問1司法書士 会社法② 取締役会の決議(特別利害関係・賛成の推定)
取締役会の決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、その決議の議決に加わることができない。
- イ.取締役会の決議に参加した取締役であって、議事録に異議をとどめなかった者は、その決議に賛成したものと推定される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 利益相反の懸念 → 議決から排除
会社法第369条第2項「前項の決議について特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 沈黙 → 賛成の推定(責任追及の前提)
会社法第369条第5項「取締役会の決議に参加した取締役であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ決議に出席して黙っていた取締役は、反対していたつもりでも賛成と推定されてしまう。
解説アは決議の公正さに関わる。取締役会の決議について特別の利害関係を有する取締役は、その議決に加わることができない(会社法369条2項)。自分の利害が絡む決議で投票させれば判断がゆがむためで、アは正しい。イは決議後の責任追及に関わる。決議に参加した取締役で議事録に異議をとどめない者は、その決議に賛成したものと推定される(同条5項)。沈黙が賛成と扱われ、後に違法な決議の責任を問う足がかりになる。イも正しい。両方とも条文どおりで、『アー正、イー正』。
補足賛成の推定を覆すには議事録に異議を残すことが鍵だが、その議事録には出席した取締役だけでなく監査役も署名または記名押印しなければならない(369条3項)。
問2司法書士 会社法② 取締役の義務(忠実義務・善管注意義務)
取締役の義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。
- イ.株式会社と取締役との関係は、委任に関する規定に従う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 忠実義務
会社法第355条「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 委任関係
会社法第330条「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」e-Gov原文
ひっかけアの「忠実に」が355条、イの「委任に関する規定に従う」が330条。どちらも条文そのままの言い回しで、いずれも正しい。
解説株式会社と取締役・監査役・会計参与・会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う(会社法330条)。委任である以上、取締役は受任者として善良な管理者の注意をもって職務を行う義務、すなわち善管注意義務を負う(民法644条)。これとは別に会社法が定めるのが忠実義務で、取締役は法令・定款・株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実に職務を行わなければならない(会社法355条)。アは355条の文言、イは330条の委任関係を述べたもので、いずれも条文どおり正しい。
補足330条が委任に従うとする相手は取締役だけでなく、監査役・会計参与・会計監査人も含む。これらの役員等はみな善管注意義務を負う。
問3司法書士 会社法② 株式会社の機関設計
株式会社の機関に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
- イ.公開会社は、取締役会を置かなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 取締役の必置
会社法第326条第1項「株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 取締役会設置義務
会社法第327条第1項「次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない」e-Gov原文
会社法第327条第1項第1号「公開会社」e-Gov原文
ひっかけ取締役はどんな株式会社にも要る。公開会社になると、さらに取締役会まで必須になる。
解説すべての株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない(会社法326条1項)。取締役は最小限の必置機関であり、アは正しい。取締役会・監査役・会計監査人などはさらに定款で置くことができる(同条2項)が、置く義務が課される類型もある。公開会社はその一つで、取締役会を置かなければならない(同327条1項1号)。イもこのとおりで正しいから、アー正、イー正となる。
補足取締役会の設置義務は公開会社のほか、監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社にも及ぶ(会社法327条1項)。
問4司法書士 会社法② 株主総会決議の取消しの訴え
株主総会決議の取消しの訴えに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なときは、株主等は決議取消しの訴えを提起することができる。
- イ.株主総会等の決議の取消しの訴えは、決議の日から3箇月以内に提起しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 取消事由
会社法第831条第1項「株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 提訴期間
会社法第831条第1項「株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ手続の瑕疵は『取消し』、しかも決議の日から3箇月という短い期間が切られている。アもイもその枠どおりで、両方正しい。
解説招集の手続や決議の方法が法令・定款に違反し、又は著しく不公正なときは、株主等は決議取消しの訴えを提起できる(会社法831条1項1号)。アはこの取消事由そのもので正しい。そしてこの訴えは、決議の日から3箇月以内に提起しなければならない(同項柱書)。イはこの提訴期間どおりで正しい。手続的瑕疵や決議内容の定款違反、特別利害関係人の議決権行使による著しく不当な決議は、比較的軽い瑕疵としてこの取消しの訴えで争う。これに対し決議内容そのものが法令に違反する場合は、提訴期間の制限がない決議無効の訴え(830条2項)になる。
補足3箇月を過ぎても、招集手続等の違反が重大でなく決議に影響を及ぼさないと認めるときは、裁判所は請求を棄却できる(裁量棄却。831条2項)。
問5司法書士 会社法② 取締役の競業取引・利益相反取引の制限と任務懈怠責任
取締役会設置会社であるA株式会社の取締役Bに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.Bが自己のためにA社の事業の部類に属する取引(競業取引)をしようとする場合、Bは、その取引につき重要な事実を開示して取締役会の承認を受けなければならない。
- イ.Bが自己のためにA社と直接取引(利益相反取引)をした場合、その取引について取締役会の承認を受けていれば、その取引によってA社に損害が生じても、Bは任務を怠らなかったことを証明することで損害賠償責任を免れる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 事業の部類に属する取引 → 重要事実を開示 → 取締役会の承認
会社法第356条第1項第1号「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」e-Gov原文
会社法第365条第1項「取締役会設置会社における第三百五十六条の規定の適用については、同条第一項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 損害発生 → 任務懈怠が推定 → 自己のための直接取引は無過失でも免責されない
会社法第423条第3項「株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する」e-Gov原文
会社法第428条第1項「第四百二十三条第一項の責任は、任務を怠ったことが当該取締役又は執行役の責めに帰することができない事由によるものであることをもって免れることができない」e-Gov原文
ひっかけ承認は「取引してよい」というゴーサインにすぎず、損害が出たときの賠償責任まで消すものではない。
解説競業取引・利益相反取引には、取引前の手続と取引後の責任という二つの局面があり、アとイはそれぞれ別の局面を問うている。アは取引前。取締役が自己の事業の部類に属する取引(競業取引)をするには、重要な事実を開示して承認を受けなければならない(会社法356条1項1号)。取締役会設置会社では、この承認機関が株主総会から取締役会に読み替えられる(同法365条1項)から、Bは取締役会の承認を要する。アは正しい。イは取引後。利益相反取引によって会社に損害が生じたときは、その取引をした取締役などの任務懈怠が推定される(同法423条3項)。さらに、自己のためにした直接取引をした取締役の損害賠償責任は、自分に帰責事由がないこと(無過失)を理由としても免れることができない無過失責任とされる(同法428条1項)。承認を受けていようと、無過失を証明しようと、自己のための直接取引なら責任は残る。よってイは誤りで、組み合わせは『アー正、イー誤』。
補足無過失でも免責されない428条1項の重い扱いは、自己のためにした直接取引をした取締役に限られる。第三者のためにした取引や間接取引なら、423条3項の任務懈怠の推定にとどまり、無過失を立証して免責される余地が残る。
問6司法書士 会社法② 取締役会の専決事項と代表取締役の選定
取締役会設置会社の取締役会の権限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.重要な財産の処分および譲受けや多額の借財は、重要な業務執行の決定として、取締役会が決定しなければならず、各取締役に決定を委任することができない。
- イ.代表取締役の選定は、取締役会の決議によらず、各取締役が単独で行うことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重要な業務執行 → 取締役会で決定
会社法第362条第4項「重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない」e-Gov原文
会社法第362条第4項第1号「重要な財産の処分及び譲受け」e-Gov原文
- イ.誤り
- 選定権限 → 各取締役単独では不可
会社法第362条第3項「取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ代表取締役の選定は日常業務ではなく、会社の代表者を誰にするかという取締役会の専決事項。
解説アは取締役会の専決事項を問う。重要な財産の処分及び譲受け、多額の借財といった重要な業務執行の決定は、取締役会が自ら行わなければならず、各取締役に委任できない(会社法362条4項1号・2号)。会社に大きな影響を与える判断を一人に委ねさせない趣旨で、アは正しい。イは『代表取締役を各取締役が単独で選べる』とするが、取締役会は取締役の中から代表取締役を選定しなければならず(同条3項)、選定・解職は取締役会の職務である(同条2項3号)。会社の代表者を決める権限を取締役個人が単独で行使することはできない。イは誤りで、『アー正、イー誤』。
補足委任できない事項は1号・2号にとどまらず、支配人その他の重要な使用人の選任及び解任(3号)、支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止(4号)なども同じく取締役会の専決に含まれる。
問7司法書士 会社法② 役員等の第三者に対する責任
取締役の第三者に対する損害賠償責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役は、その職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.取締役は、その職務を行うについて軽過失があったにすぎない場合でも、会社法上、当然に第三者に対して損害賠償責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 重い帰責 → 第三者保護
会社法第429条第1項「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 要件は悪意・重過失 → 軽過失では不成立
会社法第429条第1項「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ会社に対する責任と違い、第三者への責任が立ち上がるのは悪意または重大な過失があったとき。
解説会社法429条1項は、不法行為とは別に第三者を保護するための特別の責任を定める。役員等が職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う(会社法429条1項)。アはこの要件をそのままなぞっており正しい。イは『軽過失でも当然に第三者責任を負う』とするが、同項の要件は悪意または重大な過失であって、単なる軽過失では成立しない。イは誤り。会社に対する責任(同法423条)が過失でも生じるのと対照的に、第三者責任は帰責の程度が重く設定されている。よって『アー正、イー誤』。
補足同じ429条でも2項は構造が違い、計算書類等への虚偽記載があれば、役員側が注意を怠らなかったと証明しない限り責任を負う。立証責任が転換され、軽過失でも捕まえうる点で1項の悪意・重過失とは別物。
問8司法書士 会社法② 取締役の報酬等
取締役の報酬等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役の報酬等についての一定の事項は、定款にその事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
- イ.取締役の報酬等は、取締役会の決議のみで自由に定めることができ、株主総会の関与は不要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- お手盛り防止
会社法第361条第1項「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
- イ.誤り
- 株主の関与
会社法第361条第1項「定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」e-Gov原文
ひっかけ報酬を受け取る側がその額を自分で決める、という構図を法は許していない。
解説取締役が自分たちの報酬を自由に決められるとすると、いわゆる『お手盛り』によって会社や株主の利益が損なわれるおそれがある。そこで、取締役の報酬・賞与その他の職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益(報酬等)についての一定の事項は、定款にその事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定めることとされている(会社法361条1項)。これがアの内容で、正しい。一方イのように、取締役会の決議のみで報酬等を自由に定めることはできず、株主の関与が必要となるから、イは誤り。定款か株主総会かという入口で、取締役だけの判断を遮断している点に意味がある。
補足株主総会で全取締役の報酬総額(上限)だけを定め、各取締役への具体的な配分は取締役会の決定に委ねる扱いは、お手盛り防止の趣旨を害しないものとして実務上認められている。
問9司法書士 会社法② 取締役の資格・員数
株式会社の取締役の資格および員数に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社は、定款をもって、取締役が株主でなければならない旨(株主資格の要件)を定めることができる。
- イ.取締役会設置会社においては、取締役は3人以上でなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 原則禁止 → 例外は非公開会社のみ
会社法第331条第2項「株式会社は、取締役が株主でなければならない旨を定款で定めることができない。ただし、公開会社でない株式会社においては、この限りでない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 合議体 → 最低3人
会社法第331条第5項「取締役会設置会社においては、取締役は、三人以上でなければならない」e-Gov原文
ひっかけ株主資格を要求する定款は、公開会社でこそ置けない。例外が許されるのは非公開会社の側。
解説アは『公開会社は取締役に株主資格を要求する定款の定めを置ける』とするが、許否が逆である。取締役が株主でなければならない旨の定款の定めは原則として置けず、例外として認められるのは公開会社でない株式会社に限られる(会社法331条2項)。広く人材を確保させる趣旨で原則禁止とし、株主が固定的な閉鎖的会社にだけ例外を開いている。だから公開会社では定められず、アは誤り。イは『取締役会設置会社では取締役3人以上』で、合議体を構成する以上当然の下限であり(同条5項)、正しい。組み合わせは『アー誤、イー正』。
補足員数とは別に資格の欠格事由は331条1項に並ぶが、破産手続開始の決定を受けて復権しない者はそこに入っておらず、破産者でも取締役になれる。2021年施行の改正で成年被後見人・被保佐人も欠格事由から外れた。
問10司法書士 会社法② 株主総会の特別決議の要件
株主総会の特別決議の要件に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特別決議は、定款に別段の定めがない限り、出席した株主の議決権の過半数の賛成があれば成立する。
- イ.特別決議は、原則として、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席することを要する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 重要事項 → 加重された賛成数
会社法第309条第2項「出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 重要事項 → 定足数を要求
会社法第309条第2項「議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し」e-Gov原文
ひっかけ過半数というキーワードが、表決数(誤)と定足数(正)の両方に顔を出して混乱を誘う。
解説特別決議には表決数と定足数の二つの数字があり、アとイはそれぞれ別の数字を問うている。アは表決数。特別決議は出席株主の議決権の3分の2以上に当たる多数で行わなければならない(会社法309条2項)。『出席株主の過半数で成立する』とするアは、普通決議の数字を当てはめており誤り。イは定足数。特別決議は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数(定款で3分の1以上まで軽減できる)を有する株主の出席を要する(同項)。イは正しい。よって『アー誤、イー正』。過半数で足りるのは普通決議のほうで、特別決議の表決は3分の2以上である。
補足3分の2以上のさらに上に特殊決議があり、全部の株式に譲渡制限を付す定款変更などは、議決権の3分の2以上に加えて株主の頭数の半数以上という人数要件まで課される(309条3項)。
問11司法書士 会社法② 競業取引の承認機関
取締役会非設置会社における取締役の競業取引の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.取締役が第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合であっても、自己のためにする場合と異なり、株主総会の承認を受ける必要はない。
- イ.取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするときは、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 自己/第三者の区別による誤解を突く
会社法第356条第1項第1号「取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 承認機関と開示義務を正確に問う
会社法第356条第1項「株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない」e-Gov原文
ひっかけ「第三者のためなら自由」と読ませにかかる肢。条文は自己でも第三者でも同じ扱い。
解説356条1項1号は競業取引の承認を求めるが、その射程は「自己又は第三者のために」する取引に及ぶ。取締役が自分名義で会社の事業の部類に属する取引をする場合だけでなく、他人の名義や計算で行う場合も承認の対象に入る。名義を第三者にすれば規制を逃れられる、という抜け道を塞ぐためである。だからアの「第三者のためなら承認不要」は誤り。イは1項柱書と1号の文言そのままで、株主総会での重要事実の開示と承認を要するとしており正しい。非設置会社では承認機関が株主総会になる点が、本問の前提である。
補足取締役会設置会社ではこの承認は取締役会で行い、取引をした取締役は取引後遅滞なくその重要な事実を取締役会に報告する義務を負う(365条)。
問12司法書士 会社法② 取締役会の決議要件
取締役会の決議に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.定款の定めによっても、取締役会の決議要件を法定の過半数より加重することはできない。
- イ.取締役会の決議は、原則として議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 定款による加重の可否を突く
会社法第369条第1項「これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上」e-Gov原文
- イ.正しい
- 取締役会の原則的決議要件を問う
会社法第369条第1項「議決に加わることができる取締役の過半数」e-Gov原文
ひっかけ法定の過半数は動かせない、と言い切る肢。条文は「上回る割合を定款で」と明言する。
解説369条1項は取締役会の決議を、議決に加わることができる取締役の過半数の出席と、その過半数の賛成で成立するとしたうえで、「これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上」と続ける。つまり定款で要件を法定より重くすることは条文上認められている。だからアの「定款でも加重できない」は誤り。イは同項の定足数と決議要件そのままで正しい。加重はできるが緩和はできない、という一方向の規律が本問の核心で、アはその「重くできる」側を否定して引っかけにきている。
補足逆に、定款で定めておけば、提案に議決権のある取締役全員が書面・電磁的記録で同意したとき決議があったものとみなせる(370条。監査役が異議を述べたときは不可)。
問13司法書士 会社法② 監査役の権限
監査役に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.監査役は、その職務を行うため必要があるときであっても、子会社に対して事業の報告を求めたり、その業務・財産の状況を調査することは一切できない。
- イ.監査役は、取締役や使用人に対して事業の報告を求めることはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 調査権
会社法第381条第3項「監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め」e-Gov原文
- イ.誤り
- 報告請求権
会社法第381条第2項「監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め」e-Gov原文
ひっかけ監査役の調査権を狭く見せる肢が2つ。実際は使用人にも子会社にも手が届く。
解説監査役は、取締役の職務の執行を監査し監査報告を作成する(会社法381条1項)が、その実効性を支える調査権限が問題となる。アは子会社に対する報告請求・調査が一切できないとするが、同条3項は必要があるときに子会社へ事業の報告を求め、その業務・財産の状況を調査できると定めるため誤り。イは取締役や使用人への報告請求ができないとするが、同条2項は「いつでも」取締役・会計参与・支配人その他の使用人に事業の報告を求められるとするため、これも誤り。よってアー誤、イー誤となる。
補足子会社への調査は監査役の権限だが、子会社の側は正当な理由があればその報告・調査を拒める(会社法381条4項)。
問14司法書士 会社法② 機関設計の規律
株式会社の機関設計に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社であっても、定款で定めれば取締役会を置かないことができる。
- イ.指名委員会等設置会社は、監査役を置かなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 設置義務
会社法第327条第1項「次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない」e-Gov原文
会社法第327条第1項第1号「公開会社」e-Gov原文
- イ.誤り
- 監査役の不設置
会社法第327条第4項「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない」e-Gov原文
ひっかけ片方は「置く義務」を無視し、もう片方は「置いてはならない」機関を置けと言う。両方逆。
解説会社法は機関設計について、設置義務と設置禁止の両方を定める。アは公開会社でも定款で取締役会を置かないことができるとするが、公開会社は取締役会を置かなければならない(会社法327条1項1号)ため誤り。イは指名委員会等設置会社が監査役を置かなければならないとするが、同条4項は「監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社は、監査役を置いてはならない」と定める。これらの会社では監査委員会・監査等委員会が監査を担うからである。イも誤りで、アー誤、イー誤となる。
補足監査役を置けない代わりに、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は会計監査人を置かなければならない(会社法327条5項)。
問15司法書士 会社法② 株主平等の例外と自己株式
株主の取扱いに関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.公開会社でない株式会社であっても、剰余金の配当や議決権等について株主ごとに異なる取扱いをする旨を定款で定めることは一切できない。
- イ.株主平等の原則の下では、会社は自己株式についても議決権を行使することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 属人的定め
会社法第109条第2項「公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 自己株式
会社法第308条第2項「株式会社は、自己株式については、議決権を有しない」e-Gov原文
ひっかけ非公開会社なら、持株数を離れて株主ごとに違う扱いを定款で作れる。
解説アについて、株主平等の原則(会社法109条1項)には例外があり、公開会社でない株式会社は、剰余金配当・残余財産分配・議決権に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる(属人的定め。同条2項)。閉鎖的な会社における株主間の合意を尊重する趣旨で、『一切できない』とするアは誤り。イについて、会社が保有する自己株式には議決権がない(同308条2項)から、議決権を行使できるとするイも誤り。したがって両肢とも誤り。
補足この属人的定めを新設・変更する定款変更は、特別決議より重い特殊決議(総株主の半数以上であって総株主の議決権の4分の3以上の賛成。会社法309条4項)を要する点で、通常の定款変更と一線を画す。