するものを除く」という括弧書きがある(2条1項18号)。役者が舞台で台詞を語るような場面は実演として扱われ、口述から外れる。

26頒布権

頒布権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。
  • 著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を、当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
頒布権

著作権法第26条第1項著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有するe-Gov原文

正しい
原著作物への効力

著作権法第26条第2項著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有するe-Gov原文

ひっかけ頒布権は映画本体だけで止まらず、映画に組み込まれた原作や音楽の作者にも同じ権利を立てる。

解説著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する(頒布権。著作権法26条1項)。さらに、映画の著作物において複製されている著作物(原作小説・脚本・音楽等)の著作者も、当該映画の複製物による頒布についてこの権利を専有する(同条2項)。アは1項、イは2項の文言どおりで、いずれも正しく『アー正、イー正』。頒布権は劇場用映画のフィルム配給制度に由来して映画の著作物に置かれた支分権であり、2項により映画に取り込まれた原著作物にまで効力が及ぶ。一般の著作物には頒布権はなく、譲渡権(26条の2)・貸与権(26条の3)が対応する。

補足頒布権は譲渡だけでなく貸与も含む概念。一般の著作物では譲渡(26条の2)と貸与(26条の3)が別々の支分権に分かれているのと対照的。

27実演家の放送権・有線放送権

実演家の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を有しない。
  • 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
放送権

著作権法第92条第1項実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有するe-Gov原文

正しい
著作隣接権

著作権法第92条第1項実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有するe-Gov原文

ひっかけ実演家の放送権は1項で原則認められるが、2項に列挙された場面ではあっさり外れる。

解説実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する(放送権・有線放送権。著作権法92条1項)。アは「放送・有線放送する権利を有しない」とするが92条1項に反し誤り。イは1項の文言どおりで正しく『アー誤、イー正』。ただし92条2項により、放送される実演を有線放送する場合や、許諾を得て録音・録画された実演を放送・有線放送する場合等にはこの権利は及ばない。実演家には、録音権・録画権(91条)、放送権・有線放送権(92条)のほか、送信可能化権・譲渡権・貸与権・二次使用料を受ける権利等の著作隣接権が認められる。

補足放送された実演を録音・録画して二次的に使うと、92条の放送権ではなく二次使用料請求権(95条)の世界に移る。許諾権と報酬請求権の切り替えが起きる。

28頒布権の対象(映画特有)

頒布権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 頒布権は、すべての種類の著作物について、その複製物を譲渡又は貸与する権利として認められる。
  • 映画の著作物の頒布権は、映画の著作物において複製されている著作物(原作小説等)には及ばない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
映画特有

著作権法第26条第1項著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有するe-Gov原文

誤り
原著作物への効力

著作権法第26条第2項著作者は、映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有するe-Gov原文

ひっかけ「すべての著作物に頒布権」も「原作には及ばない」も、どちらも頒布権の射程を取り違えている。

解説頒布権は映画の著作物に特有の支分権で、映画の著作物をその複製物により頒布する権利である(著作権法26条1項)。アは「すべての種類の著作物について複製物を譲渡・貸与する権利として認められる」とするが、頒布権が認められるのは映画の著作物だけであり誤り。イは「映画に複製されている原作小説等には頒布権が及ばない」とするが、26条2項が原著作物の著作者にも映画の複製物による頒布権を認めている以上誤り。よって『アー誤、イー誤』。一般の著作物の複製物の譲渡・貸与には、頒布権ではなく譲渡権(26条の2)・貸与権(26条の3)が対応する。

補足頒布権は映画にだけ置かれ、しかも原作・音楽など中身の著作物まで巻き込む。範囲を狭く見ても広く見ても誤りになる、両側から狙われる論点。

29著作者の死後における人格的利益の保護のための請求

著作者の死後における人格的利益の保護に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作者の死後においては、その遺族は、著作者人格権の侵害となるべき行為等をする者又はするおそれがある者に対し、差止め等の請求をすることができる。
  • ここでいう遺族とは、死亡した著作者又は実演家の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいう。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:1(アー正、イー正)

正しい
遺族の請求

著作権法第116条第1項著作者又は実演家の死後においては、その遺族e-Gov原文

正しい
遺族の範囲

著作権法第116条第1項死亡した著作者又は実演家の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいうe-Gov原文

ひっかけ死後に動くのは消滅した人格権ではなく、遺族による人格的利益の保護請求。

解説著作者人格権は一身専属で著作者の死亡により消滅するが、その死後も人格的利益を害する行為は禁止される(著作権法60条)。これを実効化するため、著作者又は実演家の死後においては、その遺族が、人格的利益を害する行為をする者又はするおそれがある者に対し、差止め等(112条)や名誉回復等の措置(115条)を請求できる(116条1項)。ここでいう遺族は、死亡した著作者又は実演家の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいう(同項)。請求できる遺族には順位があり、著作者が遺言で別に指定することもできる(同条2項・3項)。アは116条1項の遺族の請求として正しく、イも同項の遺族の範囲の列挙どおりで正しい。

補足遺言で指定された者の請求権には期限があり、著作者の死亡の翌年から70年を経過した後(または遺族が存しなくなった後の遅い方)はもう行使できない。

30教科用図書への掲載

教科用図書への著作物の掲載に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物を教科用図書に掲載するには、常に著作権者の事前の許諾を得なければならない。
  • 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度で教科用図書に掲載でき、掲載する者は補償金を著作権者に支払わなければならない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
解答・解説を見る

正解:3(アー誤、イー正)

誤り
教科書掲載

著作権法第33条第1項公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書e-Gov原文

正しい
補償金

著作権法第33条第2項補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

ひっかけ教科書掲載は許諾はいらないが、無償でもない。

解説公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書(検定教科書等)に掲載することができ、ここに著作権者の事前の許諾は要らない(著作権法33条1項)。ただし掲載する者は、その旨を著作者に通知するとともに、文化庁長官が定める算出方法による補償金を著作権者に支払わなければならない(同条2項)。アは「常に事前の許諾を要する」とする点が許諾不要に反して誤り、イは許諾不要だが補償金は要するという33条1項・2項の構造どおりで正しい。許諾の要否と補償金の要否を別々に判定すると、アが誤・イが正に分かれる。

補足教科用図書への掲載で発生するのは補償金請求権だけで、著作権者は掲載自体を拒めない。許諾を前提とする通常の利用許諾とは性質が違う。

31学校教育番組の放送等

学校教育番組における著作物の利用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校向けの放送番組等で放送し、その放送番組用の教材に掲載することができる。
  • 学校教育番組で著作物を利用する場合、補償金の支払を要しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
学校教育番組

著作権法第34条第1項公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度においてe-Gov原文

誤り
補償金

著作権法第34条第2項相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

ひっかけ学校向け放送も許諾は不要、ただし補償金は別。

解説公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組・有線放送番組等で放送・有線放送等を行い、当該番組用の教材に掲載することができる(著作権法34条1項)。ここでも許諾は不要だが、利用する者は著作者に通知し、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない(同条2項)。アは34条1項の利用範囲どおりで正しく、イは「補償金の支払を要しない」とする点が同条2項に反して誤り。教科用図書への掲載(33条)と同じく、許諾不要・補償金必要という組合せになる。

補足教科書掲載の補償金(33条2項)は文化庁長官が定める算出方法によるのに対し、学校教育番組(34条2項)は「相当な額」と定め方が異なる。

32教科用図書への掲載(総合)

教科用図書への著作物の掲載に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物を教科用図書に掲載するには、著作権者の許諾を得る必要があり、許諾なく掲載することはできない。
  • 教科用図書への著作物の掲載は、補償金を支払うことなく自由に行うことができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
許諾不要

著作権法第33条第1項公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、教科用図書e-Gov原文

誤り
補償金

著作権法第33条第2項補償金を著作権者に支払わなければならないe-Gov原文

ひっかけ正解は許諾不要・補償金必要。両肢ともこの片方ずつを取り違えている。

解説公表された著作物の教科用図書への掲載は、学校教育の目的上必要な限度で許諾なく行えるが(著作権法33条1項)、掲載する者は著作者への通知と、文化庁長官が定める算出方法による補償金の著作権者への支払をしなければならない(同条2項)。アは「許諾を要し、許諾なく掲載できない」とするが許諾は不要のため誤り、イは「補償金を支払うことなく自由に行える」とするが補償金は必要のため誤り。許諾の要否(不要)と補償金の要否(必要)を入れ替えた記述が、それぞれ別個に誤りになっている。

補足同じ「許諾不要・補償金必要」型の利用には学校教育番組(34条)があり、営利を目的とする試験問題への複製等(36条)でも補償金の支払が問題になる。

33著作権の譲渡

著作権の譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
  • 著作権を譲渡する契約において、翻案権や二次的著作物の利用に関する原著作者の権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
譲渡可能性

著作権法第61条第1項著作権は、その全部又は一部を譲渡することができるe-Gov原文

正しい
特掲推定

著作権法第61条第2項これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定するe-Gov原文

ひっかけ著作権は丸ごとでも一部でも譲れる。ただし27条・28条の権利は契約に名指ししないと付いてこない。

解説著作権(財産権)は、その全部又は一部を譲渡できる(著作権法61条1項)。これがアで正しい。イは、著作権を譲渡する契約で翻案権(27条)や二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28条)が譲渡の目的として特掲されていないとき、これらの権利は譲渡者に留保されたものと推定する、という61条2項そのもので正しい。よって『アー正、イー正』。譲受人がこの27条・28条の権利まで取得したいなら、契約書に特掲しておく必要がある。

補足留保は「推定」なので、特掲がなくても全部移転の合意が立証できれば覆りうる。一方、著作者人格権はそもそも一身専属で譲渡できない(59条)。

34著作権譲渡における特掲

著作権の譲渡に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作権を譲渡する契約では、翻案権や二次的著作物の利用に関する原著作者の権利も、特に明記しなくても当然に譲受人に移転する。
  • 翻案権等が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡者に留保されたものと推定される。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
特掲の必要

著作権法第61条第2項第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定するe-Gov原文

正しい
留保推定

著作権法第61条第2項これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定するe-Gov原文

ひっかけ「全部譲渡」と書いてあれば全部移る、という直感がそのまま引っかけになっている。

解説アは、翻案権や二次的著作物の利用に関する原著作者の権利も「特に明記しなくても当然に譲受人に移転する」とするが、著作権法61条2項は逆を定める。27条・28条の権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらは譲渡者に留保されたものと推定するので、アは誤り。イはその61条2項どおりで正しく、組み合わせは『アー誤、イー正』。『著作権を全部譲渡する』とだけ書いた契約では、これらの権利は移らないと推定される。

補足効くのは契約書の文言だけで、口頭の合意では特掲と扱われにくい。M&Aや業務委託の成果物移転で27条・28条を落とすと、後から翻案・二次利用に元の権利者の関与が必要になる。

35相続人の不存在等の場合の著作権の消滅

著作権の消滅に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作権者が死亡し、相続人の不存在により著作権が国庫に帰属すべきこととなる場合でも、著作権は国に帰属して存続する。
  • 著作権者が死亡し、相続人の不存在によりその著作権が国庫に帰属すべきこととなるときは、その著作権は消滅する。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
著作権の消滅

著作権法第62条第1項著作権は、次に掲げる場合には、消滅するe-Gov原文

正しい
公有

著作権法第62条第1項著作権は、次に掲げる場合には、消滅するe-Gov原文

ひっかけ相続人がいない財産は国のもの、という民法の原則がここでは通らない。

解説通常の財産なら、相続人がいなければ最後は国庫に帰属する。著作権はそうならない。著作権者が死亡し、相続人の不存在により民法959条で国庫に帰属すべきこととなるとき、著作権は国に帰属せず消滅する(著作権法62条1項1号)。だからアの「国に帰属して存続する」は誤り、イの「消滅する」が正しく、組み合わせは『アー誤、イー正』。消滅した著作物は公有(パブリックドメイン)となり、誰でも自由に利用できる。

補足法人である著作権者が解散し、その著作権が国庫に帰属すべきこととなる場合も同じく消滅する(62条1項2号)。死亡と解散の二つが消滅事由として並ぶ。

36著作者の権利と著作隣接権との関係

著作者の権利と著作隣接権との関係に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 著作隣接権に関する規定は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならない。
  • したがって、実演やレコードを利用する場合、著作隣接権者の許諾だけでなく、その元の著作物の著作者の権利にも配慮する必要がある。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
両者の併存

著作権法第90条この章の規定は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならないe-Gov原文

正しい
二重の権利

著作権法第90条この章の規定は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならないe-Gov原文

ひっかけ歌手やレコード会社の許諾を取れば足りる、では一つ抜けている。作詞作曲者の権利が別にある。

解説著作隣接権に関する規定(著作権法第4章)は、著作者の権利に影響を及ぼすものと解釈してはならない(同90条)。これがアで正しい。つまり著作隣接権(実演家・レコード製作者・放送事業者等の権利)と、著作者の権利(著作権・著作者人格権)は、互いに独立して併存する。だからイのとおり、実演やレコードを利用するには、著作隣接権者の許諾だけでなく元の著作物の著作者の権利にも配慮しなければならず、これも正しい。組み合わせは『アー正、イー正』。音楽CDの利用なら、実演家・レコード製作者の隣接権と、作詞家・作曲家の著作権の双方が問題になる。

補足隣接権は「著作物を伝達する者」の保護で、創作した者の権利とは別系統。だから一つの音源に対し、許諾を取るべき相手が複数になりうる。

37著作権者不明等の場合における著作物の利用

著作権者不明等の場合の著作物の利用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物を利用しようとする者は、相当な努力を払っても著作権者と連絡することができない等の場合には、文化庁長官の裁定を受け、補償金を供託して、その著作物を利用することができる。
  • この裁定制度は、著作権者と連絡が取れない著作物(いわゆる権利者不明著作物)の利用を可能にするためのものである。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
裁定制度

著作権法第67条第1項文化庁長官の裁定を受け、かつ、通常の使用料の額に相当するものとして文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託してe-Gov原文

正しい
権利者不明

著作権法第67条第1項著作権者と連絡することができなかつたことe-Gov原文

ひっかけ権利者と連絡が取れない作品も、裁定を受け補償金を供託すれば使えます。

解説公表された著作物等を利用しようとする者は、権利者情報を取得する措置をとっても著作権者と連絡することができず、かつ著作者が利用を廃絶しようとしていることが明らかでない等のときは、文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料相当額として文化庁長官が定める額の補償金を著作権者のために供託して、その著作物を利用することができる(著作権法67条1項)。連絡の取れない権利者不明著作物(オーファンワークス)を埋もれさせず使えるようにする制度で、アは条文どおり、イはその趣旨であり、ともに正。鍵は『相当な努力を払っても連絡できない』という入口要件にある。

補足令和5年改正で、未管理かつ権利者の意思が確認できない公表著作物を短期間で使えるようにする新しい裁定(67条の3)が別に設けられ、67条の従来型裁定と並ぶ二本立てになった。

38著作物の放送と裁定

著作物の放送に係る裁定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 公表された著作物を放送しようとする放送事業者は、一定の要件を満たすときは、文化庁長官の裁定を受け、補償金を著作権者に支払って、その著作物を放送することができる。
  • 未公表の著作物であっても、放送事業者は協議不成立を理由に文化庁長官の裁定を受けて放送することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
条文は文化庁長官の裁定と補償金支払いを要件としている

著作権法第68条文化庁長官の裁定を受けe-Gov原文

誤り
条文は公表された著作物を対象とする

著作権法第68条公表された著作物を放送しe-Gov原文

ひっかけ裁定にかけられるのは、すでに公表された著作物だけ。

解説放送事業者が公表された著作物を放送で使いたいとき、著作権者と協議したが成立しない、または協議できない場合に、文化庁長官の裁定を受け、文化庁長官が定める額の補償金を支払って放送できる(68条)。アはこの仕組みどおりで正しい。条文が対象を「公表された著作物」と限っているので、まだ世に出ていない未公表著作物にはこの裁定は使えず、イは誤り。著作者が公表するかどうかを自分で決める段階の作品に、放送のための強制利用を及ぼさないという線引きである。

補足67条の著作権者不明等の場合の一般裁定も対象は公表著作物で、放送用の68条はその放送版にあたる。

39放送裁定の協議要件と補償金

著作物の放送に係る裁定の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 放送の裁定は、著作権者との協議を経ることなく、放送事業者の判断のみで直ちに受けることができる。
  • 放送の裁定における補償金は、放送事業者が独自に算定した額を著作権者に支払えば足りる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
第1号が協議要件を定める

著作権法第68条第1項第1号その協議が成立せず、又はその協議をすることができないことe-Gov原文

誤り
条文は文化庁長官が定める額とする

著作権法第68条文化庁長官が定める額の補償金を著作権者に支払つてe-Gov原文

ひっかけ協議ゼロでは受けられず、補償金の額も事業者が決めるのではない。

解説放送裁定には二つの落とし穴が仕込まれている。一つ目、裁定は協議が成立しない、または協議できないことが要件で、放送事業者が著作権者に何も持ちかけずいきなり受けることはできない(68条1項1号)。だからアは誤り。二つ目、支払う補償金は通常の使用料相当として文化庁長官が定める額であって、放送事業者が自分で計算した額を払えばよいわけではない。よってイも誤り。誰が額を決めるかという主体が問われている。

補足額に不服があれば、訴えをもって増減を求める道が用意されている(72条)。

40商業用レコードへの録音

商業用レコードへの録音に係る裁定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 商業用レコードが最初に国内において販売され、その最初の販売の日から三年を経過した場合に、一定の要件のもとで他の商業用レコードを製作できる。
  • 録音の対象となるのは、著作権者の許諾を得て録音されている音楽の著作物である。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
条文に三年経過の文言がある

著作権法第69条その最初の販売の日から三年を経過した場合e-Gov原文

正しい
条文が許諾録音済みの音楽の著作物を指定する

著作権法第69条著作権者の許諾を得て録音されている音楽の著作物e-Gov原文

ひっかけ三年経過と、許諾済みで録音された音楽という二つの条件がそろってアもイも正。

解説国内で最初に売られた商業用レコードが、その最初の販売の日から三年を過ぎると、他の商業用レコードを作ろうとする者は文化庁長官の裁定と補償金で録音できる(69条)。アの三年はこの数値どおりで正しい。録音できる中身は、著作権者の許諾を得てすでに録音されている音楽の著作物に限られ、イもこの対象指定どおりで正しい。すでに適法に音盤化された曲を、別の盤に再録音する場面を想定した制度である。

補足ここで録音できるのは音楽の著作物であって、固定された実演やレコード製作者の隣接権までこの裁定で自由になるわけではない。

41商業用レコードの期間要件

商業用レコードへの録音裁定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 商業用レコードが最初に国内において販売された日から一年を経過すれば、裁定を受けて他の商業用レコードを製作できる。
  • この裁定によれば、補償金を著作権者に支払って当該録音又は譲渡による公衆への提供をすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
条文は三年を経過した場合とする

著作権法第69条その最初の販売の日から三年を経過した場合e-Gov原文

正しい
条文が公衆への提供を効果とする

著作権法第69条当該録音又は譲渡による公衆への提供をすることができるe-Gov原文

ひっかけ一年ではなく三年。ここを一年と書いた肢が誤り。

解説商業用レコードの録音裁定で動かせない数字は三年。アは最初の国内販売から一年で裁定を受けられるとするが、条文は三年経過を求めており、一年では足りないので誤り。イは補償金を払って当該録音または譲渡による公衆への提供ができるとするもので、これは69条が認める効果そのものだから正しい。許可されるのは録音だけでなく、その盤を譲渡して公衆に届けるところまで含む。

補足効果は録音と譲渡による公衆への提供であって、貸与や放送までこの一本の裁定で賄えるわけではない。

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