問1民法上の不法行為による損害賠償
不法行為に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- イ.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 709条のとおり → 正しい
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 719条1項のとおり → 正しい
民法第719条「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ一般の不法行為は『故意又は過失』で他人の権利法益を侵害した者が損害を賠償。共同不法行為は各自が『連帯』責任(709条・719条)。
解説故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う(709条、一般の不法行為)。不法行為による損害賠償を押さえる。
補足一般の不法行為の成立要件は、故意過失・権利法益侵害・損害の発生・因果関係・責任能力である。賃貸管理では建物の欠陥等による損害賠償で問題となる。
問2民法上の財産以外の損害の賠償
財産以外の損害の賠償及び近親者に対する損害の賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、不法行為による損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
- イ.他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その者の財産権が侵害されていなければ、損害賠償の責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 710条のとおり → 正しい
民法第710条「財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 財産権が侵害されなくても賠償する → 『侵害されていなければ責任を負わない』は誤り
民法第711条「その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ不法行為の賠償責任者は『財産以外の損害(慰謝料)』にも賠償。生命侵害では父母・配偶者・子に財産権侵害がなくても賠償(710条・711条)。
解説他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない(710条)。財産以外の損害の賠償を押さえる。
補足710条は精神的損害(慰謝料)の賠償を定める。711条は生命侵害の場合の近親者(父母・配偶者・子)固有の慰謝料請求権を定める。
問3近親者に対する損害の賠償
近親者に対する損害の賠償及び動物の占有者等の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
- イ.動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 711条のとおり → 正しい
民法第711条「その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 718条1項のとおり → 正しい
民法第718条「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ生命侵害では父母・配偶者・子に固有の慰謝料。動物の占有者は原則その動物が加えた損害を賠償(相当の注意で管理したときは免責)(711条・718条)。
解説他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない(711条、近親者固有の慰謝料請求権)。近親者に対する損害の賠償を押さえる。
補足711条の近親者(父母・配偶者・子)は固有の慰謝料請求権を有する。動物の占有者は中間責任(相当の注意の立証で免責される過失責任)を負う。
問4不法行為における未成年者の責任能力
未成年者の責任能力及び使用者等の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない。
- イ.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に損害を加えても、いかなる場合であっても損害賠償の責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 712条のとおり → 正しい
民法第712条「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 使用者は原則賠償責任を負う → 『いかなる場合も負わない』は誤り
民法第715条「被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ未成年者は『責任弁識能力』を欠くときは賠償責任を負わない(年齢一律でなく能力で判断)。使用者は被用者の事業執行上の加害を原則賠償(712条・715条)。
解説未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない(712条、責任能力)。不法行為における未成年者の責任能力を押さえる。
補足責任能力は責任弁識能力(おおむね12歳程度)で判断される。責任無能力者が責任を負わない場合、監督義務者が責任を負う(714条)。
問5不法行為における精神上の障害による責任能力
精神上の障害による責任能力及び未成年者の責任能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.未成年者は、他人に損害を加えた場合においては、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていたか否かにかかわらず、常にその行為について賠償の責任を負う。
- イ.精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、原則として、その賠償の責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 責任弁識能力を欠くときは負わない → 『常に責任を負う』は誤り
民法第712条「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 713条のとおり → 正しい
民法第713条「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない」e-Gov原文
ひっかけ責任能力は未成年者・精神上の障害者いずれも『責任弁識能力』で判断。故意過失で一時的に責任無能力状態を招いたときは免責されない(712条・713条)。
解説精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときはこの限りでない(713条)。不法行為における精神上の障害による責任能力を押さえる。
補足責任能力を欠く者は不法行為責任を負わないが、飲酒等により故意過失で一時的に責任無能力状態を招いた場合は免責されない(原因において自由な行為)。
問6責任無能力者の監督義務者等の責任
責任無能力者の監督義務者等の責任及び注文者の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、原則として、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
- イ.注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害について、注文又は指図についてその注文者に過失があった場合であっても、賠償の責任を負うことはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 714条1項のとおり → 正しい
民法第714条「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 注文指図に過失があれば注文者が責任を負う → 『過失があっても責任を負わない』は誤り
民法第716条「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」e-Gov原文
ひっかけ責任無能力者が免責されるとき『監督義務者』が代わって賠償(中間責任)。注文者は原則免責だが『注文・指図に過失』があれば責任(714条・716条)。
解説責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務を怠らなかったとき等はこの限りでない(714条1項)。責任無能力者の監督義務者等の責任を押さえる。
補足監督義務者責任は中間責任(監督義務を怠らなかったことを立証すれば免責)である。注文者は請負人の独立性から原則免責だが、注文・指図の過失があれば責任を負う。
問7民法上の使用者等の責任
使用者等の責任及び不法行為による損害賠償請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.ある事業のために他人を使用する者は、原則として、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。
- イ.不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 715条1項のとおり → 正しい
民法第715条「被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 724条1号のとおり → 正しい
民法第724条「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ使用者は被用者の『事業の執行について』の加害を賠償(報償責任)。不法行為の損害賠償請求権は損害及び加害者を『知った時から3年』で時効(715条・724条)。
解説ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき等はこの限りでない(715条1項)。使用者等の責任を押さえる。
補足使用者責任は報償責任(利益を得る者が損害も負担)に基づく中間責任である。使用者は被用者に求償できる。賃貸管理会社の従業員の加害では使用者責任が問題となる。
問8民法上の注文者の責任
注文者の責任及び土地の工作物等の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害が生じた場合、その工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときであっても、その占有者がその損害を賠償しなければならない。
- イ.注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときは、この限りでない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償する → 『占有者が賠償しなければならない』は誤り
民法第717条「所有者がその損害を賠償しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 716条のとおり → 正しい
民法第716条「注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない」e-Gov原文
ひっかけ工作物責任は占有者が『必要な注意』をしたときは『所有者』が賠償(所有者は免責されない無過失責任)。注文者は原則免責(注文指図の過失を除く)(717条・716条)。
解説注文者は、請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負わない。ただし、注文又は指図についてその注文者に過失があったときはこの限りでない(716条)。注文者の責任を押さえる。
補足注文者は請負人の独立性から原則免責されるが、注文・指図の過失があれば責任を負う。工作物責任では占有者が免責されると所有者が無過失責任を負う点と対比される。
問9民法上の土地の工作物等の占有者及び所有者の責任
土地の工作物等の占有者及び所有者の責任並びに不法行為による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、原則として、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。
- イ.故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 717条1項のとおり → 正しい
民法第717条「その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 709条のとおり → 正しい
民法第709条「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ工作物責任は『占有者→所有者』の順。占有者は必要な注意をすれば免責されるが、所有者は免責されない(無過失責任)。賃貸建物の欠陥で最重要(717条)。
解説土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(717条1項)。土地の工作物等の占有者及び所有者の責任を押さえる。
補足工作物責任は占有者(管理者・賃借人等)が第一次的に負い、必要な注意をして免責されると所有者(賃貸人等)が無過失責任を負う。賃貸建物の設置保存の瑕疵による第三者被害で問題となる最重要論点である。
問10動物の占有者等の責任
動物の占有者等の責任及び共同不法行為者の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない。
- イ.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときであっても、各自は自己が関与した部分についてのみ分割してその損害を賠償する責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 718条1項のとおり → 正しい
民法第718条「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 各自が連帯して賠償する → 『分割して責任を負う』は誤り
民法第719条「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ動物の占有者は原則賠償(相当の注意の立証で免責=中間責任)。共同不法行為者は『分割』でなく『連帯』責任(718条・719条)。
解説動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときはこの限りでない(718条1項)。動物の占有者等の責任を押さえる。
補足動物の占有者責任は中間責任である。共同不法行為者は連帯責任を負い、被害者は各自に全額を請求できる(各自の内部的負担割合による求償は別)。
問11民法上の共同不法行為者の責任
共同不法行為者の責任及び正当防衛に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者であっても、常にその損害賠償の責任を負う。
- イ.数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負い、共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 正当防衛は損害賠償の責任を負わない → 『常に責任を負う』は誤り
民法第720条「やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 719条1項のとおり → 正しい
民法第719条「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ『正当防衛』でやむを得ず加害した者は損害賠償責任を負わない。共同不法行為者は連帯責任で、加害者不明のときも連帯(720条・719条)。
解説数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも同様とする(719条1項)。共同不法行為者の責任を押さえる。
補足共同不法行為者は連帯責任を負い、加害者が特定できない場合(択一的競合)も連帯責任を負う。教唆者・幇助者も共同行為者とみなされる。
問12不法行為における正当防衛及び緊急避難
正当防衛及び緊急避難並びに不法行為における過失相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法行為において被害者に過失があったときであっても、裁判所は、これを考慮して損害賠償の額を定めることはできない。
- イ.他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 考慮して額を定めることができる → 『定めることはできない』は誤り
民法第722条「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 720条1項のとおり → 正しい
民法第720条「やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない」e-Gov原文
ひっかけ不法行為の過失相殺は被害者に過失があると裁判所が『考慮して額を定めることができる』(任意的考慮・額のみ)。正当防衛は責任を負わない(722条・720条)。
解説他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利又は法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負わない。ただし、被害者から不法行為をした者に対する損害賠償の請求を妨げない(720条1項、正当防衛)。不法行為における正当防衛及び緊急避難を押さえる。
補足正当防衛・緊急避難としてやむを得ずした加害行為は違法性が阻却され責任を負わない。不法行為の過失相殺は債務不履行(必要的考慮・責任も考慮)と異なり、額のみの任意的考慮である。
問13不法行為における損害賠償の方法及び過失相殺
不法行為における過失相殺及び使用者等の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法行為による損害賠償について、被害者に過失があった場合には、裁判所は、必ず加害者の損害賠償の責任そのものを否定しなければならない。
- イ.ある事業のために他人を使用する者は、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたときであっても、被用者が加えた損害を賠償する責任を免れることはない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 額を定めるにあたり考慮できる(任意的) → 『必ず責任そのものを否定する』は誤り
民法第722条「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 選任監督に相当の注意をしたときは免責される → 『責任を免れることはない』は誤り
民法第715条「被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ不法行為の過失相殺は『額』の任意的考慮(責任否定ではない)。使用者責任は選任監督に相当の注意をすれば免責(中間責任)(722条・715条)。
解説被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる(722条2項、不法行為における過失相殺)。損害賠償の方法・中間利息の控除については417条等が準用される。不法行為における損害賠償の方法及び過失相殺を押さえる。
補足不法行為の過失相殺は損害賠償額の減額として任意的に考慮される(責任そのものは否定されない)。使用者責任は選任監督に相当の注意をした立証で免責される中間責任である。
問14民法上の不法行為による損害賠償請求権の消滅時効
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効及び土地の工作物等の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から十年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- イ.土地の工作物の設置又は保存の瑕疵によって他人に損害が生じた場合、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者もその損害を賠償する責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 知った時から3年間 → 『十年間』は誤り
民法第724条「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 占有者免責時は所有者が賠償する → 『所有者も責任を負わない』は誤り
民法第717条「所有者がその損害を賠償しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ不法行為の損害賠償請求権は『知った時から3年』又は『不法行為の時から20年』で時効。工作物の所有者責任は無過失責任(占有者免責時は所有者が負う)(724条・717条)。
解説不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、又は不法行為の時から20年間行使しないときに、時効によって消滅する(724条)。不法行為による損害賠償請求権の消滅時効を押さえる。
補足不法行為の損害賠償請求権の消滅時効は、主観的起算点(損害及び加害者を知った時)から3年、客観的起算点(不法行為の時)から20年である。工作物の所有者は無過失責任を負う。
問15人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効
人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権については、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- イ.不法行為による損害賠償の請求権は、不法行為の時から十年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 3年間ではなく5年間に延長される → 『三年間』は誤り
民法第724条の2「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については」e-Gov原文
- イ.誤り
- 不法行為の時から20年間 → 『十年間』は誤り
民法第724条「不法行為の時から二十年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ『人の生命又は身体』を害する不法行為は主観的起算点からの時効が『3年→5年』に延長。客観的起算点は20年で共通(724条の2・724条)。
解説人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは「五年間」とする(724条の2)。人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効を押さえる。
補足生命・身体という重要な法益侵害については被害者保護のため主観的起算点からの時効期間が3年から5年に延長される。客観的起算点(不法行為の時から20年)は変わらない。