問1周知表示混同惹起行為(2条1項1号)の成立要件
不正競争防止法2条1項1号(周知表示混同惹起行為)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同号の不正競争が成立するためには、他人の商品等表示が需要者の間に広く認識されているものであることを要する。
- イ.同号の不正競争は、商品等表示が同一又は類似であれば足り、他人の商品又は営業との間に混同を生じさせることは成立要件ではない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 1号は周知性を明文要件とする → 周知でない表示は1号で保護されない
不正競争防止法第2条第1項第1号「需要者の間に広く認識されているもの」e-Gov原文
- イ.誤り
- 『混同を生じさせる行為』が明文 → 混同不要とするのは誤り
不正競争防止法第2条第1項第1号「他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」e-Gov原文
ひっかけ1号は『周知性』と『混同』の双方が要件。2号(著名)は混同を要しない点と対比する。
解説周知表示混同惹起行為(1号)は、(1)他人の商品等表示が需要者の間に広く認識(周知)されていること、(2)同一・類似の商品等表示の使用等、(3)他人の商品又は営業との混同を生じさせること、を要件とする。周知性の地域的範囲は全国でなくとも一地方の需要者間で足りると解されている。混同を要件としない2号(著名表示冒用行為)との役割分担が頻出。
補足『混同を生じさせる行為』には現実の混同のみならず混同のおそれを含むと解されている。
問2著名表示冒用行為(2条1項2号)の成立要件
不正競争防止法2条1項2号(著名表示冒用行為)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同号の不正競争が成立するためには、自己の商品又は営業が他人の商品又は営業と混同を生じさせることを要する。
- イ.同号の保護を受けるためには、その商品等表示が著名なものであることを要する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 2号は混同を明文要件としない → 混同必須とするのは誤り
不正競争防止法第2条第1項第2号「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示」e-Gov原文
- イ.正しい
- 条文が『著名な商品等表示』と規定 → 著名でなければ2号で保護されない
不正競争防止法第2条第1項第2号「他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のもの」e-Gov原文
ひっかけ2号は『著名』を要求する代わりに混同を不要とする。1号(周知+混同)との要件の入れ替えが狙われる。
解説著名表示冒用行為(2号)は、全国的に著名な商品等表示へのフリーライド・希釈化(ダイリューション)・汚染(ポリューション)を、混同のおそれの有無を問わず規制する。1号が『周知+混同』を要件とするのに対し、2号は『著名』を要件とする代わりに混同を不要とする。著名性は周知性より高度な知名度(広い地域での高い知名度)を要する。
補足2号でも表示が同一又は類似であることは必要である。
問3商品形態模倣行為(2条1項3号)と『模倣する』の定義
不正競争防止法2条1項3号(商品形態模倣行為)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.同号にいう他人の商品の形態からは、当該商品の機能を確保するために不可欠な形態が除かれる。
- イ.『模倣する』とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 3号括弧書が不可欠形態を除く → 技術的形態は3号で保護されない
不正競争防止法第2条第1項第3号「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く」e-Gov原文
- イ.正しい
- 定義が『依拠』『実質的に同一』を要求 → 偶然の一致は模倣に当たらない
不正競争防止法第2条第5項「これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」e-Gov原文
ひっかけ3号の『模倣』は『依拠+実質的同一』。独自開発で偶然同一形態に至った場合は模倣でない。
解説商品形態模倣行為(3号)は、他人の商品形態をデッドコピーする行為を規制する。『模倣する』(2条5項)は、(1)他人の商品形態への依拠と、(2)実質的同一性を要件とするため、依拠せず独自に開発した結果偶然同一形態となった場合は模倣に当たらない。さらに『商品の機能を確保するために不可欠な形態』(技術的形態)は保護対象から除かれる。3号は周知性・著名性を要件としない点も特徴。
補足3号の対象となる『商品の形態』の意義は2条4項に定義がある。
問4商品形態模倣行為の適用除外(19条1項6号イ・最初の販売日から3年)
商品形態模倣行為(2条1項3号)に対する不正競争防止法19条1項6号イの適用除外に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商品形態模倣行為に係る規定は、日本国内において最初に販売された日から起算して5年を経過した商品については適用されない。
- イ.上記の3年の期間は、その商品が現実に模倣された日から起算する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 条文は『三年を経過した商品』を適用除外とする → 5年は誤り
不正競争防止法第19条第1項第6号「最初に販売された日から起算して三年」e-Gov原文
- イ.誤り
- 条文の起算点は『最初に販売された日』 → 模倣日起算は誤り
不正競争防止法第19条第1項第6号「日本国内において最初に販売された日」e-Gov原文
ひっかけ形態模倣の保護は『最初の販売日』から『3年』。期間(数字)と起算点の両方が狙われる。
解説商品形態模倣行為(3号)に対する保護は、日本国内において最初に販売された日から起算して3年で終了する(19条1項6号イ)。『3年』という期間と、模倣時ではなく『最初に販売された日』が起算点である点の双方が頻出論点。なお同号ロは、模倣商品であることを知らず、かつ知らないことに重大な過失がなく譲り受けた善意取得者の転売等も適用除外とする。
補足3年経過後は3号による差止め・損害賠償の対象外となる(意匠権等による別途保護は格別である)。
問5「商品等表示」「商品の形態」の定義(2条1項1号括弧書・2条4項)
不正競争防止法における『商品等表示』及び『商品の形態』の定義に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.『商品等表示』とは、人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう。
- イ.『商品の形態』とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部の形状に限られ、内部の形状は含まれない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 条文が容器・包装等を例示列挙 → 商品の容器・包装も商品等表示に含まれる
不正競争防止法第2条第1項第1号「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう」e-Gov原文
- イ.誤り
- 条文は『外部及び内部の形状』と規定 → 内部を含まないとするのは誤り
不正競争防止法第2条第4項「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状」e-Gov原文
ひっかけ『商品の形態』は外部だけでなく内部の形状も含む。『外部に限る』とする引っかけに注意。
解説『商品等表示』(2条1項1号括弧書)は、氏名・商号・商標・標章・商品の容器・包装その他商品又は営業を表示するものを広く含む。『商品の形態』(2条4項)は、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識できる商品の外部及び内部の形状、並びにその形状に結合した模様・色彩・光沢・質感をいい、内部形状も対象となる。定義規定の範囲を正確に押さえることが重要。
補足『商品の形態』は形状のみならず、模様・色彩・光沢・質感まで含む点も押さえる。
問6営業秘密の定義(秘密管理性・有用性・非公知性)
不正競争防止法上の「営業秘密」の定義(2条6項)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.営業秘密として保護されるためには、当該情報が秘密として管理されていること(秘密管理性)が必要である。
- イ.情報が秘密として管理され、かつ公然と知られていないものであれば、事業活動に有用でない情報であっても営業秘密に該当する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 秘密として管理されていることが定義上の要件
- イ.誤り
- 有用性を欠く情報は営業秘密にならない
不正競争防止法第2条第6項「事業活動に有用な技術上又は営業上の情報」e-Gov原文
ひっかけ営業秘密は秘密管理性・有用性・非公知性の3要件をすべて満たす必要がある。どれか1つでも欠ければ営業秘密ではない。
解説営業秘密(2条6項)の3要件は、(1)秘密管理性=秘密として管理されていること、(2)有用性=事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること、(3)非公知性=公然と知られていないこと。3要件すべてを満たして初めて営業秘密として保護される。実務上は秘密管理性の有無が最も争われやすく、アクセス制限や秘密表示など客観的な管理の事実が問われる。
補足有用性は現実に利用されている情報に限らず、失敗した実験データなど客観的に事業活動に有用であれば認められ得る。
問7営業秘密の不正取得と主観的要件(4号・5号)
不正競争防止法上の営業秘密に係る不正競争(2条1項4号・5号)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により営業秘密を取得する行為は、不正競争に該当する。
- イ.営業秘密について不正取得行為が介在したことを、重大な過失により知らないで取得した者がこれを使用・開示する行為も、不正競争に該当し得る。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 窃取等による営業秘密の取得は不正競争
不正競争防止法第2条第1項第4号「不正の手段により営業秘密を取得する行為」e-Gov原文
- イ.正しい
- 重過失でも転得者の使用・開示は不正競争
不正競争防止法第2条第1項第5号「重大な過失により知らないで営業秘密を取得し」e-Gov原文
ひっかけ営業秘密の転得者類型(5号・8号)は『悪意又は重大な過失』が主観要件。重過失でも不正競争になる。
解説営業秘密の取得類型では、自ら不正取得する4号のほか、不正取得行為の介在について悪意(知って)又は重過失(重大な過失により知らないで)の転得者の取得・使用・開示も5号で不正競争となる。営業秘密は信義則の保護が厚く、5号・8号いずれも『悪意又は重過失』が主観的要件である点を押さえる。これは後述の限定提供データ(12号は悪意のみで重過失を含まない)との対比で頻出。
補足善意かつ無重過失で取得した者は、後に悪意となっても取引によって取得した権原の範囲内であれば一定の適用除外(19条)がある。
問8営業秘密の不正開示と侵害品の譲渡(7号・10号)
不正競争防止法上の営業秘密に係る不正競争(2条1項7号・10号)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.営業秘密保有者からその営業秘密を示された者は、不正の利益を得る目的等がなくても、その営業秘密を使用しただけで直ちに不正競争に該当する。
- イ.技術上の秘密を使用する不正使用行為により生じた物を譲渡し、又は輸出する行為は、不正競争に該当し得る。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 目的要件を欠く使用は7号に当たらない
不正競争防止法第2条第1項第7号「不正の利益を得る目的で」e-Gov原文
- イ.正しい
- 技術上の秘密の不正使用品の流通も規制対象
不正競争防止法第2条第1項第10号「により生じた物を譲渡し」e-Gov原文
ひっかけ7号は図利加害目的が必須。営業秘密を正当に示された者の単なる使用は、目的要件を欠けば7号に当たらない。
解説営業秘密を正当に示された者の類型(7号)は、図利加害目的(不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的)を要件とする点が、不正取得型(4号〜6号)と異なる。10号は『営業秘密侵害品』規制で、対象は技術上の秘密を使用する不正使用行為により生じた物に限られ、営業上の情報の不正使用により生じた物は含まれない点に注意。
補足10号の侵害品を、不正使用行為により生じた物であることを知らず重過失なく譲り受けた者の転売は適用除外となる。
問9限定提供データの定義(2条7項)
不正競争防止法上の「限定提供データ」の定義(2条7項)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.秘密として管理されている営業秘密も、相当量蓄積され管理されていれば、限定提供データに含まれる。
- イ.限定提供データに該当するためには、当該情報が紙媒体により相当量蓄積されていれば足りる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- イ.誤り
- 紙媒体での蓄積では限定提供データに当たらない
不正競争防止法第2条第7項「業として特定の者に提供する情報として電磁的方法」e-Gov原文
ひっかけ限定提供データは電磁的方法による相当量蓄積・管理が要件で、定義上『営業秘密を除く』。両者は択一関係。
解説限定提供データ(2条7項)は、(1)業として特定の者に提供する情報であること(限定提供性)、(2)電磁的方法により相当量蓄積されていること(相当蓄積性)、(3)電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性)を要件とし、かつ営業秘密を明文で除外する。営業秘密が秘密管理性・非公知性を要件とするのに対し、限定提供データは『特定の者に提供する』ビッグデータ等を念頭に置き、非公知性を要件としない点が本質的な違いである。
補足限定提供データは非公知であることを要しないため、一定範囲で公開されているデータでも要件を満たせば保護され得る。
問10限定提供データの不正取得と主観的要件(11号・12号)
不正競争防止法上の限定提供データに係る不正競争(2条1項11号・12号)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.窃取、詐欺、強迫その他の不正の手段により限定提供データを取得する行為は、不正競争に該当する。
- イ.限定提供データについて不正取得行為が介在したことを、重大な過失により知らないで取得し使用する行為も、不正競争に該当する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 不正手段による限定提供データの取得は不正競争
不正競争防止法第2条第1項第11号「不正の手段により限定提供データを取得する行為」e-Gov原文
- イ.誤り
- 限定提供データの転得者は重過失では不正競争にならない
不正競争防止法第2条第1項第12号「限定提供データ不正取得行為が介在したことを知って限定提供データを取得し」e-Gov原文
ひっかけ限定提供データの転得者(12号・13号)は『悪意のみ』。営業秘密(5号・6号)の『悪意又は重過失』と混同しない。
解説限定提供データの取得・転得類型(11号〜13号)と営業秘密(4号〜6号)の最大の違いは主観的要件にある。営業秘密の転得者類型(5号・6号)は『悪意又は重大な過失』を要件とするのに対し、限定提供データの転得者類型(12号・13号)は『知って』=悪意のみを要件とし、重過失は含まれない。限定提供データは一定範囲で流通することが前提のため、取引の安全に配慮して主観的要件が悪意に限定されている。
補足限定提供データを取得した時点で善意であった者は、その後悪意となっても取引により取得した権原の範囲内での使用・開示は適用除外となる。
問11差止請求権の要件と廃棄・除却請求
不正競争防止法上の差止請求権(3条)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争によって営業上の利益を侵害された者が侵害の停止を請求するためには、侵害者に故意又は過失があったことを要する。
- イ.差止請求をするに際しては、侵害の行為を組成した物の廃棄や、侵害の行為に供した設備の除却を併せて請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 差止は客観的侵害で足りる → 故意過失要件は損害賠償(4条)の話 → 「要する」は誤り
不正競争防止法第3条「侵害の停止又は予防を請求することができる」e-Gov原文
- イ.正しい
- 3条2項が組成物の廃棄・供用設備の除却を明文で認める → 正しい
ひっかけ差止(3条)は故意・過失不要、損害賠償(4条)は故意・過失必要。要件の所在を取り違えさせるのが定番。
解説差止請求権(3条)は、侵害行為が客観的に存在し営業上の利益の侵害・侵害のおそれがあれば足り、侵害者の主観(故意・過失)を要件としない。これに対し損害賠償(4条)と信用回復措置(14条)は故意・過失を要件とする。3条2項の廃棄・除却請求(組成物の廃棄、供用設備の除却)は、独立して請求できるのではなく、1項の差止請求に「際し」て請求できる付随的請求である点も押さえる。
補足侵害の「おそれ」がある段階でも、停止だけでなく予防を請求できる(3条1項)。
問12損害賠償責任の要件とただし書による除外
不正競争防止法上の損害賠償(4条)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。
- イ.第15条の規定により消滅時効に係る権利が消滅した後に、その営業秘密を使用する行為によって生じた損害についても、当然に賠償責任を負う。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 4条本文が故意・過失を明示 → 民法709条の特則 → 正しい
不正競争防止法第4条「故意又は過失により不正競争を行って」e-Gov原文
- イ.誤り
- 4条ただし書が時効消滅後の使用を除外 → 「当然に責任を負う」は誤り
ひっかけ4条は『本文(責任)+ただし書(時効消滅後の使用は除外)』。ただし書を落とすと誤る。
解説損害賠償(4条)は故意・過失を要件とする民法709条の特則。ただし書により、15条(営業秘密・限定提供データの差止請求権の消滅時効)で権利が消滅した後に当該営業秘密・限定提供データを使用する行為によって生じた損害は、賠償責任の対象から外れる。差止(3条)が故意・過失不要であるのと要件面で対比して押さえる。
補足損害額の立証負担を軽くするため、5条に損害額の推定等の規定が置かれている。
問13損害額の推定等(侵害者利益とドメイン名の使用料相当額)
不正競争防止法上の損害の額の推定等(5条)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.不正競争によって営業上の利益を侵害された者が損害賠償を請求する場合において、侵害者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額が被侵害者の受けた損害の額と推定される。
- イ.ドメイン名に係る不正競争(第2条1項19号)についても、その侵害に係るドメイン名の使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額を、損害額として賠償請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 5条2項が侵害者の受けた利益=損害額と推定 → 正しい
- イ.正しい
- 5条3項5号が19号ドメイン名を明示 → 使用料相当額の請求が可能 → 正しい
ひっかけ5条は項ごとに対象類型が異なる。2項は不正競争一般、3項は号を限定列挙。
解説5条1項(逸失利益=譲渡数量×単位利益)は第2条1項1号〜16号又は22号に限られ、19号(ドメイン名)・20号(原産地等誤認)・21号(信用毀損)には及ばない。5条2項(侵害者利益の推定)は『不正競争』一般に適用される。5条3項(使用料相当額)は1号〜9号・11号〜16号・19号又は22号が対象で、19号ドメイン名は含まれるが20号・21号は含まれない。どの救済がどの号に及ぶかを号単位で整理することが弁理士レベルの要。
補足5条3項の使用料相当額は最低限度の賠償であり、これを超える損害の賠償請求は妨げられない(5条5項)。
問14信用回復の措置の要件と賠償との関係
不正競争防止法上の信用回復の措置(14条)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.信用回復に必要な措置は、損害の賠償とともに命ずることはできず、損害の賠償に代える場合に限り命ずることができる。
- イ.信用回復に必要な措置は、侵害者に故意又は過失がない場合であっても、裁判所が職権でこれを命ずることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 14条は『代え、又は…とともに』と明示 → 併科可能 → 「代える場合に限る」は誤り
不正競争防止法第14条「損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに」e-Gov原文
- イ.誤り
- 14条は故意・過失を要件とし、被害者の請求によると明示 → 「職権で」「故意過失不要」は誤り
不正競争防止法第14条「その営業上の信用を害された者の請求により」e-Gov原文
ひっかけ信用回復措置(14条)は『故意・過失+請求』が必要で、賠償に代えても賠償とともにでも命じられる。
解説信用回復の措置(14条)は、故意又は過失により不正競争を行って他人の営業上の信用を害した者に対し、裁判所が、信用を害された者の請求により命じる。要件面では損害賠償(4条)と同様に故意・過失が必要で、差止(3条)の客観的要件とは異なる。措置は損害賠償に『代え』ても『とともに』でも命じられ、選択・併科のいずれも可能。職権ではなく被害者の請求が前提である点も狙われやすい。
補足信用回復措置の典型は謝罪広告等だが、命ずるか否か・内容は裁判所の裁量による(命ずることが『できる』)。
問15原産地等誤認惹起行為と普通名称の適用除外
不正競争防止法上の原産地等誤認惹起行為(2条1項20号)及び適用除外(19条1項)に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.商品の品質、内容又は製造方法について誤認させるような表示をする行為は、不正競争に該当する。
- イ.商品の原産地について誤認させる表示であっても、それが商品の普通名称を普通に用いられる方法で表示したものであるときは、第2条1項20号の不正競争として差止請求の対象となる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 20号は原産地に限らず品質・内容・製造方法等の誤認表示を広く対象とする → 正しい
不正競争防止法第2条第1項第20号「誤認させるような表示」e-Gov原文
- イ.誤り
- 19条1項1号の適用除外は20号にも及ぶ → 普通名称を普通に用いる表示は差止対象外 → 「対象となる」は誤り
不正競争防止法第19条第1項第1号「普通に用いられる方法で使用し」e-Gov原文
ひっかけ20号は『原産地』だけでなく品質・内容・製造方法・用途・数量の誤認表示も対象。19条1項1号の普通名称除外は20号にも及ぶ。
解説原産地等誤認惹起行為(2条1項20号)は、原産地のほか品質・内容・製造方法・用途・数量について誤認させる表示を広く捕捉する。一方、19条1項1号は2条1項1号・2号・20号・22号について、商品・営業の普通名称や慣用商品等表示(普通名称等)を普通に用いられる方法で使用・表示する行為を適用除外とする(ぶどう原料物の原産地由来の普通名称は除外の例外)。どの不正競争類型にどの適用除外が及ぶか(19条1項各号の頭書の号の指定)を正確に対応づけることが要点。
補足自己の氏名の善意使用の適用除外(19条1項2号)は1号・2号・22号が対象で、20号には及ばない点も区別する。