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民法・第11

民法(意思表示・代理②:顕名・復代理・表見代理・無権代理)の問題(15問)

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この章で確認する論点

11章では、意思表示の効力発生時期等・意思表示の受領能力・民法上の本人のためにすることを示さない意思表示・民法上の代理人の行為能力・民法上の権限の定めのない代理人の権限を中心に15問を収録しています。正解番号だけでなく、選択肢ごとの根拠と誤りの理由まで確認します。

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問題と解説を読む15問・答え付き

答え・解説つきで15問を読めます。自分で解いて試すには、上の「この章を解く」からどうぞ。

e-Gov逐語照合済み2026年7月時点の法令に準拠
1意思表示の効力発生時期等

意思表示及び無権代理人の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
  • 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
97条1項のとおり → 正しい

民法第97条意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずるe-Gov原文

正しい
117条1項のとおり → 正しい

民法第117条相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負うe-Gov原文

ひっかけ意思表示は『到達』した時から効力を生ずる(到達主義)。無権代理人は代理権を証明できず追認も得られなければ『履行又は損害賠償』の責任(97条・117条)。

解説意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる(97条1項、到達主義)。意思表示の効力発生時期等を押さえる。

補足隔地者間の意思表示は到達主義がとられる。相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは通常到達すべき時に到達したものとみなされる(97条2項)。

2意思表示の受領能力

意思表示の受領能力及び無権代理人の責任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかつたとき又は未成年者若しくは成年被後見人であつたときは、原則として、その意思表示をもつてその相手方に対抗することができない。
  • 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明できず本人の追認も得られない場合であつても、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負うことはない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
98条の2のとおり → 正しい

民法第98条の2その意思表示をもってその相手方に対抗することができないe-Gov原文

誤り
履行又は損害賠償の責任を負う → 『責任を負うことはない』は誤り

民法第117条相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負うe-Gov原文

ひっかけ受領時に『意思能力を欠く者・未成年者・成年被後見人』には原則として意思表示を対抗できない。無権代理人は原則『履行又は損害賠償』の責任(98条の2・117条)。

解説意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に意思能力を有しなかったとき又は未成年者若しくは成年被後見人であったときは、その意思表示をもってその相手方に対抗することができない。ただし、相手方の法定代理人等がその意思表示を知った後はこの限りでない(98条の2)。意思表示の受領能力を押さえる。

補足受領能力を欠く者に到達しても対抗できないが、法定代理人が知った後は対抗できる。無権代理人は履行又は損害賠償の責任を負い、相手方が選択できる。

3民法上の本人のためにすることを示さない意思表示

本人のためにすることを示さない意思表示及び無権代理の相手方の取消権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、原則として、自己のためにしたものとみなす。
  • 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、原則として、相手方が取り消すことができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
100条のとおり → 正しい

民法第100条代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなすe-Gov原文

正しい
115条のとおり → 正しい

民法第115条本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができるe-Gov原文

ひっかけ代理人が『顕名しない』意思表示は原則『自己のため』にしたものとみなす(相手方が悪意有過失なら本人に効果帰属)。無権代理の相手方は追認前に『取消し』可(115条・100条)。

解説代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなす。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、本人に対して直接効力を生ずる(100条)。本人のためにすることを示さない意思表示を押さえる。

補足顕名は代理の効果帰属要件だが、顕名がなくても相手方が代理であることを知り又は知り得たときは本人に効果が帰属する。無権代理の相手方は善意なら追認前に取り消せる。

4民法上の代理人の行為能力

代理人の行為能力及び本人のためにすることを示さない意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によつては取り消すことができない。
  • 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、常に本人のためにしたものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
102条のとおり → 正しい

民法第102条制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができないe-Gov原文

誤り
原則として自己のためにしたものとみなす → 『常に本人のためにしたものとみなす』は誤り

民法第100条代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなすe-Gov原文

ひっかけ『制限行為能力者』が代理人としてした行為は行為能力の制限では取り消せない(代理人に行為能力は不要)。顕名しない意思表示は原則『自己のため』(102条・100条)。

解説制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為についてはこの限りでない(102条)。代理人の行為能力を押さえる。

補足代理人には行為能力が要求されず、制限行為能力者を代理人に選任できる(本人がリスクを負う)。代理行為の効果は本人に帰属するため、代理人の行為能力の制限を理由とする取消しは原則認められない。

5民法上の権限の定めのない代理人の権限

権限の定めのない代理人の権限及び無権代理の相手方の催告権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 権限の定めのない代理人は、保存行為及び代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において利用又は改良を目的とする行為のみをする権限を有する。
  • 無権代理の相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができ、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
103条のとおり → 正しい

民法第103条権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有するe-Gov原文

正しい
114条のとおり → 正しい

民法第114条本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなすe-Gov原文

ひっかけ権限の定めのない代理人は『保存行為・性質を変えない利用改良行為』のみ(処分行為は不可)。無権代理の催告に本人が確答しないと『追認拒絶』とみなす(103条・114条)。

解説権限の定めのない代理人は、保存行為、代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内における利用又は改良を目的とする行為のみをする権限を有する(103条)。権限の定めのない代理人の権限を押さえる。

補足代理権の範囲が定められていない代理人は、管理行為(保存・利用・改良)のみでき、処分行為はできない。無権代理の催告に対する本人の沈黙は追認拒絶とみなされる(追認とみなす催告権とは逆)。

6民法上の任意代理人による復代理人の選任

任意代理人による復代理人の選任及び権限の定めのない代理人に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。
  • 権限の定めのない代理人は、保存行為のほか、代理の目的である物の性質を変える処分行為も自由にすることができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
104条のとおり → 正しい

民法第104条本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができないe-Gov原文

誤り
保存・性質を変えない利用改良のみ → 『性質を変える処分行為も自由にできる』は誤り

民法第103条権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有するe-Gov原文

ひっかけ『任意代理人』は本人の許諾又はやむを得ない事由がなければ復代理人を選任できない(法定代理人は自己の責任でいつでも選任可)。権限の定めのない代理人は処分行為不可(104条・103条)。

解説委任による代理人(任意代理人)は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない(104条)。任意代理人による復代理人の選任を押さえる。

補足任意代理人は本人の信頼に基づくため復代理人の選任が制限される。法定代理人は本人の意思によらず選任されるため、自己の責任でいつでも復代理人を選任できる(105条)。

7法定代理人による復代理人の選任

法定代理人による復代理人の選任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 法定代理人は、やむを得ない事由がある場合でなければ、復代理人を選任することができない。
  • 法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができ、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
自己の責任でいつでも選任できる → 『やむを得ない事由がある場合でなければ選任できない』は誤り

民法第105条法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができるe-Gov原文

正しい
105条のとおり → 正しい

民法第105条法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができるe-Gov原文

ひっかけ『法定代理人』は自己の責任でいつでも復代理人を選任できる(やむを得ない事由があるときは選任監督の責任のみ)(任意代理人より広い)(105条)。

解説法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができる。この場合において、やむを得ない事由があるときは、本人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う(105条)。法定代理人による復代理人の選任を押さえる。

補足法定代理人は本人の意思によらず選任され辞任も自由でないため、自己の責任でいつでも復代理人を選任できる。ただし復代理人の行為について全責任を負う(やむを得ない事由があるときは選任監督責任のみ)。

8復代理人の権限等

復代理人の権限等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 復代理人は、その権限内の行為についても、本人を代表することはない。
  • 復代理人は、その権限内の行為について本人を代表し、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
本人を代表する → 『本人を代表することはない』は誤り

民法第106条復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表するe-Gov原文

正しい
106条のとおり → 正しい

民法第106条復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表するe-Gov原文

ひっかけ復代理人は代理人が選任するが、その権限内の行為について直接『本人を代表』し、本人・第三者に対し代理人と同一の権利義務を有する(106条)。

解説復代理人は、その権限内の行為について、本人を代表する。復代理人は、本人及び第三者に対して、その権限の範囲内において、代理人と同一の権利を有し、義務を負う(106条)。復代理人の権限等を押さえる。

補足復代理人は代理人が選任するが、代理人の代理人ではなく本人の代理人として本人を代表する。復代理人を選任しても代理人の代理権は消滅しない。

9代理権の濫用

代理権の濫用に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知つていたときであつても、その行為は有効な代理行為となる。
  • 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
相手方が悪意なら無権代理行為とみなす → 『有効な代理行為となる』は誤り

民法第107条その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなすe-Gov原文

正しい
107条のとおり → 正しい

民法第107条その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなすe-Gov原文

ひっかけ『代理権の濫用』(自己・第三者の利益目的)は、相手方がその目的を知り又は知り得たとき『無権代理行為とみなす』(善意無過失の相手方は保護)(107条)。

解説代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす(107条、代理権の濫用)。代理権の濫用を押さえる。

補足代理権の濫用は形式的には代理権の範囲内だが、相手方が濫用目的を知り又は知り得たときは無権代理として扱われる。善意無過失の相手方は保護される。

10代理権授与の表示による表見代理等

代理権授与の表示による表見代理及び意思表示の効力発生時期に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、原則として、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。
  • 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)

正しい
109条1項のとおり → 正しい

民法第109条その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負うe-Gov原文

正しい
97条1項のとおり → 正しい

民法第97条意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずるe-Gov原文

ひっかけ『代理権を与えた旨を表示』した者は、その範囲内でその他人が第三者とした行為について責任を負う(表見代理。相手方が悪意有過失なら免責)(109条)。

解説第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときはこの限りでない(109条1項)。代理権授与の表示による表見代理等を押さえる。

補足表見代理には、代理権授与の表示による表見代理(109条)、権限外の行為の表見代理(110条)、代理権消滅後の表見代理(112条)がある。いずれも本人に帰責性があり相手方が善意無過失の場合に本人が責任を負う。

11民法上の代理権の消滅事由

代理権の消滅事由及び法定代理人による復代理人の選任に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 代理権は、本人の死亡、代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたことによつて消滅する。
  • 法定代理人は、やむを得ない事由がある場合に限り、復代理人を選任することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)

正しい
111条1項のとおり → 正しい

民法第111条代理権は、次に掲げる事由によって消滅するe-Gov原文

誤り
自己の責任でいつでも選任できる → 『やむを得ない事由がある場合に限る』は誤り

民法第105条法定代理人は、自己の責任で復代理人を選任することができるe-Gov原文

ひっかけ代理権は『本人の死亡・代理人の死亡・代理人の破産手続開始の決定・後見開始の審判』で消滅(本人の破産・後見開始は消滅事由でない点に注意)(111条)。

解説代理権は、本人の死亡、代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたことによって消滅する。委任による代理権は、これらのほか委任の終了によっても消滅する(111条)。代理権の消滅事由を押さえる。

補足代理権の共通の消滅事由は、本人の死亡・代理人の死亡・代理人の破産・代理人の後見開始である。本人の破産・後見開始は共通の消滅事由ではない(委任による代理権は委任の終了でも消滅)。

12代理権消滅後の表見代理等

代理権消滅後の表見代理に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その第三者が善意無過失であつても、その責任を負わない。
  • 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかつた第三者に対してその責任を負う。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)

誤り
善意無過失の第三者に責任を負う → 『責任を負わない』は誤り

民法第112条代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負うe-Gov原文

正しい
112条1項のとおり → 正しい

民法第112条代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負うe-Gov原文

ひっかけ『代理権の消滅後』にその範囲内でした行為について、代理権消滅を知らなかった(善意無過失の)第三者に本人が責任を負う(表見代理)(112条)。

解説他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときはこの限りでない(112条1項)。代理権消滅後の表見代理等を押さえる。

補足代理権消滅後の表見代理は、かつて代理権があった者が消滅後に代理行為をした場合に、消滅を知らない善意無過失の第三者を保護する。本人にかつて代理権を与えた帰責性がある。

13民法上の無権代理の相手方の催告権

無権代理の相手方の催告権及び代理権の消滅事由に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 無権代理の相手方が本人に対し相当の期間を定めて追認をするかどうかの催告をした場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認をしたものとみなす。
  • 代理権は、本人が死亡した場合であつても、消滅しない。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
追認を拒絶したものとみなす → 『追認をしたものとみなす』は誤り

民法第114条本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなすe-Gov原文

誤り
本人の死亡で消滅する → 『消滅しない』は誤り

民法第111条代理権は、次に掲げる事由によって消滅するe-Gov原文

ひっかけ無権代理の相手方の催告に本人が確答しないと『追認拒絶』とみなす(沈黙は拒絶)。代理権は『本人の死亡』で消滅(114条・111条)。

解説無権代理の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす(114条)。無権代理の相手方の催告権を押さえる。

補足無権代理の催告に対する本人の沈黙は追認拒絶とみなされる(無権代理行為は本人に不利になりうるため)。無権代理の相手方は善意悪意を問わず催告できる。

14無権代理の相手方の取消権

無権代理の相手方の取消権及び意思表示の受領能力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間であつても、相手方が取り消すことはできない。
  • 意思表示の相手方がその意思表示を受けた時に未成年者であつたときであつても、表意者は、その意思表示をもつてその相手方に対抗することができる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
本人が追認しない間は取り消せる → 『取り消すことはできない』は誤り

民法第115条本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができるe-Gov原文

誤り
未成年者には原則として対抗できない → 『対抗することができる』は誤り

民法第98条の2その意思表示をもってその相手方に対抗することができないe-Gov原文

ひっかけ無権代理の契約は本人が追認しない間は相手方が『取消し』可(善意の相手方のみ)。受領時に未成年者等には原則『対抗不可』(115条・98条の2)。

解説代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときはこの限りでない(115条)。無権代理の相手方の取消権を押さえる。

補足無権代理の取消権は善意の相手方のみ行使でき(催告権は善意悪意を問わない)、取り消すと本人の追認の余地がなくなる。取消しは本人の追認前に限られる。

15無権代理人の責任

無権代理人の責任及び本人のためにすることを示さない意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明できず、かつ本人の追認も得られない場合であつても、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負うことはない。
  • 代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、相手方の善意悪意にかかわらず、本人のためにしたものとみなされる。
  1. アー正、イー正
  2. アー正、イー誤
  3. アー誤、イー正
  4. アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)

誤り
履行又は損害賠償の責任を負う → 『責任を負うことはない』は誤り

民法第117条相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負うe-Gov原文

誤り
原則として自己のためにしたものとみなす → 『善意悪意にかかわらず本人のためとみなす』は誤り

民法第100条代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなすe-Gov原文

ひっかけ無権代理人は代理権を証明できず追認も得られないと『履行又は損害賠償』の責任(相手方が選択)。顕名しない意思表示は原則『自己のため』(117条・100条)。

解説他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う(117条1項)。無権代理人の責任を押さえる。

補足無権代理人は、相手方の選択により履行又は損害賠償の責任を負う(無過失責任)。ただし相手方が無権代理を知っていた場合等は責任が否定される(117条2項)。