民法上の相続人の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.被相続人の配偶者は、常に相続人となる。
- イ.被相続人の子は、相続人となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
民法上の相続人の範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
民法上の相続人となる者の順位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:2(アー正、イー誤)
民法第889条「相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる」e-Gov原文
民法第889条「被相続人の兄弟姉妹」e-Gov原文
ひっかけ順位は子→直系尊属→兄弟姉妹。兄弟姉妹は子・直系尊属より後順位。
解説被相続人に子(及びその代襲者)がいない場合は、直系尊属が相続人となり、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人となる(889条1項)。相続の順位は、第1順位が子、第2順位が直系尊属、第3順位が兄弟姉妹であり、配偶者は常にこれらと同順位で相続人となる。
補足配偶者は常に相続人となるが、内縁の配偶者には相続権がない。直系尊属では親等の近い者(父母)が先順位となる。
民法上の法定相続分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第900条「配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする」e-Gov原文
民法第900条「配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする」e-Gov原文
ひっかけ配偶者と子は各1/2。配偶者と直系尊属は2/3:1/3。配偶者と兄弟姉妹は3/4:1/4。
解説法定相続分は、子及び配偶者が相続人のときは各2分の1(900条1号)、配偶者及び直系尊属が相続人のときは配偶者3分の2・直系尊属3分の1(同2号)、配偶者及び兄弟姉妹が相続人のときは配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1(同3号)である。
補足嫡出でない子の相続分は嫡出子と同等である。父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となる(900条4号)。
民法上の遺言の方式に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:4(アー誤、イー誤)
民法第968条「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない」e-Gov原文
民法第967条「遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ遺言は自筆証書・公正証書・秘密証書の3方式。自筆証書は本文を自書。
解説遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書の方式によってしなければならない(967条)。自筆証書遺言は、遺言者がその全文・日付・氏名を自書し、これに印を押さなければならない(968条1項)。ただし、相続財産の目録を添付する場合は、その目録については自書を要しない(同2項)。
補足自筆証書遺言に添付する財産目録は、2019年施行の改正により自書が不要となりパソコン作成等が認められるが、本文(全文・日付・氏名)は自書が必要である。
民法上の相続の承認及び放棄に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:1(アー正、イー正)
民法第915条「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に」e-Gov原文
民法第939条「初めから相続人とならなかったものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ承認・放棄は3箇月以内。放棄すると初めから相続人でなかったとみなす。
解説相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について単純承認・限定承認・放棄のいずれかをしなければならない(915条1項)。相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされる(939条)。
補足3箇月の熟慮期間内に何もしなければ単純承認したものとみなされる(法定単純承認)。限定承認は相続人全員が共同して行う必要がある。
民法上の遺留分及び配偶者居住権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第1042条「兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として」e-Gov原文
民法第1028条「全部について無償で使用及び収益をする権利」e-Gov原文
ひっかけ兄弟姉妹に遺留分はない。配偶者居住権は居住建物を無償で使用収益。
解説遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められる(1042条)。兄弟姉妹には遺留分がない。配偶者居住権は、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、遺産分割や遺贈により、その建物の全部を無償で使用収益できる権利として取得される(1028条)。
補足遺留分は、直系尊属のみが相続人の場合は遺留分算定基礎財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1である(1042条)。配偶者居住権は2020年施行の改正で新設された。
民法上の贈与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:1(アー正、イー正)
民法第549条「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
民法第550条「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ贈与は諾成契約。書面によらない贈与は解除できるが履行済み部分は不可。
解説贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって効力を生ずる諾成・無償・片務契約である(549条)。書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができるが、履行の終わった部分については解除できない(550条)。
補足贈与は契約であり、相手方の受諾が必要である(単独行為である遺贈とは異なる)。書面による贈与は解除できない。
民法上の特別受益及び寄与分に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:2(アー正、イー誤)
民法第903条「その遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする」e-Gov原文
民法第904条の2「共同相続人の協議で定めたその者の寄与分」e-Gov原文
ひっかけ特別受益は相続分から控除。寄与分はまず協議、調わなければ家裁。
解説共同相続人中に被相続人から遺贈や生計の資本としての贈与を受けた者(特別受益者)があるときは、その価額を相続財産とみなして相続分を算定し、特別受益の価額を控除する(903条)。被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした者があるときは、まず共同相続人の協議で寄与分を定め、協議が調わないときは家庭裁判所が定める(904条の2)。
補足婚姻期間20年以上の夫婦間の居住用不動産の遺贈・贈与は、持戻し免除の意思表示があったものと推定される(903条4項)。
民法上の遺産の分割に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第907条「各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる」e-Gov原文
民法第906条「各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」e-Gov原文
ひっかけ遺産分割協議が調わなければ家裁に請求できる。分割は一切の事情を考慮。
解説共同相続人は、遺言で禁じられた場合等を除き、いつでも協議で遺産の全部又は一部を分割できる(907条1項)。協議が調わないときは、各共同相続人が家庭裁判所に分割を請求できる(同2項)。遺産の分割は、遺産の種類・性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態・生活の状況その他一切の事情を考慮してする(906条)。
補足遺言で5年以内の分割禁止が定められた場合等は分割できない。遺産分割の効力は相続開始時にさかのぼる。
民法上の成年後見に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:4(アー誤、イー誤)
民法第7条「家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族」e-Gov原文
民法第859条「その財産に関する法律行為について被後見人を代表する」e-Gov原文
ひっかけ後見開始の審判は配偶者等も請求できる。成年後見人は被後見人を代表する。
解説精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人・配偶者・四親等内の親族・検察官等の請求により、後見開始の審判をすることができる(7条)。成年後見人は、被後見人の財産を管理し、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する(859条)。
補足後見開始の審判を受けた本人は成年被後見人となり、その法律行為は日用品の購入等を除き取り消すことができる。
民法上の遺贈及び死因贈与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:1(アー正、イー正)
民法第964条「遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる」e-Gov原文
民法第554条「その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」e-Gov原文
ひっかけ包括遺贈・特定遺贈ができる。死因贈与は遺贈の規定を準用。
解説遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる(包括遺贈・特定遺贈。964条)。贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与(死因贈与)については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用される(554条)。
補足包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有する。死因贈与は契約である点で単独行為の遺贈と異なるが、効力は遺贈の規定が準用される。
民法上の遺言執行者及び遺留分侵害額の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第1012条「遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる」e-Gov原文
民法第1046条「遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ遺言執行者があれば遺贈の履行は遺言執行者のみ。遺留分は金銭請求。
解説遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する(1012条1項)。遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる(同2項)。遺留分権利者及びその承継人は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる(1046条)。
補足遺留分侵害額請求は2019年施行の改正により金銭債権化された(旧法の遺留分減殺請求は物権的効力を持っていた)。
民法上の代襲相続に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:2(アー正、イー誤)
民法第887条「その者の子がこれを代襲して相続人となる」e-Gov原文
民法第901条「その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする」e-Gov原文
ひっかけ代襲相続分は被代襲者と『同じ』。相続放棄では代襲は生じない。
解説代襲相続は、相続人となるべき子(又は兄弟姉妹)が相続開始以前に死亡・欠格・廃除により相続権を失った場合に、その者の子が代わって相続人となる制度(887条2項・889条2項)。代襲相続人の相続分は被代襲者が受けるべきであったものと同じ(901条)。なお、相続放棄には代襲相続は生じない。
補足子の代襲は孫・ひ孫へと再代襲するが(887条3項)、兄弟姉妹の代襲は一代(甥・姪)限りで再代襲しない(889条2項は887条3項を準用しない)。
民法上の相続の承認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第921条「相続人は、単純承認をしたものとみなす」e-Gov原文
民法第922条「相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ熟慮期間徒過は『単純承認』とみなされる(放棄ではない)。
解説相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月(熟慮期間)内に、単純承認・限定承認・相続放棄を選択する(915条)。①期間内に限定承認・放棄をしないと法定単純承認とみなされる(921条2号)。②相続財産の処分も法定単純承認となる(同条1号)。③限定承認は相続財産の限度でのみ債務等を弁済する承認で、共同相続人の全員が共同して家庭裁判所に申述する(922条・923条)。
補足限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみすることができる(923条)。相続放棄は単独でできる。
民法上の遺言の撤回に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:1(アー正、イー正)
民法第1022条「いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」e-Gov原文
民法第1023条「その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ遺言は『いつでも撤回可』。後の遺言・生前処分と抵触する部分は撤回とみなされる。
解説遺言者は、いつでも遺言の方式に従って遺言の全部又は一部を撤回できる(1022条)。撤回権は放棄できない(1026条)。前の遺言が後の遺言と抵触する部分は、後の遺言で撤回したものとみなされ(1023条1項)、遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合も同様である(同条2項)。複数の遺言があるときは、原則として日付の新しいものが優先する。
補足遺言者が故意に遺言書又は遺贈の目的物を破棄したときも、その部分は撤回したものとみなされる(1024条)。
民法上の贈与に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:4(アー誤、イー誤)
民法第552条「贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う」e-Gov原文
民法第553条「その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する」e-Gov原文
ひっかけ定期贈与は死亡で失効。負担付贈与には双務契約の規定が準用される。
解説贈与には種類がある。①定期贈与(毎年一定額の給付等)は、贈与者又は受贈者の死亡で効力を失う(552条)。②負担付贈与は、受贈者が一定の負担を負う贈与で、性質に反しない限り双務契約の規定(同時履行の抗弁・解除等)が準用される(553条)。③死因贈与は贈与者の死亡で効力を生じ、その性質に反しない限り遺贈の規定が準用される(554条)。
補足負担付贈与の贈与者は、その負担の限度において、売主と同様の担保責任を負う(551条2項)。
民法上の特別寄与料に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:2(アー正、イー誤)
民法第1050条「相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭」e-Gov原文
民法第1050条「特別の寄与をした被相続人の親族」e-Gov原文
ひっかけ特別寄与料は『親族』のみ。内縁配偶者は対象外。請求は6か月/1年の期間制限あり。
解説特別寄与料(1050条、2020年施行)は、相続人以外の被相続人の親族が、無償の療養看護等で被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合に、相続人に対し金銭の支払を請求できる制度。請求できるのは『親族』に限られ、内縁配偶者は含まれない。協議が調わないときは、相続の開始等を知った時から6か月・相続開始から1年以内に家庭裁判所に処分を請求する。
補足相続人が数人あるときは、各相続人は特別寄与料の額に法定相続分(指定相続分)を乗じた額を負担する(1050条5項)。
民法上の配偶者短期居住権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第1037条「被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合」e-Gov原文
民法第1037条「第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない」e-Gov原文
ひっかけ配偶者短期居住権は『無償居住』が要件。最低6か月は無償使用できる。
解説配偶者短期居住権(1037条、2020年施行)は、配偶者が相続開始時に被相続人の建物に無償で居住していた場合に、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで等、その建物を無償で使用できる短期の権利。登記なく当然に発生し、居住建物取得者は配偶者の使用を妨げてはならない(同条2項)。配偶者居住権(終身が原則)とは別の制度である。
補足配偶者居住権(1028条)は原則終身の権利であるのに対し、配偶者短期居住権は遺産分割確定日又は相続開始から6か月の遅い日まで等の短期の権利である。
民法上の相続人の欠格事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:2(アー正、イー誤)
民法第891条「故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ」e-Gov原文
民法第891条「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」e-Gov原文
ひっかけ相続欠格は『当然に』資格を失う(手続不要)。遺言書偽造は時期を問わず欠格。
解説相続欠格(891条)は、一定の非行があった者を法律上当然に相続人の資格から失わせる制度で、被相続人の意思や家庭裁判所の手続を要しない。①故意に被相続人等を死亡させ刑に処せられた者、②遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿をした者などが該当する。被相続人の意思に基づく廃除(892条)とは区別される。
補足欠格者に子がいれば、その子が代襲相続をすることができる(887条2項)。
民法上の推定相続人の廃除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:1(アー正、イー正)
民法第892条「その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる」e-Gov原文
民法第893条「遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ廃除は『家庭裁判所の審判』が必要(当然に失う欠格と違う)。対象は遺留分を持つ者。
解説廃除は、遺留分を有する推定相続人(配偶者・子・直系尊属)に虐待・重大な侮辱・著しい非行があるときに、被相続人の意思に基づき家庭裁判所の審判でその相続権を失わせる制度(892条)。生前廃除のほか、遺言でも意思表示でき、その場合は遺言執行者が家庭裁判所に請求する(893条)。兄弟姉妹は遺留分を持たないため廃除の対象とならない。
補足廃除された者に子がいれば、その子が代襲相続をすることができる(887条2項)。
民法上の遺産分割前における預貯金債権の行使に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第909条の2「相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額」e-Gov原文
民法第909条の2「当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす」e-Gov原文
ひっかけ単独払戻しは『3分の1×相続分』が限度(全額ではない)。行使分は一部分割とみなす。
解説預貯金債権は遺産分割の対象となり、分割前は共同相続人が単独で払戻しを受けられないのが原則(判例)。もっとも、葬式費用や生活費の当面の必要に対応するため、各共同相続人は『相続開始時の債権額の3分の1×自己の相続分』(金融機関ごとに法務省令で定める上限あり)の範囲で単独払戻しができる(909条の2)。行使分は遺産の一部分割による取得とみなされ、後で清算される。
補足これとは別に、家庭裁判所の保全処分(仮分割の仮処分)による払戻しの制度もある。
民法上の遺言書の検認に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:2(アー正、イー誤)
民法第1004条「遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない」e-Gov原文
民法第1004条「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ検認は『偽造防止の証拠保全』であって有効・無効の判断ではない。公正証書遺言は検認不要。
解説検認は、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など、検認時点の遺言書の内容を明確にして偽造・変造を防ぐための証拠保全手続であり、遺言の有効・無効を判断するものではない(1004条)。自筆証書遺言・秘密証書遺言は検認が必要だが、公正証書遺言と法務局保管の自筆証書遺言は検認不要。封印のある遺言書は家庭裁判所で相続人等の立会いのもとでなければ開封できない(同条3項)。
補足検認を経なくても遺言が無効になるわけではないが、検認前の開封等には過料の制裁がある。
民法上の特定財産承継遺言(いわゆる「相続させる」旨の遺言)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:3(アー誤、イー正)
民法第1014条「その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解約の申入れをすることができる」e-Gov原文
民法第1014条「遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言」e-Gov原文
ひっかけ特定財産承継遺言=「相続させる」旨の遺言。預貯金なら遺言執行者が払戻し可。
解説「甲土地を長男に相続させる」のように、遺産に属する特定の財産を共同相続人に承継させる遺言を特定財産承継遺言という(1014条2項)。判例上、原則として遺産分割の手続を経ずに被相続人の死亡時に直ちに承継が生じる。承継した相続人が法定相続分を超える部分を第三者に対抗するには対抗要件(登記等)が必要で、遺言執行者はその具備に必要な行為(預貯金なら払戻し・解約)ができる(同条2項・3項)。
補足法定相続分を超える権利の承継は、対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない(899条の2)。
民法上の遺贈の放棄及び包括受遺者に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
正解:4(アー誤、イー誤)
民法第986条「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる」e-Gov原文
民法第990条「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」e-Gov原文
ひっかけ遺贈の放棄は『死亡後』。包括受遺者は相続人と同一=放棄は家裁への申述が必要。
解説特定遺贈の受遺者は、遺言者の死亡後いつでも遺贈の放棄ができ、放棄は遺言者の死亡時にさかのぼって効力を生じる(986条)。一方、包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するため(990条)、放棄するには相続放棄と同じく自己のために遺贈があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所への申述が必要となる点で、特定遺贈の放棄と異なる。
補足特定遺贈の放棄は相手方(遺贈義務者)に対する意思表示で足り、家庭裁判所の手続を要しない。