問1不実告知・断定的判断の提供による取消し(4条1項)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法における取消しに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が消費者契約の締結の勧誘に際し、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者がその告げられた内容を事実であると誤認して消費者契約の申込みの意思表示をした場合、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が消費者契約の締結の勧誘に際し、将来における変動が不確実な事項について断定的な判断を提供し、消費者がその内容を確実であると誤認して契約の申込みの意思表示をした場合であっても、消費者契約法上、消費者はその意思表示を取り消すことができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重要事項について事実と異なる告知→消費者が事実と誤認→契約の意思表示→4条1項1号により取消し可
消費者契約法第4条第1項第1号「重要事項について事実と異なることを告げること」一次資料を確認
- イ.誤り
- 不確実な事項に断定的判断を提供→消費者が確実と誤認→契約→4条1項2号により取消し可(イは「取消し不可」とする点が誤り)
消費者契約法第4条第1項第2号「断定的判断を提供すること」一次資料を確認
ひっかけ不実告知(1号)だけでなく断定的判断の提供(2号)も、誤認類型として取消しの対象になる点を混同しない。
解説消費者契約法4条1項は、事業者の勧誘時の行為による『誤認』類型の取消しを定める。1号は重要事項について事実と異なることを告げる不実告知、2号は将来の価額等の不確実な事項について断定的判断を提供する行為で、いずれも消費者がそれを事実・確実と誤認して契約の意思表示をしたときに取消権が生じる。貸金業の勧誘実務でも『必ず値上がりする』『絶対に得をする』といった断定的な説明は2号に該当しうる典型例であり、1号(事実と異なる説明)と2号(不確実な事項の断定)は別個の取消し事由として両方押さえておく必要がある。
補足誤認類型にはこのほか、不利益事実の不告知(4条2項)もあり、告げる内容の性質(事実の相違か、不確実な事項の断定か、不利益事実の秘匿か)で号が異なる。
問2不利益事実の不告知による取消し(4条2項)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法における不利益事実の不告知による取消しに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が消費者契約の締結の勧誘に際し、消費者に不利益となる事実を告げようとしたにもかかわらず消費者がこれを拒んだ場合であっても、消費者は当該不利益事実の不告知を理由として消費者契約の申込みの意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が消費者契約の締結の勧誘に際し、ある重要事項について消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、消費者がその事実が存在しないと誤認して消費者契約の申込みの意思表示をした場合、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 事業者が不利益事実を告げようとした→消費者が拒否→ただし書により取消し不可(アは逆の結論で誤り)
消費者契約法第4条第2項ただし書「当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 重要事項の利益を告げつつ不利益事実を故意に告げず→消費者が不利益事実の不存在を誤認→契約→4条2項本文により取消し可
消費者契約法第4条第2項「当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる」一次資料を確認
ひっかけ『告げようとしたが消費者が拒んだ』場合はただし書で取消し不可になる例外を見落とさない。
解説消費者契約法4条2項は、事業者が重要事項について消費者の利益となる旨を告げつつ、その重要事項に関する消費者の不利益となる事実を故意又は重大な過失によって告げなかった場合(不利益事実の不告知)に、消費者が誤認して契約したときの取消しを定める。ただし、事業者が不利益事実を告げようとしたにもかかわらず消費者自身がこれを拒んだときは、事業者に告知義務違反はないため取消しは認められない(同項ただし書)。貸金業の勧誘でも、金利や返済条件の有利な面のみを強調し不利な条件を意図的に伏せる説明は本条の対象になりうる。
補足『重大な過失』でも不告知に該当する点、1項の不実告知(積極的な虚偽説明)とは異なる消極的な不告知の類型である点も押さえておく。
問3困惑類型:不退去・退去妨害による取消し(4条3項1号・2号)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法における困惑類型による取消しに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が消費者契約の締結に際し勧誘を行い、消費者がその住居又は業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらずその場所から退去しなかったことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が消費者契約の締結について勧誘をしている場所から消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から消費者を退去させなかったことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 消費者が退去要求→事業者が退去しない(不退去)→消費者が困惑→契約→4条3項1号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第1号「その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと」一次資料を確認
- イ.正しい
- 消費者が退去意思を表示→事業者が退去させない(退去妨害)→消費者が困惑→契約→4条3項2号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第2号「当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと」一次資料を確認
ひっかけ『不退去』(事業者が消費者の場所に居座る)と『退去妨害』(事業者が消費者を勧誘場所に留める)を混同しない。
解説消費者契約法4条3項は、事業者の勧誘時の行為により消費者が『困惑』した結果、契約の意思表示をした場合の取消しを定める困惑類型である。1号の不退去は、消費者の自宅・勤務先等で退去を求められたのに事業者が居座るケース、2号の退去妨害は、勧誘場所(店舗等)で消費者が退去したいと言ったのに帰してもらえないケースであり、いずれも場所を支配する主体が異なる別個の類型として整理して覚える。貸金業の訪問・来店勧誘でも典型的に問題となりうる行為類型である。
補足4条3項にはこのほか、社会生活上の経験不足の不当利用(5号・6号・7号)や霊感等による知見の悪用(8号)など多様な困惑類型が列挙されている。
問4困惑類型:社会生活上の経験不足の不当利用・霊感等による知見を用いた告知(4条3項5号・8号)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法4条3項の困惑類型に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、その回避のために消費者契約の締結が必要不可欠である旨を告げたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が、消費者の社会生活上の経験が乏しいことに乗じて、進学や就職等に関する過大な不安をあおり契約締結を勧める行為は、その告知に裏付けとなる合理的な根拠があるか否かにかかわらず、常に消費者契約法上の取消し事由に該当する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 霊感等の知見を装い重大な不利益回避の不安をあおる→契約締結が必要不可欠と告知→消費者が困惑→契約→4条3項8号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第8号「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として」一次資料を確認
- イ.誤り
- 5号は『合理的根拠・正当理由がない』ことが要件→根拠の有無を問わないとするイは要件を無視しており誤り
消費者契約法第4条第3項第5号「裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに」一次資料を確認
ひっかけ経験不足の不当利用(5号)には『合理的根拠・正当理由がない』という限定があるのに対し、霊感等の知見の悪用(8号)にはその限定文言がない違いを混同しない。
解説消費者契約法4条3項5号は、社会生活上の経験が乏しい消費者の進学・就職・結婚・容姿等に関する過大な不安につけ込み、合理的な根拠や正当な理由がないのに契約が必要と告げる行為を取消し事由とする。一方、8号は霊感等の実証困難な特別な能力による知見を装って不安をあおり契約締結を迫る、いわゆる霊感商法的な行為を独立の取消し事由として定めており、こちらには『合理的根拠の有無』を問う限定文言はない。号ごとに要件の文言が異なる点を条文レベルで区別して覚える必要がある。
補足4条3項には他にも恋愛感情等の不当利用(6号)、加齢・心身の故障による判断力低下の不当利用(7号)など、消費者の心理的な弱みにつけ込む類型が複数列挙されている。
問5取消権の行使期間と第三者対抗要件(7条1項・4条6項)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法上の取消権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費者契約法4条1項から4項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対しても対抗することができる。
- イ.消費者契約法4条1項から4項までの規定による取消権は、原則として、追認をすることができる時から1年間行わないとき、又は当該消費者契約の締結の時から5年を経過したときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 4条6項は『善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない』と定める→アは逆の結論であり誤り
消費者契約法第4条第6項「善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 取消権の消滅時効は原則『追認可能時から1年』『契約締結時から5年』の二重の期間制限(7条1項)
消費者契約法第7条第1項「追認をすることができる時から一年間」一次資料を確認
消費者契約法第7条第1項「当該消費者契約の締結の時から五年」一次資料を確認
ひっかけ『善意でかつ過失がない第三者』への対抗可否を逆に覚えない(対抗できるのではなく、対抗できない)。
解説消費者契約法4条6項は、取消権行使前に消費者契約の目的物等について利害関係を持つに至った第三者のうち、消費者契約が取り消しうるものであることを知らず、かつ知らなかったことに過失がない(善意無過失の)第三者を保護し、消費者はその第三者に取消しを対抗できないと定める。また、取消権自体にも行使期間の制限があり、7条1項により原則として追認をすることができる時から1年間、契約締結時から5年間で時効消滅する(霊感等の知見の悪用による取消権〈4条3項8号〉は特則で3年・10年)。取消権を知っただけで安心せず、行使期間と第三者保護の両方を確認する必要がある。
補足取消しの効果は民法121条の2の原状回復義務にも関わり、消費者契約法6条の2により給付を受けた消費者は現に利益を受ける限度で返還義務を負う(現存利益の返還)という特則がある。
問6不当条項の無効:損害賠償責任の全部免除・平均的損害額超過の違約金(8条1項1号・9条1項1号)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法における不当条項の無効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する消費者契約の条項は、無効となる。
- イ.消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項について、これらを合算した額が同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、その超える部分は無効となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 事業者の債務不履行による損害賠償責任を全部免除する条項→消費者契約法8条1項1号により無効
消費者契約法第8条第1項第1号「事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し」一次資料を確認
- イ.正しい
- 解除に伴う損害賠償額の予定・違約金の合算額が平均的損害額を超える→その超える部分について9条1項1号により無効
消費者契約法第9条第1項第1号「平均的な損害の額を超えるもの」一次資料を確認
ひっかけ9条1項1号は条項『全体』ではなく、平均的損害額を『超える部分』のみが無効になる点に注意(一部無効)。
解説消費者契約法8条は、事業者の債務不履行・不法行為による損害賠償責任を全部又は一部免除する条項(責任の有無・限度を事業者が決定する権限を付与する条項を含む)を無効とする。9条1項は、消費者契約の解除に伴う損害賠償額の予定・違約金条項について、同種契約の解除に伴い事業者に生ずべき『平均的な損害の額』を超える部分を無効とし、また支払期日を過ぎた金銭債務について年14.6%を超える遅延損害金条項の超過部分も無効とする。貸金業者が消費者との契約に用いる約款・契約書の違約金条項・免責条項は、これらの規定に抵触していないかを個別に確認する必要がある。
補足8条の2は事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる条項の無効、8条の3は後見開始の審判等のみを理由とする事業者の解除権を付与する条項の無効を定めており、あわせて押さえておく。
問7消費者の利益を一方的に害する条項の無効と適格消費者団体による差止請求(10条・12条1項)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法の一般条項及び消費者団体訴訟制度に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費者契約法10条により無効となる『消費者の利益を一方的に害する条項』とは、民法上の公序良俗に違反する場合に限られる。
- イ.適格消費者団体は、事業者が不特定かつ多数の消費者に対して消費者契約法4条1項から4項までに規定する行為を現に行い又は行うおそれがあるときであっても、自ら当該行為の停止を請求することはできず、内閣総理大臣による行政処分を求めることしかできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 10条は『民法1条2項の基本原則(信義則)に反して消費者の利益を一方的に害するもの』を無効とする独自要件→『公序良俗違反に限る』とするアは誤り
消費者契約法第10条「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」一次資料を確認
- イ.誤り
- 12条1項は適格消費者団体が事業者等に対し直接『行為の停止若しくは予防』等を請求できると定める→『行政処分を求めることしかできない』とするイは誤り
消費者契約法第12条第1項「当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去」一次資料を確認
ひっかけ10条の無効要件(信義則違反)と12条の差止請求権者(適格消費者団体自身が請求主体)を、それぞれ別の制度と取り違えない。
解説消費者契約法10条は、法令の任意規定より消費者に不利な内容の条項であって、民法1条2項の信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効とする包括的な一般条項であり、8条・9条のような個別列挙型の無効条項ではカバーしきれない不当条項の受け皿となる。また、内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体は、事業者が4条1項から4項の誤認・困惑類型の勧誘行為や、8条から10条の不当条項を含む契約の申込み・承諾を不特定多数の消費者に対して行い又は行うおそれがあるときは、行政処分を待たずに自ら事業者に対して当該行為の停止・予防等を裁判上・裁判外で請求できる(12条)という消費者団体訴訟制度の中核をなす。
補足差止請求には12条の2の制限事由(不正な利益目的、既に確定判決がある場合等)や、41条の書面による事前請求(訴え提起前の1週間経過)などの手続要件もあわせて押さえておく。
問8困惑類型:退去困難な場所への同行勧誘・相談連絡の妨害(4条3項3号・4号)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法4条3項の困惑類型に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が、消費者に対し消費者契約の締結について勧誘をすることを告げずに、当該消費者が任意に退去することが困難な場所であることを知りながら当該消費者をその場所に同行し、その場所において消費者契約の締結について勧誘をしたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が消費者契約の締結について勧誘をしている場所において、消費者が契約を締結するか否かについて相談を行うために電話その他の内閣府令で定める方法によって当該貸金業者以外の者と連絡する旨の意思を示したにもかかわらず、威迫する言動を交えてその連絡を妨げたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 勧誘であることを告げず→退去困難な場所と知りつつ同行→その場所で勧誘→消費者が困惑→契約→4条3項3号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第3号「当該消費者が任意に退去することが困難な場所であることを知りながら、当該消費者をその場所に同行し」一次資料を確認
- イ.正しい
- 消費者が第三者へ相談連絡する意思表示→威迫する言動でその連絡を妨害→消費者が困惑→契約→4条3項4号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第4号「威迫する言動を交えて、当該消費者が当該方法によって連絡することを妨げること」一次資料を確認
ひっかけ3号(退去困難な場所への同行)と4号(相談連絡の妨害)は、いずれも消費者を勧誘の場に事実上拘束する類型である点で似ているが、要件(場所の性質か、連絡妨害の態様か)が異なる点を混同しない。
解説消費者契約法4条3項は事業者の勧誘時の行為による困惑類型の取消しを1号から10号にわたり列挙しており、3号と4号もその一部である。3号は、勧誘であることを告げずに退去困難な場所へ消費者を同行し、その場所で勧誘する行為(いわゆる同行勧誘)を対象とし、消費者が任意に退去できない環境に置かれたこと自体が要件となる。4号は、消費者が既に勧誘の場にいる状況で、第三者に相談するための連絡を試みたにもかかわらず、威迫する言動を交えてその連絡を妨げる行為を対象とし、『威迫する言動を交える』ことが要件になっている点に注意が必要である(単に連絡を渋られただけでは4号に該当しない)。貸金業の訪問勧誘・電話勧誘の実務でも、相談の機会を意図的に奪う行為は本号の対象となりうる典型例である。
補足1号・2号(不退去・退去妨害)が『場所からの退去』に関する類型であるのに対し、3号・4号は『退去困難な場所への同行』『相談連絡の妨害』という、より個別の行為態様を捉えた類型として整理すると覚えやすい。
問9困惑類型:好意の感情の誤信の不当利用・加齢等による判断力低下の不当利用(4条3項6号・7号)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法4条3項の困惑類型に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者の勧誘を行う者が、消費者の社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者が当該勧誘者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘者も自己に対して同様の感情を抱いているものと消費者が誤信していることを知りながらこれに乗じ、消費者契約を締結しなければ当該勧誘者との関係が破綻することになる旨を告げたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が、消費者が加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときであっても、消費者契約法上の取消し事由とはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 社会生活上の経験不足→消費者が勧誘者に好意を抱き誤信→勧誘者がこれに乗じ関係破綻を告知→消費者が困惑→契約→4条3項6号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第6号「恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら」一次資料を確認
- イ.誤り
- 判断力の著しい低下に乗じ現在の生活維持の不安をあおる→契約締結が必要と告知→消費者が困惑→契約→4条3項7号により取消し可(イは逆の結論で誤り)
消費者契約法第4条第3項第7号「その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること」一次資料を確認
ひっかけ6号(好意の感情の誤信の不当利用)と7号(加齢・心身の故障による判断力低下の不当利用)はいずれも消費者の心理的な弱みに着目する困惑類型だが、着目する事情(誤信した好意の感情か、判断力の著しい低下か)が異なる別個の号である点を混同しない。
解説消費者契約法4条3項6号は、社会生活上の経験が乏しい消費者が勧誘者に恋愛感情等の好意の感情を抱き、かつ勧誘者も同様の感情を抱いていると誤信していることに乗じ、契約を締結しなければ関係が破綻すると告げる、いわゆるデート商法的な行為を困惑類型として取消しの対象とする。7号は、加齢又は心身の故障により判断力が著しく低下している消費者に対し、生計・健康等その現在の生活の維持に関する過大な不安をあおり、合理的根拠や正当な理由がないのに契約締結が必要と告げる行為を取消しの対象とする。いずれも消費者の判断力・心理状態につけ込む類型であり、5号(社会生活上の経験不足による将来の願望実現への不安の不当利用)とあわせて『つけ込み型』の困惑類型として整理して覚える必要がある。
補足7号も5号と同様『裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに』という限定文言があり、合理的根拠のある助言等は取消し事由から除外される点は5号と共通している。
問10困惑類型:契約前の債務内容の実施・事業活動の実施による損失補償請求(4条3項9号・10号)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法4条3項の困惑類型に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が、消費者が消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該消費者契約を締結したならば負うこととなる義務の内容の全部若しくは一部を実施し、その実施前の原状の回復を著しく困難にしたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。ただし、消費者契約の目的物の現状を変更する行為によって原状回復を著しく困難にした場合は、この類型に含まれない。
- イ.貸金業者が、消費者が消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をする前に、当該貸金業者が調査、情報の提供、物品の調達その他の当該消費者契約の締結を目指した事業活動を実施した場合において、取引上の社会通念に照らして正当な理由がある場合でないのに、当該事業活動が当該消費者のために特に実施したものである旨及び当該事業活動の実施により生じた損失の補償を請求する旨を告げたことにより消費者が困惑し、それによって契約の申込みの意思表示をしたときは、消費者はその意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 9号は『義務内容の実施』と『目的物の現状変更』の両方を原状回復困難化の行為として規定→現状変更を除外するアの限定は誤り
消費者契約法第4条第3項第9号「当該消費者契約の目的物の現状を変更し、その実施又は変更前の原状の回復を著しく困難にすること」一次資料を確認
- イ.正しい
- 契約締結前に契約締結を目指した事業活動を実施→正当な理由なく消費者のための実施である旨と損失補償請求を告知→消費者が困惑→契約→4条3項10号により取消し可
消費者契約法第4条第3項第10号「当該事業活動が当該消費者のために特に実施したものである旨及び当該事業活動の実施により生じた損失の補償を請求する旨を告げること」一次資料を確認
ひっかけ9号の対象行為は『義務内容の実施』と『目的物の現状変更』の2種類が並列で規定されている点を見落とし、一方だけに限定して覚えない。
解説消費者契約法4条3項9号・10号は、いずれも消費者契約の申込み等の意思表示をする『前』に事業者が行う既成事実化的な行為を対象とする困惑類型である。9号は、契約締結後に負うこととなる義務の内容の全部・一部の先行実施、又は契約目的物の現状変更により、原状回復を著しく困難にする行為(既成事実化による心理的な圧迫)を対象とする。10号は、契約締結を目指した調査・情報提供・物品調達等の事業活動を実施した上で、正当な理由がないのにそれが消費者のための特別な実施であるとして損失の補償を請求する旨を告げる行為を対象とする。9号・10号とも、契約前に既に何らかの負担・利益状態を作出し、それを理由に契約締結へ心理的に追い込む点で共通するが、対象行為(義務内容の実施・現状変更か、事業活動の実施と補償請求の告知か)が異なる別個の類型である。
補足10号は『当該消費者からの特別の求めに応じたものであったことその他の取引上の社会通念に照らして正当な理由がある場合』は取消し事由から除外される点も、5号・7号の『合理的根拠・正当理由』要件と同様の構造として押さえておく。
問11過量契約の取消し(4条4項)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法4条4項の過量契約の取消しに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が、消費者契約の目的となるものの分量、回数又は期間(分量等)が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知らなかった場合であっても、客観的にみて分量等が通常の分量等を著しく超えていれば、消費者はその勧誘による消費者契約の申込みの意思表示を取り消すことができる。
- イ.貸金業者が、消費者が既に締結している同種の消費者契約の目的となるものの分量等と、新たに勧誘する消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により消費者が消費者契約の申込みの意思表示をしたときであっても、消費者契約法上の取消し事由とはならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 4条4項は『(分量等が)著しく超えるものであることを知っていた場合』を要件とする→事業者が知らなかった場合は客観的過量でも取消し不可(アは主観要件を無視しており誤り)
消費者契約法第4条第4項「を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる」一次資料を確認
- イ.誤り
- 既締結の同種契約分と新契約分を合算→通常の分量等を著しく超えると事業者が知っていた→その勧誘で契約→4条4項後段により取消し可(イは逆の結論で誤り)
消費者契約法第4条第4項「当該同種契約の目的となるものの分量等と当該消費者契約の目的となるものの分量等とを合算した分量等が当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを知っていた場合において、その勧誘により当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときも、同様とする」一次資料を確認
ひっかけ過量契約の取消し(4条4項)は『客観的な過量性』だけでなく『事業者が過量であることを知っていたこと』という主観的要件が必須である点を見落とさない。
解説消費者契約法4条4項は、いわゆる過量販売・過量契約による困惑類型の取消しを定める。前段は、単独の消費者契約について、その分量・回数・期間(分量等)が当該消費者にとって通常想定される分量等を著しく超えるものであることを事業者が知っていた場合の取消しを、後段は、消費者が既に締結している同種契約の分量等と新たな契約の分量等とを合算した分量等が通常の分量等を著しく超えることを事業者が知っていた場合の取消しを、それぞれ定める。いずれも『事業者が知っていたこと』(悪意)が要件であり、客観的に分量が過大であるだけでは足りない点が、他の困惑類型(不退去・退去妨害等)と異なる特徴である。貸金業では金銭消費貸借の『分量』に直接該当する場面は限られるが、役務・物品の過量販売と抱き合わせた与信契約等で問題となりうる。
補足過量契約の取消しは4条3項の困惑類型(1号〜10号)とは異なる独立項として4項に置かれており、勧誘時の個別の行為態様(不退去・威迫等)を要件としない点も整理しておく。
問12媒介の委託を受けた第三者(受託者等)及び代理人への準用・みなし規定(5条)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法5条の受託者等及び代理人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者が第三者に対し、当該貸金業者と消費者との間における消費者契約の締結について媒介をすることを委託し、当該委託を受けた第三者(その第三者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下「受託者等」という。)が消費者に対して消費者契約法4条1項から4項までに規定する不実告知等の行為をした場合には、同条の規定が準用され、消費者は消費者契約の申込みの意思表示を取り消すことができる。
- イ.消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人を含む。)が事業者から重要事項について事実と異なる告知を受けた場合、消費者契約法4条の規定の適用については、当該代理人を消費者とみなして取消しの成否を判断する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 事業者が第三者に媒介委託→受託者等(再委託先を含む)が消費者に4条1項〜4項の行為→5条1項により4条が準用→消費者は取消し可
消費者契約法第5条第1項「受託者等」という。)が消費者に対して同条第一項から第四項までに規定する行為をした場合について準用する」一次資料を確認
- イ.正しい
- 消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人含む)→5条2項により4条の適用上『消費者』とみなされる→代理人が誤認した場合も取消しの成否判断の対象
消費者契約法第5条第2項「それぞれ消費者、事業者及び受託者等とみなす」一次資料を確認
ひっかけ5条1項の『受託者等』(媒介の委託を受けた第三者・再受託者)と5条2項の『代理人』(消費者・事業者・受託者等それぞれの代理人)は、適用の場面(誰の行為が4条の対象になるか/誰を消費者等とみなすか)が異なる別の規定である点を混同しない。
解説消費者契約法5条1項は、事業者が消費者契約締結の媒介を第三者に委託し、その委託を受けた者(二以上の段階にわたる再委託を受けた者を含めて『受託者等』という)が消費者に対して4条1項から4項までの不実告知・断定的判断の提供・不利益事実の不告知・困惑類型の行為をした場合に、事業者自身が行った場合と同様に4条の規定を準用する。5条2項は、消費者契約の締結に係る消費者の代理人(復代理人を含む)、事業者の代理人及び受託者等の代理人について、4条の適用上それぞれ消費者、事業者、受託者等とみなす規定であり、代理人を介して契約が締結される場面でも取消権の成否を適切に判断できるようにしている。貸金業者が保証人手配業者や紹介業者等の第三者を介して勧誘を行わせるケースでは、5条1項の受託者等の規律が特に問題となりうる。
補足5条1項の読替えとして、4条2項ただし書の『当該事業者』は『当該事業者又は次条第一項に規定する受託者等』と読み替えられる点も、受託者等が不利益事実を告げようとした場合の適用場面として押さえておく。
問13事業者及び消費者の努力義務(3条)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法3条の事業者及び消費者の努力義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者は、消費者契約の条項を定めるに当たっては、消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮する措置を講ずるよう努めなければならない。
- イ.貸金業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、心身の状態、知識及び経験を総合的に考慮した必要な情報提供の義務(消費者契約法3条1項2号)に違反した場合、消費者は当該違反のみを理由として消費者契約の申込みの意思表示を取り消すことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 消費者契約の条項を定める際→解釈に疑義の生じない明確さと消費者にとっての平易さへの配慮→3条1項1号の努力義務
消費者契約法第3条第1項第1号「消費者の権利義務その他の消費者契約の内容が、その解釈について疑義が生じない明確なもので、かつ、消費者にとって平易なものになるよう配慮すること」一次資料を確認
- イ.誤り
- 3条1項は『…措置を講ずるよう努めなければならない』という努力義務→違反のみでは4条のような取消権は発生しない(イは努力義務と取消権を混同しており誤り)
消費者契約法第3条第1項「次に掲げる措置を講ずるよう努めなければならない」一次資料を確認
ひっかけ3条の情報提供・条項明確化は『努力義務』にとどまり、違反したこと自体から直ちに4条のような取消権が発生するわけではない点を混同しない。
解説消費者契約法3条1項は、事業者に対し、(1)契約条項を解釈上疑義が生じない明確なもので消費者にとって平易なものにする配慮(1号)、(2)勧誘に際し個々の消費者の年齢・心身の状態・知識・経験を考慮した必要な情報提供(2号)、(3)定型約款の内容を知り得る状態に置く措置(3号)、(4)解除権行使に必要な情報提供(4号)という4つの措置を講ずる努力義務を課す。同条2項は消費者に対しても、提供された情報を活用し契約内容を理解するよう努める努力義務を課す。これらはいずれも『努めなければならない』(3条1項)・『努めるものとする』(同条2項)という努力義務の規定であり、4条の不実告知・困惑類型のような具体的要件を満たす行為があって初めて取消権が発生する規定とは法的性質が異なる点を区別して理解する必要がある。
補足3条の努力義務は取消権の直接的な根拠にはならないが、事業者の説明が3条の趣旨に反して不十分であった事実は、4条の重要事項の不実告知・不利益事実の不告知の有無を認定する際の間接的な事情として考慮されうる。
問14民法96条との関係(解釈規定)・取消権行使後の返還義務(6条・6条の2)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法6条及び6条の2に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費者契約法4条1項から4項までの規定は、これらの項に規定する消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、民法96条(詐欺又は強迫)の規定の適用を排除するものと解される。
- イ.消費者契約に基づく債務の履行として給付を受けた消費者が、消費者契約法4条1項から4項までの規定によりその意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、民法121条の2第1項の規定にかかわらず、当該消費者契約によって現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 6条は『民法96条の適用を妨げるものと解してはならない』と規定→4条の取消しと民法96条による取消しは併存しうる(アは逆の結論で誤り)
消費者契約法第6条「民法第九十六条の規定の適用を妨げるものと解してはならない」一次資料を確認
- イ.正しい
- 消費者が善意で給付を受領→4条により取消し→民法121条の2の原則にかかわらず6条の2により現に利益を受ける限度での返還義務にとどまる
消費者契約法第6条の2「給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、当該消費者契約によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う」一次資料を確認
ひっかけ6条は『民法96条の適用を排除する』規定ではなく、逆に『民法96条の適用を妨げない(併存を認める)』規定である点を逆に覚えない。
解説消費者契約法6条は、4条1項から4項までの取消し規定が民法96条(詐欺又は強迫による意思表示の取消し)の適用を妨げるものではないことを確認する解釈規定であり、消費者は事案に応じて消費者契約法4条・民法96条のいずれによっても(両方の要件を満たす場合はいずれか有利な方を選んで)取消しを主張できる。6条の2は、取消権を行使した消費者の返還義務について、民法121条の2第1項の原則(原状回復義務、すなわち給付を受けたもの全部の返還)の特則を定め、給付を受けた当時、意思表示が取り消しうるものであることを知らなかった消費者は、現に利益を受けている限度(現存利益)で返還すれば足りるとする。これは消費者保護の趣旨から、既に費消・毀損した給付についてまで全部の返還を求めない特則である。
補足現存利益の返還にとどまるのは『善意』(取消可能性を知らなかった)の消費者に限られ、取消可能性を知りながら給付を受けた消費者は民法の原則どおり原状回復義務を負う点にも注意する。
問15不当条項の無効:解除権放棄条項・後見開始審判等による解除権付与条項(8条の2・8条の3)e-Gov等の一次資料で確認済み
消費者契約法8条の2及び8条の3に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.貸金業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させる消費者契約の条項は無効となるが、当該貸金業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項は、消費者契約法上無効とされない。
- イ.貸金業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約の条項は、当該消費者が当該貸金業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされている場合を含め、常に無効となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 8条の2は『解除権を放棄させ、又は…解除権の有無を決定する権限を付与する条項』の両方を無効とする→権限付与条項を無効対象から除外するアは誤り
消費者契約法第8条の2「事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する消費者契約の条項は、無効とする」一次資料を確認
- イ.誤り
- 8条の3は『消費者が事業者に対し物品等を提供することとされているものを除く』と明記→この除外に反しイは誤り
消費者契約法第8条の3「消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く」一次資料を確認
ひっかけ8条の3は後見開始の審判等のみを理由とする解除権付与条項を一律に無効とするわけではなく、消費者が給付を提供する側の契約は適用除外となる点を見落とさない。
解説消費者契約法8条の2は、事業者の債務不履行により消費者に解除権が生じる場面において、その解除権を放棄させる条項、及び事業者自身に解除権の有無を決定する権限(消費者の解除権を事実上骨抜きにしうる権限)を付与する条項の両方を無効とする。8条の3は、消費者が成年後見・保佐・補助開始の審判を受けたことのみを理由に事業者に解除権を認める条項を無効とするが、消費者が事業者に対して物品・権利・役務等を提供する立場にある契約(消費者が売主・サービス提供者側になる契約)についてはこの無効規定の適用が除外されている点に注意が必要である。貸金業者が用いる金銭消費貸借契約の約款で、後見開始等を理由とする一方的解除条項や、事業者に解除の裁量を無限定に与える条項がないかを確認する際の基礎知識となる。
補足8条の3の除外規定は、消費者が事業者に給付する契約では、後見開始等による取引の安全確保の必要性が事業者側に生じうることを踏まえた例外である。