問1保証契約の書面性と保証人の責任
貸付けに伴う保証に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証契約は、口頭の合意のみによっても、その効力を生ずる。
- イ.保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 保証債務の補充性
民法第446条「主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ保証契約は『書面』が効力要件。口頭の保証は無効。
解説保証人は主たる債務者が履行しないとき履行する責任を負う(446条1項、補充性)。保証契約は書面(又は電磁的記録)でしなければ効力を生じない要式契約である(同2項・3項)。貸付けの保証では、書面性のほか、個人根保証における極度額の定め等の規律も重要。
補足事業のための貸金等の個人保証では、公正証書による保証意思の確認が必要な場合がある。
問2債権譲渡の対抗要件と連帯保証
貸付債権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなくても、債務者に対抗することができる。
- イ.連帯保証人は、通常の保証人と同様に、催告の抗弁及び検索の抗弁を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 通知・承諾なしで対抗できるとするのは誤り
民法第467条「債務者その他の第三者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 抗弁を有するとするのは誤り
民法第454条「主たる債務者と連帯して債務を負担したときは、前二条の権利を有しない」e-Gov原文
ひっかけ連帯保証人には催告・検索の抗弁がない。通常保証より重い責任。
解説債権譲渡は、譲渡人の債務者への通知又は債務者の承諾がなければ債務者・第三者に対抗できず、第三者対抗には確定日付のある証書が必要(467条)。連帯保証人は、補充性に基づく催告の抗弁(452条)・検索の抗弁(453条)を有しない(454条)ため、債権者は主債務者に先立って連帯保証人に請求できる。
補足貸金業者が貸付債権を譲渡する場合、譲受人にも取立て規制等が及ぶ。
問3債権の消滅時効
貸付債権の消滅時効に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
- イ.債権は、権利を行使することができる時から5年間行使しないときも、時効によって消滅する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 知った時から5年
民法第166条「権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき」e-Gov原文
- イ.誤り
- 客観的起算点は「5年」ではなく10年
民法第166条「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」e-Gov原文
ひっかけ債権の時効は『知って5年・行使できて10年』のいずれか早い方。
解説債権は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年(主観的起算点)、又は権利を行使できる時から10年(客観的起算点)のいずれか早い方の経過で時効消滅する(166条1項)。確定期限のある貸金債権では両起算点が一致することが多い。時効は完成猶予・更新によって進行が止まる。
補足裁判上の請求・承認等により時効の完成猶予・更新が生じる。
問4弁済の充当と相殺の要件
貸付債務の弁済・相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.元本のほか利息及び費用を支払うべき場合に、弁済をする者が債務全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは、これを順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない。
- イ.2人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 法定充当順序
民法第489条「順次に費用、利息及び元本に充当しなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 相殺の要件
民法第505条「その対当額について相殺によってその債務を免れることができる」e-Gov原文
ひっかけ充当は『費用→利息→元本』の順。元本から先には充当できない。
解説元本・利息・費用を支払うべき場合の不足弁済は、費用→利息→元本の順に充当される(489条)。相殺は、互いに同種の目的の債務を負担し、双方が弁済期にあるときに対当額で行える(505条)。借主の過払金を巡る紛争では、これらの充当・相殺の規律が重要となる。
補足当事者間で充当の合意(合意充当)があれば、それが優先する。
問5相殺の禁止
相殺の禁止に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務を負う者は、その債務を受働債権として、相殺をもって債権者に対抗することができる。
- イ.当事者が相殺を禁止する旨の意思表示をした場合、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 相殺で対抗できるとするのは誤り
民法第509条「相殺をもって債権者に対抗することができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 悪意・重過失の第三者に対抗
民法第505条「第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り」e-Gov原文
ひっかけ加害者は不法行為の損害賠償債務を相殺で消せない(被害者の現実の弁済を確保)。
解説悪意による不法行為に基づく損害賠償債務や、人の生命・身体の侵害による損害賠償債務は、受働債権として相殺できない(509条、被害者保護)。相殺を禁止・制限する特約は、悪意又は重過失の第三者に対抗できる(505条2項)。受働債権が差押禁止債権の場合等にも相殺は制限される。
補足自働債権として不法行為債権を用いる相殺は禁止されない。
問6不当利得の返還義務
過払金等に関わる不当利得について、次のア・イの記述の正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法律上の原因なく他人の財産によって利益を受け他人に損失を及ぼした者は、利益が現存するか否かにかかわらず、その受けた利益の全額を返還しなければならない。
- イ.悪意の受益者は、その受けた利益を返還すれば足り、これに利息を付して返還する必要はない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 全額・現存問わずとするのは誤り
民法第703条「その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う」e-Gov原文
- イ.誤り
- 利息不要とするのは誤り
民法第704条「その受けた利益に利息を付して返還しなければならない」e-Gov原文
ひっかけ善意は『現存利益』、悪意は『利益+利息』。過払金返還の重要前提。
解説不当利得では、善意の受益者は現存利益の返還で足りるが(703条)、悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があれば賠償する(704条)。利息制限法を超える利息の支払(過払金)は不当利得として返還請求でき、貸金業者が悪意の受益者と評価されると利息も付される。
補足判例上、利息制限法超過利息を受領した貸金業者は、原則として悪意の受益者と扱われる。
問7消費貸借の成立と書面でする消費貸借
金銭消費貸借の成立に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.消費貸借は、当事者の一方が種類・品質・数量の同じ物をもって返還することを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
- イ.書面でする消費貸借であっても、借主は、貸主から金銭その他の物を受け取る前に契約を解除することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 要物契約が原則
民法第587条「相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 解除できないとするのは誤り
民法第587条の2「貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる」e-Gov原文
ひっかけ書面の消費貸借は『諾成』で、受取前なら借主は解除できる。
解説消費貸借は、目的物の交付によって成立する要物契約が原則(587条)。ただし書面でする消費貸借は、合意のみで成立する諾成契約となり、借主は金銭等を受け取るまで契約を解除できる(587条の2、解除で貸主に損害が生じればその賠償を要する)。実務の金銭消費貸借契約書は書面でする消費貸借にあたる。
補足受取前に当事者の一方が破産手続開始決定を受けると、書面でする消費貸借は効力を失う。
問8履行遅滞となる時期
債務の履行遅滞となる時期に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、債権者から履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
- イ.債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 請求を受けた時からとするのは誤り
民法第412条「その期限の到来した時から遅滞の責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 期限なしは請求で遅滞
民法第412条「履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う」e-Gov原文
ひっかけ確定期限は『期限到来時』、期限なしは『請求時』から遅滞。
解説履行遅滞となる時期は、確定期限なら期限到来時(412条1項)、不確定期限なら期限到来後の請求又は期限到来を知った時のいずれか早い時(同2項)、期限の定めなしなら請求時(同3項)。遅延損害金の起算点を画する重要な区別。貸金の返還債務でも期限の有無で扱いが変わる。
補足返還時期を定めない消費貸借は、相当の期間を定めた催告後でなければ履行遅滞とならない。
問9保証人の求償権と催告の抗弁
保証人の権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者の委託を受けて保証をした保証人が主たる債務者に代わって弁済をしても、主たる債務者に対して求償権を有しない。
- イ.連帯保証ではない通常の保証人は、債権者から債務の履行を請求されても、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 催告の抗弁がないとするのは誤り
民法第452条「まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ通常の保証人には催告の抗弁がある。連帯保証人にはない。
解説委託を受けた保証人が弁済等をすれば、主たる債務者に求償できる(459条)。通常の保証人は、債権者の請求に対し『まず主たる債務者に催告せよ』と求める催告の抗弁(452条)を有する。連帯保証人はこの抗弁を有しない点が大きな違いである。
補足委託を受けない保証人の求償権は、委託を受けた場合より範囲が限定される(462条)。
問10検索の抗弁と消費貸借の返還
保証及び消費貸借に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.通常の保証人は、債権者が主たる債務者に催告をした後であっても、主たる債務者に弁済の資力がありかつ執行が容易であることを証明すれば、債権者はまず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。
- イ.金銭消費貸借の借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 検索の抗弁
民法第453条「まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ通常の保証人は『催告+検索』の抗弁。借主は期限前でも返還できる。
解説通常の保証人は、催告の抗弁(452条)に加え、主たる債務者に資力があり執行が容易であることを証明して検索の抗弁を行える(453条)。連帯保証人はいずれの抗弁も有しない。消費貸借の借主は返還時期の定めの有無を問わずいつでも返還でき(591条2項)、期限前返還で貸主に損害が生じればその賠償を要する(同3項)。
補足期限前返還で生じる損害賠償の範囲は、原則として期限までの利息相当額に限られない。
問11個人根保証契約の極度額
民法上の個人根保証契約に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.個人根保証契約の保証人は、主たる債務の元本、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるもの及びその保証債務について約定された違約金等について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
- イ.個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 保証人の責任は極度額が上限
民法第465条の2「その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う」e-Gov原文
- イ.正しい
- 極度額の定めが効力要件
民法第465条の2「個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ個人根保証は『極度額を定めないと無効』。責任は極度額が上限。
解説個人根保証契約(保証人が法人でない根保証)は、保証人が想定外の過大な責任を負わないよう、極度額(責任の上限)を定めなければ効力を生じない(465条の2)。賃貸借の保証人や継続的取引の保証で重要。極度額は書面(電磁的記録)で定める必要がある。
補足貸金等根保証では、元本確定期日の定めにも制限がある(465条の3)。
問12保証人に対する情報提供義務と法定利率
民法上の保証人に対する情報提供義務及び法定利率に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の不履行の有無や残額等に関する情報を提供しなければならない。
- イ.利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときの法定利率は、年5パーセントである。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 委託を受けた保証人には情報提供義務がある
民法第458条の2「保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく」e-Gov原文
ひっかけ法定利率は『年3%』(旧5%)。委託保証人には情報提供請求権がある。
解説委託を受けた保証人は、債権者に対し主たる債務の履行状況(不履行の有無・残額等)の情報提供を請求できる(458条の2)。保証人が不測の損害を被らないための改正規定。法定利率は、改正により年5%から年3%(起点)の変動制に改められた(404条)。
補足個人保証では、主債務者が期限の利益を喪失したときの債権者の通知義務もある(458条の3)。
問13裁判上の請求による時効の完成猶予と更新
民法上の裁判上の請求による時効の完成猶予及び更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.裁判上の請求がある場合には、その事由が終了するまでの間も、時効は完成する。
- イ.裁判上の請求の場合において、確定判決等によって権利が確定したときは、時効は、その事由が終了した時から新たにその進行を始める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- イ.正しい
- 権利確定で時効はリセットされる
民法第147条「時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める」e-Gov原文
ひっかけ裁判上の請求は『完成猶予』、確定判決で『更新』。旧中断・停止の整理。
解説改正民法は、旧『中断・停止』を『更新・完成猶予』に整理した。裁判上の請求(訴え提起等)は、係属中は時効の完成を猶予し(147条1項)、確定判決で権利が確定すると時効を更新する(同2項。終了時から新たに進行)。貸金債権の管理で重要。
補足訴えを取り下げると権利が確定せず、終了時から6か月の完成猶予にとどまる。
問14期限の利益の喪失と第三者弁済の可否
民法上の期限の利益の喪失及び第三者の弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者が破産手続開始の決定を受けたときであっても、債務者は、期限の利益を主張することができる。
- イ.弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反する場合であっても、常に弁済をすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 破産すると期限の利益を失う
民法第137条「債務者は、期限の利益を主張することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 意思に反する第三者弁済は原則不可
民法第474条「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ破産すると期限の利益を失う。利益のない第三者は意思に反する弁済不可。
解説期限の利益の喪失(137条):破産手続開始の決定、担保の滅失・損傷・減少、担保供与義務の不履行があると、債務者は期限の利益を主張できなくなる。第三者弁済(474条):弁済は第三者もできるが、正当な利益のない第三者は原則として債務者の意思に反して弁済できない。
補足正当な利益のない第三者でも、債務者の意思に反することを債権者が知らなければ弁済は有効。
問15催告による時効の完成猶予
民法上の催告による時効の完成猶予に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
- イ.催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、時効の完成猶予の効力を有しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 催告で6か月の完成猶予
民法第150条「催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 催告の重ねがけで時効は延ばせない
民法第150条「再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない」e-Gov原文
ひっかけ催告は『6か月の完成猶予』。再度の催告で延長はできない。
解説催告(裁判外の請求)は、その時から6か月間、時効の完成を猶予する(150条1項)。ただし暫定的な手段なので、猶予中に再度催告しても効力はなく(同2項)、6か月内に裁判上の請求等の本格的手段をとらなければ時効は完成する。
補足協議を行う旨の合意(151条)による完成猶予と催告は、重複しては効力を生じない。
問16承認による時効の更新
民法上の承認による時効の更新に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
- イ.時効の更新の効力を生ずる権利の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないことを要する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 承認で時効はリセットされる
民法第152条「時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める」e-Gov原文
- イ.誤り
- 承認は管理行為なので処分能力は要らない
民法第152条「行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない」e-Gov原文
ひっかけ承認は『時効更新』。処分の行為能力・権限は不要。
解説権利の承認(債務者が債務の存在を認めること。一部弁済・利息の支払・支払猶予の申入れ等)があると、時効はその時から更新される(152条1項)。承認は権利を処分する行為ではなく管理行為にとどまるため、処分の行為能力や権限は不要(同2項)。
補足ただし、未成年者等が単独でする承認は、管理能力すら欠けば取り消されうる。
問17第三者の弁済と弁済による代位
民法上の第三者の弁済及び弁済による代位に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の弁済は、債務者以外の第三者がすることは一切できない。
- イ.債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 第三者弁済は原則として可能
民法第474条「債務の弁済は、第三者もすることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 弁済者は債権者の地位に代位できる
民法第499条「債務者のために弁済をした者は、債権者に代位する」e-Gov原文
ひっかけ第三者弁済は『原則できる』。弁済者は『債権者に代位』。
解説弁済は債務者以外の第三者もできる(474条1項。ただし正当な利益のない第三者は債務者・債権者の意思に反すると原則できない)。債務者のために弁済をした者は、求償権の確保のため、債権者が有していた権利(担保等)に代位する(弁済による代位。499条)。
補足代位した者は、求償権の範囲内で、債権者が有していた担保権等を行使できる(501条)。
問18法定利率の変動制と担保の滅失等による期限の利益の喪失
民法上の法定利率及び期限の利益の喪失に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.法定利率は、いったん定められると変動することのない固定制であり、改正後も一律である。
- イ.債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたときであっても、債務者は、期限の利益を失わない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 固定でなく3年ごとに見直す変動制
民法第404条「三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする」e-Gov原文
- イ.誤り
- 担保を害すると期限の利益を失う
民法第137条「債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき」e-Gov原文
ひっかけ法定利率は『3年ごとの変動制』。担保を害すると『期限の利益喪失』。
解説法定利率は、改正で年3%を起点とし3年ごとに見直す変動制となった(404条)。期限の利益の喪失事由(137条)には、破産手続開始の決定のほか、担保の滅失・損傷・減少、担保供与義務の不履行がある。担保を害する行為をすると、債務者は期限の利益(分割払い等)を主張できなくなる。
補足遅延損害金の利率は、約定がなければ債務者が遅滞に陥った最初の時点の法定利率による。
問19期限の利益喪失時の保証人への情報提供義務
民法上の主たる債務者が期限の利益を喪失した場合における保証人への情報提供義務に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から2か月以内に、その旨を通知しなければならない。
- イ.この情報提供義務は、保証人が法人である場合にも適用される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 458条の3第1項が通知義務を定める
民法第458条の3「その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 458条の3第3項が法人保証人を除外
民法第458条の3「保証人が法人である場合には、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ期限の利益喪失の通知は『2か月以内』。個人保証人の保護規定(法人には不適用)。
解説主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は保証人に対し、その喪失を知った時から2か月以内に通知しなければならない(458条の3第1項)。期間内に通知しなかったときは、債権者は喪失時から通知までに生じた遅延損害金(喪失しなくても生ずべきものを除く)に係る保証債務の履行を請求できない(同条2項)。これらは保証人が法人の場合には適用されない(同条3項)。
補足委託を受けた保証人には、請求があれば主たる債務の履行状況の情報を提供する義務もある(458条の2。こちらは保証人が個人・法人を問わない)。
問20主たる債務者について生じた事由の効力
民法上の主たる債務者について生じた事由の保証人への効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しては、その効力を生じない。
- イ.保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって、債権者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 457条1項が付従性に基づく効力を定める
民法第457条「主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新は、保証人に対しても、その効力を生ずる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 457条2項が保証人の抗弁の援用を認める
民法第457条「主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる」e-Gov原文
ひっかけ主たる債務者への時効の完成猶予・更新は保証人にも及ぶ。抗弁も援用できる。
解説保証債務は付従性をもつ。①主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予・更新は、保証人にも効力を生ずる(457条1項)。②保証人は、主たる債務者が主張できる抗弁(消滅時効・同時履行の抗弁等)をもって債権者に対抗できる(同条2項)。③主たる債務者が相殺権・取消権・解除権を有するときは、その行使で債務を免れる限度で履行を拒める(同条3項)。
補足もっとも、連帯保証人について生じた事由は、原則として主たる債務者には効力を及ぼさない(相対効。458条が準用する441条)。
問21譲渡制限の意思表示
民法上の債権の譲渡制限の意思表示に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(譲渡制限の意思表示)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
- イ.譲渡制限の意思表示がされたことを過失なく知らなかった譲受人に対しても、債務者は、その債務の履行を拒むことができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 466条2項が譲渡制限特約の物権的効力を否定する
- イ.誤り
- 466条3項が拒絶の相手方を悪意・重過失者に限る
民法第466条「譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ」e-Gov原文
ひっかけ譲渡制限特約があっても譲渡は有効。履行拒絶は『悪意・重過失』の譲受人にだけ。
解説令和2年施行の改正により、譲渡制限の意思表示がされても債権譲渡自体は有効となった(466条2項)。ただし、譲渡制限を知り又は重大な過失で知らなかった(悪意・重過失の)譲受人に対しては、債務者は履行を拒み、譲渡人への弁済等を対抗できる(同条3項)。善意無重過失の譲受人には対抗できない。
補足債務者が履行しない場合、譲受人が相当の期間を定めて催告し履行がなければ、債務者は拒絶できなくなる(466条4項)。
問22債権譲渡における債務者の抗弁と相殺
民法上の債権の譲渡における債務者の抗弁・相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
- イ.債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 468条1項が債務者の抗弁の対抗を認める
民法第468条「債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 469条1項が債務者の相殺の対抗を認める
民法第469条「債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる」e-Gov原文
ひっかけ債務者は『具備時まで』の抗弁・『具備時より前』に取得した債権での相殺を対抗できる。
解説債権が譲渡されても債務者の地位は害されない。債務者は、対抗要件具備時(通知到達・承諾)までに譲渡人に対して生じた抗弁を譲受人に対抗でき(468条1項)、また対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺も対抗できる(469条1項)。具備時より後に取得した債権でも、一定の場合は相殺を対抗できる(469条2項)。
補足債権回収では、譲り受けた貸金債権に債務者の抗弁・相殺が付着していないかの確認が重要となる。
問23連帯債務者の一人について生じた事由
民法上の連帯債務者の一人について生じた事由の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
- イ.債権者が連帯債務者の一人に対して履行の請求をしたときは、その効力は他の連帯債務者に対しても生じる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 438条が更改を絶対的効力事由とする
民法第438条「債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 441条が請求等を相対的効力事由とする
民法第441条「連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない」e-Gov原文
ひっかけ絶対効は『更改・相殺・混同』。請求は相対効(改正で変更)。
解説連帯債務では、更改(438条)・相殺(439条1項)・混同(440条)が絶対的効力事由とされ、これらは他の連帯債務者にも効力が及ぶ。それ以外の事由(履行の請求・免除・時効の完成等)は相対的効力にとどまり、他の連帯債務者には効力を生じない(441条)。令和2年施行の改正で、請求は絶対効から相対効に変更された点が重要である。
補足連帯保証にも連帯債務の絶対効の規定(438条・439条1項・440条)が準用される(458条)。
問24受領権者としての外観を有する者に対する弁済
民法上の受領権者としての外観を有する者に対する弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.受領権者としての外観を有する者に対してした弁済は、弁済をした者が善意であれば、過失があっても、その効力を有する。
- イ.受領権者としての外観を有するかどうかは、取引上の社会通念に照らして判断される。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 478条が善意・無過失を有効要件とする
民法第478条「善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 478条が外観の判断基準を取引上の社会通念とする
民法第478条「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」e-Gov原文
ひっかけ外観を信じた弁済は『善意かつ無過失』のときだけ有効。
解説受領権者以外の者であって、取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有する者(例えば預金通帳と印鑑を持参した者など)に対してした弁済は、弁済者が善意かつ無過失であったときに限り有効となる(478条)。善意だけでは足りず、無過失が要求される点が重要である。
補足貸金の弁済受領を装う者への支払いリスクの理解にも関わる規定である。
問25債権者による担保の喪失等
民法上の債権者による担保の喪失等に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.弁済をするについて正当な利益を有する代位権者がある場合に、債権者が担保を喪失したときは、その喪失について故意又は過失がなくても、代位権者は責任を免れる。
- イ.債権者が担保を喪失したことについて取引上の社会通念に照らして合理的な理由があると認められるときであっても、代位権者は責任を免れる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 504条1項が債権者の故意・過失を免責の要件とする
民法第504条「債権者が故意又は過失によってその担保を喪失し、又は減少させたときは」e-Gov原文
- イ.誤り
- 504条2項が合理的理由のある場合に免責を否定する
民法第504条「合理的な理由があると認められるときは、適用しない」e-Gov原文
ひっかけ免責には『債権者の故意・過失』が必要。『合理的理由』があれば免責されない。
解説弁済について正当な利益を有する者(保証人・物上保証人等の代位権者)がある場合、債権者が故意又は過失によって担保を喪失・減少させたときは、代位権者は償還を受けられなくなる限度で責任を免れる(504条1項)。ただし、担保の喪失・減少に取引上の社会通念に照らして合理的な理由があるときは、この免責は生じない(同条2項)。
補足保証人は、債権者が担保を不当に放棄した場合にこの規定で保証責任の一部を免れうる。
問26差押えを受けた債権を受働債権とする相殺
民法上の差押えを受けた債権を受働債権とする相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。
- イ.差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 511条1項前段が差押え後取得債権での相殺対抗を否定する
民法第511条「差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 511条1項後段が差押え前取得債権での相殺対抗を認める
民法第511条「差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる」e-Gov原文
ひっかけ相殺を対抗できるのは『差押え前』に取得した債権。差押え後取得は原則不可。
解説差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え前に取得した債権を自働債権とする相殺であれば差押債権者に対抗できるが、差押え後に取得した債権による相殺は対抗できない(511条1項)。ただし、差押え後に取得した債権でも、差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは対抗できる(同条2項)。相殺の担保的機能を保護する規定である。
補足差押え後取得でも、差押え前の原因に基づく債権なら相殺を対抗できる(511条2項)。
問27代物弁済
民法上の代物弁済に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.弁済者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
- イ.代物弁済による債務消滅の効力は、原則として、現実に他の給付がされた時に生じる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
ひっかけ代物弁済の債務消滅は『現実の給付』があってはじめて生じる。
解説代物弁済は、債権者との合意により本来の給付に代えて他の給付をして債務を消滅させるものである(482条)。代物弁済契約は諾成契約だが、債務消滅の効力は契約だけでなく現実に他の給付がされた時に生じる。不動産を代物弁済する場合、所有権移転の効力は意思表示で生じるが、第三者対抗には登記が必要である。
補足貸金債権の回収で、金銭に代えて物の給付を受ける場合に代物弁済が用いられる。
問28弁済の提供の方法
民法上の弁済の提供の方法に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.弁済の提供は、原則として、債務の本旨に従って現実にしなければならない。
- イ.債権者があらかじめ弁済の受領を拒んでいる場合であっても、債務者は現実の提供をしなければ、弁済の提供の効果を生じない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 493条本文が現実の提供を原則とする
民法第493条「弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 493条ただし書が口頭の提供を認める
民法第493条「弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる」e-Gov原文
ひっかけ弁済の提供は原則『現実』。受領拒否なら『口頭の提供』で足りる。
解説弁済の提供は、原則として債務の本旨に従って現実にしなければならない(493条本文=現実の提供)。ただし、債権者があらかじめ受領を拒んでいる場合や、債務の履行に債権者の行為(受領行為等)を要する場合には、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告すれば足りる(同条ただし書=口頭の提供)。弁済の提供により、債務者は債務不履行責任を免れる(492条)。
補足債権者が受領を拒むと、債務者は弁済供託(494条)により債務を免れることができる。
問29併存的債務引受
民法上の併存的債務引受に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.併存的債務引受がされると、引受人が債務を負担し、これにより従前の債務者は自己の債務を免れる。
- イ.併存的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 470条1項が引受人と債務者の連帯を定める
民法第470条「債務者と連帯して、債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 470条2項が契約当事者を定める
民法第470条「債権者と引受人となる者との契約によってすることができる」e-Gov原文
ひっかけ併存的=債務者は残る(連帯)。免責的=債務者が抜ける。
解説併存的債務引受では、引受人が債務者と連帯して同一内容の債務を負担し、従前の債務者も債務を負い続ける(470条1項)。引受けは、債権者と引受人の契約(同条2項)、又は債務者と引受人の契約(同条3項、債権者の承諾時に効力)でできる。債権者にとっては債務者が増えるため、債務者の同意なしでも債権者・引受人間でできる。
補足債務者と引受人の契約による場合は、第三者のためにする契約に関する規定に従う(470条4項)。
問30免責的債務引受
民法上の免責的債務引受に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.免責的債務引受がされても、従前の債務者は引受人と連帯して債務を負担し続ける。
- イ.免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることはできず、必ず債務者を含む三者の契約によらなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 472条2項が契約当事者を定める
民法第472条「債権者と引受人となる者との契約によってすることができる」e-Gov原文
ひっかけ免責的=債務者が抜ける。債権者と引受人の契約+『債務者への通知』で効力。
解説免責的債務引受では、引受人が同一内容の債務を負担し、従前の債務者は自己の債務を免れる(472条1項)。引受けは、債権者と引受人の契約(同条2項、債権者が債務者に通知した時に効力)、又は債務者と引受人の契約に債権者が承諾する方法(同条3項)でできる。債務者が抜けるため、債権者の関与が必要となる。
補足債務者の意思に反しても、債権者と引受人の契約で免責的債務引受ができる。
問31共同保証と分別の利益
民法上の数人の保証人がある場合(共同保証)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、原則として、各保証人は債務の額を保証人の数で分けた額についてのみ保証債務を負う(分別の利益)。
- イ.数人の保証人がある場合の分別の利益は、それらの保証人が共同の保証契約により債務を負担したときに限り認められ、各別の行為により負担したときは認められない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 456条が共同保証に427条(分割債務)を適用する
民法第456条「それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 456条が各別の行為の場合にも427条を適用する
民法第456条「各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する」e-Gov原文
ひっかけ普通の共同保証には『分別の利益』あり。連帯保証にはない。
解説数人の保証人がある場合(共同保証)には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、分割債務に関する427条が適用され、各保証人は原則として頭割りした額のみ保証債務を負う(456条=分別の利益)。ただし、連帯保証人には分別の利益がなく、各自が全額について保証債務を負う。
補足連帯保証は催告・検索の抗弁(452条・453条)も分別の利益も持たないため、保証人に厳しい。
問32連帯債務者間の求償権
民法上の連帯債務者間の求償権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.連帯債務者の一人が弁済をして共同の免責を得た場合、その免責を得た額が自己の負担部分を超えないときは、他の連帯債務者に対して求償することはできない。
- イ.連帯債務者の一人がした求償には、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償が含まれる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 442条1項が負担部分超過を求償の要件としない
民法第442条「その免責を得た額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず」e-Gov原文
- イ.正しい
- 442条2項が求償の範囲を定める
民法第442条「弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する」e-Gov原文
ひっかけ連帯債務の求償は『負担部分を超えなくても』できる。利息・費用も含む。
解説連帯債務者の一人が弁済等により共同の免責を得たときは、その額が自己の負担部分を超えるかどうかにかかわらず、他の連帯債務者に対し各自の負担部分に応じた額を求償できる(442条1項)。求償の範囲には、免責日以後の法定利息や避けられなかった費用その他の損害賠償も含まれる(同条2項)。
補足求償権の確保のため、事前・事後の通知を怠ると求償が制限される場合がある(443条)。
問33履行不能
民法上の履行不能に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
- イ.契約に基づく債務の履行がその契約の成立の時に不能であった場合(原始的不能)は、債権者は損害賠償を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 412条の2第1項が履行不能の効果を定める
民法第412条の2「債権者は、その債務の履行を請求することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 412条の2第2項が原始的不能でも損害賠償を認める
民法第412条の2「その契約の成立の時に不能であったことは、第四百十五条の規定によりその履行の不能によって生じた損害の賠償を請求することを妨げない」e-Gov原文
ひっかけ履行不能でも『原始的不能』なら契約有効・損害賠償は可能。
解説債務の履行が契約等及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は履行を請求できない(412条の2第1項)。契約成立時に既に履行が不能であった場合(原始的不能)でも、契約は無効とならず、債務者は債務不履行(415条)の損害賠償責任を負い得る(同条2項)。令和2年施行の改正で明文化された。
補足履行不能による損害賠償(填補賠償)は、債務不履行の一般規定(415条2項)による。
問34受領遅滞
民法上の受領遅滞に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。
- イ.受領遅滞によって履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 413条1項が受領遅滞による注意義務の軽減を定める
民法第413条「自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 413条2項が増加費用を債権者負担とする
ひっかけ受領遅滞で保存義務は『自己同一の注意』に軽減。増加費用は『債権者負担』。
解説債権者が弁済の受領を拒み、又は受領できない受領遅滞の場合、①特定物引渡債務の保存義務が善管注意義務から自己の財産と同一の注意義務に軽減され(413条1項)、②受領遅滞による履行費用の増加額は債権者の負担となる(同条2項)。さらに、受領遅滞中の当事者双方の責めに帰せない履行不能は債権者の帰責とされる(413条の2第2項)。
補足債務者が受領遅滞の効果を生じさせるには、原則として現実の提供又は口頭の提供(493条)が必要である。
問35過失相殺
民法上の債務不履行における過失相殺に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、債務者は損害賠償責任を免れる。
- イ.債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 418条が過失相殺の効果を定める
民法第418条「裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める」e-Gov原文
- イ.正しい
- 418条が過失相殺の要件を定める
民法第418条「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは」e-Gov原文
ひっかけ債務不履行の過失相殺は『裁判所が必ず考慮』。責任の有無も含めて斟酌。
解説債務不履行の過失相殺では、債務不履行自体や損害の発生・拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所がこれを考慮して損害賠償の責任及びその額を定める(418条)。不法行為の過失相殺(722条2項。額の減額のみで任意的)と異なり、債務不履行では責任の有無の判断にも考慮でき、裁判所は必ず考慮しなければならない(必要的)。
補足不法行為の過失相殺(722条2項)は額の減額に限られ、考慮するか否かは裁判所の裁量である点と区別する。
問36金銭債務の特則
民法上の金銭債務の不履行に関する特則についての次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.金銭債務の不履行による損害賠償については、債権者は、実際に生じた損害の額を証明しなければならない。
- イ.金銭債務の不履行については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 419条2項が損害の証明を不要とする
民法第419条「債権者は、損害の証明をすることを要しない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 419条3項が不可抗力の抗弁を否定する
民法第419条「債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない」e-Gov原文
ひっかけ金銭債務は『損害証明不要』かつ『不可抗力の抗弁不可』。
解説金銭債務(貸金の返済債務等)の不履行には特則がある。損害賠償額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率(約定利率が高ければ約定利率)により定まり(419条1項)、債権者は損害の証明を要せず(同条2項)、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができない(同条3項)。金銭は常に調達できるとの考えに基づく。
補足遅延損害金の利率は、約定利率が法定利率を超えるときは約定利率による(419条1項ただし書)。
問37弁済の充当(指定充当)
民法上の弁済の充当に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同種の給付を目的とする数個の債務がある場合に、提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないときは、弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
- イ.弁済をする者が充当の指定をしないときは、当事者間の合意がなければ、いずれの債務にも充当することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 488条1項が弁済者の指定充当を定める
民法第488条「弁済をする者は、給付の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 488条2項が受領者の指定充当を定める
民法第488条「弁済を受領する者は、その受領の時に、その弁済を充当すべき債務を指定することができる」e-Gov原文
ひっかけ充当は『弁済者の指定→受領者の指定→法定充当』の順。
解説同種の数個の債務があり弁済が全部に足りないときは、まず弁済をする者が充当の指定をでき(指定充当・488条1項)、指定しないときは受領する者が指定できる(同条2項。ただし弁済者が直ちに異議を述べたときを除く)。双方が指定しないときは、弁済期・弁済の利益・弁済期の到来順等の法定の順序で充当する(法定充当・同条4項)。
補足元本・利息・費用を支払うべき場合は、費用・利息・元本の順に充当される(489条)。
問38弁済の提供の効果
民法上の弁済の提供の効果に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.債務者は、現実に弁済をしなければ、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れることはできない。
- イ.債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 492条が弁済の提供の効果を定める
民法第492条「債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる」e-Gov原文
ひっかけ弁済の提供をすれば、現実の弁済前でも『不履行責任を免れる』。
解説債務者は、弁済の提供(現実の提供又は口頭の提供。493条)をした時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任(履行遅滞による損害賠償・契約解除・違約金等)を免れる(492条)。債権者が受領を拒んでも、債務者が弁済の提供をしていれば債務不履行とはならない。さらに弁済供託(494条)をすれば債務自体を消滅させられる。
補足債務を消滅させるには、提供に加えて弁済供託(494条)が必要である。