問1建物賃貸借の法定更新と解約の申入れ
建物賃貸借の更新・終了に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.期間の定めがある建物の賃貸借において、当事者が期間の満了の1年前から6か月前までの間に更新をしない旨の通知等をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
- イ.建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から3か月を経過することによって終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 通知を怠ると法定更新
借地借家法第26条「従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす」e-Gov原文
- イ.誤り
- 「3か月」は誤り(6か月)
借地借家法第27条「解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する」e-Gov原文
ひっかけ賃貸人の解約申入れは「6か月」。賃借人側の3か月と取り違えない。
解説期間の定めがある建物賃貸借は、満了の1年前〜6か月前に更新拒絶等の通知をしないと従前と同一条件で更新(法定更新)され、その期間は定めのないものとなる(26条)。期間の定めがない場合、賃貸人の解約申入れは6か月経過で終了(27条1項)。賃借人からの解約申入れは民法により3か月。
補足賃貸人側の更新拒絶・解約申入れには正当事由も必要(28条)。
問2更新拒絶・解約の正当事由
建物賃貸借の更新拒絶等の要件(正当事由)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建物の賃貸人による更新をしない旨の通知や解約の申入れは、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
- イ.正当の事由の有無の判断においては、当事者双方が建物の使用を必要とする事情のほか、賃貸人が立退料等の財産上の給付をする旨の申出をした場合のその申出も考慮される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 正当事由がなければ不可
借地借家法第28条「正当の事由があると認められる場合でなければ」e-Gov原文
- イ.正しい
- 立退料も判断要素になる
借地借家法第28条「財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して」e-Gov原文
ひっかけ立退料は正当事由を「補完」する要素。これだけで正当事由が満たされるとは限らない。
解説賃貸人からの更新拒絶・解約申入れは正当事由がなければできない(28条)。正当事由は、双方の建物使用の必要性を中心に、従前の経過・利用状況・建物の現況、立退料の申出を総合考慮して判断する。立退料の提供だけで当然に正当事由が認められるわけではない。
補足賃借人からの解約・更新拒絶には正当事由は不要。
問3建物賃貸借の対抗力と期間
建物賃貸借の対抗力及び期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建物の賃貸借は、その登記がなければ、建物の引渡しを受けていても、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができない。
- イ.期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 登記がなければ対抗できないとするのは誤り
借地借家法第31条「その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは」e-Gov原文
- イ.正しい
- 1年未満は期間の定めなし扱い
借地借家法第29条「期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」e-Gov原文
ひっかけ建物賃貸借の対抗要件は「引渡し」。登記必須とするのは誤り。
解説建物賃貸借は、登記がなくても建物の引渡しを受ければ第三者に対抗できる(31条)。借地の対抗要件が借地上建物の登記であるのと対になる重要論点。期間を1年未満と定めると期間の定めのない賃貸借とみなされる(29条1項。ただし定期建物賃貸借は例外)。
補足民法604条の賃貸借期間の上限(50年)は、建物賃貸借には適用されない(29条2項)。
問4借賃増減請求権
建物の借賃の増減に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合であっても、賃貸人はいつでも借賃の増額を請求することができる。
- イ.建物の借賃が近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は将来に向かって借賃の額の増減を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 特約があってもいつでも増額請求できるとするのは誤り
借地借家法第32条「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 記述の主語が逆(増減請求は可能)
借地借家法第32条「将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ増額請求は特約で制限できるが、減額請求は原則として特約で奪えない(普通借家)。
解説借賃が租税・地価・近傍同種の借賃と比べ不相当になれば、当事者は将来に向かって増減請求できる(32条1項)。ただし『一定期間増額しない』特約は有効でその定めに従う。減額しない特約は賃借人に不利なため原則無効(普通借家。定期借家では減額しない特約も有効)。
補足協議が調わないときは、裁判確定まで相当と認める額を支払えば足りる(32条2項・3項)。
問5造作買取請求権と強行規定
建物賃貸借に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合、賃借人は、賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、賃貸人に対しその造作を時価で買い取るよう請求することができる。
- イ.建物賃貸借の更新等に関する借地借家法の規定に反する特約で、建物の賃借人に不利なものは、無効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 造作買取請求権が認められる
借地借家法第33条「その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 賃借人保護の強行規定
借地借家法第30条「建物の賃借人に不利なものは、無効とする」e-Gov原文
ひっかけ造作買取請求権を排除する特約は有効。30条の強行規定がすべての条文に及ぶわけではない。
解説賃貸人の同意を得て付加した造作は、終了時に時価での買取りを請求できる(造作買取請求権、33条)。更新・存続期間等に関する規定に反し賃借人に不利な特約は無効(30条)。ただし造作買取請求権(33条)は任意規定とされ、これを排除する特約は有効である点に注意。
補足対抗力(31条)・転借人保護(34条)等は37条で強行規定とされている。
問6定期建物賃貸借
定期建物賃貸借に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.定期建物賃貸借(契約の更新がないこととする旨を定める建物賃貸借)は、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、することができる。
- イ.定期建物賃貸借をしようとするときは、賃貸人は、更新がなく期間の満了により賃貸借が終了する旨を口頭で説明すれば足り、書面を交付する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 書面によることが要件
借地借家法第38条「公正証書による等書面によって契約をするときに限り」e-Gov原文
- イ.誤り
- 口頭で足りるとするのは誤り
借地借家法第38条「その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ契約書面とは別に、事前説明の書面交付が必要。口頭説明だけは不可。
解説定期建物賃貸借は、書面(公正証書による等)で契約し、更新がない旨を定める(38条1項)。賃貸人は契約前に、更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(同3項)、この説明を欠くと更新がない旨の定めは無効となる(同5項)。
補足期間1年以上の定期借家では、賃貸人は期間満了の1年前〜6か月前に終了通知を要する。
問7賃貸人の修繕義務
賃貸人の修繕義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
- イ.賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときであっても、賃借人はこれを拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 修繕義務は賃貸人
民法第606条「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」e-Gov原文
ひっかけ賃貸人の保存行為(修繕等)を賃借人は拒めない。受忍義務がある。
解説賃貸人は賃貸物の使用収益に必要な修繕義務を負うが、賃借人の責めに帰すべき事由による修繕は除かれる(606条1項)。賃貸人の保存行為を賃借人は拒めない(同2項)。賃借人は、修繕が必要な旨を通知し又は賃貸人が知ったのに相当期間内に修繕しないとき等は、自ら修繕できる(607条の2)。
補足賃借人の帰責事由で必要になった修繕は、賃貸人の義務ではない。
問8賃借人の費用償還請求権
賃借人の費用償還請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
- イ.賃借人が有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、その償還をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
ひっかけ必要費は『直ちに』、有益費は『終了時』。償還の時期が異なる。
解説賃借人が支出した必要費(保存に必要な費用)は直ちに償還を請求でき(608条1項)、有益費(価値を増加させる費用)は賃貸借終了の時にその価値の増加が現存する限度で償還される(同2項)。有益費の償還については、裁判所が相当の期限を許与することがある。
補足費用償還請求権は、賃貸物の返還を受けた時から1年以内に行使する必要がある(622条・600条)。
問9敷金
敷金に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸人は、賃貸借が終了して賃貸物の返還を受ける前であっても、受け取った敷金の全額を賃借人に返還しなければならない。
- イ.賃貸人は、賃借人が賃料債務その他の債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 返還前の全額返還とするのは誤り
民法第622条の2「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」e-Gov原文
- イ.正しい
- 賃貸人からの充当は可
民法第622条の2「敷金をその債務の弁済に充てることができる」e-Gov原文
ひっかけ敷金返還は『明渡し後』。同時履行ではなく明渡しが先。
解説敷金は賃料債務等を担保する目的で交付される金銭(622条の2)。賃貸借が終了し賃貸物の返還を受けたとき、又は賃借人が適法に賃借権を譲渡したときに、未払債務を控除した残額が返還される。明渡しが敷金返還より先履行である。賃貸人は債務不履行時に敷金を充当できるが、賃借人から充当を請求することはできない。
補足賃借人の側から『敷金を未払賃料に充てよ』と請求することはできない。
問10賃借人の原状回復義務
賃借人の原状回復義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃貸借が終了したときは、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗や経年変化についても、原状に復する義務を負う。
- イ.賃借物の損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであっても、賃借人は原状回復義務を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 通常損耗も回復義務とするのは誤り
民法第621条「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」e-Gov原文
- イ.誤り
- 帰責事由がなくても義務とするのは誤り
民法第621条「賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるとき」e-Gov原文
ひっかけ通常損耗・経年変化は賃借人の負担ではない(賃料に織り込まれている)。
解説賃借人の原状回復義務は、賃借物を受け取った後に生じた損傷を対象とするが、通常の使用による損耗(通常損耗)と経年変化は除かれる(621条)。また、損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるときは義務を負わない。賃貸管理の現場では、原状回復ガイドラインと併せて理解する。
補足通常損耗を賃借人負担とする特約は、明確に合意されていれば有効となりうる(判例)。
問11賃貸借の存続期間
民法上の賃貸借の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借の存続期間は50年を超えることができず、契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は50年とされる。
- イ.賃貸借の存続期間を更新する場合、更新後の期間に上限はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 上限なしとするのは誤り
民法第604条「更新の時から五十年を超えることができない」e-Gov原文
ひっかけ民法の上限50年は、借地借家法が適用される建物賃貸借には及ばない。
解説民法上の賃貸借の存続期間は50年が上限で、更新後も更新の時から50年を超えられない(604条)。ただし、借地借家法が適用される建物賃貸借には存続期間の上限がなく(借地借家法29条2項により民法604条は不適用)、1年未満の定めが期間の定めなしとされる点に注意。
補足駐車場(更地)など建物所有目的でない土地賃貸借には、民法604条が適用される。
問12賃借物の一部滅失による賃料の減額等
賃借物の一部滅失等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借物の一部が賃借人の責めに帰することができない事由により使用及び収益をすることができなくなった場合でも、賃料が減額されることはない。
- イ.賃借物の一部滅失等により残存する部分のみでは賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は契約の解除をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 目的不達なら解除可
民法第611条「賃借人は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ一部使用不能の賃料減額は『当然に』生じる。賃借人の請求は不要。
解説賃借物の一部が賃借人の帰責によらず使用収益できなくなったときは、その割合に応じて賃料が『当然に』減額される(611条1項、改正前の請求による減額から変更)。残存部分では目的を達せないときは、賃借人は契約を解除できる(同2項)。全部滅失等のときは賃貸借が当然に終了する(616条の2)。
補足減額の割合や要否をめぐっては、当事者間の協議や実務上の基準が用いられる。
問13期間の定めのない賃貸借の解約と全部滅失
賃貸借の終了に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が賃貸借の期間を定めなかった場合、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から1年を経過することによって終了する。
- イ.賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合でも、賃貸借は当然には終了しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
ひっかけ民法の建物解約は『3か月』。借地借家法が適用される建物では賃貸人側は6か月+正当事由。
解説期間の定めのない賃貸借は、各当事者がいつでも解約の申入れができ、土地は1年、建物は3か月、動産・貸席は1日の経過で終了する(民法617条)。ただし建物賃貸借では借地借家法が優先し、賃貸人からの解約申入れは6か月+正当事由が必要。全部滅失等で使用収益できなくなれば賃貸借は当然終了する(616条の2)。
補足民法617条が適用されるのは、借地借家法が適用されない賃貸借(一時使用等)。
問14賃貸借契約の意義
民法上の賃貸借契約の意義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約終了時に返還することを約することによって、その効力を生ずる。
- イ.賃貸借において、賃借人は、引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 601条の定義
民法第601条「その賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還すること」e-Gov原文
- イ.正しい
- 返還義務は賃貸借の要素
民法第601条「引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還すること」e-Gov原文
ひっかけ賃貸借は『諾成契約』。目的物の引渡しは成立要件ではない。
解説賃貸借は、賃貸人が物の使用収益をさせ、賃借人が賃料を支払い、契約終了時に目的物を返還する諾成・双務・有償契約(601条)。改正民法で『返還の合意』が定義に明記された。賃貸住宅管理では、この基本構造を前提に、修繕・費用・敷金・原状回復・終了の各論点が組み合わさる。
補足使用貸借(無償)と異なり、賃貸借は賃料の支払が要素となる有償契約。
問15賃借権の譲渡及び転貸の制限
賃借権の譲渡及び転貸の制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
- イ.賃借人が賃貸人に無断で第三者に賃借物を使用又は収益させたときであっても、賃貸人は契約を解除することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 無断譲渡・転貸は不可
民法第612条「賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し」e-Gov原文
- イ.誤り
- 解除できないとするのは誤り
民法第612条「賃貸人は、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ無断転貸は原則解除可。ただし信頼関係を破壊しない特段の事情があれば制限される。
解説賃借権の譲渡・転貸には賃貸人の承諾が必要で(612条1項)、無断であれば賃貸人は解除できる(同2項)。ただし判例上、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除が制限される(信頼関係破壊の法理)。賃貸管理では、転貸・サブリースの可否判断に直結する。
補足適法に転貸されたときは、転借人は賃貸人に対し直接義務を負う(613条)。
問16転貸の効果
適法な転貸の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。
- イ.賃借人が適法に賃借物を転貸した場合、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって、転借人に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 転借人の直接履行義務
民法第613条「賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 対抗できるとするのは誤り
民法第613条「合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ原賃貸借の『合意解除』は転借人に対抗できない。債務不履行解除なら対抗できる。
解説適法な転貸では、転借人は原賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲で賃貸人に直接義務を負い、賃料の前払を賃貸人に対抗できない(613条1項)。賃貸人と賃借人が原賃貸借を合意解除しても、これを転借人に対抗できない(同3項本文)。ただし賃借人の債務不履行による解除権があったときは対抗できる(同ただし書)。
補足転借人は賃貸人からの賃料請求に応じる義務を負うが、二重払いにはならない範囲に限られる。
問17賃貸人たる地位の移転と対抗要件
賃貸不動産が譲渡された場合の賃貸人たる地位の移転に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借の対抗要件を備えた不動産が譲渡されたときは、賃借人の承諾がなければ、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。
- イ.賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 賃借人の承諾を要するとするのは誤り
民法第605条の2「その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 登記が対抗要件
民法第605条の2「所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ地位の移転は『当然』だが、賃借人への対抗には『登記』が必要。
解説対抗要件を備えた賃貸借では、不動産の譲渡により賃貸人たる地位は当然に譲受人へ移転する(承諾不要、605条の2第1項)。もっとも、譲受人が賃料請求等をするには所有権移転登記が必要(同3項)。費用償還債務・敷金返還債務も譲受人が承継する(同4項)。オーナーチェンジの基本。
補足賃貸人と譲受人の合意で、賃貸人たる地位を譲渡人に留保することもできる(605条の2第2項)。
問18居住用建物の賃借権の承継
居住用建物の賃借権の承継に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合、その内縁の配偶者である同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継することはできない。
- イ.承継の対象となる同居者であっても、相続人なしに死亡したことを知った後はいつでも反対の意思を表示すれば承継を免れることができ、その期間に制限はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 承継できないとするのは誤り
借地借家法第36条「その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 期間制限がないとするのは誤り
借地借家法第36条「一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したとき」e-Gov原文
ひっかけ承継は『相続人なし』が前提。承継拒否は『1月以内』。
解説居住用建物の賃借人が相続人なしに死亡したとき、内縁の配偶者など事実上夫婦・養親子と同様の関係にあった同居者は、賃借人の権利義務を承継する(借地借家法36条)。承継を望まない同居者は、死亡を知った後1月以内に賃貸人へ反対の意思を表示する。相続人がいる場合はこの規定は適用されない。
補足相続人がいる場合の同居者の居住は、相続人の賃借権の援用等で保護される(判例)。
問19賃借人による妨害の停止・返還の請求
賃借人による妨害排除等の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.対抗要件を備えた不動産の賃借人は、その不動産の占有を第三者が妨害しているときは、その第三者に対して妨害の停止を請求することができる。
- イ.対抗要件を備えた不動産の賃借人であっても、その不動産を第三者が占有しているときに、その第三者に対して返還を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 賃借人の妨害停止請求権
民法第605条の4「その第三者に対する妨害の停止の請求」e-Gov原文
ひっかけ対抗要件を備えた賃借権には、妨害停止・返還請求権が明文で認められる。
解説対抗要件(建物の引渡し・賃借権の登記等)を備えた不動産の賃借人は、占有を妨害する第三者に妨害停止を、占有する第三者に返還を請求できる(605条の4、賃借権に基づく妨害排除等)。改正前は占有訴権や債権者代位によっていたが、改正で明文化された。賃貸管理上の不法占有者対応に関わる。
補足対抗要件を備えていない賃借権では、占有訴権等によることになる。
問20建物賃貸借終了時の転借人の保護
建物賃貸借が終了した場合の転借人の保護に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.建物の転貸借がされている場合に、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、転借人にその旨の通知をしなくても、その終了を転借人に対抗することができる。
- イ.建物の賃貸人が転借人に終了の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から6か月を経過することによって終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 通知なしで対抗できるとするのは誤り
借地借家法第34条「その旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 通知後6か月の猶予
借地借家法第34条「その通知がされた日から六月を経過することによって終了する」e-Gov原文
ひっかけ原賃貸借終了でも、転借人には『通知+6か月』の保護がある。
解説建物の転貸借があるときに原賃貸借が期間満了・解約申入れで終了する場合、賃貸人は転借人に通知しなければその終了を転借人に対抗できず(借地借家法34条1項)、通知をしても転貸借は6か月経過まで存続する(同2項)。サブリースの原賃貸借終了時の入居者(転借人)保護に直結する。
補足原賃貸借が賃借人の債務不履行で解除された場合は、転借人は保護されないのが原則(判例)。
問21賃借人の費用償還等の請求の期間制限
賃貸借終了後の費用償還等の期間制限に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃借人が支出した費用の償還は、賃貸借が終了した後であればいつでも請求でき、期間の制限はない。
- イ.契約の本旨に反する使用によって生じた損害賠償の請求権は、貸主が返還を受けた時から1年を経過する前であっても、時効が完成することがある。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 期間制限がないとするのは誤り
民法第600条「貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 時効が完成しうるとするのは誤り
民法第600条「一年を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
ひっかけ用法違反の損害賠償・費用償還は『返還から1年以内』。短期の権利行使期間。
解説賃貸借終了に伴う、用法違反による損害賠償及び賃借人の費用償還は、賃貸人が目的物の返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない(600条1項、622条で賃貸借に準用)。この損害賠償請求権は、返還を受けた時から1年を経過するまで時効が完成しない(同2項)。原状回復・敷金精算の実務に関わる。
補足賃借人の原状回復義務・収去義務も、使用貸借の規定(599条等)が準用される(622条)。
問22賃貸人たる地位の留保
賃貸人たる地位の留保に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.賃貸借の対抗要件を備えた不動産が譲渡された場合でも、譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及びその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。
- イ.賃貸人たる地位を留保した場合において、譲渡人と譲受人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 留保特約による地位の据置き
民法第605条の2「賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 留保の終了で地位が移る
民法第605条の2「譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する」e-Gov原文
ひっかけ留保には『地位の留保+譲受人から譲渡人への賃貸』の両合意が必要。
解説不動産譲渡の際、譲渡人・譲受人が地位の留保と譲受人から譲渡人への賃貸(リースバック型)を合意すれば、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない(605条の2第2項前段)。その後この賃貸借が終了すれば、留保されていた地位は譲受人等に移転する(同後段)。サブリース等で原賃貸人を変えずに所有権だけ移す場面に対応する。
補足留保された地位が将来移転したときも、敷金返還債務等は新賃貸人が承継する。