問1特許発明の技術的範囲
特許発明の技術的範囲及び差止請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない。
- イ.特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 70条1項のとおり → 正しい
特許法第70条「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 100条1項のとおり → 正しい
特許法第100条「特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ技術的範囲は『特許請求の範囲の記載』に基づいて定める。特許権者等は『差止請求』できる(70条・100条)。
解説特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない(70条1項)。また、特許権者・専用実施権者は侵害者・侵害のおそれがある者に差止請求できる(100条1項)。技術的範囲と差止請求権を押さえる。
補足技術的範囲は特許請求の範囲(クレーム)が基準である。明細書・図面は用語解釈の参考とするが、要約書は考慮されない(70条3項)。
問2特許発明の技術的範囲の解釈
特許発明の技術的範囲の解釈に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許発明の技術的範囲を定めるに当たつては、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するが、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない。
- イ.特許発明の技術的範囲は、願書に添付した要約書の記載に基づいて定めなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 70条2項・3項のとおり → 正しい
特許法第70条「願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮して、特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈するものとする」e-Gov原文
特許法第70条「願書に添付した要約書の記載を考慮してはならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許請求の範囲の記載に基づいて定める → 『要約書の記載に基づいて定める』は誤り
特許法第70条「願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ技術的範囲の解釈は『明細書・図面を考慮』し『要約書は考慮しない』。技術的範囲は『特許請求の範囲の記載』に基づく(70条)。
解説特許発明の技術的範囲を定めるに当たっては、明細書の記載及び図面を考慮して特許請求の範囲に記載された用語の意義を解釈する(70条2項)が、要約書の記載を考慮してはならない(70条3項)。技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定める(70条1項)。技術的範囲の解釈を押さえる。
補足要約書は技術情報の検索の便宜のためのものであり、権利範囲の解釈には用いられない。明細書・図面は用語解釈の補助として参酌される。
問3特許発明の技術的範囲についての判定
特許発明の技術的範囲についての判定及び質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる。
- イ.特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 71条1項のとおり → 正しい
特許法第71条「特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 95条のとおり → 正しい
特許法第95条「質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ特許発明の技術的範囲は特許庁に『判定』を求められる。質権者は別段の定がなければ特許発明を『実施できない』(71条・95条)。
解説特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し判定を求めることができる(71条1項。三名の審判官が判定する)。また、特許権等を目的として質権を設定したときは、質権者は契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない(95条)。判定と質権を押さえる。
補足判定は特許庁による技術的範囲の公的見解だが法的拘束力はない。質権者は担保のための権利者であり原則として実施できない。
問4特許権の移転の特例
特許権の移転の特例及び判定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許が共同出願の規定に違反してされた等の所定の要件に該当するときは、その特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
- イ.特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 74条1項のとおり → 正しい
特許法第74条「その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許庁に判定を求められる → 『求めることができない』は誤り
特許法第71条「特許庁に対し、判定を求めることができる」e-Gov原文
ひっかけ冒認・共同出願違反等のとき真の権利者は『特許権の移転を請求』できる。技術的範囲は特許庁に『判定を求められる』(74条・71条)。
解説特許が冒認出願(特許を受ける権利を有しない者の出願)又は共同出願の規定(38条)違反等の所定の要件に該当するときは、特許を受ける権利を有する者はその特許権者に対し特許権の移転を請求できる(74条1項)。移転登録により特許権は初めから移転を受けた者に帰属したものとみなされる。特許権の移転の特例を押さえる。
補足冒認・共同出願違反は無効理由だが、真の権利者は無効にする代わりに特許権の移転を請求できる(74条)。移転登録には遡及効がある。
問5無効審判の請求登録前の実施による通常実施権
無効審判の請求登録前の実施による通常実施権及び生産方法の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許無効審判の請求の登録前に、特許が無効事由に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、所定の範囲内において通常実施権を有する。
- イ.物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 80条1項のとおり → 正しい
特許法第80条「特許無効審判の請求の登録前に、特許が第百二十三条第一項各号のいずれかに規定する要件に該当することを知らないで、日本国内において当該発明の実施である事業をしているもの又はその事業の準備をしているもの」e-Gov原文
- イ.正しい
- 104条のとおり → 正しい
特許法第104条「その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ無効審判請求登録前の善意実施者は『中用権』を有する。公然知られていない物の生産方法は当該方法で生産したと『推定』(80条・104条)。
解説特許無効審判の請求登録前に、特許が無効事由に該当することを知らないで日本国内で当該発明の実施である事業をしている者等は、その実施・準備をしている発明・事業の範囲内で通常実施権(中用権)を有する(80条1項)。また、物を生産する方法の発明について特許がされ、その物が出願前に公然知られた物でないときは、同一の物は当該方法で生産したものと推定される(104条)。中用権と生産方法の推定を押さえる。
補足中用権は無効審判で特許が無効とされても、善意・実施事業中の者を保護する法定通常実施権である。生産方法の推定は立証困難を緩和する。
問6特許法における通常実施権の移転等
通常実施権の移転等及び特許権の移転の特例に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.通常実施権は、所定の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
- イ.特許が共同出願の規定に違反してされた等の所定の要件に該当しても、特許を受ける権利を有する者は、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 94条1項のとおり → 正しい
特許法第94条「相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許権の移転を請求できる → 『請求することはできない』は誤り
特許法第74条「その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ通常実施権の移転は『事業とともに・承諾・一般承継』に限られる。冒認等のとき真の権利者は『特許権の移転を請求』できる(94条・74条)。
解説通常実施権は、所定の裁定による通常実施権を除き、実施の事業とともにする場合・特許権者(専用実施権についての通常実施権は特許権者及び専用実施権者)の承諾を得た場合・相続その他の一般承継の場合に限り移転できる(94条1項)。また、冒認・共同出願違反等のとき真の権利者は特許権の移転を請求できる(74条1項)。通常実施権の移転と特許権の移転の特例を押さえる。
補足通常実施権の移転は原則制限され、事業とともにする場合・承諾・一般承継に限られる。裁定による通常実施権はさらに移転が制限される。
問7特許権を目的とする質権
特許権を目的とする質権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をしなくても、当該特許発明の実施をすることができる。
- イ.特許権、専用実施権又は通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 別段の定をした場合を除き実施できない → 『別段の定なく実施できる』は誤り
特許法第95条「質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 95条のとおり → 正しい
特許法第95条「質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ特許権等の質権者は、契約で別段の定をした場合を除き、特許発明を『実施できない』(95条)。
解説特許権・専用実施権・通常実施権を目的として質権を設定したときは、質権者は契約で別段の定をした場合を除き、当該特許発明の実施をすることができない(95条)。質権は担保のための権利であり、原則として質権者自身は実施できない。質権を押さえる。
補足質権者は担保価値の把握者であって実施者ではない。質権設定は登録が効力要件であり(98条1項3号)、物上代位(96条)が認められる。
問8特許権の差止請求権
特許権の差止請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権を現に侵害する者に対しては侵害の停止を請求できるが、侵害するおそれがある者に対しては侵害の予防を請求することができない。
- イ.特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 侵害のおそれがある者に予防を請求できる → 『請求できない』は誤り
特許法第100条「侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 100条1項のとおり → 正しい
特許法第100条「侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ侵害する者だけでなく『侵害するおそれがある者』に対しても侵害の停止又は予防を請求できる(100条1項)。
解説特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる(100条1項)。差止に際し侵害組成物の廃棄等を請求できる(100条2項)。差止請求権を押さえる。
補足差止請求は侵害のおそれの段階でも認められる予防的請求である。差止に際し廃棄・除却等の付帯請求もできる。
問9特許権侵害の予防に必要な行為の請求
特許権侵害の予防に必要な行為の請求に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権者又は専用実施権者は、差止請求をするに際し、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することはできない。
- イ.特許権者又は専用実施権者は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 侵害予防に必要な行為を請求できる → 『請求することはできない』は誤り
特許法第100条「侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 100条2項のとおり → 正しい
特許法第100条「侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ差止請求に際し『侵害組成物の廃棄・侵害供用設備の除却等』の予防行為を請求できる(100条2項)。
解説特許権者又は専用実施権者は、差止請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求できる(100条2項)。差止の実効性を確保するための付帯請求である。侵害の予防に必要な行為の請求を押さえる。
補足廃棄・除却等の請求は差止請求に付帯して行われる。物を生産する方法の特許発明では、侵害の行為により生じた物も廃棄請求の対象となる。
問10生産方法の推定
生産方法の推定及び信用回復の措置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する。
- イ.故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより特許権者等の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者等の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 104条のとおり → 正しい
特許法第104条「その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 106条のとおり → 正しい
特許法第106条「業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる」e-Gov原文
ひっかけ公然知られていない物の生産方法は当該方法で生産したと『推定』。信用を害した侵害者に『信用回復措置』を命じうる(104条・106条)。
解説物を生産する方法の発明について特許がされ、その物が出願前に公然知られた物でないときは、同一の物は当該方法で生産したものと推定される(104条)。また、故意又は過失により特許権等を侵害して業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は損害賠償に代え又はとともに信用回復に必要な措置を命じうる(106条)。生産方法の推定と信用回復の措置を押さえる。
補足生産方法の推定は、製法特許の侵害立証の困難を緩和する(立証責任の転換)。信用回復措置は謝罪広告等が典型である。
問11特許権者等の権利行使の制限(無効の抗弁)
特許権者等の権利行使の制限及び差止請求権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない。
- イ.特許権者又は専用実施権者は、自己の特許権を侵害するおそれがある者に対しては、侵害の予防を請求することができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 104条の3第1項のとおり → 正しい
特許法第104条の3「特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 侵害のおそれがある者に予防を請求できる → 『請求できない』は誤り
特許法第100条「侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ侵害訴訟で特許が無効にされるべきと認められると『権利行使できない(無効の抗弁)』。侵害のおそれがある者にも『予防請求』できる(104条の3・100条)。
解説特許権・専用実施権の侵害訴訟において、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者・専用実施権者は相手方に対しその権利を行使できない(104条の3第1項、無効の抗弁)。また、侵害のおそれがある者にも差止(予防)を請求できる(100条1項)。無効の抗弁と差止請求権を押さえる。
補足無効の抗弁(キルビー判決の立法化)により、侵害訴訟の場で特許の無効を主張できる。審理を不当に遅延させる目的の主張は却下されうる(104条の3第2項)。
問12特許権侵害に対する信用回復の措置
信用回復の措置に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意又は過失により特許権を侵害したことにより特許権者の業務上の信用を害した者に対しても、裁判所は、業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることはできない。
- イ.故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害したことにより業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 信用回復措置を命じうる → 『命ずることはできない』は誤り
特許法第106条「業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 106条のとおり → 正しい
特許法第106条「業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる」e-Gov原文
ひっかけ信用を害した侵害者に、裁判所は損害賠償に代え又はとともに『信用回復措置』を命じうる(106条)。
解説故意又は過失により特許権又は専用実施権を侵害して業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は特許権者等の請求により、損害の賠償に代え又は損害の賠償とともに、業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる(106条)。信用回復の措置を押さえる。
補足信用回復措置は謝罪広告等が典型で、損害賠償と併せて又はこれに代えて命じられる。著作権法・商標法等にも同様の規定がある。
問13特許異議の申立て
特許異議の申立て及び特許発明の技術的範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許異議の申立ては、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、利害関係を有する者に限り、することができる。
- イ.特許発明の技術的範囲は、願書に添付した明細書の記載のみに基づいて定め、特許請求の範囲の記載は考慮しない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 何人も申立てをできる → 『利害関係を有する者に限る』は誤り
特許法第113条「何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号のいずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許請求の範囲の記載に基づいて定める → 『明細書のみに基づき特許請求の範囲は考慮しない』は誤り
特許法第70条「特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならない」e-Gov原文
ひっかけ特許異議の申立ては『何人も』特許掲載公報発行日から6月以内にできる。技術的範囲は『特許請求の範囲の記載』に基づく(113条・70条)。
解説何人も、特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、特許が補正要件違反・新規性欠如等の所定の理由に該当することを理由として特許異議の申立てをできる(113条。請求項ごとに申立て可)。また、技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定める(70条1項)。特許異議の申立てと技術的範囲を押さえる。
補足特許異議の申立ては何人も請求できる公衆審査的制度で、6月の期間制限がある。利害関係を要する無効審判(123条)と区別する。
問14特許法における審判請求の方式
審判請求の方式及び判定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.審判を請求する者は、請求書を提出することを要せず、口頭で審判を請求することができる。
- イ.特許発明の技術的範囲については、特許庁に対し、判定を求めることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 請求書を提出しなければならない → 『口頭で請求できる』は誤り
特許法第131条「審判を請求する者は、次に掲げる事項を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許庁に判定を求められる → 『求めることができない』は誤り
特許法第71条「特許庁に対し、判定を求めることができる」e-Gov原文
ひっかけ審判の請求は所定事項を記載した『請求書を特許庁長官に提出』する。技術的範囲は特許庁に『判定を求められる』(131条・71条)。
解説審判を請求する者は、当事者・代理人の氏名等、審判事件の表示、請求の趣旨及びその理由を記載した請求書を特許庁長官に提出しなければならない(131条1項。無効審判では請求の理由は具体的に特定する)。また、特許発明の技術的範囲については特許庁に判定を求められる(71条1項)。審判請求の方式と判定を押さえる。
補足審判は書面(請求書)による請求が必要である。無効審判の請求の理由は事実を具体的に特定し証拠との関係を記載しなければならない(131条2項)。
問15拒絶査定不服審判における前置審査
拒絶査定不服審判における前置審査及び生産方法の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があつた場合において、その請求と同時に明細書、特許請求の範囲又は図面について補正があつたときであつても、審査官にその請求を審査させることはない。
- イ.物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときであつても、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定されない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 審査官に審査させなければならない → 『審査させることはない』は誤り
特許法第162条「審査官にその請求を審査させなければならない」e-Gov原文
- イ.誤り
- 当該方法で生産したものと推定する → 『推定されない』は誤り
特許法第104条「その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ審判請求と同時の補正があれば『審査官に前置審査』させる。公然知られていない物の生産方法は当該方法で生産したと『推定』(162条・104条)。
解説特許庁長官は、拒絶査定不服審判の請求があった場合に、その請求と同時に明細書・特許請求の範囲・図面について補正があったときは、審査官にその請求を審査させなければならない(162条、前置審査)。また、生産方法の発明について所定の要件のとき同一の物は当該方法で生産したと推定される(104条)。前置審査と生産方法の推定を押さえる。
補足前置審査は、審判請求と同時の補正があった場合に、まず審査官に再審査させる制度である。審査官が拒絶理由が解消したと判断すれば特許査定となる。