問1不正競争に対する差止請求権
不正競争に対する差止請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者であっても、その侵害の停止又は予防を請求することはできない。
- イ.不正競争に対する差止請求に際して、侵害の行為を組成した物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 差止請求
不正競争防止法第3条第1項「その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 廃棄・除却請求
不正競争防止法第3条第2項「侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ差止めも、侵害品の廃棄や設備の除却も、どちらも請求できます。
解説不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その侵害の停止又は予防を請求できる(不正競争防止法3条1項)。よって差止請求ができないとするアは誤り。差止請求に際しては、侵害の行為を組成した物(侵害品)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止・予防に必要な行為まで請求できる(同条2項)。したがって廃棄・除却を請求できないとするイも誤りで、『アー誤、イー誤』となる。この差止請求権は過失を要件としない点で、故意・過失が必要な損害賠償(同4条)と異なる。
補足ただし営業秘密の不正使用に対する差止請求権は、その事実と侵害者を知った時から3年、又は使用行為の開始から20年で時効消滅する(15条)。差止めにも期間の限界がある。
問2不正競争による損害賠償
不正競争による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、故意がある場合に限り損害賠償責任を負い、過失による場合は責任を負わない。
- イ.不正競争による損害賠償責任は無過失責任であり、故意・過失がなくても常に成立する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 過失責任
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 故意・過失が必要
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」e-Gov原文
ひっかけ過失でも責任は生じますが、無過失で当然に負うわけでもありません。
解説故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(不正競争防止法4条)。条文が『故意又は過失』とする以上、過失だけでも責任が生じるので、故意がある場合に限るとするアは誤り。一方で故意・過失を一切要しない無過失責任ではないため、イも誤りで、『アー誤、イー誤』となる。過失を要件としない差止請求(同3条)と対をなす過失責任である。
補足立証の負担は条文で軽減されている。譲渡数量等から損害額を算定する推定規定(5条)や、侵害者に自己の行為の具体的態様を明らかにさせる義務(6条)が置かれている。
問3営業秘密に係る差止請求権の消滅時効
営業秘密の不正使用に対する差止請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.営業秘密を使用する行為に対する差止請求権は、保有者がその事実及び行為者を知った時から10年間行わないときに、時効によって消滅する。
- イ.営業秘密を使用する行為に対する差止請求権は、その行為の開始の時から20年を経過したときにも、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 3年
不正競争防止法第15条第1項「その事実及びその行為を行う者を知った時から三年間行わないとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 20年
不正競争防止法第15条第1項「その行為の開始の時から二十年を経過したとき」e-Gov原文
ひっかけ知った時からは「3年」で、アの「10年」が誤り。行為開始から20年というイは正しい数字です。
解説営業秘密を使用する行為が継続する場合、その不正使用に対する差止請求権は、(1)営業秘密保有者がその事実及び行為者を知った時から3年間行わないとき(不正競争防止法15条1項1号)、(2)その行為の開始の時から20年を経過したとき(同項2号)に、時効によって消滅する。アは知った時からの期間を10年とする点で誤り(正しくは3年)。イは行為開始から20年という長期の時効を述べており正しい。長期間経過した営業秘密の使用について、取引の安全を図る趣旨である。
補足この3年・20年の時効は、限定提供データを使用する行為に対する差止請求権にも準用されます(不正競争防止法15条2項。保有者を限定提供データ保有者と読み替える)。
問4不正競争による損害額の推定
不正競争による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争による損害賠償では、侵害者が譲渡した物の数量等に基づいて損害額を算定する規定はない。
- イ.不正競争の損害額は、被侵害者が常に個別に立証しなければならず、推定・算定の特則は設けられていない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 損害額の算定
不正競争防止法第5条第1項「被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物又は提供することができた役務の単位数量当たりの利益の額」e-Gov原文
- イ.誤り
- 立証負担の軽減
不正競争防止法第5条第1項「被侵害者がその侵害の行為がなければ販売することができた物又は提供することができた役務の単位数量当たりの利益の額」e-Gov原文
ひっかけ両方とも『そんな規定はない』と言い切っているが、5条にちゃんとある。
解説不正競争による損害賠償でも、特許法102条や著作権法114条と同じく立証を助ける特則がある。不正競争防止法5条1項は、侵害品の譲渡数量に被侵害者の単位数量当たりの利益額を乗じて損害額を算定する方法を定める。アは『譲渡した物の数量等に基づいて損害額を算定する規定はない』とするが、5条1項がまさにその規定なので誤り。イは推定・算定の特則は設けられていないとするが、5条には侵害者の利益額を損害額と推定する2項、使用料相当額を損害額とできる3項もあり、特則は存在するので誤り。両肢とも『規定がない』と言い切った点が誤りとなる。
補足5条2項の『侵害者の利益額=損害額』の推定は、被侵害者自身が販売等の営業をしていることが前提となる。
問5不正競争防止法の適用除外
不正競争防止法の適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.差止請求等の規定は、商品・営業の普通名称や、慣用されている商品等表示を普通に用いられる方法で使用する行為等には適用されない。
- イ.自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為等についても、一定の不正競争に関する規定の適用が除外される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 普通名称等
不正競争防止法第19条第1項「次の各号に掲げる不正競争の区分に応じて当該各号に定める行為については、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ誰もが使う普通名称や、やましさのない自分の氏名の使用は差止めの外。
解説不正競争防止法は、差止請求(3条)や損害賠償(4条)等の規定について一定の行為を適用除外とする(同19条1項)。アは、商品・営業の普通名称や慣用されている商品等表示を普通に用いられる方法で使用する行為等にはこれらの規定が適用されないとするもので、19条1項1号のとおり正しい。イは、自己の氏名を不正の目的でなく使用する行為等も一定の規定の適用が除外されるとするもので、19条1項2号のとおり正しい。誰でも使う普通名称や、悪意のない自分の氏名の使用まで不正競争として差し止めると、正当な事業活動が成り立たなくなるためである。
補足周知・著名表示が広く知られる前から使っていた先使用者の継続使用も、19条1項の適用除外に含まれる。
問6周知表示混同惹起行為
不正競争防止法上の周知表示混同惹起行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の周知な商品等表示と同一又は類似の商品等表示を使用して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為は、不正競争に当たる。
- イ.周知表示混同惹起行為に当たるためには、相手方の商品等表示が全国的に著名であることが必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 周知表示混同惹起
不正競争防止法第2条第1項「需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し」e-Gov原文
不正競争防止法第2条第1項「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」e-Gov原文
- イ.誤り
- 周知性
不正競争防止法第2条第1項「需要者の間に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し」e-Gov原文
ひっかけ1号で問われるのは『周知』までで、全国区の有名さは求めていない。
解説他人の商品等表示(氏名・商号・商標・容器包装等)として需要者の間に広く認識されているもの(周知表示)と同一又は類似の商品等表示を使用し、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項1号、周知表示混同惹起行為)。アはこの定義どおりで正しい。要件は『需要者の間に広く認識されている』周知性で足り、一地域での周知でもよく、全国的な著名性までは要らないため、イは誤り。ただし混同を生じさせること(混同のおそれ)は必要である。
補足周知で足りる代わりに、1号は混同のおそれが要件。混同を要件としない著名表示冒用(同項2号)とはこの点が逆になっており、求められる知名度も2号は『著名』とより高い。
問7著名表示冒用行為
不正競争防止法上の著名表示冒用行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.自己の商品等表示として、他人の著名な商品等表示と同一又は類似のものを使用する行為は、不正競争に当たる。
- イ.著名表示冒用行為(2号)は、周知表示混同惹起行為(1号)と異なり、他人の商品・営業との混同のおそれを要件としない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 著名表示冒用
不正競争防止法第2条第1項「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し」e-Gov原文
- イ.正しい
- 混同不要
不正競争防止法第2条第1項「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用し」e-Gov原文
ひっかけ誰もが知るブランドのまねは、客が誤認しなくても2号でアウトになる。
解説自己の商品等表示として、他人の著名な商品等表示と同一又は類似のものを使用する行為等は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項2号、著名表示冒用行為)。アはこの定義どおりで正しい。著名表示は強い顧客吸引力を持つため、ただ乗り(フリーライド)や希釈化(ダイリューション)から保護され、混同のおそれを要件としない。よって混同のおそれを要件としないとするイも正しく、混同を要件とする周知表示混同惹起行為(同項1号)との差がここにある。
補足混同が要らない代わりに、2号が求める知名度は1号の『周知』より高い『著名』。要件が緩い分、保護の入口となる知名度のハードルは上がっている。
問8商品形態模倣行為
不正競争防止法上の商品形態模倣行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡する行為は、その形態が商品の機能を確保するために不可欠な形態であっても、不正競争に当たる。
- イ.他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為は、不正競争防止法上の不正競争には含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 機能的形態の除外
不正競争防止法第2条第1項「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く」e-Gov原文
- イ.誤り
- 形態模倣
不正競争防止法第2条第1項「模倣した商品を譲渡し、貸し渡し」e-Gov原文
ひっかけそっくり模倣は3号で捕まるが、機能上どうしても同じになる形は最初から外れている。
解説他人の商品の形態(その商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く)を模倣した商品を譲渡・貸渡し・輸出入等する行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項3号、いわゆるデッドコピー規制)。アは機能確保に不可欠な形態の模倣も不正競争に当たるとするが、その形態は条文上除かれているため誤り。イは形態模倣行為が不正競争に含まれないとするが、3号に明文で含まれるため誤り。この保護は日本国内で最初に販売された日から3年に限られる(19条1項5号イ)。
補足保護は最初の販売から3年で切れ(19条1項5号イ)、模倣品と知らず重過失なく譲り受けた者がそれを譲渡等する行為も適用除外となる(同号ロ)。
問9営業秘密の不正取得
営業秘密に関する不正競争に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.窃取・詐欺・強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為は、不正競争に当たる。
- イ.営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為も、不正競争に当たる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 不正取得
不正競争防止法第2条第1項「窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為」e-Gov原文
- イ.正しい
- 使用・開示
不正競争防止法第2条第1項「営業秘密不正取得行為により取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為」e-Gov原文
ひっかけ不正競争になるのは取得の瞬間だけではない。不正取得した営業秘密を使う・開示する段階も同じ4号で捕まる。
解説窃取・詐欺・強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為(営業秘密不正取得行為)は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項4号)。アはこのとおりで正しい。さらに、不正取得した営業秘密を使用し、又は開示する行為も同じ4号で不正競争となるので、イも正しい。営業秘密に関する不正競争は4号から10号に類型化されており、不正取得の介在を知って取得・使用・開示する行為(5号・6号)や、正当に示された営業秘密を不正の利益・加害の目的で使用・開示する行為(7号)なども規制される。
補足これらは民事の差止め等の対象であると同時に、営業秘密侵害罪として刑事罰の対象でもある(不正競争防止法21条)。個人は10年以下の拘禁刑・2000万円以下の罰金、法人は5億円以下の罰金が科されうる。
問10ドメイン名の不正取得等
不正競争防止法上のドメイン名に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正の利益を得る目的等で、他人の特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有し、又はそのドメイン名を使用する行為は、不正競争に当たる。
- イ.ドメイン名の不正取得・使用は、不正競争防止法上の不正競争には含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- ドメイン名
不正競争防止法第2条第1項「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示」e-Gov原文
不正競争防止法第2条第1項「同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を」e-Gov原文
- イ.誤り
- 規制対象
不正競争防止法第2条第1項「同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を」e-Gov原文
ひっかけ他人の商標と紛らわしいドメインを先回りして取得する行為は、19号で正面から不正競争に組み込まれている。
解説不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(氏名・商号・商標・標章等)と同一又は類似のドメイン名を使用する権利を取得・保有し、又はそのドメイン名を使用する行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項19号)。いわゆるサイバースクワッティングを規制する類型である。アはこの内容どおりで正しい。イは「ドメイン名の不正取得・使用は不正競争に含まれない」とするが19号に明文がある以上誤り。よって『アー正、イー誤』。図利加害目的が要件で、差止請求(3条)・損害賠償請求(4条)の対象となる。
補足19号は「図利加害目的」が要件。単に同じ文字列のドメインを持っているだけでは足りず、不正の利益を得るか他人に損害を加える目的が必要。
問11技術的制限手段の無効化装置の提供
不正競争防止法上の技術的制限手段に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.コピーガード等の技術的制限手段を無効化する装置を提供する行為は、不正競争防止法上、何ら規制されていない。
- イ.営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げる機能を有する装置等を提供する行為は、不正競争に当たる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 規制対象
不正競争防止法第2条第1項「当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置」e-Gov原文
- イ.正しい
- アクセス・コピー制御
不正競争防止法第2条第1項「当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置」e-Gov原文
ひっかけコピーガード破りの装置を流す行為は、17号・18号で不正競争として捕捉される。
解説営業上用いられている技術的制限手段(コピーガード、アクセスコントロール等)により制限されている映像・音の視聴やプログラムの実行等を、その効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置・プログラム・指令符号等を提供する行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項17号・18号)。アは「何ら規制されていない」とするが17号・18号で規制対象である以上誤り。イはこの規制内容どおりで正しい。よって『アー誤、イー正』。DVDのコピーガードや有料放送のアクセス制御を回避する装置・プログラムの提供が典型で、コンテンツの保護技術の回避手段を断つことで産業を守る類型である。
補足規制されるのは「無効化装置・プログラムの提供」という入口の行為。視聴者個人が自分のために回避する行為そのものではなく、回避手段を世に出す側を狙い撃ちにする条文。
問12誤認惹起行為
不正競争防止法上の誤認惹起行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商品・役務やその広告等に、その商品の原産地・品質・内容・製造方法・用途・数量等について誤認させるような表示をする行為は、不正競争に当たる。
- イ.商品の品質や原産地について誤認させる表示をする行為は、不正競争防止法上の不正競争には当たらない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 誤認惹起
不正競争防止法第2条第1項「その商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量」e-Gov原文
不正競争防止法第2条第1項「誤認させるような表示をし」e-Gov原文
ひっかけ産地や品質を偽る表示そのものが、20号の規制対象。
解説商品・役務やその広告・取引書類・通信に、その商品の原産地・品質・内容・製造方法・用途・数量、又はその役務の質・内容・用途・数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡等する行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項20号。誤認惹起行為)。産地偽装や品質・内容の虚偽・誇大な表示等を規制し、需要者の正しい商品選択を守る類型である。アはこの20号の行為類型どおりで正しく、イは「不正競争には当たらない」とする点が同号に反して誤り。
補足周知表示混同惹起(2条1項1号)が他人の表示との混同を問題にするのに対し、誤認惹起は他人の表示と紛らわしいかを問わず、表示の内容が需要者を誤らせる点を捉える。
問13信用毀損行為
不正競争防止法上の信用毀損行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為は、不正競争に当たる。
- イ.信用毀損行為は、競争関係にある他人について虚偽の事実を告知・流布して、その営業上の信用を害する点で、不正競争として規制される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 信用毀損
不正競争防止法第2条第1項「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」e-Gov原文
- イ.正しい
- 規制対象
不正競争防止法第2条第1項「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」e-Gov原文
ひっかけ競争相手をおとしめる虚偽の事実を広める行為が、そのまま21号。
解説競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項21号。信用毀損行為)。競争相手の商品・営業について事実に反することを述べ、その信用を損なう行為を規制する。アはこの21号の文言どおり、イも同号の趣旨を述べたもので、いずれも正しい。なお他人の特許権等を侵害する旨の警告も、その内容が虚偽であれば信用毀損行為に当たりうる。
補足「競争関係にある他人」が要件なので、競争関係にない者への中傷は本号ではなく一般の名誉毀損(民法709条等)の問題になる。
問14代理人等による商標冒用
不正競争防止法上の代理人等による商標冒用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.外国で商標に関する権利を有する者の代理人が、正当な理由なくその承諾を得ずに、その権利に係る商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品等に使用する行為は、不正競争に当たらない。
- イ.外国の商標権者の代理人等が、正当な理由なくその承諾を得ずに、その商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品等に使用する行為等は、不正競争に当たる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 代理人冒用
不正競争防止法第2条第1項「正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標を」e-Gov原文
- イ.正しい
- 規制対象
不正競争防止法第2条第1項「正当な理由がないのに、その権利を有する者の承諾を得ないでその権利に係る商標と同一若しくは類似の商標を」e-Gov原文
ひっかけ外国ブランドの代理店が承諾なくその商標を使えば、それ自体が22号。
解説パリ条約の同盟国等で商標に関する権利を有する者の代理人・代表者(又は行為の日前1年以内に代理人・代表者であった者)が、正当な理由なく、その権利を有する者の承諾を得ずに、その権利に係る商標と同一・類似の商標を同一・類似の商品・役務に使用する行為等は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項22号)。外国商標権者と代理人等との信頼関係に反する商標の冒用を規制する、パリ条約に基づく類型である。アは「不正競争に当たらない」とする点が同号に反して誤り、イは同号の行為類型どおりで正しい。
補足保護対象は外国で商標に関する権利を有する者であり、国内の商標登録の有無は要件でない。代理人・代表者という地位の濫用を捉える点が他の冒用類型と異なる。
問15限定提供データ
不正競争防止法上の限定提供データに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.限定提供データとは、業として不特定多数に広く提供される情報をいう。
- イ.限定提供データには、営業秘密に該当する情報も当然に含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 限定提供データ
不正競争防止法第2条第7項「業として特定の者に提供する情報として電磁的方法」e-Gov原文
- イ.誤り
- 営業秘密の除外
不正競争防止法第2条第7項「相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報」e-Gov原文
ひっかけ限定提供データは「特定の者」に提供するもので、しかも営業秘密は外される。
解説限定提供データとは、業として特定の者に提供する情報として、電磁的方法により相当量蓄積され、かつ管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く)をいう(不正競争防止法2条7項。2018年改正で新設)。会員制で提供されるビッグデータ等の保護を目的とし、その不正取得・使用・開示は不正競争(2条1項11号~16号)として規制される。アは「不特定多数に広く提供される情報」とするが、対象は特定の者に提供する情報のため誤り。イは「営業秘密も当然に含まれる」とするが、条文が営業秘密を明文で除いているため誤り。提供先(特定の者)と営業秘密の除外という二つの点で、両肢とも定義から外れる。
補足限定提供データの行為類型は11号~16号の6つ。秘密管理性が要件となる営業秘密と異なり、こちらは一定の者への提供を前提とする情報を捉える。
問16相当な損害額の認定
不正競争による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争による侵害訴訟で、損害が生じたことは認められるが、損害額の立証に必要な事実の立証が極めて困難なときは、裁判所は、相当な損害額を認定することができる。
- イ.損害額を立証できない場合、裁判所は損害賠償請求を全部棄却しなければならず、相当な損害額を認定することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 相当な損害額
不正競争防止法第9条「裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 請求の救済
不正競争防止法第9条「裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる」e-Gov原文
ひっかけ損害は出たが金額を立て切れない。そこで請求が全部退けられる、とはしない仕組みがある。
解説不正競争による営業上の利益の侵害訴訟で、損害が生じたことは認められるのに、損害額の立証に必要な事実の立証がその性質上極めて困難なときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果に基づいて相当な損害額を認定できる(不正競争防止法9条)。これがアで正しい。イは「全部棄却しなければならず、相当な損害額を認定できない」とするが、まさにその認定ができるので誤り。組み合わせは『アー正、イー誤』。営業秘密侵害のように損害額の算定が難しい場面で、立証の壁を理由に請求が丸ごと退けられるのを防ぐ。
補足前提として損害の発生自体は立証が要る。額が立証困難なら裁判所が補えるが、発生そのものが認められなければこの条文は働かない。損害額の推定規定(5条)とセットで権利者を救済する。
問17営業秘密不正取得の介在を知っての取得等
営業秘密に関する不正競争に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.その営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って営業秘密を取得し、又は使用・開示する行為は、不正競争に当たらない。
- イ.不正取得の介在を重大な過失により知らないで営業秘密を取得・使用する行為は、不正競争には当たらない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 悪意取得
不正競争防止法第2条第1項「その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為」e-Gov原文
- イ.誤り
- 重過失
不正競争防止法第2条第1項「その営業秘密について営業秘密不正取得行為が介在したことを知って、若しくは重大な過失により知らないで営業秘密を取得し、又はその取得した営業秘密を使用し、若しくは開示する行為」e-Gov原文
ひっかけ盗んだ本人だけが罰せられる、知って受け取った側は別、という線引きは条文にはない。
解説営業秘密について不正取得行為が介在したことを知って、又は重大な過失により知らないで、その営業秘密を取得し、又は取得した営業秘密を使用・開示する行為は、不正競争に当たる(不正競争防止法2条1項5号)。アは「不正競争に当たらない」、イは「重大な過失で知らない場合は当たらない」とするが、どちらも条文と反対なので両方誤り。組み合わせは『アー誤、イー誤』。盗み出した本人(4号)だけでなく、悪意・重過失でそれを受け取った転得者も規制し、不正取得された営業秘密の流通を止める趣旨である。
補足取得時は善意でも、その後に不正取得の介在を知って(又は重過失で知らずに)使用・開示すれば、その時点から不正競争になる(同項6号)。善意取得が以後ずっと免罪符になるわけではない。
問18不正競争に対する差止請求
不正競争防止法上の差止請求に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、侵害の停止又は予防を請求することができる。
- イ.差止請求は現実に損害が発生した後でなければできず、侵害のおそれの段階では認められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 3条1項
不正競争防止法第3条第1項「営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は」e-Gov原文
- イ.誤り
- 損害発生後に限らない
不正競争防止法第3条第1項「侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ要件・対象・効果の一部だけを入れ替えた記述に注意する。
解説不正競争防止法の差止請求は、すでに侵害された場合だけでなく、侵害されるおそれがある場合にも使える。停止だけでなく予防も請求できる点が重要である。
補足条文の主語、対象、例外をセットで確認する。
問19不正競争による損害賠償責任
不正競争による損害賠償責任に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.不正競争による損害賠償責任は、故意による場合に限られ、過失による場合には成立しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 4条本文
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 故意限定ではない
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って」e-Gov原文
ひっかけ要件・対象・効果の一部だけを入れ替えた記述に注意する。
解説損害賠償責任では、故意だけでなく過失による不正競争も対象になる。差止請求と異なり、損害賠償では主観的要件として故意又は過失が問題になる。
補足条文の主語、対象、例外をセットで確認する。
問20不正競争訴訟における書類提出命令
不正競争訴訟における書類提出命令に関する次のア・イの正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判所は、当事者の申立てにより、侵害行為について立証するため必要な書類又は電磁的記録の提出を命ずることができる。
- イ.提出命令の対象となる書類等について、提出を拒む正当な理由がある場合でも、裁判所は必ず提出を命じなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 7条
不正競争防止法第7条「必要な書類又は電磁的記録の提出を命ずることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 提出命令にも例外がある
不正競争防止法第7条「その提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ要件・対象・効果の一部だけを入れ替えた記述に注意する。
解説不正競争訴訟では、侵害行為や損害計算の立証に必要な書類・電磁的記録について提出命令の制度がある。ただし、提出拒絶に正当な理由がある場合は例外となる。
補足条文の主語、対象、例外をセットで確認する。