問1発明の定義
特許法上の発明及び共同出願に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許法上、「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
- イ.特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 2条1項のとおり → 正しい
特許法第2条「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」e-Gov原文
- イ.正しい
- 38条のとおり → 正しい
特許法第38条「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ発明は『自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの』。共有の出願は『共同で』(2条・38条)。
解説特許法上の発明とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう(2条1項)。自然法則自体や、自然法則に反するもの、単なる発見・人為的取決めは発明に当たらない。また、特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができない(38条、共同出願)。発明の定義と共同出願の要件は弁理士試験特許法の基礎である。
補足「高度のもの」という要件は、実用新案法上の考案(自然法則を利用した技術的思想の創作)と区別するためのものである。発明該当性は、特許要件(新規性・進歩性等)の判断の前提となる。
問2特許を受ける権利の移転・質権
特許を受ける権利に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許を受ける権利は、移転することができる。
- イ.特許を受ける権利は、質権の目的とすることができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 33条1項のとおり → 正しい
特許法第33条「特許を受ける権利は、移転することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許を受ける権利は質権の目的とできない → 『できる』は誤り
特許法第33条「特許を受ける権利は、質権の目的とすることができない」e-Gov原文
ひっかけ特許を受ける権利は『移転できる』が『質権の目的にはできない』(33条)。
解説特許を受ける権利は、移転することができる(33条1項)。一方、特許を受ける権利は質権の目的とすることができない(33条2項)。権利が登録前で不安定であることから、質権の設定は認められない。また、特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は他の共有者の同意を得なければその持分を譲渡することができない(33条3項)。移転の可否と質権設定の可否を取り違えないことが要点である。
補足特許権(設定登録後)には質権を設定できる(95条)が、特許を受ける権利(登録前)には質権を設定できない。登録の前後で質権設定の可否が異なる点に注意する。
問3共同出願
共同出願及び特許権の発生に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない。
- イ.特許権は、設定の登録により発生する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 38条のとおり → 正しい
特許法第38条「特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出願をすることができない」e-Gov原文
ひっかけ共有の特許を受ける権利は『共同で』出願。特許権は『設定の登録』により発生(38条・66条)。
解説特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者は他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができない(38条)。共有者の一部のみでした出願は拒絶理由・無効理由となる。また、特許権は設定の登録により発生する(66条1項)。出願や審査を経ても、設定登録があって初めて特許権が生じる。権利発生の時点(設定登録)を押さえる。
補足特許権の設定登録は、第1年から第3年までの特許料の納付等があったときにされる(66条2項)。出願・審査請求・査定と進んでも、特許料の納付と設定登録までは特許権は発生しない。
問4職務発明
職務発明及び出願公開に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.使用者等は、従業者等がした職務発明について従業者等が特許を受けたときは、その特許権について通常実施権を有する。
- イ.特許庁長官は、特許出願の日から3年を経過したときに、その特許出願について出願公開をしなければならない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- イ.誤り
- 出願公開は出願日から1年6月 → 『3年』は誤り
特許法第64条「特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない」e-Gov原文
ひっかけ使用者は職務発明の特許権に『通常実施権』を有する。出願公開は出願日から『1年6月』(35条・64条)。
解説使用者等は、従業者等がその職務についてした発明(職務発明)について、従業者等が特許を受けたとき等は、その特許権について通常実施権を有する(35条1項、法定通常実施権)。また、特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、その特許出願について出願公開をしなければならない(64条1項)。1年6月という期間の数字を3年(出願審査請求の期間)と取り違えないように押さえる。
補足出願審査の請求は出願日から3年以内にできる(48条の3)が、出願公開は出願日から1年6月経過で行われる。『1年6月=出願公開』『3年=審査請求期限』という期間の対応を整理して覚える。
問5出願公開
出願公開及び特許権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない。
- イ.特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 64条1項のとおり → 正しい
特許法第64条「特許庁長官は、特許出願の日から一年六月を経過したときは、特許掲載公報の発行をしたものを除き、その特許出願について出願公開をしなければならない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 67条1項のとおり → 正しい
特許法第67条「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する」e-Gov原文
ひっかけ出願公開は出願日から『1年6月』。存続期間は出願日から『20年』(64条・67条)。
解説特許庁長官は、特許出願の日から1年6月を経過したときは、出願公開をしなければならない(64条1項)。また、特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する(67条1項)。いずれも起算点が『特許出願の日』である点が共通する。存続期間の起算点を『設定登録の日』と取り違えないように注意する。期間の数字(1年6月・20年)と起算点を押さえる。
補足存続期間は、医薬品等で特許権の設定登録が遅れた場合などに、一定の要件の下で延長登録の出願により延長できる(67条2項以下)。原則20年・起算点は出願日という基本を押さえる。
問6補償金請求権
出願公開の効果及び特許権の発生に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許出願人は、出願公開後に警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。
- イ.特許権は、特許出願の時に発生する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 65条1項のとおり → 正しい
特許法第65条「その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許権は設定の登録により発生する → 『特許出願の時』は誤り
ひっかけ出願公開後に警告すれば『補償金請求権』が生じる。特許権自体は『設定の登録』で発生(65条・66条)。
解説特許出願人は、出願公開後に警告をしたときは、その警告後・設定登録前に業として発明を実施した者に対し、補償金の支払を請求することができる(65条1項、補償金請求権)。これは特許権が発生する前の実施に対する金銭的補償である。もっとも、この請求権は特許権の設定登録後でなければ行使できない(65条2項)。特許権の発生(設定登録・66条1項)と、それ以前の補償金請求権の関係を押さえる。
補足補償金請求権は、出願公開により発明が公開されることで生じる不利益を補うための制度である。警告(又は悪意)と設定登録という要件があり、特許権そのものとは別個の権利である。
問7特許権の設定の登録
特許権の発生に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権は、出願審査の請求があった時に発生する。
- イ.特許権は、設定の登録により発生する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 特許権は設定の登録により発生する → 『出願審査の請求があった時』は誤り
ひっかけ特許権の発生時点は『設定の登録』。出願・審査請求・査定では発生しない(66条)。
解説特許権は、設定の登録により発生する(66条1項)。出願、出願審査の請求、特許査定のいずれの時点でも特許権は発生せず、特許料の納付を経た設定登録によって初めて特許権が生じる。権利の発生時点を正確に押さえることは、補償金請求権(65条)や存続期間の起算(67条=出願日)との関係でも重要である。
補足特許査定があっても、所定の特許料を納付して設定登録がされなければ特許権は発生しない。査定(行政処分)と権利発生(設定登録)が別であることを押さえる。
問8特許権の存続期間
特許権の存続期間に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権の存続期間は、特許権の設定の登録の日から20年をもって終了する。
- イ.特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 存続期間は特許出願の日から20年 → 『設定の登録の日から』は誤り
特許法第67条「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 67条1項のとおり → 正しい
特許法第67条「特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する」e-Gov原文
ひっかけ特許権の存続期間の起算点は『特許出願の日』。設定登録の日ではない(67条)。
解説特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもって終了する(67条1項)。特許権が発生するのは設定登録の時(66条1項)だが、存続期間の起算点は出願日である。したがって、審査に時間がかかると、実際に権利を行使できる期間(設定登録から満了まで)は20年より短くなる。発生時点(設定登録)と存続期間の起算点(出願日)の違いを押さえる。
補足審査の遅延などで権利期間が実質的に短くなることを補うため、一定の要件の下で存続期間の延長登録の制度がある(67条2項以下)。原則は出願日から20年という起算点を押さえる。
問9特許権の効力が及ばない範囲(試験又は研究)
特許権の効力が及ばない範囲に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施にも、及ぶ。
- イ.特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 試験研究のための実施には及ばない → 『及ぶ』は誤り
特許法第69条「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない」e-Gov原文
- イ.正しい
- 69条1項のとおり → 正しい
特許法第69条「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない」e-Gov原文
ひっかけ特許権の効力は『試験又は研究のためにする実施』には及ばない(69条1項)。
解説特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には及ばない(69条1項)。特許発明の技術内容を確認・改良するための試験研究まで特許権で禁止すると、技術の進歩を妨げるためである。業として特許発明を実施する権利を専有する(68条)という原則に対する重要な例外であり、効力が制限される場面の代表例として押さえる。
補足このほか、単に日本国内を通過するに過ぎない船舶・航空機等や、特許出願の時から日本国内にある物にも特許権の効力は及ばない(69条2項)。効力の例外を整理して覚える。
問10特許権の効力が及ばない範囲(通過する船舶等)
特許権の効力の制限及び先使用権に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権の効力は、単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物には、及ばない。
- イ.特許出願に係る発明の内容を知らないでその発明をし、特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者は、その実施をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:1(アー正、イー正)
- ア.正しい
- 69条2項1号のとおり → 正しい
特許法第69条「単に日本国内を通過するに過ぎない船舶若しくは航空機又はこれらに使用する機械、器具、装置その他の物」e-Gov原文
- イ.正しい
- 79条のとおり → 正しい
特許法第79条「特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する」e-Gov原文
ひっかけ通過する船舶・航空機等には効力が及ばない。出願時に実施事業をしている者は『先使用権』を持つ(69条・79条)。
解説特許権の効力は、単に日本国内を通過するに過ぎない船舶・航空機又はこれらに使用する機械器具等には及ばない(69条2項1号)。また、特許出願に係る発明を知らないで自らその発明をし、出願の際現に日本国内でその実施である事業をしている者又はその準備をしている者は、その範囲内で通常実施権を有する(79条、先使用権)。効力の地理的・物的制限と、先使用者保護の制度を押さえる。
補足先使用権は、出願前から独自に発明を実施・準備していた者を保護し、先願主義の下での公平を図る制度である。要件(出願前の自己の発明・出願時の事業実施又は準備)を正確に押さえる。
問11先使用による通常実施権
先使用権及び特許権の効力に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。
- イ.特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施にも及ぶ。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:2(アー正、イー誤)
- ア.正しい
- 79条のとおり → 正しい
特許法第79条「特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者又はその事業の準備をしている者は、その実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲内において、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する」e-Gov原文
- イ.誤り
- 試験研究のための実施には及ばない → 『及ぶ』は誤り
特許法第69条「特許権の効力は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、及ばない」e-Gov原文
ひっかけ出願前から実施・準備していた者は『先使用権』。試験研究のための実施には特許権が及ばない(79条・69条)。
解説特許出願の際現に日本国内でその発明の実施である事業をしている者又はその準備をしている者は、その範囲内で先使用による通常実施権を有する(79条)。これは出願前から独自に発明を実施していた者を保護する制度である。また、特許権の効力は試験又は研究のためにする特許発明の実施には及ばない(69条1項)。実施に対する制限(先使用権・試験研究の例外)を整理して押さえる。
補足先使用権は無償の法定通常実施権であり、登録なくして特許権者・専用実施権者に対抗できる。実施・準備の範囲内に限られる点に注意する。
問12過失の推定
特許権侵害に対する過失の推定に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.他人の特許権を侵害した者については、その侵害の行為について過失があったものとは推定されず、特許権者が侵害者の過失を立証しなければならない。
- イ.他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
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正解:3(アー誤、イー正)
- ア.誤り
- 侵害者の過失は推定される → 『推定されず権利者が立証』は誤り
特許法第103条「他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する」e-Gov原文
- イ.正しい
- 103条のとおり → 正しい
特許法第103条「他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する」e-Gov原文
ひっかけ特許権を侵害した者は『過失があったものと推定』される(103条)。
解説他人の特許権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があったものと推定する(103条、過失の推定)。特許は出願公開・特許公報で内容が公示されているため、侵害者は特許の存在を知り得たとして過失が推定される。一般の不法行為(民法709条)では被害者が加害者の故意・過失を立証するのが原則だが、特許権侵害ではこの推定により権利者の立証負担が軽減される。
補足過失の推定は反証可能であり、侵害者が自己に過失がなかったことを立証すれば覆る。もっとも、特許が公示されている以上、無過失の立証は容易ではない。立証責任の転換という効果を押さえる。
問13損害の額の推定
特許権侵害による損害賠償に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許権者が侵害者に損害賠償を請求する場合、侵害者が侵害行為を組成した物を譲渡したときであっても、その譲渡数量等に基づいて損害の額を算定することはできず、現実の損害額を逐一立証しなければならない。
- イ.特許権の侵害による損害賠償請求においては、侵害者の故意又は過失は要件とされない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 譲渡数量等に基づき損害額を算定できる → 『逐一立証しなければならない』は誤り
特許法第102条「特許権者又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 損害賠償は故意又は過失による侵害が前提 → 『要件とされない』は誤り
特許法第102条「特許権者又は専用実施権者が故意又は過失により自己の特許権又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において」e-Gov原文
ひっかけ侵害品の譲渡数量等から損害額を算定できる(損害額の推定)。損害賠償には『故意又は過失』が必要(102条)。
解説特許権者等が故意又は過失により特許権を侵害した者に損害賠償を請求する場合に、侵害者が侵害品を譲渡したときは、その譲渡数量に権利者の単位数量当たりの利益額を乗じた額等を、権利者が受けた損害の額とすることができる(102条1項、損害額の推定等)。損害額の立証が困難な特許権侵害において、権利者の立証負担を軽減する制度である。損害賠償の前提として故意又は過失が必要である点もあわせて押さえる。
補足102条には、侵害者の利益額を損害額と推定する規定(2項)、実施料相当額を損害額として請求できる規定(3項)も置かれている。過失は推定される(103条)ため、実務上は権利者が侵害者の過失を立証する必要は乏しい。
問14特許無効審判
特許無効審判及び訂正審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.特許に無効理由があっても、何人も特許無効審判を請求することはできず、特許庁長官の職権によってのみ特許が無効とされる。
- イ.特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて、訂正審判を請求することはできない。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 特許無効審判を請求できる → 『請求できず職権のみ』は誤り
特許法第123条「特許が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる」e-Gov原文
- イ.誤り
- 特許権者は訂正審判を請求できる → 『請求できない』は誤り
特許法第126条「特許権者は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正をすることについて訂正審判を請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ無効理由があれば『特許無効審判』を請求できる。特許権者は『訂正審判』を請求できる(123条・126条)。
解説特許が新規性・進歩性の欠如や共同出願違反等の無効理由に該当するときは、その特許を無効にすることについて特許無効審判を請求することができる(123条1項)。職権のみで無効とされるのではなく、請求に基づく審判による。また、特許権者は、願書に添付した明細書・特許請求の範囲又は図面の訂正について訂正審判を請求することができる(126条1項)。無効審判(特許をつぶす手続)と訂正審判(特許の記載を直す手続)を押さえる。
補足特許無効審判は、原則として利害関係人が請求できる(123条2項)。訂正審判は、明細書等の記載を一定の目的の範囲で訂正する手続で、無効審判への対抗手段としても用いられる。
問15訂正審判
訂正審判及び特許無効審判に関する次のア・イの記述について、その正誤の組み合わせとして最も適切なものを1つ選びなさい。
- ア.訂正審判における訂正は、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであっても、認められる。
- イ.特許無効審判は、二以上の請求項に係る特許についても、請求項ごとに請求することはできず、特許全体としてのみ請求することができる。
- アー正、イー正
- アー正、イー誤
- アー誤、イー正
- アー誤、イー誤
解答・解説を見る
正解:4(アー誤、イー誤)
- ア.誤り
- 訂正は法定の目的に限られる → 『拡張・変更も認められる』は誤り
特許法第126条「その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る」e-Gov原文
- イ.誤り
- 無効審判は請求項ごとに請求できる → 『全体としてのみ』は誤り
特許法第123条「二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる」e-Gov原文
ひっかけ訂正は『減縮・誤記訂正・釈明』等に限る(拡張・変更は不可)。無効審判は『請求項ごと』に請求できる(126条・123条)。
解説訂正審判における訂正は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明等を目的とするものに限られる(126条1項各号)。特許請求の範囲を実質的に拡張し又は変更する訂正は認められない。また、特許無効審判は、二以上の請求項に係るものについては請求項ごとに請求することができる(123条1項)。訂正の目的の限定と、無効審判の請求項単位の取扱いを押さえる。
補足訂正で特許請求の範囲を拡張・変更できないのは、第三者の信頼を害さないためである。請求項ごとの請求・訂正が認められるのは、複数の請求項を持つ特許で一部のみを争い又は訂正できるようにする趣旨である。