問1生命保険契約の告知義務
保険法上の生命保険契約の告知義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.生命保険契約の締結に際し、保険契約者又は被保険者になる者は、危険に関する重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたものについて、事実の告知をしなければならない。
- イ.保険者による告知義務違反を理由とする生命保険契約の解除権は、保険者が解除の原因があることを知った時から3箇月間行使しないときに消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 37条が告知の対象を保険者が告知を求めたものに限る
保険法第37条「重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたもの」e-Gov原文
- イ.誤り
- 55条4項が除斥期間を1箇月(締結から5年)とする
保険法第55条「保険者が同項の規定による解除の原因があることを知った時から一箇月間行使しないときは、消滅する」e-Gov原文
ひっかけ告知は『質問応答義務』。解除権の消滅は『知った時から1箇月・締結から5年』。
解説保険法の告知義務は質問応答義務であり、保険契約者・被保険者になる者は、保険者が告知を求めた重要事項について事実を告知すれば足りる(37条)。自発的にすべてを申告する義務ではない。告知義務違反による解除権は、保険者が原因を知った時から1箇月、又は契約締結時から5年で消滅する(55条4項)。
補足損害保険契約の告知義務(4条)・解除権の消滅(28条4項)も同じ枠組みである。
問2死亡保険契約と被保険者の同意
保険法上の死亡保険契約と被保険者の同意に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.生命保険契約の当事者以外の者を被保険者とする死亡保険契約は、当該被保険者の同意がなければ、その効力を生じない。
- イ.死亡保険契約の保険金受取人の変更は、被保険者の同意がなければ、その効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 38条が被保険者の同意を効力発生要件とする
保険法第38条「当該被保険者の同意がなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 45条が受取人変更の効力要件として被保険者の同意を求める
保険法第45条「死亡保険契約の保険金受取人の変更は、被保険者の同意がなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ死亡保険は『契約締結時』も『受取人変更時』も被保険者の同意が必要。
解説他人を被保険者とする死亡保険契約は、被保険者の同意がなければ効力を生じない(38条)。さらに、死亡保険契約の保険金受取人を変更する場合にも、被保険者の同意が効力要件となる(45条)。いずれも賭博保険・モラルリスクを防ぐための規律である。
補足同意は被保険者本人によるものを要し、契約者の一存では効力を生じない。
問3保険金受取人の変更
保険法上の保険金受取人の変更に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保険契約者は、保険事故が発生した後であっても、保険金受取人の変更をすることができる。
- イ.保険金受取人の変更は、保険者に対する意思表示によってする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 43条1項が変更の時的限界を保険事故発生までとする
保険法第43条「保険契約者は、保険事故が発生するまでは、保険金受取人の変更をすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 43条2項が変更の方法を定める
保険法第43条「保険金受取人の変更は、保険者に対する意思表示によってする」e-Gov原文
ひっかけ受取人変更は『保険事故発生まで』『保険者への意思表示』で。
解説保険契約者は、保険事故が発生するまでは保険金受取人の変更をすることができ(43条1項)、その変更は保険者に対する意思表示によってする(同条2項)。意思表示の通知が保険者に到達したときは、発信時にさかのぼって効力を生ずるが、到達前の保険給付の効力は妨げられない(同条3項)。
補足到達したときは発信時にさかのぼって効力を生ずる(到達前の給付は有効・43条3項)。
問4遺言による保険金受取人の変更
保険法上の遺言による保険金受取人の変更に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保険金受取人の変更は、保険者に対する意思表示によってのみすることができ、遺言によってすることはできない。
- イ.遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた時に、保険者への通知がなくても当然に保険者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 44条1項が遺言による変更を認める
保険法第44条「保険金受取人の変更は、遺言によっても、することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 44条2項が保険者対抗要件として相続人の通知を求める
保険法第44条「保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができない」e-Gov原文
ひっかけ遺言でも受取人変更可。ただし『相続人の保険者への通知』がないと対抗できない。
解説保険金受取人の変更は、遺言によってもすることができる(44条1項)。ただし、遺言による変更は、遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、保険者に対抗することができない(同条2項)。遺言の効力発生だけでは保険者に主張できない点に注意する。
補足通常の受取人変更は保険者への意思表示で行う(43条)のと対比して覚える。
問5死亡保険契約における保険者の免責
保険法上の死亡保険契約における保険者の免責に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.死亡保険契約の保険者は、被保険者が自殺をしたときは、保険給付を行う責任を負わない。
- イ.保険金受取人が複数いる場合において、その1人が被保険者を故意に死亡させたときは、他の保険金受取人に対する保険給付も一切行われない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 51条3号ただし書が故意の受取人以外への責任を残す
保険法第51条「被保険者を故意に死亡させた保険金受取人以外の保険金受取人に対する責任については、この限りでない」e-Gov原文
ひっかけ受取人の1人の故意でも、故意でない他の受取人には給付される。
解説死亡保険契約の保険者の免責事由は、①被保険者の自殺、②保険契約者の故意、③保険金受取人の故意、④戦争その他の変乱である(51条)。ただし、受取人が複数いる場合、被保険者を故意に死亡させた受取人以外の受取人に対する責任は免責とならず、その者には保険給付が行われる(同条3号ただし書)。
補足約款で自殺免責期間(一般に3年)経過後の自殺は支払対象とされることが多い。
問6損害保険契約の告知義務と解除
保険法上の損害保険契約の告知義務違反による解除に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.損害保険契約の告知義務違反による解除権は、損害保険契約の締結の時から10年を経過したときに消滅する。
- イ.保険者は、保険契約者又は被保険者が、告知事項について、故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたときは、損害保険契約を解除することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 28条4項が締結から5年の経過で解除権を消滅させる
保険法第28条「損害保険契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 28条1項が解除事由を故意・重過失に限る
保険法第28条「故意又は重大な過失により事実の告知をせず、又は不実の告知をしたときは、損害保険契約を解除することができる」e-Gov原文
ひっかけ告知義務違反の解除は『故意・重過失』に限る。除斥は『1箇月・5年』。
解説損害保険契約の告知義務違反による解除は、保険契約者等が告知事項について故意又は重大な過失により不告知・不実告知をしたときに認められる(28条1項)。解除権は、保険者が原因を知った時から1箇月、又は契約締結の時から5年の経過で消滅する(同条4項)。生命保険(55条)も同じ枠組みである。
補足保険媒介者が告知を妨げ又は不告知を勧めたときは、原則として解除できない(28条2項)。
問7損害保険契約の告知義務
保険法上の損害保険契約の告知義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.損害保険契約の告知義務は、保険契約者又は被保険者になる者が、保険者になる者が告知を求めた事項について事実の告知をすれば足りる。
- イ.損害保険契約の告知義務として、保険契約者は、保険者から質問されていない事項であっても、重要な事項は自発的にすべて告知しなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 4条が質問応答義務として告知義務を定める
- イ.誤り
- 4条が告知の対象を保険者の質問事項に限定する
ひっかけ告知義務は『質問応答義務』。聞かれていない事項まで自発的に告げる義務はない。
解説保険法では、告知義務は保険者が告知を求めた事項について事実を答える質問応答義務である(4条)。保険契約者が自ら重要事項を探して申告する自発的申告義務ではない。生命保険・傷害疾病保険の告知義務(37条・66条)も同じ構造であり、告知書の質問事項に正しく答えれば義務を果たしたことになる。
補足告知事項について故意又は重大な過失で事実を告げなかったときは、保険者は契約を解除できる(28条)。
問8超過保険
保険法上の超過保険に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.損害保険契約の締結時に保険金額が保険価額を超えていたことにつき、保険契約者及び被保険者が善意かつ無重過失であったときは、保険契約者は、その超過部分について契約を取り消すことができる。
- イ.超過保険において取り消すことができるのは契約の超過部分であり、契約全体ではない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 9条が超過保険の取消しを定める
保険法第9条「保険契約者及び被保険者が善意でかつ重大な過失がなかったときは、保険契約者は、その超過部分について、当該損害保険契約を取り消すことができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 9条が取消しを超過部分に限定する
保険法第9条「その超過部分について、当該損害保険契約を取り消すことができる」e-Gov原文
ひっかけ超過保険で取り消せるのは『超過部分』だけ(契約全体ではない)。
解説保険金額が保険価額を超える超過保険であっても契約は有効だが、保険契約者及び被保険者が善意かつ無重過失で超過の事実を知らなかったときは、保険契約者はその超過部分について契約を取り消すことができる(9条)。取り消せるのは超過部分に限られ、契約全体を取り消せるわけではない。約定保険価額があるときは適用されない(同条ただし書)。
補足損害のてん補は保険価額を限度とするため、超過していても保険価額を超える保険金は支払われない。
問9損害保険契約における保険者の免責
保険法上の損害保険契約における保険者の免責に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保険者は、被保険者の故意によって生じた損害はてん補しないが、重大な過失によって生じた損害はてん補しなければならない。
- イ.保険者は、戦争その他の変乱によって生じた損害についても、てん補する責任を負わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 17条1項が故意・重過失による損害を免責とする
保険法第17条「保険者は、保険契約者又は被保険者の故意又は重大な過失によって生じた損害をてん補する責任を負わない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 17条1項後段が戦争等による損害を免責とする
保険法第17条「戦争その他の変乱によって生じた損害についても、同様とする」e-Gov原文
ひっかけ損害保険の免責は『故意+重過失』。ただし責任保険は『故意』のみ免責。
解説損害保険では、保険契約者又は被保険者の故意又は重大な過失によって生じた損害、及び戦争その他の変乱によって生じた損害は、保険者が免責される(17条1項)。ただし、責任保険契約については、免責は『故意』に限られ、重大な過失による損害はてん補される(同条2項)。被害者保護の要請が働くためである。
補足生命保険・傷害疾病保険にも、故意による保険事故等についての免責規定がある(51条等)。
問10請求権代位
保険法上の請求権代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保険者は、保険給付を行ったときは、一定の額を限度として、保険事故による損害により被保険者が取得する債権について当然に被保険者に代位する。
- イ.保険者が被保険者の取得する債権に代位するには、被保険者による債権譲渡の意思表示が必要である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 25条1項が請求権代位を定める
保険法第25条「保険者は、保険給付を行ったときは、次に掲げる額のうちいずれか少ない額を限度として」e-Gov原文
ひっかけ請求権代位は『当然に』生じる(債権譲渡の意思表示・通知は不要)。
解説保険者が保険給付をしたときは、被保険者が加害者など第三者に対して取得する損害賠償請求権等について、保険給付の額等を限度として法律上当然に代位する(請求権代位・25条)。これにより被保険者が保険金と賠償金で二重に利得することを防ぐ。被保険者の意思表示や対抗要件の具備は不要である。
補足保険給付の額が損害額に不足するときは、被保険者は保険者の代位部分に優先して弁済を受けられる(25条2項)。
問11保険代位等に関する強行規定
保険法上の損害保険に関する強行規定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.請求権代位に関する規定は任意規定であり、これに反して被保険者に不利な特約も有効である。
- イ.請求権代位の規定に反する特約で被保険者に不利なものは、無効である。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 26条が片面的強行規定を定める
保険法第26条「前二条の規定に反する特約で被保険者に不利なものは、無効とする」e-Gov原文
- イ.正しい
- 26条が被保険者保護のため不利な特約を無効とする
保険法第26条「前二条の規定に反する特約で被保険者に不利なものは、無効とする」e-Gov原文
ひっかけ代位の規定に反する『被保険者に不利な』特約は無効(有利な特約は有効)。
解説保険法には、契約当事者間の力の差を考慮して、一定の規定に反する『被保険者等に不利な特約』を無効とする片面的強行規定が置かれている。残存物代位・請求権代位の規定(24条・25条)もその対象で、これらに反して被保険者に不利な特約は無効となる(26条)。逆に、被保険者に有利な特約は有効である。
補足告知義務(4条)や保険給付の履行期などにも、同様の片面的強行規定が置かれている。
問12保険給付請求権等の消滅時効
保険法上の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保険給付を請求する権利は、これを行使することができる時から5年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- イ.保険料を請求する権利は、これを行使することができる時から3年間行使しないときに、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 95条1項が3年の消滅時効を定める
保険法第95条「これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 95条2項が1年の消滅時効を定める
保険法第95条「保険料を請求する権利は、これを行使することができる時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する」e-Gov原文
ひっかけ消滅時効は『保険給付請求=3年』『保険料請求=1年』。
解説保険法上、保険給付を請求する権利・保険料の返還を請求する権利・保険料積立金の払戻しを請求する権利は3年(95条1項)、保険者が保険料を請求する権利は1年(同条2項)で時効消滅する。保険金請求は3年、保険料請求は1年と覚える。
補足時効の起算点は、それぞれの権利を行使することができる時である。